JIS Q 13485
:2005(ISO 13485
:2003)
医療機器-品質マネジメントシステム-
規制目的のための要求事項
解 説
この解説は、本体及び附属書に規定・記載した事柄、参考に記載した事柄、並びにこれらに関連した事柄 を説明するもので、規格の一部ではない。 この解説は、財団法人日本規格協会が編集・発行するものであり、この解説に関する問合せは、財団法人 日本規格協会へお願いする。 1. 制定の経緯 1979 年、品質を担当する専門委員会である IS0/TC 176 が設立され、1987 年、品質管理及び品質保証の 国際規格である IS0 9000 シリーズが発行された。また、5 年ごとに見直すルールに基づいて、最初の改正 が 1994 年に行われた。IS0 9000 シリーズは、世界各国で国家規格として採用されている。一方、国際的な 認定及び審査登録の仕組みが確立され、 IS0 シリ一ズの認証は、製品の品質の証として国際的な信頼を得 ている。我が国では、1991 年に IS0 9000 シリ―ズの国際一致規格(技術的内容が国際規格と同等で、か つ.表現形式がそれと対応するように翻訳された規格)として、JIS Z 9900 シリーズが制定された。世界 的に普及した IS0 9000 シリーズであるが、医療機器に適用する場合、その要求事項のみでは不十分である との国際的な共通認識から、医療機器の品質管理の分野における要求事項の標準化と指針作成のため IS0/TC 210 が設立された。1994 年、ワシン卜ンで IS0/TC 210 の第 1 回会議が開催され、それ以降、活発に 活動を継続している。この IS0/TC 210 によって 1996 年、IS0 9001:1994 及び IS0 9002:1994 を基にして、 次の規格が発行された。IS0 13485 : 1996 品質システム―医療用具― IS0 9001 を適用するための特別要求事項 (Quality systems― Medical devices― Particular requirements for application of IS0 9001) IS0 13488 : 1996 品質システム―医療用具― IS0 9002 を適用するための特別要求事項 (Quality systems 一 Medical devices― Particular requirements for application of IS0 9002)
我が国は、 IS0 13485 及び IS0 13488 の作成に積極的に参画してきた。1998 年、それらを基にして国際 一致規格である、以下の JIS Q 13485、13488 が制定された。 JIS Q 13485、13488:1998 品質システム-医療用具-JIS Z 9901、9902 を適用するための特別要求事 項 2. 改正の経緯 10 年間以上にわたる利用の実績と、問題点及び改善要望の調査分析を基に、IS0 9000 シリーズは大幅に 改正され、2000 年 12 月、次の 3 種類のコア規格が発行された。また、2002 年、関連する監査の規格が発 行された。 IS0 9000 : 2000 品質マネジメントシステム―基本及び用語
IS0 9001 : 2000 品質マネジメン卜システム―要求事項
IS0 9004 : 2000 品質マネジメン卜システムーパフオーマンス改善の指針 IS0 19011 : 2002 品質及び/又は環境マネジメントシステム監査のための指針
IS0 13485 : 1996 及び IS0 13488 : 1996 は、 IS0 9001:1994 及び ISO9002:1994 に医療機器固有の特別 要求事項を追加した規格であるため必然的に改正が必要になり、IS0/TC 210 は、IS0 9000 シリ一ズの改正 に合わせて IS0 13485 の全面的見直し作業を進めた。設計管理の有無により IS0 13485 及び IS0 13488 に分 かれていた規格が統合され、2003 年 7 月、次の単一規格として発行された。また、今回の ISO の改正では 表題からもわかるように各国の規制要求事項として利用できることを前提に改定された。
IS0 13485 : 2003 医療機器 ― 品質マネジメントシステム―規制のための要求事項 (Medica1 devices― Quality management systems - Requirements for regu1atory purposes)
