緒 言 頭部単純 computed tomography(CT)検査は,その 簡便性や禁忌事項の少なさから,超急性期脳梗塞に対 する画像診断の第一選択として施行されることが多 い.また,血栓溶解療法の適応判定には早期虚血性変 化の広がりを診断することが重要であり,頭部単純 CT 画像が用いられる1).頭部単純 CT 画像における 超急性期脳梗塞の画像所見としてはレンズ核の不明瞭 化,島皮質の不明瞭化,皮髄境界の不明瞭化,および 脳溝の消失が挙げられ,これらは early CT sign(ECS) と呼ばれる2)が,ECS の微小な CT 値低下は読影困難 な 場 合 が 多 く,梗 塞 域 の 同 定 に は magnetic
reso-逐次近似応用再構成法が超急性期脳梗塞 CT 画像における
Z スコアマッピングに与える効果
渡邊翔太
1, 2坂口健太
3細野 眞
1, 4石井一成
1, 4村上卓道
1, 3, 4市川勝弘
5 1近畿大学高度先端総合医療センター PET 分子イメージング部 2金沢大学大学院医薬保健学総合研究科保健学専攻 3近畿大学医学部附属病院中央放射線部 4近畿大学医学部放射線医学教室放射線診断学部門 5金沢大学医薬保健研究域保健学系 論文受付 2017 年 11 月 27 日 論文受理 2018 年 2 月 2 日 Code No. 251Impact to Z-score Mapping of Hyperacute Stroke Images by Computed Tomography
in Adaptive Statistical Iterative Reconstruction
Shota Watanabe,1, 2*Kenta Sakaguchi,3Makoto Hosono,1, 4Kazunari Ishii,1, 4Takamichi Murakami,1, 3, 4
and Katsuhiro Ichikawa5
1Division of Positron Emission Tomography, Institute of Advanced Clinical Medicine, Kindai University 2Graduate School of Medical Science, Kanazawa University
3Department of Central Radiology, Kindai University Hospital 4Department of Radiology, Kindai University School of Medicine
5Institute of Medical, Pharmaceutical and Health Sciences, Kanazawa University
Received November 27, 2017; Revision accepted February 2, 2018
Code No. 251 Summary
The purpose of this study was to evaluate the effect of a hybrid-type iterative reconstruction method on Z-score mapping of hyperacute stroke in unenhanced computed tomography (CT) images. We used a hybrid-type iterative reconstruction [adaptive statistical iterative reconstruction (ASiR)] implemented in a CT system (Optima CT660 Pro advance, GE Healthcare). With 15 normal brain cases, we reconstructed CT images with a filtered back projection (FBP) and ASiR with a blending factor of 100% (ASiR100%). Two standardized normal brain data were created from normal databases of FBP images (FBP-NDB) and ASiR100% images (ASiR-NDB), and standard deviation (SD) values in basal ganglia were measured. The Z-score mapping was performed for 12 hyperacute stroke cases by using FBP-NDB and ASiR-NDB, and compared Z-score value on hyperacute stroke area and normal area between FBP-NDB and ASiR-NDB. By using ASiR-NDB, the SD value of standardized brain was decreased by 16%. The Z-score value of ASiR-NDB on hyperacute stroke area was significantly higher than FBP-NDB (p< 0.05). Therefore, the use of images reconstructed with ASiR100% for Z-score mapping had potential to improve the accuracy of Z-score mapping.
