奈良教育大学学術リポジトリNEAR
教育学部生の教師効力感と学習理由
著者 桜井 茂男
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 28
ページ 91‑101
発行年 1992‑03‑01
その他のタイトル Prospective Teachers' Sense of Efficacy and Reasons for Studying
URL http://hdl.handle.net/10105/6801
教育学部生の教師効力感と学習理由ま
桜 井 茂男
(心理学教室)
要旨:教育学部生144名を対象に、①Gibson&Dembo(1984)による「教師 効力感尺度」の日本語版、②桜井(1991)による教育学部生の学習理由尺度、
③教師効力感に関連した5つの質問を実施した。教師効力感尺度は因子分析の 結果、「個人的な教授効力感」、「一般的な教育効力感」と命名できる2つの因 子が抽出された。学習理由尺度も因子分析の結果、「向上・同一視志向」、「モ
トリアム志向」、「エンジョイ志向」、「職業(教師)志向」、「学歴志向」、「学問 志向」という6つの因子が抽出された。教師効力感と学習理由の関係では、職 業(教師)志向の者は2つの教師効力感が高く、学歴志向の者は個人的な教授 効力感のみが高かった。また、5つの質問と教師効力感との関係では、特筆す べき結果として、教師に向いているとよく言われてきた者、将来教師になりた い者はともに2つの教師効力感が高く、親が教師である者は一般的な教育効力 感が低かった。また、1回生と3回生の比較では、2つの教師効力感とも1回 生の方が高かった。
キーワード=教師効力感、学習理由、教育学部生
Ashton(1985)によれば、教師効力感(teachers sense of efficacy or teacher efficacy)
とは、「こどもの学習に望ましい変化を与える能力に関する信念」と定義されている。教師効力 感に関する研究は、欧米では1970年代前半より始められたが、本格化したのは1980年代に入って からである。特に、Gibson&Dembo(1984)による「教育効力感尺度」が発表されて以来、
多くの研究者の注目を集めるようになった。この尺度は、個人的な教授能力についての効力感
(個人的な教授効力感)と一般的な教育の影響力についての効力感(一般的な教育効力感)を測 定しようとしており、因子分析の結果も予想どおりの2因子が抽出されている。ただし、小学校 教員を対象としたGibson&Dembo(1984)の結果と・教育学部生を対象としたWoo1fo1k&
Hoy(1990)の結果では同じような2因子が抽出されているものの、各因子に高い負荷量を示し た項目には違いが見られた。また、当初、個人的な教授効力感はBandura(1977)の「自己効力 感(se1f−efficacy)」理論における効力期待であり、一方、一般的な教育効力感は結果期待であ
るとされた。そしてその場合、両者にはある程度の正の相関があると考えられた。しかし、
。Prospective Teachers Sense of Efficacy and Reasons for Studying・
Shigeo Sakurai(Department of Psycho1ogy,Nara University of Education,Nara)
Woo1folk&Hoy(1990)ではBanduraとの意見交換から、いずれの教師効力感も効力期待で あることが確認された。その理由は、2つの教師効力感とも「遂行達成への可能性(the poten−
tia1to perform)」を意味しているからというものであった。すなわち、個人的な教師効力感は 教師個人の教授に関する効力期待であり、一般的な教育効力感は教育一般についての効力期待な
のである。この場合には理論上両者に正の相関がなくてもかまわない。実際、上記の尺度作成の 結果ではほぼ独立であることが示されている。データ上からもこのような考え方の妥当性が支持
されたといえよ㌔ところで・わが国では教師効力感に関する直接的な研究は見当たらない。そ こで本研究の第一の目的は、Gibson&Dembo(1984)による教師効力感尺度の日本語版を作 成し、因子的妥当性と信頼性を検討することである。おそらく独立した2因子が抽出され、信頼 性(内的一貫性)が確かめられるであろ㌔
