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循環型社会 における企業法務のあり方についての一考察

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(1)

循環型社会 における企業法務のあり方についての一考察

一最近の トラブル事例 を題材 に‑

奥 部 弘 司

1 はじめに

現代の企業 に とって、環境 問題‑の対応 が、

極 めて重要な経営課題 であることに異論はない だろ う。企業は、環境問題‑の対応 に経営資源 を割 くことを求め られてい る。

環境問題 は、企業の ビジネス活動 と密接 に関 係 して くるものであるため、子細に見るな らば、

産業分野 ごと、 さらには企業 ごとに、対応すべ き事項に差が生 じる。 しか しなが ら、そのよ う な差 を一旦捨象 して大括 りに捉 えるな ら、現代 の企業が直面す る環境問題 は、温暖化防止関連 (CO 2排 出削減 関連) と、循環型社会 関連 の 2 つに分 けることができよ う。

前者 については、京都議定書で定めた削減 目 標 の達成 が極 めて困難 とな る中で1、実効性 の ある削減 システ ムをいか に構築す るかが、政府 の主導の下、産業界全体で議論 されてい る最 中 である2。 一方後者 については、既 に

2 0 0 0

年 に、

循環型社会形成推進基本法が施行 され、また、

それ を受 けて制定 された各個別法に基づいて、

各種の リサイ クル システム等が実際に運用 され ている状況にある。現に各企業では、設計、製

造、販売等の各部門において 日常的な取 り組み が求め られている状況である3。

ところで、企業が経営活動 を進 める上では、

設計、製造、販売の よ うな、商品に直接 関わる 部 門の他 に、経理や人事、法務 の よ うな、いわ ゆるスタッフ部門の役割 を無視す ることはでき ない。前者 と後者 が有機 的に協働 して始 めて、

企業は経営活動 を継続す ることができる。 とす ると、当然環境問題‑の取 り組み について も、

スタ ッフ部門 として無関係 でい ることはできな い。それ どころかむ しろ、各スタ ッフ部門の機 能や職責にふ さわ しい環境問題‑の取 り組みが 求 め られ ることになる。

このよ うな問題意識 を前提 に、本稿では、循 環型社会実現に向けて企業が行 う様 々な取 り組 みの内、法務 に関す るものを取 り上げ、循環型 社会 において、企業法務 はいかにあるべ きかに ついて、検討 を加 えることとしたい。 なお、検 討 に当たっては、最近の トラブル事例 を題材 に す ることによって、過度 に抽象的な議論 に流れ ることを避 けたい。 また、検討 の前提 として、

まず、企業法務 とは何かについての筆者 の捉 え 方 を明 らかに した上で (第2章)、循環型社会

1地球温暖化対策推進本部決 定 「京都議 定書 目標達成計画の見直 しに向けた基本方針」2頁参照 (http://w w.kantei. go.jp/jp/singi/ondanka/2007/1002honbun.pdf)

2 地球温暖化対策推進本部決 定 「低炭素社会づ く りのための体制整備 につ いて」参照 (http://www.kantei.go.jp/jp/

singi/ondanka/2008/0617.pdf)

3例 えば、設計部 門は、商品の設計 に当たって、当該商品が利用 され る際の消費エネルギー を抑 えることや、廃棄時 に廃棄物が少な くなることを念頭 に置いて設計 に当たってい る し、製造部門は、廃棄物が少な くなるよ うな製造方法 を工夫す ると共 に、製造過程 での省エネルギーに努 めてい る。 また、販売部門は リサイ クル システ ムの啓発や廃棄物 の引き取 りを担 当す るな ど、各企業では様 々な努力が続 け られている。

循 環型社 会 にお け る企 業法務 の あ り方 につ いて の一考 察 105

(2)

に関す る法制度 を概観 してお きたい (第

3

章)4。

2

企業法務

2‑1

企業法務 とは何か

企業にお ける法務 を企業法務 と呼ぶが、そ も そ も企業法務 とは どのよ うな ものであろ うか。

法務 とは、法律関係 の事務または業務の こと を略 した ものであるか ら5、企業法務 とはす な わち、企業内における法律関係 の事務 または業 務 を指す もの と考 えることができよ う。 もっ と も、企業は ビジネスを行 うのが主たる 目的であ るか ら、企業内にお ける法律関係 の事務や業務 は、結局 ビジネスに関係す るものに還元できる。

この点 を前提 にす るな ら、企業法務 とは、 「企 業が ビジネスを展開す る上で直面す る様 々な法 的 リスクや課題 に対処す るための企業の活動

とい うことになる6。

2‑2

企業法務の担 い手

ところで、個 々の企業においては、当該企業 の法務部門が担 当す る業務 を、企業法務 と解す るのが一般的であろ う。 しか しなが ら、逆はま た真な らずであって、企業法務イ コール法務部 門の業務 と捉 えるのは必ず しも正 しくない。蓋 し、多 くの企業 において、法的 リスクや法的課 題‑の対処の全てを法務部 門が担 当す るわけで

はないか らである。

歴史的経緯7や 実務的理 由な どか ら、法務部 門以外の部 門が法的 リスクや法的課題 に対応す ることも珍 しくはない。例 えば、ほ とん どの企 業では、人事労務関係の法的な リスクや課題 は、

一次的には人事部門が対応 しているであろ うし、

知的財産権 関係 のそれ らを専門の部署が担 当す ることも珍 しくない。 また、総会その他の株式 関係 について、主 として総務部門が担 当 してい る企業 も少な くないであろ う8。

要す るに、法務部門の業務が企業法務 に当た ることに間違いはないが、企業法務の全てを法 務部門が担 うとは限 らないのである。企業法務 のある部分 は、法務部門以外の部門によって担 われ得 るのである。

しか し、よ り厳密 に言 えば、企業法務 の担い 手を部門単位 で考 えることは必ず しも正 しくは ない。企業が、経営課題 ‑の対応 に当たって、

必要 となる社 内の経営資源 を、部門にかかわ ら ず動員す ることは珍 しくないが、 この点は法的 な リスクや課題‑の対応 にも当てはまるか らで ある。例 えば、人事部門が所管す るであろ う人 事労務 関係 の法的な リスクや課題 に して も、そ れが訴訟 にまで発展 した場合、当然法務部門も 関与 してい くことになるであろ う。 また、その 問題 について、株 主総会での質疑が予想 され る 場合、総務部門が加 わって くることもまた十分

自然な流れであろ う。

この よ うに、企業法務 とい うのは特定の部門

4 なお、 リサイ クル関連法の概要 を紹介 した上で、違反事例 を分析 し、法的な視点か ら、その原 因 と対策 を考察 した 上で、今後の法動 向について論ず る論考 として、淵連善彦 ‑小川聡 「リサイ クル関連法 と今後の動 向〜違反事例の分 析 を中心に〜」 ビジネス法務2008年5月 号87‑93頁がある。

r' 『大辞林 2版』三省堂によれ ば、法務 とは、 「法律 ・司法に関す る種々の事務」 とされ る。

6 企業法務 についての他 の定義 を紹介す る と、例 えば、多 田晶彦 「学問 としての企業法務」NBL536号 (1994) 13 は、企業法務 につ いて次の よ うに定義す る。 「静態的 (static)な意味では 「企業がその活動 を行 うに当たって処理す べ き公 ・私法のすべての分野にわた る法律事務 の総称」であ り、動態的 (dynamic)な意 味では、 「企業が行 う法律事 務処理 の活動」 とい うことになる。す なわち、 「企業 にお ける法律事務」であ り、 これ を縮 めて 「企業法務」 と称す

