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電話帳情報と電子地図の時空間的結合データセットを用いた 東京

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Academic year: 2021

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電話帳情報と電子地図の時空間的結合データセットを用いた 東京 23 区における事業所の立地変化に関する分析

長田達朗,秋山祐樹,澁木猛,柴崎亮介

A Study on Tenant Location Changes in Tokyo 23 wards by Detailed Time Series Dataset

Tatsuro OSADA, Yuki AKIYAMA, Takeshi SHIBUKI, Ryosuke SHIBASAKI

Abstract There are many researches of urban analysis with various ways in various disciplines. But information used often has only low spatial resolution, especially when they use regional statistics, though the statistical data can cover relatively large areas with homogeneous quality. For detailed analysis, some studies rely on field survey data that have fine spatial resolution, but they fail to cover an entire urban area. We have developed detailed urban dataset by integrating detailed digital maps with time-series tenant data. This urban analytical tool enables us to investigate target areas broadly with high spatial resolution. In this study, we use this system to investigate distribution tendencies of commercial tenants in whole part of Tokyo 23 wards. The aim of this study is to show the application pattern of this new urban dataset and its availabilities or possibilities for urban analysis.

Keywords Urban Analysis, Detailed Time Series Urban Dataset, Tenant Location Changes

1. 背景と目的

人やモノが高密度に存在する都市空間で日々起 こる様々な現象やその変容を的確かつ精緻に捉え る効率的方法の整備は急務である.都市にかんす る多くの研究がこれまで様々な視点や方法から行 われてきたが,従来の研究で用いられてきたデー タは,広域に渡って均質な情報が得られるものの,

地域統計情報のように空間的精度の低いものが多 かった.また,精度を高めるためにフィールド調 査などに頼ったものも見られるが,こうした調査

〒1558505 東京都目黒区駒場-6-1東京大学生産技術研究所Cw503 東京大学空間情報科学研究センター柴崎研究室

e-mail : [email protected] / phone : 03-5452-6417 / fax : 03-5452-6414

では広域における高精度でのデータ整備が困難で あった.そのような背景の中我々は,事業所情報 を保有する電話帳(NTT)と電子地図(ゼンリン)

を結合させることで,広範囲なエリアを高精度で カバーする「詳細都市データセット」を作成し,

これを様々な側面から都市分析に役立てるための 技術を開発している(図 1).たとえば複数年次に わたってこのデータセットを用いることで,個々 の事業所がその立地をどのように変化させてきた か,といった変化を追跡することも可能となる.

本稿ではこのデータセットを利用し,東京 23 区に

おける最近 5 年間の事業所立地変化を,①新規出

現/入れ替え,②消滅,③存続に関して分析・描

画し,詳細都市データセットが可能にしうる高精

度な都市分析の一端を提示するものである.

(2)

図 1. 詳細都市データセット

2. 分析方法

2.1. 対象地区および対象時期

詳細都市データセットは,さしあたって東京 都・埼玉県・神奈川県・千葉県の一都三県を対象 に整備を進めている.ここではそのうち東京 23 区全域を対象として分析を行った.ソースデータ である NTT タウンページとゼンリン Z-map の最 新バージョンは 2005 年度のものであり,2000 年 度からの 5 年のタイムスパンにおける事業所の変 化を分析する.なお、データセットが保有する 23 区内の全事業所数は,2005 年度において 698,125 件である.

2.1. 評価指標の設定

23 区全域に対して 100 メートル間隔のグリッド を設定し,各グリッドごとに,グリッド内に存在 する事業所の総数に対する,①新規に出現した事 業所・②消滅した事業所の割合をそれぞれ調査す る.ただし,グリッドごとに事業所総数が異なる ため,それらの単純な割合値によってでは有効な 比較評価をすることはできない.そこで以下のよ

うな処理を行う。

(i) 23 区全体において,総事業所数(698,125 件,

2005 年度)に対する,新規に出現した事業所数

(205,748 件, 2000 年度-2005 年度)の割合を, 23 区全体における平均出現割合として算出する.

