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保育所待機児童問題の現状と課題についての一考察

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保育所待機児童問題の現状と課題についての一考察

A Study of the Present Problems on the Children of the Waiting Lists

in the Nursery School’s Admission

稲 葉 光 彦

INABA Mitsuhiko

はじめに

 保育所に入れない待機児童についてが社会的に大きな問題となっている。特に全国の都市部の自治体 では待機児童解消の対応に躍起である。厚生労働省は、平成 25 年 4 月 1 日の待機児童数は 22,741 人で 3 年連続減少しており、低年齢児の 0 ~ 2 歳の待機児童数が 18,656 人で全体の約 82.0%を占めている。 保育所を利用する児童は 2,219,581 人で、前年とくらべて 42,779 人増加している。待機児童がいる市町 村は 340 自治体で、50 人以上の待機児童をかかえている市町村は 101 で、100 人以上の待機児童をかか えている自治体は 64 市町村である。その中で、都市部である首都圏の埼玉・千葉・東京・神奈川・近 畿圏の京都・大坂・兵庫の 7 都道府県及びその他の政令指定都市・中核市の合計は 18,267 人で、全待 機児童の 80.3%を占めていることについて公表した。待機児童の問題は昭和 55 年から減少傾向にあっ たが、平成 7 年から上昇傾向に転じ、再び保育需要が増大することにより、社会的な大きな課題となっ ている。  わが国の児童福祉法第 39 条において、保育所は日々保護者の委託を受けて、保育に欠ける児童の保 育を行うという保育所の目的を規定している。そして、児童福祉法第 24 条において、保育の実施に対 して「市町村は、保護者の労働又は疫病その他の政令で定める基準に従い条例で定める事由により、そ の監護すべき乳児、幼児又は第三十九条第二項に規定する児童の保育に欠けるところがある場合におい て、保護者から申込みがあったときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない。ただ し、保育に対する需要の増大、児童の数の減少等やむを得ない事由があるときは、家庭的保育事業によ る保育を行うことその他の適切な保護をしなければならない。」と定められており、実施業務は市町村 に課されている。第 40 条においては、「児童厚生施設は、児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与え て、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする施設とする。」と定められている。  そして、児童福祉法第 45 条の規定に基き、昭和 23 年 12 月 29 日厚生省令 63 号において、保育所の 設備及び運営に関する基準は、「第三十二条 一.乳児又は満二歳に満たない幼児を入所させる保育所 には、乳児室又はほふく室、医務室、調理室及び便所を設けること。二.乳児室の面積は、乳児又は前 号の幼児一人につき一.六五平方メートル以上であること。三.ほふく室の面積は、乳児又は第一号の 幼児一人につき三.三平方メートル以上であること。四.乳児室又はほふく室には、保育に必要な用具 を備えること。五.満二歳以上の幼児を入所させる保育所には、保育室又は遊戯室、屋外遊戯場(保育

