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Simulated Annealing法と解空間との適性の評価法

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Academic year: 2021

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(1)数理モデル化と問題解決 38−9 (2002. 3. 5). Simulated Annealing 法と解空間との適性の評価法 井尻 堅大,. 藤吉 邦洋. 東京農工大学 工学部 電気電子工学科 あらまし. Simulated Annealing 法は良い解を求めて解空間を探索する手法で、「解探索に十分な時間をかけ. れば最適解に向かう」という特長を持つ。これを適用するためには「隣接解」を定義して解空間を張る必要が あるが、隣接解をうまく定義しないと解探索を効率的に行なえなくなる。 本稿では Simulated Annealing 法と解空間の相性の指標を求めることを目的とし、仮定に基づいて降下法を用. いた計算機実験を行ない、局所最適解に至るまでの移動回数及び、局所最適解の評価平均値が Simulated. An-. nealing 法との相性に深く影響しているらしいことを確かめた。また、複数の評価の加重平均を評価関数とす. る場合において、局所最適解の評価平均値の分布が Simulated Annealing 法での最終解の分布とよく一致して おり、加重平均の重み係数の選択の指標の一つとなることを確認した。. A Method to Assess Suitability of Solution Space for Simulated Annealing Kendai IJIRI,. and Kunihiro FUJIYOSHI. Department of Electrical and Electronic Engineering, Tokyo University of Agriculture. &. Technology. The Simulated Annealing is one of the stochastic algorithms for searching solution space for good one. Therefore, it is necessary to make solution space by de

(2) ning adjacent solutions. If adjacent solution is de

(3) ned inaptly, the search cannot be done eciently. In this paper, in order to assess suitability of solution space for the SA method, two conjectures using quenching method are proposed and are con

(4) rmed by the experiments based on them. Abstract. 1 まえがき. た。 [6] では最適解近傍の landscape を調べる研究が. Simulated Annealing 法 (以下 SA 法) は、良い解 を求めて解空間を探索する手法で、「解探索に十分な 時間をかければ最適解に向かう」という特長を持つ。. 行なわれたが、最適解との比較による解析であるた め、最適解を求めることが非常に困難である一般的な 問題の評価法にはなり難い。また、探索手法との関連. SA 法を適用するためには「隣接解」を定義して解空. については触れられていなかった。. 間を張る必要があるが、隣接解をうまく定義しないと. を目的とし、 (1) 降下法を用いた 2 つの仮定を立て、. 解探索を効率的に行なえなくなる。解空間上の評価関 数値の分布は地形 (landscape) と呼ばれている。. 本稿では SA 法と解空間の相性の指標を求めること. これを計算機実験にて検証し、 (2) 同じ解空間におい. [2] では SA 法を多数回実行することで解空間との 相性の評価順位を得ている (以下この手法を SA 反. て複数の評価の加重平均を評価関数とした場合の、解. 復法と呼ぶ)。しかし、これには多くの時間がかか. 2 準備. る。また、相性の背景にあるものが不明であるため に、良い解空間を構築するための指標が得られていな かった。 [3] では隣接解間の評価値の差により相性を. 空間に与える影響を調べる。. 2.1. Simulated Annealing 法と解空間. SA 法は、良い解を求めて解空間を探索する手法で. 評価する方法が提案されたが、 [2] で得られた順位と. ある。具体的には、注目している解に対してランダム. 完全には一致しなかった。近年、降下法を用いた解空. に隣接解を一つ求めて比較し、条件を満たしていれば. 間の評価法が提案された [4] が、著者らも断っている. これを注目している解に置き換えていく。このため、. ように、これは探索手法とは切り離しての評価であっ. 「隣接解」を定義して解空間を張る必要がある。隣接. -1−33−.

