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概念形成か ら育成ずる科学詑思考力E J こついての研究

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東京学芸大学附属小金井 中学校 『研究紀要』第47 2011

概念形成か ら育成ずる科学詑思考力E J こついての研究

‑中学校理科の授業における科学的思考力の評価 ‑

栗田 克弘 平滞 傑*

より良い理科の授業 を通 して、科学的思考力が生徒 に身 についてい くことを現場の教師は肌で感 じ取 っているo しか し、それを客観的にとらえている教師は少 ないoそこで、概念形成の過程 を授 業 に取 り入れることで、科学的思考力が膏成 されることを試みたo授業分析 には、科学的思考力を 評価するための基準 を考案 し、それを活用 したoその結果、.生徒の科学的思考力は、概念形成の過

キ‑ ワー ド〕 科学的思考力 概念形成 論理性 実証性 社会性 評価基準

1.研究のね らいと方法 1‑1 は じめに

中学校 の理科の授業 を通 して、科学的思考力を伸ばす とい うことは誰 もがよく耳 にする ことである。確 かに、実際の生徒 は授業 において、自分で考 えた り、人の考えを聞いた り、また実験や観察 を行った りす ることを通 して、、科学的思考力は伸 ば している。より良い授業 を心がけている教師にしてみ ると、このよ

うな生徒の姿を日常的 に肌で感 じとっている。しか し、それが実際の授業の どのよ うな場面 を通 して、ど のよ うに育成 されているのかを客観的にとらえることは少ない。科学的思考力を伸ばす ことに力点を置

くと、科学的な内容の理解 は不十分でよいのか と言われ、科学的な内容 を指導のね らいで強調すると、時 間がたてばそんなものはいずれ忘れて しま うようなものだ と言われて しま う。わかってい るが、なかなか 指導 として科学的思考力の育成 を形づ くれないでいるのが、教育現場の実状である。

そこで、まず科学的思考力の要因を明 らかにした。自然科学の持つ要因を分析 し、このことか ら科学的 思考力 とはどのような要因を持 っているのかを示 した。さらに、この要因が授業の中で どの ように形成 さ れているのかを、概念形成の過程 と関連付 けて明 らかにした。概念形成の過程 も科学的思考力も、系統的 で継続的な授業過程 を編成することに依存 している。指導 には中長期的な時間を必要 とす る。この ような 授業過程 を通 して、科学的な内容の理解 を深 めなが ら、科学的思考力の育成が図 られ ると考 えた。

この研究は、東京学芸大学大学院教育学研究科教育実践創造専攻 (教職大学院)における課題研究、「 学的思考力の育成 を目指 した中学校理科授業 についての研究一概念形成 に繋がる問題解決 における、集 団活動 の役割 と観察 ・実験 の役割‑」(平滞傑)の一部である0

1‑2 研究の背景

科学的思考力に関する研究は理科教育研究の中核 として1950年代か ら今 日まで数多 く行われてきた。

しか し科学的思考力の捉 え方は研究者 によって さまざまであ り、科学的思考力の要点 を具体的 に定め要 点 ごとの生徒の変容を明 らかにしたものは少ない ように思われ る。また数多 くの文献で、科学的思考力は 科学者 の探究や問題解決の過程 における思考活動であるとしているに,もかかわ らず、科学 が発展する上 で欠かす ことのできない 「社会的な活動を科学的思考力の要素 に位置づ けているものは少ない。 した がって、現代的教育課題である 「他者や社会、自然 ・環境等 と関わ り合 う活動」とい うキ‑ ワー ドと 「 学的思考力を関連 させなが ら研究を進めることが重要である と考 えた。

*東京学芸大学大学院教育学研究科教育実践創造専攻 (教職大学院)

‑125‑

(2)

以ー上を踏 まえ、集団活動 (討論)と目的意識を持 った観察 ・実験 を位置づ けた問題解決的な学習活動 ( 学的概念形成 を目的 とした)を行 うことによって生徒の科学的思考力の要素 が育成 され るかを明 らかに することを目的 とした。