る」

7企業法務 の歴史的経緯 については、例 えば多 田 ・前掲注(6)14頁参照。

H社 団法人商事法務研究会‑経営法友会 『会社法務部 第九次】実態調査の分析報告』 (商事法務 ・2006) 〔以下、

実態調査〕 105‑ 106頁によれ ば、知的財産 関連業務 についての専門部署 を持つ企業 の割合 は48.7%、株 式業務 につい ての専門部署 を持つ企業の割合は50.0%であった。

106 国際経営論集 No.36 2008

(3)

の業務 を指すのではな くて、企業経営の重要な 機能の一つ と考 えることができるのである。 こ の点 を踏 まえるな ら、企業法務 は、 「企業 が ビ ジネスを展開す る上で直面す る様 々な法的 リス クや課題 に対処す るための、企業の活動お よび 麹

壁」

とい うことになる。

2‑3

企業法務の

3

類型

企業法務の分類 としてまず思いつ くのは、対 象 となる法的 リスクや課題 の種類 ごとに分類す ることであろ う。例 えば、知的財産法務、債権 管理法務 、株式法務 な どである9。 しか し、そ のよ うな分類は本稿 においては意味をなさない。

蓋 し、本稿で問題 とす る法的 リスクや課題 は、

循環型社会実現に関す るものに限 られ るか らで ある。

そ こで以下では、法的 リスクや課題 に どの よ うに対処 してい くのか とい う視点か ら、企業法 務 を分類す ることとしたい。 この点、筆者 とし ては、3つに分類できるのはないか と考 えてい る。具体的には、 トラブル対応法務、契約法務、

予防法務の

3

類型である10。

(1) トラブル対応法務

トラブル対応法務 とは、既 に発生 した法的 リ スクや課題 、すなわち法的な トラブル の解決 を 目指す ものである。具体的には、原告または被

告 としての裁判‑の対応、取引先の倒産その他 の信用不安に基づ く債権回収‑の対応 、会社 自 体または従業員 による法律違反‑の対応 な どが 含 まれ る。

契約違反 に関す る トラブル‑の対応 も、それ が裁判や仲裁 な どに至 るな らば トラブル対応法 務 と位置づ けることができよ う。一方で、そ こ までには至 らず、通常の取引交渉の一環 として 解決 され るのな ら、それは未だ、次 にあげる契 約法務の範境にあると考 えることになろ う

( 2)

契約法務

契約法務 とは、 ビジネスに関わ る法的 リスク や課題 について契約 とい う手法で対処す るもの である。典型的なもの としては、取引に必要 と なる契約書 ドラフ トの作成や、契約交渉‑の対 応があげ られ よ う。

なお、契約書の ドラフ ト作成 には、相手方作 成の ドラフ トに対す る対案 (カ ウンター ドラフ ト)作 りも含まれ る。また、狭義に捉 えるな ら、

契約交渉 とは、 ドラフ トをや りと りしなが ら契 約文言 を巡 って行われ る交渉 を指すだけである が、 よ り広義 に捉 えるな らば、契約書の ドラフ トさえない状態で、取引に関す る条件 を巡 って 行われ る交渉 も契約交渉の一部である。蓋 し、

本来契約 の作成 とは、そのよ うな交渉での合意 内容 を、契約の形に仕上げてい くことを指すは ずだか らである。

リ参考 として、実態調査 ・前掲注(8)26貢参照。

10本稿 にお ける類型化 は、筆者 の実務経験 に基づ くものであるこ)当然他 の分類 もあ り得 る。例 えば、多 田 ・前掲注(6) 15頁は、① 臨床的機能 、②予 防的機能 、③戦略的機能 と分類 してい る。滝川宜信 『取引基本契約書の作成 と審査の実 務 〔第 2版〕』(民事法研 究会・2005)2‑ 3頁 も、企業法務部 門の役割 を、① 臨床的機 能 (臨床法務 )、②予防的機 能 (予防法務)、③戦略的機能 (戦略法務) に分類 し、前記多 田分類 を踏襲す る。

これ らの3分類 の場合、契約 関連業務 について、 トラブル発生前 を予防法務 に、 トラブル発生後は臨床法務 に分類 す ることにな るもの と思われ る。 しか しなが ら、筆者 と しては、企業 の法務部 門が取 り扱 う業務 中、最 多の ものであ る契約 関連業務 は (実態調 査 ・前掲注(8)26頁参照)、や は りそれ 単体 と して扱 うべ きではないか と思 われ るこ と、ま た、契約 の締結 か ら、契約違反 ‑の対応 を含む契約 の履行 管理 までの一環 の流れ を、 トラブル の発 生 をメル クマール に切 り分 けるこ と‑の違 和感 とか ら、敢 えて、契約法務 とい う類型 を置 いた。

なお 、前掲滝川4頁は、契約締結 前の活動お よび、契約締結 後の契約遵守活動 も、予防法学 (同 書では、 「予防法 学 とい う学問 を、企業実務 に置 き直 した ものが、予防法務 な る ものである と解せ るのではなかろ うか」 とす るので、

ここでは、 予防法務 と読み替 えて も良い もの と思われ る) の 一環 と捉 えてい るが、 ここに 言 う契約遵守活動 は、契約 違反 を起 こさないための ものであろ うか ら、未 だ トラブル発 生前の状態 を指す もの と思われ る。

循 環 型 社 会 にお け る企 業 法務 の あ り方 につ い て の一 考 察 107

(4)

ところで、契約法務の活動は、契約の締結で は終了 しない。締結 した契約の履行 自体は、 ビ ジネス活動その ものだ として も、その管理、す なわち契約の履行管理 も、契約法務の重要な一 部である。 も し、履行 に当たって契約違反が認 め られた場合 、それが取引先 との交渉の中で解 決 され るな ら、それは履行管理の一部であ り、

故 に契約法務 の一部であると言 える。一方で、

当事者間の交渉では解決せず、裁判所その他の 力を借 りざるを得な くなった場合 に、 トラブル 対応法務の範境 と考 え られ よ うことは、先述の 通 りである。

( 3)

予防法務

予防法務 とは、未だ顕在化 していない法的 リ スクや課題 に関 して、それ を事前に予想 し、そ の回避策 を立案 し、実行す るまたは実行 させ る もののことである。 トラブルの解決ではな くて、

それ を予防す ることに眼 目がある。

株主総会の準備や、会社法上の各種 コーポ レー トガバナンス関係の規定の遵守活動、さらには、

各種業法によって求め られ る許認可等の取得や 届 け出の実行 な ども、それ らの不徹底 が法的 ト ラブル を惹起す ることに注 目すれ ば、予防法務 の一部 と考 えることができよ う。現在注 目され てい る各種 の コンプ ライア ンス活動11や 、

CS

R関連活動 な ども同様である。

(4)小括

以上の

3

種類の法務の相互関係 を整理す るな ら、予防法務 と トラブル対応法務 とを両極 とし て、契約法務 がその中央に位置す ることになろ う。蓋 し、契約 は、将来の トラブル を回避す る ために結 ばれ るものであると同時に、一旦 トラ ブルが発生 した場合は、契約 の規定が トラブル 解決の基盤 となるか らである12。

