不完全競争市場均衡の評価
村田省三
Abstract
In this paper we consider the output levels arising from the equi librium points in Cournot duopoly game and Stackerberg duopoly game under a specified demand function and compare the effect of the di fference in cost functions on the equilibrium output levels. It may be verifieddegreethat of increasingthe difference in marginalin the outputcost is high.levels is small in th e case thatthe
不完全競争市場においては,とくに独占においてそうであるように,社会 的余剰は減少しており,パレート最適性も失われている・ここでは,パレー ト最適配分からの諦離程度を,消費者余剰によって近似しうるものと想定し て,均衡生産量を比較分析する.そのさい,パラメータ数の増大による分析 効率の低下を予防するために,簡単なモデル設定のもとで,典型的な不完全 競争市場均衡を対比する.それにさきだって,第1節では,パレート最適の 概念を再確認する.また,第2節では,完全競争市場均衡において最大とな ることが確認されているところの余剰について検討する・
1競争均衡とパレート最適
パレート最適は,あたえられた資源配分の 変更 が誰の批判もうけずに 可能であるかどうかの判定基準である.当初の資源配分公平性は問題ではな
40 経 営 と 経 済
い.その意味で,パレート最適基準が,いわゆる社会的見地から無矛盾な最 善性をともなうものとみるのは妥当ではないけれども,個人平等性のもとで は次善の最適基準といってよい.
また,消費者の効用水準に影響をあたえる変数がすべて市場で評価され,
市場価格を形成するという条件(普遍性条件)も欠くことができない.これ が仮定されない場合,たとえば外部性の影響をうけて, 競争均衡がパレー
ト最適資源配分を達成する"という命題のもつ意味も普遍的でなくなる.
1. 1 競争均衡による資源配分
2消費財 (x,y)と,それを消費する2消費者 (A,B),これら消費財を2 生産要素 (k,1 )をつかって生産する2生産者からなる経済において,完全 競争市場均衡がパレート最適な資源配分をもたらすことを確認する.
2企業の場合,生産については,各企業が,それぞれ独自に利潤を最大化 している.要素市場均衡の仮定および所与の要素価格のもとでは 2企業の 費用合計は一定であり,利潤合計も最大になっていることから,販売額合計 も最大化される.
生産のパレート最適性:販売額が最大化されていることから,生産要素のパ レート最適配分を実現していることがわかる.した がって,生産点が生産可能性曲線上にくることもわ かる.
消費のパレート最適性:各消費者はあたえられた予算と市場均衡価格のもと で効用極大化をはかり 2財のもたらす限界効用比 が価格比に等しくなるような選択をおこなう.結局,
消費者A,Bのいずれについても,
dy/dx= ‑Px/Py.
生産と消費のパレート:生産可能性曲線上の選択された点では,合計販売額 最適性 が最大化されているのであるから,そこでは,
合計販売額最大化条件:
Px x (ax/ak) =Py x (ay/ak)
Px x (ax/a1) =Py x (ay/a 1 ) が満足されており,
生産要素k,lのいずれについても,
dy/dx= ‑Px/py.
1.2 競争均衡の数理分析
各企業の利潤極大化行動がパレート最適な資源配分をもたらすことの証明 は直接的な数理分析によっても与えられる.この証明において,凸性の仮定 は重要である.微分可能な凸関数では,局所的な最大値条件がそのまま大域 的な最大値条件になる.
生産のパレート最適性
x財, y財を生産する企業の利潤関数を,それぞれ,
IIx=Px x‑(Pk k+Pl 1), IIy=py Y‑(Pk k+Pl 1), とすると,利潤極大化条件は,
aIIx/ak =Px aX/ak‑pk= 0 uIIx/u1 =Px uX/Ul‑Pl = 0
aIIy/ak =py ay/ak‑pk= 0 oIIy/al =py ay/al‑pl = 0 となる.これから,
dy/dx = ‑Px/Py ,
がえられる.生産可能性曲線上で選択される点が確定する.