Key words: computed tomography (CT), Z-score, hyperacute stroke, iterative reconstruction *Proceeding author
nance imaging(MRI)検査における拡散強調像が広く
利用されている1).しかし,MRI 非対応型ペースメー
カを装着している場合や安静困難な場合など,MRI 検 査を施行できない状況も臨床ではしばしば経験する. そこで近年,頭部単純 CT 画像に対して,核医学にお ける positron emission tomography(PET)検査や脳血 流 single photon emission computed tomography 検査 で主に使用されているボクセル統計解析を利用して, ボクセルごとに標準脳との比較解析値である Z スコ ア値を算出(Z スコアマッピング)し,低吸収域の視覚 化 を 行 っ た 方 法 の 有 効 性 が 報 告 さ れ て き た. Takahashi ら3, 4)は University College London の Wellcome Trust Center for Neuroimaging が提供して いるフリーソフトの statistical parametric mapping (SPM)のうち,2003 年にリリースされたバージョン の SPM2 を用いて正常脳を構築し,その分布との違い を alberta stroke program early CT score(ASPECTS) の考え方に基づき評価する方法を提案した.また,大 島ら5)は多数の正常脳を用いて,各座標において CT 値の平均値と標準偏差が保存される正常脳モデルを構 築し,それを用いて CT 値を Z スコア値に変換するこ とで超急性期脳梗塞領域を検出した. 一方,近年の CT 装置には画像ノイズ低減を目的 に,逐次近似再構成法よりも再構成時間が短縮できる Hybrid 型の逐次近似再構成法(hybrid type iterative reconstruction: Hybrid IR)が開発,実装されている が6, 7),Hybrid IR による contrast-to-noise ratio(CNR) の向上は ECS の検出能を向上しないと報告されてい
る8).しかし,Hybrid IR を利用した画像ノイズの低減
が Z スコアマッピングへどのように影響するのかは 検討されていない.Z スコア値は正常画像データベー ス(normal data base: NDB)から作成した標準脳の各 ボクセル平均値とのボクセル値差を標準脳の各ボクセ ル標準偏差値で除することにより求められる.ここ で,標準脳の各ボクセル標準偏差値は標準脳の作成に 要した各正常症例画像間の同一位置ボクセルにおける ボクセル値の標準偏差(standard deviation: SD)を意味 するが,使用する正常症例画像のボクセル値にはノイ ズ成分が含まれており,標準脳の各ボクセル標準偏差 値に影響する.Z スコア値の算出において標準脳の各 ボクセル標準偏差値は分母に該当するので,Hybrid IR のノイズ低減効果を利用して標準脳の各ボクセル 標準偏差値が小さくなれば梗塞域のより微小な CT 値 差も高 Z スコア値として算出できると予想される. そこで本研究では,Hybrid IR で再構成した画像を NDB 構築に使用することで,標準脳の作成と Z スコ アマッピングへ与える効果を臨床の超急性期脳梗塞症 例画像を使用して検証した. 1.方 法 1-1 頭部単純 CT 画像の取得 平成 27 年 4 月から平成 28 年 2 月までに CT 装置 Optima CT660 Pro advance (GE Healthcare, Milwaukee,USA)を使用し,正常症例と超急性期脳 梗塞症例の頭部単純 CT 画像をすべて同一の撮影条件 で取得した.撮影条件は,120 kV,2.0 s/rotation,180 mA(後頭蓋窩部)および 130 mA(テント上部),ノン ヘリカルスキャンである.再構成スライス厚,再構成 間隔はともに 5 mm,display field of view:230 mm に 設定した. 1-2 正常画像データベース構築 正常症例は読影レポートにより異常なしと診断され た頭部単純 CT 画像 15 症例(平均年齢 75.6±2.9 歳,男 性 9 名,女性 6 名)とし,NDB 構築に使用した.なお, 萎縮などの加齢性変化を考慮して対象症例の年齢は 70 歳台に限定した.使用した Hybrid IR である adap-tive statistical iteraadap-tive reconstruction(ASiR)では, FBP と ASiR のブレンド率(ASiR%)と称されるパラ メータがあり,ASiR0%では FBP 画像を,ASiR100% では純粋な ASiR 画像を再構成可能であり,ノイズ低 減レベルの調整が可能である9).本研究では FBP 画 像と ASiR100%画像を使用し,FBP 画像から作成し た NDB(FBP-NDB)と ASiR100%画像から作成した NDB(ASiR-NDB)を構築した. FBP-NDB および ASiR-NDB の頭部単純 CT 画像 は,SPM の 2009 年にリリースされたバージョンであ る SPM8 を用いて標準形態に変形した.その際,テン プレート標準脳モデルには PET 画像を使用した.ま た,標準形態化後の画像はボクセルサイズが 79´95´ 68 となった.なお,SPM8 には CT 画像のテンプレー ト標準脳モデルが実装されていないため,本研究では PET 画像のテンプレート標準脳モデルを使用したが, 頭部単純 CT 画像は PET 画像のテンプレート標準脳 モデルには存在しない骨領域を有するため,標準形態 に変形できない症例が確認された.そこで,著名な画 像処理ソフトウェアである ImageJ(National Institute of Health)の Plugin 機能を利用して,CT 値が 140 HU 以上のボクセルを 0 HU に変換し,NDB 構築に使用 した画像およびすべての超急性期脳梗塞症例画像の骨 領域を除去した.