ところで、桜井(1991)は教育学部生が大学で学ぶ理由についての研究を始めた。彼は教育学 部生100名にどのような理由や動機で学んでいるのかを自由記述させ、その結果をまとめて42項 目からなる学習理由尺度を作成した。対象は教員養成課程の学生であったが、大学で学ぶ理由は 多岐にわたっていた。モトリアム志向であったり、学問志向であったり、もちろん教師志向であっ たり。このような多岐にわたる理由をもっている教育学部生の場合、当然、教師効力感にもその 学習理由による違いが見られるのではないだろうか。教師志向の学生は教師効力感が高いと予想
される。そこで、本研究の第二の目的は、作成された教師効力感尺度を用いて、教師効力感と学 習理由との関係を検討することである。
さらに・本研究では探索的に・教師効力感に関係しそうな5つの質問との関係や・1回生と3 回生の各尺度および質問における差異も併せて検討する。
方 法
被調査者 奈良教育大学の学生144名(男子55名、女子89名)。このうち、一回生は68名(男 子21名、女子47名)、二回生は6名(男子4名、女子2名)、三回生は60名(男子25名、女子35名)、
四回生は10名(男女5名すっ)であった。
質問紙 質問紙は以下の3つの内容で構成された。
ω 教師効力感尺度:Gibson&Dembo(1984)が作成した教師効力感尺度30項目をできる だけ忠実に日本語訳して用いた(手違いによりno.26の項目は質問紙に掲載できなかった)。元尺 度は、因子分析により、「個人的な教授効力感(persona1teaching efficacy)」、「一般的な教育 効力感(teaching efficacy)」という2つの因子が抽出されている。日本語訳された質問項目は 上記の2つの因子のどちらかを測定するようになっており、6段階で回答が求められ6,5,4,
3,2,1点と得点化される。なお、付録には日本語訳された30項目が示されている。
12)教育学部の学生が大学で学ぶ理由尺度=桜井(1991)の教育学部生が大学で学ぶ動機・理 由を問う質問紙を用いた。教育学部生100名に対する自由記述により選択された42項目で構成さ れている。4件法で評定するようになっており、あてはまれば3点、ある程度あてはまれば2点、
あまりあてはまらなければ1点、あてはまらなければO点が与えられる。桜井(1991)によると、
教育学部一回生を対象とした因子分析では5因子が抽出された。また、向上志向、モトリァム志 向、学問志向といった理由志向で学んでいる学生は比較的社会的不適応に陥らないことが明らか にされている。
(3)教師効力感に関連する質問:教師効力感に関連しそうな質問項目を5項目作成して用いた。
それらは、①あなたは小学校、中学校、高校のとき教えていただいた先生に好意を感じましたか、
②あなたはこれまで周囲の人達から教師に向いていると言われたことが多かったですか、③あな たのご両親は、二人ともあるいはどちらか教師ですか、④あなたは小学校、中学校、高校のとき の先生の中に「恩師」と呼べる方がいましたか、⑤あなたは将来教師になりたいですか、であっ れ①・②・⑤は「はい」から「いいえ」の6段階評定で・各質問にたいして「はい」の回答か
ら順に6,5,4,3,2,1点と得点化された。③、④は「はい」か「いいえ」の2段階評定 で「はい」が1点、「いいえ」が0点と得点化された。
結 果 と 考 察
教師効力感尺度29項目を因子分析にかけた。主因子法により因子を抽出し、固有値の変化を見 たところ、3.91,3.37,2.02,1.72… であった。固有値間のギャップは第2因子と第3因子 の間で大きいと判断されたので、2因子を選択した。そして、バリマックス回転を施した。各因 子に140以上の因子負荷量を示した項目で下位尺度を構成した。第一因子に9項目、第二因子に
6項目が残されれ残された15項目で再度・一因子分析を行っれ結果が表1に示されてい孔い ずれの項目もいずれかの因子に.40以上の負荷量を示している。第一因子は寄与率が22.60%で、