(ii) 各グリッドにおいて新規に出現した事業所数

と,各グリッドにおける全事業所数に上記の平均 出現割合を掛けた値(すなわち見込み値としての 出現事業所数)との差を,そのグリッドにおける 相対出現指数 I

E

(i)として定義し算出する. (式 1)

(iii) 消滅した事業所についても上記(i)(ii)と同様

の計算を行い,相対消滅指数 I

V

( i )とする. (式 2)

  698 , 125

748 ,

 205

i i

E

i E W

I ・・・式 1

  698 , 125

657 ,

 137

i i

V

i V W

I ・・・式 2

すなわち,相対出現指数 I

E

(i)および相対消滅指

数 I

V

( i )とは,各グリッドにおける事業所の出現お

よび消滅割合を, 23 区全体の平均割合によって重 み付けした値であり,これによってグリッド間で 比較評価をすることが可能になる.

たとえば,あるグリッドにおいて I

E

(i) > 0 なら ば,そのグリッドにおける実際の出現事業所数は 見込み値としての出現事業所数よりも I

E

(i)件多く 23 区全体の中で相対的に出現割合が大きいこと,

また I

E

(i) < 0 ならば,出現事業所数は見込み値よ

I

E

(i)件少なく, 23 区全体の中で相対的に消滅割

合が小さいことを示す.相対消滅指数 I

V

( i )につい ても同様である.

このように、相対出現指数および相対消滅指数 をグリッド毎に算出し,その値の分布によって,

23 区全体の事業所の立地変化の動向の概観を把 握していく.

3. 分析結果

23 区における全事業所の分布とともに,相対出 現指数,および相対消滅指数の値の分布の概観を 次頁に示す.

タウンページ電話帳(NTT)

事業所名/建物名/業種/住所

アドレスマッチングにより属性 付きポイントデータに変換。

↓複数年次のデータを処理 時系列ポイントデータを作成

ゼンリン電子地図

行政界/道路/建物形状/テキスト

緯度経度情報で結合 詳細都市データセット 1995

2000

2000 2005

2005

(3)

3.1. 全事業所数

図 2. 全事業所数(2005 年度)

グリッドごとの事業所数を計上したものである.

中央区・千代田・港,および台東区の上野浅草エ リアや,新宿・渋谷・池袋などの副都心地区に際 立って多くの事業所が集中する.また,台東区や 墨田区・荒川区などの下町地域・蒲田を中心とす る大田区のエリアにも比較的多くの事業所が展開 しているのがわかる.その他,基本的に鉄道網に 沿った駅のまわりに多くの事業所が集中する。

事業所数が最大の地点は, 中央区築地 5 丁目 (築 地市場)の 1048 件であり,次いで中央区銀座 8 丁目の 2 つの地点が,439 件・130 件と続く.

3.2. 相対出現指数

相対出現指数は図 3.の通りである.全事業所数 と同じく,鉄道網に沿った駅の周辺でも出現指数 が高く,中央区・千代田・港,および台東区の上 野浅草エリアや,新宿・渋谷・池袋などの副都心 地区に際立って多くの事業所が出現している.

一方台東区や墨田区・荒川区などの下町地域,蒲 田を中心とする大田区のエリアでは,事業所数そ のものは多かったが,新規に出現する事業所は 23 区の中ではむしろ少ないことがわかる.

図 3. 相対出現指数(2005 年度)

指数が最大のグリッドは, 中央区築地 5 丁目 (築 地市場)の 219 件であり,続いて港区品川 1 丁目 の 154 件,港区東新橋(汐留地区)の 131 件であ る.なお,指数が最低のポイントは,台東区浅草 1 丁目の-14 件であった.

3.3. 相対消滅指数

図 4. 相対消滅指数

相対消滅指数は図 4.の通りである.全事業所 数・相対出現指数とは異なり,数値分布が全体に

toshima̲tile toshima̲result̲pre.Cnt̲FID̲2

1 2 3 4 5 6 7 - 8 9 10 11 - 12 13 - 14 15 - 17 18 - 20 21 - 24 25 - 28 29 - 34 35 - 44 45 - 57 58 - 78 79 -