ところで、 トラブル対応法務 と予防法務 は、

確かに両極 に位置す るが、それは必ず しも両者 が排斥 しあ う関係 にあることを意味 しない。両 者 の関係 は、病気の治療 と予防の関係 に似 る。

最 も望ま しいのは、予防によって一切の病気 に 躍 らない ことであるが、実際には完全な予防は あ り得ない。 だか らといって、予防を一切行わ ず 、病気 になれ ば治療 をすれ ば良い と割 り切 る のは早計である。治療 できない病気 もあれ ば、

本来は治療可能であって も次々 と病気に躍 るた めに体力が消耗 して治療不可能な場合 もあろ う。

つま り、可能 な限 り予防 (予防法務) を行 った 上で、それで も病気 になった (トラブルが発生 した)場合、必要に応 じて適切な治療 (トラブ ル対応法務) を行 うとい うのが現実的かつ合理 的な行動 とい うことになる。 さらに言 えば、治 痩 (トラブル対応 法務 ) を終 えた後 は、予防 (予防法務) に意 を用い、再発や他 の病気‑の 雁息 を防 ぐのが合理的であろ う。

2‑4

4

および第

5

の類型

ところで、昨今 の我 が国にお ける経営環境の 変化 は、上記の

3

類型 には収 ま らない企業法務 を求めてい る。以下、順 に見てみ よ う。

(1

)戦略法務

グローバ リズム進展の結果 、企業は厳 しい国 際競争 に直面す ることとな り、生き残 りを掛 け て、大幅な事業構造の改革や事業再編 、同業他 社、 ときには異業他社 との大胆 な合従連衡 を余 儀 な くされている。 また金融制度改革の結果、

企業の資金調達の関心は間接金融か ら直接金融 に移 ると共に、市場か らのファイナ ンスの仕組 み も高度化 を遂げている。 さらに、規制緩和 と、

事前規制か ら事後規制‑の流れは、 自らリスク を とって新 しい ビジネスにチ ャレンジす る企業 に途 を開 く効果 を生み 出 している。そ して、 こ

滝川 ・前掲注(10)3頁 も、 コンプ ライア ンス ・プ ログラムを予防法務 の一種 とす る 12前掲注(10)参照。

108国際経営論集 No.36 2008

(5)

れ らの変化 に伴い、また中にはこれ らの変化 を 生み出すために、企業経営に関わる様 々な法制 度が大幅な変革 を遂げてい る13。

ところで、上記の変化 と変革は、企業法務の あ り方にも影響 を与 える。例 えば、事業再編や

M&A

が企業の経営戦略 において重要性 を増す につれ、企業法務がそれ らの経営戦略に関与す る度合い も高まる。蓋 し、それ らを企画 し、実 行 して行 くには、企業が 自己責任で種々の法制 度を駆使 してい くことが求め られ るか らである。

同様 の ことは、ファイナ ンスに関 して、また新 規 ビジネスの取 り組みに関 しても言 えよ う

ここでは、法 を リスクや課題 として捉 えるの ではな く、 ビジネスの機会 を新たに生み出す も の、 さらに言 えば ビジネ スの機会その もの と捉 えることになる。 この よ うな、経営戦略 に深 く 関与す る企業法務 を戦略法務 と位置づ けたい14。

(2)政策法務

ところで、法制度の変化 は企業 に とって ビジ ネスチャンスである一方 、大 きな リスクで もあ る。企業が直面す る経営環境 の現状が十分 に考 慮 されないままに法制度 が変更 された場合、法 制度が求める企業経営のあ り方 と、その実態 と が大 きく帝離す る事態 を生み出 しかねない。そ して、 コンプライアンスが厳 しく求め られ る現 代、そのよ うな乗離 を大 目に見て もらえると期 待す るのは楽観 的に過 ぎよ う。

となれば、その よ うな乗離が生 じない よ う、

法制度 の検討 が行 われ る場、す なわち政策形成 過程 に対 して、経営環境 の現状や、予想 され る

法制度の変更が企業経営に与 える影響 な どを、

適宜に、そ して正確かつ詳細 に情報発信 してい くこと‑ 本稿 では、政策法務 と名付 けたい一 一 が求め られ よ う

もちろん、政策法務は従来か ら存在 した。 ま た、政策形成過程 を担 う主体 (究極的には国会 であるが、政府提案の立法が多い ことに鑑みれ ば、実際的には各官庁)は、常々、経営環境 を は じめ とした法制度 を取 り巻 く現状 を正確 に把 握す る努力を している し、重要な法制度の変更 に当たっては、関係者 を構成員 とす る審議会で 議論 した り、パブ リック ・コメン ト手続 きを行っ た りす るな ど15、国民各層 の様 々な声 を汲み上 げることに努 めている。それで も、現代社会の 変化の速 さと程度は、政策法務の重要性 を増大

させ る。

(3)企業法務 とは

以上のま とめ として、戦略法務お よび政策法 務 も踏 まえた形で、企業法務 を改 めて定義 して お きたい。す なわち、企業法務 とは、 「企業が ビジネスを展開す る上で、直面す る様 々な法的 リスクや課題 に対処 してい くための活動お よび 機能 (政策形成過程‑の情報発信 を含む)、な らびに、法的な機会 を活用 してい くための活動 お よび機能

を指す ことになろ う。

3

循環型社会のための法制度

循環型社会 を実現す るために整備 された法制

13枚挙にい とまがないが、商法の抜本的改正の結果 と しての会社法の制定はその典型であろ う。

14滝川 ・前掲注(10)3頁は、 「企業 を取 り巻 く法的ルール (法律 、政府規制 、契約) の枠組みの 中で これ らを駆使 しな が ら、事業活動 の遂行 のた め有用 な戦術や戦略 を検討 し立案す る とい うよ うな機能」 を戦略法務 と呼び、最近重要視 され てい る旨指摘す る。

15パ ブ リック ・コメン ト手続 き (正式 には意 見公募 手続 き) は、 「行政機 関が命令等 (政令 、省令 な ど) を制 定す る に 当た って、事前 に命令等 の案 を示 し、その案 について広 く国民か ら意 見や情報 を募集す るもの」 (総務省 :「意 見公 募 手続 等」 (http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/tetsuzukihou/iken̲koubo.html)) で あ り、行政 手続 法 の規 定 に よっ て義務づ け られ るものであ る。 したが って、法律案その ものはパ ブ リック ・コメン ト手続 きの対象ではない。 なお 、 行政手続法 に よって義務づ け られ ていない場合 に も、省庁 な どが任意 に行 うことがある。総務省 「平成18年度 にお け る意見公募手続等の施行 の状況 について」 12頁参照 (http://www.soumu.go.jp/S‑news/2008/pdf/080826̲3Ibt2.pdf)

循 環 型社 会 にお け る企 業 法務 の あ り方 につ いて の一考 察 109

(6)

度 は少 な くない。 ここでは、その内、最 も基本 とな る循環型社 会形成推進基本法 を中心 に、主 要 な関連諸法 について概観 してお きたい。

3‑1

循環 型社会形成推進基本法

(1

)目的

循環型社会形成推進 基本法 (以 下、基本法) は、2000年5月26日に可決成 立 し、 同年6月2日 に公布 と同時 に施行 され た。基本法 は、その名 の通 り、循環型社会 の形成 のた めに必要 とな る フ レー ム ワー クを定 め るもので あ り、関連諸法 の基盤 を提供す るものであ る。