1-3 標準脳の作成に要する症例数の検討 NDB における標準形態化後の画像を加算すること で標準脳を作成した.正常症例の標準脳作成には Takahashi ら3, 4)は 28 症例,大島ら5)は 60 症例を使用 し た.Takahashi ら3, 4)は 脳 形 態 の 標 準 形 態 化 に SPM2 を使用しており,本研究と同様に標準脳のボク セルサイズは 79´95´68 となっているため,ダウンサ ンプリングによる平均化を加味すると 350´400 の画 素で標準脳を作成した大島ら5)に比べて必要症例数は 少ないと推察された.しかし,どちらの報告も必要症 例数に関する検討はなされておらず,年齢にも制限は 設けていない.そこで,加算する症例数を 3 症例から 15 症例まで 1 症例ずつ増やしながら FBP-NDB およ び ASiR-NDB から計 26 種類の標準脳を作成し,式 (1),(2)を用いて,Mean(x,y,z)と SD(x,y,z)を算 出した.なお,n を加算症例数とした. (1) (2) 作成した Mean(x,y,z)と SD(x,y,z)について, 基底核レベルのスライス位置にて基底核に region of interest(ROI)を設定して Mean 値の ROI 内平均値と SD 値の ROI 内平均値を測定した. このように,複数の正常症例画像を用いた標準脳の 作成は,正常症例画像の収集,FBP および ASiR100% 画像の画像再構成,FBP および ASiR100%画像の複 数症例画像から成る FBP-NDB と ASiR-NDB の構築, ImageJ の Plugin 機能を用いた骨領域の除去,SPM8 を用いた標準形態化,標準形態化画像を加算した標準 脳の作成の順序で実施した(Fig. 1). 1-4 Zスコアマッピング Z スコアマッピングにおいて各ボクセルの Z スコ ア値は次式(3)により算出され, (3) NDB から作成した標準脳の各ボクセル平均値を Mean(x,y,z),各ボクセル標準偏差値を SD(x,y, z),超急性期脳梗塞症例画像の各ボクセル値を Value (x,y,z)とする.算出した各ボクセルの Z スコア値 により Z スコア値画像を作成するが,脳脊髄液領域は 症例により範囲が異なるので,偽陽性の高 Z スコア値 として算出される可能性がある.そこで,標準形態化 後の超急性期脳梗塞症例画像に 20 HU 以下の閾値処 理を施し脳実質のみのマスク画像を作成し,Z スコア 値画像に適用して脳脊髄液領域を除去した.解剖学上 の位置関係の把握を容易にするため,Z スコア値画像 は標準形態化した超急性期脳梗塞症例画像に重ね合わ せ,これを Z スコアマッピング画像とした(Fig. 2). 1-5 ASiRによる Z スコアマッピングへの効果 超 急 性 期 脳 梗 塞 症 例 12 症 例 を FBP お よ び ASiR100%で画像再構成し,FBP には FBP-NDB か ら,ASiR100%には ASiR-NDB から作成した加算症例 数 15 症例の Mean(x,y,z)と SD(x,y,z)を使用し て,Z スコアマッピング画像を作成した.更に各症例 において頭部 MRI 拡散強調画像にて指摘された梗塞 部位に ROI を設定して Z スコア値を計測した.2 群 間の検定には Wilcoxon singed rank test を用い,有意 水準は 5%とした.なお,使用した 12 症例の超急性期 脳梗塞症例は発症 4.5 時間以内に頭部単純 CT 検査を 施行し,更に頭部 MRI 撮影を行い,拡散強調画像にて 超急性期脳梗塞域が指摘されたものを選択した.症例 の平均年齢は 72.8±11.7 歳であり,男性 9 例,女性 3 例 であった. ASiR-NDB を使用することで超急性期脳梗塞域の Z スコア値を向上できたとしても,正常領域の Z スコア 値も向上しては診断によい結果をもたらすとは限らな い.そこで,頭部単純 CT 画像を診断する際には左右 の脳を比較しながら低吸収域などの異常を検出する方 法が有効であることに着目し,超急性期脳梗塞域と反 対半球の正常領域に ROI を設定して Z スコアを測定 し(Fig. 3),FBP-NDB と ASiR-NDB による比較を 行った.2 群間の検定には Wilcoxon singed rank test
を用い有意水準は 5%とした. 1-6 倫理的配慮 本研究は当院倫理委員会にて平成 28 年 4 月に審査を 受け,倫理規範の妥当性につき審査を受け承認された. 2.結 果 2-1 標準脳作成に要する症例数と NDB の違いによ る影響 標準脳作成のために加算した症例数と,Mean 値の 基底核における平均値の関係を Fig. 4 に示す.加算 症例数を変えても Mean 値の変化は 3%未満であり, FBP-NDB と ASiR-NDB で同様の傾向を示した.ま た,加算症例数が 10 症例を超えると,SD 値の基底核 における平均値は 0.1 HU 以上の変化を認めなかった
Fig. 2 Flow chart of creating Z-score mapping image.
