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管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策

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(1)

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策

──金融政策のジレンマと課題──

西 口 章 雄

はじめに

財政制度改革と金融政策の確立

短期財政資金融資制度(WMAシステム)導入の意義 直接的金融手段から間接的金融手段へ

流動性調整制度(LAF)の形成 金融政策のスタンス

経済改革下のマネタリー・ターゲティング・アプローチ

管理変動相場制下の金融政策

準固定相場制下の金融政策(1993. 4〜95. 9月)

パリティー・ルール為替相場制への移行 アジア通貨危機のインパクトと金融政策 ルピー不安の再燃

流動性の突出⇒収縮と金融政策(1999. 4〜2001. 3月)

財政政策と金融政策

「不可能な三位一体」

不胎化政策の限界──財政赤字融資と金融政策の両立は可能か?

銀行の金融仲介機能の相対的低下

現行マクロ経済政策の限界

マクロ経済運営の悪化と国際収支構造

財政・公企業改革──「見かけ倒しの約束事」か?

1990

8

月におけるイラクのクエート侵攻に端を発する湾岸戦争の勃発と,旧ソ連

・東欧諸国の市場経済への移行過程における政治・経済的不安と混乱は,中東諸国を含 めてこれら諸国と密な経済的関係を結んでいたインドを国際収支危機(経常収支赤字の 増大→巨額の外国短期資本の流出→外貨準備の枯渇→対外債務不履行の危機)へと陥れ ていった。この危機打開のためインド政府は,IMFから緊急金融支援を受入れ,これ と共に,1991年

7

月以降,IMFコンディショナリティ(構造調整計画)に基づいて矢 継ぎ早に(しかし段階的に)多分野・部門に亘る経済改革を推進してきた。この改革 は,従来の計画・統制経済体制からグローバル市場経済体制へとインド経済の体制的転 換(旧体制を支えてきた諸制度の抜本的変革・再編)を図るものである。本稿では,マ クロ経済政策(財政政策・金融政策・為替政策)次元の制度改革に焦点を当てて,3政

839)2

(2)

策の内的関連の実態を解明し,マクロ経済政策が抱えている問題の諸相と課題について 考察する。

財政制度改革と金融政策の確立

短期財政資金融資制度(WMAシステム)導入の意義:1980年代の後半,ラジーブ

・ガーンジー国民会議派政権下におけるインド産業の近代化・高度経済成長戦略は,巨 額の連邦政府財政赤字(=〈経常勘定歳入+海外贈与〉−〈経常勘定歳出+資本勘定支 出〉,負の残高)を伴って推進された。この赤字は,先ず資本勘定収入(海外借入+国 内借入)によって融資される。国内借入(インド準備銀行の長期国債引受+市場借入+

その他債務)は,主として法定流動性比率(SLR=政府証券・その他公認証券・現金/

銀行預金×100)規制に基づく指定商業銀行による国債購入(つまり政府による市場借 入)を通じて賄われた。このようにして

SLR

は,1990年代初頭に

39% にも達した。

資本勘定収入によって埋合わせできない赤字残高は,予算赤字(budgetary deficits)と 呼ばれ,中央銀行(インド準備銀行,以下,RBIと略称)によるインド財務省証券(予 め決められた割引率で発行される〈タップ方式〉割引短期国債,ad hoc TBsまたは

ad hocs

と呼ばれる)の引受けによって融資された。80年代後半になると,この

TB

は償 還期限のない「特別証

1

券」となった。

こうして

RBI

による

TBs

の引受け(RBIの対中央政府与信)は,「予算赤字の自動 的貨幣化」に連なった。1980年代の後半において

RBI

の対中央政府与信額は,マネタ リー・ベース(インドではリザーブ・マネーとも呼ばれている指定商業銀行の

RBI

預 金残高+現金通貨)の変動の圧倒的要因であり,貨幣供給量(Ms)の変動と物価騰貴 の主要因であった。この時期の金融政策における

RBI

の裁量的余地(もしあるとすれ ば)は,主として預金準備率(CRR)操作に限られていた。Msの管理は,行政的金利 の引上げ,信用割当の引締めなど行政的裁量に基づく直接的金融統制に拠るところ大で あった。

金融政策の最終目標は,物価の安定に置かれている。中央銀行は,公開市場操作

(OMO)やレポ・オペなどの様々な金融操作手段を駆使して金利などの操作目標に働き かけ,それを通じて中間目標である

Ms

の変動を管理し,最終目標の達成に努める。金 融政策がその固有の役割を担うための前提は,金融政策の財政政策(行政)からの自律 化(中央銀行の独立性の確立)にある。この方向への財政制度改革の第一歩が,次ぎの ような経過の下で踏出された。1994−95財政年度から向こう

3

年間に亘って段階的にな

────────────

M. Ramachandran, Fiscal Deficit, RBI Autonomy and Monetary Management, Economic and Political Weekly

(以下,EPWと略称),Vol. XXXV, No. 35 & 36, Aug. 26−Sept. 1/Sept. 2−8, 2000, p. 3267.

同志社商学 第54巻 第5・6号(23年3月)

6(840

(3)

されてきた予算赤字の削減措置を通じて,97年

4

月以降,ad hoc TB制度は短期財政資 金融資制度(Ways and Means Advances System.以下,WMAと略称)によって置き換 えられた。WMAの下で,特定の財政年度内における一時的な財政収支不均衡による決 済資金の不足分については,当該財政年度の前半と後半においてそれぞれ事前に定めら れた

RBI

からの借入限度額が明示されている。限度内の借入額は財政年度内完済が必 要である。限度を超えた借越分についてはペナルティが科せられる。

このようにして財政赤字融資のために必要な外部資金は,競争入札による国債(TB と中長期政府証券)の発行を通じて,すべて市場から調達(市場借入)しなければなら なくなった(予算赤字と貨幣化の制度的連鎖の切断)。WMA導入の意義は,正しく金 融政策の確立への制度的道筋を切開いたことに求められる。この意味で,それは「イン ドの財政・金融制度史における画期的事

2

件」であると評されている。

直接的金融手段から間接的金融手段へ:国債の競争入札制度の導入(1992−93年度以 降)は国債市場の活性化を促がし,後者は公開市場操作(OMO)やレポ(Repos : Repur-

chase Agreement

の略称−国債を担保とする短期金融取引。資金吸収レポ〈Repo〉と資 金供給レポ〈Reverse Repo〉からなる)などの間接的な金融操作手段の重要性を高めた

(因みに,貸付可能な銀行資金(預金)を

RBI

内にロックする

CRR

は,90年代初頭の

20% 程度から近年の 10% 以下へと低下している。SLR

39% から 25%)

。このよう な展開は,金利の自由化と連動して進行している。

インドでは,1975−76〜94−95年度を通じて「行政的金利体

3

制」が存在したと言われ る。指定商業銀行の貸付金利規制に関して,この期間内において

RBI

による上限・下 限規制→上限規制→下限規制へと推移した。1994年

10

18

日以降,20万ルピー以上 の貸付に関して金利が自由化された。また同年における優遇貸付レート(PLR)の導入 によって銀行は,各自の

PLR

を固定または変動レートでスプレッド(上乗せ金利)と 共に,自由に開示できるようになった(しかし,20万ルピー及びそれ未満の貸付に関 し

PLR

は上限金利を示す)。30日〜1年未満満期の定期預金に関する金利の上限が公定 歩合(Bank Rate)にリンクされていた(BRマイナス年率

2% ポイント)が,1997

10

22

日以降,預金金利は

BR

から切離され,銀行は

30

日及び

30

日以上の定期預金の 金利を自由に決められることとなった。上記のような諸措置を通じて

PLR

は,20万ル ピー以上の大口貸付に関し

BR

に連動して直接的に金利が決まる規制金利(最低限レー ト)ではなく,「諸銀行の指標レート」として作用し始めた。BRは,「1998−99年度に

────────────

Shankar Acharya, Macroeconomic Management in the Nineties, EPW, Vol. XXXII, No. 16, Apr. 20−26, 2002, p. 1533.