これを受けて、JIS Q 13485 : 1998 及び JIS Q 13488 : 1998 を改正して、ISO 13485 : 2003 に対応する国際整 合規格としての JIS である、JIS Q 13485 : 2005 を制定した。 なお、2004 年 10 月に IS0 13485 : 2003 のための指針である、ISO/TR 14969 が発行された。この指針は、 JIS として発行される計画である。 3. 改正の審議 医療機器セク夕―は、国民の健康維持のために各国によって厳しく規制されており、品質マネジメント システムに対して法的監査が行われている。国ごとに異なる規制は非関税障壁となり、また、各国の規制 当局は重複した審査/監査のために多大の資源及び時間を消費している。医療機器に対する各国の規制を国 際的に調和させるため、1993 年、医療機器規制国際整合化会議(Global Harmonization Task Force/ GHTF) が創設された。
IS0 13485 : 1996 及び IS0 13488 : 1996 は、各国の品質マネジメント規則の共通的基準として使用されて きたが、改正に当たり、規制の整合化のための規格であることがさらに明確化された。この点は、ISO 13485 : 2003 の表題にも示されている。また、ISO 13485 : 2003 は、規制のための規格であるために、ISO/TC 210/WG 1 と GHTF SG 3 の合同会議によって審議された。
ISO 9000 シリーズを担当する ISO/TC 176 は、ISO 9000 シリーズのセクター規格に対して厳しい制約条 件を設け、指針文書 TC176 N299R3 を発行している。例えば、①ISO 9001 : 2000 を修正せず、そのまま引 用すること、②セクター規格(案)は ISO/TC 176 に提出し、レビューを受けることなどを要求しており、 ISO 13485 : 2003 はそれに従って作成された。また、ISO 13485 改正の審議には、ISO/TC 176 の代表委員が 参画した。品質マネジメントシステム(QMS)に係る国際組織は、下記の通りである。安全性は品質の属 性であり、リスクマネジメントを含んでいる。 医療機器整合化担当 医療機器 QMS 担当 すべてのセクターの QMS 担当 GHTF SG 3 ISO/TC 210/WG 1 ISO/TC 176/SC 2/WG 18 (QMS 規則、指針) (IS0 13485、 (IS0 9000 シリーズ) GHTF SG 4 ISO/TR 14969) (QMS 法的監査) ISO/TC210/JWG1 (IS0 14971、 リスクマネジメント規格) ISO/TC 210/JWG 3
(医療機器ソフトウェアの 品質マネジメントシステム及び リスクマネジメント規格) 4.審議中に問題になった事項及び IS0 9001 : 2000 との主な相違点 IS013485 改正の審議において問題になった点は、ISO 13485 が規制のための要求事項であることに起因 している。IS0 9001:1994 の適用範囲は品質保証に限定されていたが、IS0 9001 : 2000 では品質マネジメ ン卜システムに拡張され、主要な2本柱として「顧客満足」及び「継続的改善」が追加された。一方、医 療機器規制の基盤は薬事法(一部の国では医療機器法)であり、基本的事項は、安全性、有効性及び品質 の確保である。顧客満足及び継続的改善は主観的要素であり規制にはなじまない。そのような要素を法体 系に取り込むには、各国とも議会の審議による法改正が必要であり至難である。この点に関して、欧州の 一部の国々は IS0 9001 : 2000 の全箇条を無修正で採用すべきであると主張、 DIS 段階では 4 か国が反対 した。ただし、最終段階である 2003 年 5 月の FDIS の投票ではそのすべてが賛成し、反対票はなかった。 また、IS0 9001 : 2000 では、文書及び記録に関する要求が大幅に削減されたが、IS0 13485 : 2003 では、IS0 13485 : 1996 と同等の要求水準を維持している。 IS0 13485 : 2003 の関連要求事項を IS0 9001 : 2000 と比較 すると、文書化された手順 17 項目、文書化 14 項目、記録 13 項目が多くなっている。これは、法的監査に おける適合性の証拠として文書及び記録は不可欠であるとの各国規制当局の主張による。 安全性は医療機器の重要な要素であり、IS0 13485 : 1996 ではリスク分析が追加要求事項であった。 IS0 13485 : 2003 ではそれがリスクマネジメントに拡張され、製品実現の全過程で要求されているが、具体的 要求事項は規定されていない。リスクマネジメン卜規格 IS0 14971 が参考として記載されているが、これ は引用規格(要求事項の一部になる規格)ではない。また、 IS0 14971 は規制のために開発された規格で はない。リスクマネジメントの主要素は、リスク分析、 リスク評価及びリスク管理であるが、規制上の具 体的要求事項の明確化は今後の課題である。 5. JIS Q 13485 : 2003 の概要
