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空間重畳型 32APSK 多値変調システムの検討

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Academic year: 2021

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(1)

Study on Spatially Superposed 32APSK System Tasuku WATANABE and Masayoshi TANAKA

空間重畳型 32APSK 多値変調システムの検討

日大生産工(院) ○渡辺 伍 日大生産工 田中 將義

1.

1.1.

1.

はじめに はじめに はじめに はじめに

32値振幅位相変調(32APSK)等の多値変調は1

シンボル当りの情報量が多く1度に多くの情報が 伝送可能となり,周波数の有効利用が 可能であ る.その反面,被変調波の振幅変動が大きく なるため電力増幅器(HPA)に高い線形性が要 求され,線形性確保のため出力をバックオフする 結果,電力増幅効率が低下する課題がある.

この問題を解決する方法として筆者等によ り,多値変調波を振幅変動の小さい複数の変 調波に分割し,個別に高効率電力増幅後に空 間でベクトル合成する空間重畳型多値変調が提 案されている.今までに16QAM (直交振幅変 調)や64QAMのような2

2n

-QAMでは,有効で あることを示してきた

(1)(6)

. 最近,高度衛 星デジタル放送の方式として多値変調である 32APSK変調が注目されている.

そこで本研究では,これまで検討してきた 多 値 変 調 と は 異 な る 信 号 空 間 配 置 で あ る

32APSKについて検討を行い, 32APSK波につ

いて,あらたに空間重畳に適した信号空間配 置を提案し,空間重畳が実現可能であり,低 消費電力化が可能との見通しを得たので報 告する.

2.

2. 2.

2. 多値変調通信システムの概要 多値変調通信システムの概要 多値変調通信システムの概要 多値変調通信システムの概要 2.1

2.1 2.1

2.1 通信システムの概要 通信システムの概要 通信システムの概要 通信システムの概要

Fig.1にワイヤレス通信のシステム構成を示す.まず,

ディジタル信号を変調(Mod)し,その後フィルタ (Filter)によって送信波形を整形し,電力増幅 器(HPA)によって増幅し,受信側のフィルタで再 度フィルタリングを行い復調(Demod)してディジタル 信号を受信する.

ANT ANT

Data Mod Filter HPA Filter Demod

ANT ANT

Data Mod Filter HPA Filter Demod

Fig.1 Conventional wireless communication system

2.2 電力増幅器の入出力特性と効率 電力増幅器の入出力特性と効率 電力増幅器の入出力特性と効率 電力増幅器の入出力特性と効率

ワイヤレス通信において,送信機の最終段に位置 するHPAでレベルを高め,アンテナから送信する (Fig.1参照).送信機器の中でHPA消費電力の 占める割合が大きく, HPAの効率が全体の消 費電力を決定している.

Fig.2に電力増幅器の入出力特性と効率を示 す.効率は非線形領域にいくにつれて高くな り,線形領域では効率は低下する.HPAに高 い線形性が要求される場合,出力バックオフをす る結果、電力増幅効率が低下する.

したがって,非線形特性による伝送特性の 劣化を抑えつつ,非線形領域で動作させるこ とが可能となれば,高効率動作が実現する.

Pout[dB]

-25 -20 -15 -10 -5 0

-30 -20 -10 0 0

Efficiency (相対値)(相対値)(相対値)(相対値)

0.25 0.5 0.75 1 Efficiency

Pout/Pin

Pin [dB]

Fig.2 HPA characteristics and efficiency

2.3 従来型 従来型 従来型 従来型32APSKの非線形歪の影響 の非線形歪の影響 の非線形歪の影響 の非線形歪の影響 Fig.3は従来の32APSKの信号空間配置を示 す.(a)は多重リング型の32APSKで,(b)は格子 型の32QAMである.

(a) 32APSK (b) 32QAM

Fig.3 Conventional Signal constellation Fig.4(a)と(b)に従来の32APSKの線形動作(出 力バックオフOBO=9dB)と非線形動作時(OBO=

1.5dB) の信号空間配置図を示す.

−日本大学生産工学部第44回学術講演会講演概要(2011-12-3)−

ISSN 2186-5647

― 339 ―

2-39

(2)

非線形領域で増幅した結果,各信号点が大 きく変動し伝送特性が劣化することが分か る.

(a) linear (OBO=9dB) (b) nonlinear (OBO=1.5dB)

Fig.4 Influence of non linear effect on signal

constellation

2.4 多値変調波の振幅変動の比較 多値変調波の振幅変動の比較 多値変調波の振幅変動の比較 多値変調波の振幅変動の比較

多値変調波は,帯域制限した後にHPAに入 力される.この入力信号の振幅変動を検討し た.Fig.5は帯域制限後のQPSK(4相位相変 調)波, 32APSK波,32QAM波の振幅変動 例を示す.図よりQPSK波は32APSK波や 32QAM波より振幅変動が小さい.BPSK(2 相位相変調)波もQPSKと同様に変動が小さ い.

