大学生の男女差による泥はねのちがいについて
著者 森尻 強
雑誌名 東京家政大学研究紀要 1 人文社会科学
巻 40
ページ 15‑18
発行年 2000
出版者 東京家政大学
URL http://id.nii.ac.jp/1653/00009037/
大学生の男女差による泥はねのちがいについて
森尻 強
(平成11年9月30日受理)
AStudy of the Effect of Posture on the Mud Distribution of Students
of Both Sexes while They are WalkingTsuyoshi MoRIJIRI
(Received on September 30,1999)
諸 言
女子大学生の泥はねの有無や,それにかかわる泥はね の上がる箇所,泥はねを上げる人の姿勢,泥はねを上げ る人の履物の減り方や減る箇所などを調べてみました.
その結果,女子学生の泥はねする人は,予想を上回る 数値が出て,こんなに大勢の女子大学生が泥はねを上げ ているのに,大変びっくりし,又,泥はねを上げるのが 普通だと思っている人,泥はねは直らないと思っている 入がいた.
そこで今回は,男子大学生の泥はねの有無上げる箇 所,上げる人の姿勢上げる人の履物の減り方や減る箇 所などを調べ,男子大学生も女子大学生のように,泥は ねを上げる人が沢山いるのか,背の大きい男子などを見 ると姿勢の悪るい人が多くみられるが,女子大学生のよ うに姿勢や歩き方に関係あるのかを調べ,男女の比較検 討を試みた.
対象及び調査実験方法
明治大学の男子学生2年生の60名,東京家政大学の1 年生の124名に質問紙法調査を行い,又歩行運動を画像
(VTR)から解析した.
結 果
男子学生と女子学生の泥はねを上げる有無を調べたも のが,図1である.これらを見ると,女子学生は80%
の者が泥はねを上げているのに対して,男子学生は30
%の者しか泥はねを上げていない結果が出た.
は い 31.6
男 子 いいえ
68.4
は い 80.6
女 子
図1 泥はねの有無の男女差(%)
いいえ 19。4
次に泥はねを上げている時の歩行姿勢や普段何げなく している姿勢を調べたものが図2である.
%80
70 60 50 40 30 20 10 0
84.4
78.0 〔コ女子
囮男子
18.6
勿 5.2 5.2 5.2
易 z a3 1.1
体育学第4研究室
猫 反 普 前 か 背 腰 通 が み
図2 泥はね時の姿勢の男女差(%)
森尻 強
泥はね時に一番多くしている姿勢は「猫背」であり,
男女共に80%前後であった.男子学生の次は前かかみ,
反腰の順で5.2%,女子学生は反腰が多く18.6%であっ た.泥はね時の姿勢は,男女共全体の90%が猫背,反 腰,前かがみである答えが出た.
次に泥はねがどのような所に上がるのかを調べたもの が図3である.
%
80 70 60 50 40 30 20 10 0
78.9
[:コ女子
61.6 彫男子
35.0
15.7
z
3.4 0 0 5.4ふ 足 太 か ≦ も か
ほ 首 も と
ぎ
図3 泥はねの上がる箇所の男女差(%)
男女共に,「ふくらはぎ」に上がると答えた者が一番 多く,男子学生は80%,女子学生は60%,次は「足首」
に上がると答えた者,男子学生は16%,女子学生は35
%であった.又,男子学生は「かかと」5%,女子学生 は「太もも」3%であった.男女共に「ふくらはぎ」に 上げる人が一番多かった.
次に泥はねを上げる人の歩き方による履物の減り方に ついて調べたものが図4である.
な減 いら
「どこか減っている」という質問に,男子学生は88%
であり,女子学生は93%と答えた者がいた.
次に泥はねを上げる人の履物の減る箇所を調べたもの が図5である.
男女共一番減る箇所は,履物の外側で男子学生70%,
女子学生は60%であった.男子学生の次はかかと26%,
片方の外側5%であり,女子学生は内側17%,かかと15
%,片方の外側8%であった.
%
80 70 60 50 40 30
20.
