波方ブタン / プロパン兼用貯槽 水封式岩盤貯槽のグラウト技術と
改良効果の評価について
宮崎 裕光
1・天野 悟
1*・水道 健
2・山本 浩志
3・前島 俊雄
41株式会社大林組 本社土木本部(〒108-8502 東京都港区港南2-15-2)
2東電設計株式会社 土木本部(〒135-0062 東京都江東区東雲1-7-12)
3元独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 石油ガス備蓄部
4独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 石油ガス備蓄部(〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-1)
*E-mail: [email protected]
水封式LPG岩盤貯槽は,貯槽掘削から操業期間を通して水封機能を維持するため,掘削時から水封ボー リングによる水封水の加圧給水を実施し,貯槽周辺岩盤の透水性の高い箇所はグラウトにより均質な低透 水ゾーンに改良する必要がある.本論文では,はじめに,波方ブタン/プロパン兼用貯槽の水理地質構造 と,その水理地質特性に対応したプレグラウトのパターンと採用した動的グラウト工法の特徴,およびグ ラウト実績について説明する.次に,低透水帯区間で発生したロックボルト孔からの湧水に伴う間隙水圧 低下に対する回復対策について説明する.最後に,水封水圧の昇圧後の地下水挙動から水封機能を確認し た結果を報告する.
Key Words : LPG mined storage cavern, hydraulic containment system, water courtain boring, pre- excavation grouting, dynamic grouting method, countermeasures for reducing water inflow
1. はじめに
エネルギーの国家備蓄計画の一環として,世界最大規 模の水封式地下岩盤貯槽である波方国家石油ガス備蓄基 地(以下波方基地と略す)が建設され,操業を開始して
いる1), 2), 3), 4).波方基地は,地下150m以深に容量15万トン
のブタン/プロパン兼用貯槽(以下ブタン貯槽と略す)
と容量30万トンのプロパン貯槽を建設し,合計45万トン の液化したLPガスを貯蔵するものである(図-1).
岩盤空洞内に常温・高圧で液化したLPガスを貯蔵す るために,水封システムを採用している.水封システム は,貯槽周辺の地下水圧を液化したLPガスの貯蔵圧力 よりも高く維持し,空洞に向かう地下水の流れにより貯 槽空洞の気密性・液密性を確保するものである.そのた め,通常のトンネル工事や地下空洞工事と異なり,空洞 掘削段階から地下水圧を管理し,周辺岩盤を所定の水圧 場に保持する必要がある.このため,水封トンネルから 水封ボーリング孔を設置して人工的に地下水を加圧供給 するするとともに,貯槽周辺岩盤の透水性の高い箇所は,
貯槽掘削に先立ち切羽前方にプレグラウトを行い5), 6), 均質な低透水ゾーンに改良した.
本論文では,ブタン貯槽の水理地質構造と,その水理 地質特性に対応したプレグラウトの規定孔パターンと採 用した動的グラウト工法の特徴,および,グラウト実績 について説明する.また,ブタン貯槽の半分以上を占め たルジオン値0.5以下の低透水帯区間におけるロックボ ルト孔からの湧水対策を説明し,最後に,水封水圧昇圧 後の地下水挙動からグラウトの改良効果を評価した結果 について報告する.
図-1 波方基地の鳥瞰図
作業トンネル 給水トンネル 上部給水堅坑
換気竪坑 給水竪坑
配管竪坑 作業トンネル坑口
給水トンネル 底設作業トンネル No.1 水封トンネル No.2 水封トンネル 頂設作業トンネル 水封ボーリング
No.2 プロパン貯槽 No.1 プロパン貯槽 ブタン/プロパン 兼用貯槽
第 42 回岩盤力学に関するシンポジウム講演集 公益社団法人土木学会 2014 年1月 講演番号 53
2. 水理地質構造の概要
(1) 地質構造の概要
波方基地は,愛媛県今治市にある高縄半島先端部から 西方に伸びる東西約3km,南北0.8kmの岬に位置してい る.土被りは最大250m,最小140mであり,基地の南側 には波方花崗岩(Gr),北側には波方花崗岩に貫入する 黒雲母が多く石英が少ない高縄花崗閃緑岩(Gd)が分 布している.これら基盤岩類の風化は,地表から40〜
60mであり,貯槽は新鮮な花崗岩類である.