Time

Am plit ud e

(a)Filtered QPSK

Time

Am plit ude

(b)Filtered 32QAM

Time

Am plit ude

(c)Filtered 32APSK

Fig.5 Signal envelope of roll-off filtered modulation wave

振幅変動を定量的に評価するためにピーク電 力 と 平 均 電 力 の 比 で あ る PAPR (peak to average power ratio)を用いた.

Table 1はそれぞれの変調方式のPAPRを示 す.このPAPRの値はフィルターを通した後の値で ある. 32APSKと 32QAMは5.2[dB]と5.6[dB]

となり,QPSK,OQPSK,BPSKはそれぞれ 3.8[dB]と前者よりもPAPRは小さくなった.

これより,多値変調波を振幅変動の小さい QPSK波あるいはBPSK波で合成すればHPA での高効率動作が期待できる.

Table 1 Comparison of Peak to Average Power Ratio

Modulation PAPR[dB]

Filtered 32APSK 5.2

Filtered 32QAM 5.6

Filtered QPSK 3.8

Filtered OQPSK 3.8

Filtered BPSK 3.8

3 空間重畳型多値変調システム 空間重畳型多値変調システム 空間重畳型多値変調システム 空間重畳型多値変調システム 3.1 特徴 特徴 特徴 特徴

2.4での検討結果をもとに,多値変調波を振 幅変動の小さい複数波に分離した後,それぞ れ個別に非線形高効率電力増幅し,空間でベ クトル合成することにより,周波数の有効利用 と消費電力の低減を同時に実現する.

3.2 原理 原理 原理 原理

Fig.6に空間重畳型32APSKの原理と提案す る信号空間配置を示す.

レベルの異なる2波のQPSKと1波のBPSK変 調を行い,その後各々個別に高効率電力増幅 を行う.その後アンテナから3波を放射し,空間 でベクトル重畳合成し,32APSK波を実現する.

QPSK1

QPSK2

BPSK1 BPSK2 32APSK signal

HPA

HPA HPA

Fig.6 Principle of spatially superposed 32APSK

modulation system

Fig.7は3個の変調波の信号空間配置を示し ている.それぞれの原点からの距離をr1, r2,

r3とする.

Fig.8に示す信号点間の幾何距離dは雑音に 対する耐性を示しており,信号点間距離d

2

/ 平均送信電力が大きいほど伝送特性が良好 となる. そこで,この値が最大となる条件 を検討した. Fig.9はr2/r1,r3/r1の最適値を示し ている.

― 340 ―

(3)

r1 r2 r3

Fig.7 Signal constellation of two QPSKs and one BPSK

d d

(a) Conventional 32APSK (b) Proposed 32APSK

Fig.8 Signal constellation

0.380 0.4 0.42 0.44 0.46 0.48 0.5

0.05 0.1 0.15

0.2 Superposed

r2/r1 (Dp2)/power

0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35

0 0.05 0.1 0.15

0.2 Superposed

r3/r1 (Dp2)/power

Fig.9 The square of the distance between signal points/ average transmitted power versus r2/r1 and r3/r1

Table 2に従来方式と空間重畳型32APSKの信 号点間距離d

2

/平均送信電力を示す.従来方式 の32APSKと空間重畳型32APSKの信号点間

距離d

2

/平均送信電力の値の差異は小さく,熱

雑音による影響に大差はない.

Table 2 Comparison of the square of the distance between signal points/ average transmitted

electric power

Conventional 32APSK Proposed 32APSK 信号点間距離d2/平

均送信電力

0.1632 0.1603

3.3 システム構成例 システム構成例 システム構成例 システム構成例

Fig.10に空間重畳技術を適用した32APSKシス テムの具体的なシステム構成例を示す.レベルの異な る2波のQPSKと1波のBPSK変調を行い,その 後各々個別に高効率電力増幅を行いフェーズド

アレイアンテナから送信される.この3波を空間にお いてベクトル合成する.従来の32APSK波に比べ て,振幅変動が小さいQPSKとBPSKをそれぞ れHPAの飽和領域に動作させ,電力効率を改 善している.

32APSK signal

Phased Array Antenna

S/P D I VD I V

P

P P

HPA HPA

P HPA HPA S2

S1+S2+S3

D I V

QPSK1

QPSK2

BPSK1,2

P HPA P HPA S3

S1

Fig.10 Configuration of spatially superposed

32APSK modulation system

4 空間重畳型 空間重畳型32APSK変調の特性評価 空間重畳型 空間重畳型 変調の特性評価 変調の特性評価 変調の特性評価 新たに提案した空間重畳型32APSK変調の 特性を評価した.BER(Bit Error Rate)特性,ス ペクトラム特性をそれぞれ解析により評価し,従 来方式と比較を行った.さらにHPAでの消費 電力を評価し,従来構成での消費電力と比較 を行い,消費電力の低減効果を定量的に検討 した.

4.1 BER特性 特性 特性 特性

HPA の 線 形 動 作 時 と 非 線 形 動 作 で あ る 1.5dB出力バックオフ(OBO)点における従来方式 と空間 重畳型 32APSK のBER特性の比較 を Fig.11に示す.線形動作時には特性に有意な 差は認められない.

