今後のNIE活動の充実、発展を期して
2018年度熊本県NI
E推進協議会会長
(熊本県中学校校長会会長・熊本市立託麻中学校長)有江 禎裕
この1年間のNIE活動を振り返り気づいたことを述べさせていただきます。 私とNIEとの出会いは、前任校の三和中学校にいるときでした。現在熊本市教育 委員会でご活躍の田中慎一朗先生が積極的に推進し、生徒が多面的で深いものの見方、 考え方ができるように新聞を活用していました。また、田中先生はその当時の三和中 学校の若手教師にも声をかけ、勉強会にも誘っていました。そのようなNIEの活動 の中から現在の喫緊の課題であるSNSに関するさまざまな問題点について、中学生 と小学生や高校生とをつなぎながら、子どもたちが自分たちで気づき、深く考え、解 決していこうとする道筋を構築しようとしていました。私は、子どもたちにどんな力 を身に付けさせたいのか、どのようにして身に付けさせたいのかなど田中先生と夢中 に話をしていました。それは、彼のものの見方、考え方がおもしろかったからです。 NIE活動を推進する中で、彼自身のスキルが高まり、子どもたちへのアプローチが 確立されていったのだろうと思います。NIEネットワーク熊本が提案する活動モデ ルを見れば、彼の指導の姿そのものだということがよくわかります。NIE活動にと って、田中先生は「keyperson」です。彼のような指導者を増やすことは、NIE活 動の発展には不可欠です。 さて、熊本県NIE推進協議会会則第2条には、「本会は教育界と新聞界が協力し、 新聞を生きた教材として活用するための研究と実践を通して教育内容を豊かにすると ともに、情報化社会における情報活用能力を高めて幅広い人間形成に役立たせること を目的とする」と示されています。本会の発足は、2005年6月、その歩みは、やがて 15年になろうとしています。この間に多くの児童、生徒が、NIE実践指定校の中で 学んできたことでしょう。発足当時に学んだ子どもたちは既に成人となり、社会で活 躍中ではないでしょうか。彼らの生活の中で、NIE活動の学びはどのように反映さ れているのでしょうか。また、目的にあるような人間形成にどれほど影響があるので しょうか。そのことが明確になれば、NIEの学びは、さらに意義深いものとなるに 違いありません。ぜひ、これまでの成果の検証を行っていただければありがたいです。 ところで、私は平成元年から3年間、中東イランで過ごす機会があり、そこでプレ ス(新聞、報道機関)の方々と知り合いました。政情不安定な中東で日本に事実を伝 えるために、危険を顧みず情報収集する方々を目の当たりにして、新聞記事の重さを 理解することができました。帰国後、新聞を読むたびに、記事を書いた人がどのよう に取材し、事実を伝えようとしているのかを考えるようになりました。そのような考 えを持ち、今年度NIEに関わらせていただいたことで、NIEの重要性を認識した つもりです。 最後になりますが、NIE活動の成果と課題が明らかになり、本協議会が益々充実、 発展することを祈念申し上げます。1 はじめに 今年度、本校はNIE実践指定校として2年 目を経験した。1年目の取り組みとして、まず、 高学年を中心として新聞の活用を実施した。高 学年では、教科教育の中で新聞の活用がやりや すいと考えたからである。2年目は、各学年で 実践に取り組み、NIE公開セミナーにおいて、 公開授業を実施した。 2 テーマについて 「新聞に親しみ、新聞を活用できる子どもの 育成」は、昨年度と同じテーマである。それは、 「新聞に親しむ」という部分の実践を深めたか ったからである。小学校には、1年生から6年 生まで在籍している。そして、その発達段階に 応じて教育課程が編成される。NIEの実践に おいても学年に応じた取り組みが必要である。 例えば、3年生に新聞1日分を渡して、「好きな 新聞記事を選んでください」と投げかける。す ると喜んで新聞を開いていく。この時期の子ど もは、いろいろなことに興味を持ち始め、少し でも自分と関連があれば、関心がどこまでも伸 びていくのである。したがって、記事を選んだ後 に行う記事の紹介場面では、その後の自分が選 んだ理由を意欲的に述べながら発表ができるの である。 3 実践の概要 (1)年間の活用計画 これまでにNIEの実践校で取り組まれてき たことを参考にしながら、各学年における活用 計画を考えた。学期毎の活用計画は、以下の通 りである。 5月から翌年2月まで3、4社から送られて くる新聞をうまく活用するためには、ある程度 の見通しを持った計画を立てておく必要がある ことを1年目で学んだ。 常時活動として、広報委員会の子どもが気に なった記事を掲示するコーナーをつくった。ま た、新聞を置いておく場所を、子どもや職員が わかりやすい場所にした。その効果は大きく、 活用計画と共に、職員が見通しを持って活用す ることにつながった。 (2)具体的実践 ①NIE公開セミナー(3年生) 3年生の社会科の単元「わたしたちのくらし と商店」において地域にあるお店の一つとして 新聞販売店を取り上げた。ねらいは、新聞販売 店の工夫や努力を学習することで、新聞への関 心を高めることであった。新聞記事の活用が中 活用内容等 時期 「新聞に親しもう」(各学年) 「新聞のつくり方を学ぼう」(4年生) 1学期 「通潤橋新聞をつくろう」(4年生) 「水俣学習」「環境学習」(5年生) 「平和学習」(6年生) 11月 NIE公開セミナー 2学期 「お気に入りの新聞記事をみつけよう」 (1、2年生) 「委員会新聞をつくろう」 (図書委員会、広報委員会) 3学期
新聞に親しみ、新聞を活用できる子どもの育成
熊本市立飽田東小学校
職員一同
気に入った記事を探している様子 心ではない授業であるが、これからのNIEに は、必要な事ではないかと考えた。購読数は減 っているが、必要としている人はまだまだ、た くさんいるのである。子どもも興味・関心が高 まることで新聞を活用する機会がいつか訪れる と考えた。 ア 新聞に親しむ場面 始めに、新聞販売店の写真を提示し「これは、 どんなお店でしょうか」とたずねた。校区たん けんをしていたので、すぐに分かった。次に、 「今日は、飽田東販売店の方がみなさんに新聞 を届けてくださいました」というと大喜びであ った(熊日新聞の方の協力のおかげで、当日の 新聞を全員分用意して頂いた)。まずは、それ を使って簡単なゲームを行った。「このお相撲 さんは、新聞に何回登場しているでしょう」子 どもは、一生懸命に探し答えていた。 イ 販売店の仕事の様子 販売店の仕事として二つの動画を見せた。1 本目は、広告を挟んでいる様子、2本目は、ビ ニールで袋詰めしている様子であった。早朝か ら、短い時間で手早く行っている様子を知った 子どもは、「すごい、すごい」と言っていた。 ウ 地域のための販売店 新聞販売店の仕事の一つとして集金の仕事が ある。振込が便利だが、さまざまな事情で集金 を希望される方もいる。その中のエピソードを 取り上げた。