地下深部の貯槽周辺の花崗岩について,調査ボーリン グ・水封ボーリングなどのコアおよびBTV,水封トンネ ル・貯槽切羽の地質観察などから,割目の方向,密度,
性状の分析を行った.その結果,破砕帯,変質帯,構造 を変化させる割目,節理の密度や卓越方向に着目するこ とで,Ⅰ〜Ⅶ分帯の7つの地質分帯に区分した(図-2).
波方花崗岩と高縄花崗閃緑岩境界沿いのⅤ分帯の割目 は,N20W系,N60W系が卓越しており,密に発達して いる.ⅡとⅣおよびⅥ分帯の割目には,前述の2方向に
加えてN70E系の割目が存在している.これはその後の 隆起などの構造運動により形成されたものと推定される.
Ⅰ〜Ⅲ分帯には,貯槽軸方向の高角な割目が分布してお り,この高角な割目は,小規模にN20W系の節理を移転 させており断層F-1やF-2の近傍に発達していることから,
これらの断層形成時のものと推定される.
(2) 地質構造と透水性の関係
ブタン貯槽は南からⅠ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ分帯が分布するが,
貯槽南側の大半をⅠ分帯が占めている.Ⅰ分帯は割目密 度が低く,全体に透水性も非常に低い.Ⅳ分帯およびⅥ 分帯では,一部透水性が高い箇所が認められるが,これ は一部開口したN70E系の割目が分布していることに起 因すると考えられる.大局的な割目方向のN20W系や N60W系が古い時代に形成されたものと推定されるのに 対して,N70E系はその後の構造運動により形成され,
開口したものと推定される.Ⅴ分帯は割目密度が高いも のの,概して透水性が低い.
図-2 貯槽天端レベルの地質平面図(アーチ部グラウト1~2次孔のルジオン値を表示)
ルジオン値
ブタン貯槽
プロパン No.2 貯槽
プロパン No.1 貯槽
3. グラウト計画と実績
(1) アーチ部プレグラウトのパターン
アーチ部のプレグラウトに先立ち,水封ボーリング の水押し試験結果(ルジオン値)に基づいて,高透水 帯区間(1.0≦Lu),中透水帯区間(0.5≦Lu<1.0),低 透水帯区間(Lu<0.5)の3段階に区分し,それぞれに応 じた規定孔のパターンを設定した.図-3は中央部にア ーチ部プレグラウト用透水性区分を,その両外側に実 際にアーチ部掘削時に実施したグラウトパターンを示 したものである.図-3に示すように,アーチ部掘削前 に事前に設定した透水性区分は,貯槽全長430mのうち,
高透水帯区間106m,中透水帯区間63m,低透水帯区間 261mであり,貯槽の半分以上を低透水帯区間が占めて いた.
貯槽壁面から幅10m範囲内で1Lu以上の高透水箇所を 改良することを目標にして,高透水帯区間の規定孔の パターンを図-4に示すように設定した.規定孔のボー リング先端での孔間隔を約12mとし,幅10mの範囲を改 良対象とするため,A,B,Cの3リングのパターンで改 良体を形成した.ボーリング孔の注入完了基準に達す
るまで中央内挿法により追加孔を実施し,3リングでグ ラウト改良体を構築した.ボーリング孔の削孔長は30m
(Aリング),27m(Bリング),18m(Cリング)で6m のバルクヘッドを設け,パッカー方式によるバックス テップステージ工法(ステージ長6m)によって注入を 行った.プレグラウトは1サイクル当たり切羽前方27m 区間実施し,6mのラップ区間を残して21m掘削するサ イクルを繰り返した.
なお,中透水帯区間では,1リング8本の規定孔(Aリ ング)を削孔し,同様に中央内挿法によって改良し,1 リングでグラウト改良帯を構築した.低透水帯区間で は,切羽前方の頂設導坑掘削断面内に3本の先進ボーリ ング(長さ30m)を削孔して水押し試験を実施し,グラ ウト基準を超えた孔がある場合は,その孔の外側に追 加孔を削孔し,同様に中央内挿法によってグラウト改 良体を構築した.
図-3に示すように,事前に設定した低透水帯区間と 実際に先進ボーリングだけ実施した箇所は配管竪坑付 近を除きほぼ一致している.特に,ブタン貯槽南側に 分布するⅠ分帯は実際に割目密度が低く,アーチ部掘 削時においても透水性が非常に低いことが確認された.
