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432 章皮膚の良性腫瘍 がある. 成人の四肢に好発し, 直径数 mm 2 cm 程度の褐色調の隆 起性結節を形成する. 症状 病因 皮膚の浅い部分にボタンを入れた感じ と表現される褐色調の皮内結節で, 四肢に好発する ( 図.56). 緩徐に発育し, 通常, ある大きさに達すると変化しない. 横か

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Academic year: 2022

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21 7 .皮膚動静脈奇形 

cutaneous arteriovenous malformation

先天的な血管奇形と,胎生期の動静脈瘻が複数個あることが 基盤である.出生時には毛細血管奇形の外観を呈するか,ある いはそれほど目立たない場合もあるが,ある時期から増大傾向 を示し,皮表が熱感を伴って腫脹する.拍動や振戦も伴う.四 肢で生じた場合には,患部の肥大や延長を認め,Klippel-Tre- naunay-Weber 症候群(20 章 p.401 参照)をきたすこともある.

1 .軟性線維腫 

soft fibroma

類義語:アクロコルドン(acrochordon),スキンタッグ(skin tag),懸垂性線維腫(fibroma pendulum

症状

頸部や腋窩,鼠径などに好発する.半球状〜有茎の,柔軟で 常色〜淡褐色調の腫瘍.表面に皺が多い(図21.55).頸部や 腋窩などに糸状の小腫瘍(長さ 2 〜 3 mm)が多発するものを アクロコルドンないしスキンタッグ,体幹に単発するやや大き なもの(直径約 1 cm)を軟性線維腫,これがさらに巨大にな り皮膚面から垂れ下がるようになったものを懸垂性線維腫と呼 び,それぞれ区別している.肥満者,女性に好発し,一種の加 齢変化と考えられている.

病理所見

膠原線維の増生が主体であり,細胞成分に乏しい.軟性線維腫 や懸垂性線維腫では,腫瘤の中に脂肪細胞を有する場合も多い.

治療

必要があれば茎を切除ないし凍結療法.

2 .皮膚線維腫 

dermatofibroma

同義語:線維性組織球腫(fibrous histiocytoma

線維芽細胞やマクロファージが真皮内で限局性に増殖した 良性の硬い腫瘍.虫ちゅう症などの外傷に反応して発生する場合

H.線維組織系腫瘍 fibrous tumors

21.54 被角血管腫の病理組織像

表皮直下乳頭層の著明な毛細血管の拡張.

21.55 軟性線維腫(soft fibroma)

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がある.

成人の四肢に好発し,直径数 mm 〜 2 cm 程度の褐色調の隆 起性結節を形成する.

症状・病因

“ 皮膚の浅い部分にボタンを入れた感じ ” と表現される褐色 調の皮内結節で,四肢に好発する(図21.56).緩徐に発育し,

通常,ある大きさに達すると変化しない.横からつまむと病変 部が軽度陥凹し,痛みが強くなることがある(dimplesign).

単発性であることが多いが,全身性エリテマトーデスなどの自 己免疫疾患を背景として多発することもある.本症は微小な外 傷に対して反応性に結合組織要素が増殖してできたと考えら れ,厳密な意味では腫瘍ではないとする考え方もある.

病理所見

真皮から皮下にかけて,膠原線維や線維芽細胞,組織球が 種々の割合で増殖(図21.57).腫瘍細胞は血液凝固第a 因子 陽性,CD34 陰性であり,隆起性皮膚線維肉腫(22 章 p.461 参照)

との鑑別点となる.また,表皮では軽度の表皮肥厚とメラニン の増加を認める.組織球の増殖が主であるものをcellulartype といい,やや赤みを帯び軟らかい.線維芽細胞や膠原線維の増 殖が主であるものを fibroustype といい,膠原線維の間に線維 芽細胞が散在する.

鑑別疾患

硬くて黒色調が強いもの,成長が比較的速いものは,悪性黒 色腫との鑑別を要する.そのほか,隆起性皮膚線維肉腫,結節 性黄色腫,母斑細胞母斑,青色母斑など.ダーモスコピー所見 が鑑別に有用である(3 章 p.63 参照).

治療

外科的に切除する.悪性腫瘍ではないことが明らかであれば 放置してもよい.

3 .肥厚性瘢痕およびケロイド 

hypertrophic scar and keloid

結合組織の増殖による,境界明瞭な紅色あるいは褐色の扁平 隆起.