「新聞の集金の人がくるとうれし い」とあるおばあさんの言葉。「お金を集めにく る人がうれしいということは、どういうことか な」と子どもに問う。すると、「他の頼み事がで きるから」「話し相手になってくれるかも」とい う考えが出た。 以上のことから、販売店の工夫や努力を学ぶ ことができた。 新聞に親しみ、新聞を活用できる子どもの育成 新聞を真剣に読んでいる様子 仕事内容を思いついた子どもたち 仕事について話し合っている様子新聞に親しみ、新聞を活用できる子どもの育成 エ まとめ(子どもの感想から) 「家にある新聞がどうやって届けられるかよ くわかりました」「販売店の人が飽田のために働 いていると思いました」「家でも新聞を読んでみ たいと思いました」 感想はさまざまであったが、新聞への興味・ 関心が高まった授業であったといえる。 ②NIE公開セミナー(6年) 6年生では、社会科の学習や修学旅行の体験 などを通して、平和学習に取り組んできた。そ こで、新聞記事から、子どもに平和についての 考えを問う授業を行った。 ア ある新聞記事から 熊日新聞による戦争体験者の投稿の特集記事、 今の若者の行動から未来を不安視する記事を取 り上げた。実際の記事を提示しながら授業を進 めていった。ゲームなどのバーチャルな世界が 戦争であるかのような意識が強い子どもに考え させる良い機会となった。 イ 自分の学んだことから 授業の後半では、新聞に意見投稿された方へ 手紙を書いた。 「○○さんの言うとおり若い世代のぼくたち は73年前の悲しみを実際に体験したことはあり ません。もしかしたら風化があるかもしれませ んが、ぼくたち小学6年生は、戦争の理由のす べてをこの2学期に習いました。どんなに風化 が続こうともだれかがおぼえていてそのことを 子孫に教えてあの悲しみを絶対になくしません。 約束します。だから安心してください。絶対に 約束は、守ります」 新聞記事によって自分の学んだことが生かさ れた授業となった。 ③公開セミナー(セミナーの感想) 当日(11月26日)の参加者は、新聞社、新聞 販売店、小・中・高教職員と多岐にわたってい た。その感想をいくつか紹介する。 〇新聞販売店にスポットを当てられ、事細かく 取材をされていて大人でも引きつけられまし た。新聞記事を活用する中で、読み手と取材 対象者を結び付ける発想が参考になりました。 (販売センター) 〇低学年の生徒たちのひたむきさ、純粋さに感 動しました。高学年では対立軸のある記事に 新聞記事から考えを出し合っている様子 平和学習を振り返っている様子 新聞に親しみ、新聞を活用できる子どもの育成 より活発な意見がでていた。記事の選定、日 頃のクラスでの取り組みがあってこそだった ように思う。 (高校) 〇子どもが新聞を手に取り喜ぶ瞬間が印象的で した。低学年から新聞に親しませることが大 事ですね。話題を提供するという新聞の機能 を見せつけられた6年生の素晴らしい授業で した。 (中学校) 〇新聞を題材として働く人の想いや地域のつな がりを感じることができる授業がとても勉強 になりました。戦後の平和の想いをどう受け 継ぐのか、教科書等の資料以上に身近な熊本 の人の言葉は子どもに響いていたと思いまし た。 (小学校) (3)各学年の実践より ①水俣学習(5年生) 朝日新聞社「知る水俣病」を児童数分取り寄 せ、水俣学習の一助とした。学習のまとめとし て水俣新聞を作成した。 ②通潤橋新聞(4年生) 見学旅行の後、まとめの新聞をつくるために 新聞を参考にした。そのおかげでパソコンを使 って作成することができた。 ③お気に入りの写真 (特別支援さつき学級、1、2年生) 低学年の子どもたちは、大きな紙の新聞を受 け取ると目を輝かせて見ていた。 4 成果と課題 (1)成果 〇各学年において実践を行ったことで新聞の活 用が広まった。 〇年度当初から職員が新聞を使える単元を見つ けたり、授業で教材にできる記事を探したり する姿が見られた。 〇中・高学年で公開授業を行ったことで、これ からの新聞活用の方法について考える機会と なった。 (2)課題 〇実践指定終了後、購入している新聞の利用に ついて環境整備などを行っていくことでNI Eの実践を継続させていきたい。 〇メディアリテラシーにおける新聞の価値がこ れからもっと上がっていくと考えられる。有 効な情報源の一つとして活用していきたい。 5 おわりに ある日の学校集会で、新聞のつくり方を書い た本の紹介をした。子どものころ興味があった 本の3冊の中の1冊として。すると、翌日、1 年生の担任から「先生が紹介した新聞の本を借 りたいと言って借りていましたよ」という話を 聞いた。うれしかったことはもちろんだが、そ れと同時に「NIEにもいろいろなアプローチ がある」と感じた。小学生の興味・関心が学び になる瞬間があらゆるところに潜んでいるので ある。これからも、NIEの視点を教師が常に 持ち続け、子どもと出会わせるチャンスを逃さ ないように努めていきたい。 このような機会を与えて下さった熊本県NI E推進協議会のみなさまに心より感謝申し上げ ます。
1 はじめに 働き方改革により、効率的かつ効果的な教育 内容の工夫が求められる中、教職員の負担を増 やすことなく、効果的な取り組みはないものか。 そんな中に今回、新聞活用という切り口から アプローチする機会をいただいた。 かつての産炭地から様変わりした地域におい て、8年前に二つの小学校が統合した本校は、 在校児童454名。様々な格差を抱えた学校であ り、教育に託されたところは大きく、「負の連鎖 を教育の力で断ち切る教育効果のある学校づく り」が求められていると考える。子どもたちの 自立・自律を促し、自ら難局を切り拓いていく ような力をつけさせたいと考えている。 そこで、新聞や活字を通して世の中のことを 知ることで、学習意欲が高まり、グローバル感 覚も養われ、ひいては学力向上につながるので はないかという期待感がある。 具体的には、本校高学年における国語科や社 会科の授業において、トピック的に取り上げ、 その中身を調査研究していくといったオーソド ックスな取り組みに加えて、新聞閲覧コーナー の設置、新聞物知り検定の実施などを考えた。 幸いなことに平成29年度から学校司書を、新規 配置していただいており、学校図書館の有効利 活用にもつながると考える。 しかしながら「小学生と新聞とは本来縁遠い ものであり、先生方には新聞を使って実践をし ていただくというよりも、NIE実践について、 子どもたちを啓発(送り出して)してほしい」 と伝えた。ただ、高学年においては新聞を題材 とした国語の授業は現に存在するわけであり、 この取り組みは高学年部においては、学力向上 の糸口になりうると考え、積極的なアプローチ を期待するものである。 そこで実践1年目の平成30年度は県内NIE セミナーやNIE全国大会へ教職員を送り出し、 取り組みのヒントをさぐってもらっている。 2 具体的な取り組みについて (1)新聞への意見投稿チャレンジ まず手始めとして、以下のような資料を6年 生全員に配付し動機付けを図った。最終的には 4名の児童が原稿を提出し、結果すべてが新聞 掲載された。彼らは掲載により自己の考えをよ り堅固にしたことであろう。
