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スウェーデンにおける高齢者の住まいに関する法制――居住に関する権利関係を中心として―― 利用統計を見る

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(1)

スウェーデンにおける高齢者の住まいに関する法制

――居住に関する権利関係を中心として――

著者

太矢 一彦, 根岸 謙

雑誌名

東洋法学

59

2

ページ

295-348

発行年

2016-01-28

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007692/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

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一   はじめに   国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、二〇一〇年において、世帯主が六五歳以上で夫婦のみの世帯数 は五四〇万世帯であり、世帯主が六五歳以上で単身の世帯数は四九八万世帯である。それが、二〇三五年には世帯 主が六五歳以上で夫婦のみの世帯数は六二五万世帯となり、世帯主が六五歳以上で単身の世帯数は七六二万世帯に なるとの推計結果が公表されてい ( 1 ) る 。高齢者のみの世帯においては、将来的に介護等が必要となった場合、介護施 設や高齢者住宅等の高齢者の住まいの利用が増えると推測される。さらに、二〇一三年の統計では、要支援・要介 護認定を受けている者は約五八四万人いるにもかかわらず、介護老人福祉施設に入居してサービスを受けている者 は約四九万人にすぎず、高齢者を対象とする住まいへの転居ニーズは高いといわれてい ( 2 ) る 。 《 特別寄稿 》

スウェーデンにおける高齢者の住まいに関する法制

――

居住に関する権利関係を中心として

――

 

  

 

 

    

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  このような状況にもかかわらず、厚生労働省の資料によると、二〇〇八年の、六五歳以上の高齢者数のうち高齢 者の住まいの定員数の割合は五 ・ 〇% (介護施設系が三 ・ 五%、 高齢者住宅系が一 ・ 五%) にすぎず、 スウェーデン (六・ 〇 %   シ ニ ア 住 宅 は 含 ま れ て い な い) 、 デ ン マ ー ク (八 ・ 七 %) 、 イ ギ リ ス (一 〇 ・ 四 %) と 比 べ る と 不 足 し て い る と さ れ ( 3 ) る 。 さ ら に、 有 料 老 人 ホ ー ム は 比 較 的 費 用 が 高 額 な も の が 多 い た め、 比 較 的 裕 福 な 高 齢 者 で な け れ ば 入 居 は 難 し く、また、特別養護老人ホームをはじめとする公的施設は常に定員一杯であり、既に五〇万人以上が入居待ちの状 態であるなどの問題が指摘されてい る 。   こ の よ う な 問 題 に 対 処 す べ く、 現 在、 わ が 国 で は、 い わ ゆ る 団 塊 の 世 代 (約 八 〇 〇 万 人) が 七 五 歳 以 上 と な る 二 〇 二 五 年 を 目 途 に、 高 齢 者 の 尊 厳 の 保 持 と 自 立 生 活 の 支 援 の 目 的 の も と で、 「地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム」 の 構 築 を 推 進 し て い る。 「地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム」 と は、 可 能 な 限 り 住 み 慣 れ た 地 域 で、 自 分 ら し い 暮 ら し を 人 生 の 最 期 ま で続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアの仕組みで ある。このような地域包括ケア体制を実現するためには、居宅での生活が困難となった高齢者であっても、医療や 介護等のサービスを受けながら、安心して暮らすことのできる自宅に代わる高齢者の住まいが必要とな ( 4 ) る 。   こ の よ う な 背 景 の も と、 二 〇 一 一 年 四 月 の、 高 齢 者 の 居 住 の 安 定 確 保 に 関 す る 法 律 (以 下、 「高 齢 者 住 ま い 法」 と 呼 ぶ。 ) の 改 正 に よ り、 こ れ ま で の 各 種 高 齢 者 向 け 賃 貸 住 宅 (高 齢 者 円 滑 入 居 賃 貸 住 宅、 高 齢 者 向 け 優 良 賃 貸 住 宅、 高 齢 者 専 用 賃 貸 住 宅) を 廃 止 し、 「サ ー ビ ス 付 き 高 齢 者 向 け 住 5 ) 宅 」 (以 下、 「サ 高 住」 と 呼 ぶ。 ) と い う 民 間 型 高 齢 者 向 け 住まいの登録制度が創設され ( 6 ) た 。サ高住を建設するにあたっては、国からの補助金交 ( 7 ) 付 や住宅金融支援機構による 建設資金の融 ( 8 ) 資 、税制上の優遇措 ( 9 ) 置 などの支援策があり、このため、高齢者住まい法改正からわずか四年あまりの うちに合計五六五七棟 (一八万二八六五戸) ものサ高住が建設され、運営がなされている (二〇一五年七月時 ( 10 ) 点) 。

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  有料老人ホームは、居住と介護等のサービスが同一事業者によって包括的に提供される施設であることから、そ の入居に際しては、居住に関する権利と、介護等のサービスに関する権利が一体となった「利用権」設定契約が締 結されることが多い。これに対し、サ高住は、自宅に代わる高齢者の「住宅」と位置づけられていることから、そ の入居に際しては、居住に関する契約として、賃貸借契約のみが締結され、介護等のサービスに関する契約につい てはあくまで選択的に締結できるものとされている。しかし、サ高住が、高齢者を対象とする特殊な住宅であるこ とからすれば、サ高住における高齢者の居住に関して、通常の賃貸借契約と同様にとらえてもよいかは検討の余地 があるといえよ ( 11 ) う 。   も と も と「高 齢 者 施 設 (施 設 ケ ア) 」 か ら「高 齢 者 住 宅 (居 宅 ケ ア) 」 へ の 政 策 転 換 は、 ス ウ ェ ー デ ン 等 の 北 欧 型 社会福祉システムのもとで、いち早く取り入れられたものであるが、スウェーデンにおける高齢者の住まいについ て は、 こ れ ま で に も 詳 細 な 研 究 が 発 表 さ れ て い る も の 12 ) の 、 こ れ ま で の 研 究 は、 高 齢 者 の 住 ま い へ の 入 居 基 準 や 施 設・設備の内容についてのものや、介護等のサービスに関するものが中心であり、高齢者の居住に関する契約関係 についての研究はほとんどなされていないものと思われる。   そこで、本稿では、まずスウェーデンにおける高齢者の住まいに関する政策の変遷やその居住形態を整理しなが ら、スウェーデンにおける高齢者の住まいに関する契約関係について検討してみたい。

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二   スウェーデンにおける高齢者の住まい 1   高齢者の住まいに関する政策   まず、スウェーデンにおける高齢者の住まいに関する政策の変遷を整理しておきたい。   スウェーデン政府は、古くから高齢者の住まいについて高い関心を寄せており、一九六〇年代から八〇年代にか けて高齢者の住まいに関する様々な政策が実施されている。   一 八 九 六 年 に ス ウ ェ ー デ ン 初 の「老 人 ホ ー ム ( Ålderdomshem ) 」 が ヨ ー テ ボ リ ( Göteborg ) に 建 設 さ れ て 以 降、 各地に老人ホームが建設されることになる。しかし、当時の老人ホームは住環境が悪く、プライバシーも欠落して いたため、一九四〇年代後半から、厳しい社会的批判を浴びることにな ( 13 ) り 、その数は徐々に減少していくこととな る。その後、一時的に老人ホームの建設に国庫補助が導入されるが、一九六四年にスウェーデン政府は、重度の介 護 が 必 要 な 高 齢 者 の み を 長 期 療 養 病 院 で あ る「ナ ー シ ン グ ホ ー ム ( Sjukhem ) 」 に 入 所 さ せ て 施 設 介 護 サ ー ビ ス を お こない、それ以外の高齢者に対しては居宅介護サービスで対処していく方針を打ち出したことから、老人ホーム建 設のための国庫補助は廃止されることとな ( 14 ) る 。   さ ら に、 ス ウ ェ ー デ ン で は、 一 九 七 〇 年 代 後 半 か ら 一 九 八 〇 年 代 に か け て 多 く の「サ ー ビ ス ハ ウ ス ( Service -hus ) 」 と い う 介 護 サ ー ビ ス 付 き 住 宅 が 建 設 さ れ る よ う に な る。 サ ー ビ ス ハ ウ ス は 普 通 の ア パ ー ト と 同 様 の 形 態 の も のが多いが、介護度が高くなっても住みやすいように部屋を改造したり、ナイトパトロールや緊急アラーム、居宅 介護サービスを受けられるなど、充実した生活を送れるための配慮がなされているところに特色があ ( 15 ) る 。   当時のスウェーデンではサービスハウスを建設するにあたり国庫融資を受けることができたた め 、老人ホームの