10 0
[:コ女子
58.0
68.4
カ
醗男子形
26.4
勿 17.4 8.1
5.2
0 翅 1・1 0
図%
80 70 60 50
どこかが減っている
40 30
外 内 か 片 普 か 方
側 側 と 外 通 側
泥はねを上げる人の履物の減る箇所の男女差(%)
87.5
12.5
男 子 減らない
乳 2
20
どこかが減っている 92.8
女 子
図4 泥はねを上げる国の履物の片寄った減り方の男女差(%)
10
勿
1a8髪
[コ女子
ZZil男子14.4 21.0
0
0 ガ 内 普 脚 股 股 通 図6 泥はねを上げる人の脚の形の男女差(%)
次は泥はねを上げる人の脚の形を調べたものが図6で ある.男女共に一番多かったのは,O脚であり60%で あった.男子学生の次はガニ股21%,普通21%であり,
女子学生の次はガニ股14%,内股14%,普通28%で
あった.
今回は,泥はねを上げる人ばかりではなく,泥はねを 上げない人の姿勢履物の減り方,脚の形などを調べて みた.図7は泥はねの上げない人の姿勢を調べてみたも のである.男女共に「猫背」が一番多く,約60%であっ た.男子学生の次は反腰2.7%,前かがみ13.8%,普 通22.2%であり,女子学生は反腰4%,前かがみ12%,
普通28%であった.
%t
80
[=コ女子70 幽男子
61.1
60
50 40 30 20 10 0
猫 反 前 普 か
背 腰 が 通 み
図7 泥はねを上げない人の姿勢の男女差(%)
56.0 z笏
勿髪
28.0 22.4
z彪
12.0 13.8 4・0 2.7
次は泥はねの上げない人の履物の減る箇所を調べたも のが図8である.男子学生はかかと40%,外側30%,片 方の外側14%,普通11%,内側6%であり,女子学生は 外側52%,かかと24%,普通16%,片方の外側8%で
あった.
次は泥はねを上げない人の脚の形を調べたものが図9 である.男女共に一番多かったのは,普通50%前後であっ た.次も男女共に0脚30%前後であった.男子学生の 次はガニ股,内股,X脚2. 7%であり,女子学生は内股,
X脚8.3%であった.
%80
70 60 50 40 30 20 10
52.0
〔コ女子
嘘男子
0
外 か 片 内 普 か 方
側 と 外 側 通 側
図8 泥はねを上げない人の履物の減り方の男女差(%)
%80
70 60 50 40 30 20 10
〔:コ女子
翻男子
55.8
髪 髪
O O 内 X ガ 普 脚 股 脚 股 通 図9 泥はねを上げない人の脚の形の男女差(%)
考 察
泥はねの男女差は,圧倒的に男子より女子の方が泥は ねを上げていることがわかった.しかし,泥はねは女子 の方が多いが姿勢などをみると,男女共に猫背が多いが これらの原因は何だろうかとみてみると,その1っに腰 盤がある.女子の腰盤は男子の腰より反っているために,
女子特有の反腰の姿勢が多いと思われる.
森尻 強
もう1っは股関節である.女子の股関節は男子より内 側に曲りやすくなっているために,内股やX脚になりや すい.このように女子の身体は,男子の身体に比べて猫 背や反腰になり,股痛にもなりやすく,泥はねを上げる 人も多い.又,男子は腰が真上に立っているので,女子 より姿勢などは良いために,泥はねする人が少ないわけ である.
結果をみても,履物の減り方,脚の形にしてもいろい ろなケースのあるのは,姿勢が悪るいために生じるのだ と考えられる.又,泥はねを上げない人の結果をみても,
泥はねをする人と比較してもやはり,履物の減り方,脚 の形をみても女子の方がいろいろな形などがあるのは,
股関節の角度,腰盤の前傾角度などによる原因があると 思われる.しかし,男子の姿勢などは10年前ぐらいと 比較すると大変悪るくなっており,泥はねを上げる人も 12%も多くなっている.これらは,日常生活の中であ まり運動などをしないこととか,小さい時から家にこも る生活環境などが,大きく影響していると考えられる.
参考文献
①中村誠:「姿勢の科学」,不昧堂
② 寺島士:「健康指導と姿勢教育」,万有出版
③寺島士:「体操療法」,雄山閣
④森尻強:東京家政大学研究紀要第35集「歩行姿 勢と重心移動による泥はねの関係にっいて」