ことばをみがく ことばでみがく
わくわくNI
E実践指定校1年目の取り組み
荒尾市立万田小学校
NI
Eプロジェクト
①取り組みのスローガンとして ②意見投稿を促した配付プリント (2)NIE掲示コーナーの設置 図書室前に、新聞(7社分:年間で4カ月間 だけ1部ずつ無償頒布)の掲載コーナーを設置 している。その場で閲覧することができる。ま た新聞掲載原稿や子ども新聞「くまTOMO」 なども展示し、タイムリーな情報を得ることが できるようにしている。立ち止まって読む児童 が増えることを期待するところである。ただ年 間4カ月頒布の割り振りについては検討課題で ある。 (3)新聞記事から朝自習問題を作成 (5~6年生で週1回実施中) 週1回朝自習の時間に、10分程度でできる問 題を準備している。タイムリーな地域の話題を 中心にすることで、新聞に興味をもつように導 いていきたい。気軽に新聞記事に親しむことに つながってきており、ひいては読解力も身につ くのではないかと踏んでいる。 (4)放送委員会の昼の放送 「今日の気になる記事」から 児童会放送委員会の企画で、毎日給食時間の 放送で行っている。流れはこうである。「それ では、放送委員の今日の気になる記事を紹介し ます。今日の気になる記事は、○○○○です。 これは○○○○ということです。ぼくは○○○ ○と思いました。この記事は○月○日○○新聞 の○面に載っています」といった具合で毎日放 送している。放送委員会の5、6年生は毎日、 新聞をチェックしなければならないので、自ず と新聞に触れる機会を得ることになり、継続し ていくことで身近なものに感じていくであろう と期待している。 (5)日本語検定・漢字検定 (語検・漢検クラブの設置) 4、5、6年生のクラブ活動は、わずか年間 8回ではあるが、そこに「新聞を読める力を身 ことばをみがく ことばでみがく わくわくNIE実践指定校1年目の取り組み ③図書室前のNIEコーナー ④新聞掲載10日後、本記事の海外支援活動家に 来校いただき、5年生対象に出前授業を行った ⑤放送委員会による給食時の放送の様子からにつける」ために漢字検定や日本語検定へのチ ャレンジを目指すクラブ活動を設置した。校長 が授業運営している。14人が希望した。 事前にそのニーズを探る意味もあって3月春 休みには「日本語検定」を実施(対象小6のみ) した。その後、数回の授業を経て10月27日(土) には地域住民や保護者にも呼びかけて、「漢字 検定」を本校初めて実施、総計24名が受検した。 また、このクラブでは、「今年の漢字」や「お ーいお茶新俳句大賞」などの言葉に関する様々 な創作にもチャレンジしている。 (6)図書館コラボる新聞検定(1月実施) 図書館と新聞を融合できないかと腐心した。 思いつきではあるが、図書館内に16枚の新聞に 関するポスターを掲示し、そこから出題すると いった「新聞検定」を実施しようと考えた。 要は「図書館に足を運ぶ」「新聞に興味を持つ」 その2点。問題の難易度からしてどうしても低 学年には無理があるが、チャレンジャーが多く なることを期待。漢字検定実施による事務手数 料を合格の記念品(数点の文房具)に充てた。 1/29および2/5の2週にわたって昼休み に図書館前の被服室等で実施したところ、1年 生(高学年だけだと思っていたが)から6年生 までの60名が参加した。4択問題ではあったが、 8割正解で合格のハードルは高く、合格率20% であった。 ことばをみがく ことばでみがく わくわくNIE実践指定校1年目の取り組み ⑦初実施の漢字検定~保護者も含め24人受検 ⑥語検・漢検クラブの様子(校長による授業風景) ⑨新聞検定の問題はすべて4択 ⑧図書室に設置した関連ポスターの1つ(全16枚) (7)熊本日日新聞子どもの4行詩・依頼の取り 組み ありがたいことに20点(20日間)の枠をいた だいた。本校が誇る夭折の天才少女詩人・海達 公子に恥じないような作品がたくさん出品され ることを願った。回収終了段階で98点の応募。 全児童に対して21.7%はやや低い数字と思わ れるが、そんな中でも珠玉の作品が掲載され、 児童に自信が芽生えることを期待する。 12月後半から1月にかけて、この「たから箱」 は万田小学校シリーズとなった。年末年始を飾 ることになり、掲載された児童たちだけでなく、 多くの児童や保護者の間で話題となったことで あろう。新聞がより身近に感じられたのではな いか。効果を期待したい。 (8)6年生国語科での実践 教材文である「自然に学ぶ暮らし」は、人間 以外の生き物が自然の仕組みをうまく利用して 暮らしている事例をもとに、理想の未来につい ての意見が書かれた説明文である。本文中には 「シロアリの巣」「『アワフキムシ』や『ベタ』 がもつ泡」「トンボの羽の仕組み」が事例として 挙げられている。 丁度、1月11日の熊本日日新聞の朝刊に「セ ミの羽まね『抗菌』」という見出しで「クマゼミ の羽」「モンハナシャコ」の体の仕組みを人間の 暮らしに生かす内容の記事が掲載されていたの で、その記事を授業に用いて、自分の考えを持 つための参考資料として扱った。 実際の授業では、教材文で学習したように 「仕組み」「学ぶこと」「新しい暮らしに生かせ る内容」を記事から読み取り、自分の考えを広 げていった。児童は教科書以外にも自然の仕組 みを生かした事例があることを知り、興味を持 つとともに、自分の考えを広げる手段として新 聞記事を活用していた。 (9)職員の共通理解を目指して 研修視察等で学んだことは、職員会議や職員 夕会等で必ず復講し、全員への周知徹底を図っ ているところである。資料⑬はNIE全国大会 に参加した際の公開授業の様子である。 ことばをみがく ことばでみがく わくわくNIE実践指定校1年目の取り組み ⑪授業実践の指導計画 ⑫記事を基に考えをまとめる児童 ⑩たから箱への投稿を呼びかけた資料