nO.19「子供達の成績が良くなったときには・自分の教え方が良いからだと思うことが多い」と かno.21「子供が算数(数学)の新しい概念をすぐに習得できたとしたら、それは自分の教え方 が順序だっていたからだと思う」などの項目が比較的高い負荷量を示していることから、これま での研究に沿って「個人的な教授効力感」因子と命名した。内容的には、教師として子供達をど のくらいうまく教えることができるのか・という信念を測定してい孔ただし・no.28のように どちらかといえば第二因子に近いような項目も入っている。これは恐らく、自分についての教授 効力と一般的な教育(教師)についての効力が質問文の主語(前者は自分、後者は教師など)に
よって判断できるようになっているが、質問文の主語を正確に読まなかったり、「教師」という 表現を一般的な教師ではなく自分のこととして解釈してしまったりしたために起きたものと考え
られる。
第二因子は寄与率が17.53%で、no.5「もし、教師に適切な技量とやる気があれば、扱いにく い子供でも指導することができると思う」とかno.16「子供の成績は、家庭環境に大きく左右さ れるため教師の力は極めて小さいと思う」などの項目が比較的高い負荷量を示していることから、
「一般的な教育効力感」因子と命名した。内容的には、教育が子供達にかなりの影響力を及ぼし うるという信念を測定している。しかし、no.12やno.15のようにどちらかといえば第一因子に関 係しそうな項目も含まれており、先にも説明したとおり、質問項目における文章表現の明確化が 必要セあろう。
表1 教育効力感尺度の因子分析結果
第1因子:個人的な教授効力感因子(α=.η)寄与率22.60%
19子供違の成績が良くなったときには、自分の教え方が良いから だと思うことが多い。
14子供がいつもより良い成績を取ったときには、自分がより良い 指導をしたからであると思う。
21子供が算数(数学)の新しい概念をすぐに習得できたとしたら、
それは目分の教え方が順序だっていたからだと思う。
1子供がいつもより良い行いをしたとき、自分が少し余計に努力 したからであると思う。
28ある子供が進度の遅いグループに入って、顕著な成績の伸びを 見せたとしたら、それは教師がその子に特別な配慮をしたから だと思う。
3子供が家庭でよりも学校での方が良い子であると親が報告する とき、それは自分が教師としてその子をうまく指導したからだ と思う。
7自分はどんな学習上の課題にも対処できる十分な訓練を受1ナて いると思う。
25子供があれているとき・どうすればその子を落ち著かせること ができるかわかる。
29子供が宿題をやれなかったときには、その宿題の難しさのレベ ルを正確に把握できると思う。
因子負荷量 .79
.75
.69
.63
.62
.60
.43
.41
.40
第2因子:一般的な教育効力感因子(α=.71)寄与率17.53%
15本当に努力すれば、扱いにくい子供でもうまく指導できると思 う。
5もし教師に適切な技量とやる気があれば、扱いにくい子供でも 指導することができると思う。
一6子供の成績は、家庭環境に大きく左右されるため教師のカは極 めて小さいと思う。
17どんなに良い条件でも・子供の成績に及ぼす教師の影響力は小 さいと思う。
6家庭でのしつけができていない子供は・学校でどんなにしつけ ても無駄であると思う。
12宿題が難しくて困っている子供1こは、適切な難しさの宿題を与 えられると思う。
因子負荷員 、79
.70
一.65
一.64
一.62
.46
ふたつの因子による累積寄与率は40,13%であった。やや低いが、Cattenのスクリー・テスト
(SCree teSt)や因子解釈の点からは妥当なものと判断される。各下位尺度の平均と標準偏差は表 3に示されている。平均を各下位尺度項目数で割ってみると、個人的教授効力感が1.97、一般的 教育効力感が3,60であり、個人的教授効力感はかなり低く、一般的教育効力感は尺度のまんなか 位に位置することがわかる。教師としての教授能力はどの学生もかなり低いと自己評価している
ことが明らかである。また、下位尺度の信頼性をみるためにα係数を算出したところ、個人的な 教授効力感尺度は、77、一般的な教育効力感尺度は.71、といずれも高い信頼性が確認できた。な お両下位尺度の相関係数は.01で独立を示す。この独立性はGibson&Dembo(1984)でも、
Woo1fo1k&Hoy(1990)でも同様であった。したがって、両下位尺度は、Wooユfo1k&Hoyが