Govt. of India, Economic Survey 2001−02, 3 : Money and Banking Development,〈3. 14〉,Box 3.3.

最近における金利自由化措置については,Deba Prasad Rath, Does Money Supply Process in India Follow a Mixed Portfolio−Loan Demand Model?, EPW, Vol. XXXIV, Nos. 3 & 4, Jan. 16−22/23−29, 1999, p. 141.

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策(西口) 841)2

(4)

おいて,金融政策のスタンスを合図し銀行の

PLR

に影響を及ぼすのに有効に展開され

4

た」と。

流動性調節制度(LAF)の形成:1998年の春,RBIの一般的再割引窓口は新しい中

間的

LAF(ILAF)の導入に伴って,国債担保貸付制度(CLF)によって置換えられ

た。ILAFの下で銀行は,BRで

RBI

から

CLF

を利用できる。これ加えて銀行は,BR

2% の金利を上乗せして追加的 CLF(ACLF)にアクセスできる(事前に決められた

限度内で)。公認の国債取扱い業者であるプライマリー・ディーラー(PDs)もまた,

銀行と同じ条件で,それぞれ

LevelⅠ・LevelⅡの流動性融資を受けることができる。

ILAF

は,CLFと

RBI

によるレポ(固定金利)取引,輸出信用リファイナンス,OMO が結合されて,流動性調節・短期金利(コール・レート)安定化機能を果たすものと期 待された。即ち第

1

図のように,「固定金利レポが下限を与え,BRが上限を与える短 期金利の回廊」が設定され,この金利の回廊(一方ではレポ・レート〈5%〉と

BR〈7

%〉,他方では

BR

ACLF〈9%〉からなる 2

つの回廊)からはみだして,コール・レ ートが激しく変動(上昇あるいは下落)した場合,銀行は金利回廊にアクセスして活発 に金利裁定取引を行う。その結果,コール・レートはこの回廊内に安定す

5

る。

1991

年の夏以降,国債の競争入札制度の導入→ad hoc TBシステムの段階的廃止・金 利自由化→WMAシステムの導入→ILAFの形成は,インドにおける金融政策のフレー ム・ワーク確立への過渡的過程における金融制度改革の象徴的事象であるといえる

(2000年

6

月以降,ILAF と並んで,変動金利レポを備えたより弾力的な

LAF(

〈 均一 価格 に基づく変動金利レポ・オークション・システム〉が,機能し始め

6

た)。しかし

────────────

S. Acharya, op. cit., p. 1535.

K. Kanagasabapathy, Monetary Policy Underpinnings−A Perspective, EPW, Vol. XXXVI, No. 4, Jan. 27−Feb.

2, 2001, p. 307.

EPW Research Foundation, Toward a Full−Fledged Liquidity Adjustment Facility, EPW, Vol. XXXV, No. 20, May 13−19, 2000, p. 1693.

Ibid., p. 1691.

1 流動性調節制度(LAF)の展開

資料:RBI., Macroeconomic and Monetary Developments in 2000−02, RBI Bulletin, Supplement, May 2002, p. 77.

同志社商学 第54巻 第5・6号(23年3月)

8(842

(5)

今日尚,インドの金融政策には,「古い問題の幾らかとジレンマが残っている。特に金 融政策の効力は,過度に弛んだ財政政策と十分に反応しない金融システムによって拘束 され続けてい

7

る」。この問題については,Ⅲ章で検討する。

金融政策のスタンス:経済改革の実施以降,金融政策のスタンスは,物価安定の中間

目標として設定された貨幣供給量(Ms)の管理に置かれてきた(マネタリー・ターゲ ッティング・アプローチ。以下,MTAと略称)。RBIは,毎年度,中間目標として貨 幣供給量

M

3(=現金通貨+預金通貨〈普通・定期預金〉)を設定し,実質

GDP

の予想 成長率と 許容できるインフレ率 (5〜6%)から当該年度の

M

3を推定する。この場 合,貨幣需要の所得弾力性を反映する係数(一定期間の取引総量,または所得総量に対 する貨幣需要量を決定するパラメーター〈Ms=1/V・PQ〉式における

1/V)が安定的で

あると想定されている。V(貨幣の流通速度)と

Q(取引総量)は,実物経済的諸要因

によって決定され,短期的には変動しない。この想定が与えられれば,物価水準(P)

Ms

の変化と共に変動す

8

る。

かくして

RBI

は,商業銀行に対して

CRR

OMO・レポなどの政策手段を操作し

て,M3を目標値へ誘導する。つまり

MTA

の基本的スタンスは,商業銀行の

RBI

預金 残高(リザーブ・マネー。以下,RMと略称)の管理に据えられている。このアプロー チは,Ms=k・RM(kは貨幣乗数)式に基づいているので,「貨幣乗数アプロー

9

チ」と も称されている。kは,大衆保有の現金/預金比率と

CRR

によって決まり,短期的に は激しく変動しないとみられているので,RM が一義的に

Ms

を決定する関係にある。

このアプローチによれば,「Msは,厳密に中央銀行のイニシアティーブを通じて,即 ち金融市場の諸圧力(たとえば金利〈資産価格〉の変動による総需要の変動→Msへの 影響−カッコ内,引用者)に対して厳密に外生的な過程を通じて,増大す

10

る」。換言す れば,「RM の供給は,Msに関する上限を設定する。現実の

Ms

は,(銀行による)各 種債務(預金の受入れ,CDの発行などによる)のポートフォリオ選好によって,この 限度内で決定され

11

る」とみられている。

経済改革下のマネタリー・ターゲティング・アプローチ:MTAにおける

1/V

k

の 安定は,次のような前提に基づいている。①金利の硬直的で行政的な管理,②数少ない 金融資産(金融部門における重要な革新の不在),③国境を越える巨額の資本流出入の

────────────

S. Acharya, op. cit., p. 1535.

A. Vasudevan,①Analytical Issues in Monetary Policy in Transition, RBI Bulletin, Vol. LII, No. 1, Jan. 1998, p. 45.&②Some Practical Issues in Monetary Policy Making, RBI Bulletin, Vol. LIII, No. 1, Jan. 1999, p. 126.

