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介護報酬レセプトを用いた介護の場所別死亡率の推計

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平成 28 年度 厚生労働科学研究費補助金

(政策科学総合研究事業(臨床研究等 ICT 基盤構築研究事業))

分担研究報告書

介護報酬レセプトを用いた介護の場所別死亡率の推計

研究分担者 佐藤幹也 筑波大学医学医療系 非常勤研究員 研究代表者 田宮菜奈子 筑波大学医学医療系 教授

研究要旨

【背景】本研究では全国の介護保険受給者台帳および介護保険給付実績の全国データを用い て、介護の場所別に死亡率および標準化死亡比を推計して比較した。

【方法】2013 年 4 月に何らかの介護保険サービスを利用していた 65 歳以上、要介護 1-5 の 者 2,738,005 人(男性 806,778 人、女性 1,931,227 人)を在宅群・介護施設群・特定施設群

・中間施設群の 4 群に分けて 1 年間追跡し、死亡率及び標準化死亡比を推計した。

【結果】年間死亡率および人月法による死亡率は要介護度とともに上昇した。また死亡率を 介護の場所別にみると、在宅群と中間施設群で低く、特定施設群、介護施設群の順で高くな っていた。しかし性・年齢階級で補正して算出した SMR では、在宅で介護を受ける者の SMR が最も高く、介護施設で介護を受ける者、特定施設で介護を受ける者、中間施設で介護を受 ける者の順で SMR が低下していた。

【考察】在宅介護と施設介護を比較すると、性・年齢・要介護度で補正された死亡リスクは 在宅介護のほうが高かった。在宅介護の費用対効果やサービスのありかたなど、今後さらに 検討する必要がある。

A.研究目的

持続可能な在宅療養のため、地域包括ケ アシステムの構築が進められている。介護 保険制度の評価と将来設計のためには、介 護の場所としての在宅とそれ以外の選択肢 について、要介護者の予後を的確に比較す る必要がある。

そこで本研究では全国の介護保険受給者 台帳および介護保険給付実績の全国データ を用いて、介護の場所別の死亡率および標 準化死亡比を推計し、介護の場所による死 亡率を比較した。

B.研究方法

1.データおよび分析対象

2013 年 4 月の時点で日本全国の介護保険 受給者台帳に登録されその保険者が二次利 用を承諾した者うち、65 歳以上、要介護 1- 5 で何らかの介護保険サービスを利用してい た 2,738,005 人(男性 806,778 人、女性 1,931,227 人)を調査対象とした。これを 2013 年 4 月の介護保険給付実績から抽出し たサービス利用状況を用いて在宅群・介護 施設群・特定施設群・中間施設群の 4 群に 分けた。

2.効果指標

介護保険受給者台帳を用いてこの 4 群を 2014 年 3 月まで 1 年間追跡し、年間死亡 率、人月法による死亡率、及び標準化死亡 比(以下 SMR、2013 年における日本の 5 歳

(2)

- 67 - 毎の年齢階級別死亡率を用いた間接法によ

る)を要介護度別に推計した。

3.倫理面への配慮

筑波大学医学医療系倫理委員会の承認を受 け、本研究を実施した(通知番号 10009 号、2015 年 10 月 1 日)。

C.研究結果

1.年間死亡率(/1,000 人)は、男性全体 で 148.1、女性全体で 103.7 であり、介護の 場所別にみると在宅群で 131.0(男性)と 83.9(女性)、介護施設群で 213.0 と 149.8、特定施設群で 189.4 と 115.1、中間 施設群で 147.2 と 84.0 であった。人月法に よる死亡率(/100,000 人月)は、男性全体 で 85.8、女性全体で 75.7 であり、介護の場 所別にみると在宅群で 131.0(男性)と 60.6(女性)、介護施設群で 165.1 と 112.1、特定施設群で 144.7 と 84.6、中間施 設群で 109.5 と 60.6 であった。何れの群で も要介護度が上がるにつれて死亡率は上昇 した。性・年齢階級で補正した要介護度別 の SMR は、在宅群で 0.88、1.07、1.32、

1.75、2.42(要介護 1 から要介護 5 まで順 に示す)、介護施設群で 0.94、1.03、

1.25、1.66、2.24、特定施設群で 0.86、

1.05、1.32、1.61、2.25、中間施設群で 0.78、0.83、1.02、1.37、1.92 であった。

D.考察

年間死亡率および人月法によるは要介護 度とともに上昇しており、介護度の高いも のほど死亡リスクが高いといえた。また年 間死亡率および人月法による死亡率は在宅 群と中間施設群で低く、特定施設群、介護 施設群の順で高くなっていた。しかし性・

年齢階級で補正して SMR を算出すると、在 宅で介護を受ける者の SMR が最も高く、介 護施設で介護を受ける者、特定施設で介護

を受ける者、中間施設で介護を受ける者の 順で SMR が低下していた。

これは介護施設の死亡率が施設介護の死 亡率よりも低いことが両群の年齢分布が異 なることに起因することを示しており、性 年齢階級で補正した場合はむしろ、在宅介 護のほうが施設介護よりも死亡リスクが高 いといえた。

利用者の QOL や設備投資などの観点から 在宅介護がこれまで積極的に推進されてき たが、利用者及び公益の観点から施設介護 と在宅介護の費用対効果なども比較し、今 後さらに在宅介護の在り方を検討していく 必要があるであろう。

E.結論

在宅介護は施設介護よりも実測死亡率は低 かったが、性・年齢階級及び要介護度で補正 した標準化死亡比でみると、在宅介護のほう が施設介護よりも死亡リスクが高い。在宅介 護と施設介護の在り方について今後さらに検 討が必要であろう。

F.研究発表 1.論文発表

なし(英文誌に投稿予定)

2.学会発表

なし(2017 年度日本公衆衛生学会総会で発 表予定)

G.知的財産権の出願・登録状況(予定を 含む)

1.特許取得

なし(今後も予定なし)

2.実用新案登録 なし(今後も予定なし)

3.その他 特記事項なし

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