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慣性力消去型非定常空気力測定装置の開発に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)

慣性力消去型非定常空気力測定装置の開発に関する研究

九州工業大学 学生員 ○川東 龍則 郭 威見 九州工業大学 フェロー 久保喜延 正会員 木村吉郎 加藤九州男

1

.はじめに 明石大橋に代表されるように吊形式橋梁の長大化に伴い,その耐風安定性,特にフラッタ-特性の 検討の重要性が増している.風洞施設や費用の制約等のためフラッター解析から橋梁全体系のフラッター特性を明 らかにすることも行われている.フラッター解析には,橋梁断面に働く非定常空気力が必要であり,非定常空気力 測定の精度を向上させる必要がある.そこで本研究では,廉価で行える非定常空気力測定法について検討を行い,

その精度や問題点を明らかにした上で,応答推定方法の検討を行う.

Fa

Fic Fim

模型

ゲージ 加振方向 検出柱

Fimによる モーメント Faによるモーメント

Ficによる モーメント カウンター ウェイト

2.高精度非定常空気力測定法の原理 従来の強制振動法による非定常

点A

空気力測定法は,振動時に模型に作用する非定常空気力(Fa)と模型の 慣性力(Fim)とを検出した後に何らかの方法で

Fim

を差し引くが,

Fim

Faに比べ非常に大きな力であるため Faを精度良く取り出すことは難

しいと考えられる.そこで,図 1に示すようなカウンターウェイトを用 いて機械的に

Fim

を点

A

において除去し,ゲージ部に空気力のみを検 出するシステムを提案した.従来とは異なり,検出の際に

Fim

の影響 を受けないため高精度が期待される測定法と考えられる.

図 1 測定法の原理

3

.実験方法 本研究では

Theodorsen

の平板翼の理論値と比較するため に平板模型を対象とした.模型の慣性力を除去したと考えられる状態で,

無風時および一様流中で模型を水平状態(迎角

)に設置して,平板 模型に作用する非定常空気力の揚力成分および空力モーメント成分を

たわみ加振及びねじれ加振時それぞれ測定した.模型に作用する空気力により生じるひずみを,図 2に示すように 計

8

箇所のセンサ-部においてひずみゲージにより検出した.たわみ加振時における非定常空気力測定を,たわみ 倍振幅

4

8

12

16

mm

),加振振動数

2

3

4

Hz

)で行った.ねじれ加振時における非定常空気力測定を,

ねじれ倍振幅

0.013

0.024

0.033

0.042

rad

),加振振動数

2

3

4

Hz

)で行った.

カウンター

ウェイト 上下振動

Wind

模型 模型取り付け部風洞壁

センサー部

加振器

(片側につき 4箇所)

カウンター

ウェイト 上下振動

Wind

模型 模型取り付け部風洞壁

センサー部

加振器

(片側につき 4箇所)

図 2 実験装置の概略図

4.平板模型の測定結果および考察 既

往の研究においては非定常空気力特性 の決定的パラメーターであるたわみ加 振時揚力成分とその位相差の測定結果 を図 3の(a),(b)に示す.これは加振倍

振幅

16mm,加振振動数 2,3,4(Hz)

における揚力成分の無次元化とその位 相差及び

Theodorsen

の理論値と比較し た結果である.

(a)

揚力成分において,測 定結果と比較すると,換算風速

Vr=0

3

付近までは

0.3

0.4

程度と一定となり,

理論値と異なる傾向を示す.換算風速

3

付近からは,風速が高くなるにしたがっ て,理論値と離れる傾向が見られる.ま た,

(b)

揚力成分の位相差において,揚力 成分と同じように低風速域において理 論値との差は大きくなったが,換算風速

-3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

0 5 10 15 20 25

Theodorsen 2Hz 3Hz 4Hz β(Lη)

Reduced Wind Speed(Vr=V/fB)

(rad)

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

0 5 10 15 20 25

Theodorsen 2Hz 3Hz 4Hz

Reduced Wind Speed(Vr=V/fB)

a

)揚力成分(たわみ) (

b

)揚力成分の位相差(たわみ)

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

0 5 10 15 20 25

Theodorsen 2Hz 3Hz 4Hz

Reduced Wind Speed(Vr=V/fB)

-4 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0

0 5 10 15 20 25

Theodorsen 2Hz 3Hz 4Hz

Reduced Wind Speed(Vr=V/fB)

(rad)

β(MΦ)

(

c

)空力モーメント(ねじれ) (

d

)空力モーメントの位相差(ねじれ)

図 3 平板模型における非定常空気力の測定値と理論値の比

土木学会西部支部研究発表会 (2008.3)

I-079

-157-

(2)

が高くなるにつれて理論値との差は小さくなり,全体として

0 rad

付近から理論値に収束していく傾向が見られる.

