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1.はじめに

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Academic year: 2021

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(1)

一様流中で調和振動する三次元正方形角柱の付加質量効果に関する研究

日大生産工(院) 永塚康宏 日大生産工(院) 西 将志 日大生産工 神田 亮 日大生産工 丸田榮蔵

1.はじめに

本論文では,一様流中で調和振動する三次 元正方形角柱の付加質量効果について分析を 行い,発振風速の予測や応答振幅予測の可能 性について検討を行った。

2.シミュレーション条件

ここでは,空力振動現象シミュレーション を実施するための条件を説明する。想定した 振動系モデルは,一質点系の弾性モデルであ る。気流は,高さ

100[mm]以上でほとんど乱

れのない一様流である。模型は,100[mm](B)

×100[mm] (D)×500[mm] (H)の正方形角柱で ある。風圧センサーは,風直交方向のみ片面

30

点の計

60

点設置した。対象とする振動モ デルの質量減衰パラメータ

δ

は質量比,減衰 定数より式(1)で定義される。

s a s ⋅ h

= ρ δ ρ ~

だたし,

は,構造物の一般化密度,

ρ

s

は,構造物の密度,ρ

a

:空気密度,h

s

:構 造物の減衰定数である。Table.1にシミュレー ションで設定した質量,減衰を示す。振動モ デルの固有振動数 は

5[Hz]とした。

データの サンプリング間隔は

2msec,データ数は一回

の測定で

20480

個とし,1つの無次元風速に

対し,この計測を

5

回行った。なお

20480

個 のデータをサンプルする

1

回の実験では,前 風速の最大値を初期変位として与えた。無次 元風速は

Vr=

とする。(

U

は基準風速)

3.密度比による応答性状

Fig.1

にシミュレーションで得られた応答

変位の標準偏差と風速の関係を質量一定及び 減衰定数一定の場合に分けて示す。これらの 図において全体的に

Vr=7

付近で応答値が増 大し始め,Vr=10 で急激に応答が増大してい る。以後最大となり,その後は振動が収まっ ている。同一風速における応答の最大値は,

δ

が小さい程大きい。なお

δ =0.1, 0.2

では

Vr=10

以後も応答の増大は,収まらない。また,

δ

0.4

のほとんどのケースでは,

δ

が一致すれば,

質量及び減衰定数が異なっても応答性状は,

定量的にほぼ一致するが,

δ

<0.4では,応答 性状が異なっており,この傾向については,

既往の文献

1

2

からも確認している。おそら く作用外力の慣性力による見掛質量

3

の変化 により、応答時の卓越振動数が固有振動数と 一致しないためだと考えられる。この現象に ついては,6章で分析をする。

4.振動数比と位相差

渦励振前,中,後の三つをそれぞれ

A, B,

C

領域として周波数解析より分析を行う。

Fig.2

に例として減衰定数一定の

δ =0.3

の各領

域におけるスペクトルを示す。縦軸はパワー

Table1 Simulation Parameters

a

s

ρ

ρ ~ /

s[%]

h 



= s

a

sh

ρ δ ρ~ 3]

/ [kg m

ρ

s

ρ ~

s

/ ρ

a hs[%] 



= s

a

sh

ρ δ ρ~ 3]

/ [kg m

ρ

s

0.21 0.10 18.30 5.00 0.10

0.42 0.20 36.60 10.00 0.20

0.63 0.30 54.90 15.00 0.30

0.84 0.40 73.20 20.00 0.40

1.05 0.50 91.50 25.00 0.50

1.25 0.60 109.80 30.00 0.60

1.46 0.70 128.10 35.00 0.70

1.67 0.80 146.40 40.00 0.80

1.88 0.90 164.70 45.00 0.90

2.09 1.00 183.00 50.00 1.00

2.51 1.20 219.60 60.00 1.20

4.81 2.00 366.60 100.00 2.00

Damping Ratio Const.

Density Ratio Const.

