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多様な自然環境を有する自治体における住民の防災意識について

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日本海域研究,第48号,45‑55ページ,2017 IAPANSEARESEARCH、vol.48,p.45‑55,2017

多様な自然環境を有する自治体における住民の防災意識について

−石川県白山市におけるアンケート調査に基づいて−

青木賢人l*.林紀代美

2()16年9月23口受付,Received23September2016 2017年2月3日受理,Accepted3February2017

AnAwareneSSOftheEffEctS0fNaturalDiSaSterSOntheLiveSOf

LOCalResidents.TheCaseofHakusanCity,Ishikawa,Japan

‑anEnvironmentallyDiverseMunicipality

T a t s u t o A O K I I * a n d K i y o m i H A Y A S H I '

Abstract

InJapan,anareaofmunicipalityhasexpandedduetothemergersince2000's.Asaresultofthis merger,variousnaturalenvironmentsinJapanthatoftenexperiencenaturaldisastersandhazardswere placedundertheauthorityofIocalgovernmentbodies.lnfbrmation丘omthelocalgovernmentisquite importantfbrlocalpeopleintermsofmakingpreparationstodealwithanaturaldisaster.However,after themerger,infbnnationondisasterpreparationsmeasureswascompiledatacentralgovernmentlevel andbecametoobroadandexhaustive.Peoplethusfbundthattheyhadtomakeuptheirownminds abouttheappropriatemeasuresfbrtheirrespectiveareas.Thismeansthat,attimes,manypeoplearestill notadequatelyinfbrmedastohowtopreparefbrandrespondtodisastersintheirlocalities.Inthisstudy wecarriedoutaquestionnairesurveyinHakusancitytoobservethediversityofopinionsinrelationto awarenessaboutnaturaldisasters.Thesurveyfbundthatmanyresidentswereunawareofhowto properlyrespondtovaryingtypesofnaturalhazards,particularlyless廿equentdisasterssuchas earthquakesandvoIcaniceruptions.Theauthorsconsiderthecauseofthesemisunderstandingstobe thepoorchannelsthroughwhichresidentsaccessdisasterinfbrmation.Mostlocalpeopleaccesstheir infbrmationthroughmediasourcessuchasTVIradioandnewspapersbutthistendstobeverygeneral andisaimedatanation‑wideaudience.Atthesametime,residentsalsoutilizelocalgovernment infbrmationbutthistootendstobeverybroadandgeneral.

Inordertoprovideappropriateandaccurateinibrmationonhowtodealwithnaturalhazardsand disasters,specificlocalizedinfbrmationisrequired.Localizedchannelsandmeansofcommunications suchaspresentationsandlectures,communitybasedlearninggroupsetc.arenecessarytobetterassist

Iocalresidents.

KeyWords:namraldisastel;disastermitigation,awarenessofdisaster,Iocalresidents キーワード:自然災害,防災,危険度認識,地域住民

'金沢大学人間社会学域人間科学系〒920‑ll92金沢市角間町(FacultyofHumanSciences,InstituteofHumanandSocial Sciences,KanazawaUniversity,Kakumamachi,Kanazawa,920ll92Japan)

*(Authorfbrcorrespondence)

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I . は じ め に

日本一では,2000年代の「平成の大合併」によって 基礎自治体の規模・面積が拡大した。その結果,単 一自治体の領域内に多様な自然災害の原因となる自 然現象をそのプロセスとして有する自然環境が内包

さ れ る こ と と な っ た 。 沿 岸 部 か ら 山 間 部 ま で 包 括 す る自治体では,山間部集落に配布される資料にも津 波ハザードマップが掲載され,沿岸部の集落に配布

される広報にもL砂災害の情報が提供されている 2011年の東日本大震災を受けて改訂された国の防 災基本計画で重視されている「減災」の立場では,

住民自身が災害に対する事前準備を行い,発災の際 には適切に対応することで被害を量的・質的に軽減 することが求められている。そのためには,住民自 身 が 自 地 域 に お け る 災 害 特 性 に 関 す る 事 前 の 学 習 を 通じ,避難や対策の必要性や重要│生を十分理解し,