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代わりに、サービスハウスが建設されることにな ( 16 ) る 。一九八五年から一九九一年における各高齢者の住まいの利用 者数を比較すると、老人ホームについては四万八九一六人から三万四五一五人と大幅に減少し、ナーシングホーム も 四 万 八 六 五 人 か ら 三 万 三 四 六 人 と 若 干 減 少 し て い る の に 対 し、 サ ー ビ ス ハ ウ ス に つ い て は 三 万 五 九 四 九 人 か ら 五万二四三八人にまで急増してい ( 17 ) る 。   サ ー ビ ス ハ ウ ス の 普 及 に よ り、 高 齢 者 の 住 ま い は 充 実 し て き た も の の、 福 祉 は コ ミ ュ ー ン ( Kommu ( 18 ) n ) 医 療 は ラ ン ス テ ィ ン グ ( Landsting ) と 行 政 管 轄 が 異 な っ て い た た め、 一 貫 し た ケ ア プ ラ ン を 立 て る こ と が で き ず、 ま た、 行政責任の主体がはっきりしないことにより高齢者の住まいの供給拡大は遅れてい ( 19 ) た 。さらに、高齢者が退院した 後 の 環 境 (例 え ば 二 四 時 間 の 居 宅 介 護 サ ー ビ ス な ど) が 整 備 さ れ て お ら ず、 退 院 し て も 行 く と こ ろ が な い た め、 そ の ま ま 入 院 を 続 け る 高 齢 者 (社 会 的 入 院 患 者 Medicinskt  färdigbehandlade と い わ れ る。 ) が 増 加 し、 病 院 で の 費 用 は、 施 設での介護より安価であったため、介護を受ける施設によって経済的負担が異なるという不公平も生じてい ( 20 ) た 。   そ こ で、 ス ウ ェ ー デ ン 政 府 は、 一 九 九 二 年 に、 社 会 サ ー ビ ス に 関 す る 基 本 法 で あ る 社 会 サ ー ビ ス 法 ( Socialtjänst -lagen  SFS1980:620 ) 、 及 び 保 健・ 医 療 サ ー ビ ス に 関 す る 基 本 法 で あ る 保 健・ 医 療 サ ー ビ ス 法 ( Hälso-och  sjukvårdsla -gen  SFS1982:736 ) を 改 正 し て、 高 齢 者 福 祉 政 策 の 転 換 を 行 っ た。 こ れ は、 エ ー デ ル 改 革 ( Ädelreform ( 21 ) en ) と 呼 ば れ、高齢者福祉に関する各種権限及び責任がコミューンとランスティングとで分散されていたものを、原則的にコ ミ ュ ー ン が 全 て の 権 限 を も つ も の と し (改 正 社 会 サ ー ビ ス 法 二 一 条、 改 正 保 健・ 医 療 サ ー ビ ス 法 三 条) 、 そ の 上 で 施 設 介 護 サ ー ビ ス ( Institutionsvård ) と 居 宅 介 護 サ ー ビ ス ( Öppenvård ) の 拡 充 責 任 を 負 う と い う も の で あ る (改 正 社 会 サービス法三条以 ( 22 ) 下) 。   エ ー デ ル 改 革 に よ り、 改 革 前 は、 老 人 ホ ー ム、 ナ ー シ ン グ ホ ー ム、 グ ル ー プ ホ ー ム ( Gruppboende ) 、 サ ー ビ ス ハ

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ウ ス と 個 別 に 分 類 さ れ て き た も の が、 改 革 に よ っ て「特 別 住 居 ( SÄBO  :  Särskilt  boende ) 」 と し て 統 合 さ れ る。 そ し て、 こ れ ら、 特 別 住 居 へ の 入 居 の 際 に は ニ ー ズ 判 定 員 ( Biståndshandlägga ( 23 ) re ) に よ る 入 居 許 可 の 審 査 を 経 な け れ ばならなくなった。さらに、それぞれのものが全て「住宅」とされたことから、居住の契約形態としては、建物賃 貸 借 契 約 ( Hyresrä ( 24 ) tt ) に よ る も の と さ れ、 後 述 す る 土 地 法 第 一 二 章 の 適 用 を 受 け る 結 果、 原 則 的 に 死 ぬ ま で 住 み 続けることができるようになっ ( 25 ) た 。   このような特別住居に対し、高齢者が今まで住んできた自宅や、入居の際にニーズ判定員による入居許可の審査 を経る必要のない一定年齢以上の高齢者を対象としたシニア住宅などは、国民の間では「一般住居」という名称で 呼ばれるようになる。   もっとも、エーデル改革により医療費用や介護費用を負担することになったコミューンにとって、建物内におい てまとまって複数人を介護することができる部屋や設備が整っていれば居宅介護サービスにかかる費用を抑えるこ とができるが、サービスハウスはこのようなことを想定していない普通のアパート構造であるた ( 26 ) め 、コミューンの 負担は、徐々に膨らんでいったと考えられる。   さ ら に、 ス ウ ェ ー デ ン 政 府 は、 二 〇 〇 〇 年 に 住 宅 供 給 責 任 法 ( lag  om  kommunernasbostadsforsorjningsansvar   SFS2000:1383 ) を 制 定 し、 コ ミ ュ ー ン に 対 し て、 住 民 が 良 質 な 住 宅 を 得 ら れ る た め の 住 宅 供 給 計 画 を 作 成 し な け れ ば な ら な い と い う 義 務 を 課 し、 ま た、 二 〇 〇 二 年 か ら 施 行 さ れ た 社 会 サ ー ビ ス 法 で は ( Socialtjähstlag   SFS2001:453 ) 、 コ ミ ュ ー ン に 対 し て、 高 齢 者 が 住 み や す い 住 居 を 得 ら れ る よ う 努 め な け れ ば な ら な い と い う 義 務 を 課したことから、コミューンの負担はさらに増加することにな ( 27 ) る 。   このような経緯から、コミューンは、財政負担の急激な増加を恐れ、自らが管理する特別住居に投下する費用よ

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り も は る か に 少 な く て 済 む 一 般 住 居 に よ る 居 宅 介 護 サ ー ビ ス へ、 す な わ ち「シ ニ ア 住 宅 ( Seniorboende ) 」 へ と シ フ ト チ ェ ン ジ し た と い わ れ て い 28 ) る 。 シ ニ ア 住 宅 と は、 一 般 住 宅 群 に お い て 一 定 年 齢 以 上 (五 五 歳 か ら 入 居 可 能 な も の と、 六 五 歳 以 上 の も の と が あ る) の 高 齢 者 を 対 象 に し た 全 て の 住 宅 を 意 味 す る 概 念 と さ れ 29 ) る 。 コ ミ ュ ー ン の 管 理 下 に な い た め、 コ ミ ュ ー ン は 居 宅 介 護 サ ー ビ ス に か か る 費 用 を 負 担 す る だ け で 済 む の で あ る。 シ ニ ア 住 宅 の 供 給 量 は 二〇〇〇年には約一万一〇〇〇件であったが、二〇〇八年には約三万二八〇〇件にまで増加してい ( 30 ) る 。   さらに、二〇〇八年一二月、高齢者の住まいの供給が需要に追い付かず、また、社会的に孤立していると感じる 高 齢 者 が 増 加 し て い る と い う 問 題 提 起 が 高 齢 者 住 宅 委 員 会 の 調 査 に よ っ て な さ れ た こ と か ら、 ス ウ ェ ー デ ン 政 府 は、 こ れ ら の 問 題 に 対 処 す べ く、 「安 心 住 宅 ( Trygghetsbostäder ) 」 と 呼 ば れ る 住 居 を 供 給 す る 方 針 を 採 り 、 二 〇 一 〇 年 一 月 一 日 に、 「高 齢 者 に 安 心 住 宅 を 供 給 す る コ ミ ュ ー ン の 権 限 に 関 す る 法」 を 成 立 さ せ て、 安 心 住 宅 を 創設し ( 31 ) た 。安心住宅とは、七〇歳以上の高齢者が入居できるものとさ れ ており、一般の住まいと介護に特化した高 齢者の住まいの中間形態という位置付けであり、あくまで介護に特化した高齢者の住まいに入居する必要性がでて くるまでの間、住むことのできる高齢者の住まいのことをい ( 32 ) う 。安心住宅については、サービスハウスとほぼ同様 の機能を有しており、安心住宅が一般住居として整備されるようになると、サービスハウスの必要性はさらに少な くなるとの指摘がなされてい ( 33 ) る 。 2   高齢者の住まいの種類   既 に 述 べ た よ う に、 ス ウ ェ ー デ ン に お け る 高 齢 者 の 住 ま い は、 エ ー デ ル 改 革 以 降、 「特 別 住 居」 と、 そ れ 以 外 の 「一般住居」に大別して捉えられるようになっ た 。