Ibid.,①p. 47.

Deepak Mohanty & A. K. Mitra, Experience with Monetary Targeting in India, EPW, Vol. XXXIV, No. 3 & 4, Jan. 16−22/23−29, 1999, p. 127.

Deva Prasad Rath, op. cit., p. 139.

Ditto.

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策(西口) 843)2

(6)

欠如。1993−94年度を境にして,このような前提は急速に変化してきた。預貸金利の自 由化,オープン市場の発展(1989年:翌日物コール・レートに対する

10% の上限撤

廃,CD導入,1990年:CP導入と発行条件の漸次的緩和,1992年:TBの競争入札・

現先取引〈レポ〉開始)は,金融政策の効果波及経路に重要な変化をもたらす。硬直的 な貸付金利の下でコール・レートの変動は,銀行の金利裁定取引による貸付可能資金の コール市場への放出あるいは同市場からの資金の回収を通じて,産業部門への銀行貸付

→Ms→総需要(投資)→物価(P)へとその影響が波及する。ところが金利の自由化・

オープン市場の発展は,金融機関の金利裁定取引を通じて,短期金融市場間の連鎖と同 市場金利の均等化を促がす。更に短期金融市場金利と中長期債券市場金利が連動して変 動するようになる(期待に基づく金利の満期構造〈イールド・カーブ〉の形成)。

今日インドでは,91日物

TB

の利回りが短期金融市場の指標金利,10〜12年物政府 証券利回りが長期債券市場の指標利回りとして機能している。金融・債券市場の発展 は,機会費用に基づく総需要効果を含め,新たな金融政策の波及経路(市場金利→総需 要→Ms→P)を生み出す(これは貨幣需要の所得弾力性の低下に反映してい

12

る)。例え ば,債券市場における金利の上昇は,資金調達コストの上昇によって投資を抑制し,ま た資産価格の下落によって消費に負の影響を及ぼす。このように総需要の低下は,順 次,銀行貸付と

Ms

に対して負のインパクトとして作用する。

経済改革の過程における巨額で頻繁な海外資本の流出入は,底の浅い金融経済を持つ インドにおいて,国内流動性の激しい膨張と収縮をもたらし,その都度,国内物価や金 利,為替相場,国際収支・外貨準備高の変動を通じて,国内経済に厳しい影響を及ぼし てきた。海外資本のフローによって膨張・収縮する

RM・Ms

の管理(MTA)は,イン ドにおいて依然として金融政策の重要な課題である。しかし海外資本取引の漸次的自由 化と共に,国内金融構造の深化による新しい金融政策の波及経路の生成に着目して,金 融状況に応じた多角的な中間目標に配慮した金融政策の展開が求められている。このよ うな環境において,「ブロード・マネー(M3)成長は,尚,重要な情報変数として利用 されているが,インフレ率,金利,信用フロー,財政赤字,国際収支ポジションのよう なその他の指針が,総産出高(所得)と並置さ

13

れ」る「Multi−Indicators Approachに基 づく金融的操作枠組

14

み」の意義が,強調されてきている。金融政策のスタンスをめぐる 議論は,貨幣の需要関数の性格(安定的か不安定か)に関わって,RBIの内外で一層深 められていくであろうが。今日の段階では,貨幣の需要関数の不安定性を強調できるほ

────────────

A. Vasudevan, op. cit.,①p. 48.

Economic Survey 2001−02, 3:〈3. 8〉 S. Acharya, op. cit., p. 1535.

K. Kanagasabapathy, op. cit., p. 309.

D. Mohanty, et. al., op. cit., p. 131.

同志社商学 第54巻 第5・6号(23年3月)

0(844

(7)

どインドの金融構造は深化していないとみるのが,妥当であろ

15

う。

管理変動相場制下の金融政策

準固定相場制下の金融政策(1993. 4〜95. 9月):1993年

4

月からインドの為替相場 制度は,過渡期の二重相場制(公定レートと市場レートの並存)から変動相場制へ移行 した。変動相場制の下で為替相場は,建前上,市場における為替の需給に委ねられた が,為替相場の安定のために,直物相場が対ドル平価($1=Rs. 31.4)の辺りに安定す るように,RBIは絶えず相場動向を監視し,相場が平価から乖離した場合には,機敏に 市場介入を実施してきた(この時期の為替相場制は,事実上の固定相場制または準固定 相場制である)。為替相場の安定は,国際資本によるインドの経済改革(経常取引にお ける交換性の保証,直接投資における自動的承認ルートの設定・外国過半数持株の容 認,証券投資に対する漸進的自由化など)への積極的評価,物価安定・財政赤字削減に 向けられたマクロ経済安定化政策への信認,国際的金利差(相対的高レベルのインド国

────────────

C.ランガラジャン(元RBI総裁)は,インド経済における金融規制緩和が貨幣需要に及ぼす影響に関

し,RBI内の開発研究グループによって行われた研究に基づいて,次のように指摘している。「マネー とその決定要因,即ち為替レート,金利,インフレと実質産出高との間には,長期的関係が存在してい る。……インドにおける金融革新の程度・ぺースは,貨幣需要行動の安定性に影響するようなものでは ない」と。C. Rangarajan, Role of Monetary Policy, EPW , Vol. XXXII, No. 52. Dec. 27, 1997−Jan. 2, 1998, p. 3328.

1 国際収支 (単位:100万ドル)

1990−91 1993−94 1994−95 1995−96 1996−97 1997−98 1998−99 1999−00 2000−

貿易収支 経常収支 資本収支 外国援助 商業借款 IMF

非居住者預金 ルピー債務償還 外国投資

.直接投資

.外国機関投 資家

.ユーロ株式

・その他 その他フロー 総合収支

−9,438

−9,680 8,402 2,210 2,248 1,214 1,536

−1,193 103 97 0 6 2,284

−1278

−4,056

−1158 9,882 1,901 607 187 1,205

−1053 4235 586 1,665 1,984 2,800 8724

−9,049

−3,369 8,013 1,526 1,030

−1,143 172

−983 4,807 1,228 1,503 2,076 2,604 4644

−11,359

−5,910 2,974 883 1,275

−1,715 1,103

−952 4,615 1,954 2,009 652

−2,235

−2936

−14,815

−4,619 10,437 1,109 2,848

−975 3,350

−727 5,963 2,651 1,926 1,386

−1,131 5818

−15,507

−5,500 9,393 907 3,999

−618 1,125

−767 5,353 3,525 979 849

−606 3893

−13,246

−4,038 7,867 820 4,362

−393 960

−802 2,312 2,380

−390 322 608 3829

−17,841

−4698 10,840 901 313

−260 1,540

−711 5,117 2,093 2,135 889 3,940 6142

−14,370

−2,579 8,409 427 4,011

−26 2,317

−617 4,588 1,828 1,847 913

−2,291 5830 外貨準備の変動

(−増,+減) 1,278 −8,742 −4,644 2,936 −5,818 −3,893 −3,829 −6,142 −5,830 資料:Govt. of India, Economic Survey各年版より作成。

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策(西口) 845)2

(8)