図-3 アーチ部プレグラウト用透水性区分とグラウト実施位置図
図-4 高透水帯区間アーチ部規定孔パターン
TD310 TD225 TD204 TD158 TD137 TD116 TD86 TD65
中透水帯 中透水帯 高透水帯 中透水帯
高透水帯 頂設トンネル 高透水 先進 中透水 先進 中透水
TD251.5 TD224.5 TD208.8 TD178.8 TD170.7 TD143.7 TD99.0 TD92.1 TD65.1
高透水TD294.9 TD267.9
先進TD338.3 TD308.3
TD379.2 TD349.2
TD419.0 TD389.0 先進先進
TD439.0 TD409.0
先進 TD396.8 TD366.8
先進 TD359.2 TD329.2
先進 高透水
TD314.2 TD287.2 中透水
TD232.8 TD205.8 先進
TD189.9 TD160.7 高透水
TD148.4 TD121.4 先進
TD108.6 TD86.6
配管竪坑
中透水
TD49.0 TD28.0 中透水
TD12.5 TD-10.5
中透水
TD70.5 TD43.5 中透水
TD34.6 TD7.6
B-B断面(Bリング)
(1次孔×9孔)
A-A断面(Aリング)
(1次孔×7孔)
C-C断面(Cリング)
(1次孔×9孔)
ベンチ掘削範囲は5m改良幅 12
12
12 6
12 12
12 12
12
12
1010 5
21 21
(2) 動的グラウト工法の採用
低透水性の亀裂にも効率的かつ確実に注入するため,
注入圧力を一定間隔で脈動させる動的グラウト工法
(図-5)を採用した.注入圧力を脈動させることによ り,注入ミルクが亀裂の入口および亀裂内の開口幅変 化部等で目詰まりすることを抑制し,より遠くへ注入 ミルクを到達させる効果が期待できる.
ブタン貯槽において動的グラウト工法に期待する効 果として,以下の点を挙げることができる.
①注入ミルクの見掛けの粘度を低減することにより,
亀裂内でのグラウトの目詰まりを抑制し,開口亀裂は もとより,微細な亀裂に対しても確実なグラウトが可 能である.
②注入圧力の振動数に加えて振幅も制御可能なため,
適切な振動数と振幅を設定することにより,グラウト 孔内で所定の振幅を確保することができる.
③目詰まり抑制効果により改良範囲を拡大すること ができるため,2次孔,3次孔へと進む次数を低減する ことができる.
④水封水圧による高水圧下においても,高濃度・高 粘性のグラウトを注入することにより,グラウトの逸 走・希釈を低減できる.
注入圧力には5〜7Hzの振動数を与え,注入圧力を 1.5MPa〜2.5MPa(振幅1.0MPa)とした.振幅1.0MPaの脈 動はグラウトホース内で減衰する可能性がある.した がって,グラウト孔内に圧力センサーを設置して減衰 状況を確認した結果,実脈動圧力には約50%の減衰分を 上乗せした圧力とした.
注入材料は,早強セメントミルクを使用した.ただ し,湧水の海水混入率10%以上の場合には,高炉セメン トミルクを使用した.また,仕上がり状況が良くない 場合には,超微粒子セメントミルクを使用した.
注入圧力が規定圧力に達し,注入量が0.2L/min/m以下 となってから30分間加圧注入(ダメ押し)を行い,そ の間完了注入量を上回ることがなければグラウト完了 とした.
図-5 動的グラウト工法
(3) グラウト実績
表-1に透水性区分ごとの1次孔および最終次数孔のル ジオン値を最大値と平均値で示す.最終次数孔のルジ オン値は透水性区分によらず,最大・平均ともに同程 度の値であり,貯槽周辺岩盤をほぼ均質な低透水ゾー ンに改良できた.また,1次孔において,事前に設定し た透水性区分に応じたルジオン値が測定されており,
水封ボーリングの水押し試験結果に基づいて設定した 透水性区分は妥当であったといえる.
表-1 透水性区分ごとのルジオン値
1次孔(Lu) 最終次数孔(Lu)
最大 平均 最大 平均 高透水区間 7.90 0.28 0.99 0.08 中透水区間 4.86 0.28 0.90 0.05 低透水区間 1.77 0.08 0.84 0.01
図-6にアーチ部プレグラウトでの1次孔と最終次数孔 のルジオン値の超過確率を示す.1次孔では,改良の対 象である1Lu以上の高透水箇所が約5%分布していたが,
グラウト完了後にはすべて1Lu未満に改良することがで きた.また,1次孔における0.01Luでの超過確率が約 45%であり,ブタン貯槽に低透水の領域が広く分布し ていたことがわかる.