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- 2 - 所の付近にある屋外遊戯場に代わるべき場所を含む。次号及び第九十四条第二項において同じ。)、調理 室及び便所を設けること。六.保育室又は遊戯室の面積は、前号の幼児一人につき一.九八平方メート ル以上、屋外遊戯場の面積は、前号の幼児一人につき三.三平方メートル以上であること。七.保育室 又は遊戯室には、保育に必要な用具を備えること。」等について最低基準が定められた。しかし、平成 23 年に「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法 律」が公布され、平成 24 年 4 月 1 日施行により児童福祉法 45 条等の一部が改正された。その改正の概 要は、(1)児童福祉施設最低基準の省令の名称変更等 児童福祉法第 45 条第 1 項により都道府県等が 条例を定める際の同条第 2 項に規定する厚生労働省令で定める基準については、「児童福祉施設の設備 及び運営に関する基準」(以下「設備運営基準」という。)と称することとし、児童福祉施設最低基準の 省令の名称も「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に改正する。(設備運営基準題名及び第 1 条第 1 項)なお、児童福祉法第 45 条第 1 項により都道府県等が条例で定める基準については、最低基 準と称することとする。(設備運営基準第 2 条)(2)設備運営基準の区分(設備運営基準第 1 条第 1 項) 児童福祉法第 45 条第 2 項に規定する設備運営基準は、「従うべき基準」①及び「参酌すべき基準」②に 区分された。以上のように、保育所の基準の設定が、都道府県の条例に委任された。そして、「児童福 祉施設最低基準」の名称が「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」へと変更された。そして、全 国一律の基準は、「従うべき基準」と各地域ごとに実情に応じて異なる条例の内容を許容される「参酌 すべき基準」に区分された。都道府県が「従うべき基準」として条例で定めるものは居室の面積基準、 人員の配置基準、人権に直結する基準等である。居室の面積基準については、昭和 23 年に制定された 基準と同じである。しかし、平成 26 年度末までの特例措置として、待機児童の多い地域においては、 待機児童解消のためには面積基準の緩和が必要とされ、国の基準を下回る基準を条例で策定することが できるようになっている。人員の配置基準としては、設備運営基準の第 33 条第 1 項において、「保育所 には、保育士、嘱託医及び調理員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する施設に あたっては、調理員を置かないことができる。」とされ、第 33 条第 2 項において「保育士の数は乳児お おむね 3 人につき 1 人以上、満 1 歳以上満 3 歳に満たない幼児おおむね 6 人につき 1 人以上、満 3 歳以 上満 4 歳未満の幼児については、おおむね 20 人につき 1 人以上、満 4 歳以上の幼児については、おお むね 30 人に 1 人以上と規定されている。 ①従うべき基準については ①児童福祉施設に配置する従業者及びその員数について、都道府県等が条例を定めるに当たって従うべき基準として、設備運営基準第 1 条第 1 項第 1 号に定める規定による基準 ②児童福祉施設に係る居室及び病室の床面積その他児童福祉施設の設備に関する事項であって児童の健全な発達に密接に関連するものとして厚 生労働省令で定めるものについて、都道府県等が条例を定めるに当たって従うべき基準として、設備運営基準第 1 条第 1 項第 2 号に定める規 定による基準 ③児童福祉施設の運営に関する事項であって、児童(助産施設にあっては、妊産婦)の適切な処遇の確保及び秘密の保持、妊産婦の安全の確保 並びに児童の健全な発達に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるものについて、都道府県等が条例を定めるに当たって従うべき基 準として、設備運営基準第 1 条第 1 項第 3 号に定める規定による基準 ②参酌すべき基準については   設備運営基準第 1 条第 1 項第 4 号に定める規定による基準  ① 「 従うべき基準 」 とは、「 条例の内容を直接的に拘束する、必ず適合しなければならない基準であり、当該基準に従う範囲内で地域の実情に 応じた内容を定める条例は許容されるものの、異なる内容を定めることは許されないもの」である。(地方分権改革推進計画(平成 21 年 12 月 15 日閣議決定))よって、条例の内容は、法令の 「 従うべき基準 」 に従わなければならないものであり、本省令の 「 従うべき基準 」 を下回る内 容を定めることは許容されないが、当該基準に従う範囲内で、地域の実情に応じ「従うべき基準」を上回る内容を定めることは許容されるも のである。  ②「参酌すべき基準」とは、地方自治体が十分参酌した結果としてであれば、地域の実情に応じて、異なる内容を定めることが許容されるも のである。(地方分権改革推進計画(平成 21 年 12 月 15 日閣議決定))

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- 3 - 保育所の保育士配置基準の変化  保育士配置基準は、昭和 23 年の基準と比較して徐々に改善はあったものの、4 歳児以上は児童福祉 法が制定された当時のままである。保育所保育指針については、昭和 40 年に保育所保育ガイドライン として制定され、平成 2 年、平成 12 年、そして平成 20 年に 3 度目の改定が行われ、これまでは保育指 針は局長通知から厚生労働大臣による告示として定められ、規範性を有する基準としての性格を明確に している。保育所における保育の内容やこれに関連する運営等について定めたものである。この改訂の 中で保育の質を担保することが強調されている。  子どもや子育て家庭を取り巻く環境は大きく変化してきており、保育ニーズの多様化の中で、子ども の健康及び安全を確保し、子どもの生活や発達過程を見通し、保育の内容を組織的・計画的に実践する ことにより、子どもが生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期の中での保育の質の担保の 重要性についてとり挙げている。保育の質を高める仕組みとして、職員の資質向上のため、保育所職員 に求める専門性と人間性、職員の共通理解と協働性を高めることが示されている。また、保育の資質向 上のための施設長の責務についても明確化され、保育課程、指導計画に基づく保育士等による保育実践 の振り返りを重視し、保育の内容等の自己評価及び公表を努力義務として求められている。 待機児童解消加速化プランについて  厚生労働省は、このほど「待機児童解消加速化プラン」を取りまとめた。このプランは、待機児童の 解消に向けて、平成 25 年から平成 26 年を「緊急集中取組期間」とし、2 年間で約 20 万人分、平成 27 年度から平成 29 年度までを「取組加速期間」とし、保育ニーズのピークを迎える平成 29 年度までに合 わせて約 40 万人分の保育の受け皿を確保するため、自治体が行う保育所の整備や保育士確保などの取 組みに対して、国として出来る限り支援しようとするものである。平成 25 年から 26 年度の「緊急集中 取組期間」では、緊急プロジェクトとして 5 本の柱からなる支援パッケージにより、意欲のある地方自 治体を強力に支援する。その 5 本の柱の内容は、1)賃貸方式や国有地も活用した保育所整備 施設設 備費の積み増し、中でも都市部に適した賃貸方式を活用し、株式会社を含む多様な主体でスピード感を もった施設設備を推進し、都市部においては国有地を活用する。また、民有地に対しては、地主と整備 事業者を結びつけるよう民有地のマッチング事業導入をはかっていく。また、幼稚園預かり保育改修事 業、家庭的保育改修事業、認定こども園整備費等である。2)保育を支える保育士の確保 潜在保育士 の復帰を促進し、他業種への移転を防ぐための処遇改善について保育所運営費の民間施設給与等改善費 を基礎に、上乗せ相当額を保育所運営費とは別に交付する。私立保育所の保育士等とし、上乗せ相当額 を保育所に交付する認可外保育施設等で働く無資格者の保育士資格取得支援等を行う。また、保育士・ 保育所支援センターの設置を行う。再就職前の研修の実施支援を行う。3)小規模保育事業など新制度 の先取り 小規模保育、幼稚園での長時間預かり保育など、新制度を先取りして実施する。子育て家庭 等と適切な施設・事業の結び付けをはかって行く。グループ型小規模保育事業への運営費支援、幼稚園 で行う長時間預かり保育への運営費支援等を行う。4)認可を目指す認可外保育施設への支援 認可保 育所に移行する意欲のある認可外保育施設について、改修費、賃借料、移転費、資格取得費、一定程度 の基準を満たした施設への運営費等を国が支援し、質の確保された認可保育所へ 5 年間で計画的に移行 できるようにする。5)事業内保育施設への支援 助成要件を緩和する。その内容は「自社労働者の子 が半数以上いること」から「自社労働者の子どもが 1 人以上いること、かつ雇用保険被保険者の子が半

