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と中央アジア 一欧州近隣諸国政策を超えて

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(1)

1 1 1

EU と中央アジア

一欧州近隣諸国政策を超えて

蓮 見 雄

The EU a nd l a r t n e C a A s i - beyond e h t European Neighbourhood y c i l o P

Yu H u m i a s

【キーワード】エネルギー,パイプライン,ナプッコ, INOGATE, トルクメ ニスタン

【要旨】

ソ連崩壊後の中央アジア諸国の独立に伴って,中央アジアの資源は世界に開

かれた公開市場となった.その結果,中央アジアは,資源や影響力の確保をめ

ぐって欧・米・中・ 露の利害が交錯するアリーナとなった.近年, EU は,対

中央アジア政策を強化しているが,この動きは,単にエネルギー衰源を確保し

ようとしているばかりではなく,自らの規範パワー e i v a t r m n o ( r ) p o w e に

目党めた EU が欧州近隣諸国政策対象諸国を越えて,さらにその政治・経済的

影響園を拡大しようとしていることを示している.だが,共通価値への収紋を

コンディショナリティとして課そうとする EU は,中央アジアにおいてビジネ

スと規範のジレンマに直面しており,そこで展開されている「グレート・エネ

ルギー・ゲーム」において劣位に立たされている.

(2)

目次:

はじめに 1

. EU の拡大と中央アジア 2

. EU と中央アジアの経済関係の非対称性 1) 中央アジア諸国経済の概観

2) 出稼ぎ労働者の送金

3) 中央アジア諸国の経済危機からの回復とロシア,中国のプレゼンス 4) EU と中央アジア諸国:貿易構造に見る非対称性

3

. EU の対中央アジア政策の展開 1) EU の対中央アジア政策の強化 2) EU の対中央アジア支援 4

. EU エネルギー安全保障政策と中央アジア

1) エネルギー資源を「持たざる国」の水資源をめぐる問題

2) エネルギー資源を「持てる国」をめぐる「グレート・エネルギー・ゲーム」

3) 輸入化石燃料に依存するヨーロッパと EU 対外エネルギー政策の展開 4) INOGATE

5) EU の中央アジアエネルギー資源への接近 6) ナプッコとサウスストリーム

7) 「グレート・エネルギー・ゲーム」とトルクメニスタン 5

. 中 央 ア ジ ア を め ぐ る EU の ジ レ ン マ ー ビ ジ ネ ス . s v r 規範パワー」

付属資料

(3)

EU と中央アジア----ID.1+!;i!i~~OOi!XJff~m;_

r - 3 1 1

EU と中央アジア

一欧州近隣諸国政策を超えて

蓮 見 雄

はじめに

ヨーロッパから見た場合,中央アジア諸国は,

EU

の加盟候補国・潜在的加 盟 候 補 国 や

EU

が 欧 州 近 隣 諸 国 政 策

(ENP=European Neighbourhood - P o l i

c y

)

の対象としている国々

1

の さ ら に 外 側 に 位 固 し て い る ( 図

) . 1

こ の 中 央 アジア

5

カ国に対して,近年,

EU

は外交政策を強化しようとしている.一つ の理由は,ロシア・ウクライナのパイプライン紛争を契機とした

EU

レベルで のエネルギー政策の強化の一環としてエネルギー供給先の多角化という課題に 対処するためである.

加えて,近年

EU

が重視するアジア市場,特に中国市場へのアクセスを考え る上で,中央アジアは陸路の交通の要衝という重要な位置にある.現在,

EU

と ア ジ ア 太 乎 洋 地 域 間 の 貿 易 は , ほ ぼ 全 て

(99%)

船舶によるものである.

2 0 0

7

年に

0 0 0 , 1

万 の コ ン テ ナ

(TEU

りがアジアからヨーロッパヘ,

0 0 7

万のコ

l

加盟候補国:クロアチア.マケドニア・

1

日ユーゴスラビア. トルコ.潜在的加盟候補 国:アルパニア,モンテネグロ.ポスニア・ヘルツェゴヴィナ,セルピア.欧州近隣諸 国政策対象国:アルジェリア,アルメニア.アゼルバイジャン,イスラエル.ウクライ ナ,エジプト,グルジア.シリア,チュニジア.パレスチナ自治政府.ペラルーシ.モ ルドヴァ.モロッコ. ョルダン.リビア.レバノン.欧州近隣諸国政策は,

EU

と対象 国のパイラテラルな関係を甚礎としているが,その後.黒海シナジー

7 0 0 2 (

年),地中海 連合

8 0 0 2 (

年),バルト海地域プログラム

3 1 0 2 - 7 0 0 2 (

年,

EU

の域内地域政策との連携)

と地域的にグループ化されている.

2

TEU=twenty-foot t n e l a v i u q e , t i n u 0 2

フィートコンテナ換算.

(4)

図 1

E U

と中央アジア

回盟ド入ド水廿

□ □

] ~

. /

・ ・ -

回蕊芸撒溢回盟毬点ま函

囲悪幽甜翌塁突

e 品 ■

昌 砿 顎 呉

.

回顎呉

n

nLU

(5)

EU と中央アジア----ID.1+1 i!i ~ OOi Xm~ U.

c - 5 1 1 ンテナがヨーロッパからアジアに輸送された.これらは, 5 1 2 0 年にはそれぞれ 2

, 6 1

0 万 T E U , 0 7 7 , 1 万 T E U に増加すると予想されているが,スエズ運河の コンテナ輸送能力の限界は近く,陸路を使った輸送が必要になる ( E m e r s o n a

n

d V , k u r o v i n o , 9 0 0 2 5 . p . 3 )

しかし,エネルギー資源の埋蔵量や輸送の困難を考えれば,中央アジアのエ ネルギー賽源は, EU のエネルギー安全保障政策にとって重要だが,選択肢の 一つに留まる.また,中央アジアは,ユーラシアの交通回廊の要衝としての潜 在性は高いとは言え,信頼できる輸送ルートとなるには,インフラ投資や当該 地域の政治・経済的安定を図ることが必要である.

同時に忘れてならないことは,中央アジア諸国が,エネルギー資源を始めと する経済的利害にとどまらず,テロ,麻薬,移民などの安全保障上の問題を含

中・露がせめぎ合うアリーナだという点であ る , v a n o s e a s ( K , 8 0 0 2 . ) 5 - 3 . p p

以上のような様々な要索を考慮すれば, EU の中央アジアヘの積極的な関与 は,単にエネルギー査源を確保しようとしていることに留まらない.後述する ように,それは,冷戦終焉を画する第 5 次拡大後,「規範パワー v e a t i r m ( n o

p o w e r

) 」 ) 8 0 0 2 , i c c o T ( を明確に自党するようになった EU が,「規範の外交 政策アクター」として振る舞い,その政治・経済的影響圏を拡大しようとする 試みの一例と考えることができる. EU は,加盟という手段を封印しつつ,

EU との「価値の共有」と「共通の利益」を基礎に近隣諸国の安定化を図る枠 組みとして欧州近隣諸国政策 ( E N P ) を打ち出したし中央アジア諸国は E N P の直接の対象とはなっていないが,当該地域への関与を強めようとする EU の動きは, E N P の枠組みを超えて EU の影響圏を拡大しつつ,同時にエ ネルギーや市場アクセスなど経済的利益を確保しようと試みである.

だが,「グレート・エネルギー・ゲーム」が展開されている中央アジアにお いて,自らの「共通の価値」への収倣をコンディショナリティとして課そうと する EU は,それほど大きな「「鞭」と「にんじん」」をもたず a , v n o s e a s K (

3往復の輸送祉の差は.空で送り先に戻されるコンテナ益を意味している.

• ENP

について詳しくは,蓮見

, ) 5 0 0 2 (

蓮見

) 8 0 2 0 (

を参照

(6)

2 0 0 8

, . p , ) 3 その影響力は限定的である.言い換えれば,自らを「規範パワ ー」と定義する EU は,人権問題や民主化問題を抱える中央アジア諸国との経 済関係の強化(特にエネルギー資源の確保)と「規範パワー」としての EU の 役割の両立を如何に図るかというジレンマに直面している.本稿では,こうし た視角から,中央アジア諸国経済に関する基礎的資料を整理しつつ, EU の対 中央アジア政策について考察する.