1‑3 研究の方法

研究は以下の順序で行った。

①文献調査か ら、科学的思考力を具体的に定義 し、その要素を挙げる。

②科学的思考力の要素を達成 し符る学習活動を位置づ けた授業 を実践する。

③生徒の授業ポー トフォリオ(生徒のノー ト‑の継続的な記録)、授業での発言記録などか ら、要素 ごと に分析 し、科学的思考 力の変遷を明 らかにす る。分析する授業は、授業者が異なる場合 。生徒の実態 が異なる場合それぞれについても言及 した。

2.科学的思考力について 2‑1 科学的思考力 とは

まずは科学的思考力を定義 した。文献を調査すると、科学的思考力の捉 え方 は様々である。文献 のさま ざまな意見を総合 し、科学的思考力に直結するものを 「問題解決能力」とし、問題解決の過程 における思 考活動 を要素 としたO要素は、「論理性 (筋道の立てた考 え方で、矛盾 のない考 え方)社会性 (他者の見 解 を比較 ・参考 にし矛盾のないような推論 をしよ うとする考 え方 )実証性 (事実 に当てはめて実証 しよ うとす る考え方)」の3点に定めた。さらに以上の要素が身につ けられ る学習活動 について、文献調査な ど か ら定めた。

2‑2 問題解決能力と 「論理性の育成について

日置 (2005)は、問題解決の能力が科学的な思考力の中心であることを示 している。問題解決学習の理 論的背景 となっているのは、デューイ(Dewey.j.1955)の反省的思考の過程 と言われてお り、実際科学的思 考力を問題解決 と関連 させている文献の多 くで取 り上 げている。反省的思考の過程 は① 「問題意識」② 「 題の明確化」③ 「仮説の提案」④ 「仮説の吟味」⑤ 「仮説 の検証」の5段階か らなっている。さらに、「理科の授 業 において重視 しなければならないのは、主体的な問題解決のための活動 を展 開す るだけではな く、科学 的 に自然 を認識 してい くための過程 にある」とされている。堀 ら(2010)は子 どもの既有の知識や考 えであ る素朴概念 を重視 し、その素朴概念 を科学的概念 に変 える手段 として、問題解決 の過程 をた どることが必 要であるとしている。解決する問題は、反省的思考の考 え方 (1を参照)に基づ いて設定することとする。

また永田ら(1958)は、「論理性(筋道の立てた考 え方)合理性 (矛盾 のない考 え方)」を 「科学的思考力」の 一つ としているo科学的な問題解決 において論理的な思考 は不可欠のもの としている。

2‑3 r社会性」の育成について

社会性」を定義する。板倉(1977)は 「科学的認識は社会的な認識である」 と述べてお り、 「科学的認 識は個々ば らば らの人が自分 自身で確かめなければな らない とい う形で成立す るものではな しに社会的 にお互い協力 しなが ら‑知識の体系 として科学を考 える」との意見 を表 している。また、科学的思考力は 科学者の思考活動そのものであると言われ、科学者たちが科学的概念を形成す る過程で、他の科学者の仮 説や推論を批判 した り疑問を抱いた り、先行的な研究 に引用 した りする活動がある。理科の授業 にも見 ら れるこのような思考活動 を「社会性」のある思考活動 と定義付 け、科学的思考力の要素の一つ とした。また

論理性 ・合理性」のある考え方 を促す主な手段 として も、「社会性 を用いなが ら物事 を考 える活動」が 必要であると考察す る。 「筋道の立てた考え方で、矛盾のない考 え方」と 「誰が考 えても納得のい く考 え 方」の両者は個人の思考では決 して成 り立たず、集団の中で妥当性が確かめ られ、形成 されて行 くか らで ある

2‑4 実証性について

加藤 (1958)は、科学的思考め要素の一つ として 「実証 しようとす る考 え方がで きるか どうか。事実や現 象か ら、1つの原理な り法則な りを抽象 して考えた ときに、それがはた して事実 で間違いのないことであ