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  特別住居とは、コミューンの管理のもと、高齢者が住みながら一定の介護や看護サービスを受けることができる 高齢者の住まいのことを指し、入居する為にはニーズ判定員による入居許可の審査を経なければならない。   これに対し、一般住居とは、入居の際にニーズ判定員による審査を経る必要のない高齢者の住まいであり、高齢 者が今まで住んできた自宅や、一定年齢以上の高齢者を対象としたシニア住宅、高齢者が住むことを目的としたコ レクティブハウス ( Kollektivhus ) などの住居のことをい う 。一般住居には、もともと特別住居のような介護や看護 サービスが付いていないが、これらのサービスが必要になったときは、コミューンによるきめ細かな居宅介護サー ビ 34 ) ス を受けることができ、また、ニーズ判定員による入居許可の審査を経れば特別住居に移り住むこともできる。 このような、各種の住まいや生活形態を選択できる権利は、スウェーデンでは生きがいをなくさずに生きることの 前提だと考えられてい ( 35 ) る 。なお、安心住宅については、既に述べたように特殊な性質をもつことから、本稿では、 特別住居と一般住居のいずれにも分類せず、第 3の類型の高齢者の住まいとして述べることにした い 。   以下では、スウェーデンにおける高齢者の住宅を、特別住居、一般住居、安心住宅とに分け、それぞれの概要に ついてまとめてみたい。 ⑴   特別住居 ア   老人ホーム   常 時 介 護 が 必 要 な 高 齢 者 を 対 象 と す る も の で、 一 人 ひ と り が 独 立 し た 居 室 (三 〇 平 方 メ ー ト ル か ら 四 〇 平 方 メ ー ト ル 程 度) を 有 し て お り、 居 室 内 に は 小 型 の 台 所 と 専 用 の バ ス ル ー ム (シ ャ ワ ー、 ト イ レ) を 完 備 し た も の が 現 在 の 標 準のタイプとなってい ( 36 ) る 。職員は、居 ( 37 ) 宅 介護主 事 や看護師資格を持つ者を責任者とし、社会福祉介護士やホームヘ ルパー、准看護師によって構成され ( 38 ) る 。

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  老人ホームの運営はコミューンが行う。居住費は部屋の大きさ等によって異なり、居住費及び介護費用は利用者 の収入に準じてコミューンに支払 ( 39 ) う 。 イ   ナーシングホーム   慢性病など、何らかの医療サービスを日常的に必要とする高齢者を対象とする。   エーデル改革以前はベッド中心の複数人による大部屋が多かったが、エーデル改革により独立した個室の形態に リフォームされ、老人ホームの居室とほとんど変わらなくなっている。職員は、看護師を責任者として、准看護師 などの医療スタッフで構成されており、医師は契約により定期的に訪問し診察を行 ( 40 ) う 。   エ ー デ ル 改 革 以 前 の ナ ー シ ン グ ホ ー ム は、 病 院 付 属 ナ ー シ ン グ ホ ー ム ( Centrala  sjukhem   高 齢 者 専 門 病 棟 に 付 設 さ れ た も の) 、 地 域 ナ ー シ ン グ ホ ー ム ( Lokala  sjukhem   地 域 保 健・ 医 療 セ ン タ ー の 地 区 医 師 が 中 心 と な り 運 営 さ れ る も の) 、 私 立 ナ ー シ ン グ ホ ー ム ( Privata  sjukhem   財 政 は 公 的 機 関 が 担 い、 運 営 は 宗 教 法 人 な ど の 民 間 機 関 に 委 託 さ れ る も の) の 三 種 類 に 分 か れ て お り 、 エ ー デ ル 改 革 後 も 運 営 形 態 は 様 々 で あ 41 ) る 。 居 住 費 及 び 介 護 費 用 は、 利 用 者 の 収 入 に 準じて決定され ( 42 ) る 。 ウ   グループホーム   介護の必要度の高い人、特に認知症高齢者を対象とする。認知症患者の処遇に関しては、お互いの存在によりそ れぞれ発展するというグループ力動学の観点から、六人から八人での処遇が最適であるとの調査報告から、グルー プホームも、多くのものが六人から八人の利用者で構成されている。一人ひとりがそれぞれ三〇平方メートル程度 の独立した居室を有しており、その他に食堂や居間などの共有スペースもある。職員は、看護師、准看護師、介護 福祉士などの専門資格を有し、認知症のケアに関する専門知識を有する者で構成され ( 43 ) る 。

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  グループホームの運営はコミューンが行っており、居住費は部屋の大きさ等によって異なり、居住費及び介護費 用は利用者の収入に準じてコミューンに支払 ( 44 ) う 。 エ   サービスハウス   あ ま り ケ ア を 必 要 と し な い で 自 立 し て 生 活 で き る 高 齢 者 を 対 象 と す 45 ) る 。 入 居 者 数 は、 地 方 都 市 で は 二 〇 人 か ら 三〇人、ストックホルムでは百人から三百人近くのところが多 ( 46 ) い 。サービスハウスの居室や設備等には自動ドアや 緊急アラームがついており、看護師とヘルパーが常駐している点以外は、通常の集合住宅と異ならないが、付近に スーパーがあるなど住環境が良い地域にあることが多いことから、利用者は自立した生活ができるとされてい ( 47 ) る 。 職員は、居宅看護主事や看護師資格を有する者を責任者とし、社会福祉介護士やホームヘルパー、准看護師によっ て構成され ( 48 ) る 。   サ ー ビ ス ハ ウ ス の 運 営 は 建 物 の 管 理 は 非 営 利 の 住 宅 法 人 ( Bostadsföret ( 49 ) ag ) が お こ な っ て い る こ と が 多 50 ) い 。 居 住 費については非営利の住宅法人に支払い、介護費用については老人ホームと同様の基準にてコミューンに支払 ( 51 ) う 。 ⑵   一般住居 ア   シニア住宅   広く高齢者が入居する住戸であるが、一定の年齢制限や、入居時に介護が必要でないという条件、同居している 子供がいないという条件などを設けているところもあ ( 52 ) る 。   居室や設備・サービス内容は、シニア住宅の運営主体が非営利の住宅法人か民間企業かによって大きく異なる。 非営利の住宅法人が運営主体の場合には、若干の共有施設はあるものの、不動産の管理人や看護師が常駐していな いところが多 い とさ ( 53 ) れ 、民間企 ( 54 ) 業 が運営主体の場合には、多目的ホールやジム、サウナ、工芸室、ゲームルーム、

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図書館、プールなど多くの共有施設があるところが多く、洋服のクリーニングや窓磨き、看護訪問などを利用でき るところもあるとされ ( 55 ) る 。   奥 村 氏 に よ る と、 シ ニ ア 住 宅 の 二 〇 〇 七 年 度 の 所 有 形 態 は、 住 宅 協 同 組 合 ( Bostadskooperati ( 56 ) on ) が 一 七 %、 市 の 住宅公社が五〇%、財団法人が一四%、民間の住宅会社が一二%であり、市の住宅公社の場合は、ほぼすべてが賃 貸型で、そのほかは利用権買取り型 (居住権方式 Bostadsrätt ) であるとされてい ( 57 ) る 。 イ   コレクティブハウス、村コーポ   コレクティブハウスとは、利用者同士が、お互いのプライバシーを尊重しながら、共同生活を行う形態の建物を い い、 ス ウ ェ ー デ ン 国 内 に 数 十 カ 所 あ る と さ れ 58 ) る 。 例 え ば、 フ ェ ー ル ド ク ネ ッ ペ ン ( Färdknäppen ) と い う 名 の コ レクティブハウスは、子供が独立した後に社会的なふれあいを持ち、お互いに助け合いながら老後も安心して住め る家をもちたいという人々によって建物の建設プロジェクトが組まれ、建設主体である非営利の住宅法人との何回 もの会議や交渉を経て、建物を完成させている。フェールドクネッペンの入居条件は、入居者の年齢が四〇歳以上 であること、及び入居者が子供と同居していないことである。居室の広さは三六平方メートルから七六平方メート ル で あ り、 そ の 他 に 共 用 の キ ッ チ ン、 食 堂、 居 間、 ホ ビ ー 室、 サ ウ ナ、 浴 室、 ゲ ス ト 宿 泊 室 な ど が 備 え ら れ て い る。食事は交代制となっており、夕食を一緒に作ったり、インテリア、芸術、庭仕事、図書、掃除などについての 活動グループがあるなどの特色があ ( 59 ) る 。 ⑶   安心住宅   安心住宅とは、自宅等に住み続けることに不安を抱き、社会的孤立を感じている高齢者が容易に入居できること を目指した高齢者の住まいであ る 。入居対象者は七〇歳以上の高齢者とされ、入居の際にニーズ判定員による審査