1 .

EU の拡大と中央アジア

2 0 0

7 年,欧州委員会は,政策文書「 EU と中央アジアー新しいパートナーシ ップのための戦略」と「 2 0 0 7 - 2 0 1 3 年の中央アジア支援戦略文書」を公表した.

中央アジアは, 5 カ国の総人口で約 0 1 6 万人, G D P 総額で約 0 0 0 3 億ドルと市場 規模は小さい.では,なぜ EU が中央アジアヘの関与を強めようとしているの だろうか. しばしば指摘され,また EU の文書も言及しているように,エネル ギー資源供給の多角化も一つの理由である. しかし, EU の中央アジアヘの積 極的な関与は,冷戦後の EU 統合の深化と拡大の相互作用の必然的帰結である

ことを見落としてはならない.

「 EU の将来に関するラーケン宣言」以米 8 年の歳月を経て, 0 0 9 2 年 2 1 月 1 Bに EU のリスポン条約が発効した.ファンロンパウ欧州理事会常任議長(い

EU ア EU

が任命された.今回の条約改正がグローバルな課題への EU の対応能力を向上 させるかどうかは未知数である.それは,両者,及ぴバローゾ欧州委員長,総 務理事会議長国(半年の輪番制),主要加盟国のあいだで実際にどのような協 力関係が構築されるかに依存しているからである(庄司, . ) 9 0 0 2

しかし, EU の第 5 次拡大のための機構改革に着手したニース条約が今回の

条約改正の試みの前提として存在することを忘れてはならないだろう.ニース

条約をめぐる交渉は,第 5 次拡大によって加盟国数がほぼ倍増する条件下にお

いて効率的な意思決定を行うことを目指し,閣僚理事会や欧州議会における加

(7)

EU と中央アジア--- .1 1 i i~~ i ; ~~ EIU.

r - 7 1 1 盟国の票配分の決定,特定多数決制の大幅な適用範囲の拡大を行い,さらに EU の将来に関する議論を深く広範に行うことを求め,これがラーケン宣言に 結実したのである見

ラーケン宣言は,いわゆる束方拡大にともなって「岐路に立つヨーロッパ」

という認識を示し,「ヨーロッパが直面する民主主義の試練」「グローパル化す る世界の中でのヨーロッパの新たな役割」「ヨーロッパ市民の期待」という 3 つの試練を指摘している(登江, . 2 ) 0 0 2 EU の対外政策に関わる本稿の視点 から見て留意すべきは, 0 0 1 2 年のアメリカ同時多発テロ事件9 1 を意識した . 1

「グローバル化する泄界の中でのヨーロッパの新たな役割」の次の部分である (

E C , . ) 1 0 0 2

「ベルリンの壁の崩壊後,われわれは,紛争から自由で,人権を基礎とした,

安定した惟界秩序に長く住まうであろうと単純に思われた. しかし,数年後,

こうした確信は消え失せた. 9 . 1 1 は急激な覚醒をもたらした.逆行する力は消 え去ってはいない.狂信,民族的ナショナリズム,人種差別,テロは増加し,

地域紛争,貧困,低開発は,依然としてこれらの温床となっている.この変化 した世界におけるヨーロッパの役割は何か.ついに統合されたヨーロッパは,

新しい世界秩序における主導的役割・・・(中略)・・・を果たせないのだろう

今日,われわれは,冷戦が終焉し,グローパル化して いるが依然として極度に分極化した世界に生きており,ヨーロッパはグローバ ル化のガパナンスに責任を負わねばならない.つまり,・・・(中略)・・・道 徳的枠紺みの中でグローパル化を進める,言いかえれば結束と持続可能な発展 のアンカーとなることを目指すパワーである.」

また,第 5 次拡大後の戦略を描いた 0 0 3 2 年のレポート『 EU を拡大する一成 果と挑戦』は,拡大によって多様性を増した EU 内部における結束 - e h o c ( s

i o n

) を維持しながら統合を深化させると同時に,拡大以外の方法で EU の近

5ニース条約について詳しくは,蓮見

, ) a 0 1 0 2 (

蓮見

, ) b 1 0 0 2 (

庄司

, ) 1 0 0 2 (

及びジェ トロ

) 3 0 0 2 (

を参照

(8)

隣諸国の安定化を図り,また泄界の安全保障に

EU

が積極的に関与する「首尾 一貫した政策」を提言している(蓮見,

, a 9 0 0 2 p p . . ) 7 - 5

そ の 後 , 束 方 拡 大 とほぽ時を同じくして, リスポン条約の元となる欧州憲法条約草案,欧州近隣

諸国政策

(ENP),

欧州安全保障戦略が打ち出されていくのである.

1

0

カ国を加えた

0 4 0 2

年の拡大は

EU

の東と南に位固する国々との関係強化,

プルガリア,ルーマニアを加えた

7 0 2 0

年の拡大は黒海周辺の国々との関係強化 という課題を提起した.本稿で取り上げる中央アジア諸国は,

EU

の打ち出し た欧州近隣諸国政策の対象国ではない.しかし,

ENP

には,カスピ海を挟ん で中央アジアに連なる南コーカサスのアルメニア,アゼルバイジャン,モルド ヴァが含まれている.

7 0 0 2

年に公表された「

EU

と中央アジアー新しいパート ナーシップのための戦略」文書は,次のように指摘している

) . a 7 0 2 0 , C ( E

EU

拡 大 , そ し て 南 コ ー カ サ ス を

ENP

と 黒 海 シ ナ ジ ー ・ イ ニ シ ア チ プ に 加 え た こ い に と も な っ て , 中 央 ア ジ ア と

EU

は近づきつつある.」「

EU

が 欧 州 近隣諸国政策の枠糾みの中で東の近隣諸国に深く関与することは,政治協力と 経済発展の両面においてヨーロッパと中央アジアをも近づけるであろう.」

さらに,この政策文書は,法の支配,人権,民主主義,市場経済といったヨ ーロッパ的価値に収敏させることが,中央アジア諸国を「

EU

にとって共通の 利益と目標を共有する信頼できるパートナー」にすると主張している.

筆者は,

ENP

を 「 価 値 の 共 有 十 経 済 協 力 + 経 済 発 展 の 前 提 と な る 安 全 保

6 南コーカサス諸国は,

2 0 0 8

8

月のグルジア・ロシア戦争を契機として導入された

EU

の イースタン・パットナーシップの対象国ともなっている.ここでは詳しく論じることは できないが,黒海シナジーとイースタン・パートナーシップは,本質的に炭なる政策で ある.前者は,「地域主導

l a c o l ( ) s h i p n e r o w

」を重視した地域協力の緩やかな枠紐み である.これに対して,後者は,「共有

t n i o j ( h i p ) e r s o w n

」の原則に基づき,各対象国 の

EU

諸制度への収倣に応じて

EU

が関与を強める,経済統合,政治的同盟をも視野に 置いたものである.後者は,「準加盟前

i s a u q ( ) o n i s s c e c - a e p r

」あるいは「エンラージ メント・ライト

- m e n t r g e e n l a ( t i I ) e

」と評価する研究者もいる.詳しくは,

Hasumi (

2 0 1 0

)

を参照.なお,グルジア・ロシア戦争については,『ロシア・ユーラシア経済』

2 0 0

9

3

月号の特集「ロシア・グルジア紛争の検証」,及ぴ大野

0 9 2 0 (

年)を参照.

(9)

EU と中央アジアー杓滑 l 近隣諸国政策を超えて 9 1 1 障」を甚礎として「共通の利益」を梃子に EU の理念と諸制度を「輸出」する

ことによって安全保障を確保しようとするソフト・セキュリティ戦略であると 定義し, EU そのものが影響力の拡大の要索(比喩的に言えば「 EU の引力」)

をはらむ「多元的開放型リージョナル・ガバナンス」の形成プロセスであると 理解している(蓮見, , 8 0 0 2 . p p ) . 4 6 - 2 6 この立場から見ると, EU の対中央 アジア戦略は, EU 自体が定義した ENP の枠を超えて EU の影響力を拡大す る,つまりグローバルアクターとして振る舞おうとする試みの一環であると考 えることができる.たとえば, 2 0 0 7 - 2 0 1 3 年の EU 財政で,対外関係が「グロ ーバルプレーヤーとしての EU 」という財政項目に集約されたことは,これを 示唆している.