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- 4 - 数以上いること」に緩和することにより、地域の待機児童受け入れに活用することを容易にするため。 このように、今後「待機児童解消加速化プラン」の取組を強力に進め、保育所の受入児童数の拡大を図 ることともに、保育士の就業継続支援や保育士の処遇改善を図る。そして保育を提供するための延長保 育、夜間保育、病児・病後児保育などを支援していくことが検討されている。

横浜市の待機児童対策について

 横浜市の待機児童数は、過去 10 年間の中で増減を繰り返し、平成 20 年 702 名、平成 21 年 1,290 名、 そして、平成 22 年には全国で最も多い 1,552 人もの待機児童数となった。(図 1)そこで、横浜市こど も青少年局の中に緊急保育対策担当を組織し、具体的な施策を新たに実施して行くことが決められた。  現場の声を十分に活かすため、所管の管理職及び区役所で実際に子育て支援等に携わる職員や保育士、 建築士が加わり、既成概念にとらわれない発想のもと、待機児童解消に向けた対策の検討が行われた。  また、保護者、子育て支援関係者へのヒヤリングやアンケートの結果を分析し、待機児童発生のメカ ニズムについて検討された。経済的理由や自己表現による働きたい女性の増加とともに、育児の負担感 や養育の困難等により子どもを預けたい家庭の増加による保育ニーズがますます増大傾向にあり、保育 ニーズは週 4 日・1 日 4 時間以上ではなく、週 3 日・1 日 4 時間を希望する保護者が多い。しかし、保 育所の入所要件に満たないため、短時間の就労の希望が多い中で、受け皿となる一時預かりなどのサー ビスが不足しており、各々の状況に応じた保育サービスが選択できない状況になっている。そのため保 育所の制度に合わせて働き方を決めざるを得ない。また、認可保育所が他の代替サービスと比べ、長い 保育時間・給食提供、充実した職員配置等で安価 に利用できる認可保育所に集中して希望者が多 い。また、待機児童の約 9 割は 0 から 2 歳児の低 年齢児であり、特に 1 歳児が全体の約半数をしめ ている。その中で 4 歳から 5 歳児の定員に空きが 多い保育所が多く見られ、市立保育所の中で、駅 から遠く、交通の便が悪い、保育所の開所時間が 短く、長時間保育を希望する人は利用しにくく、 低年齢児の受け入れ枠が少なく年齢別の定員構成 がアンバランスであり、ニーズと定員がマッチし ていない状況にあることが判明され、地域におけ る保育ニーズの状況を把握した上で、定員変更を 行い、低年齢児の待機児童解消を図ることが決め られた。市立保育所の開所時間は小型園(7:30 ~ 18:30)、大型園(7:00 ~ 19:00)となって いるが、特に小型園については開所時間の延長を 図り、保護者の保育所選択の幅を広げる。保育所 の入所事務を改善することにより、本来は保育所 の入所申込みは随時受付を行っているが、待機児 童が多く年度途中の入所が難しい状況が続いてお 図1(横浜市こども青年局保育対策課資料) 応に社会福祉職の専門性を活かすため、入所事務の事務職への移管、委託化を行う。 保育サービス間の不公平感のない、適正な料金設定 認可保育所と認可保育以外の保 育所利用者間の負担の公平性の視点から、認可保育所の保育料を見直したりする。横 浜保育室の保育料軽減助成補助を拡充する。また、求職中の被保護世帯もしく非課税 ひとり親世帯に対して3 ヶ月間の保育料を全額補助したりする。待機児童対策として、 以上のような具体的な施策が打ち出され、本格的な取組が始まった。(図 2) 図1(横浜市こども青年局保育対策課資料)