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るか どうかを確かめること」としている。「実証性」を身につ けるために「目的意識 をもって観察 ・実験 を行 う」、すなわち 「問題 に対 して練 り上げた仮説 を検証する」観察 ・実験活動 を行わせる。観察 。実験 の方法 には帰納法 と演鐸法 に大別できるとす ると、帰納法 とは観察 。実験で得 られた個々の具体的事象 か ら、一般的な原理や法則 を導 き出す(発見する)方法である。それ に対 して演鐸法は、前提 とする原理や 法則か ら導 き出 される仮説 を、観察 ・実験を通 して検証する方法である。文献 を整理 しても、目的意識 を 持たせ るためには、主 に演樺的な形式の観察 。実験 を用いることが有益だ と考 えられ る。

2‑5 科学的思考力育成の構想モデル

科学的思考力育成の構想モデルを図1に示す。科学的思考力の構成要素(「問題解決能力」の思考過程) である 「論理性」「社会性」実証性」を育成す る方法 として、 「社会性の伴 った学習活動 (討論活動) 的意識 を持たせた観察実験 (演縛的な実験)」を位置づけた「問題解決的学習活動」を展開す る。 「問題解決 的学習活動」は科学的概念の形成 に繋がるもの とする。なお、3要素の中でも 「論理性」を他 の2要素 よ

りも中核であ り高次の能力 として位置付 けている。

‑ ‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑ ‑ 一 科 学 的概 念 f

F Y

.

>問題解決 蛎肩蘭 爾 急 形成過程)

⑤ 仮 説 を検 証 す

る段階 演 縛 的な観 察 .実 験 (目的意 識 を持 った観 察 .実 験 )

④ 仮 説 を吟 味 す

る推論の段階 討 論 活 動 (社 会 性 を意 識 した集 団活 動)を通 した思 考 活 動

③ 仮 説 を提 案 す

る段階 問題 に対す る仮 説 生 成 を重 視

② 問題を明確 化 問題 (課 題 )意 識 を持 てる問 題 (課 題)設 定 (条 件 )

する段階 (i)児童生徒の能力に相応しくて、彼ら自らの力で解き得る程度の もの

(ii)手近かにある器具 .材料を用いて 解けそうな問題である .(D問題 を意 識 す (iii)彼ら自身が解いてみたいと希望するようなもの

る過程 (iv)その内容 は広範なものであるより、むしろ一つのはっきりした主 要な概念を持っているもの

1 科学的思考力育成の構想モデル

3.研究の経過

3‑1 研究の対象 と内容

研究の対象は、東京学芸大学教職大学院の連携協力校の東京都内の公立 中学校 (以下A中学校)3 年の生徒150(4クラス)である。20104月か ら20111月まで継続的 に授業実践 を行った。実して きた単元 は次の通 りである。学習活動 を取 り入れた授業実践 は、1つの単元 につ き3‑4時間で実施 して きた。

<実践 した単元>

①運動 の規則性 7時間 ②力学的エネルギー 7時間 ③酸化 ・還元 ・化学変化 と熟 7時間

④化学変化 とイオン 12時間 3‑2 授業について

科学的思考力の要素を育むための学習活動 に近いもの として、仮説社 の仮説実験授業 の授業形式や、玉 田 ら(1975)の 「子供集団が共 同で課題 を解決す る授業(課題方式 の授業)」がある。 したがって本研究では、

これ らの方法 を参考 にして授業 を計画 した。授業の大まかな流れは次の とお りである。授業者 による問題 解決の問題 (学習課題)の提示‑生徒が 「自分の考え」(根拠 のある仮説 )をノー トに記入する‑授業者が異 なる意見 に対する子供の意見分布 を挙手で確認‑生徒 による意見の発表 ・討論‑ 「他 の人 の意見を問い

‑127‑

(4)

て」を生徒が ノー トに書 く‑討論後の意見変更 。分布 を授業者が生徒 の挙手 によって確認す る‑実験 に よって仮説 を検証する‑ 「考察 を含めた実験の結果 とわかったこと」を記入す る。