内金利)と相俟って,1993〜95年中頃にかけて巨額の外国投資(直接投資・証券投資)

と海外短期資本(主として非居住者インド人〈NRI〉預金)をインドへ引き付けること となった−第

1

表,参照。この期間から

1996−97

年度に亘る

4

年間において,外資導 入によってもたらされたインド経済の高成長(GDPの年平均実質成長率

7.2%,工業生

産−9%)が持続した。

上記のように,巨額の外資の流入はルピー相場の高騰を招き,対ドル平価維持のため の

RBI

の介入操作は,外貨資産の蓄積(1993−94年度における対前年度増加率

123.4

%)と同時に,銀行の

RBI

預金(RM)の増大を通じて

Ms(以下,特記なき限り M

3

を意味する)の増大に連動した。ところで

1993−94

年度の連邦政府財政は,「重大な財 政的ズレ」(財政赤字が

GDP

6.4% へと目標値〈5% 以下〉から大きく乖離して急膨

張)を呈した。このズレによって急増した新発国債は,RBIによる引受け後,RBIの

OMO

を通じて銀行の

RBI

預金(RM)と交換された。その結果,同年度における

RBI

の対連邦政府与信額(純)(net RBI credit to the government)の対前年度増加率は,第

2

表のように,ただの

0.9% に過ぎなかった。この限り従来支配的であった財政赤字によ

RM→Ms

の増大経路は抑制された。とは言え,同年度の

RM

の対前年度増加率は,

25.1% と格段に高い(第 3

表,参照)。これは,RBIの外貨資産の急増から生じた

RM

→Msの増大経路に対する不十分な不胎化政策の結果である。

1993−94

年度における実質

GDP

成長率(対前年度)6.0% の下において,年率

19.3%

Ms

の増大は,RBIによる

Ms

の中間目標値

15.0〜15.5%(予想実質 GDP

成長率

6.5

〜7.0%〈インフレ率

5〜6%〉の下で)に比し相対的に高い。この傾向は,94〜95

年度

(実質

GDP

成長率

7.2%)においてもみられる。同年度において RBI

は外貨資産の増大

から生じる国内流動性の膨張に対処して積極的に

OMO

を展開するが,RMは

22.1%,

2 貨幣供給量(M3)の変動(A)

1000万ルピー 対前年度変動率%

19913月末 現在,残高

19923月末 現在,残高

19933月末 現在,残高

19943月末 現在,残高

19953月末 現在,残高

Ⅰ.M 3 1.現金通貨 2.預金通貨

Ⅱ.M 3の変動要因

1.RBIの対政府与信(純)

2.商業銀行の対政府与信

3.RBIの対商業部門与信

4.商業銀行の対商業部門 与信

5.外貨資産の変動(純)

277603 52591

*177839 88848 52525 6342 172392 10581

18.1 15.4 16.6 5.8 22.9 14.5 10.2 100.6

15.5 11.7 19.5 4.7 22

−14.3 16.4 15.2

19.3 20.9 16.8 0.9 35.5 3.6 7.7 123.4

17.5 22.8 17.2 2.2 13.3 2.2 20 44.7 注:*定期預金のみ。

資料:Economic Survey の各年度版より作成。

同志社商学 第54巻 第5・6号(23年3月)

2(846

(9)

Ms

17.5% の増大を示した。このように実質 GDP

に比して不釣合いに高い(目標レ ンジを越えた)Msの増大は,物価騰貴をもたらす一要因となった。WPIインフレ率

(1981−82年度=100とした

WPI

の対前年同月比)は

1993

4

月の

6.9% から 94

3

月の

10.5% へと二桁台まで上昇した。RBI

が金融引締政策を打出した

94

年夏まで,こ

の傾向は持続した。その後インフレ率は

8.9〜9.8% へと若干低下するが,同年 12

月か ら

95

4

月にかけて再び

10% 台に乗っ

16

た。投資ブームの初期段階において,「通貨の 拡大を窒息させない政策選択」によって,より踏込んだ不胎化政策には限界が画されて いたと言えよう。

パリティー・ルール為替相場制への移行:固定相場制の下において,巨額の外資流入

によって膨張する国内流動性に対する不徹底な不胎化政策は,物価騰貴を招き,実質実 効レートの増価による貿易収支の悪化は,1994・95年に亘って経常収支赤字の増大を もたらした。1995−96年度における産業活動の回復による輸入の増大は,先行きルピー 相場の下落を予想する輸出業者による輸出外貨収入のルピー決済の遅延,先物輸出契約 のキャンセルと共に,外貨に対する超過需要(ルピー下落圧力)の増大を招いた。非居 住者インド人(NRI)預金に対して為替リスクを負担している銀行は,先物市場でドル を手当てしてリスクをカバーし始めた。先物市場でドルが高騰(ルピーは下落)し,ル ピーの直先スプレッド(ルピー直物相場と先物相場の差〈年率〉)の拡大は,1995年の

4〜9

月にかけて外資の流出(外資流入〈純〉の大幅減)を促がすと同時に,NRIを始 めとしてルピー建て預金を持つ外国投資家をして,ルピー建て預金を引出して直物でド ルを買い,先物でドルを売るスワップ取引へと向かわせ

17

た。

────────────

Economic Survey 1995−96, p. 77.

3 リザーブ・マネーの変動

1000万ルピー 対前年度変動率(%)

1993年3月 末現在,

残高

1994年3月 末現在,

残高

1995年3月 末現在,

残高

1996年3月 末現在,

残高

1997年3月 末現在,

残高

1998年3月 末現在,

残高

1999年3月 末現在,

残高

1.RBIの対政府与信

2.RBIの対銀行与信

3.RBIの対商業部門与信

4.RBIの外貨資産(純)

5.政府の通貨債務

6.RBIの非通貨債務(純)

7.RM(1+2+3+4+5−6)

98449 9885 6220 22647 1824 28246 110779

0.9

−43.8 3.6 123.4 6.3

−7.8 25.1

2.2 142.6 2.3 44.7 19.5 12.8 22.1

19.6 63 4 3.9 0.3 10 14.8

2.3

−68.1

−8.9 28.4 16.6 8.9 2.9

8.8 1.3 31 30.9 6.9 22.8 13.1

##

12.9(−2.8)

86.9(26.6)

49.3(24.9)

28.8(15.6)

14.7(10.8)

39.7(16.0)

14.6 8.1)

注:2欄には国立農業・農村開発銀行に対する債権を含む。

3欄:同上銀行設立以降,銀行に対するRBIの再割引を除く。

##( )内は,20003月末現在における残高の対前年度変動率を示す。

資料:Economic Survey の各年度版より作成。

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策(西口) 847)2

(10)

以上のような事態の進行(ルピー直物相場の下落圧力の増大)を背景に,1995年

9

月を境にルピー名目相場(NER)は,93年

3

月末以来ロックされてきた$1=Rs. 31.4か ら,95年

10

月,Rs. 36.1→96年の初め,Rs. 36.63へと,RBIによる市場介入(ドル売 り・ルピー買い)を通じて小刻みな下落を繰返した(しかし外資流出→国内流動性収縮 期における市場介入は短期金利の高騰を招いた−第