中央アジア

中・露の利害が交錯し「地域戦略の建て方 の難しい地域」であり(宇山, , 9 0 0 2 . p p ) , 6 1 8 3 - 8 1 EU の対中央アジア戦略 は,中央アジア諸国ばかりでなく,他のアクターの行動の影響を受けながら進 行ずると考えなければならないだろう.たとえば,パラグ・カンナは,「地政 学な権力の世界市場」の時代となったとの認識を示し,次のように指摘してい

る(パラグ・カンナ, , 9 0 0 2 . p p . ) 1 2 - 0 2

「今や地球上の至るところで,アメリカナイズ,ヨーロッパナイズ,中国ナイ ズが進むようになった.」「こうして世界の権力は,一国による独占から公開市 場へと移った.」「地政学的な権力の世界市場では,ある超大国の政策が正しい かどうかは,その政策が実際に効果があるかどうかによって判断されねばなら ず,またその効果は他のほかの超大国の政策との比較によって証明されなけれ ばならない.」

後述するように, 2 0 0 7 年の EU の対中央アジア戦略文書は, 0 6 0 2 年のウクラ

イナ・ロシアのパイプライン紛争を契機として再認識されたエネルギー供給の

多角化という課題に対応するという経済的利害とも関わっている . 1 このビジ

ネス上の利益を確保しつつ,「規範パワー e t i v r m a ( n o o w e r ) p 」を自認する

EU は,大国の関心が交錯する中央アジアにおいて,その「正しさ」を証明で

(10)

きるのだろうか.

2

. EU と中央アジアの経済関係の非対称性

l) 中央アジア諸国経済の概観

まず,中央アジア諸国の経済状況について確認することにしよう.中央アジ ア諸国は,独立後,異なる市場経済化の道を辿った.ヴァウチャー民営化など 急進的な市場経済化を進めたクルグズスタンやカザフスタンは,激しい移行不 況を経験し生活水準を急激に悪化させた.たとえば,貧困水準以下で暮らす人 の割合は, 9 1 1 9 年に 5 % であったが, 1993-1994 年には50% に達した - r e n r E ( son and Boonstra, 0 , 1 0 2 . p . ) 6 1 タジキスタンでは, 1992-1997 年に内戦が 続いた.これに対して,限定的な市場経済化と政府主導の産業管理を形成した ウズベキスタンとトルクメニスタンは,体制転換にともなう生産低下を緩和す ることができた(岩崎, 2 0 0 4 年 , . p . 8 ) 6 9 1

こうした体制転換プロセスの違いがあるものの, 9 9 0 1 年代後半から,中央ア ジア諸国はプラス成長に転じ, 2000-2007 年の GDP の成長率は 8-10% を記 録した(図 2). この過程で顕在化したのは,資源を「持てる」国と「持たざ る国」の格差である(表 . 1 ) 特にカザフスタンは,資源開発を中心に外資が 流入し急成長し,中央アジア経済 (GDP) の70% を占めるまでになっている.

経済規模も,他の 4 カ国に比べて圧倒的に大きい.カザフスタンの 1 人当たり

7 付言すれば,ロシア・ウクライナ・パイプライン紛争は,「武器」としてのエネルギーと いう言説を生んだ. しかし,

6 0 0 2

年と

9 0 0 2

年の紛争の相違やロシア企業の行動を冷静に 観察すれば,「商品」としてのエネルギーをめぐる競争という面が大きいことがわかる.

たとえば,欧州委員会がアンバンドリングに甚づくエネルギー市場の規制緩和を進め,

天然ガス市場において通例となっていた長期契約に反対しているにもかかわらず,中国 というロシア資源の競争者が現れると,ヨーロッパの主要なエネルギー企業はロシアと 長期契約を交わした(本村,

. ) a 9 0 0 2 6 0 0 2

年と

9 0 0 2

年のパイプライン紛争の相違につい

.ては,蓮見

. ) b 9 0 0 2 (

8 より詳細な分析は,岩崎

) 2 0 0 2 (

を参照.近年の中央アジアの経済動向については,下 社

) 8 0 0 2 (

を参照.

(11)

EU と中央アジアー欧州近隣諸国政策を超えて 121 図2 中央アジア諸国の実質 GDP 成長率の推移 -2010(2000 年)

(対前年比 %)

2 5 2 0

50 11

5

-5

紺 " ' i 惑 惑 諮 度 感 給 諮 惑 尻

---クルグズスタン共和国 ... ータジキスタン 一 ト ル ク メ ニ ス タ ン 一 ウ ズ ベ キ ス タ ン

注:

* 0 0 1 2

年は,

0 0 1 2

0 1

2 2

日時点での予測.

出所:

2 0 0 0 - 2 0 0 7

年は,

E m e r s o n a n d B o o n s t r a , 0 1 0 2 (

.p

. ) 8 1 , 8 0 0 2 , 9 0 0 2 0 0 1 2

年は,

0 0 1 2

0 1

月 公 表

E B R O ) 0 1 0 2 (

のGDP 800(2 年)は15001, ドルで,これはCIS 諸国の中でロシア (000,61 ド ル)に次ぐ水準である.貧困水準以下で葬らす人々の割合も14% 以下に改普し た.天然ガスに恵まれたトルクメニスタンも高いGDP 成長率を記録している.

クルグズスタン,タジキスタンも経済成長が見られるものの,

1

人当たりの GDP は2,100 ドルにとどまり,貧困水準以下で経らす人々の割合もそれぞれ40

%, 60% と高い.ウズベキスタンの 1人当たりの GDP も2006, ドルと同様に低 いが,前述の通り体制転換にともなう経済悪化の影響が少なく, 00 年代以降20

も堅調な経済成長を示している.

世界的な経済危機の影響で, 2008-2009 年に他の4カ国の GDP 成長率が急 激に落ち込んでいるにかかわらず,ウズベキスタン経済は堅調である.綿花と 金がウズベキスタンの輸出のそれぞれ約17%, 約20% を占めているとはいえ,

エネルギー市場の動向に左右されにくい比較的バランスのとれた産業構造が形 成されたことが,その一因であると考えられる.表

2

の通り,中央アジア諸国

(12)

表 1 中央アジア諸国の

GDP,

貧困人口,人間開発指標

8 0 0 2 (

年) カザ

7

スクン クルグズスクン ウズペキスタン クジキスタン トルクメニスタン 人口

0 0 1 (

万人)

4 . 5 1 4 5 . . 6 7 2 . 3 7 9 . 4 GDP 0 1 (

億ドル)

6 7 1 1 . 4 1 1 6 3 . 1 7 . 4 5 1 5 . 6 9 2

1

人あたりの

GDP

(ドル)

0 0 , 5 1 1 0 1 0 , 2 0 0 6 , 2 0 0 1 , 2 0 0 1 , 6

農 業

8 . 5 4 2 . 3 2 . 8 2 3 2 7 0 . 1

部門別

GDP(%)

工 業

4 . 3 9 6 8 . 1 . 9 3 3 . 4 9 2 8 . 8 3

サーピス

7 . 5 4 9 4 9 . 7 3 . 6 7 4 4 . 0 5

輸出+輸入

/GDP(%) 8 . 7 1 5 6 . 1 2 . 8 8 4 . 8 8 8 . 1 4 7

農業

. 5 3 1 0 8 . 4 . 0 4 4 . 2 7 6 2 . 8 4

部門別労働人日

工 業

4 . 8 1 . 1 5 . 2 0 2 . 5 7 4 1 (%)

サービス

0 5 5 9 . 3 . 0 6 3 . 3 5 2 . 8 7 3

貧困人口(%)*

. 8 3 1 0 4 3 3 0 6 0 3

歳入

0 1 (

億ドル)

6 4 9 . 2 7 1 . 1 0 5 0 . 8 2 8 . 1 3 3 9 . 1

人間開発指標**

1 7 2 2 1 9 1 1 4 2 1 0 8 1

備考:

石油 金 金 アルミニウム 天然ガス

主な輸出品 鉱 物 綿花 天然ガス 綿花 綿花

鉄・鉄鋼 綿花

注:

• CIA world o o k a c t b f economic a t a d

による.