Bandura,Aの意見を聞いて指摘しているように、どちらもが効力期待を測定しているのであっ て、測定対象が一般的な教師(教育といっても良いであろう)なのか、それとも個人としての教 白雨なのかという違いがあるだけと考えられる。
つぎに教育学部生が大学で学ぶ理由尺度について、教師効力感尺度と同じ因子分析を行った。
表2 学習理由尺度の因子分析結果
第1因子:向上・同一視志向因子(一α=一88)寄与率16.03%因子負荷量
24いろいろなことが知りたいから ・79
19本当の自分を見きわめたいから .76
36目分の可能性を試してみたいから ・75
6新しいことを知りたいから ・7]
!5自分を高めたいから ・71
35自分が本当にしたいことを探したいから ・71
8視野を広げたいから .65
3教養を身につけたいから ・58
18一生つきあえる友達を作りたいから ・54
34真理を探求したいから .53
第2因子:モラトリアム志向因子(α=。84)寄与率一10.60%因子負荷量 28まだ社会にでる自信がないから ・79
27なんとなく .74
26なりゆきから ・71
2まだ社会にでて働きたくないから ・65
13特にやりたいことがないから ・60
30高卒で社会へでるのが恐がったから ・60
第3因子:エンジョイ志向因子(α=一84) 寄与率10.46%因子負荷量 39+分遊びたいから ・75
20一般にいう「楽しい大学生活」を経験したいから .70
22異性の友達とつきあえるから ・68
33自由な時間を持ちたいから ・68
41学生生活を伸ばしたいから 、68
21自分のやりたいことができるから .58 第4因子:職業(教師)志向因子(α=。85)寄与率9.34%
9教師になりたいカ・ら
12希望する職業につきたいから
5資格(教員免許など)が取りたいから 37撃を実現したいか一ら
第5因子:学歴志向因子(α=.77) 寄与率7.94%
42よい職業につきたいから
16小さいときから、大学に行きたいと思っていたから
29小さいときから、大学に行くのが当然だと思っていたから 4大学率の学歴が欲しいから
第6因子:学問志向因子(α=.77)
31大学院へ進学したいから 1専門的なことを学びたいから 25専門的な研究がしたいから 10自分の好きな勉強をしたいから
寄与率7.06%
因子負荷量 .89
.8]
.80 .68
因子負荷量 、71 .68 .68 .63 因子負荷量 .75 .68 .67 .51
主因子法により因子を抽出し固有値の変化を見たが、どの固有値間にも顕著なギャップが見当た らなかったので、4因子から8因子を抽出し、それぞれバりマックス回転を施し因子の解釈がう まくできる6因子を選択した。各因子に、.50以上の因子負荷量を示す35項目を残し、再度因子 分析を行った。その結果、no.23の負荷量が.50を割ったので、この項目を除き、34項目で3回目 の因子分析を行った。その結果、34項目は6つの因子のいずれかに、50以上の負荷量を示すこと がわかった。各因子に.50以上の負荷量を示した項目が表2に掲載されている。
第一因子は寄与率が16.03%で、no.24「いろいろなことが知りたいから」やno.15「自分を高 めたいから」に代表される向上志向と、no.19「本当の自分を見きわめたいから」やn0136「自分 の可能性を試してみたいから」に代表される同一視志向が交ざりあっている因子であることから 胴上・同一視志向」因子と命名した。7因子の抽出でもこの因子は2つの因子に分離しなかっ たためこのまま扱うこととした。第二因子は寄与率が10.60%でno.28「まだ社会にでる自信がな いから」とかno.27「なんとなく」といった項目に高い負荷量が示されていることから、「モトリ アム志向」因子と命名した。第三因子は寄与率が10.46%で、no.39「十分遊びたいから」とかno.
20「一般にいう「楽しい大学生活」を経験したいから」などの項目に高い負荷量が示されており、
「エンジョイ志向」因子と命名した。第四因子は寄与率が9.34%で、no.9「教師になりたいから」
とかno.12「希望する職業につきたいから」という項目が比較的高い因子負荷量を示しているこ とから、「職業(教師)志向」因子と命名した。教師志望がその内容と考えられる。第五因子は 寄与率が7.94%で、no.29「小さいときから、大学に行くのが当然だと思っていたから」とかno.