2

図,参照)。この間,RBIはルピ ー相場の対ドル再調整水準を模索し,96年

2

月末にそれは

Rs. 34〜35

の辺りに落着い た(97年

7

月まで,このレートが維持されてきた)。

この再調整水準の模索において,ルピーの対ドル名目相場の変動を「適度に安定的な

18

REER」の持続可能なレンジ内に管理・調節する,新しい為替相場の管理システムが導

入された。このシステムには物価水準による為替相場変動レンジの調節(歯止め)機能 が内蔵されているので,それは

Real Target Approach

Parity Rule

,あるいは

REER

をガイドラインとする「為替レート動向を評価する参照システ

19

ム」と呼称されている。

────────────

7 この間の動向について,Ashima Goyal, Inflation, Exchange and Interest Rates−A Macroeconomic Rasho- mon ,India Development Report 1997, edited by Kirit S. Parik, p. 44,など参照。

C. Rangarajan, Indian Economy−Essays on Money and Finance, UBSPD, 1998, p. 243.

Renu Kohli, Capital Account Liberalisation−Empirical Evidence and Policy Issues−1, EPW, Vol. XXXVI, No. 14 & 15, Apr. 14−20, 2001, p. 1203, & p. 1206(注16)

2 銀行間コールマネー・レート

(1994−95 & 1995−96)

注:各週末金曜日。

資料:Economic Survey 1995−96, p. 74.

同志社商学 第54巻 第5・6号(23年3月)

4(848

(11)

以下では,第

3

Aに基づいてこのシステム下における為替相場の動向について概観す

る。

※第3Aの注──名目実効レート(NEER),実質実効レート(REER=NEER・インドの 物価水準/「主要輸出先国」物価水準)について──:NEERは,1992〜97年におけるイン ドの主要輸出先国への輸出総額に占めるそれぞれの輸出先国への輸出比率でウエイト(ドル のウエイトは50% 程度)を付けて構成された,「主要輸出先国」通貨バスケットのルピー当 りドル建て相場である。バスケット構成通貨に対するドル相場の変動(ドル高・安)と,ル ピーのドル建て名目相場の変動は,NEER・REERの増価あるいは減価を招く。ドルに対す るバスケット構成通貨の下落,ルピーのドル建て相場の下落はNEER・REERの減価をもた らす。REERは,「主要輸出先国」物価水準に対するインドの物価水準の相対的上昇(下落)

によっても増価(減価)する。第3図において各年度の実効レートは,基準年度(1993〜94 年度)における年度平均レートを100とした指数で示されている。指数の上昇はルピーの増 価(appreciation),下落はルピーの減価(depreciation)を示す。

パリティー・ルール制への移行後,1996−97年度において,REERの増価がみられる が,それは,同年度におけるルピーの対ドル名目相場($1=Rs. 35台)の安定と,ポン ドを除くバスケット構成通貨(第

3

A・B

の注,参照)に対するドル高による

NEER

の減価の下で,「主要輸出先国」物価水準にたいするインドの物価水準の相対的上昇に 起因している。1997−98年度において

REER

の年度平均値は一段と増価するが,同年 度の

9

月以降,アジア通貨危機の伝染によってルピーの名目相場はドルをはじめとして

「主要国」の全通貨に対して小刻みに下落($1=Rs. 36.4→12月以降の

Rs. 39

台へと)

し,同年度における

WPI

インフレ率の下落(対前年度同月比平均で,前年度の

6.3%→

4.8%)と相俟って,REER

は同年度末に向かって減価し,1993−94年度の平均値(95.51

%)へ接近した(同年度末〈3月末〉,REERは

93−94

年度の年度平均値の

8% 高)。1998

−99

年度

5

月以降,ルピー不安の再燃と共に,ルピーの対ドル名目相場は前年度末の

39.5

ルピーから

42

ルピー台へと下落し,6月〜次年度の

5

月にかけてこの新しい相場 水準に落着いた。RBIの直接的・間接的介入を伴った為替相場の市場ベースにおける調 節を通じて,REERは,同年度

12

月以降のインフレ率の低下(6.3%→5.0%)の下で,

同年度末には,前年度に比し

1993−94

年度の平均値の

6% 高まで減価した。1999−2000

〜2000−01年度において,REERは,ルピーの対ドル名目相場の小刻みな調整(切下

────────────

Renu Kohli, Aspects of Exchange Rate Behaviour and Management in India 1993−98, EPW, Vol. XXXV, No.

5, Jan. 29−Feb. 4, 2000, p. 369, p. 371.

S. S. Tarapore, Monetary Policy and Exchange Rate Management, Issues in Financial Sector Reforms, Part VII, UBSPD, 2000, pp. 197−208,参照。

ここでは,RBI内でのREERモニタリング・バンドの有効性をめぐる議論が紹介・検討されている。

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策(西口) 849)2

(12)

げ)と新しい名目相場水準の形成を通じて,低インフレ率の持続の下で,1993−94年度 の平均値と一層密な水準に維持されてきた(ちなみに

2000−01

年度の

6〜2

月における

REER

の平均値は,98.6%)。

以上にみられたように,パリティー・ルール制下の為替相場管理の目的は,「適度に

安定的な

REER」の維持に置かれており,安定的な REER

の維持は物価の安定を前提

とする。この意味で,金融政策と為替相場管理は,密接に絡み合っている。加えて,

「安定的な

REER」は,インドの金融政策のコンテクストにおいて,為替相場管理の観

念的・理念的な支柱であると同時に,為替相場変動のアンカーとして現実的に機能して

3 ルピーの名目・実質実効レートの動向(A)

1993−94=100(5ヵ国指数)

注:「5ヵ国」──アメリカ,イギリス,ドイツ,フランス,日本。

資料:Economic Survey各年版より作成。

3 ルピーの名目・実質実効レートの動向(B)

1993−94=100(10ヵ国指数)

注:「10ヵ国」──「5ヵ国」の他,オランダ,ベルギー,イタリア,スイス,オーストラリアを含む。

資料:Economic Survey各年版より作成。

同志社商学 第54巻 第5・6号(23年3月)

6(850

(13)

きたと言える。

ところで為替相場安定のための

RBI

による直接的市場介入は,RM・Msの変動を通 じて金利(金融資産の価格。為替相場は自国通貨建て外貨資産の価格である)・物価の 変動にはね返り,実体経済の動向に影響を及ぼす限り,その時期や程度に関する

RBI

の裁量が金融政策の効果を左右する。間接的介入は,CRRやレポ・レートなど金融政 策の操作手段を行使してなされ,金利・物価水準,実体経済の動向に対して間接的な影 響を与える。この限り,経済成長(経済政策の目標)の前提条件として為替の安定と物 価・金利の安定をいかに両立・調和させるかは,新しい為替相場メカニズムの下におい ても,問われている金融政策の基本的な課題である。以下では,この問題について,