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- 5 - り、入所予約制度を導入することにより、いつ入所できるかわからない不安から解消させる。これらの ことをふまえて、保育所整備を中心とした施策だけでは保育所待機児童解消には難しいのではないか。 基本的な問題解決にはつながらないのではないか、市民が必要と感じる内容の子育て対策を充実させる ことが必要と考え、社会資源を的確に利用し、選択性の高いメニューを揃えその情報提供や適切なメ ニューを案内する仕組、そして地域全体で子育てを支えあう協力体制の構築が必要と考え、平成 22 年 3 月に「量の提供」から「選択性の高い総合的対応」の具体的施策を中心とした「報告書」がまとめら れた。その内容は、保育所整備に加え、横浜保育室や家庭的保育など多様な保育サービスの展開 保育 施設を必要な場所へ整備する。保育所整備を特に進めたい地域を「緊急整備地域」として指定し、整備 費補助額を 1.5 倍に増額して整備を誘導した。保育所整備に適した市有地が不足しているため、整備可 能な民有地等と保育運営事業者をそれぞれ公募し、マッチングを行って整備を進めた。保育施設を整備 するのに適した物件を不動産業者から横浜市に物件情報を提供してもらい、運営事業者へ紹介した。横 浜保育室の整備が進まない、賃貸物件の賃料水準が高いみなとみらい地区などに対して家賃助成額を上 限 25 万から 50 万円に引き上げ、整備を促進した。NPO法人等が複数の保育者による小規模な保育を 行う家庭的保育事業をマンション等の賃借物件を使用して実施した。保育所と同様に、幼稚園でも働き ながら子どもを預けることができるように 7:30 ~ 18:30 までの預かり保育を実施する。一部の認可 外保育施設で行っている一時的な預かりに対し補助を行う。交通の便の悪い駅から離れた保育所に対し ては、駅近くに一時的に児童を預かる送迎 保育ステーションを整備し、空き定員がみ られる保育所へバスで送迎する取り組みを 始めた。定員割れがおきやすい新設園の 4・ 5 歳児保育室や既設保育園でも一時保育の 年間契約が可能になった。多様な保育サー ビスを、適切に保護者と結びつける 保育 サービスに関する相談を専門とした「保育 コンシェルジュ」を各区役所に配置し、子 育ての相談や一時預かりや幼稚園預かり保 育等など多様なサービス情報を提供するこ とにより、保護者のニーズと保育サービス を適切に結びつける。区役所の窓口や母子 手帳交付時に、多様な保育サービスを分か りやすく照会しているリーフレットを渡し たり、外国人保育所入所保留者に対して、 通訳により、多様な保育サービスの紹介を する。区を主体とする推進体制の整備 地 域を最もよく把握している区役所とこども 青少年局と区が連携しながら待機児童対策 に取り組み、保育所数および申込者数の増 加や、児童虐待対応に社会福祉職の専門性 図 2(横浜市こども青年局保育課資料)図2(横浜市こども青年局保育課資料) 待機児童関連予算について 待機児童対策に対して、財政面から積極的に支援を行った。平成 23 年は前年度よ り約44 億円増額し、128 億 4,100 万円を計上し、待機児童対策にあたり、4,006 人分 の受入枠を拡大した。その内訳は、認可保育所整備(2,566 人分)に 36 億 2,700 万円、 待機児童の多い 0~2 歳児を対象とし、横浜市で独自に認定している認可外保育施設 である横浜保育室整備(150 人分)に対して、5,900 万円、家庭保育福祉員(保育マ マ)整備(123 人分)に対して 4 億 7,700 万円、駅の近くに送迎保育ステーションを 整備し、定員に余裕がある園へ送迎、及び通園バスの購入費助成のために、1 億 7,800 万円、市立保育所の増改築や駐車場整備等に対して 10 億 7,400 万円、民間保育所の 更なる活用(400 人分)に対して 1 億円、横浜保育室運営費助成に 62 億 9,300 万円、 私立幼稚園の預かり保育の運営費補助(301 人分)に対して 8 億 3,000 万円、一時預 かりの拡充(99 人分)に対して 1 億 900 万円、事業所内保育施設の設置推進(40 人 分)に対して 4,600 万円、保育コンシェルジュの各区役所の配置に対して、4,900 万 円を計上した。平成 24 年度は 157 億 2,700 万円、平成 25 年度は 124 億 2,700 万円

