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新たな価値の創造とイノベーション

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Academic year: 2021

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新たな価値の創造とイノベーション

社会システムの変化により建設の受注環境が大きく変化している。請け負い工事におい ては価格競争が厳しく、一層の技術提案が必要になっている。建設事業は最上流の事業開 発企画などからビル管理事業、そして浄化ビジネスなどエンジニアリング分野にと広がっ てきた。建設業全体での事業量としては同じであっても、先進的な技術による事業や、リ スクをともなう事業に広がっているものといえる。建築物の施工においても、より難度の 高い工事、高性能の施設や超短工期の工事、品質・性能への社会的ニーズなど先進的な技 術が必要になってきている。また、地球温暖化防止のための CO2 排出量の削減は、市場に 受け入れられる手形になる兆しも感じられる。建設産業のマーケットの多様化は進んでい るものの、今は技術の大きな転換期と考えられる。このような状況において方向をつくる のは技術の研究開発にかかっている。

従来、建築物の価値を大まかに見ると、地震や風水害や火災などにたいする安全性をベ ースにし、健康な生活をおくれる環境、そして用途や使い方に応じた効率の良いこと、さ らに快適さや建築的見栄えなどが価値とされてきた。ライフサイクルマネジメントも効率 向上の一環である。しかし、ここにきて、地球環境という顧客の事業に直接にはかかわら ない観点からも追求すべき価値が確立し、さらにはリスクマネジメントという顧客の事業 にかかわる価値が創られ、事業継続計画というなかで確立してきた。車の例をとると、品 質からはじまり、馬力などの性能、信頼性、燃費、衝突安全性、そして CO2 削減、事故未 然防止などと目標価値が変り、市場の拡大と商品の置き換えがおこなわれてきた。もちろ ん、当初からの品質などは確保されていることが前提である。同様に考えると、建設にお いても確かなモノを確かに造ることは前提としても、マーケットの兆しを感じつつ新しい 価値を創り、技術的に実現しつつ社会の潮流にしていくことが狙いになる。この兆しを顕 在化させ、それに応えること、そして社会的要求という潮流にしていくこと、これは研究 開発によるものと断言できる。いくつかの研究開発では、このような従来の建設技術を超 えて新たな技術体系の構築にむかうイノベーションを目指してもらいたい。CO2 削減など の地球環境技術の研究開発はその兆しを示していると考えられる。

新たな価値創造をもとめる研究開発にも、まず研究開発の基盤となるところを固める必 要がある。今までの研究開発の成果を論文として残してこそ、次への展開につながるもの となる。そしてその過程を踏んでこそ、社会を、そして市場を感じ取れるものと思う。今 は新たな流れをつくることが、建設分野が社会から正しく評価される基になるものと思う。

2007 年 10 月

清水建設株式会社 執行役員 技術研究所長 博士(工学)

矢 代 嘉 郎

参照

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