4「大学卒の学歴がほしいから」という項目が比較的高い負荷量を示しているため「学歴志向」
因子と命名した。しかし、表2に掲載されている4項目を見ると学歴志向ではまとめきれない面 もありこの因子のネイミングについては今後さらなる検討が必要である。ただし、内的一貫性を 推定する(下位尺度の)α係数は、77と高い値を示している。第六因子は寄与率が7.06%で、
no.31「大学院へ進学したいから」とかno.1「専門的なことを学びたいから」といった項目に高 い負荷量が示されており、「学問志向」因子と命名した。
各因子に.50以上の因子負荷量を示した項目(妻2参照)によって下位尺度を作成した。各尺 度のα係数は表2に示されているが、低くて.77、高くて、88であり、十分信頼性が認められる。
なお、6因子による累積寄与率は62.26%であった。下位尺度の平均と標準偏差は表3に示され ている。1項目当たりの平均を算出してみると、因子番号順に2.06,1.00,!、70,2.25,1.62,
1184であった。職業(教師)志向と向上・同一視志向が高得点であり、モトリアム志向が極端に 低い。学部の全体的傾向としては好ましいと言えよう。
この尺度はすでに桜井(1991)によって主に一回生を対象として、因子分析が試みられている。
その際の結果と比較すると、因子数がひとつ増え(5っから6つに)、古い2つの因子が一つに なり(向上・同一視志向因子に)、新しい2つの因子(エンジョイ志向因子と学歴志向因子)が できた。これは恐らく、先の研究では調査対象がほとんど一回生であったが、本研究では調査対 象が一回生から四回生まで広げられ、特に三回生が一回生とともに半数程度を占めたためと考え
られる。今後は全回生を対象に安定した因子を抽出する研究が必要であり、また、それにより一
回生から四回生までの発達の様子を明らかにできるであろう。
表3 諸変数の相関マトリックス
教師効力感 教育学部で学ぶ 理由 質問項目
a ・
b I lI 皿 IV V W ① ② ③ ④ ⑤ .M ∫D く教師効力感尺度>8蜘曼効力感
b教 感
.01 .13 一 .一5
.08 .08 .18, .20・
一、09,02 .20.一.05
.16 .08 .14 .11
.06 .23・・ .24..一.一9・
、21, .1列 36,26 6.31
.一2 .24・, 一4.4, 4.12
〈教育学部で学ぶ理由尺度>
I向上・同一視志向 一 皿モラトリアム志向 皿エンジョイ志向 w真業(徴師)志向 V学鹿志向
㎜学問志向
.27・・一.08 ,22・.
一 .3τ.,一.37..
一 .05
21. .50,,一.O1 .11 一.03 .13 .13
40..一.22..一.一5 一.20・ .一2 一.17. 一.34.,
53・・ .OO 一.10 .05 一.00 一.03 一.OO OO ,35,・ .22,・ .35.. .09 ,30・・ .77・・
一 .14 一.09 一、01 .27.,一.08 一.04
一 .18, .19. .04 .26・. .23・・20,61 6.O,
lO.17
9.O1 6,47 7.355,70 4,32 4,19 3,27 3,26 2.74
〈質問項目>
⑪教師に好意を感じた
②教師に向いていると言われた
③親が教師である
④恩師がいた
6徽百Eになりたい
.21.一.05 一 一.12
.38・. .24..