42 経 営 と 経 済
消費のパレート最適性
消費者はあたえられた予算(1 )と消費財の価格水準 (Px,py)のもとで 効用を極大化する.したがって,たとえば消費者Aは,最大化問題:
MAX UA(X, y) S. T. Px X十pyy=IA
を解く.極大条件は,
aUA /aX/auA /ay= ‑Px /Py
である.消費者Bも同様に,極大条件:
aUB /aX/auB /ay= ‑Px /py をえる.
生産と消費のパレート最適
以上の分析によって,生産と消費のパレート最適性はあきらかである.消 費財X,Yのどちらについても,生産の限界変形率と消費の限界代替率は等
しく,そこからの改善が不可能である.
2 競争均衡と満足度
各経済主体が思うように行動して,それらが均衡するということは,社会 的正義の観点からどうであるかは別にしても,個人レベルでの満足度が最大 化されることを保証する.均衡以外では,たとえば消費者については,均衡 より少ない数量を,より高い価格で購入しなければならない.完全競争市場 均衡において余剰は最大になる.
余 剰
簡略にいえば,ある価格水準のもとで形成される(需要曲線の下の部分の) 面積が(その価格水準における)消費者余剰である.正確にいうと,消費者 が,貨幣のみを所持するときと,貨幣と財の組み合わせを保有するときの効
用水準の(貨幣額表示による)差を(その財の購入にたいする)消費者余剰 と定義する.それが需要曲線の下の面積に等しくなることについては,需要 関数が微分関数であることによる.
一方,生産者余剰は,均衡価格水準のもとで形成される(限界費用曲線の 上の部分の)面積である.利潤と混同されがちだが,正確には利潤に固定費 を加えた大きさをあらわしている.これは,限界費用が費用変動分のみをあ らわしていて,固定要素については反映しないことに起因する.固定費とは いえ,余剰のなかに費用項目が混入することは,概念上は望まれないことと もいえるが,余剰の大小比較についての影響はないことも事実である.余剰 は,その数値の絶対的な水準よりも,比較値としての意味が大きい.
余剰計算をめぐる問題
完全競争市場均衡はパレート最適な資源配分を達成するとともに社会的余 剰を最大化する,という理論的な命題を背景にして,ミクロ経済学からの積 極的な主張の多くは余剰概念をめぐって展開される.しかし,完全競争市場 均衡が最適な資源配分を達成するというとき,その最適の根拠は各経済主体 の主観的価値判断をそのまま受容することにある.余剰についても,計算主 体は個別消費者および個別企業である.社会的な価値判断は消えている.
なお,ひとつの市場において価格変動が起こると,それは全経済変数に波 及して,余剰計算に誤差を生じる.
3 不完全競争市場と消費者余剰
不完全競争市場においては,それがどのような不完全性であるかにかかわ らず,完全競争市場均衡に対比すると総余剰の減少がみられる.ここでは,
不完全競争市場のうち,とくに独占均衡および複占均衡(クールノー均衡お よびシュタッケルベルグ均衡)における均衡生産量の対比をおこなう.
44 経 営 と 経 済
この比較のために共通の需要関数を想定して,さらに,形式的に同ーの費 用関数を想定する.需要関数としては,具体的に,
p=60‑x を仮定する.
3. 1 費用逓増型費用関数
ここでは,費用逓増型として,第i企業の費用関数が,
Cj = Cj x2 , ( i = 1, 2)
であるケースについて検討する.係数Cj0= , 1 2)は定数である.独占 企業および完全競争企業をみるときには,形式的にl企業の分析になるから,
添字は省略する.