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- 6 - を活かすため、入所事務の事務職への移管、委託化を行う。保育サービス間の不公平感のない、適正な 料金設定 認可保育所と認可保育以外の保育所利用者間の負担の公平性の視点から、認可保育所の保育 料を見直したりする。横浜保育室の保育料軽減助成補助を拡充する。また、求職中の被保護世帯もしく は非課税ひとり親世帯に対して 3 ヶ月間の保育料を全額補助したりする。待機児童対策として、以上の ような具体的な施策が打ち出され、本格的な取組が始まった。(図 2) 待機児童関連予算について  待機児童対策に対して、財政面から積極的に支援を行った。平成 23 年は前年度より約 44 億円増額し、 128 億 4,100 万円を計上し、待機児童対策にあたり、4,006 人分の受入枠を拡大した。その内訳は、認 可保育所整備(2,566 人分)に 36 億 2,700 万円、待機児童の多い 0 ~ 2 歳児を対象とし、横浜市で独自 に認定している認可外保育施設である横浜保育室整備(150 人分)に対して、5,900 万円、家庭保育福 祉員(保育ママ)整備(123 人分)に対して 4 億 7,700 万円、駅の近くに送迎保育ステーションを整備し、 定員に余裕がある園へ送迎、及び通園バスの購入費助成のために、1 億 7,800 万円、市立保育所の増改 築や駐車場整備等に対して 10 億 7,400 万円、民間保育所の更なる活用(400 人 分)に対して 1 億円、横浜保育室運営費 助成に 62 億 9,300 万円、私立幼稚園の 預かり保育の運営費補助(301 人分)に 対して 8 億 3,000 万円、一時預かりの拡 充(99 人 分 ) に 対 し て 1 億 900 万 円、 事業所内保育施設の設置推進(40 人分) に 対 し て 4,600 万円、保育コンシェル ジュの各区役所の配置に対して、4,900 万円を計上した。平成 24 年度は 157 億 2,700 万円、平成 25 年度は 124 億 2,700 万円 と大幅な予算を計上し待機児童対 策に取り組んでいる(図 3・図 4)。 図 3(横浜市こども青年局保育課資料) 図 4(横浜市こども青年局保育課資料) と大幅な予算を計上し待機児童対策に取り組んでいる(図 3・図 4)。 図3(横浜市こども青年局保育課資料) 図4(横浜市こども青年局保育課資料) 保育コンシェルジュ事業について 既成概念にとらわれることなく待機児童解消策の検討の中で、保育を希望する保護 者に対しての相談に応じることのできる人の必要性が検討された。その当時は横浜市 の区役所は保育事業に関係する担当部署がそれぞれ縦割りに分かれており、保育コン シェルジュを配置することにより一元的に管理することになった。保育コンシェルジ ュは市の非常勤嘱託員で、保育に関心があり、子育て中の方を応援したいという意欲 のある人で、保育士等の資格は特に求めていない。保育コンシェルジュは、保育サー ビスに関する専門相談員で、保育を希望する保護者の相談に応じ、認可保育所のほか、 横浜保育室や一時預かり事業、幼稚園預かり保育などの保育サービスについて情報提 供を行い、保護者ニーズと保育サービスを適切に結びつけることを目的とし、各区の こども家庭支援課に配置し個々のニーズに即したきめ細やかな対応が出来ることを目 的として設置した。利用者の最適な支援する橋渡しをする役割を担うことになり、そ の業務内容は、保育サービスの利用に関する相談業務 区窓口、電話、地域子育て支 援拠点等の出張先において、保育を希望する保護者の相談に応じ、個別のニーズや状 と大幅な予算を計上し待機児童対策に取り組んでいる(図 3・図 4)。 図3(横浜市こども青年局保育課資料) 図4(横浜市こども青年局保育課資料) 保育コンシェルジュ事業について 既成概念にとらわれることなく待機児童解消策の検討の中で、保育を希望する保護 者に対しての相談に応じることのできる人の必要性が検討された。その当時は横浜市 の区役所は保育事業に関係する担当部署がそれぞれ縦割りに分かれており、保育コン シェルジュを配置することにより一元的に管理することになった。保育コンシェルジ ュは市の非常勤嘱託員で、保育に関心があり、子育て中の方を応援したいという意欲 のある人で、保育士等の資格は特に求めていない。保育コンシェルジュは、保育サー ビスに関する専門相談員で、保育を希望する保護者の相談に応じ、認可保育所のほか、 横浜保育室や一時預かり事業、幼稚園預かり保育などの保育サービスについて情報提 供を行い、保護者ニーズと保育サービスを適切に結びつけることを目的とし、各区の こども家庭支援課に配置し個々のニーズに即したきめ細やかな対応が出来ることを目 的として設置した。利用者の最適な支援する橋渡しをする役割を担うことになり、そ の業務内容は、保育サービスの利用に関する相談業務 区窓口、電話、地域子育て支 援拠点等の出張先において、保育を希望する保護者の相談に応じ、個別のニーズや状