基本 法 は、 「循 環型社 会 の形成 に関す る施策 を総合的かつ計画的に推進」す ること (小 目的) を通 じて 、 「現在及 び将来 の国民 の健 康 で文化 的 な生活 の確保 に寄与す る」 こ とを (大) 目的 とす る。 そ して、その よ うな 目的 を達成す るた めの手段 として、循環型社会 の形成 に関す る基 本原則 を定 め、かつ国、地方公共団体、事業者 、 お よび国民の責務 を明 らかにす る と共 に、循環 型社会形成推進 基本計画 を策定す る等 の施策 の 実施 を求 めてい る。〔1条〕

( 2)

ポイン ト

基本法 の大 きなポイ ン トは、(丑社会 の全 ての 構成員 を循環型社会形成 の担 い手 と位 置づ けた

こ と、②廃 棄 物 等16に対す る対策 の優 先順位 を 定 めた こ と、③排 出者 責任原則 お よび④拡大生 産者 責任原則 を定 めた こ とにあ る と言 えよ う。

① 担 い手

公害型 の環境 問題 の場 合 、問題 を惹起す るの は事業者や、国または地方公共団体であ り、個 々 の国民 はいわば被 害者 で あ り、守 られ るべ き存 在 であったか ら、法 は主 と して事業者等 に対策 を求 めて きた。

しか し、循 環型社会 の形成 とい う文脈 で考 え た とき、個 々の国民の参加 無 く してその実現 は 難 しい。例 えば一般廃 棄物 の総量 (2005年度) 5273万 トンの内、事業系 の廃棄物 が1624万 トン であるのに対 し、家庭 か ら排 出 され る廃棄物 は 3349万 トンにのぼ り、全体の64%を占めている17。

この数字 だ けを見 て も、循環型社会 の形成 に向 けて個 々の国民が果 たす役割 が小 さくない こ と が分 か る

そ こで基本法 は、循環型社会形成 に向けて、

国、地方公共団体お よび事業者だけでな く、個 々 の国民 も、役 割 分担 して取 り組 む べ き こ とを定 めてい る18

。〔 4

条〕

② 廃 棄物等 に対す る対 策 の優 先順位

基本法 は、廃棄物等 に対す る対策 の優 先順位 の原則 と して、発 生抑制 、再使 用 、再生利用 、 熱 回収 、適 正処分 の順 を示 してい る。

まず 、原材 料 の効率的 な利用や 、製 品の長期

16基本法において、廃棄物等 とは、廃棄物 (これ は、廃棄物処理法の定義す る廃棄物 と同義である。〔21〕) よび 「一度使用 され、若 しくは使用 されずに収集 され、若 しくは廃棄 され た物 品 (現 に使 用 されているものを除 く。) 又は製 品の製造、加 工、修理若 しくは販売、エネル ギーの供給、土木建築 に関す る工事、農畜産物の生産その他の人 の活動 に伴い副次的に得 られた物 品」 (廃棄物 な らびに放射性物質お よび これ によって汚染 され た物 を除 く。) と定義

されている。〔2条2項〕

1丁環境省 『廃棄物 処理技術情報 廃棄物処理の現状 と科学研 究一般廃棄物の排 出及び処理状況等 (平成 17年度実 績)について」 1‑ 2貞参照 (http://www.env.go.jp/recycle/waste̲tech/ippan/h18/data/env̲press.pdf)

18よ り具体的には、基本法は国民の責務 として、① 「製品をなるべ く長期間使用す ること、再生品を使用す ること、

循環資源 が分別 して回収 され ることに協力す ること等 に よ り、製 品等が廃棄物等 とな るこ とを抑制」す ること、②

製 品等が循環資源 となった ものについて適正 に循環的な利用が行われ ることを促進す るよ う努 める」 こと、③製品 等の 「製 品等が循環資源 となった ものについて適正 に循環的な利用が行われ ることを促進す るよ う努める」 こと、④ 事業者が行 うリサイ クル (基本法 11条 3項 に関す るもの)に関 して、対象 となる製品 ・容器等については、事業者に 適切 に引き渡す等 して、事業者 に協力す ること、⑤ 「循環型社会の形成 に 自ら努 めるとともに、国又は地方公共団体 が実施す る循環型社会の形成 に関す る施策 に協力す る」 ことを定めている 〔12条〕 もっ とも、 これ らの責務 を果た さなかった場合の罰則等は定め られ ていない。

110国際経 営論 集 No.36 2008

(7)

間使用等 によ り、廃棄物等 となることをできる だけ抑制す ること (発生抑制)を求める。〔5条〕

次に、それで も発生 した廃棄物等 については、

循環資源19として捉 えた上 で循環的な利用20を促 進す ることを求 めてい る。 具体的には、廃棄物 等 をそのまま製 品または部 品 として使用す るこ と (再使用) を試み、それ ができない場合 は、

それ らを原材料 として利用す ること (再生利用) に取 り組み、それ もで きない場合 は、可能 な ら ば燃や して熱エネル ギー を回収す ること (熱回 収) を求 めてい る21。 〔6条1項お よび7条〕

最後 に、循環的利用がで きなか った廃棄物等 については、環境‑の負荷 が少 ない形 で処分す ることを求 めるのである。

〔6

2

項〕

③ 排 出者責任原則

廃棄物等 を排 出す る主体 は、大 き く事業者 と 家庭 (個 々の国民) に分 けることがで きる。基 本法 は、それぞれ の主体 について、廃棄物等の 排 出に関す る責任 を定 めてい る。

事業者 に関 しては、事業活動 の結果 、原材料 等 を廃棄物等 として排 出す る場合 、 自ら適正 に 循環的な利用 を行 うか、適正 に循環的な利用 が 行われ るために必要な措置 を講ず ることを求め、

また循環的な利用 がで きない場合 は 自らの責任 で適正に処分す ることを求 めてい る。〔11条1項〕

一方、個 々の国民に関 しては、廃棄物等 の分 別回収 に協力す ること、製 品 ・容器等 について リサイ クル を行 う事業者 に対 して、対象 となる 廃棄物 を引き渡す こと等 を通 じて循環的な利用 の促進 に努 めること、お よび廃棄物等 の適正 な 処分 に関 して、国や地方公共団体の施策 に協力 す ることが求 め られ てい る。 〔12条〕 なお 、事

業者 の場合 、 「自ら適正 に循環的な利用 を行 う」

ことや 「自らの責任 で適正 に処分す る」 ことが 求 め られてい るのに対 して、個 々の国民に関 し ては、協力等の間接的な形 しか求 め られ ていな いのは、個 々の国民は廃棄物等 を 自ら処理す る 能力 を持 ち合わせ ないためだ とされ てい る22。

④ 拡大生産者責任原則

生産者 が生産 した製 品は、利用者 または消費 者 (事業者 の場合 もあれ ば、個 々の国民の場合 もある) によって、利用 または消費 された後、

廃棄物 として排 出 され るため、前記排 出者責任 原則 を踏 まえれ ば、排 出者 た る利用者 または消 費者 が排 出責任 を負 うべ き とい うことになる。

逆 に言 えば、生産者 は製 品の利用 ・消費 までは 責任 を負 って も、その後 に廃棄物 として排 出 さ れ る段階については責任 を負わない とす るのが、

