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図書館と著作権と資料の複写(番外編)

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Academic year: 2021

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(1)2013・. 281. 図書館と著作権と資料の複写 番外篇~引用と転載. 前回一旦 終了したこのシリーズですが、番 外篇と して、 「引用」と 「転載 」について、著作権 法と図書 館資料との関わりから、述べてみたいと思います。 思 想・感 情を表 現する著 作 物は、 多かれ少なか れ、 先 人の文化 遺 産を 母 体として生み出されるも ので す。 特 に 論 文 を 作 成 するには、 最 新 の 研 究、 調査などに依 拠しなければなりませんね。ただし、 その利用のしかたを誤ると、トラブルとなりかねま せん。そこで、 「 引用」と 「転載 」の知 識が必 要となっ てきます。. <適法引用の原則と条件>. <引用にも2種類ある>. →「変 更、切 除その 他の改 変を受けないものとす る」という第20 条に気をつけなければなりませんが、 一方、 引用作品自体 が主体 的 な 鑑 賞 対 象となって しまうと、問題になりかねません。 いずれにしても、思わぬトラブルを避けるために も、引用しようとする作品の出版元や所蔵図書館に、 事前に確認を取っておくと安心でしょう。 (ik). まず、適法引用の対象は「公表された著作物」で す。そこで、未公表著作物の引用は、認められませ ん。一方、著作権法第2条1項1号で定めた著作物以 外 の 物や権 利の目的とならない 物、著 作 権 保 護 期 間が切れている物は、自由に利用することができます。 著 作 権 法32条1項の「 公 正な 慣 行 に合 致 するも の」と「引用の目的上 正当な範囲内」という要件は、 谷 井精之 助氏の解釈(*註)によれば、三つの原則 と一つの条件があるとのことです。 第一原則:自分の著 作物が主→引用してくる他人 <引用と転載とは?> の 著 作 物は 従 であるという、 主と従の関 係 が 保 著作 者の権 利を守るための「著作権 法」ですが、 たれていること 文化発展に寄与するための公正利用に向けて、 「著 第 二 原 則:引 用 が 不 可欠→ その引用がないと自 作権を制限する条項 」 ( 第30 ~ 50 条)を定めてい 分 の 著 作 物 が成り立 たない、 というくらい の 必 ます。その中の第32条が、次の条文です。 然性が必 要 第三十二条 公 表された著 作物は、 引用して利用 第三 原 則:原 文のまま使 用する→原文のままで、 する こ と が で きる。 こ の 場 合 に お いて、 そ の引用 しかも必 要最小限であること は、 公正な慣行に合致するものであり、 かつ、 報 道、 条 件:出所明示→引用したすぐ側に、この引用は 批 評、 研 究その 他の引用の目的上正当な 範 囲 内 誰の何という著作物だという出所を明示すること で行われるものでなければならない。 この 原 則と条 件 に 関 する解 釈 はまちまちで す が、 2 国 若しくは 地 方公共団 体 の 機 関、 独 立行政 法 「出所明示」だけは、第48条で定められていますの 人 又 は 地 方独 立行 政 法 人 が 一 般 に 周知 させる こ で、必ず守るべきことと言えるでしょう。 と を目的 と して作成 し、 そ の 著 作 の 名義 の下に公 表する広報 資料、 調 査 統 計 資料、 報 告書 その 他 <楽譜の引用は?> こ れ に 類 する 著 作 物 は、 説 明 の 材 料 と して 新 聞 さて、 音 楽 に関 する論 文作成をめざ す皆さん の 紙、 雑 誌 そ の 他 の 刊 行 物 に 転 載 する こ と が で き 最 大 関 心 事 は、 「 楽 譜を 論 文 で引用するときは?」 る。 ただ し、 こ れを禁 ずる旨の表示があ る 場 合は、 ということでしょう。文献と同様に、著作権のある この限りで ない。 楽譜は、著作権 上の「適法引用」が可能です。上記 →この条文の 「引用」 と 「転載 」 を比較してみましょう。 の要件を満たせば、論文の中に引用して使うことが 共通点 : 「転載 」、 「引用」のいずれも著作権が制限 できます。 著 作 権 が 切 れた 楽 譜 は、 原 則としては される場 合であり、要 件を満たせば 著 作 権 者の許 自由利用 ( 広義の「引用」)が可能なのですが、楽譜 諾を得ずとも著作物を自由に利用できる。 の場 合、作曲者以 外にも著 作 権 者 があることが多 相違点 : 「転載 」は、あくまで官公庁の著作物を広 いので、編曲者等の著作 者の保護 期間が過ぎてい く利用させることや、迅 速な報 道に接することがで るかどうかのチェックを忘れないようにしましょう。 きるように認められた制 度 で「 説 明の材 料として」 また、楽譜の場 合、次のような問題があります。 用いることが必 要であるが、 厳しい 要 件を満たす ★ 著 作 権は切れていても、出版社や所蔵図書館か 必 要はない。ただし、著 作 権 者 が「転 載 禁 止 」の ら権 利を主張される場 合がある 表 示をした場 合 は、 認 められ ない。 一方、 「 引用」 →日本 国内では、出版社の版面権は法制 化されて は、公 表された著作物である必 要があるが、メディ いませんが、 海 外 の出 版 物には、 必ずしも国内 法 アや内 容 による限 定はない。 ただし、 後で 述べる が適用されないことがあります。また、図書館によっ 厳しい 要 件を満たす必 要がある。その 要 件を満た ては、所有 権 から、資 料 の複 製に際して許 諾が 条 せば、著作権 者が「転載 禁止」と表 示したとしても、 件とされる場 合があります。 引用は認められる。 ★同一 性保 持権の問題 論文作成に際しては、 「引用」の知 識が重要です が、広義の語 句上の「引用」と著作権 法上の「適法 引用」とがあることをまず知っておきましょう。 『広 辞 苑 』第6版によれば、 「引用」とは 自分 の 説 のよりど ころ と して他 の文 章や 事 例 ま た は古人の語 を引くこと。 「―文 」 とあり、単に 「他の文章や事例を引くこと」ですので、 自分 の言 葉 で要 約して引用したり、 出 所を 明 示 せ ずに引用することも含まれます。これに対し、上記 著作権 法第32条1項に該当する引用が「適法引用」 であり、 下記に述 べる要 件 を満たす必 要がありま す。著作権のある著作物は、 「適法引用」以 外の「引 用」をすることは、無断ではできませんので、ご注 意ください。. 9. <参考文献> 『クリエイター・編集者のための引用ハンドブック』谷井精之助ほか著 (大田出版) 請求記号⃝J88-126 (*註:p.14 ~ 20) 『学術論文のための著作権Q&A』新訂2版 宮田昇著(東海大学出版会) 請求記号⃝J113-126 『Q&A 引用・転載の実務と著作権法』北村行夫・雪丸真吾編(中央経済 社) 請求記号⃝J115-321 サイト:日本音楽学会ホームページ→機関誌→著作権に関するQ&A http://www.musicology-japan.org/publish/copyright_Q&A.pdf.

(2)

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