1996

−97

年度以降の金融政策の展開過程の考察を通じて,見詰めていきたい。

アジア通貨危機のインパクトと金融政策:1996−97年度の前半に「予期せざるドラマ ティックな外資の流入」(97年

3

月末における外貨資産残高は,対前年度

3

月末残高比

28.4% 増)が生じ,96

4

月に流動性クランチを緩和する一連の措置が講じられ

た。外資の流入と金融緩和によって金融システムの中にもたらされた豊富な流動性(銀 行預金と

M

3の成長に反映−第

4

表,参照)は,RBIの

OMO

に呼応した銀行による大 量の政府証券投資(対政府与信)を通じて

RBI

内に吸収(不胎化)され,同時にその 一部(新発国債の

RBI

引受け分)は財政赤字融資に充当された(高率の財政赤字にも 関わらず

RBI

の対政府純与信額は対前年度残高比で

2.3% の増大に止まった)

。不胎化 の程度は財政赤字の規模,物価・金利水準,景気動向などに配慮した

RBI

の政策的裁 量による。

4 貨幣供給量(M3)の変動(B)

1000万ルピー 対前年度変動率%

1994年3月 末現在,

残高

1995年3月 末現在,

残高

1996年3月 末現在,

残高

1997年3月 末現在,

残高

1998年3月 末現在,

残高

1999年3月 末現在,

残高

2000年3月 末現在,

残高

Ⅰ.M3 1.現金通貨 2.預金通貨

Ⅱ.M3の変動要因

1.RBIの対政府与信

2.商業銀行の対政府与信

3.RBIの対商業部門与信

4.商業銀行の対商業部 門与信

5.外貨資産の変動(純)

448854 81983

*286240 99300 106791 6445 238219 54612

17.5 14.3 17.2 2.2 13.3 2.3 20.1 44.7

14 17 15.4 19.6 11.6 3.9 19.2 3.9

16.8 11.5 18.7 2.3 21.8

−8.7 9.9 28.4

16.8 10.9 20.5 8.9 18.9 31 13.4 30.9

20.8 15.8 22.4 12.9 21.2 49.3 15.4 28.8

##

15.5 16.4)

12.1 10.8)

17.5 18.8)

−2.8 3.8)

24.4 22.2)

24.9(−13.0)

17.7 15.3)

15.6 21.5)

注:##( )内は,20013月末現在における残高の対前年度変動率を示す。

*は,定期預金のみ。

資料:Economic Survey の各年度版より作成。

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策(西口) 851)2

(14)

1997−98

年度の第

1

四半期〜第

3

四半期においても,97年以降のルピー相場の不安 定化に関わらず,前年度において実施された

CRR

のカットの遅延効果,大規模な外資 流入と結びついた銀行システムの持つ預金の増加によって,豊富な流動性状態が続い

20

た。しかしアジア通貨危機による国際金融不安はインドにも浸透し,直物ルピー相場の 一層の下落を予想した国際投機資本による先物市場でのドル買いがはらみ,RBIによる ドルの先物売り介入に関わらず,先物ドル相場の高騰(ルピーの下落)によってルピー の直先スプレッドは,97年

7

月の

3.6% から 98

2

月の

14.6% へと拡大した。これに

先立ってインドでの資金運用益を上回る「スプレッド」の拡大を予想して,97年

12

〜98年

1

月にかけて外国機関投資家(FIIs)による投下資本の純流出が生じ

21

た。

98

1

16

日に

RBI

は,流動性を統御し為替市場への圧力を抑え込むため一連の 常套的な金融引締政策を採用した。この結果,同年

1

30

日に終わる

2

週間におい て,平均コール・レートは「歴史的高レベル」の

50% に達した。この高金利は,

「期待 に基づく金利の期間構造」を通じて全般的な高金利へと波及し,海外短期資金を呼込む と共に,近い将来の金融緩和・金利低下(債券価格の上昇)による債券売却益を期待す る

FIIs

資本の流入再開(98年

2

月〜3月にかけて)を促がした。為替市場も常態に復 した。外資流入は,金融緩和政策への転換と共に,国内流動性の増大を結果し,コール

・レートは「レポ・レートとバンク・レートによって与えられた金利回廊内に最終的に 落着い

22

た」。

ルピー不安の再燃:1998年

5

月におけるインド人民党(BJP)中心の連立政権による 核実験の強行は,いくらかの先進諸国による経済制裁と国際的格付け機関によるインド の信用格下げを招き,ルピー不安再燃→ルピー下落の引金となった。ルピー下落のイン パクトの波及経路(ルピー下落⇒ルピー・直先スプレッドの拡大⇒RBIのルピー買い介 入・金融引締政策⇒金利上昇⇒債券価格下落)を予想・懸念する外国投資家は,投資資 金の回収・海外移転を図るであろう。98年夏,FIIsによるかなりな資本流出(純)が 生じた。このような状況下で,8月央,アジア通貨危機はロシアに伝染し,ロシアを深 刻な金融危機へと追込んでいった。この出来事は,97年

12

月〜98年

2

月にみられたル ピーへの投機的圧力を再燃した。98年

1

月のように,RBIは金融引締政策をもって対 応した。金融引締は,外国為替市場を沈静化し

23

た。加えてこの事情は,インド政府のイ ニシアティブの下で,8〜9月にかけてインド国立銀行(SBI)によって成功裡に行われ たインド復興債(RIBs, 42億ドル)の起債によっている(RIBsは専ら非居住者インド 人の個人と団体向けの

5

年物国際債〈7.5% のドル建て金利〉である)。これによってイ

────────────

RBI., Report on Currency & Finance 1997−98, Vol. I, p. VI−2.

Tarapore, op. cit., p. 108 & S. Acharya, op. cit., p. 1530.

RBI., op. cit., p. VI−2.

S. Acharya, op. cit., p. 1530.

同志社商学 第54巻 第5・6号(23年3月)

8(852

(15)

ンドは,「急速に外貨準備を

4

月レベル以上へと引上げ,困難な状態におけるインドの 対外金融管理能力の信頼を相当に回復し

24

た」と言われている。

RIBs

の起債を通じて調達された資金の国内導入と結び付いて,国内〈定期〉預金残 高の高成長がみられる(1999年

3

月末現在の対前年度残高比で,22.4%〈前年度の同残 高比,20.5%〉−第

4

表,参照)。同表からみられる

Ms

の相対的に高い年間成長率(前

年度

16.8% に対して 20.8%)は,一部は,上記国内預金の成長に起因しているが,他

は,当該年度における高額の財政赤字融資に向けられた

RBI

の対政府与信(財政赤字 の貨幣化)を反映している。財政赤字の一部は,銀行の国債投資(対前年度比で

21.2%

〈前年度,18.9%〉)によって充当された。

流動性の突出⇒収縮と金融政策(1999. 4〜2001. 3月):1999−2000年度は,流動性の 突出によって特徴付けられている。その要因として次の事情が指摘されている。①RIBs による調達資金の国内滞留,②99−2000年度を通じて大量の外資流入(主として外国直 接投資とユーロ株式発行を通じた国際資本市場からの資金調達による),③99年

3

月以 降,CRRの引下げ。この背景で

RBI

は「未曾有の水準」の政府市場借入の成功裡にお ける完了と,安定的金融部門環境の形成(為替の安定・金利の低下〈外資の投機的流出 入の沈静化〉によって,「一組の多角的目的を達成でき

25

た」と評価されている。

────────────

Ditto.