従来の考 え方であった。

しか し、廃棄物 を抑制 し、循環 的な利用 を進 めて、環境‑の負荷 を低下 させ るためには、生 産者の責任 を拡大 して、廃棄物 に関 して も一定 の責任 を求めることが望 ま しい。 蓋 し、製 品に ついて熟知 してい る生産者 な らば循環的な利用 も容易であろ うし、同種 ・同類 の製 品を生産 し てい る場合 は、再使 用や再生利用 も容易であろ うと考 え られ たか らで あ る23。 また、製 品が廃 棄物 として排 出 された後の循環的利用について、

生産者 に一定の関与 を求 めることで、製 品を企 画 ・設計す る.段階で廃棄物 となった ときの こと まで考慮 され ることに繋が り、循環的な利用の 促進や廃棄物 の削減効果 も見込 める とされ る24。

基本法はこのよ うな考え方の下に、生産者が、

設計 を工夫す るな どして廃棄物 とな ることを減

19循環資源とは、「廃棄物等のうち有用なもの」をいうO 〔23項〕

20循環的な利用とは、「再使用、再生利用及び熱回収」をいう。 〔2条 4項〕

21発生抑制 (Reduce)、再使用 (Reuse)、再生利用 (Recycle)は、それぞれの頭文字をとって、3Rと呼ばれる。なお、

熱回収はサーマル ・リサイクルとも呼ばれ、3Rと言うときは、再生利用に含まれる。(一般に言われるリサイクルは、

サーマル ・リサイクルに対して、マテリアル ・リサイクルとも呼ばれる。)経済産業省:「3R政策の概要」(http://www.

meti.go.jp/policy/recycle/main/3r̲policy/policy/outline.html)参照。

22循環型社会法制研究会編 『循環型社会形成推進基本法の解説』(ぎょうせい・2000)〔以下、解説〕86頁参照 23解説 ・前掲注(22)72頁参照。

24解説 ・前掲注(22)72頁参照。

循環型社会における企業法務のあり方についての一考察 111

(8)

少 させ ること、また循環的な利用 を容易 にす る ために材質や成分 を表示す ること、 さらに一定 の製 品等25につ いては廃棄物 となった後の回収 お よび循環的な利用 を進 めること、を定めてい

る。 〔11条 2項お よび 3項〕

3‑2

個別法

いわゆる個別法は、基本法の求 めるところを 踏 まえて、関係者 の権利 ・義務や、制度 内容等 についてよ り具体的に定めている。個別法の内、

主な ものについて簡単に触れてお きたい。

(1

)廃棄物処理法

正式名称 を 「廃棄物の処理及び清掃 に関す る 法律」 と言い、 「廃棄物 の排 出を抑制 し、及び 廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、

処分等の処理 を し、並びに生活環境 を清潔 にす ることによ り、生活環境 の保全及び公衆衛生の 向上 を図ることを 目的」 としている。〔1条〕

本法 中、循環型社会の文脈で、企業に最 も関 係 が深いのは、マニフェス ト (産業廃棄物管理 票)制度であろ う。 これ によって、産業廃棄物 の排 出事業者 は、その最終処分まで把握す るこ とが求め られている。

なお、本法 は、基本法の成立以前か ら存在 し、

マニフェス ト制度 も基本法以前か ら運用 されて いたが、基本法成立 と同時期 に改正 され、マニ フェス ト制度 の強化な どが行われている26。

( 2)

資源有効利用促進法

正式名称 を 「資源 の有効な利用の促進 に関す る法律

と言 い、基本 法 の制 定 にあわせ て、

「再生資源 の利用の促進 に関す る法律

が改正 され た ものである27。 改正前 の法律 は、 リサイ クルの促進 を 目指 した ものであったが、改正後 の法律では、 リサイクル対策を強化す ると共に、

発生抑制お よび再使用 も含 めた3Rの取 り組み を総合的に推進す ることを 目的 としている28。

パ ソコンの リサイ クルお よび小型二次電池の リサイ クルは、本法 に基づいて行われてい るも のであ り、また家電製 品やパ ソコンについての 製 品含 有物 質 に関す る情報提供 (いわ ゆる

J ‑

Moss)も本法に基づ くものである29。

( 3)

各種 リサイクル法

容器包装 リサイ クル法 (容器包装に係 る分別 収集及び再商品化の促進等 に関す る法律)、家 電 リサイ クル法 (特定家庭用機器再商品化法)、

食品 リサイ クル法 (食 品循環資源 の再生利用等 の促進 に関す る法律)、建設 リサイ クル法 (建 設工事 に係 る資材 の再資源化等に関す る法律)、

お よび 自動車 リサイ クル法 (使用済 自動車の再 資源化等 に関す る法律) の

5

つの法律がある30。

これ らは、 リサイ クル に関 して 「個別物品の特 性 に応 じた」ルールや システムを定めるもので ある31

( 4)

グ リーン購入法

正式名称 を 「国等 に よる環境物品等の調達の 推進等 に関す る法律

と言い、国、独立行政法 人、地方公共団体お よび地方独立行政法人等が、

5 「循環的な利用 を適正かつ 円滑に行 うためには国、地方公共団体、事業者及び国民がそれぞれ適切 に役割 を分担す ることが必要である とともに、当該製品、容器等に係 る設計及び原材料の選択、当該製品、容器等が循環資源 となっ た ものの収集等の観点か らその事業者 (筆者注 :製 品、容器等の製造、販売等 を行 う事業者 を指す)の果たすべ き役 割が循環型社会の形成 を推進す る上で重要であると認 め られ る」製品、容器等の ことを指す。 〔113項〕

:6解説 ・前掲注(22)17頁参照。

27経済産業省 :「資源有効利用促進法」 (http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin̲info/law/02/index.html)参照 28解説 ・前掲注(22)18頁参照。

:q経済産業省サイ ト・前掲注(27)参照。

iO容器 リサイ クル法お よび家電 リサイ クル法 は、基本法の制定以前に既 に存在 し、食品 リサイ クル法お よび建設 リサ イ クル法は、基本法の制定にあわせ て整備 され、 自動車 リサイ クル法は平成14年に公布 された。

3]解説 ・前掲注(22)166頁参照。

112 国際経 営論 集 No.36 2008

(9)

環境 に対す る負荷の低減 に資す る製品等の調達 に努 めることを求める法律 である。

本法によれば、国は、環境物品等の調達の推 進 に関す る基本 方針 を定 め る こ とにな ってい る32。 なお、 この基本方針 中の、 「特定調達品 目 及びその判断の基準

に、 コピー用紙 について は、 「古紙パルプ配合率が100%かつ 白色度70%

程度以上であること」が定め られていた。

4

検討

ここでは、循環型社会 において、企業法務 は どのよ うな取 り組みを行 うべきかを検討 したい。

少 しでも具体的なものとなるように、最近の法的 トラブルの実例を題材 として検討 をすすめたい。

4‑1

法的 トラブルの実例

(1)埋め戻 し材事件

酸化チタン等の製造販売 を行 う事業者A社は、

酸化チ タンの製造過程か ら生 じる硫酸 を利用 し て、土壌埋 め戻 し材 Ⅹを開発 し、2001年か ら販 売を開始 した。Ⅹは酸化鉄 と石膏か ら構成 され、