.04・ .44・・
一.03 .lO
一 .15λ.T2
2,63 0,13 0,72 2.47
1,27 1,55
0,34 0.45 一.63
..ヘく.01 .力く.05
表4 5つの質問項目における島群と低群の教師効力感の比較
個人的な教師効力感 一般的 な教育効力感 。
質問項目
質間島群 質間低群 質間扁群 質問低群MM(3D)MM(8D〕; MM(∫D)M〃(∫D)i
o)獅 二i子息を感じた
②敦帥二向いていると 言われた
③家が教翻である
@鳳師がいた
㈱日iになりたし、
82
8−
19
−03
84
18.41 (6148) 13
18109 (6.72) 23
19.58(6.01)125
18.5τ (6.Oτ) 41
i8,44 (6.03) 24
16.23 (τ.41)
15.30 (5150)
17.46(6.三8)
一5.63(6.32〕
15.92 (6.65)
1.09 82
Lτ柵 81
1.38 19
2.τ4.・ 103
1.81+ 84
22.52 (3.77) 13
22.40 (4.40) 23
19,63 (3.20) 125
2一.89(3.99) 41
22.36(4.29) 24
21.46(4.89)
19.96(3.39)
21.89 (4115)
40.83 (4.30)
19、τ1 (3.90)
、89
2−35・
2−27・
1,45
2.τ9
注)事目①、②、⑤は、6点か5点であつた人を島群、1点検・2点であつた人を低詳とした。
コく.01 カく.05 斗クく.10教師効力感に関連する5つの質問項目の平均と標準偏差は表3に示されている。質問③,④は
「はい」を1点、「いいえ」を0点にしている。具体的な人数は、質問③では「はい」が19名、
「いいえ」が125名である。質問④では「はい」が103名、「いいえ」が41名である。
これまでの下位尺度および5つの質問について相関マトリックスを作成した。表3に結果がま とめられている。この表の中で、質問③および④との相関係数は点二系列相関係数であり、残り の大多数はピアソンの積率相関係数である。また、表4には5つの質問で島群(6段階評定で5 点と6点の者であり、2段階評定で1点すなわちrはい」と回答した者)と低群(6段階評定で
1点と2点の者であり、2段階評定でO点すなわち「いいえ」と回答した者)に分けて、教師効 力感を比較した結果が示されている。
まず教師効力感と学習理由との相関を見ると、職業(教師)志向の者は二つの教師効力感が高 く、学歴志向の者は個人的な教授効力感が高いといえる。また、教師を希望している者(質問⑤)
は、相関係数では一般的な教育効力感が高く、表4のt検定では個人的な教授効力感(ρ<.10)
も一般的な教育効力感(ρ<.01)も高い傾向にある。職業(教師)志向の者と質問⑤の教師に なりたい者がほぼ同じ者である(r=.77)とすると、この結果は前述の結果とかなり対応してい る。これらは望ましい結果といえよう。学歴志向と個人的な教授効力感との正の相関はこれまで のところどのような理由により有意になったのか明らかでない。
つぎに、教師効力感と5つの質問との相関および士検定の結果を見ると、教師に好意を感じた 者、教師に向いているとよくいわれた者、将来教師になりたい者は一般的な教育効力感が高く、
逆に親が教師である者はこれが低い。一方、恩師がいた者、<教師に向いているとよく言われた 者>、<将来教師になりたい者>は個人的な教授効力感が高い(< >内の者は傾向水準)。こ
れらも親が教師であるかどうかという項目を除き、ほぼ予想した結果である。親が教師である場 合、その息子あるいは娘の一般的な教育効力感がそうでない者よりも低いという結果は予想に反 するものであっれこれは・親が教師である者はその親を教師としてよく見ており・教師による 教育の限界をかなりシビアに受け止めているのではないだろうか。だからといって、親に教師を
もつ者が教師になりたくないというのではない。むしろ質問③と⑤の相関が.10であり有意では ないが正の相関であること、親が教師か否かで2群に分け、将来教師になりたいかどうかの得点 を比較したところ、親が教師の者の平均は3.95(SD=1.10)、そうでない者は3.46(SD=1.68)
で亡検定の結果(t(142)=1.23,〃8)は有意ではなかったかが、どちらかといえば親が教師の 者の方が教師になりたがっていること、などより親が教師の者の方が教師を希望している傾向が 認められるのである。やや好意的にみるならば、教師を親にもつ者は教育の限界をよく知ってい
るが、それでも教師になって頑張りたいという希望をもっているのではなかろうか。