4.研究の成果 と考察

4‑1 科学的思考力の要素の変遷 4‑1‑1 評価基準表に基づ く評価

授業時期 を1期 (5月)。2期(7月)。3期 (10月)。4期 (1月)に分 け、生徒のノー トの記述か ら科学 的思考力の変化を調べた。150名の生徒全員の 「論理性実証性社会性」それぞれで どの段階に属 して いるかを判定 した。それをグラフにし、T検定を行い、有意差 を明 らかにする。判定 に用いる記述 は生徒 のノー トの 「自分の考 え」記入欄である。評価の観点は以下の とお りである。それぞれの基準 を満た した数 で評価 を行った。

1期か ら4期はそれぞれ 「慣性の法則力学的エネルギーの移 り変わ り物質の還元中和 と塩」

の授業 ノー トを分析 した。4つの授業 は、それぞれの単元で中心 となる概念 を習得するもの として選択 し た。社会性 。実証性 ・論理性は、定めた定義 を文献か らよ り具体的 にし、それ に基づいてそれぞれ5段階 の評価基準表 を作成 した(1参照)0

1 評価基準表

[社会性]

他 の人 の意 見

を聞いて (丑発言者 を特定 している.

②他者の意見の内容 を具体的 に記述 している(特 に問題解決 に関わる内容)o

③他者の意見を踏 まえて、現在の自分の仮説や考えを記述 しているo

④他者の意見に肯定 .否定の意を示 している、参考 にしている様子が見 られるo

⑤他者の意見 と自分の意見を比較 しているo

[実証性]

他 の人 の意 見 を聞いて

実験からわかつ

たこと」から ①観察 .実験の方法(事実の確認方法)が記述 されているo

②観察 .実験か らの結果 (確認 した事実)が記述 されているo

③実験か ら明 らかになったこと(科学的問題 に対する結論、概念)が記述 されているo

④概念の仮説 (事実か ら明 らかにするべきこと、観察 .実験 の日的)が記述 されているo

⑤定量的 .定性的な実感を伴った記述があるo事実を自分で確かめたような記述があるo

[論理性]

記述全体か ら ②仮説 を立てる際、手掛か り(1つの問題解決において、一連の流れで記述 されているo(既習事項 .日常経験等)に関連付 けて推論 しているo無記述の部分 .飛躍がないo)

③ ミクロな視点や抽象的な考 えを適切 に持ちなが ら思考 している記述が見 られるo

④法則や概念 として適切 にまとめ られているo (規則性 .法則性 .一般性の発見)

2は、評価基準表 を用いた評価 を行い、平均値 をグラフ に表 したものである。平均値の変化をT検定 にかけた結果、

社会性 ・実証性 。論理性いずれ も1‑4期で(PO.01)の有 意差が見 られた。従 って、全体を通 して科学的思考力の要素 を身につけてきた ことがわかる。 また1‑2期 においても 大 きな差が見 られてお り、これは一連の問題解決の記録方法 をこの時期 に、特 に習得 していることが一つの要因であると 考察する。

r

l i' : 4

2 科学的思考 力の要素、平均値の変化

論理性」の数値 は 「社会性実証性」の数値 よりも低い結果が得 られてい ることから、先述の 「 理性の要素は、科学的思考力の要素 として中核であ り高度な能力である」ことを裏付 けている。また2期‑

3期ではいずれ も有意差 は見 られないが、3‑4期では論理性のみ(P〈O.05)で有意差が見 られているこ とか ら、 「社会性 ・実証性の習得 に伴 って、時間をかけて論理性の能力が身 について くる」とい うことが

(5)

示唆 され る。 これ らの ことか ら、科学的思考力育成の構想モデルの妥当性が確かめられた と言ってよい。

4‑1‑2 科学思考力の育成をめざ した授業の質的分析

(1) 発話プロ トコルヨか らの分析

ノ‑ トには記述 されなかった、教室での談話や討論 による思考活動 をみ とるために、授業 でのビデオ記 録 とICレコーダーによる記録 を、1‑4期の変化を質的に分析 した04クラスの典型的な例 としてBクラ スの仮説討論の様子を以下 に記 し、 〔事例1〕と 〔事例2〕で変容の前後 を比較 した。