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を経ることな ( 60 ) く 、介護に特化した住居に入居する必要性がでてくるまでの間、住むことができる。   安 心 住 宅 は バ リ ア フ リ ー 設 計 で あ り、 安 心 ア ラ ー ム が 設 置 さ れ、 食 堂 機 能 を 兼 ね た 共 同 ス ペ ー ス も あ 61 ) る 。 た だ し、サービスハウスと異なり、居住のための契約と介護等のサービスが切り離されていることか ( 62 ) ら 、居宅介護サー ビスが必要になれば、一般住居と同様、コミューンに申請して、サービスを受けることにな る 。居住に関する契約 形態については、安心住宅があくまで介護に特化した高齢者の住まいに入居するまでの間の住まいとされることか ら、建物賃借権方式でおこなわれることが多いとされ ( 63 ) る 。   安心住宅の供給についてはコミューンに法的義務は課せられておらず、あくまでもコミューンの判断に任されて いることから、すべてのコミューンで安心住宅が提供されているわけではな ( 64 ) い 。 3   高齢者の住まいの居住に関する契約形態   ス ウ ェ ー デ ン 地 方 自 治 体 協 会 の 調 査 に よ る と、 二 〇 〇 五 年 に お け る 高 齢 者 の 住 ま い (特 別 住 居 及 び 一 般 住 居) の 所 有 者 別 の 建 物 棟 数 の 内 訳 は、 非 営 利 の 住 宅 法 人 所 有 が 一 万 九 七 一 棟 (高 齢 者 の 住 ま い 全 体 の 六 〇 %) 、 住 宅 協 同 組 合 所 有 が 三 一 九 六 棟 (一 七 %) 、 財 団 所 有 が 一 八 〇 七 棟 (一 〇 %) 、 民 間 企 業 所 有 が 一 六 九 二 棟 (九 %) 、 そ の 他 が 所 有するものが七六二棟 (四%) とされてい ( 65 ) る 。   そして、スウェーデンにおける高齢者の居住に関する契約としては、建物賃貸借契約、居住権設定契約、協同賃 貸借契約があるとされるが、スウェーデンの法規は、パンデクテン方式を採っておらず、わが国の民法上の建物賃 貸借とは根本的に法的性質が異なり、さらに居住権あるいは協同賃借権に関しては、スウェーデン特有の法律関係 となっていることから、スウェーデンにおける高齢者の住まいに関する法律関係を検討するためには、まずこれら

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の権利内容を明らかにする必要があるといえる。   ス ウ ェ ー デ ン の 居 住 に 関 す る 権 利 関 係 は ス ウ ェ ー デ ン の 住 宅 政 策 と 密 接 な 関 係 を 有 し な が ら 形 成 さ れ て い る た め、次節ではスウェーデンの住宅政策に触れながら、特にスウェーデンにおける居住権および協同賃借権の概要を 述べてみたい。 三   スウェーデンにおける居住権および協同賃借権の現状   ス ウ ェ ー デ ン で は、 一 九 世 紀 後 半、 二 度 に わ た る 大 飢 饉 が 起 き、 特 に 地 方 に 住 む 人 々 を 中 心 に、 約 百 万 人 (当 時 の ス ウ ェ ー デ ン 総 人 口 の ほ ぼ 四 分 の 一) が ア メ リ カ に 移 住 し 66 ) た 。 ス ウ ェ ー デ ン 議 会 ( Riksdag ) は、 地 方 の 人 々 が ア メ リ カ に 移 住 す る の を 阻 止 す べ く、 一 九 〇 四 年 に 地 方 都 市 に お け る「一 軒 家」 を 建 設 す る た め の 国 庫 融 資 を 承 認 し ( 67 ) た 。これにより、それまで積極的に住宅政策に携わってこなかった地方自治体は、住宅政策に対して徐々に責任を 負わされることになる。   そ し て、 一 九 〇 七 年 に 地 方 自 治 体 が 保 有 す る 土 地 の 賃 貸 を 認 め る 借 地 法 ( lag  om  nyttjanderätt  till  fast  egendom ) が制定されたことや、一九一四年の第一次世界大戦の勃発による戦争特需によって、民間の住宅建設会社による一 軒 家 や「私 営 の 賃 貸 住 宅 ( Privata  hyresvärdar   民 間 団 体 や 私 人 が 賃 貸 す る 住 宅) 」 の 建 設 が 進 む こ と に な る が、 そ れ で も 人 口 増 加 に よ る 住 宅 需 要 の 高 さ に 住 宅 の 供 給 は 追 い 付 く こ と が で き ず、 次 第 に、 住 宅 は 利 用 す る も の で は な く、投機や暴利の対象物として悪用されるようにな ( 68 ) る 。   そのことから、住宅を欲する国民は、自分達で住宅を取得できるための機構を作ることを考え、一九二〇年代以

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降、住宅の供給を目的とした住宅協同組合を設立する。住宅協同組合の代表的なものとしては、住宅貯蓄協同組合 ( HSB:Hyresgästernas  sparkasse  och  byggnadsförening ) 、全国住宅建設協同組合 ( Svenska  riksbiggen ) 、 SBC ( Sveriges   bostadsrättsföreningarnas  centralorganisation ) などがあ ( 69 ) る 。   こ の よ う な 住 宅 協 同 組 合 が 提 供 す る 集 合 住 宅 の 住 戸 は「居 住 権 方 式 に よ る 住 宅 ( Bostadsrättslägenh ( 70 ) et ) 」 と 呼 ば れ、入居者は、自らが加入する住宅協同組合から用益権としての性質を有する居住 権 を取得し、当該組合が所有す る住戸に住むことができる。   住 宅 協 同 組 合 が 設 定 さ れ た 当 時 は、 住 宅 協 同 組 合 は 国 庫 か ら 住 宅 建 設 事 業 費 の 低 金 利 の 融 資 ( Bostadslån ) を 受 け、 こ れ に よ り 集 合 住 宅 を 建 設 し て い た こ と か ら、 入 居 者 か ら 支 払 わ れ る 居 住 権 の 対 価 ( Upplåtelseinsats ) を も っ て国庫からの融資金の弁済にあててい ( 71 ) た 。   その後、一九二九年に世界恐慌が起き、スウェーデンでもその余波を受けて大量の失業者があふれ出る。このよ うな状況のなか、一九三二年には労働者が母体となる社会民主党が政権を奪ったことから、失業者に職を与え、か つ住宅を大量に供給すべく、政府主導の住宅建設に政策の力点が置かれるようにな ( 72 ) る 。その政策の一環として、各 地方自治体は「公的な賃貸住宅 ( Kommunala  bostads   コミューンなどの地方自治体や非営利の住宅法人などが賃貸する 住宅) 」の建設や運営管理を目的とする住宅公社 ( Kommunala  bostadsföretag ) を設立す ( 73 ) る 。   さらに、一九四六年には、各地方自治体の出資により、住宅建設と管理に投機的要素が入り込むことを防ぎ、住 宅 不 足 と 低 水 準 住 宅 の 問 題 を 解 消 す る こ と を 目 的 と し て、 上 記 住 宅 公 社 の 流 れ を 汲 む 非 営 利 の 住 宅 法 人 が 設 立 さ ( 74 ) れ 、公的な賃貸住宅の提供戸数を拡大していくのである。   かかるスウェーデン政府の住宅政策によって、居住権方式による住宅および公的な賃貸住宅の供給数は増加した

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( 75 ) が 、その一方で、住宅協同組合の供給する住宅については、投機的な取引が問題となってく ( 76 ) る 。   すなわち、先に述べたように、当初、住宅協同組合は住宅建設事業費を国庫からの低金利の融資金でまかなって いたが、一九九二年に住宅協同組合の住宅建設事業費に係る優遇措置が廃止されたことから、住宅協同組合は事業 を継続するために、発売当初の居住権価格を高額に設定し、販売開始段階で事業資金の全額回収を図る事業モデル へと転換することとな ( 77 ) る 。また、それとともに、一九八〇年代の金融緩和の流れのなかで、金融機関が居住権組合 の発行する居住権証書を長期ローンの担保として認めたことから、居住権の市場での売買の自由化が定着すること とな ( 78 ) る 。   そのような背景のもと、居住権の転売が容易となり、居住権の投機的な売却が横行するようになるのである。   そ こ で、 ス ウ ェ ー デ ン 政 府 は、 居 住 権 の 投 機 的 売 買 を 防 止 す る た め に、 一 九 九 一 年 に 居 住 権 法 ( Bostadsrättslag   SFS1991:614 ) 、 及 び 居 住 権 組 合 法 ( Bostadsrättsförordning  SFS1991:630 ) を 制 定 し て、 居 住 権 の 譲 渡 は 一 定 の 要 件 を 満たした場合に限定された。すなわち、居住権法及び居住権組合法では、居住権の譲渡は居住権組合の組合員に対 し て の み す る こ と が で き (居 住 権 法 一 章 三 条 一 項) 、 組 合 員 以 外 の 者 が 居 住 権 を 譲 り 受 け た い 場 合 は、 居 住 権 組 合 に 加入して組合員になる必要があり (組合員になるためには三人以上の現組合員からの同意がなければならない。同法一章 二 条) 、 さ ら に、 居 住 権 は 組 合 員 と い う 地 位 に 基 づ く 権 利 (持 分 権) で あ る こ と か ら、 組 合 員 の 地 位 の 譲 渡 も 禁 止 し たのである (同法一章八条一項) 。   居住権と同様の問題は建物賃借権でも発生していた。非営利の住宅法人が所有する賃貸物件はいずれも高人気の た め、 〝待 機 リ ス ト” と 呼 ば れ る、 物 件 ご と に 入 居 希 望 者 が 名 前 を 書 き 連 ね て い く 登 録 簿 に 自 身 の 名 前 を 登 録 し、 退 去 者 が 現 れ、 登 録 者 の 順 番 が 来 た ら よ う や く 入 居 す る こ と が で き る と い う 手 続 き が 採 ら れ て い る。 そ の こ と か