3 研究の成果と課題 取り組みの成果は、児童たちの姿だけでなく、 数値的な指標にも表れてしかるべきと考えてい る。今回このNIEの取り組みは、まずは高学 年の国語力向上に直結していくのではないかと の期待感があった。1月に公表された熊本県学 力調査の県平均値との比較分析において、取り 組みの成果が表れつつあるのか否か、考察して みたところである。 あまり芳しくなかったが県平均値との格差が 縮まった感はある。特に「関心」「書く」「言語」 の三つの観点においては、昨年度より好転して いる。このことがNIEの取り組みとつながっ ているというには根拠に乏しいが、かすかな光 明がさしている。地道な努力の積み重ねが道を 拓くことを信じていくしかない。 4 おわりに NIE指定の取り組みが、少ない労力で最大 の効果を得ることができればこのうえない喜び である。しかしながらそんな虫のいい話はなか ろう。学力向上のためには、その背景にある家 庭環境、地域の教育力などをはじめ、体力や心 も合わせて伸ばしていかねばならない。総合的 な取り組みの集大成として、学力向上があると 考える。 その意味で2年間の取り組みが奏功すること を願ってやまない。そうなるための2年目に向 けた総括と展望が大切である。 ことばをみがく ことばでみがく わくわくNIE実践指定校1年目の取り組み ⑬公開授業は中学校の「学習リーダー進行型授業」 1 はじめに 本校は、創立146年を迎えた水俣市内で最も 伝統のある学校である。九州新幹線、おれんじ 鉄道及び国道3号線が南北に走り、西部は不知 火海に面し、東部は山に面した風光明媚な所に 位置している。また、小中学校共通の学校教育 目標「夢に向かって挑戦し、自信と誇りをもつ 子どもに育成」を掲げ、地域全体で子どもたち を育てている。 本校はNIE実践指定校を受け、1年目であ る。今年度は、校内研修テーマ「主体的で対話 的に学び、共に高め合う子どもの育成」の一環 として取り組むのではなく、新聞に触れる、親 しむ、読んでみる、社会の出来事に目を向けて みる、活用することを目標に、全学年で実践を 進めた。 2 具体的実践について (1)環境づくり これまで実践してこられた学校の実践例を参 考に、まず、新聞の受け取りコーナーや新聞コ ーナー、新聞切り抜き掲示コーナーの設置を行 った。 ①新聞の受け取りコーナー 雨が吹き込まない玄関の前にコンテナを置き、 新聞を入れてもらうようにした。また、学校が 土日は休日となり、月曜日は多くの新聞が入っ ていることから、利便性のよいコンテナにした。 ②新聞コーナー 新聞コーナーは、広い空間のある職員室前に 設け、事務職員に協力をしてもらい、運んでも らっている。職員室前に届けられた新聞は、一 社ずつクリップで止め、数名で気軽に読むこと ができるようにした。 ③新聞切り抜き掲示コーナー 放送委員会では、心に残 った今日の記事として、放 送室前に掲示を行い、新聞 記事を紹介している。足 を止めて記事を読む姿を よく目にしている。
主体的で対話的に学び、共に高め合う子どもの育成
水俣市立袋小学校
教職員一同
~新聞活用を通して~
新聞コーナーで新聞に親しむ子どもたち 校長室前に掲示された今日の一面 心に残った記事 新聞の受け取りコーナー(2)授業実践 教育課程への位置づけとして、毎月1回、金 曜日にNIEの時間を設けた。低学年は5校時 目、中・高学年は6校時目として取り組んでい くようにした。取り組み内容は、各学年の担任 が実態に合わせながら実践を行った。各学年の 実践例として、学習名、ねらい、授業展開を次 に示す。 ①1年生での実践「かたかなをさがそう」 新聞の記事から片仮名で書かれた言葉を見つ けたり、正しく読んだりする活動を通して、新 聞や片仮名に親しむようにすることを、ねらい として授業を行った。 〈授業展開〉 ○導入 ・新聞を提示して、新聞の名前を紹介し、新聞 を使った学習をすることを知らせる。 ・新聞を見ていない子どもが半数程度いること から、子ども達がよく見ている4コマ漫画の 掲載場所を全体で確認し、4人班で読ませた。 ・めあて「かたかなをさがそう」を提示する。 ○展開 ・4人班の形で学習活動を進めた。 ・個人思考場面では、片仮名の見つけ方と記録 の仕方を全体で確認後、一人一枚の新聞で、 「目標数は10個」として取り組ませた。 ・子どもたちは、新聞を広げ赤鉛筆で片仮名に 印を付けていく。10個という目標ではあるが、 5分間の時間いっぱい集中して、新聞の文字 に目を配っていた。 ・集団思考場面では、班の中で順番に探し出し た片仮名を紹介し合い、片仮名の確認と読み 方を練習した。 ・主体的な活動場面では、他の班の友達とも見 つけた片仮名を発表し合う活動に取り組んだ。 ○終末 ・まとめとして、見つけた片仮名の言葉の意味 を知る活動を行った。全部はできなかったが、 数個取り上げ説明を行った。 ・これから分からない言葉があった際は、尋ね たり調べたりしていくことを伝えまとめた。 ・学習感想を発表し合う。(全員が楽しく活動 できたと発表)いろいろな言葉があることに 気付くとともに知らない言葉も多いことも知 ることができた。 ②2年生での実践「何が書いてあるの?」 写真記事を使って、新聞には、どんなことが 書いてあるのかを知るきっかけづくりをねらい として授業を行った。 〈授業展開〉 ○導入 ・新聞の内容について、知っていることを質問 する。 ・めあて「新聞には何が書いてあるのかな」を 提示する。 ○展開 ア 生き物の記事を、4人、5人グループに1 枚配る。「深海魚の記事」を紹介する。 イ 熊本地震復興に関わる人についての記事を 紹介する。 主体的で対話的に学び、共に高め合う子どもの育成 片仮名を見つける子どもたち 〇終末 ・新聞は、文字だけでなく写真や絵などを使っ て説明したり、紹介したりして分かりやすく 書かれていることを伝えまとめた。 ・学習感想を発表し合った。 ③3年生での実践「見出しを考えよう」 新聞に親しむこと、記事を読み見出しを考え ることができることをねらいとして、授業を行 った。 〈授業展開〉 〇導入 ・これからNIEでどのようなことを学習する のかを説明した。 ・新聞を2人に1枚配付し、陣取りじゃんけん をした。 ・めあて「記事の見出しを考えよう」を確認し た。 〇展開 ・記事には、見出しがあることを確認した。 ・資料①を見て、キーワードになる言葉に印を つけ、全員で見出しを考えた。 ・資料②を見て、キーワードになる言葉に印を つけ、自分で見出しを考えた。 ・全体で、考えた見出しをお互いに発表した。 〇終末 ・本日の授業の感想を記入し、感想を発表し合 った。 ④4年生での実践「今年の漢字を考えよう」 新聞に書かれている内容について分からない 言葉は国語辞書を使って調べて内容を理解しよ うとし、記事のテーマである今年の漢字を自分 なりに理由をつけて考えることをねらいとして、 授業を行った。 〈授業展開〉 〇導入 ・新聞記事の写真を大型テレビに映し出し、今 年の漢字というものについて知る。 ・めあて「新聞記事を自分で読んでみよう」を 確認する。 主体的で対話的に学び、共に高め合う子どもの育成 写真を見て感想を述べ合う子どもたち 見出しを考える子どもたち NIE用ファイルに綴った学習シート