EPW Research Foundation, Money Market : Interest Rate Disjunction, EPW, Vol. XXXV, No. 16, Apr. 15−21, 2000, p. 1336.

5 中央・州政府財政赤字(GDP比)

粗財政赤字 歳入勘定赤字 粗プライマリー赤字

1 2 3 4

1990−91 1991−92 1992−93 1993−94 1994−95 1995−96 1996−97 1997−98 1998−99 1999−2000 1990−2000

(平均)

9.4 7 7 8.3 7.1 6.5 6.4 7.3 8.9 9.4 7.7

4.2 3.4 3.2 4.3 3.7 3.2 3.6 4.1 6.3 6.2 4.2

5 2.3 2.1 3.3 1.9 1.6 1.3 2.2 3.7 3.8 2.7

注:1.両政府の統合粗財政赤字(GFD)は,中央政府GFDと州政府GFDの合計額か ら中央政府の対州政府純貸付額を差引いた残額。

2.歳入勘定赤字は,歳入勘定における両政府間取引の調整後における両政府の歳 入と歳出の差額。

3.粗プライマリー赤字は,両政府の統合GFDから金利支払額を差引いた残額。

資料:RBI., Annual Report 2000−01, p. 73.

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策(西口) 853)2

(16)

大量の外資流入・「未曾有の水準」の財政赤字(連邦・州政府統合財政赤字の

GDP

比,9.5%−第

5

表,参照)に関わらず,Msの年間成長率は

15.5% に止まった。この

相対的に低い

Ms

の成長率は,RMの

8.1% の低成長率を反映している。RM

の低成長 率は,RBIの対政府与信(純)のマイナス

2.8% 成長に主として起因している。この反

面で銀行の対政府与信は,98−99年度の

21.2% から 99−2000

年度の

24.4% へと,その

成長率を高めた。豊富な流動性を背景とする銀行の活発な国債投資が,財政赤字融資

(当該赤字の貨幣化抑制)と大量の外資流入から膨張する流動性の不胎化に貢献した。

1999・2000

年の両年を通じて原油の国際価格が上昇を続け,原油輸入のための外貨

負担の増大による外貨準備(2000年

4〜9

月にかけて)の減少を引金として,ルピーの 下落(2000−01年度初めのドル当り

Rs. 43.3

から,10月の

Rs. 46.4

へと)が始まり,5

〜10月にかけて大量の外資流出が再現し

26

た。この間,7月

21

日の金融引締措置に関わ らずルピー下落に歯止めが掛からず,8月

7

日に更なる引締措置が採られた。この措置 により,1日物レポ・レートは

8.25% から 12.50% へと上昇した(4

日物,10.0→14.50

%,翌日物

9.97→11.44%)

。8月を通じてコール・レートは,「未曾有の高いレポ・レー トによって主として動かされて,15% を超えて安定し

27

た」。この異常に高いレポ・レー トの下で,TBの競売は

8

月を通じて最低落札利回りの急激な上昇(最高落札価格の下 落)を結果した。しかし「金利と流動性分野における不安定性」は「政府証券への銀行 の明白な関心の喪

28

失」を招き,TBの競売における大量の札割れが生じ,大量の

TB

が 最終的に

RBI

とプライマリー・ディーラーによって買取られた。

大量の外資の流出による国内流動性の収縮によって,この時期の

RM

の増大は主と して

RBI

の対政府与信(純)の増加に起因している。市場借入を通じる財政赤字融資 のメカニズムは,国内流動性の収縮・金利の高騰・国債価格の下落・市場における不安 心理の浸透によって,機能不全に直面した。このようにしてインド政府は,10−11月に かけて

IMD(Indian Millenium Deposit)スキームの下で,非居住者インド人から 55

億 ドルの資金動員をなすに至った。IMDを通じて外資流入が始まり,これと共に

RBI

の 外貨資産が増大した。その結果として国内流動性の創出は,RBIをしてそのポートフォ リオから政府証券のかなりの部分を市場へ放出することを可能にした。これによって

RBI

2001

3

月末現在の対政府与信(純)残高は,前年度を上回る財政赤字(GDP

比で

9.7%)にもかかわらず,対前年度比で 3.8% の増加に止まることができた。

────────────

S. Acharya, op. cit., p. 1528.

Economic Survey 2000−01, 6:〈6. 7〉〈6. 8〉

EPW Research Foundation, Money Market : Bank Credit and the Economy, EPW, Vol. XXXV, No. 39, Sept.

23−29, 2000, pp. 3460−61.

Ibid., p. 3481.

同志社商学 第54巻 第5・6号(23年3月)

0(854

(17)

財政政策と金融政策

「不可能な三位一体」:Ⅱ章でみられたように,RBIの金融政策は,金融政策の自律化 の強調に関わらず,国家財政資金調達(財政赤字融資)に深い関わりを示してきた。財 政赤字融資の在り方は,国内流動性の動向によって左右され,後者は外資の流出入によ って左右されてきた。外資流出によってもたらされた流動性の収縮期に

RBI

は,国債 金利の安定と流動性の供給を図って,新発国債の引受け・第三者割当てに応じて,赤字 融資を続ける。外資の流入期には,国内流動性の改善を背景として

RBI

は積極的に

OMO

を展開し,RBI保有の新・旧国債の放出(銀行による対国家債権の肩代わり)がなさ れ,新発国債への直接的銀行投資と合せて,RBIの対政府与信(純)の削減(財政赤字 の貨幣化の抑制)と国内流動性の調節が図られてきた。

このように,RBIの金融政策の基本的スタンスは,恒常的な財政赤字を前提として,

一貫して

Ms(国内流動性)管理(Monetary Targeting Approach)に置かれてきた。この

アプローチの下で,「中間目標」である

Ms

の管理・調節を通じて,為替相場・物価・

金利の安定という金融政策の「最終目標」が追求されてきた。しかし以下のように,外 資の流出入に媒介された金融政策の効果波及経路において,三者の目標の達成は,相互 不調和(「不可能な三位一体」)の関係に置かれており,それ故に

RBI

の金融政策は,

この三者の絶えざる調整に追われ,その自律性は極めて限られたものであった。

外資流入期:対ドル・ルピー相場の高騰⇒RBIの市場介入(ドル買い・ルピー売り→

〈ルピー相場の安定〉)⇒RM・Ms膨張(→〈物価騰貴〉)⇒金融引締政策(→OMOによる 過剰流動性の不胎化→〈物価安定〉)⇒〈金利高騰〉(→国債利回り上昇〈国債価格下落〉)

⇒海外短期資本流入・投機的外国証券投資再開⇒国内流動性の増大・金融緩和政策

(〈金利下落・安定〉)⇒不胎化政策への回帰⇒……

外資流出期:内外からの政治・経済的圧力⇒ルピー不安・投機的圧力再燃(→ルピー 直・先物相場下落)⇒ルピー直先スプレッドの拡大(→「スプレッド」>国債金利差によ るキャピタル・ロス発生の危惧醸成)⇒外資流出加速⇒ルピー買い介入・金融引締(〈ル ピー相場安定〉)⇒国内流動性収縮⇒〈物価下落〉・〈金利高騰〉⇒外資流入(純)再開……