事例1

1期、運動の規則性、慣性 の法則、学習課題 「台車の上に乗 り、一定の速 さで走 らせ るO 目印の真上で ボールを手離す と、地面の どこにボールは落 ちるか」 についての仮説 について討論す る様子]Bクラス M T:矢印の上に落 とすか ら、 自分は動いてても、関係な く下 に落 ちると思 う。

T G:自分は台車の上で動いていても、ボール自体 には力が加わ らないか ら、下 に落ちると思 う.※

T A :目印の上に落 としたんだか ら目印の上 に落 ちないわけがない と思 う。

KYl:ボールが落 ちる間に時間があるか ら、 目印からずれるo

T K:新幹線 の中で、物 を落 としても、 自分 の体の真下 に落 ちるか ら。

Y S:台車と人とボールは、一に動いていて、

るか らずれる

ボールを落としたとしても、右の方向に力働いてい

KY2:全く一緒で 、 ボールと台車はに力が加わってて 、 その力を使って、少しに進むと思う.

師 :質問 ・意見 ・否定 ・賛成はあ りますか?

TsTKT

MYMTA

1期であるこの事例では、仮説の発表 ・仮説 が妥当であるかの議論 をするときに、他 のことと関連付 け て考えている(論理性の思考)のは王盤 で示 した2人だけである。また、抽象的な概念 を用 いる(論理性、

ここでは 「力」)生徒 も、破線 で示 したものだけである。また他者 との意見交換 は網掛 け部分 だけで行われ てお り(社会性)、生徒 どうしではな く生徒一授業者のや りとりがほ とんどである.その証拠 に、このや り とりは当事者だけで進められ、他の生徒のほ とんどはノー トに記入せず、授業者の解説 を待 っている。最 後 には把握 していなかったや りとりをもう一度説明するよ う要望 している生徒が見 られるO この授業で は、 自力で問題解決を行い、正 しい結論 に達 した生徒は2人のみである。

事例2〕

4期、酸 .アルカ リとイオン、中和 と塩、学習課題 「酸であるH2SO湛 アルカ リであるBa(OH)2を加 え中

T A :硫酸 も水酸化バ リウムも電流が流れるんで、一緒 になっても電流が流れる と思 いま した。どっち

‑129‑

(6)

も流れ るか らです。

A T:1年生の ときにや って‑中和反応では、水 と塩ができるか ら食塩水が電流 を流すか ら、電流が流 れ るん じゃないかなあと恩いま した。

師 :中和反応 についてはなんて習いま したか ? A T:水 と食塩ができるって習いま した。

D M :根拠はないけどそ う恩いましたo

M K:僕は、水 に溶 けてないって ことは、あの、食塩水 とか、の よ うに、化合 してないって ことだか ら、

分かれているか ら電流流れない と恩いました。

M T:え,庵 ‑固O M 氏:

AT2:中和 されて電子がな くな り、Ba2十とかが無 くなると思 い、電離ではな くなると思い、流れない と 恩いま した。

教師 :も う少 し詳 しくお願 い します。

AT2

Y S:はいつ けた LoH+とOHTが くっついて、SO12‑とBa2+が くっついて、陽極陰極 に、何 もつかない で電離状態ではな くなるか ら。

教師:黒板使いますか ? YS:はい

Y S:(黒板 に書 きなが ら)混ぜた ら、こ うやって、+と一同士で くっつ きあって、この状態では電離だっ たけど、混ぜた ことによって くっつ きあって、 とい うことです。

CYMYsTsTMTH

T

S

0

S

節 :他 には ? G

K G K

T

KW

M T

T :じゃあ次はこの白い沈殿 の正体 についてですo何かあ りますか,? A T:

M T:

4期であるこの事例 は、25分の議論 の一部である。社会性 の観点か ら、他者 との繋が り部分が大 き く増 加 していること(網掛 け部分 )、説明がわか らない ときに質問 して理解 しよ うとす ること、他の生徒 の意見

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につ け足 して 自分の意見を発表す る等の変容が見 られ る。また、議論 に参加 しよ うとす る生徒 の数 も増 え ていることがわかった。論理性 の観点か ら、既習事項 (一年時 に学習 している中和)と関連付 けて考 えよう