1位

2位,3位

1位

2位

3位

toshima̲tile toshima̲result̲pre.rate1

- -3.126 -3.125 - -2.305 -2.304 - -1.831 -1.830 - -1.537 -1.536 - -1.242 -1.241 - -1.063 -1.062 - -0.831 -0.830 - -0.589 -0.588 - -0.295 -0.294 - -0.063 -0.062 - 0.232 0.233 - 0.526 0.527 - 0.937 0.938 - 1.516 1.517 - 2.148 2.149 - 3.159 3.160 - 4.496 4.497 - 8.043 8.044 - 13.854 13.855 -

1位

2位 3位

nakano̲tile nakano̲00̲result.rate

- -1.859 -1.858 - -1.183 -1.182 - -0.789 -0.788 - -0.592 -0.591 - -0.479 -0.478 - -0.394 -0.393 - -0.310 -0.309 - -0.197 -0.196 - 0.014 0.015 - 0.211 0.212 - 0.408 0.409 - 0.606 0.607 - 0.803 0.804 - 1.014 1.015 - 1.239 1.240 - 1.479 1.480 - 1.831 1.832 - 2.437 2.438 - 3.479 3.480 -

(4)

分散しているが,全体傾向として駅の周囲で消滅 指数が低いことがわかる.また,新宿や渋谷や池 袋などの大規模繁華地区においては,駅のごく近 くでは消滅指数が低いが,そのすぐ周縁において は消滅指数が高くなっている.一方,中央区・千 代田・港,および台東区の上野浅草エリアでは,

消滅指数の高い箇所と低い箇所が完全に混在して いることがわかる.

指数が最大のグリッドは,足立区東伊興 3 丁目 の 125 件であり,続いて千代田区丸の内 1 丁目の 90 件,千代田区有楽町 1 丁目の 80 件である.指 数が最低のポイントは,中央区築地 5 丁目(築地 市場)の-180 件であった.

4. まとめと今後の展開

詳細都市データセットによって, 23 区全域とい った広範囲の事業所の立地変化を,相対出現指 数・相対消滅指数という指標によって概観した.

このデータセットの強みは,個々の事業所の動 きを時系列で精緻に追うことができることにある.

今回使用したのは各事業所の緯度経度にかんす る情報のみであり,業種属性・建物名称・階数情 報・事業所名称等は用いていない.これらの情報 を有効に組み入れて分析に活用することで,業種 ごとの事業所立地・業種間の立地関係など,より 高度で詳細な分析を展開することができる.また それらを時系列で追うことも可能である.たとえ ば六本木ヒルズや東京ミッドタウン,秋葉原地区 などに代表される近年の大規模再開発事業がもた らす地域へのインパクトや,商店街の衰退といっ た都市現象が,どのようなプロセスによって進行 しているのかなどといったことを,個々の事業所 レベルで解析していくことができる.

ただし, NTT 電話帳に情報を掲載しない事業所 が増えてきており,より高度で正確な分析を行う ためには,他の統計情報なども用いて,ソースデ ータとしての質を向上することが課題である.そ のためにはまず現地調査などによって,詳細都市

データセットが現実をどの程度反映しているのか といった精度検証を行うことが目下の課題である.

参考文献

[1] 秋山祐樹,大西量明,澁木猛,柴崎亮介 (2006) 既存情報の空間的結合による詳細都市データセッ トの作成と都市分析への応用に関する研究,全国 測量技術大会 2006,pp.99-104

[2] T.Suzuki (1999) A study on urban spatial configuration, Keiei-Shirin 36, 3.

[3] Y.Akiyama・T.Shibuki・R.Shibasaki (2006) A

study on an efficient making method of detailed urban

dataset by spatial integration of yellow-page data a nd

digital maps for urban analysis, The 27th Asian

Conference on Remote Sensing

図 1. 詳細都市データセット 2.  分析方法 2.1.  対象地区および対象時期 詳細都市データセットは,さしあたって東京 都・埼玉県・神奈川県・千葉県の一都三県を対象 に整備を進めている.ここではそのうち東京 23 区全域を対象として分析を行った.ソースデータ である NTT タウンページとゼンリン Z-map の最 新バージョンは 2005 年度のものであり,2000 年 度からの 5 年のタイムスパンにおける事業所の変 化を分析する.なお、データセットが保有する 23 区内の全事業所数は,2005

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