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- 7 - 保育コンシェルジュ事業について  既成概念にとらわれることなく待機児童解消策の検討の中で、保育を希望する保護者に対しての相談 に応じることのできる人の必要性が検討された。その当時は横浜市の区役所は保育事業に関係する担当 部署がそれぞれ縦割りに分かれており、保育コンシェルジュを配置することにより一元的に管理するこ とになった。保育コンシェルジュは市の非常勤嘱託員で、保育に関心があり、子育て中の方を応援した いという意欲のある人で、保育士等の資格は特に求めていない。保育コンシェルジュは、保育サービス に関する専門相談員で、保育を希望する保護者の相談に応じ、認可保育所のほか、横浜保育室や一時預 かり事業、幼稚園預かり保育などの保育サービスについて情報提供を行い、保護者ニーズと保育サービ スを適切に結びつけることを目的とし、各区のこども家庭支援課に配置し個々のニーズに即したきめ細 やかな対応が出来ることを目的として設置した。利用者の最適な支援する橋渡しをする役割を担うこと になり、その業務内容は、保育サービスの利用に関する相談業務 区窓口、電話、地域子育て支援拠点 等の出張先において、保育を希望する保護者の相談に応じ、個別のニーズや状況を把握し、適切な保育 資源、保育サービスの情報提供を行う。入所保留児のアフターフォロー業務保育所入所保留となった保 護者に対し、保育状況や意向確認等を行い、ニーズにマッチした認可保育所以外の保育資源、保育サー ビスの情報提供を行い、保育資源・保育サービスの情報収集業務 区内を中心とした保育資源や保育サー ビスの提供施設等と連携を図るため、入所状況、サービス利用状況等の情報を収集する。さらに、収集 した情報をデータ整理し、相談・案内時に情報提供できるツールとしてまとめる。このように、保育コ ンシェルジュをおくことにより、保護者の保育状況や意向が確認でき、ミスマッチが少なくなったとい われている。これまでは区役所窓口では認可保育所に関するものが中心であったが、保護者のニーズを 踏まえ一緒に考え寄り添うことにより、子育て支援サービス向上につながるとともに待機児童解消に大 きな効果を上げることが期待されている。今後、ますます子どもの預け方の選択肢も多様化していく中 での保育コンシェルジュの役割は増大してくると考えられる。 横浜保育室について  横浜市が独自に保育料・保育環境・保育時間等に一定の基準を設け、それらの基準を満たす施設を「横 浜保育室」として設定し、横浜市が助成する施設であり、3 歳未満児の定員が 20 人以上確保されている。 (3 歳以上児については受け入れる施設と受け入れない施設がある)3 歳未満児概ね 4 人に 1 人の保育従 事者を確保している。すべての施設で給食を実施している。平日 7:30 ~ 18:30、土曜日 7:30 ~ 15:00 が基本時間。また延長保育を行っている施設もあり、障がい児保育、休日保育、幼稚園に併設 している施設もある。 区役所の役割について  平成 21 年度までは、待機児童に関する分析は局が行い、区は局がまとめた待機児童数によって対策 を行っていた。そのため就学前児童数や入所申込の増減を予測することまでは難しかったため、待機児 童の実態は区によって大きく異なっており、区ごとの特性に応じた取組を実施することが必要だった。 そこで、区の役割の明確化と体制強化が行われ、区の特性を踏まえた効果的かつ総合的な施策を展開す るために、区政推進課を中心としてプロジェクトチームを設置された。各区ごとに保育ニーズが異なっ ており、施設整備が必要な地域や必要な保育施設の種類・量や新築の賃貸住宅情報の把握等地域分析を 区役所が主体となって取組む体制が明確に位置づけられた。