そ の 意 識 を 維 持 ・ 向 上 さ せ る こ と が 不 可 欠 で あ る

(林・1年木,2011)。

住民が防災対策を考える上で行政からの情報は重 要 な 根 拠 と な る 。 し か し , 自 治 体 内 に 多 様 な 災 害 が 発生することによって多様な防災情報が並列的に提 供されることとなった。このため,住民自身が自分 の 生 活 圏 で 発 生 す る 災 害 に か か わ る 情 報 を 取 捨 選 択 するための災害情報リテラシーを向上させる必要に 迫 ら れ る よ う に な っ た 。 こ れ が 不 十 分 で あ れ ば , 本 来起こり得ない災害に対して過乗'」な意識を持つこと になったり,反対に本来重視すべき災害に対する意 識がスポイルされることになり,適切な優先│'偵位で 災害対応が進められない恐れが生じる

そ こ で 本 研 究 で は , 広 大 な 面 積 を 有 す る 基 礎 自 治 体に居'主する住民の,居住地域における自然災害の リ ス ク に 対 す る 認 識 に 関 す る 実 態 を 明 ら か に す る こ とを目的に,石j││県白山市内の6地区(図l)の約3,800 世帯の│主民を対象にアンケート調査を行った。アン ケートの実施対象とする地区の選定に際しては,白 山市が2014年に発行した総合ハザードマップ')を基 礎資料として,「火山噴火」「豪雪」「水害」「士砂災 害」「津波・高潮」などの各災害の影響範囲とその軽 重を組み合わせている

ア ン ケ ー ト は , 白 山 市 観 光 文 化 部 ジ オ パ ー ク 推 進 室の協力を得て,白山市の広報とともに各世帯に配 布し,郵送で回収した。世帯人員に関わりなく1世帯

につきアンケート用紙を2部ずつ配布し,可能な限り 異なる性別・年齢層の住民から回答を求めた、実施 時期は2013年Ⅱ月から2014年1月の間である。アン ケートでは,自地域で想定されている災害の特性に 対する理解の状況について,複数の災害種を明示し,

各災害種に対する危機認識の│││頁位をつけてもらう形 で 回 答 を 得 て い る 。 居 住 地 に お い て 危 険 性 が 高 い 災 害に対する認識と知識が高く,かつ,影響が小さい 災害を排除することができている状態は適切なケー スであるといえる。これに対し,居住地で起こりう る災害について不当に低く,評価しているケースや,

居住地には影響が小さい災害を過乗ll評価している ケースなどが不適切な状態として分析対象となる。

そのような不適切な状態が,どのような知識・認識・

レデイネスに基づいて生じているのか,また,どの ような地域的偏りを有しているかを検討することが 本研究の骨子となる。

Ⅱ.調査対象地区の災害特性

白山市は,2005年にl市2町5村が合併して成立した 基礎自治体で,面積755.17km2,人口109、134人(2014 年12月1日現在)となっている。市域は,活火山であ る白山(2,702m)を源流とする手取川の流域とほぼ 一致している。

白山は1600年代までは活発に火砕流を伴って噴火 していたが,1659年を最後に噴火していない2)。し かし,山体直下の微小地震の観測結果(高橋ほか,

2003;和田ほか,2004など)から地下のマグマ溜ま りの存在が指摘されており,今後の活動も危倶され る3)。また,ll̲│間部は豪雪地帯でもある◎1963年の い わ ゆ る 三 八 豪 雪 で は , 山 間 部 の 白 │ 峰 地 区 で は 480cmに達する積雪となり,約2か月間の孤立状態に 陥った。手取川では1934(昭和9)年の大水害をはじ め多くの水害が起っている4)。1980年の手取川ダム 完成以降には氾濫被害が起こっていないが,総合ハ ザードマップでは市域の広い範閉が浸水想定範囲内

となっている。

市域は沿岸部にも及んでいる。沿岸部では高潮の 被害がたびたび起きてきたとともに,東日本大震災 以降では津波被害も危倶されている5)。ll」麓部には 活断層である森本富樫断層帯がある。この断層帯は 過去約2000年間地震を起こしていないが,国の地震

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表1各地区の災害危険度.

TablelHazardofnaturaldisastersineachregion

⑤ 豪 雪 ⑥ 噴 火

② 津 波 ③ 洪 水 ④ 土 砂 災

① 地 古同吉同古同 高高高低低低 高低無無無無

S:白峰地区 Y:吉野谷地区 T:鶴来地区 MI:松任石川地区 MN:松任中奥地区 M:美川地区

低低低高低高

低高高高高高 笠伽狂姉狂小笠仙錘坐局 笠小笠小笠小

各種資料に基づいて筆者作成.地震は「地震安心マップ」,津波は「石川県津波浸水想定区域図」,洪 水・土砂災害・豪雪は「総合ハザードマップ」,噴火は「噴火シナリオ」を参考とした.