A社の所在す る県か らリサイ クル品 としての認 定 を受 けていた。 しか し、Xには微量の放射線 (健康 に害がない程度 とされ る) が含 まれ てい たため、埋 め戻 し材 が使用 された土地周辺の住 民が不安を訴 え、 自治体が調査を行った ところ、

環境基準を超 える六価 クロムや フ ッ素が検 出 さ

れた。 当初その理 由は不明であったが、原因究 明の過程で、Xの製造工程 が リサイ クル品 とし て認定を受 けた もの と異なっていた ことな どが 明 らかにな り、また、

A

社の担 当責任者が、そ のよ うな製造工程での製造 を続行 させ ていた 旨 が、A社 か ら発表 され た3334。 その後、A社が、

販売価格 を上回 る運搬費 を購入者 に支払 ってい た、いわゆる逆有償性 が指摘 され 、Xは廃棄物

と認定 された35。

A社 の担 当責任者 は廃棄物処理法違反 で会社 共々起訴 され 、A社 には5000万円の罰金 、担 当 責任者 には懲役 2年の実刑判決が下 された36。

なお、A社 は現在 も、Xの回収作業 を行 って いる。

(2)製紙エ コ偽装事件

大手製紙会社B社 が納入 した年賀葉書用用紙 の古紙配合率が偽装 されていた ことが明 らか と なった。 それ を受 けて行 われ た調査の結果 、B 社が納入 していた他 の葉書用の用紙や他 の製紙 について も、古紙配合率が偽装 された ものがあ ることが発覚 した。 さらに、他の製紙会社が販 売す る製紙の中に も、古紙配合率の偽装が存在 す ることが次々 と明 らかになった37

製紙会社 の説明によれば、環境問題‑の意識 が高ま り、古紙配合率の高い再生紙 を求める社 会的な要請が高まる一方で、経済的 ・技術的な 理 由か ら、古紙配合率 を十分 に高め られないま まに、取引先の意向を優先 させたのが原因の‑

32各省庁お よび独立行政法人 は、基本方針 に即 して、毎年度調達方針 を定めることが求め られている。 また、地方公 共団体お よび地方独立行政法人は、国 とは別 に、毎年度調達方針 を定めることとされている0

33石原産業 「弊社製品フェロシル トに関す る事実判明 とお詫び」 2‑ 3頁参照 (http://www.iskweb.co.jp/cgi‑pdf/feroshilt /1165575970.pdf)

34本件の詳細については、三重県 「フェロシル ト問題 に関す る検討調査最終報告書」参照 (http://ww .eco.pref.mie.jp /cycle/100080/ferosrt/houkoku̲h171215.htm)

35前記報告書 ・資料4「フェロシル ト問題 の経緯 (製造か ら直近の状況まで)」お よび、東京新 聞2007年6月26日社説 参照。

3bA社 は一審判決 を控訴 しなかった。 (石原産業 「廃棄物の処理及び清掃 に関す る法律違反 に関す る判決‑の対応 につ いて」参照 (http://www.iskweb.co.jp/cgi‑pdf/feroshilt/1182931088.pdf) 。 また、A社担 当責任者 の控訴 は棄却 され た.

毎 日新聞2007年12月26日東京版 夕刊参照。

37この事件 についての詳細 なま とめは、環境省 「古紙偽装問題 に係 る特定調達品 目検討会最終 とりま とめ」 〔以下、

最終 とりま とめ〕参照 (http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g‑law/archive/h20com̲rl/main.pdf)

循環型 社 会 にお け る企 業法務 の あ り方 につ いて の一 考察 113

(10)

つ とい うことであった。そのため、グ リー ン購 入法に基づ き、古紙配合率の高い再生紙 を購入 す ることになっていた国や地方公共団体等では、

一部で紙不足 も懸念 され る状態になった。

資源の循環的な利用のための取 り組み として、

再生紙 を購入 していた政府機 関や企業に とって は、その根幹 を揺 るが しかねない事件であった。

( 3)

廃家電不適正処理事件

家電 リサイ クル法によれば、エア コン、テ レ ビ、冷蔵庫、洗濯機 が廃棄 された場合 、販売店 は、それ を客か ら回収 し、メーカーに引き渡す ことが求め られてお り、メーカーはそれ らの廃 家電 を販売店 か ら引き取 りリサイ クルす ること が求め られている。 しか し、一部の大手家電量 販店が回収 した廃家電の一部が、システム通 り メーカーに引き渡 されていない ことが明 らか と なった。

引き渡 され なかった理 由は、委託先業者 関係 者による横流 しであった り、盗難であった りと、

量販店 ごとに様 々であったが、量販店側 の管理 が十分であったか も問われ よ う38。なおメーカー に引き渡 されなかった廃家電は、リサイクル業者 に販売 された り、不法投棄 された り、輸 出 された

りしたのではないかとも指摘 されている39。 本件 は、家電 リサイ クル制度 に対す る消費者 の信頼 を損ないかねない問題 である

4

0。

4‑2

法的 トラブルへの対処のあ り方

2‑3

お よび

2‑4

であげた、

5

類型の視点

か ら、各事例 を分析す る と共 に、企業法務は ど うあるべ きか (または、あるべ きだったか) に ついて考 えてい くこととす る。なお、特に断 ら ない限 り、 トラブルを発生 させた側 、す なわち 加害者側 の視点で論 じることとしたい。

(1

)予防法務の視点

予防法務 の視点か ら分析す るな ら、

3

つの事 件ではいずれ も、コンプ ライアンスの不備 が指 摘できよ う 一般 に、 コンプライアンスを推進 す る上での二本柱 として、体制の整備 と個 々の 従業員等の教育があげ られ るが、環境問題 の影 響の大 きさや被害回復の難 しさを考 えた場合、

教育お よびそれ を通 じた従業員等の 自覚 を期待 す るとい う、時間のかかる手法の前に、まずは、

チェ ック体制の整備 を図 るべ きであろ う。

もちろん、如何 に厳格 なチ ェック体制 を整備 して も、意図的にそれ を免れ よ うとす る者の前 には、万全ではあ り得ない。 しか し、先 にあげ た事例の場合は、厳格 なチ ェック体制 を免れた とい うよりもむ しろ、そもそも実効性のあるチェッ ク体制が存在 したか否かに疑問のあるところで ある。

とす るな ら、まず は、事業推進部門の影響 を 受 けない組織が、事業推進部門の判断や行動 を 適宜チェ ックできる体制 を整備す ることか ら始 めるべ きであろ う41。 そ の上で、チ ェ ック体制 の有効性 を担保す るためにも、 コンプライアン スの重要性についての教育 (当然そこには、チェッ ク体制の存在や意義についての教育 も含まれ る) を徹底すべ きことになろ う42。

d例 えば、株 式会社 ヤマ ダ電機 :「経済産業省 ・環境省か らの行政指導 について」 (http://www.yamada‑denki.jp/inform ation/pdf/070730.pdf)、株式会社ベ ス ト電器 :「当社 フランチ ャイ ズ契約先 に対す る特定家庭 用機器 再商品化法 に基づ く勧告 に関 して」 (http://www.bestdenki.ne.jp/view.php?pageld=1497)、株 式会社 コジマ廃 家電 問題 ・第三者委員会 :

「平成20年3月13日付最終報告書 概 要」 (http://vww.kojima.net/corporation/ir/pdf/release20080312.pdf)等参照。