Fig. 3 (a) ROI setting in Z-score map image and (b) diffusion-weighted image of MRI.
(Fig. 5).15 症例を NDB 構築に使用した場合の SD 値を比較すると,ASiR-NDB では FBP-NDB に比べ基 底核で 3.6 から 2.9 と 16%低減した. 2-2 超急性期脳梗塞領域および正常領域における Z スコア値の変化 FBP-NDB および ASiR-NDB を使用した際の超急性 期脳梗塞領域および正常領域における Z スコア値の 箱ひげ図を Fig. 6,7 に示す.超急性期脳梗塞領域に おける Z スコア値は FBP-NDB では中央値は 0.72, ASiR-NDB では 0.94 となり,ASiR-NDB では有意に高 い値を示した(p<0.05).正常領域における Z スコア値 は FBP-NDB では中央値は 0.02,ASIR-NDB では 0.01 となり,有意差は認めなかった. Figure 8 に Z スコアマッピングを施した,構音障害 を主訴とする 45 歳女性の症例画像を示す.発症 4 時 間後に撮影された頭部単純 CT 画像では有意な所見を 認めなかったが,発症 4.5 時間後に撮影された MRI の Diffusion 画像では左基底核に高信号域を認めた.CT 画像に Z スコアマッピングを施すと,FBP-NDB に比 べ,ASiR-NDB ではより顕著に,梗塞領域を検出した. 3.考 察 Z スコアマッピングにおいて各ボクセルで算出され る Z スコア値の算出式(3)には NDB から作成した標 準脳の SD 値が分母として扱われ,SD 値は標準脳の 作成に要した正常症例画像群におけるボクセル値の標 準偏差を意味する.しかし,使用する各正常症例画像
Fig. 4 Mean value of standardized brain measured in basal ganglia.
Fig. 5 SD value of standardized brain measured in basal ganglia.
Fig. 6 Comparison of Z-score value on hyperacute stroke area between FBP-NDB and ASiR-NDB.
Fig. 7 Comparison of Z-score value on normal area between FBP-NDB and ASiR-NDB.
にはノイズ成分が含まれており,真に正常症例画像群 のボクセル値の標準偏差を表していない.よって, NDB に使用する画像のノイズレベルに対して検討が 必要と考えられるが,超急性期脳梗塞症例への Z スコ アマッピング適用の報告は散見されるが,NDB に使 用する画像のノイズレベルや再構成法に関する研究報 告はみられない.そこで,われわれは,Hybrid IR に よりノイズ成分を低減した正常症例画像から構築した NDB を使用することで標準脳の作成と Z スコアマッ ピングに与える効果を,臨床画像を用いて検証した. 使用する正常症例数(3 症例から 15 症例)について は,Mean 値は加算症例数に依らずほぼ一定であり, SD 値では 10 症例以上になると 0.1 HU 以上の変化を 認めず安定した.SPM2 を使用して脳形態を標準形態 化した Takahashi ら3, 4)が使用した症例数に比べ,少 ない症例数で SD 値は安定したが,本研究では 70 歳 台の正常症例のみを使用しているため,加齢による萎 縮の度合いなどが同程度であったことが原因と考え る.また,SD 値は ASiR-NDB を FBP-NDB と比較す ると 16%低減した.ASiR-NDB を使用することで, NDB 構築に使用する正常症例画像のノイズ量を低減 でき,正常症例画像群のボクセル値の真の標準偏差に より近い値を SD 値として有した標準脳を作成できた と考える. 