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ら、人気のある物件に関しては、当該物件に居住するつもりはないが、当該物件の待機リストに自身の名前を書き 込み、入居できる権利を取得できたら、これを売却して利益を得るという転売行為をする人が増加したのである。 また、一九九二年に住宅建設に対する国庫融資の全廃および利子補助の削減が決定され た ことから、新規住宅建設 戸数は減少し、また、利子補助の削減により賃貸住宅の家賃および住宅価格の高騰が生じることにな ( 79 ) る 。   そこで、スウェーデン政府は、建物の賃貸借においても、先の居住権の譲渡制限と同様、投機的な譲渡を制限し て、賃貸物件の利用者の範囲を広げるべく、二〇〇二年に居住権法及び居住権組合法を参考にして、協同賃貸借法 ( lag  om  kooperativ  hyresratt  SFS2002:93   以 下「L K H」 と 略 す。 ) を 制 定 し た 。 同 法 は、 既 存 の 賃 貸 物 件 に お け る 契 約 を 建 物 賃 貸 借 契 約 か ら 特 殊 な 賃 貸 借 契 約 (協 同 賃 貸 借 契 約) へ と 移 行 さ せ た 上 で、 賃 借 人 ら を 組 合 員 と す る 協 同 賃借権組合を組成し、組合員以外の者は当該賃借権を譲り受けることができないことを内容とする。   協同賃貸借は既存の集合住宅についてのみ設定可能であり、次のような手続でなされる。まず、集合住宅におけ る各戸の賃借人が集まり、現在の建物賃貸借形態から協同賃貸借形態に移行するか否かの投票を行い、これらのう ち 三 分 の 二 以 上 の 賛 成 等 が あ れ ば、 協 同 賃 借 権 組 合 が 組 成 さ れ て、 賃 借 人 ら は 組 合 員 兼 協 同 賃 借 人 に な る (L K H 四 章 一 条 一 項、 五 章 一 条 一 項) 。 協 同 賃 借 権 組 合 と は、 ① 法 人 で あ る こ と、 ② 組 合 の 登 録 を し て い る こ と、 ③ 少 な く と も 三 人 以 上 構 成 員 が い る こ と、 ④ 規 約 ( Stadgar ) が あ る こ と、 ⑤ 執 行 委 員 会 ( Styrelse ) と 少 な く と も 一 人 の 監 査 役 ( Revisor ) が い る こ と の 五 つ の 条 件 を 満 た す も の で あ り (L K H 二 章 一 条 一 項) 、 組 合 の 登 録 後 は、 同 組 合 自 体 が 権 利 義 務 の 主 体 と な り、 訴 訟 手 続 き を 行 う こ と が で き る よ う に な る (L K H 二 章 一 条 二 項) 。 そ の 後、 協 同 賃 借 権 組 合 は、 当 該 集 合 住 宅 の 所 有 権 の 取 得 (L K H 四 章) 、 あ る い は 一 括 借 り 上 げ (L K H 五 章) を 当 該 集 合 住 宅 の 所 有 権者と交渉し、交渉が成立すれば、協同賃借権組合が貸主となり、同組合員との間で協同賃貸借契約を締結し、組

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合員に住戸の協同賃借権を与え ( 80 ) る 。   このような契約形態については、賃貸人および賃借人に次のようなメリットがあると考えられる。   まず、賃貸人のメリットとしては、賃貸人が、自己の所有する建物の老朽化等により、将来的に建物を維持する ことが困難であると考え、他者に売却しようとする場合、場合によっては、協同賃借権組合に当該建物の引き受け 手になってもらえることができる。   他方、賃借人には、次のようなメリットが考えられる。   一点目としては、通常の賃貸借の場合、賃借人は毎月、管理運営に関する費用を負担することになるが、管理運 営業務を協同賃借人らで行えば、毎月の支払い額を管理運営費用分下げることができ ( 81 ) る 。   二 点 目 と し て は、 協 同 賃 借 権 の 譲 渡 又 は 転 貸 は 原 則 と し て 認 め ら れ て い な い た め (L K H 一 章 四 条 二 項、 三 章 一 条 一項) 、協同賃借権の住戸は投機の対象とはならず、それゆえ賃料は高額にならないことが挙げられ る 。   三点目としては、賃借人は協同賃借権組合に加入し、行政庁の承認や規約作成、建物の維持管理を行う等、民主 主義的調整や共同の意思決定を通して、色々な人と付き合う機会を得られることになり、自身の環境や考え方に影 響を与えてくれることを望む賃借人にとっては通常の建物賃借権方式から協同賃借権方式への移行に賛成するきっ かけになるとされ ( 82 ) る 。   以上、本節ではスウェーデンにおける居住権および協同賃借権についての概要を述べたが、スウェーデンにおけ る居住権は、住宅協同組合という制度から生まれる特殊な権利であり、また、既に述べたように日本におけるサ高 住 は、 原 則 と し て 賃 借 権 方 式 (一 部 利 用 権 方 式 を と る も の も あ る) を と る も の で あ る こ と か ら、 本 稿 で は 特 に ス ウェーデンにおける建物賃貸借および協同賃貸借について、その具体的内容を考察してみたい。

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四   建物賃貸借   ス ウ ェ ー デ ン で は、 土 地 法 ( Jordabalk  SFS1970:99 ( 83 )( 84 ) 4 ) 第 一 二 章「借 家 法 ( Hyra ) 」 に お い て、 建 物 賃 貸 借 ( Hyres -rätt ) に 関 す る 規 定 を 置 く (以 下 で は、 土 地 法 第 一 二 章 Hyreslagen を「H L」 と 略 す。 ) 。 土 地 法 は、 一 九 〇 七 年 の 借 地 法に端を発し、その後何度かの改正を経て、一九七〇年に、それまでの不動産に関する様々な法律を統合して制定 さ れ た も の で あ 85 ) る 。 建 物 賃 貸 借 に 関 す る 規 定 が 土 地 法 に 置 か れ て い る の は、 土 地 法 一 二 章 一 条 二 項 に て、 「土 地 は 賃貸借契約の目的物に含まれ、家屋とともに賃貸される」と規定されているからである。   土 地 法 で は 建 物 賃 貸 借 に つ い て、 賃 借 人 の 賃 貸 の 目 的 が 居 住 目 的 ( Bostadhyra ) か、 居 住 目 的 以 外 ( Lokalhyra ) かで分けて規定を設けている。本稿では、スウェーデンにおける高齢者の住まいに関する契約内容を明らかにする ことを目的とするため、居住目的の建物賃貸借の規定に絞り、契約の締結時、契約の期間中、契約の終了時に分け て建物賃貸借の概要を述べてみたい。 1   契約の締結時 ⑴   契約の書面性   建 物 賃 貸 借 契 約 ( Hyreskontrakt ) は、 口 頭 に て 締 結 す る こ と も 可 能 で あ る が、 賃 貸 人 も し く は 賃 借 人 の い ず れ か が書面で締結することを求めた場合には、書面にて行われなければならない (HL二条一項) 。 ⑵   賃料等   賃料は、賃貸借契約の締結時において、その総額を明示しなければならない (HL一九条一項一文) 。

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  賃料には、居住目的の建物賃貸借の場合は、賃料の中に暖房費、光熱費、電気代、上下水道代は含まれないとさ れ る が (H L 一 九 条 一 項 二 文) 、 居 住 目 的 以 外 の 建 物 賃 貸 借 の 場 合 は、 暖 房 費、 光 熱 費、 電 気 代、 上 下 水 道 代 も 含 ま れる (HL一九条三項一文) 。   賃 料 の 設 定 に つ い て は、 居 住 目 的 の 場 合 は、 賃 料 交 渉 法 ( Hyresförhandlingslag  SFS1978:304   以 下、 「H F L」 と 略 す。 ) で 定 め ら れ て い る 賃 料 交 渉 協 議 を 経 る 必 要 が あ る (H F L 二 条 一 項) 。 賃 料 交 渉 協 議 は、 賃 貸 人 と 借 家 人 組 合 ( Hyresgästföreningen ) と の 間 で (H F L 一 条 一 項) 、 建 物 の 全 住 戸 に つ い て 行 わ れ る (H F L 三 条 一 86 ) 項) 。 借 家 人 組 合 とは、個々の賃借人に代わって居住環境を改善するために行動し、公平かつ正当な賃料を求めて賃料交渉に参加す る団体であり、多くの建物賃借人は借家人組合に加入しているとされる。そのため、賃借人個人が独力で賃料交渉 することは稀であり、約九〇%の賃借人が借家人組合による交渉を経た上で、契約を締結してい ( 87 ) る 。 ⑶   家屋の引渡し   賃貸人は家屋引渡日において、その地域の慣習に従って、契約目的を達成するために必要な状態にして家屋を引 き渡さなければならない (HL九条一項) 。   もっとも、引渡前に、契約目的を達成することができないような不具合が当該家屋に発生した場合は、賃貸借契 約 は 無 効 と な る (H L 一 〇 条 一 項 一 文) 。 不 具 合 が 発 生 し た 場 合、 賃 貸 人 は 賃 借 人 に 対 し て 直 ち に そ の 旨 を 通 知 し な ければならず、賃貸人がこれを怠った場合には、賃借人は賃貸人に対して当該不具合により生じた損害の賠償を請 求することができる (HL一〇条一項二文) 。   また、家屋に生じた不具合が契約目的を達成するのに支障がないほど軽微なものであり、賃貸人が家屋の引渡し 日 ま で に 不 具 合 を 修 繕 し て い な い 場 合 に は、 賃 借 人 は 賃 貸 人 に 対 し て 当 該 不 具 合 の 修 繕 を 請 求 す る こ と が で き る