平均余命,生活水準,哉字率等に基づく

9 7 1

カ国中の順位.ただし,識字率は,政府が中告している

98%

を基 礎にしているため,過大評価になっている可能性がある.

出所:

Emerson and a , r s t o n B o , 0 1 0 2 . p . 9 1

及び

. t t a s o u r E

の主な輸出品は,天然ガス,金,綿花などの一次産品である.カザフスタンは,

特に石油に依存しており,歳入の約

20%,

輸出の約

60%

を占める. トルクメニ スタンは,天然ガスが歳入の約

25%,

輸出の約

60%

を占めている.クルグズス タンの外貨獲得源は金である(輸出の約

40%, GDP

の約

13%).

タジキスタン の輸出の

60%

以 上 は ア ル ミ ニ ウ ム で あ る

(Emerson and n s t r a , B o o , 0 1 2 0 . p 2

3 ) .

2)

出稼ぎ労働者の送金

(13)

EU と中央アジアー欧州近隣諸国政策を超えて 3 2 1

2 GDP に対する輸出の割合(%)と主な輸出品 輸出/ G D P % おもな輸出品 カザフスタン 9 4

クルグズスタン 5 4 金,綿花

ウズベキスタン 0 4 金,天然ガス,綿花 タジキスタン 1 2 アルミニウム,綿花

トルクメニスタン 3 6 天然ガス.綿花

出所:

E m e r s o n a n d B a , t r n s o o , 0 1 0 2

.p

. 2 2

中央アジア諸国,特に資源に乏しい「持たざる国」の経済にとって重要な役 割を果たしているのは出稼ぎ労働である.経済危機以前に,ロシアやカザフス タンに出稼ぎに出た人々は5 0 0 万人に達していた. 2 8 年まで,その本国送金 0 0 は,タジキスタンの GDP の 5割,クルグズスタンの GDP の 4分の 1 , ウズ ベキスタンの GDP の 8分の 1を占めるほどであった.特にタジキスタンやク ルグズスタンでは,国内での雇用条件は改普されないまま,失業者を「輸出」

し,出稼ぎ労働者の多くは,ロシア,カザフスタンで非合法で働き,汚職や搾 取の対象となった.だが,出稼ぎ労働は,国内の労働市場の緊張を緩利したば かりでなく,彼らの本国送金がタジキスタンやクルグズスタンの人々の生活を 支える上で決定的な役割を果たした.ところが,ロシアやカザフスタンが経済 危機に陥ると,こうした移民労働者は解雇され,あるいは貨金を支払われず,

しかも排外主義による暴力的攻撃の的となってしまったのである.

2 0 0

4 年- 2 0 0 8 年の時期に,急成長を謳歌していたロシアやカザフスタンに,

クルグスタンから約8 0万人,タジキスタンから約1 0 万人,ウズベキスタンか 5 ら約2 5 0 万人が出稼ぎにやってきた. 2 4 年にロシアの GDP は約5 0 0 9 2 0 , 億ドル であったが, 2 0 0 8 年には約 1

7 7 0 6 , 億ドルになった l a n o i t a n r e t n I ( s i s i r C G

r o u p , , 0 1 0 2 . 9 ) 3 l - . p p 外貨準備も 0 , 2 7 4 億ドルと, H本,中国に次いで世界

3位の規模に達した . 0 1 この時期,ロシアの建設部門は,資金の8 0 % を銀行 融箕に依存し,カザフスタンの住宅ローンは銀行融衰の 3 分の 1 以上を占めた.

そして,建設部門で多くの移民労働者が働き,たとえばロシアの建設労働者の

(14)

40% が移民労働者であった.

出稼ぎ労働者からの送金は,中央アジア諸国経済にとって極めて重要な役割 を果たすようになった. 2008 年までに,本国送金はクルグズスタンの GDP の 約27%, タジキスタンの GDP の約49%, ウズベキスタンの GDP の約13% を 占めた. しかも,それらは急増していた. 2006-2008 年にクルグズスタンヘの 本国送金は 4,810 万ドルから 1 2 億ドルに,同じくタジキスタンでは1 0 億ドルか ら 2 6 億ドルに,ウズベキスタンでは 4 1 億ドルから 33 億ドルとなった.タジキス タン国立銀行の外貨準備は 1 億2 , 5 0 0 万ドルに達し,その貿易赤字の実に70%

は送金によって相殺されたのである.出稼ぎ労働者の送金は, とりわけ貧しい 階層の人々の唯一の生活の支えであったといっても過言ではない.たとえば,

貧困ライン以下の人口割合が60% を超えるタジキスタンの例をみると,最下層 の家計の半数が出稼ぎ労働を出しており, しかも農村部の場合,家計消費の 8 割近くが送金に依存している(表 3). 2008 年に,タジキスタン出身の出稼ぎ 労働者は26 億ドルを送金したが,国家の公教育予算は 2 億1 0 0 万ドル,原生予 算7 4 0 万ドルにすぎなかった.このように,出稼ぎ労働は,タジキスタンの 人々,特に貧困層の生活を支えたのである.

ところが,危機後,事態は急変した. 2008 年 8 月に 1 パレル1 2 9 . 7 ドルに達 していた石油価格は1 2 月には3 9 . 2 ドルまで暴落した.資本逃避は,体制転換以 来のロシア経済の問題点であったが,この石油価格の下落を契機として再ぴ大 量の資本逃避が生じた.危機以前,年平均5 0 0 億ドルの資本が流入していたが,

2 0 0

8 年末までに 1 , 3 1 0 億ドルが流出してしまった.カザフスタンは,ロシアに 石油を輸出しており,ロシアの景気動向の影響を受けやすい. IMF の推定に

以下,特に注記しない限り同資料による.

10 ロシア政府は,

1

バレル

7 2

ドル以上の場合に生じる輸出関税と採掘税の増収分を「安定化 基金」

8 0 0 2 (

年以降は「準備基金」と「国民福祉基金」に分割)に積み立て,原油価格の 上昇に伴って外貨準備が急増した.だが,これは,不胎化政策の一環でもあり,国家に よる資源開発が進められてきたわけではない.エネルギー企業は専ら対外借り入れや

IPO

(新規株式公開)に依存してきた.この問題点は,危機以前の早い段階から指摘さ れていたたとえば,坂日・蓮見

, 7 0 0 2 ( . p p . ) 7 2 - 6 2

資本流出について詳しくは,金野

(

2 0 1 0

)

を参照.なお.安源に依存したロシアの産業構造の問題点については,久保庭

(

2 0 1 0

)

を参照.

(15)

EU と中央アジア-ID 1+1 i!i~~OOi! ~ ~

~ ;_ r - 5 2 1

3

タジキスタンの階層別出稼ぎ労働の割合と家計消費に占める送金の割合*

送金を受ける前の消 出稼ぎ労働者を出し 家計の消費に占める送金の割合(%)

費水準に甚づく所得 ている家計の割合

階層の

5 分 位

都市

農村

1 5 . 6 4 6 . 5 5 8 . 8 7 2 5 . 7 9 . 5 3 5 . 6 6 3 9 . 4 2 . 6 3 1 . 5 6 4 6 . 4 0 . 5 4 9 . 3 6 5 3 . 6 6 . 4 4 1 . 0 6 平均 1 . 4 1 5 . 9 3 4 . 6 6

注:・7020 年のデータに甚づく世界銀行の推定。

出所:a,rtMi Selwsky and Z,doendual ,0102 .p.39

よれば,ロシアの

G D P

1%

の変化はカザフスタンの

G D P

0 . 8 %

の影響を もたらす

l a n o i t a n r e t n I ( s i s i r C , 1 0 2 0 p , o u G r 2 . p . ) 0 9 2 0

年,ロシアの

G D P

は対前年比

7 . 9 %

減となり,カザフスタンも同

1 . 2 %

へと落ち込んだ.

0 9 2 0

年, ロシアは,経済危機への対応として,移民労働者の割当を

0 3 9

万人から

5 9 1

万人 に削減した.同様に,カザフスタンも移民割当を

6

0 0 , 3 6

人まで半減した.