その他、表3より特筆すべきことを上げておこう。モトリアム志向の者は教師になりたい傾向 は低く、教師に向いていると言われた経験が少なく、恩師がいなかった傾向が高い。しかし、彼 らはそれでも教育学部へ入ってきたのであるから進路決定には複雑な要因が介在していたものと 考えられる。学歴志向の者には親が教師である者が多い(r=.27,ρ<.01)。この点はよく分か らない。学問志向の者が職業(教師)志向の者と5つの質問との相関が同じパターンを示すこと
は好ましいことである。なぜならば、これからの教師は大学院で勉強するくらいの意気込みが必 要であると予想されるからである。学問志向と職業(教師)志向の相関が.35であり、両志向は ある程度重複している。その他、5つの質問の問で、先生に好意を感じていた者や教師に向いて いるとよくいわれた者が比較的教師になりたいと思っており、この結果は日常的な直感を裏付け るデータといえる。
表5 各変数における1回生と3回生の比較
1回生(68名) 3回生(60名) (126)orゴ(1)
〃 ∫o 〃 ∫D
〈教師効力感尺度〉
a個人的な教授効力感 b 般的な教育効力感
一9.10 5158 22,26 4.06
16,55 6,64 2.41 20,90 4.2 1 1.89+
く教育学部で学ぶ理由尺度〉
I向上・同一視志向 1Iモラトリアム志向 1IIエンジョイ志向 w融業(教師)志向 V学歴志向
w学問志向
22.一2 4,71 5,34 4.10
10,21 4,19 9,84 2,896,59 3,30 7,82 2.30
19,07 6,33 7,07 4,56
9,77 4.l0 8,18 3,40
6,43 3,26 7,10 2.86
3.16
2.29
.61 3.03
.28 1.60
く買悶項目〉
①教師に好意を感じた 3.56 し25 3,33 1,32 1.05
②教師に向いていると言われた 3,44 1,57 3,30 1.55 .59
③親が教師である 11(はい) 57(いいえ) 7(肌1) 53(いいえ) が(1)=.54
④恩師がいた @ 53(出1) 15(いいえ) 39(帥) 21(いいえ) パ(1)!2.64
⑤将来教莇になりたい 3,91 1,44 3,07 1,69 3.ll
..力く.Ol ・クく.05 +ヵく.1O
つぎに一回生と三回生の比較を行った。結果は表5に示されている。教師効力感ではいずれの 下位尺度でも一回生の方が高い、あるいは高い傾向にある。これは教育実習を終えたばかりの三 回生は教育指導のむずかしさを実感しており、その影響が特に個人的な教授効力感に現われたの ではないだろうか。教育学部で学ぶ理由については、向上・同一視志向、職業(教師)志向は一 回生の方が有意に高く、一方、モトリアム志向は三回生の方が有意に高かった。職業志向に関す
る結果は質問⑤における結果と軌を一にしている。明らかに一回生の方が望ましい傾向である。
三回生は3年間学部で学ぶなかで、教師になることを諦めたり、向上しようとする気持ちを失っ たりして、次第にモトリァム傾向を強めたのであろうか。5つの質問項目については、先に述べ た将来教師になりたいかどうかという質問の回生差以外に有意な差は認められなかった。
今後の研究課題としては、以下の3つが重要であろう。ひとつは、教師効力感尺度の充実であ る。質問項目が原文の日本語訳であるため、不適切な項目や、2つの効力感のどちらに入るのか はっきりしない項目もある。わが国の教師効力感を測定する独自の尺度へと改善する必要があろ う。また、今回は1回生と3回生が主たる調査対象であったが、教育学部生用の尺度としては1 回生から4回生を対象とした調査が必要であろう。さらに、今回は因子的な妥当性しか検討でき
なかったが、今後は基準関連妥当性や構成概念的妥当性なども検討しなければならないであろ
う。
二つ目には、上記尺度を用いて、教育学部における学生の教師効力感を入学から卒業まで縦断 的に検討することである。今回は、1回生の方が3回生よりも教師効力感が全般的に高かったが、
横断的な研究のため個人内の変化はとらえられていない。どのような発達過程を経るのか興味深 いところである。
三つ目には、教員養成課程における重要な課題である「教育実習」の効果を教師効力感を指標 に検討することである。
<付記>本研究の実施に当たっては、田中秀明君、中西操さん・生水智子さんの協力を得れ記 して心より感謝する。
引 用 文 献
Ashton,P.T.1985Motivation and the teacher s sense of efficacy. In C.Ames&
R.Ames(Eds.),月e5eαrcん。πmo亡{リα士{oπ加eぬ。αれ。η=γoエ.2.肋εc〜α8sroo㎜
me〃α(pp.141−174).Or1and,FL:Academic Press.