。毎 日jp:家電 リサイ クル法 :施行8年 目 プ ラ再利用量13倍 に 2008年8月18日」参 照 (http://mainichi.jp/select/ bi∑/news/20080819kOOOOmO20110000C.html)

10家電 リサイ クル 制度 にお いて、ユーザーは廃家電 を排 出す るにあた って、 リサイ クル料 を支払 うことが求 め られ て い る。 リサイ クル が十分 に行 われ ない とい うこ とにな る と、ユーザーは制度‑の信頼 を失 い、 リサイ クル料 の支払 い に支障 も予想 され る。その よ うな状況が累積す る と、制度 自体が崩壊す る恐れ さえ指摘 で きよ う。

" 社 内で体制整備 が難 しい場合 は、弁護 士その他社外 に人的 リソー スを求 めるべ きであろ う。

42淵連 ‑小川 ・前掲注(4)88‑90頁は、 この事件 を取 り上 げた中で、事件 の原 因 と して、 グ リー ン購 入法の理解 不足 を あげ、 コンプ ライ ア ンス意識 の徹底 と業界の体質改善 を対策 と して指摘す る。

114 国際経営論集 No.36 2008

(11)

( 2)

契約法務の視点

冒頭、契約法務 は、契約 の締結で終わ らず、

その履行の管理 も契約法務 の一部である旨言及 したが、廃棄物の処理 に関 しては、 この点がま さに当てはまる。排 出者責任原則 に鑑みれ ば、

廃棄物の処理 を他者 に委託 した際に、仮 に委託 先が不適正な処理 を行 った として、それ は委託 先の問題 であって 自らには責任 がない と言い逃 れ ることは許 されないだ ろ う。 とすれば、委託 元 としては、委託先が、委託契約 に基づいて適 正な処理 を行 ってい るか否 かの履行管理 を徹底 す ることが求め られ よ う。

廃家電不適正処理 の事案 の中には、回収や引 き渡 し、保管等の作業 を受託 した業者が、横流 しや不法投棄 な どの不適正 な行為 を行 った こと によって生 じた事例が存在す る。 これ らについ ては、履行管理が甘かった とい う意味で、契約 法務が不徹底であった と言 わ ざるを得 ないだろ

ところで、製紙エ コ偽装事件 は、紙製品の購 入者、す なわ ち被害者 の側 か ら見れ ば、上記 と は異なる契約法務上の課題 を示唆 して くれ る。

購入 したコピー用紙にエ コ偽装があった場合、

購入者 は果た して何 を主張できるであろ うか。

例 えば、偽装者 か ら直接購入 していた場合 は詐 欺による取 り消 しや錯誤無効 を主張す ることが できるか もしれ ない。 また、代理店 な ど、偽装 を知 らなかった者 か ら購入 していた場合 も、錯 誤無効 を主張す る余地があるか も知れない。 さ

らに、債務不履行 もあ り得 るか も しれ ない43。 この よ うに、種 々の対応が考 え られ るわけであ るが、いずれ も事実関係 に大 き く影響 され る44。

一方、 これ を契約法務の問題 として考 えるな ら、契約起案段階で工夫す ることで、よ り確実 に リスクに対処できるはず との指摘 があ り得 よ う。すなわち、古紙配合率の高い用紙 を購入す ることを重要視 していたのな ら、仮 にそれが基 準を満た さなかった場合、契約の解 除な り、損 害賠償 な り、 さらには代品の納入義務な りを、

具体的に契約条項 として明記 してお くべ きだ と い う指摘である4546。企業 は、原材料の調達や 、 商品の仕入れに関 しては、その品質等 について 検収 を行 うことが常であ り、不合格時の対応等 も含 めて契約 に定めることが珍 しくない ことを 考慮すれ ば、一理 ある指摘であろ う47。

( 3)

トラブル対応法務の視点

埋め戻 し材の事件の場合 は、幸い具体的な健 康被害は指摘 されていない よ うであるが、一般 論 として、環境問題 においては、発生 した トラ ブルの結果、関係者 の健康や生命 に対す る被害 を生 じさせ る場合があ り得 る。 とすれ ば、加害 者 はまず、現状 を把握 し、現在被害 を受 けてい る人に対す る物理的な救済 (例 :治療 な ど) を 行 うと共 に、回収や原状回復な ど、被害の拡大 を防止す る措置が求め られ る。またその際には、

関係者の不安 を軽減 し、事情 を知 らないが故の 被害の拡大 を避 け、 さらには風評被害 を生 じさ せないためにも、正確 かつ必要な情報の迅速な

43淵連 ‑小川 ・前掲注(4)89‑ 90頁 も同旨。

44なお、 これ らは トラブル対応法務 の視点である。

45淵連 ‑小川 ・前掲注(4)88‑ 90頁は、 (最終購入者 ではな くて途 中の取引業者 の問題 としてではあるが)契約書起案 上の工夫の重要性 を指摘す る。

46なお、一般論 としては、予め契約 にこのよ うな場合 についての規定をす ることは、一種の責任限定に も繋が るか ら、

納入者側 に とって も意味があ ることにな る。 もっ とも、途 中の取引業者 は別 として、偽装 を行 った者 が、責任 限定 を 受 けること‑の倫理的な評価 は別論である。

47ただ、仮 に契約起案上エ コ偽装 に対応 できていなかった として も、それ を もって契約法務上の戦痕 があった とまで 言 って良いかは疑問 もある。 エ コマー クや 、大企業が行 う古紙配合率の表示 を額面通 り信 じず、それ が偽装か もしれ ない と疑 うことを求め、そのために必要な対応 を してお くべ きだった と批判す るのは、少な くとも今 回のエ コ偽装発 覚前までの状況で考 えれば、酷であった とい うのは、購入者お よびその法務担 当者 に好意的に過 ぎるであろ うか。 もっ

とも、今後については、エ コ偽装 を想定 した契約 を起案す ることがむ しろデ フォル トルールなのか もしれない。

循環型社 会 にお け る企 業法務 の あ り方 につ いて の一考 察 115

(12)

公開が求め られ よ う。

もっ とも、 ここまでは、法的云々 とい うこと を論ず るまで もな く、加害者 として当然行 うべ き行動であろ う。 問題 は、そ ういった応急措置 の段階が過 ぎた後である。そ こでは、当然、被 害者 に対す る補償の問題お よび法令 な どの違反 に対す る責任 の問題 が発生す るか ら、それ ら‑

の対応 を行 うこと、すなわち トラブル対応法務 が求め られ る。

さらに、原 因の究明、責任 の追及 と関係者の 処分 も、 トラブル対応法務の重要な使命 である ことは言うまで もない。そ してその先に、再発 防止策の検討 と実行があるが、 これ は、予防法 務 に繋がってい くだろ う。

ところで、製紙エ コ偽装事件の場合 、購入者 に対す る補償 の問題 を別 とすれば、発生 した被 害 は、 「償 う」 ことが難 しい タイプの ものが 中 心 となる48。 蓋 し、エ コ偽装 の被害 は、地球環 境その もの となるか らだ。原状回復が可能であ れ ばまだ しも、それ も難 しい場合 どうすれば良 いのか。例 えば、植林 を行 った り、事業活動 に よって発生す る二酸化炭素の削減率を大幅に積 み増 した り、砂漠化防止 に向けた取 り組みに対 して援助 を行 った りな どの形で、間接的に環境 貢献 をす ることで しか 「償 う」 ことはできない だろ う49。 もちろん、 こ ういった行為 は、法的 に求め られ るものではな く、む しろ社会的 ・道 義的責任 か ら来 るもの、 もっ と言 えば環境責任 に基づ くものであろ う50。 その意味では、 これ らの 「償 い」は、純粋 には トラブル対応法務 の 範境 には入 らないが、 自ら引き起 こした トラブ