独 占 (1 )
独占企業の利潤 (II)は,
II (x) = (60‑x)x‑cx2 , となるから,利潤極大条件は,
。II(x) /ax=60‑2 x‑2 cx
=0, したがって,
x=30/ ( 1 +c), p=60‑30/ ( 1 +C),
が独占均衡生産量および独占均衡価格になる.固定された線型需要関数とと もに,ここでは線型の限界費用関数がえられることから,均衡生産量は費用 係数のみに依存して決定される.費用係数の増大は,限界費用 (MC)の増 大をもたらすから,均衡生産量水準は減少するとともに,均衡価格水準(独 占価格水準)は上昇する.均衡生産量水準の低落の程度は,ほぼ逆比例的で あるといってよい(図l参照).
p
MC
D
図1 独占均衡と余剰
複占 (1C)ー ク ー ル ノ ー 均 衡 ‑
第 i複占企業の費用関数 (Cjci = 1, 2) )を,
C1 (Xl) =Cl xi C2 (X2) = C2 x~
とするとき,企業(i )の利潤 (IIi)は, II 1 (Xl' X2) = (60 ‑(Xl +X2)) Xl一ClXt, II2 (Xl' X2) = (60 ‑(Xl +X2)) X2 ‑C2 X~ , となる.このとき,各企業の利潤極大条件は,
aII1 (Xl' X2) /aXl =60‑2 ( 1 +Cl)Xl十X2
。II2(Xl,X2)/aX2=0 =60‑2 (1 +C2)X2+Xl
=0 であるから,
Xl = (60+ 120c2) / (4 ( 1 +Cl)( 1 +C2) ‑ 1 ) X2= (60+ 120Cl) / (4 ( 1 +Cl) ( 1 +C2) ‑ 1 )
経 営 と 経 済 46
これに対応する均衡価格水準は,需要関数か という均衡生産量がえられる.
ら得られることになる.
同時手番のクールノー複占企業による均衡生産量水準が対称形をとるの きわめて当然なことである.実際,両企業の費用係数が同一なら生産量 は,
も同じになるが,さらに,両企業の費用係数がともに十分大であるときには,
このことは,図2か 均衡生産量は,近似的に独占均衡生産量に等しくなる.
この図は,従来型とは異なる余剰対比可能な図解である.
らみてとれるが,
図中のMMRは独占のケースでの限界収入, CMRは相手企業の反応にもと づく限界収入を示している.
ここで,
2) ,
0= 1 , MMRj=60‑2xj
2) ,
0= 1 , CMR=‑Xj,
2) ,
0= 1 , MCj= 2CiXj
である.
P 60
今LDA M
︑ ︑
園 ︑
l
h︑ ﹃
D n目
︑︑
︑一
︑︑
M
︑︑
︑︑
︑
︑
︑︑︑︑︑︑・司︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑ ︑
︑
︑
︑︑︑
. 司︑
︑
︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑
句
︑ ' 'A
ぺ︐&
V A V A
n u n u
f h u r h u
D X
クールノー均衡と余剰 図2
このケースの生産量は,完全競争均衡での生産量水準を上回る.Cj= 1
0=1,2)のケースでさえ,そのような逆転が発生する.
複占 (1S) 一一シュタッケルベルグ均衡
第 i複占企業の費用関数 (Cj0 = 1, 2))および利潤関数 (njO=1, 2)) は,前節(クールノー均衡)と同ーとするが,ここでは同時手番ではなく,
第 l企業先手のケースを検討する.
後手第2企業の利潤極大条件は,
an2(Xl, X2) /aX2= 0 であるから,これより,
2 (1 +C2) x2+xl=60
を得て,先手第1企業の利潤最大化問題が,後手第2企業の利潤最大化条件 を制約式として,
MAX nl (Xl' X2) = (60‑(Xl +X2)) Xl一ClXT
s. T. 2 ( 1 +C2)X2+Xl =60 と定式化される.
これから,先手第l企業の利潤極大条件;
an (Xl) /aXl = 0 が得られて,最適反応,
2 (Xl +Cl Xl) + (60‑2 Xl) / 2 ( 1 +C2) =60 が確定する.
均衡における第 1企業の生産量は,
xl=(30+60C2)/(2 (1 +Cl)( 1 +c2)‑1)
になる.これに対応する後手第2企業の均衡生産量は,制約条件式からもと められ,
X2= (30ー(30c2+15)/(2 (1 +Cl) (1 +C2) ‑ 1)( 1/( 1十C2)) となる.