しかし,実際には,ロシアの移民労働者の約

6 5 %

は非合法であり,その割合 はカザフスタンではもっと高いと言われる.年間

0 0 3

万人に及ぶ移民労働者の うち合法的な移民労働者は

0 2

- 3 0

万人と推定されている

l a n o i t a n r e t n I ( - i r C s

i

s , G r o u p , 0 1 0 2 5 . p . )

このため,多くの移民労働者は,いわゆる「グレー 経済」で雇用され,何の保護もなく劣悪な労働条件で働かねばならず,首切り の対象となった.11 しかも, しばしば,政治的理由から経済的利益に反して移 民労働に対する制限が行われた.たとえば,

1 0 2 0

年,モスクワ市では,地元の 雇用者が

8 3 1

万人の労働力が必要だと主張していたにも関わらず,移民労働割 当を

5 2

万人に制限した.移民によってモスクワの人が労働市場から排除される という批判に対処するためである.

このように,経済危機後下で出稼ぎ労働者を取り巻く状況が悪化したことに 加え,ループルの対ドル相場が

3 0 %

以上も下落したため,出稼ぎ労働者からの

(16)

送金は約30% も減少し,中央アジア諸国の経済に打撃を与えたのである.

3) 中央アジア諸国の経済危機からの回復とロシア,中国のプレゼンス 2

0 1

0 年に人り, 4 月の政変により今も政情不安にあるグルグズスタン 2 1 を例 外として,中央アジア諸国の経済は回復し始めている(図 . 2 ) 中央アジアか ら石油・天然ガスを輸入しているロシアの経済回復は,コーカサス 3 1 • 中央ア ジア諸国の輸出の急速な回復をもたらし,同時にロシアからの送金も緩やかに 回復し始めている(図 3 ) .

輸出や送金という点に如実に表れているように,中央アジアの経済は,依然 としてロシアとの結ぴつきが強いことがわかる.加えて,ロシアが1 0 億ドル,

カザフスタンが 5 億ドルを出資してユーラシア開発銀行が設立された. 2 0 0 9 年 6 月,ロシア,カザフスタン,ァルメニア,ベラルーシ,グルグズスタン,タ ジキスタンの 6 カ国は,ユーラシア経済共同体危機対策基金設固協定に調印し た.基金総額は 0 0 1 億ドルで,ロシア 7 5 億ドル,カザフスタン1 0 億ドル,ベラ ルーシ1 0 0 , 0 万ドル,その他1 0 0 万ドルの出資を予定している.表 4 の通り,中 央アジア諸国への支援において,ユーラシア開発銀行のシェアは10% に満たな いとはいえ,すでに活動を開始している(白鳥, , 1 0 0 2 . p p . 2 ) - 3 3 1 また,

2 0 1

0 年 7 月に,ロシア・ベラルーシ・カザフスタンの関税同盟が発効したこと から,ロシアとカザフスタンの影響が強まることが予想される.

同時に,資源開発関連のプロジェクト金融などの形で中国が中央アジア諸国 において存在感を増していることに留意すべきである(表 . 5 ) 中国は,カザ フスタンと約1 , 700km の国境を接し,クルグズスタンやタジキスタンともそ れぞれ約 1,000km, 450km の 国 境 を 接 し て い る , a o v e n s s K a ( , 8 0 0 2 , p p - 1 1 1

2 )

. 6 1 9 9 年,中国,ロシア,カザフスタン,クルグズスタン,タジキスタン

(いわゆる上海ファイプ)は「国境地域信頼醸成協定」を締結し,カザフスタ

11 こうした出稼ぎ労働者の実態に迫った労作として中村

, ) 7 0 0 2 (

当該地域の移民問題に関 する包括的な文献として堀江

) 0 1 0 2 (

がある.

12 クルグズスタンの最新情勢については,浜野

0 ) 0 1 2 (

を参照.

13 グルジア,アルメニア,アゼルパイジャンの3国.うちアゼルパイジャンはエネルギー 資源の輸出国であるのに対して,グルジア,アルメニアは資源に乏しい.

(17)

EU と中央アジアー欧州近隣諸国政策を超えて 721

図3 コーカサス・中央アジア諸国における輸出と送金の急速な回復

1% 0 0 8 0 6 0 4 0

-20 -40 -60 -80

, .翰出*

--- 中央アジア

への送金の流入**

2 0 0

8 年11月 209 年40 月 09 年920 月 注:* トルクメニスタン,ウズベキスタンを除く

**グルジア,クルグズスタン,タジキスタンを含む 出所:IMF, ,0102 .p.24

(年成長率,%)

2 0 1

0 年2月 0 年012 7月

ン 8199( 年),クルグズスタン 9199( 年),タジキスタン 200(2 年)と国境紛争 を解決していった. 2001 年,上海ファイプにウズベキスタンを加えて,政治,

経済,安全保障など幅広く協力を行う枠組みとして上海協力機構

h a i ( S h a n g C

o o p

e r a t i o n , i o n a t n i s r g a O x t t a i l l

C K a H o p r a

3

邸 皿

T B a , n H W i e C C O T P Y

上海合作組織)が発足している(岩下, ,0902

. p p

6).1224-1 こうした過程の 中で次第に,中国は,中央アジアにおける経済的利害を追求していくようにな った.中国は,カザフスタン,ウズベキスタン,タジキスタンのエネルギー開 発に投資し,カザフスタン中部と新慨ウイグル自治区の精製所を結ぶアタスー 阿拉山口(アラシャンコウ)のパイプラインラインを建設し,またトルクメニ スタン,ウズペキスタンのガスを中国に運ぶパイプラインも稼働し始めている.

(18)

4 2 0 9 0

年国際金融機関・地域開発銀行の中央アジア支援

(単位:

0 0 1

万ドル)

欧州復興 アジア開

世界銀行 イスラム ユーラシア 国 開発銀行 発銀行 (WB) 開発銀行 開発銀行 計

(EBRD) (ADB) (IBD) (EaBD)

カザフスタン

0 6 . 5 4 . 8 6 8 7 . 0 7 3 , 1 2 5 0 . 3 9 0 3 . 4 5 . 3 5 0 4 , 2

クルグズスタン

4 . 0 0 1 3 1 . 8 3 . 5 0 2 . 4 1 . 2 4 6 2

ウズベキスタン

0 6 . 1 . 4 3 0 3 5 8 . 4 1 . 7 2 2 . 6 9 0 4

タジキスタン

4 1 . 1 . 7 6 0 6 . 3 6 2 . 3 7 . 6 2 2 . 2 8 1 6

トルクメニスタン

4 1 . 1 . 0 0 0 . 0 0 2 . 4 0 . 4 1 3 4

合計

2 5 . 8 6 2 3 . 3 1 1 4 . 0 8 2 4 6 6 . 8 6 6 5 . 4 7 7 8 . 5 6 5

構成比,%

3 2 . 1 3 0 . 2 2 . 3 4 . 6 5 1 6 . 8 0 0 . 1 0

参考:

ロシア

5 . 2 8 , 2 4 0 . 0 0 . 9 3 1 . 5 2 1 4 , 4

出所:臼鳥, 2,100 3.p0の表を一部i卸正.

表5 IMF, ロシア,中国の対中央アジア融資*

(単位:

0 0 1

万ドル)

借入国

I M F

ロシア カザフスタン

4 5 0

クルグズスタン

0 0 1 0 0 7 , 1

(プロジェクト金融)

タジキスタン

6 1 1

トルクメニスタン 参考

ロシア

出所:臼鳥, 2,100 3.p1の表を一部修正.

中国 合計

1 0 , 0 0

0 0 0 0 , 1 0

(プロジェクト金融)

2 , 2 5 0 1 , 0 0

0 6 1 1 , 1 3 0 0 0 0 0 , 0 3

(ガス開発)

2 , 5 0

0 0 0 , 5 2

ガスパイプライン建設費

(19)

EU と中央アジア---i i EJ J i ! iJ; ~

~,m;z. r - 9 2 1

中国が融資しているタジキスタンの主なプロジェクトの一つは,贈与 0 0 0 , 3 万ドルによるトンネル建設を含む首都ドゥシャンベとアフガニスタン国境のピ

ジャン,チャナクを結ぶ道路の再建であり,これに中国輸出入銀行から 2 億 8

, 2 0

0 万ドルが融査され,中国企業が携わっている.もう一つが,南北問を結 ぶ高圧送電線の整備等であり,他の送電線と合わせて 3億ドル以上が融資され ている.こうしたタジキスタンの建設プロジェクトでは約 3万人の中国人労働 者が働いている v a , n o s s e ( K a 0 8 0 2 . p p . ) 7 1 - 3 1 1 0 1 2 年 1 月 1 2 8 , タジキス タン下院が中国との国境画定条約を批准し,約 0 3 1 年に及ぶ領土紛争が解決を 見たが,中国の支援が国境紛争解決にプラスに作用したといえよう.