図-6 アーチ部プレグラウトのルジオン値超過確率
図-7はプレグラウト前後のルジオン値分布を貯槽縦 断図に投影して示したものである.プレグラウト前は 規定孔でのルジオン値を,プレグラウト後は最終次数 孔でのルジオン値をそれぞれ示している.プレグラウ トの結果,プレグラウト後のルジオン値分布はすべて1 ルジオン未満に改良されている.
ミキサー
グラウト管理室
グラウトポンプ アジテータ
M
グラウト管理装置
岩盤 孔口圧力センサー グラウト
パルサー パルサー
制御盤
圧力伝送 表示盤 パルサー
遠隔操作盤
孔内圧力センサー 流量・圧力検出器
事務所 FD
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.001 0.01 0.1 1 10
超 過 確 率(
%)
ルジオン値(Lu)
1次孔 最終次数孔
図-7 プレグラウト前後のルジオン値分布
4. ロックボルト孔からの湧水対策
高透水帯区間と中透水帯区間は,ロックボルト長(4
〜6m)を考慮して,貯槽壁面から10m範囲をプレグラ ウトにより改良している.しかし,低透水帯区間では プレグラウトを実施していない区間があり,ロックボ ルトの削孔により湧水が発生し,周辺の間隙水圧が低 下する現象が生じた.そこで,ロックボルトからの湧 水量の管理値を設定し,各管理値によってモルタル先 行注入式ロックボルト,注入式ロックボルト,ロック ボルト孔のグラウト注入の3つの湧水量別ロックボルト 仕様を適用した(図-8,表-2).また,表-3にロックボ ルト孔のグラウト注入基準を示す.
図-8 モルタル先行注入式(左)注入式ロックボルト(右)
表-2 湧水量別ロックボルト仕様基準
ロックボルト仕様 削孔後の孔口湧水量
(L/min) モルタル先行注入式ロックボルト 0.1以下
注入式ロックボルト 0.1〜0.5 ロックボルト孔のグラウト注入 0.5以上
表-3 ロックボルト孔グラウト注入基準 注入区間 湧水箇所以深 注入圧(MPa) 2.0
注入材料 超微粒子セメントミルク 仕上がり基準 孔口湧水量 0.1L/min以下
図-9に,ロックボルト孔のグラウト注入による間隙 水圧の回復事例を示す.ブタン貯槽の南側の大半を占 め,透水性が極めて低い領域であるⅠ分帯に設置した 間隙水圧測定断面(A断面)周辺において,ロックボル ト孔から1L/分程度の湧水が原因で間隙水圧が最大18m 低下した.そこで,ロックボルト孔のグラウト注入を 行ったところ,低下した間隙水圧の6割〜7割の回復が 見られた.
図-9 ロックボルト孔注入による間隙水圧の回復 プレグラウト前ルジオン値分布
規定孔
プレグラウト後ルジオン値分布 最終次数孔
Lu値 凡例 Lu<0.01 0.01≦Lu<0.1 0.1≦Lu<1.0 1.0≦Lu<5.0 5.0≦Lu<10.0 10.0≦Lu
TD10 TD50 TD150
TD200 TD250
TD300 TD100
TD400
TD430 TD350
高 中 低 低 中 高 低 低 中 中 中
低 低 低 低 低 低 中中 中
低透水帯 高透水帯 低透水帯 高透水帯 低透水帯 中透水帯
TD400
TD430 TD350 TD300 TD250 TD200 TD150 TD100 TD50 TD10
高 中 低 低 中 高 低 低 中 中 中
低 低 低 低 低 低 中中 中
低透水帯 高透水帯 低透水帯 高透水帯 低透水帯 中透水帯
モルタル充填 ロックボルト挿入 中空ロックボルト挿入
孔口パッカー設置 モルタル注入
-150 -120 -90 -60 -30 0
5/28/06 5/29/06 5/30/06 5/31/06 6/1/06 6/2/06 6/3/06 6/4/06 6/5/06 6/6/06 6/7/06 6/8/06 6/9/06 6/10/06 6/11/06 6/12/06 6/13/06 6/14/06 6/15/06 6/16/06 6/17/06 6/18/06 6/19/06 6/20/06 6/21/06 6/22/06 6/23/06 6/24/06 6/25/06 6/26/06 6/27/06 6/28/06 6/29/06 6/30/06
全水頭換算間隙水圧(EL m)
A2-1 A2-2 水封水圧
水封水圧 0.8MPa
A2-1解析値 A2-2解析値 西TD381.7,TD383.2
ロックボルト孔削孔 TD389.2,TD387.7
ロックボルト孔削孔
2ベンチ土平掘削 TD391.7~TD393.7
ロックボルト削孔時の微量湧水により、
間隙水圧が低下し、回復が見られない ロックボルト孔 TD390.7~TD393.7注入 ロックボルト孔注入により、間隙水圧の 回復(6割~7割)が見られる
5. グラウト改良効果の評価
水封水圧昇圧時(0.7MPa → 1.23MPa)の貯槽湧水量 の予測解析を実施し,貯槽湧水量の実測値と比較する ことにより,グラウト改良効果の評価を行った.