とする生徒 (王睦)や、化学式やイオ ン等の ミクロな視点で物事 を考 えている様子 (破線 )の増加が伺 えるo l期か ら4期 を通 して、議論 を リー ドしているのはYSMYである。この よ うな生徒 の存在が、他の生 徒 の社会性 を増加 させていることが示唆できる。この授業で、自力で問題解決 を行 えた生徒 は半分以上で、

生徒の科学的思考力の要素 の変容はノー トの評価数値だけでな く討論 の様子か らも伺 える ことがわかっ た。

(2) 監ノー トの記述か ら】の分析

評価数値が変化 した生徒 のノー ト記述か ら、どの よ うに変化 したのかを具体的 に考察す る。以下は典型 的な変 化を見せた2人の生徒 の記述 を挙 げた。

事例3(生徒A)評価数値が変化 した生徒 のノー ト記述変化

2期/評価数値 :

(予想) B (根拠)角度 が大 きいか ら

(他 の人の意見 を聞いて) (他の人の意見内容省略)ウの人の意見が説得力があった。

(実験 か らわかったこと) A・Bは、① の とき、位置エネルギーは同 じ。

4期/評価

(予想)流れない (根拠)なん とな く

(他 の人の意見を聞いて) (他 の人の意見内容省略)Ⅰさんの意見 を聞いて、H トとOH【が くっついて

H20にな りBa十とSO12‑が くっついてBaSOlにな り、H20は非電解質だか ら電流 は流れ ない と思 ったO (実験 か らわかった こと)硫酸 と水酸化バ リウムを混ぜて中性 になった とき電流は流れ ない。 しか し

それ にさらに硫酸 を加 えて酸性 になった とき、電流は流れ ると思 う0(その理由 と詳 しい内容 をモデ ルで説明 している)

事例4〕 (生徒B)評価数値が変化 した生徒 のノー ト記述変化

③ 1期/評価 :

(予想) 目印 より先の位置 に落 ちる根拠動いている物体 はその方 向に動 き続 けよ うとす る。

(他 の人の意見を聞いて) (他 の人の意見内容省略)ボールは等速直線運動 を し続 けよ うとす るか ら目 印の先 に落 ちる。

(実験 か らわかったこと) 実験 か らボールは目印の先 に落 ちる !

4期/評価 :

(予想) 電流を通 さない (根拠)水溶液が中性 になっている とい うことは、酸 の もとになるH十と アルカ リのもとになるOH が同数である と言 える。また、2つの水溶液を混ぜた ときに白い物質(硫化 バ リウム ?)が発生 したが、この物質は水溶液中には溶けていないので、この物質は電離をしないことが わかる。水溶液 に電流が流れる原因は電離 にあるので、 この水溶液は電流を通 さない と考 えられる。

(他 の人 の意見を聞いて) (他 の人の意見内容省略)Yは水が電離 しているか ら電流を通す と言ってい たが、純粋な水 は電流を流 さない ことか ら、水 は電離 していない。また、白い物療 は水 に とけていな い、つ ま り電離 していない。 よって、電流 を流す要素が無いので、電流 を通 さない と思 う。

(実験 か らわかった こと)やは り電流は流れなかった。これ によ り水はH'とOH‑に電離 しない こと がわか った。しか し、食塩水のよ うに中性で も電流を流す ものもあるので、Tが言 った中性 だか ら電 気 を通 さない とは言 い切れない。

まず変容前の抽出生徒2人 について述べる。生徒Bは自分の仮説 を他 の生徒 のもの と比較 できていな いため、最初の予想 を2度書 く形 になっている。概念的な推論 がな されないまま実験 に臨んでいるため 実験 か ら一般性 を兄いだせず、ただ結果のみを記述することで終 わっている。生徒Aは他 の人 の意見 に耳

‑131‑

(8)