超急性期脳梗塞症例 12 症例の Z スコアマッピング では,正常領域の Z スコア値に有意差は認めなかった が,超急性期脳梗塞域では ASIR-NDB を使用した場 合は FBP-NDB を使用した場合よりも有意に高い Z スコア値を示した.ASiR100%画像を NDB に使用す ることで SD 値が低くなり,各ボクセルの Z スコア値 算出に使用する式(3)における分母の値が小さくなる ため,結果として Z スコア値はより高い値を示した. Z スコアマッピングを施した超急性期脳梗塞症例 12 症例のうち,頭頂葉の皮質に ROI を設定した症例に おいて,FBP-NDB を使用した場合,ASiR-NDB を使 用した場合よりも正常領域の Z スコア値が高くなる 症例を認めたが,他症例に比べて設定した ROI サイ ズが小さく,FBP 画像における画像ノイズによるボク セル値変動の影響が大きかったと考える.また,正常 領域の Z スコア値は超急性期脳梗塞領域に比べて微 小であるため,ASiR-NDB による Z スコア値の変動程 度も超急性期脳梗塞領域に比べてわずかであり,Z ス コアマッピング画像への影響も少なく,結果的に超急 性期脳梗塞領域をより高コントラストに表現した Z スコアマッピング画像になると考える.また,NDB による正常領域の Z スコア値の変動は小さいうえに, 正常領域の Z スコア値は超急性期脳梗塞領域におけ る Z スコア値よりも微小であるため,本研究では Z スコア値に対する閾値処理は行わなかった. 先行研究において,Hybrid IR は腹部の低吸収域の 検出能を改善しないと報告されている10)が,超急性期 脳梗塞症例の低吸収域においても同様であり,西村 ら8)は ASiR により超急性期脳梗塞領域の CNR を向 上させても超急性期脳梗塞を模擬したファントムの検 出 能 向 上 に 寄 与 し な か っ た と し て い る.一 方 で Hybrid IR などのノイズ低減を用いない状態であって も Z スコアマッピングによる低吸収域の検出能向上 は既に報告されており3),本研究の結果から Z スコア マッピングの NDB 構築に ASiR100%画像を使用する ことで,超急性期脳梗塞領域のわずかな CT 値の低下 をより高い Z スコア値として検出することが可能で あることから,Z スコアマッピングの有用性をより高 めることが明らかとなった.超急性期脳梗塞領域の検 出能は観察者の経験や技術に依存するが11),Fig. 8 に 示すように FBP-NDB に比べ,ASiR-NDB ではより顕 著に,梗塞領域を検出するため,診断の補助として
Fig. 8 (a) Z-score map image with FBP-NDB, (b) Z-score map image with ASiR-NDB, and (c) diffusion-weighted image of MRI.
ASiR-NDB の Z スコアマッピング画像を使用するこ とで診断精度の向上が期待できる. 本研究のリミテーションとして,NDB 構築に使用 した正常症例は 70 歳台に限定している点がある. よって超急性期脳梗塞症例のさまざまな年齢と合致し ているわけではない.加齢による萎縮を考慮すると, 他の年齢で構築したデータベースに関しても検討が必 要である.また,本研究では FBP-NDB と ASiR-NDB の比較を主眼に置いているため,NDB 構築に使用し た正常症例画像間における CT 値補正は行わなかった が,頭蓋骨の厚さの違いに起因した正常症例間の脳実 質における CT 値のばらつきは標準脳の SD 値に影響 すると考えられ,CT 値補正を行うことでより精度の 高い Z スコアマッピングが可能になると推察される. 4.結 語 Hybrid IR を頭部単純 CT 画像の Z スコアマッピン グに使用することで,超急性期脳梗塞症例の梗塞領域 をより高コントラストに表現した Z スコアマッピン グ画像を作成できた. 本論文の要旨は,第 44 回日本放射線技術学会秋季 学術大会(2016 年,埼玉)にて発表した. 1) 日本医学放射線学会,日本放射線科専門医会・医会編,画 像診断ガイドライン 2013 年版,金原出版,東京,2013: 64-65. 2) 福岡大輔,内山良一,村松千左子,他.頭頸部領域におけ るコンピュータ支援診断システムの開発と現状.日放技 学誌 2013; 69(11): 1313-1319.
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参考文献
問合先
〒589-8511 大阪狭山市大野東 377-2