175.00 47.81 2.00

Additional mass effect acting on the harmonically oscillating 3-D square cylinder in smooth flow Yasuhiro NAGATSUKA Masayuki NISHI Makoto KANADA Eizo MARUTA

・・・(1)

ρ ~

s

~ 3

s

s

ρ

ρ =

δ=0.1 δ=0.2 δ=0.3 δ=0.4 δ=0.5 δ=0.6 δ=0.7 δ=0.8 δ=0.9 δ=1.0 δ=1.2 δ=2.0 δ=0.1

δ=0.2 δ=0.3 δ=0.4 δ=0.5 δ=0.6 δ=0.7 δ=0.8 δ=0.9 δ=1.0 δ=1.2 δ=2.0

density ratio : constant

damping parameter : constant

R o ta ti o n al An gl e [r ad ]

0.06

0.05 0.04

0.03

0.02

0.01

0.00

θ

20 15 10

5 5 10 15 20 25

Normalized Wind Velocity Vr Fig.1 Aerodynamic Responses f s

B

f

U s

(2)

スペクトル、横軸は周波数を表す。渦励振風 速域では,外力・応答共に

1

つの卓越成分を 示したが、渦励振風速域以外では,外力・応 答共に

2

つの卓越成分を有している。そこで 空力振動状態を渦成分と固有振動成分に分離 し,各成分ごとに振動数比(外力の卓越成分 に対する固有振動数の灯),位相差(外力と応 答加速度の位相差)を求めた。それぞれ

Fig.3,

4

に応答曲線と共に

δ =0.1, 0.3, 0.7, 2.0

につ いて示す。図中の■は渦成分に関する値,□

は固有振動成分に関する値,■は渦励振中で 唯一の卓越成分に関する値をそれぞれ示す。

ここで位相差φは,各卓越成分の周波数にお いて,外力と応答の位相差として算出した。

固有振動成分に関する振動数比は,渦励振以 外の風速域では,それぞれ一定値を示す。し かし,渦励振直前で,固有振動成分が,渦成 分に引き込まれるように値が若干減少する性 状が見られる。渦成分に関する値は,渦励振 以外の風速域では,ほぼ線形に増加する。質 量一定と減衰定数一定の傾向の違いは,域直 前で固有振動成分が渦成分に引き込まれ値が 減少することである。またその違いは,密度 比が小さい構造物ほど顕著に現れている。

位相差φは,渦励振以外の風速域において 固有振動成分・渦成分共にほぼ一定値を示し ている。反対に渦励振の風速域では,変化を 示し

δ

によって収束する位相差が異なるもの

60~90°の範囲で収束している。収束する

値は,

δ

が大きいほど位相差

90°に収束する

傾向がある。またその変化は,振動数比と異 なり密度比の影響を受けず,

δ

の値に依存し ていることが見受けられた。

5.付加質量効果

前章の

B

領域で見られる狭帯域のスペクト ル性状よりの振動状態が定常性の強いことが 分かる。よってこの振動状態を式(2)で表す ことができる。

F K C

I s θ & & + s θ & + s θ =

ここに, , , は,構造物が有する質量,減 衰,剛性を,

θ

θ &

θ & &

は,応答角変位,応答 角速度,応答角加速度を表す。また定常状態 の外力・応答は式(3)~(6)のように表さ れる。

t

Ae i

ω

θ =

θ & = iA ω e i

ω

t

t

e i

A ω

ω

θ & & = − 2

F = F a e i

ω

t ⋅ e i

φ

ここに

A

は,変位の振幅,

ω

は,応答の円振 動数, は,外力の振幅である。一般的に応答 の円振動数と外力の円振動数は,別の変数を 用いるが本論文では,共振状態を扱っている ため同じ変数を用いて表した。この空力振動 状態を複素平面で表すと,Fig.5左図より,各 ベクトルの大きさは振幅,各ベクトルのなす 角は,位相差をそれぞれ表す。

Fig.2 Power Spectrum of External Force and Response Disp.

Fig.3 Response Curve, Frequency Ratio and Phase vs. Vr (Mass ratio const.)

F a

・・・(2)

・・・(3)

・・・(5)

・・・(4)

・・・(6)

I s C s K s

Fig.4 Response Curve, Frequency Ratio and Phase vs. Vr (Damping Parameter const.)