外傷や手術などに続発して発生するが,突然発生する場合も 21.56 皮膚線維腫(dermatofibroma

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ある.

とくにケロイドでは瘙痒感と側圧痛を伴う.

治療はステロイド局注や ODT などがあるが難治性.

分類

線維芽細胞によるコラーゲン線維産生が過剰になり,創面に 一致して紅褐色の隆起性病変を生じる.数年以内に自然萎縮す るものを肥厚性瘢痕(hypertrophicscar)という.一方,増殖 が高度で,創面を越えて大きく盛り上がり,消退傾向を示さな いものがケロイド(keloid)である.耳介に生じるピアスケロ

イド(図21.58)もよくみられる.

症状

外傷や手術などを契機に,通常 1 か月以内に発症する.耳介,

頸部,肩,体幹上部などはとくに生じやすい.境界明瞭な扁平 もしくは半球状隆起で,色調は鮮紅色から褐色を呈する(図 21.58).ケロイドに特徴的な所見としては,進行すると側方へ 徐々に拡大,中央部はしばしば退色扁平化し(餅を引き伸ばし たようにみえる),横から強くつまむと痛い(これを側圧痛と いう).これに対して肥厚性瘢痕では,増生が創面を越えて成 長することはなく,側圧痛もない.

21.57 皮膚線維腫の病理組織像

21.58 肥厚性瘢痕およびケロイド(hypertrophic scar and keloid

ac:体幹に生じた例.d,e:耳部のピアス後に生じた例.

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治療

初期の病変に対しては,ステロイド外用薬 ODT,持続的圧 迫,ステロイド局注,トラニラスト内服が行われるが,難治で ある.病変が高度な場合や機能障害を伴う場合は,外科的に切 除した後に上記治療および放射線照射を試みる.

4 .手掌足底線維腫症 

palmoplantar fibromatosis 手掌または足底の腱膜に硬い索状物が生じる,手掌腱膜,足 底腱膜の増生による深在性の線維腫症である.進行すると屈曲 拘縮をきたして有痛性になる.手掌線維腫症(Dデュピュイトランupuytren 拘縮)

は尺側に好発する(図21.59).足底に生じた場合は Ledderhoseレダーホース 病という.アルコール依存,糖尿病,てんかん患者に生じやす い.原因は不明であるが約半数に家族歴があり,遺伝的要因も 示唆される.腱膜切除術やリハビリテーションを行う.

5 .真珠様陰茎小丘疹 

pearly penile papule

陰茎の冠状溝に 1 〜 3 mm 大のドーム状で白色調の丘疹が列 序性に多発する.いわゆる血管線維腫で,生理的なものである ため病的意義はない.女性の小陰唇にみるものを腟前庭乳頭症

(vestibularpapillaeofthevulva)という.尖せんけいコンジローマ

(23 章 p.496)との鑑別を要する.

6 .鼻部線維性丘疹 

fibrous papule of the nose

顔面や頸部に単発する,正常皮膚色から褐色,紅色で直径 10 mm 以下の硬めのドーム状丘疹(図21.60).病理組織学的 に血管線維腫を呈する.

7 .後天性指趾被角線維腫 

acquired digital fibrokeratoma

正常皮膚色で弾性硬,表面に過角化を伴い,ドーム状あるいは 円筒状に突起した小結節(図21.61).指趾に好発し,まれに 手掌足底に生じる.結節性硬化症(20 章 p.394 参照)で爪囲に 生じたものを Koenen 腫瘍という.病理組織学的には過角化,ケネン 膠原線維と線維芽細胞の増殖,および豊富な小血管を認める.

8 .弾性線維腫 

elastofibroma

主に肩甲骨下部に左右両側性にドーム状ないし扁平な盤状の 21.59 手掌足底線維腫症(palmoplantar fibro-

matosis

本例は手掌線維腫症(Dupuytren拘縮)なので手指 が屈曲拘縮している.

21.61 後天性指趾被角線維腫(acquired digital fibrokeratoma)

21.60 鼻部線維性丘疹(fibrous papule of the nose)

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腫瘤を生じる.膠原線維に加え,弾性線維の増生を認める(図 21.62).

9 .硬化性線維腫 

sclerotic fibroma

直径 2 cm 大までのドーム状小結節.病理組織学的には,腫 瘍内に硬化した膠原線維が花むしろ様に密に存在し,細胞成分 はほとんどない.Cowden 症候群(p.411MEMO 参照)で多発 することがある.