(5) 解はしばしば、隣接解生成法により定義される。隣接. 2.3. 解はうまく定義しないと SA 法探索を効率良く行なえ. SA 反復法. 各解空間の SA 法との相性の評価順位を求めるため. なくなる。このため、解空間は以下の性質を満たして. に、 [2] で提案された手法は、 SA 法は時間をかけれ. いることが望ましいものと考えられる。. ば良い解に近付くという特徴を持つので、多種のア. 到達可能性:. SA 法では任意の一つの初期解から探索. ニーリングスケジュールについて、(疑似乱数の影響. を始めるため、任意の解から任意の解まで、問題サイ. を排除するために)複数の疑似乱数の種を用いて SA. ズの多項式回の隣接解移動操作で到達できること。. 法を行う。計算に要した時間を横軸に、評価関数値を. 滑らかさ:解空間において隣接解同士が「似ている」. 縦軸としてその平均を折れ線で結んで得たグラフにお. こと。. いて、短時間で評価関数値が良くなったものが相性の. 2.2. 良い解空間であるとする。. 問題設定. 本稿では、 SA 法が多く用いられている問題の一つ. である、 VLSI 設計でのモジュール配置問題:「与え られたさまざまな形状のモジュールをできるだけ小さ い面積の矩形内に、できるだけ短い配線長になるよう に配置する」を用いる。パッキングの表現方法として は、 sequence-pair[1](以下 seq-pair) を使用する。 2.2.1. MCNC ベン チマー ク の ami33, ami49 な どに 対. し、評価関数は面積と配線長の 2 種類で実験を行なっ た結果、いずれの組合せでもほぼ同様の評価順位を 示していた。代表として ami33 における配線のみの. 評価を行なったものを 1に示す。このグラフからわか るように、 fhh,. adj という順位が得られた。. Sequence-Pair. seq-pair では矩形の相対位置関係を矩形名の順列 0+ と 00 の対により (0+; 00 ) の形で表す。その特長. 85. 75. seq-pair は 0+ と 00 で 共 に a が b の 前 に あ る と き、矩形 a は矩形 b の左に位置することを意味する。 ま た、 0+ で は a は b の 前 に あ り、 00 で a は b の 後 ろにあるとき、矩形 a は矩形 b の上に位置することを. 70 配線長[mm]. の seq-pair にも対応する配置があることである [1]。. fhh fhh average fh fh average hh hh average ins ins average adj adj average. 80. はすべての矩形パッキングを表現することができ、ど. 65 60 55 50 45. 意味する。 2.2.2. fh の成績が最も良く、以下 hh, ins,. 40 0.1. 1. 10. 100. 1000. 10000. 計算時間[sec]. 解析対象とする隣接解生成法. seq-pair は順列の対で構成されるので、その変換操. 図. 1: SA 反復法での評価. 作の基本は順列変換である。ここでは、以下の順列変 換基本操作を考える。 交換: 順列内の任意の 2 つの要素を交換する操作. 3 単一の評価関数による相性の評価. 挿入変換: 任意の要素を別の位置に挿入する操作. [4] では降下法を用いた評価法が提案されたが、探. 隣接交換: 任意の隣接する要素対を交換する操作. 索手法との関連について触れられていなかった。そこ. これらを組み合わせ、本稿では [2] と同様、次の隣接 解生成法を用いる。但し、全交換は任意の二つの矩形 名の位置を 0+ と 00 の両方で交換したものである。. or 0+ での交換 or 00 での交換 fh: 全交換 or 0+ での交換 hh: 0+ での交換 or 00 での交換 ins: 0+ での挿入変換 or 00 での挿入変換 adj: 0+ での隣接交換 or 00 での隣接交換 上記の解空間全ては到達可能性を満たしている [7]。 fhh: 全交換. で、本稿では SA 法との適性の仮定を立て、これに基 づいて降下法にて至った局所最適解の良さや、それへ の隣接解移動回数を調べる。なお、 [4] では既定回の 降下しか行っていないために局所最適解まで至ってお らず不十分であったが、我々は局所最適解までの降下 を行った。 到達可能性が満たされた解空間の中で相性の良いも のは滑らかであり、これは局所最適解が少ないと考え ることができる。すると、降下法によってそこへ至る. -2−34−.