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20

0.00 0.01 0.02 0.03 0.04

0.00 0.25 0.50 0.75 1.00

0.00 0.25 0.50 0.75 1.00

0.00 0.04 0.08 0.12 0.00 0.15 0.30 0.45

2 5 8 11 14

2 5 8 11 14

2 5 8 11 14

2 5 8 11 14

2 5 8 11 14

2 5 8 11 14

Frequency [Hz]

P o w er S p ec tr a n S u (n )/ σ

2

A-Range B-Range C-Range

Response Response Response

External Force

External Force

External Force

20 0.06

0.04 0.02 0.00 1.5 1.0 0.5

45 90 135

0 180

R o ta ti o na l A ng le P ha se A ng le F re qu e nc y R at io

Normalized Wind Velocity Vr

15 10 5 15 10 5 15 10 5 15 10 5

δ=0.1 δ=0.3 δ=0.7 δ=2.0

20

Normalized Wind Velocity Vr

15 10 5 15 10 5 15 10 5 15 10 5 0.06 0.04 0.02 0.00 1.5 1.0 0.5

45 90 135

0 180

R o ta ti o na l A ng le P ha se A ng le F re qu e nc y R at io

δ=0.1 δ=0.3 δ=0.7 δ=2.0

(3)

Fig.10

左図に示すように,復元力 を正の実 数軸上にとれば,減衰力 は,

90°の位相差

を有するため正の虚数軸上にあり,また回転 慣性力 は,180°の位相差を有するため負 の実数軸上に位置する。この時外力ベクトル は,位相差より加速度項より

0°≦ ≦90°

で変化するため第三象限に位置する。このよ うにある瞬間の釣合いをベクトルの釣合いと 複素平面上で考えれば,外力ベクトルを加速 度同相成分と速度同相成分のベクトルに分解 することができ,それぞれ式(7)(8)のよう に表せる。

θ & &

a

d I

F = − F v = C a θ &

ここで と はそれぞれ外力の加速度同相成 分,速度同相成分を表し, と はそれぞれ 見掛上の回転慣性と減衰係数を表す。このベ クトルを考慮し,複素平面で釣合いを示すと

Fig.5

右図ようになる。これらを考慮し,式(3)

を書き直すと

v d s s

s C K F F

I θ & & + θ & + θ = +

式(9)を実部と虚部に分け,式(7),(8)を 代入すると

( I s + I a ) θ & & + K s θ = 0

= 0 + θ

θ & a &

s C

C

となる。この式(10)は,外力により構造物 の回転慣性が増加したこととして,本論文で は を付加質量

4

とし,元の質量 に対する 付加質量作用後の質量 を付加質量係数 と定義する。

s a s

I I I + γ =

式(10)に各変数を代入し,整理すると

γ ω = ω s

となり,応答卓越円振動数が設定した本来の 固有円振動数から

γ

の分,つまり式(12)よ り増加した質量が大きいほど応答卓越円振動 数が変化することを式(13)が示している。

また式(10)を について式展開を行うと,

2

1 cos ω

φ γ α

⋅ + ⋅

= A

となる。

α

は外力の加速度振幅

( α = F a I s )

6.γの検証

ここでは前節より定義された について

Vr

と応答振幅より検証を行う。

6.1

補正

Vr

による検証

式(13)より

ω

が変化するということは,

が変わる。よって

Vr

が式(13)より

Vr

Vr ' = γ ⋅

となる。よって を考慮した

Vr’について Fig.1

の応答曲線を整理することで,発振風速が密 度比によらず揃うことが考えられる。そこで 発振風速の変化が著しいパラメータ

δ

の=0.1,

0.2, 0.3

の補正を行った。結果を

Fig.6

に示す。

結果は,推察の通り,密度比が小さいほど の 補正効果が大きく,各パラメータの補正後の 応答に対応する

Vr

がほぼ一致している。この ことから構造物の を明らかにすることで,

発振風速が予測することが可能となることが 分かる。

s

θ K θ &

C

s

θ & &

I

s

φ

・・・(7) ・・・(8)

F d F v

I a C a

・・・(9)

・・・(10)

・・・(11)

I a I s

a

s I

I + γ

・・・(12)

・・・(13)

・・・(14)

γ

γ

f s

・・・(15)

γ

δ=0.1(original) δ=0.1(modified) δ=0.2(original) δ=0.2(modified) δ=0.3(original) δ=0.3(modified)

Normalized Wind Velocity Vr

0.06

0.05

0.04

0.03

0.02

0.01

10 12 8 4 6

0.00

δ=0.1

δ=0.2

δ=0.3

R o ta ti o n al A n gl e [r ad ]