高・低・無は以下の基準による.

高:人命にかかわる,あるいは甚大な経済的被害が生じる.

低:発生する可能性はあるが,人命にかかわらない,軽微な経済的損失に限定される.

無:地形学・地質学的に影響が及ばないと判断される.

表 2 住 民 が 危 険 度 認 識 を 有 し て い る 災 害 種 と そ の 割 合 Table2Disasterswhichlocalresidents'warried.

最も心配な災害

① ② ③ ④ ⑤ ⑥

2 番 目 に 心 配 な 災 害

③ ④ ⑤ ⑥

10.6 3.6 4.2 2.4 2.8 0.4

23.1 19.5 34.2 25.3 23.8 31.1

0.0 0.9 0.3 10.5 3.4 25.1

5.6 7.2 12.6 25.1 21.3 31.1

31.3 33.5 15.3 11 0.0 0.8

25.6 27.1 28.7 30.3 41.4 9.6

14.4 11.8 8.9 7.8 10.0 2.4

INSYTMMM

14.9 15.1 41.3 52.7 57.6 25.1

0.6 0.0 0.3 5.4 1.2 44.2

2.5 2.8 11.7 15.6 10.2 18.7

25.5 21.1 17.5 0.9 0.0 0.4

46.0 57.4 25.1 23.0 28.2 11.2

(単位:%)

アンケート調査により作成.①地震,②津波,③洪水,④土砂災害⑤豪雪,⑥噴火

表 3 各 地 区 の 住 民 が 災 害 情 報 を 入 手 す る 経 路

Table3Channelsforlocalresidentstoaccessthedisasterinformation

A B C D E F G H I J 無 回 答 回 答 総 謝

517刈乃冊3691

INSYTMMM

151 210 369 448 309 241

95 130 235 269 185 158

86844511221 1237910672951111 51028112312 44193111121 41409411 哺刷棚Ⅲ川乃 5254571121 637776

163 227 393 476 330 263

(単位:人)

アンケートにより作成複数回答による.

A:テレビ・ラジオ,B:新聞・雑誌,C:書籍D:市の広報や配布物E:学校・職場で の学習,F:公民館などでの学習,G:ジオパーク,H:インターネット,I:家族や知人 との会話,J:その他

一方で,発生しても地区内に大きな被害が生じな い活断M地震(38.0%)に対して比較的高い危険度 認識をイ},している点は,過乗llな危険度認識というこ とができよう。活断層地震は人間の一生に比べて長 い 反 復 期 間 を 有 す る 自 然 現 象 で あ り , 生 活 経 験 の 中 で 危 険 度 認 識 を 獲 得 す る こ と が で き な い 災 害 種 で あ る。そり)ため,危険度認識の構築には情報を活用し

た 学 習 が 必 要 と な る 。 現 在 , 東 日 本 大 震 災 な ど の 大 規模な地震災害を契機に地震に関する情報が多く提 供されるようになっている。石川県・白山市にとっ ても県・市の中心部に大きな被害を生じさせること が想定されている森本富樫断層帯に関する情報は,

広報などを用いて多く提供されている。地区住民が 防災情報を取得する媒体としては,テレビ・ラジオ

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み 続 け ら れ る 地 域 を 創 る − 金 沢 大 学 能 登 半 島 地 地 震 学 術調査報告書一」,192‑203.

林紀代美・青木賢人,2011:津波に備える人びとと地域震 災前の南三陸町の取り組みから学ぶこと.地理,67,

96‑101.

林紀代美・青木賢人,2016:石川県の沿岸地区における津 波への防災意識・行動の特徴と課題'1本海域研究,47,

91‑lO4.

石川県教育委員会,2016:平成27年度実践的防災教育総合 支援事業実践報告書.石川県教育委員会スポーツ健康課,

石川県,46p.

松多信尚・岡田篤正・岡田真介・澤祥・平川一臣・廣内 大助・八木浩司,2016:都市圏活断層図「鶴来」.国士 地即院,Dl‑No.742.

高橋直季・平松良浩・古本宗充・三宅学・平田直,2003:

白山火山近傍での微小地震観測.地震,56,89‑94.

和田博夫・伊藤潔・大見士朗・平野憲雄,2004:白山火 山周辺の微小地震活動.京都大学防災研究所年報,47B,

59‑62

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参照

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