〇展開 ・「災」の漢字の意味を 国語辞典で調べる。 ・意味が分からない言 葉を赤丸で囲む。 ・国語辞典を使って言 葉の意味を調べる。 ・もう一度文章を読み、 感想を書く。 ・主体的な活動場面では、国語辞典を使って調 べた言葉の意味を友達と確認し、自分の今年 の漢字を書く。その後、自分の今年の漢字を 交流した。 〇終末 ・一人一人の出来事や経験などによって、今年 の漢字の違いがあることや漢字一つ一つに意 味があることを知らせる。 ・学習の感想を発表し合った。 ⑤5年生での実践「新聞を比べてみよう」 地方版の熊本日日新聞と全国版の毎日新聞を 読み比べて、記事の内容や書き方、誰に向けて 書かれているかの違いに気づくことをねらいと して授業を行った。 〈授業展開〉 〇導入 ・4コマ漫画を見る。国語の時間に「起承転結」 を学習したので4コマ漫画の話の流れも確認 した。 ・今日の学習のめあて「新聞記事の一面を読み 比べよう」を知る。 〇展開 ・熊本日日新聞と毎日新聞の一面を見比べる。 ・共通点と相違点を見つける。同じ言葉や同じ 資料を見つけ、赤鉛筆でサイドラインを引く。 ・それぞれの記事の読者はだれなのかを確認す る。 〇終末 ・感想やわかったこと等をまとめる。 ・読者がどんな出来事の何を知りたいのかに応 じて、報道や解説などの記事を選んでいるこ とが分かった。 ⑥6年生での実践「新聞を作ろう」 新聞を読み、記事の書き方の相違点や伝わり 方などに関心をもち、修学旅行の1枚の写真を もとに、記事づくりを行うことをねらいとして 授業を行った。 主体的で対話的に学び、共に高め合う子どもの育成 今年の漢字の記事 記事を並べて張ったNIE用ノート 読んでみたい記事を探す子どもたち 主体的で対話的に学び、共に高め合う子どもの育成 〈授業展開〉 〇導入 ・各自1日分の朝刊を読み、目に留まった記事 について紹介し合う。 ・めあて「見つけた記事のよさを生かして、修 学旅行の新聞づくりに挑戦しよう」を知る。 〇展開 ・1枚の写真を使って修学旅行の記事を書くに 当たり、レイアウトや見出し等、参考にした い記事を見つける。 ・参考にしたいレイアウトや見出しなどを組み 合わせて、自分なりのレイアウト等を考える。 ・しおりや資料を参考にして、記事を書く。 〇終末 ・できたところまでのお互いが書いた記事やレ イアウトを見合って、感想を伝え合う。 3 成果(〇)と課題(●) 〇全学年・全学級において、新聞を活用した実 践を行い、新聞に親しむ活動や記事や写真を 使った活動をすることができた。 〇新聞に触れることや読むことが日常的になか ったり、目を向けて活用していなかったりし ていた子どもたちが、授業での活用及び掲示 コーナーの設置をすることで、毎日の新聞に 目を通す子どもが増えてきた。 〇低学年や支援学級においては、新聞でバッグ をつくったり、運動やゲームで使ったりする ことで、写真や絵に目を向けていることがあ り新聞に親しむことができた。 〇中・高学年は、ファイルやノートに新聞記事 を蓄積することで、社会の様子に関心を広げ る機会となった。 ●実践内容が学年において、テーマや系統性が なく、担任への投げかけで実践を行っている ため、実践内容が似通ってしまったり、同じ になってしまったりすることがあった。この ことから、活用のアイデアや工夫を全職員で 共有できればよかった。 ●教科等と関連させながら実践を積み、新聞の 効果的な活用ができるようにしていく必要が あった。 ●日常的活動が、まだ全学年で浸透していない ことや、日常的に新聞に親しみ、活用する場 面が少なかったので、2年目に向けて取り組 みを検討していく。 4 おわりに NIE実践指定校として、1年目が過ぎよう としている。全職員の協力もあり、受け取りか ら掲示や活用、新聞がたまっていくところまで、 順調に進めることができた。また、新聞を使っ た授業づくりも担任を中心に、毎月1回実践を することができ、実践記録も残すことができた。 2年目を迎える来年度は、さらに地域に発信 したり、公開授業を行ったりして活動を広げ、 子どもたちの学びと育ちにつなげられるように 取り組んでいきたい。 NIE用ノートに記事をストラップ
1 はじめに 本校は、熊本市の南部に位置しており、全校 生徒392名(H31年2月現在)の中規模校である。 本年度、NIE実践指定校2年目となった。昨 年度は、生徒が「新聞に触れ、親しむ」ための 取り組みを実践の中心とした。その中で、読む 力や書く力、情報を選択する力や考える力、文 章や言葉で表現する力を高めるには、NIEの 活動は大変有効であると感じることができた。 今年度も「新聞に触れ、親しむ」ための取り組 みを継続するとともに、授業での新聞活用を通 した、「生徒の力(読解力・批判力・創造力・表 現力等)を高める」ための実践に取り組むこと にした。 2 本校の実践 (1)環境づくり ①新聞コーナーの設置 昨年度に引き続き、生徒昇降口を入ってすぐ 横のスペースに、新聞コーナーを設置した。生 徒が登校時・下校時の最低2回は必ず通る場所 であり、新聞各社から届く新聞を、生徒は気軽 に読むことができる。また、掲示板を設置し、 そこには、熊本日日新聞の小中学生新聞「くま TOMO」や本校生徒の活躍の様子が掲載され ている記事などを掲示し、生徒が新聞に興味を 持ち、親しみをもつための環境づくりを行った。 ②特別教室前の新聞掲示 今年度も理科室や被服室、図書館前の掲示板 には、教科・図書館担当者により、教科等に関 する新聞記事が掲示された。教室に入る際や廊 下を通行する際には、足を止めて記事を読む生 徒の姿が、昨年度よりも増えてきた。
新聞を通して、学び続ける生徒を育成するための実践
熊本市立日吉中学校
職員一同
新聞コーナーの様子 本校生徒に関する記事を掲載 理科室前の掲示:4分野ごとに分類されている 家庭科教室前の掲示:栄養学や、消費者問題などに 関する記事が掲示されている 新聞を通して、学び続ける生徒を育成するための実践 (2)短学活での活用 3年生では、帰りの会の10分間を使い、新聞 を活用した1分間スピーチを行った。 〈目的〉 〈方法〉 スピーチを行う際に必要とされるのが、「伝 える力」である。活動を始めた当初は、記事の 要約にとても苦労していた。また、発表に対し ても恥ずかしさが見られた。しかし生徒達は、 どうすれば相手にわかりやすく、そして自分の 思いをしっかりと伝えることができるかを真剣 に考え、記事の要約等にも熱心に活動に取り組 むことができた。慣れるにつれて、記事の内容 や自分の思い、考え等を堂々と発表できる生徒 が増えてきた。また、日頃、新聞に触れること が少ない生徒にとって、社会の動きに目を向け るいい機会になった。また、友達同士、関連の ある新聞記事や情報のことを紹介し合い、自分 が知っている知識について熱く語るなど、とて も楽しそうな雰囲気で活動することができた。 また、「高校受験の面接や作文・小論文にも役立 ちそうだ」との声も、生徒達の中から聞こえて きた。 (3)授業実践(10月25日NIE公開セミナー) ①学級活動(1年生) 〈題材〉 〈本時の目標〉 図書館前の掲示:過去の切り抜きは、図書館内に スクラップし、保管されている ○新聞に触れ、慣れ親しむ。 ○社会の動きに目を向ける。 ○情報を選択し、活用する力を身につける。 ○読解力を身につける。 ○文章や発表などの表現力を身につける。 「ボランティア活動を通して、新たな自分を発見 しよう」 ①帰りの会の前までに行うこと。 ○家庭で購読している新聞や、新聞コーナーに置 かれている新聞の見出しを見て、その中から政 治・経済・社会・スポーツなど、自分が興味を 持った新聞記事を1つ選ぶ。 ○記事の要約と感想をまとめておく。 ②帰りの会での活動の流れ。 ○教室内に実物投影機と大型テレビを使い、記事 の紹介と感想を発表する。