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大学院 有機金属化学 達成度確認試験

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Academic year: 2021

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(1)

大学院 有機金属化学 達成度確認試験 2017.12.19 解答例 1.次の錯体の電子数と中心金属の形式価数を答えよ。

(a) 0価, 18e (b) 4価、16e (c) 2価、16e (d) 1価、16e

2.以下の八面体錯体に関する問に答えよ。

(a)八面体構造を有する金属錯体のd軌道分裂の様子を説明せよ。

egとt2gの分裂を図示

(b) Cu2+のd電子数を答えよ。9個

(c)[Cu(H2O)6]2+ では6つのH2O配位子が配位している。6つのCu-Oの結合距離のうち、4つが短く、2つが長い

傾向を示す。このように結合距離が非等価になる理由を定性的に説明せよ。

(c)Jahn-Teller 効果により変形して安定化するため。平面四角形をつくる4つの Cu-O結合距離よりも、この平面

に垂直方向の結合距離が長くなる。Cu2+はd9の電子配置のため、eg軌道を3つの電子が占める。z軸上の配位子 が遠ざかると、dz2軌道は安定化し、dx2-y2軌道は不安定化する。2つのうち、エネルギーの低いdz2軌道に2つの 電子が入ることによって錯体が安定化される。

3.以下のカルボニル錯体に関する問に答えよ。

(a) カルボニル配位子と金属の軌道相互作用を説明せよ。

下記のようにカルボニルの非共有電子対が金属の空のd軌道に供与され、金属のd軌道の電子がカルボニルのp*

軌道に逆供与されている。

(b) (PMe3)Ni(CO)3と(PPh3)Ni(CO)3のカルボニル配位子の赤外吸収における波数を比較したとき、より低波数側に

観測されるのはどちらか。また、その理由を説明せよ。

(PMe3)Ni(CO)3の方。PMe3はPPh3よりも電子供与性が高いので、Ni中心の電子密度が高まる。その結果、カルボ

ニル配位子のp*軌道への逆供与が強まり、波数が減少する。

(c) 次の反応生成物A, Bを示せ

(2)

4.以下の錯体の反応に関する問に答えよ。なお、(b)~(d)では(a)にならって構造を示せ。

(a) 次の錯体の組のうち、還元的脱離が速いのはどちらか。

(a) (i) 左 (還元脱離の生成物が直線構造を取るため)、(ii) 左(CF3の結合がMeよりも強いため)、(iii) 右(立体 的に嵩高い配位子の方が速い)、(iv) 右(電子供与性配位子で遅くなる)

(b) Rh(PPh3)3ClとH2との反応生成物を示せ。

(c) (h5-C5Me5)IrH2(PMe3)にn-ヘキサン中で紫外光を照射して生成する錯体を示せ。

(d) trans-Ir(PPh3)2(CO)Cl とCH3Iとの反応における速度論的生成物を示せ。

5.下記のカルベン錯体の反応(式1, 2)を参考にして、式3の反応生成物Aを推測せよ。

Au がアルキンに配位し、O が攻撃、S+-O 結合の開裂を伴って、カルベンが生成。分子内 C-H結合挿入により、

7員環が生成する。

(3)

6.次に示した触媒反応について以下の問い(a)~(d)に答えよ。

問題の出典はEvans, D. A.; Fu, G. C.; Anderson, B. A., J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 6679-6685.

(a) 触媒反応のTONおよびTOF (min–1)を求めよ。

TON: 77.7/0.05 = 1554, TOF = 1554/25 = 62.16 ≈ 62 (min–1)

(b) 推定される反応機構を記せ。ただし平面4配位錯体への酸化的付加は起こらないものと仮定せよ。

Wilkinson錯体からPPh3配位子の解離により3配位14電子のAが発生、B-H結合の酸化的付加により16電子錯

Bが発生、続くアルケン配位により18電子錯体Cが発生、挿入により生成した16電子錯体Dからの還元的 脱離によりアルキルボランが生成すると共に活性種Aが再生する。

(c) 重水素化されたカテコールボランを用いたところ、重水素が導入されたアルキルボランが以下の比で生成す ると同時に、回収したアルケンの一部が重水素化されていた。副生成物が生成する反応機構を記せ。

n-C8H17

O B

O H

+

(Ph3P)3RhCl (0.05 mol%) 20 °C, 25 min.