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- 8 - 多様な事業主体について  横浜市では、平成 14 年に、株式会社による認可保育所が初めて設置された。平成 25 年 4 月 1 日、株 式会社の認可保育所が 142 ヶ所設置された。企業参入を認めない自治体の中、民間企業に保育所の経営 を積極的に促した。保育所整備に適した市有地が不足しているため、整備可能な民有地と保育運営事業 者がそれぞれ公募し、土地マッチングを行って整備を行う。家庭的保育事業は 0 歳~ 2 歳児を最大 10 人の保育を行う、事業者に対しては、市が事業者に運営経費の助成や定期的な立入調査等を行っている。  自宅を改修して保育を行う個人型と、またNPO 型では保育の実施場合を事業者の所有物件に限らず、 マンションなどの賃貸物件での複数の保育者(保育ママ)による小規模な保育を実施している。NPO 型で使用できる物件は 1 階であることや保育室 1 部屋最低 9.9 ㎡以上であることが条件である。(図 5) 図 5(横浜市こども青年局保育課資料) 横浜市の待機児童の解消策について  国は待機児童問題について積極的に取り組んでいる 「 横浜方式 」 を先駆的な事例として、全国の自治 体のモデルとして高く評価している。横浜市は平成 22 年から平成 25 年の 3 年間明確な目標時期をきめ、 短期間で成果をあげるため、具体的な施策をかかげ、区ごとに待機児童発生状況を把握し、新たな発生 を防ぐプランを立て、必要な場所と量を見定めピンポイントで保育施設を整備した。そして、様々な情 報を基に総合的な取組を区局の連携をとりながら、待機児童対策が行われた。また、財政面からも大幅 な予算を計上し、積極的な支援を行った。具体的な施策として、認可保育所の新設整備とともに横浜保 育室や家庭的保育などの小規模で多様な保育施設を整備し、保育ニーズの高いエリアや駅ビルや賃貸マ ンションの一室を借りて開設している。中には量的拡大を急ぐあまり、鉄道高架下を利用しているのも あり、高架下なので電車の騒音や振動の問題をかかえている保育施設もあり、更なる待機児童解消のた め、保育所の面接基準の要件緩和について検討されているが、保育の質に関わる問題点からみても、十 分に検討する必要性がある。  保育コンシェルジュ設置については、待機児童対策のサポートとしての大きな役割を担ってきており、 各区での保護者の保育状況や意向を把握することができ、ミスマッチが少なくなったと言われている。 これまでは区役所窓口は認可保育所に関するものが中心であったが、保育コンシェルジュにより、横浜 保育室など認可保育所以外の保育サービスを紹介することにより、保護者のニーズを踏まえ、一緒に考 え寄り添うことにより、子育て支援サービス向上につながるとともに、今後ますます子どもの預かり方 の選択肢が多様化していく中での保育コンシェルジュの役割は増大していくと考えられているが、但し、 認可保育所に入りたかった人に対して、十分な意志を尊重した上で対応していくことの必要性がある。  横浜市においても、保育士不足が大きな問題になっている。今、保育分野の人材が定着せず、保育士 の育成が困難になり、職員間のコミュニケーション不足等の問題をかかえている。この問題は横浜市だ けの問題ではなく、国全体で考えていかなくてはいけない問題である。保育の質の確保をしっかりとやっ いる。自宅を改修して保育を行う個人型と、また NPO 型では保育の実施場合を事業 者の所有物件に限らず、マンションなどの賃貸物件での複数の保育者(保育ママ)に よる小規模な保育を実施している。NPO 型で使用できる物件は 1 階であることや保 育室1 部屋最低 9.9 ㎡以上であることが条件である。(図 5) 図5(横浜市こども青年局保育課資料) 横浜市の待機児童の解消策について 国は待機児童問題について積極的に取り組んでいる「横浜方式」を先駆的な事 例と して、全国の自治体のモデルとして高く評価している。横浜市は平成 22 年から平成 25 年の 3 年間明確な目標時期をきめ、短期間で成果をあげるため、具体的な施策をか かげ、区ごとに待機児童発生状況を把握し、新たな発生を防ぐプランを立て、必要な 場所と量を見定めピンポイントで保育施設を整備した。そして、様々な情報を基に総 合的な取組を区局の連携をとりながら、待機児童対策が行われた。また、財政面から も大幅な予算を計上し、積極的な支援を行った。具体的な施策として、認可保育所の 新設整備とともに横浜保育室や家庭的保育などの小規模で多様な保育施設を整備し、 保育ニーズの高いエリアや駅ビルや賃貸マンションの一室を借りて開設している。中 には量的拡大を急ぐあまり、鉄道高架下を利用しているのもあり、高架下なので電車 の騒音や振動の問題をかかえている保育施設もあり、更なる待機児童解消のため、保 育所の面接基準の要件緩和について検討されているが、保育の質に関わる問題点から みても、十分に検討する必要性がある。 保育コンシェルジュ設置については、待機児童対策のサポートとしての大きな役割 を担っていると言われている。各区での保護者の保育状況や意向を把握することがで き、ミスマッチが少なくなったと言われている。これまでは区役所窓口は認可保育所 に関するものが中心であったが、保育コンシェルジュにより、横浜保育室など認可保 育所以外の保育サービスを紹介することにより、保護者のニーズを踏まえ、一緒に考 え寄り添うことにより、子育て支援サービス向上につながるとともに、今後ますます 子どもの預かり方の選択肢が多様化していく中での保育コンシェルジュの役割は増大 していくと考えられているが、但し、認可保育所に入りたかった人に対して、十分な 意志を尊重した上で対応していくことの必要性がある。 横浜市においても、保育士不足が大きな問題になっている。今、保育分野の人材が 定着せず、保育士の育成が困難になり、職員間のコミュニケーション不足等の問題を かかえている。この問題は横浜市だけの問題ではなく、国全体で考えていかなくては

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- 9 - ていく必要がある。待機児童解消のため、民間企業の導入をはかった。株式会社が運営する保育所は、 全国平均で 2%程度であるが、横浜市では 30%に上がっている。そして市内全体の 4 分の 1 を占めるま でになっている。民間企業に対しても社会福祉法人と同額の補助を出している。このように、民間企業 を保育所の経営に積極的に参入させたことにより、待機児童解消のための保育所整備が行われているが、 中には、民間企業が保育事業を行っている途中で突然撤退し、別の大手企業に事業が譲渡されたケース もある。また経営効率を優先することにより、保育の質が低下するのではないかという心配の声もあり、 民間企業の参入に対しては、より厳しい審査基準をもうけ、保育サービスの質を担保するためには、定 期的に情報開示を義務付け、開示情報が正しいかどうか第三者機関でチェックして行く必要がある。