次に,もう一つの非定常空気力特性の決定的パラメーターであるねじれ加振時空力モーメント成分とその位相差の 測定結果を図 3の(

c

),

(d)

に示す.こちらは加振ねじれ倍振幅

0.042

,加振振動数

2

3

4

Hz

)における空力モ ーメント成分の無次元化とその位相差及び

Theodorsen

の理論値と比較した結果である.

(c)

空力モーメント成分に おいて,測定結果と比較すると,風速が高くなるに従って理論値と離れる傾向が見られる.また,(

d

)空力モーメ ントの位相差においては,低風速域

Vr=0~4

付近では振動数によって大きく異なる傾向を示す.高風速域になる と,振動数ごとに理論値との差が異なるものの,全体としては理論値に収束していく傾向が見られる.測定した非 定常空気力と理論値に差が生じる原因としては,

Theodorsen

の理論において平板は無限に薄く,ポテンシャル流と 仮定されている.しかし,実験用模型では厚みと形状があるので,流れの剥離が生じることが考えられる.測定値 と理論値には値と傾向ともに近いことから,実験用模型に働く真の非定常空気力を測定できたと考えられる.

5.橋梁断面における非定常空気力の測定 今回たわみ振動である渦励振やギャロッピング,ねじれ振動となるフ

ラッターをそれぞれ検討するため,幅員,桁高比(W/D)の異なる断面で実験を行った.非定常空気力の負減衰性 に着目し,検討を行った.たわみ振動においてはたわみ速度比例項 I(揚力の虚部)が正のとき励振力となり,

自励振動が生じ,負のとき減衰力となり,振動しないと考え,たわみ応答図との比較を行った.ねじれ振動 についてもねじれ速度比例項 (空力モーメントの虚部)の正負でフラッター発現風速の判別を行った.

L

η

M

φI

5.1

たわみ振動に対する検討

W/D

1.7

の箱桁模型を用いて,たわみ振動 時の非定常空気力の測定を行った.図 4(a)にたわみ加振倍振幅

1mm

2A/D

0.016

),加振振動数

4

Hz

)で測定 したたわみ速度比例 ,図 4(b)に たわみ応答図を示す.換算風速

Vr=0

4

で 減衰力となり応答図と 一致,Vr=4~

6

で 励振力とな り渦励振の発生と一致した.

Vr=6

15

で 減衰力となり応答図と 一致した.Vr=15 以上では ギ ャロッピング(発散振動)の発生と 一致した.以上より本装置で測定さ れた非定常空気力から応答特性の推 定が可能であることが確認された.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

0 5 10 15 20 25 30

Reduced Wind Speed(Vr=V/fD)

Non d im .D oub le Am p. (2 A /D)

-0.12 -0.1 -0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0 0.02 0.04

0 5 10 15 20 25 30

Reduced Wind Speed(Vr=V/fD)

L

ηI

< 0

L

ηI (a)たわみ速度比例項

L

ηI(箱桁) (b)たわみ応答図(箱桁)

> 0 L

ηI

-0.01 -0.005 0 0.005 0.01 0.015 0.02

0 1 2 3 4 5

Reduced Wind Speed(Vr=V/fD)

0 1 2 3 4 5 6

0 1 2 3 4 5 6

Reduced Wind Speed(Vr=V/fD)

D oubl e A m p 2

Φ

(de g)

< 0 L

ηI

6

> 0 L

ηI

5.2

ねじれ振動に対する検討

W/D=

4.4

の若戸橋模型を用いて,ねじれ振動時の非定常空気力の測定を行った.図 4(c)にねじれ加振倍振幅

0.077

(rad),加振振動数

4.47

(Hz)で測定したねじれ速度比例項 ,図 4(d)にねじれ応答図を示す.換算風速

Vr=3.3

付近で が正となり励振力が働き,フラッターが発現し始める風速と考えられる.それに対して,ねじれ 応答実験で測定されたフラッター発現風速は

Vr=3.2

付近であった.両者の相対誤差が

3.1%となり,本装置

によるフラッター発現風速の推定が可能であると考えられる.

M

φI

M

φI

6

.結論と今後の予定 本研究において上記の装置を用いて測定を行った結果,平板模型においては低風速域を除 いて理論値と近い結果となっており,実構造物である橋梁模型に対しても非定常空気力特性と自由振動実験結果と の関連性が確認され,本装置が高い精度を持っていると考えられる.今後の予定として,測定されている非定常空 気力を用いて,橋梁模型の応答振幅が精度よく推定できる手法を検討する.本研究は科学研究費萌芽研究

16656137

の補助による研究である.

(c)ねじれ速度比例項

M

ηI(若戸) (d)ねじれ応答図(若戸) 図 4 非定常空気力の負減衰性における検討

土木学会西部支部研究発表会 (2008.3)

I-079

-158-

参照

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