(約1分間) ○発表者以外の生徒は、記事について自由に意見 交換を行う。(約30秒) ○くじ引きで選ばれた代表者1名が、発表に対す る「返し」を行う。(約30秒) 『今年の漢字』の記事についての発表を行っている様子 ○ボランティア活動の意義や、活動内容について 理解する。 ○今の自分達にできるボランティア活動について 考え、主体的に参加しようとする態度を養う。〈学習活動〉 今回の授業を通して、ボランティアについて の関心が高まり、学校で取り組んだエコ委員会 のボランティア活動にも意欲的に取り組んだ生 徒が多かった。新聞記事を活用した授業を初め て行ったが、インターネットとは違い、実名で 書かれた投稿や実際に写真に写っている人が語 る真実の声には説得力があり、教材としてもと ても効果的だと感じた。 ②体育科(1年生) 〈題材〉 〈本時の目標〉 〈学習活動〉 新聞を通して、学び続ける生徒を育成するための実践 ○これまで経験したボランティア活動について発 表し、ボランティア活動の意義や役割について 考える。 ○地域や社会で行われているボランティアにはど んなものがあるか、新聞記事からボランティア 活動の実態を知る。 ○中学生がボランティア活動に取り組むことにど んなよさがあるか、荒尾市の中学生の新聞投稿 記事から考える。 ○自分達にできるボランティア活動について班ご とに話し合い考える。 ○「なぜ、ボランティア活動が大切なのか?」を 考え、ボランティア活動への意識を高める。 ○有名スポーツ選手やスポーツトレーナーなどの 写真を使った、スポーツに関わる人クイズを行 い、スポーツとの関わり方にはどのようなもの があるかを考える。 ○熊本城マラソン等の新聞記事から、人々が運動 やスポーツにどのように関わっているかを考え る。 ○自分が日常生活の中で、スポーツとどのように 関われるかを考え、発表する。 ○本時のまとめ 体育理論「運動やスポーツへの多様な関わり方」 ○運動やスポーツには、「行うこと」「見ること」 「支えること」など、多様な関わり方があるこ とを理解できるようにする。 今回の授業を通して、スポーツとの関わり方 として様々な関わり方があることを新聞を通し て感じ取ることができた生徒が多くいた。また、 身近な内容を取り入れたことで、生徒の興味・ 関心も高く、実際にマラソン大会に応援に行っ たという生徒もいて、実生活にも役立つ授業と なった。 ③社会科(3年生) 〈題材〉 〈本時の目標〉 〈学習活動〉 「民主主義の担い手」を育成することは、社会 科教師の使命である。そのために必要な資質・ 能力を高めるためにも、新聞は大いに役立つと 改めて実感することができた。また、新聞を読 み、意見交換を行うときの生徒の生き生きとし た表情が大変印象的であり、「学び続ける生徒 の育成」のために、大変効果的であると感じた。 今後も積極的に新聞を活用した授業づくりに取 り組んでいきたい。 ④社会科(1・2年生) 1・2年生の社会科では、夏休みの宿題の1 つとして、新聞記事のスクラップ活動を行った。 内容は、気になる新聞記事を切り抜き、その記 事を読んでの感想を書くというものである。夏 休み明けの授業では発表会を行った。 3 終わりに 実践指定校として2年目の今年度は、授業に おける活用に力を入れた。成果の1つとして、 昨年までは社会科が中心であったが、今年度は 国語科や体育科、学級活動など、活用の幅が多 くの教科に広がってきたことが挙げられる。 新聞コーナーに立ち寄る生徒の数は、昨年度 よりも確実に増えており、少しずつではあるが、 社会の動きに目を向けるという習慣が身につい てきたように感じる。また、生徒だけでなく、 新聞コーナーに立ち寄り、記事に目を通す教師 の姿も数多く見られるようになってきた。 来年度は指定校ではなくなるが、今後も学校 全体で新聞を活用し、「学び続ける生徒の育成」 するための実践に取り組んでいきたい。 新聞を通して、学び続ける生徒を育成するための実践 公民「世論とマスメディア」 ○マスメディアとの関わり方について、説明でき る。 ○新聞記事の見出しに注目して、気になる記事を 見つける。 ○自分が気になった新聞記事を読み、要約と感想 をまとめる。 ○自分が気になった新聞記事を、班・全体に紹介 する。 ○新聞各社の記事や、意見の違いを比較し、マス メディアからの情報との接し方について考える。 ○本時の学びをまとめる。
1はじめに 本校は、NIE実践指定校となり2年目であ る。本年度のNIE実践のねらいは、次に示す 通りである。 以下、実践のねらいに沿って、取り組みの概 要を説明する。 2取り組みの実際 (1)新聞の教材化 社会科での実践 本単元は、中学校社会科学習指導要領〔公民 的分野〕の(3)「私たちと政治」のイ「民主政 治と政治参加」の内容であり、民主政治をより よく運営していくためにはどのようなことが必 要かについて理解させたり、主権者として政治 に参加することの意義について考えさせたりす ることをねらいとしている。今回、新聞そのも のを題材として扱い、マスメディアの役割を理 解させること、新聞の良さを話し合う学習を通 してメディアリテラシーの必要性に気付かせる ことをねらった。 (ア)導入 導入では、新聞クイズを体験し、本時の学習 に関心を持つと共に、新聞に関する意識調査の 結果を示し、問題意識を持たせることとした。
新聞を生きた教材として活用する学習活動
御船町立御船中学校 教諭
山本 貴一
アンケートによ ると、一番信頼 できる情 報は 「新聞」と答え ている人が 多 いね。 3 あれ、次のアン ケートによると、 毎日新聞を読 んでいるってい う人は、一人も いないよ! 4 みんながよく知っているこれらのニュース。 古い順に並べてください。 どの順番だったっけ? 1 正解はこの順番です! よく見ているよ うで、わからないよね。ところで、、 2 3年生公民的分野 単元名「現代の民主政治」 ①身近な新聞記事を授業の「題材そのもの」とし て取り上げることで、課題を自分のこととして 捉え、物事を多面的・多角的に見ることができ るようにする。 ②授業の中で、身近な情報源として新聞を活用し、 読み取ったことをもとに、自分の見方や考え方 を深める。 これらのやりとりの後、生徒たちに問題点が ないかを質問し、新聞の情報が正しいと思って いながらも、実際には読んでいないことに気付 かせた。そこから、「こんなに新聞が読まれて ないのなら、新聞記事じゃなくてネット記事を 読めばいいじゃないの?」という中心発問を設 定し、それでも新聞が作り続けられていること から「新聞の良さ」を追究するという学習課題 を設定した。 (イ)展開 展開部では、実際に新聞記事を手にし、新聞 の良さについて考える学習活動を展開した。そ の際、インターネット記事と比べることで、新 聞の持つ良さを捉えやすくした。 新聞の良さを整理した後、生徒たちからは 「しかし、新聞は記者の思いが強すぎる記事も ある」との意見が出された。そのことについて 意見交換を行い、終末へとつなげた。 (ウ)終末 最後に本校の支援員をゲストティーチャーと して招き、「新聞の良さ」についてメディアリテ ラシーの視点も交えて、語っていただいた。生 徒たちの心に深い印象を残すことができた。 新聞を生きた教材として活用する学習活動 学習課題:「新聞の良さ」について考えよう! ネット記 事は 早いよね。す ぐにニュース が載りますね。 それに対して 新聞はどうだ ろうね? 個人 新 聞は確かに 遅いけど、その 分情報が正確 だと思います。 班 な る ほ ど ! 新聞は見出しが付いているから、すぐに 記事の内容が分かります。 板書に整理 新聞は 遅いけど、 情報は正確。 ネット記事は、 なんとなく信用 できないかなあ。以下、今回の授業を通しての、生徒たちの感 想を紹介する。 (エ)成果と課題(○成果 ●課題) ○新聞を題材にすることで、生徒にとって授業 内容が身近に感じられた。 ○ネット記事と新聞記事を比較させることによ り、双方の良さにも気付くことができた。 ○GTの話はたいへん効果的であった。 ●今回は、新聞の良さを追究するという授業で あったが、2年次ということを考えると、新 聞をもっと探究的に扱う事も可能だったので はないか。 ●授業としての素晴らしさはあるが、NIEと しての年間指導計画を位置づけるべきであっ た。 (2)情報源としての新聞の活用 社会科での実践 中学3年生の社会科の最後に位置付けられて いる単元である。持続可能な社会を形成するた めに、解決すべき課題(社会問題)を見出し、 自分が探求したいと思う課題を設定できること をねらった。 子どもたちにとって、学習内容をなかなか身 近に感じることのできない単元であり、自分の 探求する課題が設定できないというつまずきが 予想された。そこで、課題を設定する際の資料 として新聞記事を準備し、必要な情報を絞るこ とで考える視点を与えることとした。その導入 で行ったのが「まわしよみ新聞」である。 この手順に基づき、まわしよみ新聞の作成を 3時間で行った。テーマ等も一切与えず、気に なる記事を収集することのみ示した。 新聞を生きた教材として活用する学習活動 私は、「新聞が 待ってくれてい る」という思いで 新聞を読みます。 確かに記 者の 思いが、、 今日の授業を通して、新聞に対する見方が変わ りました。正直、字は多いし、どこを読めばいい かわからないと思っていたけど、きちんと見ると、 見出しはあるし、写真はきれいだし、今まで新聞 をきちんと見ていなかったと思います。これから は新聞を読んでみようと思います。 (女子生徒) 僕は、メディアリテラシーの大切さを改めて感 じました。以前も政治の授業で習っていたけど、 実際に新聞を読んでみると、僕たちの批判力が試 されているんだなと思いました。そんな記者の思 いが分かるのも新聞のいいところなんだなあと思 いました。 (男子生徒) 3年生公民的分野 単元名:「より良い社会を目指して」 最後の先生の話が心に残りました。新聞が待っ てくれていると聞いて本当にそうだと思います。 ネットはどんどん変わっても新聞は残っているか らです。僕は、いい記事をどんどん探したいです。 (男子生徒) まわしよみ新聞の手順 1 班員で新聞をまわし読みする。 2 気になる記事を3つ以上切る。 3 切り取った新聞記事について説明する。 ※切り取った理由、面白さなど 4 切り取った新聞記事から新しい壁新聞を作成 する。 (これらは、2019.1.14に行われたNIE研修にて 陸奥賢先生から教えていただいた手順である) 生徒たちは、レイアウトと記事の感想を記入 する時間に最も意欲的に取り組んでいた。 壁新聞には世の中の動きや課題がたくさん登 場し、楽しみながらやった活動が、実はきちん とした学習につながっていることに、生徒たち も学習の成果を実感していた。担当者もやって 良かったと実感している。 成果と課題(○成果●課題) ○生徒たちは、最後まで飽きることなく意欲的 に活動に取り組むことができた。 ○作成段階で、社会の課題に自然に気づくこと のできる良い手法であった。 ●テーマを置かなかったからこそ、生徒たちの 作成意欲が高まったが、社会科という点では 「記事を説明し合う場面」に重点を置くべき である。 3 おわりに 2年目の取り組みを終えて、やっとスタート 地点に至ったというのが実感である。新聞をど のように生かすか試行錯誤を行ったが、一番根 新聞を生きた教材として活用する学習活動 黙々と新聞を読んでいます。圧巻です 壁新聞の完成です 生徒感想より まわしよみ新聞はとても楽しかったし、世の中 の課題がたくさん出てきてびっくりしました。 (女子生徒) 自分の記事を紹介します。みんな笑顔です レイアウトします 一斉に切り始めました。楽しそうです 僕 の 記 事 を 紹 介します。 僕は、、 その記事、 とってもいい ね。も っと 詳しく教えて。 もう少し、 右にはった 方 が いい かな。 この記事に 僕 は 反 対 だ な。だ っ てさ、、
本にある「新聞に親しむ」このことを忘れない ことが大切であると実感した。こちらが思って いる以上に生徒たちは新聞に親しむことができ るので、そのことを念頭に入れてこれからの取 り組みに生かしていきたい。 新聞を生きた教材として活用する学習活動 1 はじめに 創立10周年を迎えた本校ではグローバルマイ ンドを備えた生徒を育成するため、日々様々な 教育活動に当たっている。 本校がNIE実践指定校としての活動を始め たのも、論理的思考力、論理的文章作成力、対 人関係処理力、相手の意見を聴き自分の意見を 形成する力、自分の考えを適切に伝達する力な ど、グローバル人材の基礎力を養成するための 手段の一つとして新聞を活用できないかと考え たからである。 2 実践の概要 一昨年度から学校設定科目である「対話力」 を週に2時間設定している。 「対話力」の授業では、ソーシャルスキルトレ ーニング、MESE(意思決定力養成プログラ ム)、NIE、日本語ディベート、英語ディベー ト、和書ビブリオバトル、洋書ビブリオバトル、 言語能力育成、知の触発プログラム(講演会) などの取り組みを通じて対話力の育成を図った。 この「対話力」のうち、学年によって異なる 7~9時間をNIEの時間として設定し、対話 力の向上を図ることとした。ここでは本年度新 たに行ったNIEの取り組みを中心に報告する。 2年目までの実践で行った諸活動については基 本的に継続しているが、紙面が限られるため過 年度のものについては省略した。それらについ てはすでに発行済みの実践報告書を参照してい ただきたい。 (1)対話力の授業での新たな取り組み ①どう思いますか 朝日新聞の「どう思いますか」を利用し、話 し合いの授業を展開した。 5人の8班に分け、班に1つずつ違う「どう 思いますか」を与えた。今回使用したテーマは 「大型商業施設は地域経済の敵?」、「人を傷つ ける人も認めるべきか」「同伴者も入場料払うべ きですか」、「祝日のない6月に『雨の日』を」、 「お化粧は義務なのでしょうか」、「なぜ先生は 叱ってくれないの?」、「制服 スカートでない とだめ?」、「読書はしないといけないの?」の 8つである。各班で記事の要約をしたあと、テ ーマについて話し合い、班としての意見をまと めた。 班の代表が記事の要約と班での話し合いの様 子を発表した。各班が議論したのは1つのテー マだけであったが、学級で多様な意見を共有す ることができ、短時間のうちに世の中のさまざ まな問題について広く考えを巡らせることので きる、かけがえのない時間となった。