γ

Fig.5 Amplitude and phase in Complex plane under Harmonic Vibration

θ & &

I s

θ &

C s

s θ K

F

imag

real I s θ & &

θ &

C s

s θ K imag

θ & & real

I a

θ &

C a

F

s θ K θ &

C s

θ & &

I s

φ

Fig.6 modified aerodynamic response

γ

(4)

6.2 応答値からの検証

次に応答値による検証を行う。式(2)を無 次元し,共振状態として振幅

A

について式展 開を行うと,式(16)と表せる。

' ' '

1 16

1 2

2

2 Vr C L

H

A = BL ⋅ ⋅

π δ

このとき

δ γ

δ ' = ⋅

γ

L L

C ' = C

C L

は,無次元外力(揚力係数)

ここで前節

Fig.6

より,「補正後の

Vr

やその 時の応答値が一致している」現象について式

(16)より考察を行う。まず

A

Vr’が一致す

るならば,式(16)に影響を与える項は,外 力と質量減衰パラメータの積 だけが残 る。言い換えれば,「

A

Vr’が一致している

なら の値は,一定値を示す」ことにな る。更に, の値が一定ということを示せ ば式(16)にその値を代入することで,設定 した

Vr

より構造物の応答振幅の予測が可能

となる。

Fig.7

に の応答振幅に対する分

布を示す。分析は,前説のパラメータに加え 応答値が近似していた

δ =0.5

について行った。

δ =0.1

は,空力不安定現象の可能性

2

も考え られ応答振幅に対して値がばらついているも のの,全体的な傾向としては,同レベルの振 幅であれば はほぼ一致しており良い結 果であると考えた。またこの応答振幅範囲の

分布傾向を見ると,振幅に対して線形 的な分布をしており,更に研究が進んでいく ことで, の関数化が可能であると考え る。関数化が実現すれば,一様流中における 三次元正方形角柱の応答予測が可能となる。

7.まとめ

本論文より以下の知見を得た。

1.

振動パラメータを幅広く変化させ空力振 動を再現することで渦励振の発振風速と密度 比の関連性を明らかにすることができた。同

δ

においても密度比が異なれば,発振風速が 異なる。減衰定数は,発振風速には大きな影 響を与えなかった。

2.渦励振中において,振動数比は,ほぼ一定

の値を示すが位相差は,この風速域のみ変動 する。また小さい密度比を有する構造物は,

振動数比

1.0

以下で渦励振に移り,発現する

Vr

も他の密度比に比べ低下していた。位相差 は,密度比ではなく質量減衰パラメータの影 響を受ける。

3.現象の定常性から,振動理論に基づき式展

開を行い付加質量係数 を定義した。この状 態を複素平面上で表すことで,構造物と外力 の釣合いを示し,外力が複素平面上で第三象 限に存在することを示した。

4.付加質量効果により見掛上変化する変数や

応答振幅から に対する検証を行った。定義 された式や補正結果は,観測した現象とよい 対応を示しており定量的に を検証すること ができた。

今後は,気流性状,アスペクト比,辺長比,

などをパラメータにして の密度比に対する 関数化を目指し,応答予測を可能にしていく つもりである。

参考文献

1)河井宏充,難波潔:一様流中の辺長比 2

3

次元角柱の空力不安定振動 第

16

回 風シンポジウム,pp.285-290,2000

2)天野輝久:超高層建築物の風による不安定

振動の予測とその空力制御に関する基礎的 研究,東京工業大学学位論文,1995

3)元良誠三:見掛質量について 造船協会春

季講演会,1950

4)谷池義人:風方向振動時の空力減衰につい

て,京都大学防災研究所年報,第

37

B-1,

pp47-55,1994 Fig.7 C

L

' δ ' vs. Response

・・・(16)

・・・(17) ・・・(18)

( C L ' δ ' ) ( C L ' δ ' )

( C L ' δ ' ) ( C L ' δ ' )

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

0 0.02 0.04 0.06 0.08

δ=0.1 δ=0.2 δ=0.3 δ=0.5

Rotational Angle C L '/ δ '

( C L ' δ ' ) ( C L ' δ ' )

γ

γ

γ

γ

( C L ' δ ' )

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