(6) 初期解の数が多いと言え、隣接解の数は有限なことか 4500. ら、 仮定 1:「局所最適解に至るまでの隣接解への. fhh:平均 93.651[回],標準偏差 14.143[回] fh :平均 83.275[回],標準偏差 12.753[回] hh :平均 80.585[回],標準偏差 15.007[回] ins:平均 70.708[回],標準偏差 13.033[回] adj:平均 32.069[回],標準偏差 9.216[回]. 4000. 移動回数が多いものが相性が良い」と考えられる。. 3500. SA 法ではいずれの局所最適解にも至る可能性があ より至る解の評価値が良いものが多いのが適してい. 3000 頻度[回]. るので、 仮定 2:「ランダムな初期解から降下法に る」と考えられる。. 2500 2000 1500. ami33, ami49 などに対して、解析対象とする 5 種. 1000. の隣接解生成法により張られた解空間について、ラ. 500. ンダムに生成された 100000 個の seq-pair を初期解と. 0. し、評価関数は面積1 、配線長の 2 種類について降下. 0. 法により(1)局所最適解に至る移動回数の頻度分布 (仮定 1 の検証)と、(2)至った解の評価値の頻度. 図. 分布(仮定 2 の検証)を調べた。. 20. 2:. 1400. 移動回数で、図 3の横軸は配線長である。. 140. 160. 180. 1200 頻度[回]. たときのグラフを図 2、図 3に示した。図 2の横軸は. 80 100 120 移動回数[回]. fhh:平均 55.334[mm],標準偏差 2.570[mm] fh:平均 56.997[mm],標準偏差 2.719[mm] hh:平均 62.274[mm],標準偏差 3.813[mm] ins:平均 64065[mm],標準偏差 3.780[mm] adj:平均 97.957[mm],標準偏差 9.468[mm]. 1600. ので、代表として fhh と ami33 で評価を配線長とし. 60. 局所最適解までの移動回数の分布. 1800. その結果、どの組合せでもよく似た傾向が見られた. 40. 1000 800. これにより、局所最適解に至るまでの移動回数と. 600. 分散及び、局所最適解の評価平均値と分散(特に前. 400. 者)が SA 法との相性に深く影響し、移動回数の多い. 200. もの、局所最適解の評価平均値の良いものが SA 法に. 0 40. 60. 適しているらしいことが確かめられた。. 4 2 つの評価の加重平均が評価関数の場合. 図. 3:. 80. 100 配線長[mm]. 120. 140. 160. 局所最適解の評価の分布. 前述のように、モジュール配置問題では複数の最適 化要求があり、それらを同時に満たすため、一般には 評価関数の加重平均を用いる。ここでは重み係数の解 空間への影響を調べる。 評価関数として以下のものを用いた [5]。. L S p f (S; L) = + (1 0 ) A 21N 1 A. SA 反復法 にて 評価 を行 なった。 代表と して fhh と ami33 での結果を図 4に示す。 ここで、加重平均を求めている 2 つの項は平均やば らつきが異なっており、そのまま加重平均をとっても 評価が困難だと考えられる。具体的には、面積の項は パッキング面積を矩形の総面積で割っているためその. 評価は 100% を決して下回ることはなく、大きいと数 S = 全てのモジュールを囲む最小矩形の面積 100% であるのに対し、配線長の項では、短いときは A = モジュール面積の合計 数 % で長いときは数 10% の値である。この影響のた L = 端子位置をモジュールの中心とし、外部端子の め、図 4では計算時間を増やしても図 1のようには収 位置をチップの外周上の都合の良い位置としたとき 束せず、 の大きさについての相性の順位を求めら の、各ネットを囲む最小矩形の半周長の合計. れず、比較は出来なかった。. N = ネットの総数 前 述 の 5 種 の 解 空 間 そ れ ぞ れ に つ い て、 ami33, また、 は重み係数である。上式の前項が面積に、 ami49 などに対し、各 について、 (a) ランダムに 後項が配線長にそれぞれ対応する。 生成された 100000 個の seq-pair を初期解とした降下 まず、 ami33, ami49 などに対して、 5 種の解空間 法により、仮定 2 の「至った解の面積及び配線長の平 それぞれについて を 0 から 1 の間で何点か取り、 均」を求め、 (b)SA 反復法で得た各評価の平均値を 1 面積のみを評価関数とした場合については [7] にて発表済. グラフにし、比較を行なった。その結果、全ての組合. -3−35−.