10 .結節性筋膜炎 

nodular fasciitis

30 歳代の前腕に好発.外傷などが誘因となり,1 〜 2 週間で 急速に直径 2 〜 3 cm の皮下結節を形成し,圧痛や自発痛を伴 うことが多い(図21.63).病理組織学的には,筋膜付近で幼 若な線維芽細胞様細胞が不規則(束状,渦巻き状)に増殖する.

血管の増生,ムチンの沈着や核分裂像もみられ,いわゆる肉腫

(線維肉腫,未分化多形細胞肉腫,平滑筋肉腫,粘液型脂肪肉 腫,隆起性皮膚線維肉腫)との鑑別を要する.本症は自然治癒 傾向を示す.

11 .腱鞘巨細胞腫 

giant cell tumor of tendon sheath

手指の関節近傍に好発.直径数 mm 〜 4 cm の,硬い多房性 の皮内ないし皮下結節.正常皮膚色で単発性,痛みはない.組 織球様細胞や巨細胞の増殖を特徴とする(図21.64).腱鞘ある いは滑膜由来の腫瘍と考えられている.外科的に全摘出する.

12 .デスモイド腫瘍 

desmoid tumor

肩,胸壁,大腿などの筋,腱膜に好発する直径数〜 10 cm の正常皮膚色の硬い深在性の腫瘤.病理組織学的に,分化した 線維芽細胞と膠原線維からなる良性の線維性腫瘍だが,ゆっく りと浸潤性に増大し,再発率が高い.

13 .皮膚粘液腫 

cutaneous myxoma

数 cm 以下の軟らかい結節性の良性腫瘍.自覚症状はない.

病理組織学的には粘膜様組織内に星せいぼう状あるいは紡錘形をした 腫瘍細胞が浮かぶように認められる.ムチン沈着症(17 章 p.319 参照)とは異なる,独立した疾患である.

血管線維腫(angiofibroma)

21.62 弾性線維腫(elastofibroma

21.63 結節性筋膜炎(nodular fasciitis)

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21.64 腱鞘巨細胞腫(giant cell tumor of ten- don sheath

a:臨床像.b:病理組織像.

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14 .指趾粘液囊腫/ガングリオン 

digital mucous cyst / ganglion

指趾末節背面に生じた,ムチンを含んだ偽囊腫性病変(図 21.65).水疱あるいは疣贅のような外観を呈することがある.

myxomatoustype と gangliontype に大別され,前者は線維芽 細胞によるヒアルロン酸の過剰生産が原因で,本質的に限局性 のムチン沈着症である.後者は関節囊あるいは腱鞘のヘルニア である.不十分な切除は再発を招く.穿刺吸引,圧迫療法,凍 結療法,ステロイド局所注射なども行われる.

15 .口腔粘膜粘液囊腫 

mucous cyst of the oral mucosa

下口唇(まれに頬粘膜,舌)に現れる,ドーム状隆起を示す 直径 2 〜 10 mm の軟性腫瘤(図21.66).切開により黄色調で 透明な粘液を排出する.咬傷により唾液腺の排出管が破れ,唾 液が周囲組織に漏出し,肉芽腫を生じたものと考えられる.

1 .黄色肉

に く

腫 

xanthogranuloma

同義語:若年性黄色肉芽腫(juvenile xanthogranuloma

黄色〜暗赤色調で表面平滑な数 mm 〜 1 cm 大の丘疹および 結節で(図21.67),顔面部や四肢,体幹に好発する.多くは

I.組織球系腫瘍 histiocytic tumors

21.66 口腔粘膜粘液囊腫(mucous cyst of the oral mucosa)

乳児指趾線維腫症

(infantile digital fibromatosis)

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21.65 指趾粘液囊腫/ガングリオン(digital mucous cyst / ganglion a,c:臨床像.b:外科的切除.d:病理組織像.

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図 21.58  肥厚性瘢痕およびケロイド( hypertrophic scar and keloid )
図 21.60 鼻部線維性丘疹(fibrous papule of the  nose)
図 21.64 腱鞘巨細胞腫(giant cell tumor of ten-  don sheath )
図 21.66 口腔粘膜粘液囊腫( mucous cyst of the  oral mucosa)

参照

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