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宇宙最大の爆発天体 ガンマ線バースト

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Academic year: 2021

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569 第107巻 第10号       書評

読み物

薦め度

ガンマ線バーストの正体を探索する歴史は,

1967

年にベラ衛星によって最初のガンマ線バース トが検出されてから,コンプトンガンマ線天文台 に搭載されていた

BATSE

検出器による

3,000

個近 いガンマ線バーストの全天分布,ベッポサックス 衛星による残光の発見,世界初のガンマ線バース ト観測専用衛星

HETE-2

の正確なバースト源の位 置速報がもたらした超新星爆発との関連,そして, 現在も活躍中のガンマ線バースト衛星

Swift

によ る高赤方偏移ガンマ線バーストの発見とショート バーストの残光発見(この発見に関しては

HETE-2

衛星も貢献)と劇的に進み,現在は大きな枠組み としては,一段落したという印象がある.そんな 中で出版されたのが本書である.ガンマ線バース トを取り上げた教科書は何冊か出版されているが, 日本語で書かれた一般向けのガンマ線バーストの 読み物としては私の知る限り初めての本となる. 冒頭の「はじめに」の最後の部分にガンマ線 バーストの解明の歴史は「人間ドラマでもありま す」という著者の記述がある.本書を読み本当に そのとおりだと思った.

1979

3

5

日に検出さ れたガンマ線バースト(のちに,このバーストは 軟ガンマ線リピーター

SGR 0526

66

からのバー ストで,ガンマ線バーストでないことが判明) が,大マゼラン星雲内の超新星残骸

N49

の方向 と一致したことから,ガンマ線バーストの正体に ついて多くの研究者たちの誤解が始まることにな る.著者もその「誤解」,つまり中性子星がガン マ線バーストを発生しているという考えで観測結 果を発表していったということを包み隠さずに本 書で述べている.本書で一貫されているその姿勢 は読者をぐいぐいと引き込んでいく. 著者が開発に携わった日本のぎんが衛星につい ては,ぎんが衛星が行った

X

線領域でのガンマ線 バーストの観測がその後ガンマ線バーストの観測 で大きな発見をすることになるベッポサックス衛 星や

HETE-2

衛星の設計に大きな影響を与えたこ とも改めて再認識させられた.また,その反面, ぎんが衛星の観測結果がガンマ線バーストの正体 についての誤解をさらに深めることとなるが,そ の当時,著者らが自信満々にその結果を発表して いた様子などがよくわかる. その後,本書はガンマ線バーストの解明が急 ピッチで進む

90

年代となる.このあたりの歴史 は,私には,それほどの目新しさがなかったが, ガンマ線バーストの解明に向けての急展開はポイ ントを抑えて,わかりやすく述べられている.

90

年代のガンマ線バースト解明へのブレイクス ルーの歴史を知らない方には,十分,その当時の 興奮が伝わる内容となっていると思う. 本書の読み物としての魅力ばかりを批評してき たが,本書は解説書としても非常に丁寧な構成に なっている.細かな説明が必要な箇所は「コラ ム」として章末に丁寧に説明されている.また, 難しい物理現象や天体現象をわかりやすく,直感 的に理解できるような工夫が随所で見られる. 本書の最後に述べられている,近代のガンマ線 バーストの進展の箇所で多少荒いと思われるとこ ろがあったので,お薦め度の星を一つ減らすが, 是非,ガンマ線バーストの正体を探る歴史に隠れ た人間ドラマを皆さんにも読んでいただきたい. 坂本貴紀(青山学院大学)

宇宙最大の爆発天体

ガンマ線バースト

村上敏夫 著 講談社 900円+税 236頁 ☆☆☆☆★

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参照

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