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(H L 一 一 条 一 項) 。 賃 借 人 の 修 繕 請 求 後、 賃 貸 人 が 遅 滞 な く 不 具 合 を 修 繕 し な か っ た 場 合 は、 賃 借 人 は、 賃 貸 人 の 負 担 に よ り 賃 借 人 自 身 で 当 該 不 具 合 を 修 繕 す る か (H L 一 一 条 一 項 一 号) 、 賃 貸 借 契 約 を 終 了 さ せ る こ と が で き る。 (同 条 項 二 号) 、 ま た、 賃 借 人 は 家 屋 の 不 具 合 が 修 繕 さ れ な い 間 は 賃 料 の 減 額 請 求 を す る こ と が で き る (同 条 同 項 三 号) 。 さ ら に、 当 該 不 具 合 が 賃 貸 人 の 過 失 に よ る も の で あ る と き は、 賃 借 人 は 賃 貸 人 に 対 し て 損 害 賠 償 請 求 を す る ことができる (同条同項四号) 。 ⑷   その他 ア   賃貸人情報の提供   賃 貸 人 は 賃 借 人 に 対 し て、 賃 貸 人 の 氏 名 及 び ス ウ ェ ー デ ン 国 内 で 連 絡 が 取 れ る 住 所 に つ い て の 情 報 (賃 貸 人 が 法 人である場合は、法人の代表者に関する同様の情報) を書面により提供し、かつ建物内に公示しなければならない (H L一八条一項、同条三項) 。 イ   契約前の報酬授受の禁止   い か な る 当 事 者 も、 賃 貸 借 契 約 の 申 込 み に 際 し て 報 酬 を 授 受 す る こ と (H L 六 五 a 条 一 項 一 文) 、 又 は、 賃 貸 物 件 の 引 渡 し に 際 し て 報 酬 を 授 受 す る こ と (H L 六 五 条 一 項 一 文) は 禁 止 さ れ る。 当 事 者 が 当 該 規 定 に 故 意 に 違 反 し た 場 合 に は、 罰 金 も し く は 六 箇 月 以 下 の 懲 役 が 科 さ れ、 犯 罪 が 重 大 で あ る 場 合 に は 二 年 以 下 の 懲 役 に 処 せ ら れ る (H L 六 五 a 条 三 項 二 文、 六 五 条 二 項 一 文) 。 ま た、 報 酬 の 授 受 に 関 す る 契 約 条 項 は 無 効 と な り、 不 法 な 報 酬 は 全 て 返 還 さ れ な け れ ば な ら な い (H L 六 五 条 三 項、 六 五 a 条 四 項) 。 か か る 罰 則 規 定 は 私 営 の 賃 貸 住 宅 だ け で は な く、 公 的 な 賃貸住宅の待機リストに対する報酬についても適用される (HL六五a条二項) 。   このような罰則規定が設けられた背景には、非営利の住宅法人が供給する公的な賃貸住宅の供給不足という問題

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が あ る た め と 考 え ら れ る。 二 〇 〇 七 年 時 点 で、 自 治 都 市 (特 に ス ト ッ ク ホ ル ム や ゴ ー テ ン ブ ル グ と い っ た 大 都 市 や 大 学 町 な ど) の 約 四 三 % に お い て 公 的 な 賃 貸 住 宅 の 供 給 不 足 が 指 摘 さ れ て お り、 ス ウ ェ ー デ ン 国 内 全 体 で 九 万 二 千 戸 か ら一五万六千戸もの公的な賃貸住宅が不足しているといわれてい ( 88 ) る 。非営利の住宅法人が供給する公的な賃貸住宅 の住戸を借りたい場合は、待機リストに名前を書く必要があり、ストックホルム中心部の住戸になると、名前を書 いてから二〇年も待たなければ借りられないこともあ ( 89 ) る 。このように、特に大都市や内陸都市では、何年も待たな ければ公的な賃貸住宅を見つけることは非常に困難であり、民間の賃貸住宅に多くの市民が流れることになる。そ し て、 闇 市 場 で、 契 約 に 先 立 っ て 敷 金 も し く は 予 約 賃 料 (賃 貸 人 が 見 込 み の あ る 賃 借 人 に 対 し て、 選 考 過 程 に 入 れ る た め に 要 求 す る 金 銭 の よ う な も の) を 求 め る と い っ た 問 題 が 起 き て お 90 ) り 、 こ れ ら の 敷 金 や 予 約 賃 料 等 を 授 受 す る こ と は 先の土地法一二章六五条一項一文に該当し、違法とされる。このような闇市場を野放しにしておくと、政府や地方 自治体が住宅需給調整をすることができず、また、詐欺被害が横行するおそれがあるため、土地法に罰則規定が設 けられているのである。 2   契約の期間中 ⑴   家屋の維持等に関する義務 ア   賃貸人による家屋の維持   賃貸人は賃貸借期間中、その地域の慣習に従って、家屋を、賃借人の契約目的を達成させることのできる状態に 維 持 し な け れ ば な ら な い (H L 一 五 条 一 項) 。 家 屋 の 全 部 も し く は そ の 一 部 を 居 住 目 的 で 使 用 す る 場 合 は、 賃 貸 人 は、当該地域での家屋の耐用年数や建築年数、使用形態に基づく合理的な期間において、壁紙を貼り換え、塗料を

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塗り、その他一般的に行われる修繕を施さなければならない (HL一五条二項) 。   賃 貸 借 期 間 中 に 賃 借 人 の 責 め に 帰 さ ざ る 事 由 に よ っ て 家 屋 が 損 傷 し た 場 合 (H L 一 六 条 一 項 一 号) 、 賃 貸 人 が か か る 家 屋 の 維 持 管 理 義 務 を 怠 っ た 場 合 (H L 一 六 条 一 項 二 号) 、 も し く は、 賃 借 人 の 責 め に 帰 さ ざ る 事 由 に よ っ て 家 屋 が 損 傷 し た 場 合 に は (H L 一 六 条 一 項 三 号) 、 賃 借 人 は 建 物 賃 貸 借 紛 争 処 理 委 員 会 ( Hyresnämnd ) と い う 建 物 賃 貸 借 紛争に特化した特別裁判所に対し、修繕命令を請求することができる。これに基づき、建物賃貸借紛争処理委員会 は賃貸人に対して、修繕命令、もしくは違約金による不具合の修繕命令をすることができる (HL一六条一項一文、 同条二項一文、同項二文) 。   ま た、 家 屋 が 最 低 限 受 容 で き る 基 準 (以 下、 「最 低 受 容 基 準」 と 呼 ぶ。 ) を 満 た し て い な い 場 合 に は、 賃 借 人 は 建 物 賃貸借紛争処理委員会に訴えることができ、同委員会は賃貸人に対して、家屋を最低受容基準に適合するよう必要 な 措 置 を 採 る 旨 の 改 善 命 令 を 出 す こ と が で き る (H L 一 八 b 条) 。 最 低 受 容 基 準 に 適 合 し て い る と い え る た め に は、 次の設備要件と構造要件を満たす必要がある。まず、設備要件としては、家屋に必需品が備わっていることが必要 と さ れ、 具 体 的 に は、 暖 房 及 び 上 下 水 道 設 備 (長 時 間 使 用 で き る 暖 房、 温 冷 水、 上 下 水 道) 、 一 般 家 庭 で 消 費 す る た め の 電 気 設 備、 保 健 衛 生 設 備 (ト イ レ、 浴 槽、 シ ャ ワ ー) 、 食 事 の 準 備 設 備 (コ ン ロ、 シ ン ク、 冷 蔵 庫、 食 料 保 管 場 所、 カ ウ ン タ ー) 、 洗 濯 設 備 が 条 文 で 挙 げ ら れ て い る (H L 一 八 a 条 六 項、 H L 一 八 a 条 七 項 一 号) 。 構 造 要 件 は、 防 火 装 置 や衛生面で構造的な不具合があってはならないとされる (HL一八a条七項二号) 。   な お、 多 く の 借 家 人 組 合 は、 賃 貸 人 と の 協 議 に よ っ て、 慣 習 に 従 っ た 賃 貸 人 の 家 屋 維 持 義 務 (H L 一 五 条 一 項) を排除してい ( 91 ) る 。これは、賃借人が修繕等をする代わりに、賃料を安くするか、後に賃貸人から修繕費用相当額が 支払われるとするものであり、公的な賃貸住宅ではほとんどの場合この協議がなされてい ( 92 ) る 。