JIS Q 13485,13488 : 1998 では「JIS Z9901:1994 の 4.5.1 を適用する」などのように記述され JIS Z 9901 の原文全体は引用されていないため、 JIS Z 9901:1994 を同時に用意することが不可欠であり実際の使用 上不便であった。しかしながら、今回改正された、JIS Q 13485 : 2005 は、その規格のみで用が足りる独立 規格である。規格の用語及び定義については JIS Q 9000 : 2000 を引用規格とし、構成は JIS Q 9001 : 2000 に一致している。さらに、IS0/TC 176 の要求に基づいた ISO 13485 : 2003 と同様に、JIS Q 9001 : 2000 との 相違とその理由を記述した比較表が附属書 B として添付されている。 JIS Q 13485 : 2005 では、すべての医療機器に共通する特別要求事項は規格本文に取り込まれている。そ れ以外の特別要求事項の対象は、①能動埋め込み医療機器及び埋め込み医療機器と、②滅菌医療機器に限 定された。 6. 品質マネジメントシステムの各国法令 医療磯器規制において、品質マネジメシトシステムは IS0 13485 を基に最も整合化が進んでいる分野で ある。 GHTF 加盟国/地域のうち、力ナダ及びオ―ストラリアは法令として IS0 13485、 IS0 13488 を採 用しており、さらに、ISO 13485 :2003 へ移行することが決まっている。EU でも、2000 年 9 月、 QMS の 規格である EN46001、 EN46002 から IS013485、 IS013488 へ移行することを決定。さらに、CEN は IS0
13485 : 2003 を承認し、欧州医療機器指令の QMS 調和規格は ISO 13485 : 2003 に移行している。 米国の品質システム規則(QSR)は 1997 年 7 月より施行され、IS013485 との整合性は高いが、 IS0 13485 : 2003 に基づく改正については未定である。日本の場合、 QA システム基準は IS0 13485 : 1996 とほぼ整合 しているが、実際に規制に用いられてきた許可要件 GMP は整合しているとはいえなかったが、2005 年度 から施行の改正薬事法の下で IS0 13485 : 2003 に基づく省令が 2004 年 12 月に公布され、2005 年 4 月から 施行された。また、 GHTF は 2003 年 11 月に「医療機器製造業者のための品質マネジメン卜システム規格 として ISO13485:2003 の使用を支持し、各国の品質マネジメン卜システム規則を ISO13485:2003 に整 合化させることを推奨する」宣言文を発行している。 なお、医療機器の品質マネジメントシステムについて各国政府は法的監査を行っており、IS0 9001 のよ うな国際的に統一された認定・認証の仕組みはない。多くの国々が法的監査に第三者機関を導入しつつあ るが、相互承認が成立している場合を除き、他国の監査の結果が受け入れられることはない。 7. 翻訳 JIS Q 13485 : 2005 は大部分の箇条を IS0 9001 : 2000 から引用しており、それらは斜体で記述されている。 追加要求事項も、 IS0 9001 : 2000 の規定の一部を変更している箇条が多い。 IS0 9001 : 2000 に対して国際 一致規格 JIS Q9001:2000 が発行されており、 IS0 13485 : 2003 には IS0 13485 : 1996 から引用されている 規定も多く、それらは JIS Q 13485:1998 として翻訳されている。そのような先行 JIS がある場合、翻訳 はそれによった。訳語の選定も、JIS による規定及び先例に従った。なお、2005 年 4 月から施行された改 正薬事法によって医療用具は医療機器と名称が変更されたため medical device の訳語は医療機器とした。