Bandura,A.1977se1f−efficacy=Toward a unifying theory of behavior change. P8ツ。ん。−
J08{cα正月eU feω, 84, 191−215.
Gibson,S.&Dembo,M.H.1984Teacher efficacy=A construct va1idation.J㎝用α王。∫
亙dαcα鏡。ηα王P8ツ。ん。王。gツ, フ6,569−582.
桜井茂男 1991教育学部の学生が大学で学ぶ動機・理由と社会的不適応の関係 奈良教育大学 教育研究所紀要,27,123−130.
Woo1fo1k,A.E.&Hoy,W.K.1990Prospective teachers sense of efficacy and be1iefs about contro1. Joαrπo oゾ亙dαcαt{o〃α王Psツ。ん。王。gツ,32,81−91.
<付録> 教師効力感尺度の項目
1.子供がいつもより良い行いをしたとき、自分が少し余計に努力したからであると思う。
2、教室で過ごす時間は、家庭で過ごす時間に比べて子供に及ぼす影響は少ないと思う。(*)
3.子供が家庭でよりも学校での方が良い子であると親が報告するとき、それは自分が教師とし てその子をうまく指導したからだと思う。
4.子供の学習量は、主にその子の家庭環境に依存すると思う。(*)
5、もし教師に適切な技量とやる気があれば、扱いにくい子供でも指導することができると思
う。
6.家庭でのしつけができていない子供は、学校でどんなにしっけてもむだであると思う。(*)
7.自分はどんな学習上の課題にも対処できる十分な訓練を受けていると思う。
8.教員養成課程での授業や経験は、有能な教師に必要な技能を与えてくれたと思う。
9.多くの教師は、社会からの支援がないために、子供への援助ができないでいると思う。(*)
10.学習能力に応じて、進度の遅いグループに入れた方がよい子供もいると思う。
11.教師の力量は、子供の成績を左右すると思う。
12.宿題が難しくて困っている子供には、適切な難しさの宿題を与えられると思う。
13.ある問題をどうしても解けない子供がいたら、その子がやる気になるまでは、教師が何をし ても無駄であると思う。(*)
14.子供がいつもより良い成績を取ったときには、自分がより良い指導をしたからであると思
う。
15.本当に努力すれば、扱いにくい子供でもうまく指導できると思う。
16.子供の成績は、家庭環境に左右されるため教師の力は極めて小さいと思う。(*)
17.どんなに良い条件でも、子供の成績に及ぼす影響力は小さいと思う。(*)
18.子供たちが特にあれているときには、自分がそれまでにしてきたことを反省する。
19.子供たちの成績が良くなったときには、自分の教え方が良いからだと思うことが多い。
20.校長の指示でカリキュラムの一部を変更したような場合でもそれをうまく実行することがで きると思う。
21.子供が算数(数学)の新しい概念をすぐに習得できたとしたら、それは自分の教え方が順序 だっていたからだと思う。
22.面談で、親の教育・しつけなどに関する考え方を聞くと、教師はその子に対する親の期待を 判断しやすくなる。
23.親が子供のためにもっと多くのことをしてくれるとしたら、自分も子供にもっと多くのこと をしてやることができると思う。(*)
24.前回の授業の内容を覚えていない子供に対して、次の授業ではどう指導したらよいかがわか
る。
25.子供があれているとき、どうすればその子を落ち着かせることができるかわかる。
26.学校についての政策や規則は、教師の仕事を妨げている思㌔(*)
27.子供への影響から判断すると・家庭での経験より学校での良い教育の方が大きいと思㌔
28.ある子供が進度の遅いグループに入って、顕著な成績の伸びを見せたとしたら、それは教師 がその子に特別な配慮をしたからだと思う。
29.子供が宿題をやれなかったときには、その宿題の難しさのレベルを正確に把握できると思
う。
30.有能な教師でさえ、多くの子供を伸ばすことはできないと思う。(*)
注)(*)は逆転項目を示す。