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イ   賃貸人による家屋の改修   賃 貸 人 が 家 屋 の 修 繕 を 行 う に あ た っ て は、 修 繕 に よ っ て 影 響 を 受 け る 賃 借 人 に 対 し て 書 面 で 通 知 を し (H L 一 八 e 条 一 項) 、 賃 借 人 の 承 諾 も し く は 建 物 賃 貸 借 紛 争 処 理 委 員 会 の 許 可 を 得 な け れ ば な ら な い (H L 一 八 d 条 二 項) 。 当 該修繕の影響を受ける賃借人が修繕に対して承諾をしない場合には、賃貸人は、賃借人が通知を受け取った時から 二 箇 月 が 経 過 し た 後 に、 建 物 賃 貸 借 紛 争 処 理 委 員 会 に 修 繕 実 施 の 許 可 を 求 め る こ と が で き る (H L 一 八 e 条 二 項) 。 かかる許可を得るにあたっては、修繕を行う理由が、修繕を行わなければ賃借人の建物利用に支障をきたすという ものでなければならず、単に修繕を行うことによって建物の価値を高め、従前よりも高い賃料を得ることができる という場合には、許可はなされない (HL一八f条一項、同条二項) 。 ウ   賃貸人による家屋への立ち入り   賃 貸 人 は、 家 屋 の 劣 化 を 防 ぐ た め に 設 備 ( Förbättringsarbeten ) を 確 認 し、 も し く は 設 備 を 改 修 す る た め に 家 屋 に 立 ち 入 る 権 利 を 有 す る (H L 二 六 条 一 項 一 文) 。 賃 貸 人 が 設 備 を 改 修 す る 必 要 が あ る と 判 断 し た 場 合 に は、 改 修 を 行 う 一 箇 月 前 に 賃 借 人 に 対 し て 通 知 を し (H L 二 六 条 二 項 一 文) 、 改 修 を 行 う と き は、 賃 借 人 へ の 支 障 が 最 小 限 と な る よ う に し な け れ ば な ら な い (H L 二 六 条 三 項 一 文) 。 当 該 作 業 に よ っ て 賃 借 人 が 何 ら か の 損 害 を 受 け た と き は、 当 該 損 害 に つ い て 賃 貸 人 に 過 失 が な か っ た と し て も、 賃 貸 人 は 当 該 損 害 の 賠 償 を し な け れ ば な ら な い (H L 二 六 条 三 項 二 文) 。 賃 貸 人 が 家 屋 に 立 ち 入 る 権 利 を 有 す る に も か か わ ら ず、 賃 借 人 が 賃 貸 人 の 家 屋 の 立 ち 入 り を 拒 絶 し た 場 合 に は、 施 行 当 局 は 支 払 命 令 及 び 執 行 法 ( lag  om  betalningsföreläggande  och  handräckning  SFS1990:746 ) に 基 づ き、 賃貸人が家屋に立ち入ることを支援しなければならない (HL二六条五項) 。

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⑵   家屋の使用態様に関する義務 ア   利用目的の範囲内での家屋の使用   賃 借 人 は、 契 約 目 的 以 外 の 態 様 で 家 屋 を 使 用 し て は な ら な い (H L 二 三 条 一 項 一 文) 。 た だ し、 目 的 外 利 用 の 態 様 が 軽 微 で あ る 場 合 に は、 賃 貸 人 は こ れ を 理 由 と し て 賃 借 権 の 失 効 も し く は 更 新 拒 絶 を 主 張 し え な い (H L 二 三 条 一 項二文) 。 イ   家屋の維持管理   賃借人は賃貸借期間中、家屋及び家屋に備え付けられている物を良好な状態 ( Väl  vårda ) で維持しなければなら ない (HL二四条一項一文) 。そして、賃借人は安全、整然かつ良好な状態 ( Sundhet,  ordning  och  gott  skick ) に家屋 を維持するために、家屋の利用に係わる全てのものを管理しなければならない (HL二五条一項二文) 。   賃 借 人 は 自 ら の 作 為 も し く は 不 作 為 に よ っ て 生 ず る 損 害 の み な ら ず、 建 物 利 用 者 (世 帯 員、 客、 賃 借 人 の た め に 建 物 内 で 仕 事 行 う 者) に よ る 作 為 も し く は 不 作 為 に よ っ て 生 ず る 損 害 に つ い て も、 賃 貸 人 に 対 し て 賠 償 し な け れ ば な ら な い (H L 二 四 条 一 項 二 文) 。 な お、 家 屋 の 火 災 に つ い て の 責 任 は、 賃 借 人 が 注 意 義 務 も し く は 管 理 を 怠 っ た 場 合 にのみ負う (HL二四条一項三文) 。   賃 借 人 は 自 ら の 支 出 に よ り、 壁 を 塗 る か 壁 紙 を 貼 る か、 も し く は 類 似 の 処 置 を 採 る こ と が で き る (H L 二 四 a 条 一 項 一 文) 。 壁 を 塗 り も し く は 壁 紙 を 貼 っ た こ と に よ り 家 屋 の 利 用 価 値 が 減 少 す る 場 合 (例 え ば、 賃 借 人 が 壁 紙 に 替 え て ア ル ミ ホ イ ル を 使 い、 ま た 全 て の 壁 や 天 井 を 黒 く 塗 る と い っ た 場 合 な 93 ) ど 。) は、 賃 貸 人 は 当 該 損 害 の 賠 償 を 請 求 す る こ と が で き る (H L 二 四 a 条 一 項 二 文) 。 建 物 賃 貸 借 紛 争 処 理 委 員 会 は こ れ ら の 紛 争 に 関 し 決 定 を く だ す 権 限 を 有 す る (HL二四a条三項) 。

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ウ   関係当事者の監督   賃 借 人 は、 建 物 賃 貸 借 に 関 し、 土 地 法 上 の 責 任 を 負 う 建 物 利 用 者 (世 帯 員、 客、 賃 借 人 の た め に 建 物 内 で 仕 事 行 う 者) を適切に監督しなければならない (HL二五条一項三文) 。 エ   損害等発生時の対応   家屋に損害や不具合、害虫被害が生じた場合には、賃借人は賃貸人に対してその旨を即時に通知し、かつ、深刻 な 事 態 を 避 け る た め に 即 時 に 修 繕 を し な け れ ば な ら な い (H L 二 四 条 二 項 一 文) 。 ま た、 賃 借 人 は 賃 貸 人 に 対 し て 遅 滞 な く 家 屋 の 損 害 や 不 具 合、 害 虫 被 害 に 関 す る 情 報 を 通 知 し な け れ ば な ら な い (H L 二 四 条 二 項 三 文) 。 賃 借 人 が こ れらの義務を怠った場合には、 賃借人はかかる懈怠に基づく損害を賠償しなければならない (HL二四条二項四文) 。 オ   禁止行為   賃借人は、家屋の使用によって隣人が健康を害する、もしくは隣人が耐えられないほどの生活環境に関する苦痛 を与えないよう注意しなければならない (HL二五条一項一文) 。 ⑶   賃借権の譲渡及び家屋の転貸 ア   賃借権の譲渡   賃 借 人 は 賃 貸 人 の 承 諾 な く し て 賃 借 権 を 譲 渡 ( Överlåta ) す る こ と は で き な い (H L 三 二 条 一 項) 。 賃 貸 人 が 賃 借 人の譲渡承諾の申込みから三週間以内に返答しなかった場合、もしくは正当な理由なく賃借人の申込みを拒絶した 場合には、賃借人は賃貸借契約の解除通知をすることができる (HL三二条二項) 。   もっとも、賃貸人が賃借権の譲渡について承諾をしない場合でも、建物賃貸借紛争処理委員会が賃借人による賃 借権の譲渡が合理的な理由に基づくものであると判断して、賃借権譲渡の許可をしたときは、賃借人は、配偶者な

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ど 賃 借 人 本 人 と 永 続 的 に 同 居 す る 密 接 な 関 係 の あ る 賃 借 人 に 対 し て 賃 借 権 を 譲 渡 す る こ と が で き る (H L 三 四 条 一 項一文、二文) 。 イ   家屋の転貸   賃借人は賃貸人の承諾なくして家屋を転貸 ( Upplåta  lägenheten  i  andra  hand  till  annan  för  självständigt  brukande ) することができない (HL三九条一項) 。   もっとも、賃貸人から家屋の転貸についての承諾を得られない場合でも、建物賃貸借紛争処理委員会の許可があ れ ば、 賃 借 人 は 家 屋 の 全 部 を 転 貸 す る こ と が で き る (H L 四 〇 条 一 項) 。 か か る 許 可 は、 賃 借 人 が 年 齢、 健 康、 他 の 地域での一時的な仕事もしくは学業、長期間の国外滞在のような特別な家庭事情もしくはそれに類似する事情を有 しているために家屋を転貸する合理的な理由があり、かつ、賃貸人が転貸についての承諾を拒絶する正当な理由が ない場合になされる (HL四〇条二項) 。 ⑷   契約の修正 ア   賃料の修正   賃貸人が賃料を増額する場合には、賃貸借契約においてあらかじめ交渉条項を定めていたか否かにより手続きが 異なる。   まず、賃貸借契約において交渉条項を定めていた場合は、賃貸人は賃借人と交渉をしなければ賃料を増額させる こ と が で き な い (H F L 五 条 一 項) 。 賃 貸 人 が か か る 交 渉 を 怠 っ た と き は、 賃 貸 人 は 賃 借 人 に 対 し て 損 害 賠 償 責 任 を 負う (HFL二六条) 。   他方、賃貸借契約の中に交渉条項を規定していなかった場合は、賃貸人は賃借人に対して、要求する増額賃料賃