ルの解決 とい う意味において、積極的に推進 し てい くべ きであろ う。

( 4)

戦略法務および政策法務の視点

先にあげた事例 は、いずれ も、法令の違反 も しくは遵守不徹底が問題 となった ものであるか ら、そ もそ もが、戦略法務や政策法務 とは異な る次元の話である。ただ、それぞれの事例 につ いて、 「も し、た ら、れ ば」 を交 えて考 えるな ら、そ こに戦略法務的な側面、政策法務的な側 面が見出せ ないわけではない。

例 えば埋 め戻 し材 の事例で、仮 に埋 め戻 し材 Xが、本 当に無害で安全 なものであった とした な らど うであったろ うか。 この場合 、A社 は、

廃棄物の循環的な利用 とい う、法制度の求めを 踏 まえた形で、新たな ビジネスを創 出 した こと になる。そ もそ も、循環的な利用が要請 されな い社会、法制度であったな ら、廃棄物 を リサイ クル した埋 め戻 し材 とい うビジネスは生まれな かったであろ う。 したがって も し本 当に、無害 で安全な ものであったな ら、 リサイ クル に戦略 的に取 り組 んだ ビジネ スの一例 になったであろ うし、その実現に法務が深 く関与 していたな ら、

戦略法務の一例 にもなったであろ う。

政策法務の一例にな り得たかもしれないのは、

古紙配合率の問題 である。 グ リー ン購入法は、

国等 に古紙含有率

1 0 0%

の コピー用紙 の購入 を 求めてい る。エ コ偽装発覚前、製紙業界は、良 質 な古紙 の入手が難 しくな りつつ ある中で51、 古紙配合率 を上げることは、資源 の リサイ クル にはなって も、廃棄物等 で却 って環境 に負荷 と

48廃家電不適正処理事件 の場合 も、廃家電 を排 出す るに際 して リサイ クル費用 を支払 った顧客‑の返金問題 を別 とす れ ば、 「償 う」のが難 しい被害 を発生 させ たことにな り、 この点で製紙エ コ偽装事件 と共通す る。

49関連す る製紙会社 は、共同 して合計10億 円を出資 して基金 を作 り、間伐材 の利用促進事業や古紙 の回収支援 を行 う ことを発表 した。 日本製紙連合会他 「古紙パルプ配合率未達の問題 に対す るお詫び (声明)」 (http://www.jpa.gr.jp/me /release/20080131060130‑1.pdf)お よび最終 とりま とめ ・前掲注(37)14頁参照。

50 日本製紙連合会 は、10億 円の出資 とそれ に伴 う活動 について、 「社会貢献活動」 と位置付 けてい るo 日本製紙連合 会他 ・前掲注(49)参照。

51日本製紙 グルー プ:「GreenProportion これか らの再生紙 のあ り方 その1近年の古紙事情の変化」 (http://w w.

greenproportion.com/paper/volumel.html)では、 「中国 を筆頭 に した古紙 の海外需要の拡大や リサイ クルが繰 り返 され た古紙の品質 レベル の低下」か ら、良質な古紙の入手が難 しい旨を指摘 している。

116国際経営論集 No.36 2008

(13)

な る可能性 があ る こと52、 また二酸化炭素 の排 出量が増 える可能性 が あ るこ と53な どの理 由を あげて、古紙配合率の緩 和 を求 めていた。 もっ ともこれ らの主張は、エ コ偽装発覚後、そのきっ かけが、経済上 ・技術上 の理 由か ら、古紙配合 率 を高めることが難 しか った点 にあった ことが 知 られ るよ うになる中で、説得性 を失って しまっ てい る54。 しか し、仮 にエ コ偽装 がな く、 また 主張内容 が批判的な検証 に も耐 えて、関係者 に 広 く受 け入れ られ 、結果 として古紙配合率の緩 和が実現 していた とす るな ら、政策法務の一例

となっていたか も しれ ない。

5

まとめにかえて

本稿 では、実際の トラブル事例 を題材 に しつ つ、循環型社会 において、企業法務 は ど うある べ きかを検討 してきた。検討 内容 を改めて概観 して明 らか となるのは、循環型社会 にお ける企 業法務 と言 って も、 トラブル対応法務 、契約法 務 、予防法務 のそれぞれ の類型 に関 して、特段 新 しい ことが求 め られ るわけではない ことであ る。 それぞれで本来求 め られ る ところを、着実 に実行す ることこそが重要だ と言 えるだろ う。

もっ とも、環境 問題 に対す る社会的な関心が 高まると共に、個 々の国民 も環境保護 のために、

地道 かつ手間のかか る取 り組み を熱心 に続 けて い ることを考 えれ ば、環境 関連 の トラブル を生 じさせた企業に対 しては、必ず厳 しい非難が待 っ てい る と言 って も過言ではない。 とす るな ら、

や は り予防法務お よび契約法務 を充実 させ るこ とが、重要であることは明 らかだろ う

ところで、本稿 では、 トラブル事例 を題材 と して検討 を進 めたため、戦略法務お よび政策法 務 に関 しては、 「も し、た ら、れ ば」 を交 えた 形 の検討 に留 まった。 しか し、社会 が変化す る とき、戦略法務 と政策法務 の重要性 が高まるこ とを考 えれ ば、一般論 としては、環境 問題 に関 して も戦略法務 と政策法務 の重要性 が指摘で き よ う。 また、本稿 では温暖化 防止 と企業法務 の あ り方 については検討 しなかったが、 この点に ついて も分析 、考察 の価値 はあろ う。

以上、本稿で十分 に扱 えなかった点を含 めた、

よ り総合的包括的な検討 については今後 の課題 としい。

※ 本稿におけるURLは、特に断 りのない場合、

2008年9月12日にアクセス した。

52日本製紙 グループ :「ppc用紙の古紙配合率の変更 について 〜古紙100%配合のPPC用紙の生産 を中止〜 2007年10 月22日」参照 (http://www.np一g.com/whatsnew/whatsnewO7102201.html)

53山陰中央新報2008年2月6日論説参照。

51製紙エ コ偽装事件発覚前の時点では、環境省 「環境物 品等の調達の推進 に関す る基本方針 (変更箇所抜粋)」 3 (http://www.env.go.jp/press/me̲view.php?serial‑10529&hou̲id=9074)において 「古紙パルプ配合率100%かつ 白色度70% 程度以下であること。 ただ し、配合 され てい る古紙パルプの うち30%を上限 として、間伐材及び合板 ・製材 工場か ら 発生す る端材等の再生資源 に よ り製造 され たバー ジンパルプ、又は環境 に配慮 され た原料 を使用 したバー ジンパルプ に置 き換 えて もよい。」 とされ 、ただ し書 き部分で一定の緩和が認 め られ ていた。 しか し、エ コ偽装事件 を受 けた最 終 とりま とめ ・前掲注(37)58‑59頁においては、ただ し書 き以降が削除 され、従来通 りとなった。

循環型社会における企業法務のあり方についての一考察 117

参照

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