8. ISO/TC210 及びその国内対策委員会
IS013485 を担当している IS0/TC 210 は米国を幹事国として、 P メンバ一(投票権あり)28 か国、O メ ンバー(投票権なし)14 か国で構成されており、下記のように五つの作業班が設けられている。事務局は AAMI(Association for Advancement of Medical Instrument)である。
IS0/TC 210: 医療機器の品質管理と関連する一般事項担当 作業範囲: 医療機器に対する品質管理分野における要求事項の標準化と指針の作成。 ただし、次の内容は除かれている。 • IS0/TC176 が扱う包括的な品質管理規格 • 医療品のための品質管理規格 • 医療機器の特殊な形式に対する技術的要求事項 WG l : 医療機器に対する品質システムの適用 (IS013485、IS0/TR 14969 担当) WG 2 : 医療機器に対する品質の基本方針の適用から生じる一般事項 WG 3 : 医療機器のための図記号、定義及び機器名称 JWG l: 医療機器に対するリスクマネジメン卜の適用(IEC との共同) JWG 3 : 医療機器ソフ卜ウェアに対する品質マネジメントシステム及び リスクマネジメントの適用(IEC との共同) 我が国では、日本医療機器産業連合会を事務局とする IS0/TC 210 国内対策委員会を設置し、上記の各作 業班に対応する委員会を設け、関連するすべての国際会議に代表を派遣している。また、重要な案件につ いては、傘下の関係団体に意見を求め、国際会議の場で規格案の修正に反映させている。
9. 原案作成委員会の構成表 原案作成委員会の構成表を次に示す。 ISO/TC 210 JIS 原案作成委員会構成表(2004 年 4 月現在) 区分 氏名 所属 委員長 梶谷 文彦 岡山大学 大学院 医歯学総合研究科 システム循環生理学 副委員長 内藤 正章 日本光電工業株式会社 幹事 三浦 重孝 GE 横河メディカルシステム株式会社 委員 武濤 雄一郎 経済産業省 産業技術環境局 認証課 山本 弘史 厚生労働省 医薬食品局 審査管理課 医療機器審査管理室 鈴木 由香 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 医療機器審査部 佐藤 裕道 厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 箭内 博行 財団法人 医療機器センター 前原 泰則 財団法人 日本品質保証機構 菊地 眞 防衛医科大学校 医用電子工学講座 飯沼 武 放射線医学総合研究所 加藤 二久 東京都立 保健科学大学 保健学部 辻 隆之 東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 渡辺 敏 北里大学 萩原 敏彦 オリンパス株式会社 (現:オリンパスメディカルシステムズ株式会社) 浅井 英規 株式会社日立ハイテクノロジーズ 井上 勇二 GE 横河メディカルシステム株式会社 井上 政昭 株式会社スカイネット 事務局 吉田 正人 日本医療機器関係団体協議会 (現:日本医療機器産業連合会) ISO/TC 210 WG1 国内作業委員会構成表(2004 年 4 月現在) 区分 氏名 所属 WG1 主査 三浦 重孝 GE 横河メディカルシステム株式会社 WG1 客員 磯崎 正季子 厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 角井 一郎 厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 津金 秀幸 経済産業省 産業技術環境局 認証課 前原 泰則 財団法人 日本品質保証機構 村山 靖 テュフプロダクトサービスジャパン株式会社 (現:テュフジャパン株式会社) WG 1 副主査 浅井 英規 株式会社日立ハイテクノロジーズ
WG 1 委員 竹下 正生 財団法人 日本規格協会 標準部 浜原 公幸 株式会社日立メディコ 池田 志郎 日本光電工業株式会社 青山 憲二 テュフ ラインランド ジャパン株式会社 種村 守親 サクラ精機株式会社 前田 澄夫 テルモ株式会社 鈴木 浩 オリンパス株式会社 (現:オリンパスメディカルシステムズ株式会社) 藤原 久男 株式会社モリタ製作所 森屋 忠重 株式会社シノテスト 事務局 吉田 正人 日本医療機器関係団体協議会 (現:日本医療機器産業連合会)