図-10は,水封水圧昇圧時の貯槽湧水量の実測値とグ ラウト改良を考慮した三次元不均質モデルによる予測 解析値を示したものである.水封水圧の昇圧に伴い,
貯槽湧水量の実測値は,141L/minから232L/minに上昇し,
水封水圧の昇圧と線形に増加した.また,実測値は概 ね予測解析値に対応している.水封水圧1.23MPaでの貯 槽湧水量の実測値232L/minは,ブタン貯槽湧水量の管理 基準値300L/分以下に十分収まっており,グラウトの改
良効果を確認できた. 図-10 水封水圧昇圧時の貯槽湧水量
6. まとめ
波方基地ブタン貯槽の水理地質構造を把握し,その 水理地質特性に対応したグラウトを実施することによ り,貯槽周辺岩盤の透水性の高い箇所を均質な低透水 ゾーンに改良した.その結果,貯槽周辺岩盤を所定の 水圧場に保持することができ,その後の水封水圧昇圧 および2012年9月に実施した気密試験において,水封式 岩盤貯槽に要求される気密性・液密性を確保すること ができた.
近年,通常のトンネル工事においても,地下水環境 維持のため,供用時だけでなく,施工時においても極 力地下水位を下げないための効果的な止水グラウト技 術が求められてきている.亀裂性の硬岩地山に対して 波方基地で蓄積したグラウト技術は,このようなトン ネル工事に有効に適用できるものと考える.
参考文献
1) 加藤元彦,前島俊雄,中島秀一:地下150mにLPG岩 盤貯槽を建設,土木施工,48(3),pp.48-53,2007.
2) 小笠原光雅,市川雅之:650m2の大規模水封式地下岩 盤貯槽を掘る,土木施工,48(9),pp.77-84,2007.
3) Maejima, T., Nakamura, Y., Uno, H., Chang, C. and Aoki, K. : The construction of underground LPG storage cavern with hydraulic containment system in Japan, Proc.37th ITA-AITES World Tunnel Congress, Helsinki, Finland. , 2011.
4) Miyazaki, H., Ichikawa, M., Nakajima, S., and Yamamoto, H. : Hydraulic containment management applied to the world’s largest LPG mined cavern in Japan, Proc.37th ITA-AITES World Tunnel Congress, Helsinki, Finland. , 2011.
5) 下茂道人,安達哲也,前島俊雄,山本浩志:LPG岩盤 貯槽掘削時の湧水量予測手法とグラウト仕様の検討,
第63回年次学術講演会,pp.581-582,2008.
6) 安達哲也,下茂道人,前島俊雄,山本浩志:LPG岩盤 貯槽掘削時のグラウト計画と止水対策結果の評価,第 63回年次学術講演会,pp.583-584,2008.
GROUTING TECHNIQUE AND EFFECT OF IMPROVEMENT CONDUCTED IN LPG MINED STORAGE CAVERN AT NAMIKATA BUTANE/PROPANE CAVERN
Hiromitsu MIYAZAKI, Satoru AMANO, Takeshi SUIDOU, Hiroshi YAMAMOTO, and Toshio MAEJIMA
To maintain the hydraulic containment system both during excavation and operation, it is essential to supply water to rock mass around the cavern through the water curtain boring and reduce the permeability of high permeable zone around the cavern by grouting. In this paper, firstly, the hydrogeological structure of Namikata butane/propane cavern is reviewed, then grouting method suitable for the hydrogeological characteristics and the grouting performance are described. Secondly, countermeasures for reducing water inflow from rockbolt holes are explained. Finally, confirmatory results on the gas-tightness of cavern are discussed based on the hydraulic behavior after hydraulic containment pressure rising.
0 100 200 300
0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3
貯槽湧水量(L/min)
水封水圧(MPa) 解析値
実測値