新聞で対話力を高める実践
熊本県立八代中学校 執筆者
豊田慎一郎
班内での話し合い 学級での共有②まわしよみ新聞 まとまった授業時間が確保できない時期もあ ったため、1~2時間で実施可能な「まわしよ み新聞」にも挑戦した。 記事紹介の際は教室が賑やかになり、改めて 新聞の持つ魅力を感じた。まわしよみ新聞作成 時にはあれこれと話し合いながらレイアウトな どを決め、こだわって作成していた。最後の作 品の共有時には再び教室全体が活気づき、新聞 のコミュニケーションツールとしての役割も実 感することができた。 (2)新聞コーナーでの新たな取り組み 1年目の取り組みで、当日の新聞を1紙まる ごと掲示してみたこともあったが、生徒たちも 忙しく、授業以外で新聞を手に取る仕掛けを設 定できなかった。 遅ればせながら本年度、全ての生徒が通る廊 下に、本校の新聞コーナーを設けることにした。 コンセプトは、「新聞に触れるきっかけ作り」、 「世の中の流れを知るためのキーワードつか み」である。 ①文化委員の新聞掲示 新聞で対話力を高める実践 完成した作品 記事の紹介 記事のレイアウト 仲良しで集まって批評会 2週に1度の担当 本校では委員会活動の時間が少ないため、1 人あたり2週間に1回のローテーションで掲示 を担当することとした。 担当になった生徒は当日の新聞を家に持ち帰 り、気になる記事への感想や意見を書く。翌朝 学校に提出し、教員にコメントを依頼し、それ を掲示する。 委員会の仕事として行ったためか、堅めの記 事を選ぶことが多く、通りがかりの生徒も時間 をかけて読んでいた。 ②読解力マスター 対話力の授業で作成した読解力マスターを新 聞コーナーに掲示することにした。 通常の新聞記事の掲示に比べて、この掲示が 生徒を引きつける力は大きい。 作成した生徒の名前を公開していることと手 作りクイズというゲーム的な要素により、お仕 着せの記事を自分たちの側の世界のものと感じ ることができるのではないかと思われる。 廊下で待ち合わせ時間をつぶすために問題を 解いたり、出題者に感想を伝えたりするシーン を幾度となく目にすることができ、「成功例」で あると感じた。 ③読売ワークシート通信 読売新聞が毎週発行している読売ワークシー ト通信を購読し、掲示を行った。小学校高学年 から高校生対象の記事までを掲示している。 掲示物であるため書き込むことができず、本 来の効果を得ることができているとは言いがた い。しかしこの掲示はカラフルなデザインによ り生徒の目を引き、注目のキーワードを無意識 に印象づける効果を発揮している。ただ印刷す るだけでよいというのも負担にならず、継続の 助けとなる。 ④英語科の英字新聞 「尊敬する人物」「あこがれの人物」について の記事を書く単元が3年生の英語の授業にあっ た。 新聞に関連した教材ということで、英語科の 教員から申し出があり、新聞コーナーを利用し 新聞で対話力を高める実践 一番人気のコンテンツ ポップな記事 週1回の旬なキーワード
て優秀作品を掲示した。 教科や担当を問わず、様々な情報が集まり、 新聞や社会と学校をつなぐハブとしての役割を 果たす空間として、新聞コーナーの整備を続け ていきたいと思う。 3 3年間のまとめ ありがたいことに、3年にわたって実践指定 校にしていただいた。本報告書の執筆も3回目 になる。実践の「形」の紹介はし尽くした感が あるため、今回は3年間の実践を通じて得た気 づきを2点について述べさせていただきたい。 (1)NIEで教員の力量が上がる 3年間の実践を通じて最も痛切に実感したの は、教員の力量を上げるのに新聞が間違いなく 有効だということだ。 私は本校が実践指定校になるまでは、正直に 言うと新聞をじっくりと読んではいなかった。 NIEの担当となり、日々教材としての活用法 を考えることになった。そのために必要なこと は、担当者自身が新聞に興味を持つこと、新聞 にじっくり目を通すことだった。 石の上にも三年と言うが、指定していただい たおかげで毎日緊張感を持って新聞を読み続け ることができた。 その結果、例えば、私は経済に関してあまり 興味がなかったのだが、新聞を隅々まで読むよ うになってから、経済に関する新書に手が伸び るようになった。他にも歴史や福祉など、多方 面のことについても同様だ。 これまで開きもしなかった方面のウェブサイ トを開くようになったり、目にもとまっていな かったポスターに興味をもち、催し物に参加し たりもした。 つまり、新聞を読むようになってから、読書 や行動の幅が広がったということだ。 かつて家庭での新聞購読をやめた職員が、 「購読をやめたら教養がなくなったと実感する ようになったから、再び購読を始めた」と言っ ていた。もちろんこの再購読も本校の実践指定 がきっかけである。 学校教育の何気ない場面で、必要なときに記 事やニュースや知識を提供できる、社会や人生 の全方位に興味を持つ懐の深さが教員には求め られる。その基盤を作るのが毎日の新聞閲読で ある。 (2)形のないNIEもある 「新聞」という形に固執する必要はないという ことも、3年間で大いに感じたことだ。 NIEの実践というと、とかく新聞を中心に 据えた取り組みを行いたくなるが、これまでに、 授業中に一度も新聞紙が登場しないのに「これ はNIEの授業だ」と言えるようなものにめぐ りあったことがある。なぜそのようなことがあ り得るのか。それは、新聞というのがあくまで 形であるとも考えることができるからだ。大事 なのはそこに記述された出来事や、歴史や、芸 術や、人と人との関係性やその奥にある思いや 人情といった「本質」なのだ。 形から掘り下げて本質にたどり着くのもNI Eの授業であるし、本質を捉え、形にこだわら ずに展開される授業もまたNIEなのである。 もっと言えば授業をしなくてもNIE、という こともあるだろう。 4 おわりに 生徒が生きる力を身につけるため、対話に、 書物に、新聞に生徒たちをきちんと向かわせる。 そのためには地力や教養といったものがまずは 教員に、最終的には生徒に必要とされる。その 地力や教養をつけるのに資するのがNIEなの 新聞で対話力を高める実践 だろう。 NIEというきっかけがなければ、本校対話 力の授業をはじめとする教育活動の進展にも差 し障りがあっただろうと思わずにはいられない。 今回特別に3年目の実践指定を継続していた だいたこと、関係各位に心より感謝申し上げ、 NIEの視点を教育活動の中に持ち続けること をお約束し、実践報告といたします。 新聞で対話力を高める実践