大阪府堺市の待機児童対策について

 堺市は、大阪府泉北地域に位置し、人口は 840,016(平成 26 年 10 月 1 日)人で、保育所入所申込数 は毎年増加傾向にあり、平成 17 年度は保育所入所待機児童数は 752 人であったが、平成 26 年 4 月 1 日 現在における保育所入所待機児童数は、前年度の 62 人から 23 人に減少した。23 人のうち、1 ~ 3 歳児 が最も多い。待機児童の減少は、昨年度に実施した年齢の低い児童を対象とした受け入れ枠拡大などの 取組によるものと考えられる。引き続き今年度は、認定こども園5ヶ所の新設や認可保育所の増改築が 行われ、待機児童解消の対策が行われている。堺市は、待機児童解消として認証保育所を設けている。  認証保育所は、多様な保育ニーズに対応し、また利用者の利便を優先できる認可外保育施設である。 現在は市内に 20 ヶ所ある。認証保育は、堺市が定める基準を満たしているもので、その要綱は、法人 格であること、設置時に準備金が 600 万円市から補助され 0 歳~ 3 歳児で、定員は 20 人以上 45 人以下 で、市が人件費、管理費、事業費に対して補助をしている。保育従事職員のおおむね 2 分の 1 以上が有 資格者であればよいことになっている。認証保育所の運営は市からの補助金と保護者が直接支払う保育 料で行われている。(図 6・7)

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- 10 - 図 6(堺市子ども青少年局保育部保育推進課資料) 図 7(堺市子ども青少年局保育部保育推進課資料) 図6(堺市子ども青少年局保育部保育推進課資料) 図7(堺市子ども青少年局保育部保育推進課資料) 図6(堺市子ども青少年局保育部保育推進課資料) 図7(堺市子ども青少年局保育部保育推進課資料)

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おわりに

 現行の保育制度は大きく変わろうとしている。保育の量的な拡充や多様なサービスの充実を図ること が求められている。保育所は、様々な保育サービスを提供することが求められ、保育所に求められる社 会的役割はますます大きくなってきている。保育所への入所児童数は年々増加し、特に都市部において は顕著であり、各自治体は待機児童数を減らすことにのみ気を取られすぎている点が見られる。保育の 問題は待機児童解消がゴールではない。これまでは、待機児童の解消を重点課題におき、さまざまな施 策を実施してきた。保育所の最低基準が見直され、待機児童の多い地域においては、居室の面積基準が、 国の基準を下回る基準を条例で策定することができるようになった。また、保育所の定員の規制緩和に より、都市部は定員の弾力化を実施している。このような保育施策は「保育の質」の低下を招くとの懸 念がでている。待機児童解消のための施策は当然重要であることは言うまでもないが、「保育の質」の 担保、質の充実は保育・子育て支援にとって必要条件であり、「子どもの最善の利益」に基いて保育を 実施することが極めて重要なことである。適切な知識と技術をもった保育士とともに、適切な設置・施 設がととのった環境の下での子どもの最善の利益を保障して行かなくてはならない。「待機児童解消加 速化プラン」の中で、保育士の就業継続支援や処遇改善についてふれられているが、保育士不足も大き な問題であり、保育士の離職率が高く、労働環境の改善が必要である。保育の現場での非正規職員の増 加、変則労働勤務体型などの労働環境も厳しく、「子どもの最善の利益」を保障するためにも、質の高 い人材を確保するため保育士の給与等の待遇改善が急務である。早急に待機児童解消を達成するととも に、今後、誰もが希望する保育を受けられ、子どもの健やかな育成に社会全体で取り組み、すべての子 どもの将来を保障する体制を構築していくことが必要である。 参考文献 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課「待機保育所入異児童数(平成 25 年 10 月)」厚生労働省雇用 均等・児童家庭局保育課 2014 年 10 月 横浜市政策局政策課「調査季報」№ 172 横浜政策局政策課 2013 年 5 月 横浜市こども青年局保育対策課「横浜市の保育所待機児童対策」横浜市こども青少年局保育対策課 2013 年 11 月 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課「待機児童解消加速化プラン」厚生労働省雇用均等・児童家庭 局保育課 2014 年 9 月 社会福祉法人・東京都社会福祉協議会「保育所待機児童問題白書」社会福祉法人東京都社会福祉協議会 2010 年 12 月 普光院亜紀「日本の保育はどうなる」岩波書店 2012 年 6 月 中山徹編 大坂保育運動連絡会「これならできる待機児童解消」かもめ出版 2011 年 8 月 稲毛文恵 「 保育の質から見た保育所の現状と課題」(『立法と調査』№ 345)」2013 年 10 月

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参照

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