(7) 140. コスト[%]. 100 80 60 40 20. (a)降下法 (b)SA法. 145 140 135 面積比[%]. 120. 0 0.1. 150. a=0.0 a=0.0 average a=0.05 a=0.05 average a=0.1 a=0.1 average a=0.3 a=0.3 average a=0.5 a=0.5 average a=0.7 a=0.7 average a=0.9 a=0.9 average a=0.95 a=0.95 average a=1.0 a=1.0 average. 130 125 120 115 110 105. 1. 図. 10 100 計算時間[sec]. 1000. 10000. 0. 0.2. 4: SA 反復法での評価. 0.4 0.6 重み係数α. 図. 5:. 0.8. 1. 面積比. 110. (a)降下法 (b)SA法. 100. せにおいて同様の傾向が観察できたが、代表として、. 配線長の比としている。. 90 配線長[mm]. fhh と ami33 の場合について、図 5、図 6に示した。 横軸に をとり、縦軸は図 5では面積比を、図 6では 図から分かるように、 (a) と (b) の分布は、 . =1 を除きよく似ている。この類似性から、これは の. 80 70 60 50. 選択の指標の一つとなるであろう。. 40. = 1 においてだけ似ていない理由は、この地形に. 0. 0.2. 0.4 0.6 重み係数α. おいて踊り場(同一の評価の解がならんでいる状態) が多くあり、 SA 法は、同一の評価値の解にも移動す. 図. 6:. 0.8. 1. 配線長. るため、踊り場を脱出できるのだが、降下法では、良 くなった解への移動しか行なわないので、踊り場から 脱出できないためにこの差が生またものと考えられ る。. 5 まとめ SA 法と解空間の相性の指標を求めることを目的と し、まず降下法を用いて、局所最適解に至るまでの隣 接解への移動回数が多いもの (仮定 1)、至った解の評. 価値が良いものが多いもの (仮定 2) が相性が良いと して、計算機実験を行ないこれを確かめた。 次に、同じ解空間において、複数の評価の加重平均 を評価関数としたとき、重み係数を変えた場合の解空. 間に与える影響を調べたところ、 SA での最終解の分 布と降下法での局所最適解の分布に類似が見られた。 このことから、降下法により至った局所解の評価値の 分布が重み係数の選択に役に立つであろうことが確か. 参考文献 [1] H.Murata et al.: \VLSI Module Placement Based on Rectangle-Packing by the Sequence-Pair", IEEE Trans. CAD, 15, 12, pp.1518{1524, 1996. [2] 藤吉 邦洋, 大村 智一, 井尻 堅大: \Simulated Annealing 法探索に適した Sequence-Pair によるパッキング 解空間 \, 信学技報 VLD99-118, 2000. [3] 溝口 崇: \パッキング解空間の Simulated Annealing 法への適性評価", 東京農工大学 工学部 電子情報工学科 卒業論文, 2000. [4] 春多 宏紀, 高橋 俊彦: \矩形パッキング問題における解 空間の解析 \, 回路とシステムワークショップ, pp.237{ 242, 2001. [5] 高橋 康裕, 村田 洋: \Sequence-Pair に基づくブロック 配置構成的アルゴリズム SLASH の改良 \, 回路とシス テムワークショップ, pp.243{248, 2001. [6] 吉澤 大樹ら: \巡回セールスマン問題における地形構造 の解析", 人工知能論, 16-3, 2001. [7] 井尻 堅大, 藤吉 邦洋: \Simulated Annealing 法と解空 間との適性の評価法", 信学ソ大, A-3-11, 2001.. められた。 謝辞 本研究は CAD21 プロジェクトの一部である。. -4-E −36−.

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