合田 :英 語の リスニ ング
英 語の リス ニ ン グ 教授法 の 輪 郭
合 田 吉 孝
1. は じめ に
大 学設 置 基準の 改正 を受 けて、平 成 4年4月か ら 英 語 (II)を開 講 した。 英 語 (II)と は リス ニ ング演 習 を 主体 とした半 期 科 目であ る。 半 期 (15週 ) とい う非 常に短い期 間に果た して こ の リ
ス ニ ン グ演 習が学習効 果 を もたらすの か、 導入の 責 任 者 として重い 厂立 証責任」を背負 うこと
となっ て 3年が 経 過 し た。
2 .英 語(II)の 導入につ い て
英語(II)に対 して、 英 語 (1)は講 読 を 中 心としたもので、英語(II)は リス ニ ン グを 中心 とし、 そ れ ぞ れ 1単 位の 半 期 科目で あ る。 こ こ に至 るまでに特 色 ある教養英 語の 確立 を 目指 し、共 通 テ キス トを作 成 し、読 解 演 習 などの測定と評価 を 試み て きた が 2年ほ ど で瓦 解 し、特 色 と な る
までに は至 ら なかっ たの であ る。
1985年に視聴 覚 教 室 (定 員120名 ・階 段 教 室)が 設 置 さ れ、そ の こ ろ時を 同 じ く し てピッ ツ ァ ・カ レ
ッ ジ との 交流が は じま り英 語 英 文 科 以 外の家政 ・児童 ・美術 科の学生 も参 加できる海 外研修制度が発 足 し優 秀 な 学 生に は 助成 金が交付さ れ たの である。こ の ため筆 者の ク ラス で、
こ の 教 室を活用 し、視 聴 覚 教 育 を実 施 して き た。その 後、 英 語 (2単 位 )のなか で前 ・後期に 講 読クラス および リスニ ン グ ・クラス の二つ の グル ープ を作り、前期に 講読 を履修 した ものは 後 期に リス ニ ング を履 修 する とい うシス テム を取っ た。これ は 単 位 認 定の 際、さ ま ざ ま な問題
が発 生 し、矛盾を 抱 えて の試 行 錯 誤が続い た。早い機 会に 独 立科 目として認 知 されること が急 務であっ た が、時が 流 れ平 成 3年 を終わっ た。 大 学 設 置 基 準 改正後、コ ン セン サスを得て 念 願
の 教養英 語の カ リキュ ラム の改 定となっ た。こ れに よっ て英 語 (1)、これ までの 英文読解を 中 心とした もの と、英語(II)の リスニ ン グの二 本 立て となり、学 生は前 期 ・後 期にそ れ ぞ れこ の
い ずれ かを履修 するこ と になる。単位は、 い ずれ も1単 位で、卒 業 要 件として合わ せ て 2単位
が必 要となる。
こ の導入 に関し て、理 想的な カ リキュ ラム として は、 「聞 く ・話す」の導入 であろ う。 しか し、 「話す」ことにつ い て は少人数ク ラス の 編成、外国入 教 員の 確 保、それ に伴 う人件費など
の 諸 問 題があり、英 語 英 文 学 科 な らい ざし らず教養英語に おい ては実 現が難 しい 。した が っ て
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「話す」こ と につ い て は導入 を 断 念 し、 「リス ニ ン グ」を 採択したの で ある。
リスニ ン グの採 択につ い て は、 『わ が 国の英 語 教 育に関 する実 態と将来像の総合的研究』の
な かの 「英 語 教 育の 目的」におい て、 「学生 が受け た読解 授 業で は、英 文 和 訳の授 業が55.0% で、彼 らが望む 「聞 く・話 す 」 授 業は ほ と ん ど行わ れず (35.6%)」山 との調 査 報 告が あり、 学 生が希 望 するもの を可能な範 囲で実現 し て みよ うとの姿 勢であ る。
リスニ ン グにつ い て は、 「コ ミュ ニ ケーシ
ョ ンの 目的 を達 成する た めには、話さ れ る言 葉(spo −
ken language)を理 解 するよ うに教 え る とい うこと が、 最 も重要な問 題となって くる」c2〕 と
か、 「Asher (1969:3−17)は、外国語 学習 に与 え られてい る時 間 を考慮す る な ら、4技能
のすべ て に習 熟 するこ とを目指すの は非 現 実 的である と述べ 、実際の 指導で は、他 技 能の 転 移
の面で最 も効 果の 高い リス ニ ン グ を 中 心にすべ きで ある と主張 し てい る」〔3)などの 意 見が あ る。 さ ら に、リスニ ン グを十分 訓 練するこ との 利 点に つ いて、 「 リス ニ ン グに集 中 すること で言 語 体 系の理解が容 易にな る ス ピーキン グの 訓 練の前に十 分 な リスニ ン グの 力 を身につ