を傾 け、参考 に しよ うとす る姿勢 は見せ るも、具体的 な内容 を把握 していないため、実験 か らは概念だ け でな く課題 に対す る事実す ら確認 できていない。次 に変容後 につ いて述べ る。生徒Bは他者 の意見 に疑 問 を持 ち、排除す る姿勢 を持つ ことによって、自分 の仮説 をよ り強 固な もの に している。その結果、実験 で 何 を明 らかにすれば よいのかを焦点化す ることに繋 が り、水 の電離と 「中性 と電離」につ いて一般 化 している。生徒Aは仮説生成ではあて数量であるが、他 の生徒 の意見 を参考 に し、実験前 には具体的な記 述 と概念 の形成 を行 えている。実験後 は、事実か ら概念 を断定す る と同時 に、別条件 について推論 し、問 題 について一般化 している。以上生徒 の記述 を例 に、生徒 の科学的思考力要素 の変容があった ことを質的 に実証す ることができた と考 える。

さらに、生徒 の記録 か らは、科学的思考力の要素である社会性 ・実証性 ・論理性 はそれぞれが別 の能 力 として存在す るわ けではな く、社会性 と実証性 が相互 に関連 させ なが ら論理性 を高 めている と考 える。こ れは 「科学的思考力」育成 モデル ・評価 の変化 グラフが裏付 けている と言 って よい。

6.成果 と課題

概念形成 の過程 と科学的思考力の育成 を関連づ けた授業 を実践 し、その検討 を行った。その結果、生徒 の科学的思考力が概念形成 の授業 の過程 を経 ることによ り、十分膏成 され るこ とが明 らか になった。検討 においては、科学的思考 力の評価基準 について、生徒 の ノー トの記述 にお ける評価基準 を設 け試 行 した。

そ して、その妥 当性 を検討 した。生徒 のノー トの記述 においては変化が見 られ、科学的思考力が伸 びてい ることがわかった。さらに、発話 プ ロ トコルにおいて も、概念形成 の授業 によ り科学的思考力が、学習集 団の中に育 っていることが見つ けられた。この よ うに、意図的 に概念形成 の過程 と科学的思考 力の育成 を め ざした授業 を設定す ることによ り、生徒 の内面 に科学的思考力が膏成 され ることが明 らか になった。

今後 は、今回作成 した5段階の評価基準 を、他の授業 にあてはめてみて、そ の妥 当性 を一層確かなもの にしてい くことが必要 である。また、概念形成 の授業 を通 じて学習集 団を、個 々の科学的思考 力の育成 に 影響づ けられ るよ うに育てる指導過程 も同時 に必要 となって くる。さらに、実験や観察 において、 「実 際 に自分で確 かめること」や 「自分 の手で実験 を行な うこと」の意義 を、科学的思考 力の育成 と関連づ けて 明 らか に してい く必要 があるであろ う。

この研究は、授業実践研究会 (代表 :栗 田克弘)において一年間 にわた り授業実践 を理論的 に検討 して きた成果で もあるo研究会 のメンバーの金子寅也氏 (東京学芸大学附属小金井 中学校)の多大 なる ご協 力.

に感謝致 します。

(参考文献)

・永田義夫 ・加藤嘉男 『科学的思考を伸ばす理科指導』1958・岡部重助 『子供の科学的思考力の研究』1983

・中野粟夫 『理科における科学的思考力の育成法』1958柳原書店

・日本理科教育学会 『理科教育学講座2発達 と概念形成』199234. 1. 2科学的思考力 家野ら

・日本理科教育学会 『理科教育学講座10理科の評価』199212.1. 2(2)科学的思考力の評価 井藤芳蕃

・堀哲夫 ・西岡加名恵 『授業 と評価をデザインする理科』2010 日本標準

・理科教育研究会 『新学習指導要領に応える理科教育』2008東洋館出版社

・半沢健他 『科学的思考力の評価』1969 明治出版図書社

・板倉聖宣 『仮説実験授業のABC』1977 仮説社・Dewey.j思考の方法』1955春秋社

・R,ドランら 『理科の先生のための新しい評価方法入門』2007北大路書房

・鈴木薬理子 「科学領域 における共同学習に関する研究」2006風間書房 ・

参照

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