不胎化政策の限界──財政赤字融資と金融政策の両立は可能か?:以上の金融政策の

効果波及経路には,財政赤字による金融政策の拘束によって,さまざまな問題が投げか けられている。最近における財政赤字の目を見張る増大は,金融政策の効果に関して主 要な拘束であり続けている。以上でみられたような

OMO→銀行の国債投資を媒介とす

る流動性吸収・財政赤字融資メカニズムは,財政赤字残高が年々増大していく状況下で は,持続不可能である(国債金利上昇〈価格下落〉の危惧増大)。外資流出が急増(国

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策(西口) 855)2

(18)

内流動性が収縮)すれば,RBIは,国債金利の高騰をさけるため対政府与信の増大を通 じて財政赤字融資を図らざるを得ず,インフレの高進を招く恐れがある。RBIが融資を 手控えれば,市場(銀行)が金利上昇のリスクを負って未達国債を買取ることになる。

しかし

2000

8

月における

TB

の競売時にみられたように,「政府証券への銀行の明白 な関心の喪失」が生じれば大量の札割れを結果する。

外資の流入(流動性の膨張)期に

RBI

が,債券の公開市場販売を通じて過剰流動性 を不胎化し,Msを目標レンジ内に保つことに成功したとしても,金利への影響を通じ て「不胎化政策と結びついている落し穴」があると,次のように指摘されている。「こ のような不胎化操作は,債券の供給を増加し,金利変動を通じて一層の資本流入へと導 くかもしれない。これは,順次,通貨の増価を結果し,それによって外国為替市場への

RBI

介入の目的自体を危うくする。……更に継続的な不胎化は,一層高い金利を結果す るであろうから,不可能であろ

29

う」。加えて不胎化政策の金利効果は,次のように財政 問題に跳ね返る。「不胎化は外貨資産の国内資産との交換を含んでいるので,後者に関 する金利は,金利差から生じる中央銀行の損失を制限するために,高く維持されなけれ ばならない。……OMOは,それを通じて不胎化が短期金利にプレッシャーを及ぼす他 の経路であ

30

る」。このように,「不胎化は公的債務の増加に導く。国内債にとって有利な 金利差による準財政的コストと呼ばれているこれらのコストは,相当なものであろう。

1990

年代における銀行システムを経由した政府証券の商業銀行保有は,準財政的コス トの負担が全く高いことを示唆してい

31

る」。

銀行の金融仲介機能の相対的低下:周期的な外資流入(純)の急増と恒常的財政赤字

によって絶えずインド経済へ加えられる外生的インフレ圧力に対して,RBIが,レポ・

レートや

CRR

などの操作手段を行使して

Ms

の動向に影響を与える金融政策の操作変 数として,商業銀行の民間部門貸付を操作しているとして次のような指摘がなされてい る。「インフレを制御しあるいはマネタリー・ターゲットに執着するシナリオにおい て,変動させることができる唯一の変数が国内民間部門信用(貸付)であり,マクロ経 済管理を不能にするので,財政的抑制を求める強い主張があ

32

る」と。

前述したように,RBIの金融政策の進展と共にその有効性に関する議論(多角的指針 アプローチをめぐる)が台頭してきているとしても,今日尚,マネタリー・ターゲティ ング・アプローチが基本に据えられている(その背景として,インド経済が未だ成熟し た金融商品経済〈金利の変動が金融資産価格に影響し,それが総需要の変動を通じて

────────────

Renu Kohli, Capital Account Liberalisation──Empirical Evidence and Policy Issues──II, EPW, Vol.

XXXVI, No. 16, Apr. 21−27, 2001, p. 1348.

Ibid., p. 1347.

Ibid., p. 1348.

Ditto.

同志社商学 第54巻 第5・6号(23年3月)

2(856

(19)

Ms→物価へと波及するような)の域に達していないという事情が挙げられる)

。このス タンスの下で,金融システムにとって外生的な恒常的財政赤字と外資流出入による

RM

の収縮・膨張が

Ms

に与えるインパクトを,Msの目標レンジ内に制御することが,物 価安定を最終目標とする金融政策の基本的な課題とされてきた。

国内流動性が収縮する外資の流出(純)期には,国債価格(あるいは利回り)を維持 するために,新発国債の引受け・第三者割当てを通じて

RBI

の対政府与信が財政赤字 融資に充当される。このさい例えば,財政赤字の規模と供給状態(あるいは

GDP

予想 成長率)に配慮して,「赤字の貨幣化」によってインフレの高進が懸念される場合,イ ンフレ制御のための金融引締(民間部門貸付の抑制)政策が採られる(逆に,RBIの対 政府与信が流動性収縮の緩和剤となり,金融緩和政策が採られる場合もある−1998−99 年度第

1

四半期のように)。外資の流入(純)による国内流動性の膨張期には,RBIは 財政赤字の規模に配慮して,OMOを通じて

Ms

の目標レンジ内にその膨張を不胎化 し,且つそのレンジ内で金融緩和(民間部門貸付の緩和)政策が採られる。金融緩和の 程度は不胎化の程度(前述したように,RBIの政策的裁量に懸かる)による。このよう に

Ms

の目標レンジに拘束された

RBI

の金融政策において,外国為替市場と証券(国 債)市場の安定(為替レート・国債利回りの安定)が優先され,民間部門貸付はこのよ うな金融政策のクッション(RBIによって操作できる「唯一の変数」)とみられている。

以上のような金融政策の枠組みの下で,第

4

表(B)からみられるように,民間・公 営企業からなる 商業部門 への銀行貸付(株式・社債への投資を含む)は,銀行の対 政府与信(国債投資)に比して相対的に低下してきた。この傾向(商業銀行の金融仲介 機能の相対的低下)は,1997−98年度以降における工業生産の成長率の低下による 商 業部門 による信用需要の停滞を反映しているとは言え,両者は,成長適合的方向にお けるインド産業部門の再編成(とりわけ,ポジティブ・サムな銀行部門と企業部門の再 編成)への中・長期のマクロ経済戦略との連関を欠いた金融政策のあり方に深く根差し ており,この限りそれはマクロ経済政策の一環としての「金融政策を不能にする」ので

「重大な関心

33

事」である。

現行マクロ経済政策の限界

マクロ経済運営の悪化と国際収支構造:管理変動相場制下における金融政策(MTA)

は,金融システムにとって外生的な外資の流出入から生じる国内流動性の変動の管理を 通じて為替(REER)・物価の安定に寄与してきた。しかし同時に「不可能な三位一体」

でみられたように,外生的圧力から生じる為替・物価・金利変動に対する対応に追われ

────────────

Economic Survey 2001−02, 3 : Money and Banking Development,〈3. 13〉

管理変動相場制下のインドにおけるマクロ経済政策(西口) 857)2

参照

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