C6H6

n-C8H17 B O O

77.7% yield

Rh L L L Cl

Rh L L Cl

–L

H B O O

Rh L L Cl B O H O

Rh L Cl B O H O

nOct Rh L

Cl B O O

nOct

nOct O B

O

A

B

C D

L

nOct L

n-C8H17

B O O

n-C8H17

B O D O

85 : 15 D

n-C8H17 D

n-C8H17 D n-C8H17

O B

O D

+

(Ph3P)3RhCl (0.2 mol%)

50 : 50 alkene : borane = 10 : 1

nOct D B O O

D B

R

Rh B D LnCl

A

C-d1 R

D B

R

Rh B

LnCl D(branch)-1-d1

R D Rh

B LnCl D(linear)-2-d1

R D

Rh B H LnCl

C-(alkene-α-d1) R

D R

B

D B

R D

Rh B

LnCl D(linear)-1-d1

R

D Rh

B H LnCl

R D C-(alkene-β-d1)

Rh B

LnCl D(branch)-2-d1

R D

B R

D R

B D

B+D R

B+ R D

(4)

基本的な反応機構は(b)に同じだが(図中の点線四角は生成した化合物を示している)、アルケンの挿入の向きによ り生じる異性体が重水素の導入位置を決める。すなわち、重水素化ボランを用いて生成した錯体C-d1へのアルケ ン挿入では直鎖アルキル錯体D(linear)-2-d1と分岐アルキル錯体D(branch)-1-d1が生成する。ここからb-水素脱離 によりRh状へ水素原子が移動すると、C-(alkene-b-d1)およびC-(alkene-a-d1)が生成、ここからのアルケンの解離 が起こると錯体Bが生成するとともに重水素が導入されたアルケンが生成する。また、分岐アルキル錯体からの 還元的脱離は直鎖アルキル錯体からの還元的脱離より遅いため、D(branch)-1-d1 からの還元的脱離は進行せず、

直鎖アルキル錯体D(linear)-2-d1またはD(branch)-1-d1が異性化したD(linear)-1-d1からの還元的脱離により直鎖 アルキルボランが生成する。

(d) (c)の重水素ラベル実験においてスチレンを基質として行った場合は単一の重水素化生成物が得られ、余った

スチレンには重水素の導入は見られない。この事実から推定される反応機構を(c)と比較して記せ。

基本的な反応機構は(b)(c)に同じだが(図中の点線四角は生成した化合物を示している)、スチレン挿入の際に非常 に安定な分岐アルキル錯体 D(branch)-1-d1のみが生成(ベンジル金属錯体は熱力学的に非常に安定)、ここからの 還元的脱離のみが起こるため、生成物は1種類に限定される。

Ph

O B

O D

+

(Ph3P)3RhCl (0.2 mol%)

Ph D

B O O

100% selective

no D incorporation of recovered styrene

alkene : borane = 10 : 1

D B O O

D B

Rh B D LnCl

A

C-d1 Ph

D B

Ph

Rh B

LnCl D(branch)-1-d1

Ph D Rh

B LnCl D(linear)-2-d1

Ph D

Rh B H LnCl

C-(alkene-α-d1) Ph

D Ph

B

D B

Ph D

Rh B

LnCl D(linear)-1-d1

Ph

D Rh

B H LnCl

Ph D C-(alkene-β-d1)

Rh B

LnCl D(branch)-2-d1

Ph D

B Ph D

Ph

B D B+D Ph B+

Ph D

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