提案システムはHPAで3波を個別に増幅するた めに非線形歪の影響を受けにくく,非線形領 域で増幅しても特性劣化が小さいことを示 している.

1.00E-04 1.00E-03 1.00E-02 1.00E-01 1.00E+00

2 4 6 8 10 12 14

BER

Eb/No[dB]

Conventional linear Proposed linear Conventional non linear OBO=1.5 Proposed non linear OBO=1.5

Fig. 11 BER performance at 1.5dB OBO of HPA

Fig.12は,線形動作(OBO=9dB)時の従来方式 と非線形動作 (OBO=1.5dB)時の空間重畳型

― 341 ―

(4)

32APSKのBER特性を示す.

提案システムの非線形動作と従来の線形動作の BER特性がほぼ同一であることから提案システ ムは従来方式よりも高効率動作が実現できる ことを示している.

1.0E-04 1.0E-03 1.0E-02 1.0E-01 1.0E+00

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

BER

Eb/N0 [dB]

QPSK+QPSK+BPSK OBO=1.5dB 32APSK OBO=9dB

Fig.12 Comparison of BER performance between proposed system (nonlinear) and

conventional system ( linear)

4.2 HPAの消費電力比較 の消費電力比較 の消費電力比較 の消費電力比較

上記の検討で,提案システムはHPAの高効率動 作である非線形領域での増幅が可能である ことが分かった.これによる低消費電力化の 効果を定量的に評価した.HPAの消費電力 Pdc は以下の式で与えられる.

η

P dc = P out

(1)

ここで Pout は出力,ηは電力効率である.

Fig.12でBER特性が一致した時のOBOの値 を使い,従来の32APSKをOBO=9[dB]した時 の電力効率を1とすると,Fig.2のHPAでの入 出 力 特 性 と 効 率 の 関 係 か ら , 空 間 重 畳 型 32APSKをOBO=1.5[dB]した時の電力効率は 0.25となる.

Table 3 は 空 間 重 畳 型 32APSK と 従 来 の 32APSKの消費電力の比較を示す.

以上の検討結果から,提案システムは従来技術 に比べて消費電力を1/4に低減可能との見通 しを得た.

Table 3 Comparison of power consumption

OBO((((dB)))) Power consumption

空間重畳型32APSK

1.5 0.25

従来の32APSK

9.0 1

4.3 スペクトラム特性 スペクトラム特性 スペクトラム特性 スペクトラム特性

所要帯域外の送信レベルが高いと他システムに干 渉を与える.一般に,非線形特性により,所

要帯域外の送信レベルが上昇する.そこで,非 線形動作時のスペクトラムを評価した.

BER特性同様に,HPA動作点を同一とした 時のスペクトラム特性の結果をFig.13に示す.本シス テムはPAPR(Peak to Average Power Ratio)が小 さいことから,非線形増幅時でもスペクトラムの 拡がりを抑制できることが明らかとなった.

Fig.13 Spectral comparison at 1.5dB OBO and linear point of HPA

5 まとめ まとめ まとめ まとめ

高速大容量が可能な衛星通信方式として 32APSKが注目されている.しかし送信時の 電力効率が低下する課題がある.この解決策 として,空間で3波の振幅変動の小さい変調 波を重畳合成する新たな32APSK変調方式を 提案し,誤り率特性,スペクトラムを従来方式と 比較検討した.

その結果,提案する方式は,高効率動作が 可 能 な 飽 和 領 域 近 傍 に お い て , 同 一 条 件 (AWGN)で従来方式と同等のBER特性を実現 し,同時に非線形動作時のスペクトラム拡がりを 抑制できることを明らかにした.さらに低消 費電力化の見通しも得た.

今後は,HPAでの消費電力を実測し,低消 費電力化に有効であることを定量的に明ら かにしていく.

参考文献 参考文献 参考文献 参考文献

1)M.Tanaka, AIAA ICSSC2003, AIAA-2003- 2288, 2003, April.

2)田中,シミュレーション,第24 巻,1 号,pp75-82, 2005

3)M.Tanaka, AIAA, ICSSC2005, I000249, 2005, Sept.

4)M.Tanaka, H.Madate, AIAA, ICSSC-2010- 8681, 2010, August.

5)間舘,田中,信学技報,SAT2010-85,pp55-60, 2011-2

6)間舘,田中,信学総全大,B-3-30,2011 7)渡辺,田中,信学会ソサエティ大,B-3-19,2011 8)飛内,田中,信学会ソサエティ大,B-3-18,2011

― 342 ―

Table 1 Comparison of Peak to Average Power  Ratio  Modulation PAPR[dB] Filtered 32APSK 5.2 Filtered  32QAM 5.6 Filtered  QPSK 3.8 Filtered  OQPSK 3.8 Filtered  BPSK 3.8           3  空間重畳型多値変調システム 空間重畳型多値変調システム 空間重畳型多値変調システム空間重畳型多値変調システム 3.1  特徴特徴特徴 特徴  2.
Table 2 Comparison of the square of the distance  between signal points/ average transmitted
Table 3 Comparison of power consumption  OBO((((dB)))) Power  consumption

参照

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