表 6 には含まれてはいないが,中国は小規模ながらクルグズスタン政府にも 支援をしており, 2 0 0 0 - 2 0 0 4 年に病院や学校の建設,農業支援などに対して約 9

0

0 万ドルの贈与を行っている.この他,製紙工場,セメント工場,中国・ク ルグズスタン・ウズベキスタンを結ぶ道路建設などに約 0 0 , 4 9 万ドルの融資を 行っている v a , e n o a s s ( K 8 0 2 0 . p . ) 7 2

以上,総じて見るならば, 0 0 0 2 年代の経済成長にもかかわらず,中央アジア 諸国は依然として,一次産品輸出に依存した脆弱性を抱えた経済であり,貧困 人口の割合が高く,表 l の通り過大評価されている可能性のある人間開発指標 でも,カザフスタンを除き, 9 7 1 カ国中 0 0 1 位以下と極めて低い水準にある.

後述するように, EU は,中央アジア諸国の主要な貿易相手であるが,ロシ ァ,中国も同様に主要な貿易相手国である.だが,ロシア,カザフスタンと他 の中央アジア諸国の移民労働というつながり,ユーラシア開発銀行の設立,関 税同盟の形成など,ロシアの影響圏の維持・拡大を示す動きも強まっている.

同時に,資源開発やパイプライン建設などのプロジェクト金融を通じて中国の 経済的なプレゼンスが急速に高まっていることがわかる.

4 )

EU と中央アジア諸国:貿易構造に見る非対称性

次に,中央アジア諸国と EU との経済関係についてみよう. EU とカザフス

タン,クルグズスタン,ウズベキスタンは,パートナーシップ・協力協定

( P C A ) を結んでいる. P C A は,貿易面では非特恵協定であり,関税及ぴ数

(20)

最規制について最恵国待遇を提供することは禁じられている. P C A は,技術 規制,衛生植物検疫措箇,知的財産権,関税を含む EU の貿易関連甚準に相手 国の規制及ぴその実施を収紋していくことを目指すものである. 0 4 0 2 年に調印 された EU とタジキスタンの批准は棚上げとなっているが,当面は,貿易協定 によって代替されている. 8 9 1 9 年にトルクメニスタンと締結された P C A 及ぴ

EU と

協力協

定に基づいている.

EU 側からみると,貿易相手としての中央アジアは,カザフスタンを別とし て,極めてマージナルな存在である.最大のカザフスタンでも, E U 2 7 カ国の 貿易に占める割合は 0 . 8 % , エネルギー資源をもつトルクメニスタンで 0 . 1 % , その他は中央アジア諸国の割合は 0 . 1 % にも満たない . ) t a t s o r u E ( 一方,中 央アジア諸国の側から見ると, EU は,ロシア,中国と並ぶ最も重要な貿易相 手になりつつある(表 . 6 ) なお,地理的に近接していえるトルコ,イランと の経済関係も大きく,近年では,

H

本やインドなどアジア諸国との経済関係も 重要性を増している.

図 4 から明らかなように, EU と中央アジアの貿易構造は非対称的である.

E U 2 7 は,カザフスタン, トルクメニスタンからエネルギー資源を輸入し,貿 易赤字である.ウズベキスタンからは,エネルギーを輸入しているが,機械工 業製品を輸出しており,この貿易構造は EU の域外地域との平均的な貿易構造

と ジ

衣料品を輸入し,機械工

業製品,輸送機器を輸出している.

EU は,既に中央アジア諸国にとって,ロシア,中国と並ぶ主要な貿易パー トナーになっているが,貿易構造は, EU が中央アジア資源国から原料,資源 を輸入し,機械を輸出するという極めて非対称的な構造に留まっている.中央 アジア諸国は,エネルギー資源を除けば, EU 経済にとって極めてマージナル な存在である.一方,ロシアにとって,中央アジアが主に資源供給先であるこ とは EU の場合と同様であるが,中央アジア諸国からロシアヘの大量の出稼ぎ 労働の事例に典型的に見られるように,依然として中央アジア諸国の経済はロ

シア経済と連動している.

(21)

ザ スフ

J

キレ ギス

ウズ ベキ ス

スキ

I

レ メク

EU と中央アジア---- 1 i!i ~~ i!; f m. .

r - 3 1 1

表 6 中央アジア諸国の主要貿易相手国 ( 2 0 0 8 年)

輸入 輸出

国・地域

I% I

順位 国・地域

I % I

順位 国・地域

I % I

順位 ロ中シ国ア

5 6 . 3 1 EU . 9 4 5 1 EU . 4 3 4 1

2 4 .

3 2

中国

. 3 4 1 2

ロシア

. 4 2 3 2 EU 0 . 2 1 3

ロシア

3 2 . 1 3

中国

9 . 8 1 3

ウクフイナ

9 . 2 4

トルコ

1 . 4 4

トルコ

. 3 3 4

米国

5 . 2 5

イラン

4 3 . 5

米国

. 7 2 5

トルコ

2 . 2 6

米国

9 2 . 6

イラン

. 7 2 6

ノルウェー

7 7 . 1

H

5 . 1 7

ウクライナ

7 7 . 1

韓国

6 . 1 8

スイス

5 . 1 8

H

1 . 1 8

ウズベキスタン

0 . 1 9

ウズベキスタン

8 0 . ,

韓国

1 . 1

日本

. 5 0 3 1

韓国

6 . 0 3 1

スイス

1 1 . 0 1

中国

5 . 7 0 1

ロシア

9 . 6 2 1

中国

. 3 2 6 1

ロシア

9 2 . 3 1

スイス

3 . 6 1 2

ロシア

. 9 5 1 2 EU 1 . 4 3

カザフスタン

2 5 . 1 3

カザフスタン

S 0 3

カザフスタン

4 . 3 4

アフガニスタン

3 2 . 1 4 EU 9 3 . 4

トルコ

2 . 2 5

ト中

I

レ国コ

6 . 7 5

トルコ

5 2 . 5

ウズペキスタン

. 5 1 6 ? Q 7 7

ウズベキスタン

. 1 2 7

米国

5 . 0 8 EU 5 . 2 8

韓国

4 0 . 3 1

韓国

. 4 0 1 1

米国

2 . 0 7 1

H

4 0 . 4 1

日本

. 4 0 2 1

日本

1 . 0 2 3

米国

3 0 . 1 5

ロシア

? 7 6 1

ロシア

3 . 2 5 1

ロシア

7 1 6 2

EU . 9 7 1 2 EU . 0 1 1 2 EU 2 . 1 5 2

中国

. 3 6 1 3

トルコ

7 3 . 9

中国

2 . 1 2 3

韓国

. 5 1 1 4

カザフスタン

. 6 7 4

韓国

7 4 . 7

カザフスタン

. 4 5 5

バングラデッシュ

. 5 6 5

トルコ

6 . 6 5

トルコ

5 4 . 6

中国

1 6 . 6

カザフスタン

. 3 6 6

米国

1 4 . 7

ウクライナ

0 6 . 7

ウクライナ

. 5 4 7

ウクライナ

6 3 . 8

日本

3 5 . 8

米国

. 4 4 8

ベラルーシ

9 . 1 ,

米国

9 4 .