けて お くこ と は、 学習者の 心理的 負 担 をや わ らげ る ス ピーキン グ中心の 授業に比べ て学 習 時間の 効率が高い communication gap を効果的に配 した リス ニ ン グは、学 習 者に とっ て 潜 在 的コ ミュ ニ ケーシ
ョ ン である 視 聴 覚 機 器が利 用で き る可能生 は、スピーキン グ中心の 指 導に比べ ては るか に高い リス ニ ン グ中心 の学習 は、教 室に おける以 外に、自習の形で応 用 すること が容 易であ る」田 と 実 践 面 を含めて の指 摘が ある。
以 上の よ う なこ とを総 合 的に判 断 し、導入 に踏み 切 っ たの で あ る。な か で も実 践 面の柱とな る 「視 聴 覚 機器の利 用」であ る が、な に よ りも視 聴 覚 教 室の存 在が大 きい。これによっ て6e〜 90人の ク ラス を編成で き るこ と と なっ た。現 行の英 語(II)IJスニ ン グの 演 習の 実 現は、こ の教
室 な くば不 可 能であっ た と思 う。 実 践 面に 関しての態勢が確立 さ れ てい る こ と が、導入にお け
る最大の要 因である が 、授 業を サ ポー トする情 報 処 理セ ン ターお よび視 聴 覚 学 習セン ターに お
け る個別学習の 存在 も大 きい。
教 授 陣につ い ては、 2名の専任教 員が、一方が講 読、他 方が リス ニ ン グ を担 当 する。講 読の 分 野 は、専任 教 員 (1名 )および非 常 勤 講 師 (2名)の教 授 陣となる。これ に対し て、11スニ
ン グは、全 貝 同一内容の演 習で、専 任 教 員 (1名)お よ び非常勤助手 (1 名)の 計 2名で半 期
に約360名の受 講 生 を指導する。こ の 理 由は、受 講 者 全 体の演 習 状 況 を把 握 し、客 観 的な評 価 がで き る とい う体 制が不 可 欠との基 本 方 針か らで ある。 ユ ニ ークであ る が 同時に変 則 的な形 態
であるこ と は確か であ る。と りわ け、リスニ ン グ は半 期で何が で き るの か、 が 問 わ れ る、重い 課 題 を担っ たの で ある。 こ の結果に よっ て は中途 半 端 な 科 目とい う誹 り を受 け る 可 能 陸が高い
こ と は否定で き ない 。教授 者は導入 の妥 当 性 ・学習効果な どにつ い ての 「立証責任」とい う命 題 を 背 負 うこ とに なっ たの で ある。 この 「立証責任」を果たすため に、データー分 析 ・管理が 不可欠である が、前 述の 情 報 処 理セ ン ターの 存 在が大 きい
。 く わえて1990年に 発 足 し た視 聴 覚 学 習セン ターも個 別 学 習の場 として、学 習 補完の 面で重大な役割を果た し てい るこ とを付 言 し
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3. リス ニ ン グ演習の 内容
1985年に視 聴 覚 教室 が設置 さ れ て か ら数々 の演 習 プロ グ ラムを作っ て き た が、い ずれ も帯に 短 したす きに長 しであっ た。試 行 錯 誤の 結 果、現 在でもそうである が、1990年 頃から 骨 格がで
き現 在に至っ てい る。現 行の 学 習プ ロ グラム は下 記の 表の よ うになっ てい る。当初は、音 声 識 別な どの 問題 を入 門として用 意 して い たのだ が、単 調 な もの で ある た め学生 が退 屈 を覚 える様 子が見 受け ら れ た。 また、時 間 的な問 題 (15週)も あっ て内 容 把 握 問題に変 更 したの である。
プ ロ グ ラム (1)に先 立っ て授 業 内 容の 説明 をする。引 き続い て診 断 的テス トを第一回 目の 授 業
に実 施 す るこ とは 発 足 以 来の 継 続 事 項である。
レベ ル 発 話ス ピード 問 題 形 式 問 題 数 学 習 回数 期待値
プロ グ ラム (1)
説明入 門 slow 真偽 160 2 70 〜80
プロ グ ラム (2)
初級 slow 真偽
多肢 選 択
840 35 60 〜70
プロ グ ラム
(3)
中 級 normal 多肢 選 択 270 3.5 40 〜60
プロ グラム
(4)
初 級 slow 多 肢 選 択 350 3.5 60 〜70
以 上の 表が示 す よ うに か な りな 問 題 数である。これ は 「生理 的に可能なか ぎ り、 多くの問題 で ブラシュ ・ア
ッ プする」を教 育 方 針 としてい るこ と による。各プ ロ グラム で 用意さ れ た質問