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料の総額、新賃料の効力発生日を示して通知しなければならず、賃借人が通知に記載された賃料増額について異議 を 唱 え な け れ ば、 当 該 増 額 は 契 約 内 容 と し て 合 意 さ れ た も の と み な さ れ る (H L 五 四 a 条 二 項 一 文) 。 賃 料 の 増 額 に ついて、賃貸人と賃借人の間において争いがある場合には、建物賃貸借紛争処理委員会は公平な賃料額を決定しな け れ ば な ら な い (H L 五 四 a 条 二 項 三 文、 五 五 条 一 項 一 文) 。 具 体 的 に は、 賃 借 し て い る 家 屋 と 同 等 の 利 用 価 値 ( Bruksvär ( 94 ) de ) を 有 す る 家 屋 の 賃 料 と 比 較 し て、 賃 借 し て い る 家 屋 の 賃 料 が 著 し く 高 額 で あ る 場 合 に は、 賃 料 額 は 公平でないものとされる (HL五五条一項二文) 。 イ   賃料以外の契約内容の修正   賃借人もしくは賃貸人が賃貸借契約期間中に、賃貸借契約における契約内容の変更を求める場合は、相手方に書 面 で そ の 旨 を 通 知 し な け れ ば な ら な い (H L 五 四 条 一 項 一 文) 。 当 事 者 間 で 当 該 修 正 に 関 し て 合 意 に 達 す る こ と が で きない場合には、変更を申し出た者は、相手方への通知をした後、一箇月経過後に、建物賃貸借紛争処理委員会に 対 し て 契 約 内 容 の 変 更 を 求 め る こ と が で き る (H L 五 四 条 一 項 二 文、 同 項 三 文) 。 同 委 員 会 が 契 約 内 容 の 変 更 事 項 を 認める決定をした場合には、当該変更事項は契約内容になったものとみなされる (HL五四条三項) 。   賃貸人と賃借人との間の争いが賃料増額以外の契約内容に関するものである場合には、賃貸人もしくは賃借人に よって要求されている内容が、賃貸借契約の内容及び契約締結時以降の事情を考慮して公平なものでなければなら ない (HL五五条七項) 。

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3   契約の終了時 ⑴   期間の終了   建 物 賃 貸 借 は、 原 則 と し て 期 間 の 定 め の な い も の で な け れ ば な ら ず (H L 三 条 一 項) 、 借 主 の 終 了 通 知 に よ っ て 契 約は終了する。もっとも、当事者の合意により賃貸借契約に期間を定めることができ、他の合意がない限り、期間 の 定 め の あ る 契 約 は 賃 貸 借 の 期 間 満 了 時 に 終 了 す る (H L 三 条 二 項 一 文) 。 賃 貸 借 期 間 が 連 続 九 箇 月 以 上 で あ る 場 合 には、賃貸借期間に期間の定めがあるかないかにかかわらず、賃貸人は契約を終了させるにあたり、終了通知を行 わなければならない (HL三条二項二文) 。   通 知 は、 原 則 と し て 書 面 で な さ れ な け れ ば な ら な い (H L 八 条 一 項 一 文) 。 当 該 通 知 は 通 知 の 日 か ら 三 箇 月 間 効 力 を有するため (HL五条一項) 、その期間内は賃貸借契約は存続する (HL八条一項一文) 。   賃貸人が終了通知をなした後に、賃貸借契約の更新に関する紛争が生じた場合には、賃貸人が賃貸借期間終了後 一箇月以内に建物賃貸借紛争処理委員会に訴えない限り、もしくは賃借人が賃貸借期間終了時に家屋から退去して いない限り、当該通知は効力を有しない (HL四九条一項) 。   契約が終了し、賃借人が家屋から立ち退く場合には、賃借人は当該家屋を賃貸人に返還しなければならず、賃貸 人 は 当 該 家 屋 の 取 戻 権 ( Återta ) を 有 す る (H L 二 七 条 一 項) 。 賃 借 人 が 当 該 家 屋 か ら 立 ち 退 い た 後 も し く は 立 ち 退 かされた後に家屋の中に賃借人の家財道具等の財産が残され、かつ、賃借人が請求を受けてから三箇月以内もしく は退去から六箇月が経過しても当該財産を取り除かない場合には、賃貸人は賃借人であった者から、当該財産を対 価を支払わずに取得することができる (HL二七条二項) 。

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⑵   権利の失効   次の場合には、原則として、賃借人の賃借権は失効したものとみなされる (HL四二条一項) 。   ①一箇月以上賃料の不払いがあり、かつ、これを許可する建物賃貸借紛争処理委員会の決定がないこと、②賃貸 人の同意や建物賃貸借紛争処理委員会の許可を得ずに賃借権を譲渡し、その後、遅滞なく賃貸人の同意を得るか、 もしくは委員会の許可を得なかった場合、③契約により定めた使用方法とは異なる方法で家屋を使用し、もしくは 家屋の使用権限のない者に家屋を使用させた場合、④賃借人もしくは転借人の懈怠によって害虫被害が生じている にもかかわらず、賃貸人にこの旨を通知せず、そのために害虫被害の拡大をもたらした場合、⑤賃借人もしくは転 借人による家屋の使用によって隣人への迷惑行為がおこなわれているにもかかわらず、それを無視し、もしくは必 要な監督をせず、かつ、適切な措置をとるよう要求されているにもかかわらず直ちに適切な措置をとらなかった場 合、⑥賃借人が賃貸人から家屋の立ち入りを求められたにもかかわらず、正当な理由なくこれを拒絶した場合、⑦ 契約にて、土地法第一二章に規定されている義務以外の義務が当事者の合意によって賃借人に発生しており、当該 義務を履行することが賃貸人にとって契約の本質的な要素であるとみなされる場合に、当該義務の履行を賃借人が 怠ったとき、⑧家屋の一部もしくは全部が重大な犯罪行為に使用された場合、又は一時的な売春の場として使用さ れたとき。   賃貸借契約が賃借権の失効のために終了する場合には、賃貸人はそれによって生じた損害の賠償を請求すること ができる (HL四二条六項) 。   ただし、次の事由に該当する場合には、例外的に賃借権は失効しない。   ① な い し ⑧ に つ い て は、 賃 借 人 の 不 当 性 が 軽 微 で あ っ た 場 合 (H L 四 二 条 五 項) 、 ① ③ ⑤ ⑥ に つ い て は、 賃 貸 人 が

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終 了 通 知 を す る 前 に 賃 借 人 が 適 切 な 措 置 を と っ て い た 場 合 (H L 四 三 条 一 項 一 文) 、 ④ ⑦ ⑧ に つ い て は、 賃 貸 人 が 当 該行為を知ってから二箇月以内に終了通知をしなかった場合 (④⑦についてはHL四三条一項三文、⑧についてはHL 四 三 条 二 項) 、 ② に つ い て は、 賃 貸 人 が 当 該 行 為 を 知 っ て か ら 二 箇 月 以 内 に 適 切 な 措 置 を と ら な か っ た 場 合 (H L 四 三 条 一 項 三 文) 、 ① に つ い て は、 居 住 目 的 の 賃 借 人 が 支 払 い 期 限 に 賃 料 を 支 払 わ な か っ た た め に 賃 貸 人 が 賃 貸 借 契 約 を 終 了 さ せ て 一 度 は 賃 借 権 を 失 っ た 場 合 で、 賃 借 人 が 三 週 間 以 内 に 賃 料 を 支 払 っ た と き (H L 四 四 条 一 項 一 号) である。 ⑶   権利の更新   建物賃貸借の期間を自動更新する権利 ( Rätt  till  förlängning ) は、強行法的性質を有する権利として捉えられてい る。そのため、自動更新権が含まれないことにつき建物賃貸借紛争処理委員会による許可がある場合を除き、自動 更新に関する規定を含まない旨の合意は無効となる (HL四五a条一項) 。   も っ と も、 賃 借 権 が 失 効 (H L 四 二 条 一 項 各 号 参 照) し た 場 合 (H L 四 六 条 一 項 一 号) 、 賃 借 人 が 更 新 が 認 め ら れ な い ほ ど 重 大 な 契 約 違 反 を 犯 し た 場 合 (H L 四 六 条 一 項 二 号) 、 建 物 が 破 壊 さ れ て 大 き く 変 形 し、 か つ、 賃 借 人 に と っ て 賃 貸 借 契 約 が 終 了 す る こ と に つ き 不 公 平 で な い 場 合 (H L 四 六 条 一 項 三 号) に は、 自 動 更 新 す る 権 利 は 否 定 さ れ る。自動更新に関する紛争が賃貸借契約終了時に解決していない場合には、賃借人は建物賃貸借紛争処理委員会に よる最終的な決定がなされるまで当該家屋に留まる権利を有する (HL五〇条一 ( 95 ) 項) 。

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