日本

2 . 7 %

H

0 . 1 2 1

イラン

5 3 . 1 1

イラン

4 1 . 3 1

中国

6 2 1 EU 7 2 4 . 1

ロ中シ国ア

. 6 2 2 1

ロシア

. 5 4 2 2

ロシア

7 2 . 5 1 . 8 2 0 2

カザフスタン

6 . 1 0 3

トルコ

8 . 1 3 3 EU 3 0 . 1 3

ウズベキスタン

8 6 . 4

ノルウェー

5 . 1 1 4

カザフスタン

9 8 . 4 EU 4 6 . 5

ウズペキスタン

2 . 1 0 5

ウズベキスタン

5 7 . 5

トルコ

4 5 . 6

イラン

8 9 . 6

トルコ

2 7 . 6

イラン

2 2 . ,

カザフスタン

8 2 . 7

イラン

8 3 . 7

米国

6 . 1 3 1

スイス

6 2 . 8

米国

4 . 3 1

韓国

8 0 . 7 1

中国

7 . 1 ,

韓国

6 0 . 0 2

H

1 . 0 5 2

H

0 0 . 6 3

日本

0 0 . 9 2

ロシア

; : , 6 1 1

ウクライナ

6 1 4

I ウクライ+

3 0 3

I

EU 7 2 . 5 1 EU 5 . 8 2 2 EU . 5 2 2 2

中国

7 3 . 4 1

イフン

0 . 1 4 3

イフン

1 . 1 1 3

トルコ

6 . 1 4 4

トルコ

5 . 3 4

トルコ

1 . 7 4

UAE 8 . 1 0 5 UAE 6 . 2 5

ロシア

0 . 6 5

ウクライナ

2 7 . 6

米国

3 . 1 8 UAE 3 . 5 6

イラン

3 5 . 7

ロシア

9 . 0 1 1

中国

0 6 . 7

H

6 . 1 0 1

中国

3 . 0 6 1

米国

3 . 1 0 1

米国

3 . 1 3 1

日本

0 . 0 1 2

日本

. 5 0 4 1

韓国

2 0 . 1 2

韓国

. 0 0 2 6

韓国

1 . 0 2 7

出所:

t a t o s u r E

より作成

(22)

図 4 E U 2 7の対中央アジア諸国の貿易構造 ( 0 8 2 0 年 , 0 万ユーロ) 1 0 E U 2 7 とカザフスタン

口 輪人 口 翰llI

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E U 2 7 とカウ ス'ペキスタン

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E U 2 7 とトルクメニスタン

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E U 2 7 とタジキスタン

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E U 2 7 とクルグズスタン

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出所 : E u r o sta . t - 9'

エネルギー

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(23)

EU と中央アジア--- 1+ i i ! i~OOi ~

r - 3 3 1

3 .

EU

の対中央アジア政策の展開

1 )

EU

の対中央アジア政策の強化

経済的にはマージナルな存在であるにもかかわらず,近年,

EU

は対中央ア ジア戦略を強化している.その理由として,

7 0 0 2

年に公表された「

EU

と中央 アジアー新しいパートナーシップのための戦略」は,①中央アジアがヨーロッ パとアジアを結ぷ地であること,②特にアフガニスタン,パキスタン,イラン との関係において煎要な地理的位置にあること,③エネルギー供給の多角化の 必要性,を指摘している.その上で,

EU

は,

2 0 0 7 - 2 0 1 3

年財政年度予算にお いて対中央アジア支援枠を倍増し,対中央アジアヘの関与を強化するとした.

強化の対象となるのは,次の分野である.

・人権,法の支配,グッド・ガバナンス,民主化

・「ヨーロッパ教育イニシアチプ」の開始と

e - s i l k - h i g h w a y

(遠隔学習を可 能とするインターネット・ネットワークの構築促進)

・経済発展,貿易,投資の促進

・エネルギー・交通の連携強化

・環境保全と水衰源管理

• 共通の脅威との闘い:組織犯罪,移民,汚職,麻薬,人身売買,密輸

・文化交流

各国の事情に対応するために,政治対話,貿易・経済関係,様々な分野の協 カの 3つの柱としたパートナーシップ・協力協定を碁礎とする

EU

ー各国間協 力と地域全体の協力を併用するとされている.

対中央アジア支援は,

EU

財政の中で,従来の

T A C I S

に代わって,国連の ミレニアム開発目標

4 1

を念頭に置いたより包括的な開発協力政策手段

( D C I :

D e v e l o p m e n t C o o p e r a t i o n ) e n t r u m n s t I

の項目に組み込まれた.

(24)

7

0 0 9 , 1

万ユーロの対中央アジア支援予算は,次の優先分野に割り当てら れる

, C E ( . ) b 7 0 0 2

・ 3 0 - 3 5 % :

関税,

教育・科学・人的交流に焦点を当てた中央アジア地域協力と普隣関係

·40 — 45% :

貧困削減と生活水準の向上

・ 2 0 - 2 5 % :

グッド・ガパナンスと経済改革の促進

T A C I S

EU

加盟のためのコペンハーゲン基準に準じて完全な市場経済化 と民主化を支援するものであったのに対して,

D C I

は貧困削減と持続可能な 経済発展を目指す支援である

a s t r o o n ( B a n d H , e l a , 0 1 0 2 5 . p . )

先に述べた ように,中央アジア諸国が市場経済化を達成しながらも貧困問題に直面してい る現状を考えれば,この予算項目の改訂は妥当な措置であったといえよう.

2 )

EU

の対中央アジア支援

EU

は,

0 9 1 9

年代初めから中央アジア

5

カ国を支援している.

1 9 9 1 - 2 0 0 6

年 に,体制転換初期の金融支援,

T A C I S ,

クルグズスタン,タジキスタンに対 する欧州委員会人道支援事務局を通じた援助

( E C H O : E u r o p e a n C o m m i s - s

i o n '

s H u m a n i t a r i a n A i d O ) e c i f f

など総額で

3 1

0 0 , 7 8

万ユーロの支援を行 った

, C E ( ) c 7 0 0 2

(付属資料

l

を参照) .

7 0 0 2

年に

T A C I S

D C I

に吸収され た.

D C I

はテーマ別プログラムと地域別プログラムからなる

r a n s t B o o ( a n d H

a l e

, , 0 1 0 2 5 . p . )

近年の

T A C I S , D C I

による支援の国別配分を示したもの が表

7

である.前者で中央アジアに関連するのは,食糧安全プログラム(クル グズスタン,タジキスタン),非政府主体・地方自治体プログラムである.地 域別プログラムとしては,

I N O G A T E e t a t s r e t n I ( a l i O n d G a s T a n s p o r t r

, .

2 0 0 0

年に国連で採択された

5 1 0 2

年を達成期限とする開発目標.貧困・ 飢餓の撲滅,初等 教育の普及,ジェンダー平等,乳幼児市場率の削減,妊産婦の健康改善, HIV/ エイズ,

マラリア,その他の疾病の蔓延阻止,環境の持続可能性確保,開発のためのグローパル なパートナーシップの推進の8つの目標.

F O M / p j . o g . a f o m . w w w / / : p t t h A J / G A I K O / o

d

a

/

d l m t h . s g d m / u o k u o

(25)

EU ! ' ( ) l i 0 と中央アジア 0 f f H ' J I J i ! i : 1 + 1 x R J - - f

H

・ , m . z

_ r - 5 3 1

7 TACIS

及ぴ

I C D

による支援

(2004-2008

年,

0 0 1

万ユーロ)

提 示 額

TACIS DCI

2 計 0 0

4 0 5 0 2 6 0 0 2 7 0 0 2 8 0 0 2 カザフスタン 4 6 . 9 9 9 . 1 2 2 6 2 . 1 9 1

. 3 5 1 7

クルグズスタン 5 5 . 6 8 2 4 . 2 1 . 5 6 1 6 . 3 1 7 1 8 4 8 . 7 タジキスタン 5 . 0 3 1 4 2 . 2 7 5 5 . 2 . 1 3 2 , 0 7 . 9 8

トルクメニスタン 2 . 2 7 5 . 5 5 . 3 6 5 1 4 . 6 . 2 1 ウズベキスタン 1 1 2 5 . 9 7 . 8 1 . 0 2 . 4 2 5 . 3 3 中央アジア地域 . a . n . a . n . a . n 9 . 8 1 1 0 9 . 2 1 9 . 7 4 計 6 2 2 . 4 3 . 2 8 0 4 7 6 . 6 7 . 0 8 3 6 . 6 3 0 2 . 3 3 3