の解答はすべ て解 答カー ドに記入 さ れ、情報処 理セ ン ターにお くら れ 解 析 される。こ の 方 式に
つ い て は異論 もある と思うが、 漠 然と聞くの で は な く 「集中して聴 く」た めの手 段 として採 用 してお り、譲 歩で き ない学 習の基 本 方 針である。
3− 1 プロ グラ ム (1)につ い て
プロ グラム (1)は 文字 通 りの入門 編であっ て、 短 期 大 学生がやるべ き もので はない が、耳 を
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慣 れ させ る とい う意 図で設 定 されて い る。 内容は、中 学 校レベ ル の 3語か ら5語 程度の文であ る。 書か れ た もの で あれ ば、20分ほ どの時間制限であっ た と し ても、全 員 満 点に近い もの とな る はずである。 目標期待値は平均70〜80に 設定し てい る が、この 数値を ク リア で きず、演 習の 平 均 点は56点である。こ こ で 「聴い て」 「チェ ッ ク」「記入」 とい う三位一
体の リ ズムを 形 成 す
るよ うに指導をするが 、初めて の授 業で もあ り、と り わけ 前期受 講 生は入学 直 後で もあり、緊 張の た め肩に力が 入 り自然 体に な ら ない の である。早 急に、学 生そ れ ぞ れ が個々 の リ ズム を作 るこ と、聴 く前に頭の 中 を 「無 」に するこ とを、た とえば、 「コ ッ プ を空の状 態にする」{5) ように。 水が一杯入
っ た状 態では水は 溢 れ る と、助 言する。 ま た、 「聴 く」こ と につ い て、 傾 聴 すべ き提 案が ある。 「150億 以 上の神 経が集まっ てい る 脳 に人 肌ぬい で も らっ て、まず、ス イッチの役 目 を して も らうの です。集 中しな け れ ば な ら ない ときに はス イッ チ を切 り替 えるこ とを頭の中で し ま す。ス イッ チは上 下に切 替が できて、上の方は自 己 防 禦 力 (注 意 分 散 的 )、 下は集中 力 (注意集中 持 続 的)をつ か さ ど る とし ます」[S]とい うもの で ある。 受 講生 そ れ ぞ れ が 頭 の 中にス イッ チ を設置する。 問題 を聴 く と き は、 ス イッチ を 下 げ、質問と質問の 間 は、
スイッ チ を上 げて、緊 張 を弛め る。 こ う した切 替 を 習 慣 的に、あるい は無 意 識に で きることを 必 要とし、会 得せ よと強 調 する。
3− 2 プロ グラム (2)につ い て
プロ グラム (2)はLesson 1 −30で構 成 され、さ らに最 終 過 程でReview Test (80問 )が用 意 さ れたもの で、真 偽 (70% ) と多 肢 選 択 (30% ) 方 式で ある。
こ うし た真 偽テ ス トにつ い て、 「Simpson, Emery, Lockeなど は、日常 会 話での話し手の意 図 や 意 見の成 否 を的 確に判 断で き る 力 を リスニ ン グカ と考 えて、その ために は真 偽 法 テス トが 最適 である と活用 を薦め てい る。 た とえば、 ‘
the sun rises in the west ’
はFalseで あ り、 ‘
A
square has more sides than a triangle’ はTrueである との判 断は、ネ イティブス ピーカーに
は何らの た め らい もな くで きる。 外国語学習者が ど の程度まで ど の判断力に近づ ける か をみ る
のがTrue/Falseの ね らい だ とEmery は考え る。 問題作成上の留意点 は、 過度に専 門 的で難 解にな ら ない こ と、TrueかFalseの 二者 択一
方 式で は能 力の判 定に信 頼 性 を 欠 くこ とか らT/ F 用 の カテゴ リーとして は、準科学 的な 内容、地 域特有の内容の 2つ だけにすべ きである」ω
とある。以上の ような 理由で プ u グラム (2)に採 択 し てい る が、真 偽の 数もほ ぼ 同数で真 偽の 排 列 も適切である と考 える。また、い ろい ろ な条 件 を含む長い 文は不適切 との 意 見 もある。こ
の 中に は、 た と え ば、 ‘lf you cut your finger, will it bleed?’ とい うような質 問 も ある が、 記 憶 域の指 標か ら判 断 し妥 当 性に欠 け る ものでは ない 。 こ の演 習の平 均は52.8点で、目標 期 待 数値に到達し てい る。
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