実 額

TACIS DCI

2 0 0

6 計

2 0 0

4 5 0 0 2 7 0 0 2 0 8 0 2

カザフスタン 4 2 8 . 7 . 9 5 8 4 9 . 7 . 6 8 0 . 1 5 . 5 1 4 クルグズスタン 4 4 . 8 1 7 3 4 . 1 5 4 9 . 4 2 . 3 1 5 1 . 2 7 2 7 . 7 タジキスタン 5 3 9 . 2 1 3 . 1 3 . 8 1 4 1 6 . 7 3 8 6 . 1 . 1 6 4 7

トルクメニスタン 4 2 0 . 7 8 0 . 2 . 4 1 2 . 5 1 1 . 2 0 6 6 . ウズベキスタン 4 5 . 2 2 8 . 7 4 . 0 1 0 8 . 9 6 4 7 6 . 4 9 . 3 3 中央アジア地域 . a . n . a . n . a . n 8 8 1 . 2 5 2 1 . 2 . 4 3 4 計 7 2 . 3 8 5 2 . 4 1 6 7 4 5 . 1 . 1 8 5 4 9 . 7 9 5 1 3 . 6 2

出所:

Emerson and , t r a n s o o B , 0 1 0 2 . p . 4 9

t

o ) , e o p u r E TRACECA t r p o n s a T r ( o r i d r o r C Europe- a s u s - C a u c , ) a i s A

TEMPUS (大学協力を通じた東欧,中央アジア,西バルカン,地中海地域の

高等教育近代化支援), BOMCA (中央アジアの国境管理), CADAP - n e C ( t

r a

l s i a A Drug n t i o A c Programme : 薬物の密輸対策)である.また, DCI は , ミレニアム開発目標を意識して支援を重点分野に配分することが計画され ている(表 . 8 )

DCI 以外に, EIDHR (European Instrument r o f Democracy and Human ) s t h g i R と S f I t n e m r u t s n I ( r o f ) y t i l i b a t S の 予 算 の 一 部 も 中 央 ア

ジア支援に利用されている. EBRD

EIB など金融機関による支援も行われ

(26)

8 EU の中央アジア技術支援プログラム 0 1 3 - 2 0 1 1 ( 2 年,草案)

優先分野 重点分野 対象国

地域社会の発展 クルグズスタン, トルクメニスタン,ウズ ベキスタン

貧困削減, 部門別改革,農業・土地改革 トルクメニスタン 生活水準の

社会部門の改革 タジキスタン

改普

厚生 タジキスタン

エネルギー開発 トルクメニスタン

民主主義発展とグッド・ガバナンス 5 カ国

法の支配,司法改革 カザフスタン, トルクメニスタン,ウズベ

グッド・ガ キスタン

バナンス.

行政,財政の管理 カザフスタン

経済改革の

支援 民間部門の発展 タジキスタン

人的責本開発の改善 トルクメニスタン 貿易,ピジネス環境,中小企業発展の強化 ウズベキスタン 持続可能な地域開発(エネルギー,環境,

地域協力の 水 )

発展 国境管理,密輸との闘い 5 カ国

教育,科学,人的協力

出所:

Emerson and a , t r n s o o B , 0 1 0 2 . p . 4 9

ていることも忘れてはならない. 8 0 0 2 年,欧州理事会は EIB の対中央アジア 融資の上限を 0 1 億ユーロ (2007-2013 年)とし,特にエネルギーの供給と輸送 を重視することを決定している r a s t o n B o ( and , e l a H , 0 1 0 2 ) 7 . p 表 ( , 9 表 . ) 0 1

さらに,必要に応じて, ENP の対象地域である地中海,中東,東欧,南コ ー カ サ ス に 対 す る 支 援 ENPI e a n ( E u r o p Neighbourhood c y i l o P - u r t s n I r

n e n t

) との連携が可能である.

EU の対中央アジア支援の特徴は,法の支配,人権,民主主義,市場経済と いったヨーロッパ的価値及ぴミレニアム開発目標を甚礎に優先順位が定められ,

支援プログラムのモニタリングが行われる点にある.たとえば, 2011-2013 年

の DCI 中間レビューでは,カザフスタンの支援では,行政能力の構築,法の

支配,地域開発が優先分野とされている.その他,他の中央アジア諸国につい

ても,法の支配,教育,社会保護などが指摘されている a r s t o n B o ( and , e l a H

(27)

EU と中央アジアー欧州近隣諸国政策を超えて 137 表 9 EBRO による対中央アジア支援

国 2 0 0 7 年 0 8 2 0 年 累計 - 1 9 9 1 ( 2 0 0 8 年 ) カザフスタン 2 5 3 3 4 4 0 , 0 9 2 クルグズスタン 2 1 2 1 5 1 6 タジキスタン 6 2 5 3 9 6

トルクメニスタン 3 0 1 3 1 2 ウズベキスタン 1 5 3 3 4 5 5 モンゴル 4 3 1 5 2 1 0 計 1 2 6 5 5 7 1 1 9 3 ,

出所:

a t r s n o o B n d a , e l a H , 0 1 0 2 . p . 6

表 1 0 民主主義・人権のためのヨ

地 域

ーロッパ投資

(EIDHR) の 進行中プロジェクト (2005 -2011

年,

2009

3 月 5 日

現在)

件数 金額(ユーロ)

3 0 , 6 8 6 1 , 0 2 カザフスタン 6 1 2 4 3 , 5 5 1 , 7 クルグズスタン 6 1 5 , 7 6 3 2 , 8 9 タジキスタン 9 1 1 , 0 1 8 3 , 4 8 計 5 4 , 0 1 9 9 , 1 4 1

出所:

E m e r s o n n d a , a r t s n o o B , 0 1 0 2 . p . 9 9

2010, . ) 9 . p なお留意すべきは, トルクメニスタンについては,優先課題とし

て持続可能な資源開発が指摘されていることである.これは,後述するように,

EU が同国を天然ガス供給先として重視していることを示唆している.

加えて, EU の支援におけるモニタリングは,プロジェクトの妥当性,効率 性,効果,影響,持続可能性という基準を基礎に行われ,透明性と説明責任を 確保するために報告書は公開されている . s i EU は , 0 0 1 件以上の支援プロジェ クトのモニタリングを行っているが,「問題あり」「深刻な困難」との評価が圧 倒的に多く,改普が求められている(表 . ) 1 1

このように, EU の対中央アジア支援は,法の支配,人権,民主主義,市場 経済といった共通価値とミレニアム開発目標を基礎に構築されており,いわば

「規範パワー」として振る舞うことを通じて, EU の規範を自発的に受容させ 影響固を拡大するという手法を特徴としている.これは,対象国それぞれの政 治・経済的状況に応じた支援を行いつつ,可能なところから EU の「共通の価 値」の受容を求めていくという欧州近隣諸国政策 (ENP) とも共通している.

これは,「近い外国」に対する伝統的影響力を維持・強化しようとするロシ アの支援,あるいはプロジェクト金融等を通じた実質的な経済支援によってエ

15

ただし,欧州委員会のプロジェクトマネージャーが直接モニターするという点は改普が

必要で,独立した評価組織あるいは欧州議会との連携が必要であると指摘されている.

図 1 E U と中央アジア 回盟ド 入 ド水廿 □ □ ] ~ .  /  ・ ・ -回蕊芸撒溢回盟毬点ま函囲悪幽甜翌塁突e品■ 昌砿顎呉.回顎呉n山nLU
表 1 中央アジア諸国の GDP, 貧困人口,人間開発指標 8 0 0 2 ( 年 ) カ ザ 7 ス ク ン クルグズスクン ウズペキスタン ク ジ キ ス タ ン ト ル ク メ ニ ス タ ン 人口 0 0 1 ( 万人) 4
表 4 2 0 9 0 年国際金融機関・地域開発銀行の中央アジア支援 (単位: 0 0 1 万ドル) 欧州復興 アジア開 世界銀行 イスラム ユーラシア 国 開発銀行 発銀行 ( W B ) 開発銀行 開発銀行 計 ( E B R D ) ( A D B ) (I BD) ( E a B D ) カザフスタン 0 6
図 4 E U 2 7の対中央アジア諸国の貿易構造 ( 0 8 2 0 年 , 0 万ユーロ) 1 0 E U 2 7 とカザフスタン 口 輪人  口 翰 l l I 口
+6

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