48 経 営 と 経 済
後手第2企業の費用係数 (C2)が大であればあるほど,第l企業の生産量 (Xl)が大となる.また, ClおよびC2がともに十分大であるならば,シュ タッケルベルグ均衡は近似的に,先手企業独占ケースと同等となる.実際,
係数がCl=3以上になると,独占均衡生産量との一致性はかない高い.
また,費用係数が小さい場合には,先手第l企業の生産数量は30程度,後 手第2企業のそれは15程度であって,先手がほぼ2倍の数量を生産する結果 となっている.これは 2期間の耐久性をもっ耐久財を供給独占するケース において,独占企業が決定する第1期の生産量と第2期の生産量の関係に類 似している.もちろん,耐久財独占ゲームの場合には,第2期において,す でに高価格で購入した消費者を除外するから,第 1期より低い価格での販売 が検討される点で異なっている.シュタッケルベルグゲームでは,後手企業 も市場価格の決定権の一部を保有しており,第2期における耐久財独占企業 ほど弱い立場にはない.図3には,余剰対比が可能な新型の図解を示してい る.図中のSMRは,相手企業の反応にもとづく限界収入である.
P 60
SMR
O X, (先手)
図3 シュタッケルベルゲ均衡と余剰
なお,図中のSMRは,先手第1企業の生産量に反応して後手第2企業の 生産量が低下することから得られる(先手第 l企業の)限界収入であり,
MMR=60‑2 Xl , SMR = (Xl‑30) / ( 1 +cz), MR=MMR十SMR MC= 2Cl Xl' である.
完 全 競 争 (1 )
完全競争の場合の利潤極大条件は,
arr (X) /ax=p‑2 cx
=0
であり,均衡生産量および均衡価格は,
x=60/( 1 + 2 c) p=60‑60/ ( 1 + 2 c) ともとめられる(図4参照).
P
図4 完全競争均衡と余剰 MC
X
50 経 営 と 経 済
完全競争均衡での生産量は,完全独占均衡での生産量をつねに上回る.こ のことは自然、に理解されるが,両者の生産量の差は,費用係数の増大ととも に単調に減少していくことが,確認される.その差は,
30/(1 + 2c)(1 +c) である.
均衡生産量の比較
費用係数が同ーの場合には,完全競争における均衡生産量がもっとも大き く,以下,シュタッケルベルグ均衡,クールノー均衡,独占均衡の順に均衡 生産量が小さくなるものとかんがえられる.表lには,独占均衡 (M),シ ュタッケルベルグ均衡 (S),クールノー均衡 (C),完全競争均衡 (p) の各 々のケースにおける均衡生産量がまとめられている.シュタッケルベルグ均 衡およびクールノー均衡における添字は,第i企業 0=1,2)の生産量 であることを示す.なお,一部の数値は近似値である.
表l 均衡生産量の対比(1 )
C1= 0 C1= 1 C1= 9
C2= 0 C2= 1 C2= 9
M 30 15 3
SI 30 12.86 2.86
S2 15 11.78 2.86 C1 20 12 2.86 C2 20 12 2,86 P 60 20 3.15
費用係数が大となるほど,均衡生産量(あるいは均衡価格)水準における 差は小さくなる.実際,係数Cが, c= 3の程度でも一致性は相当に高い(表 1参照).一方,係数Cの大小によって,シュタッケルベルグ均衡とクール
p P P
+ (C=O)
¥ r ¥
訓Epi氏5¥:叩d4b{52)柏4口()31C6=)3 1) 険訟に6(.581) 443)EM (30, 30) 5) ECE(4s O(,4250, )
15)
¥ 、60F X
60 図5 各均衡点の対比(I)
ノー均衡との差異を論ずることは難しい.この両者については,費用0のケー ス以外,両者による均衡生産量の差はきわめて小さい.
費用が近似的に0であるケースでのシュタッケルベルグ・ゲームとクール ノー・ゲームの均衡生産量の差異については,このような両企業の費用構造 のもとで,先手・後手ゲームとなるための要件がみたされているかどうかと いう問題もある.そのような状況では,製品差別化もない両企業にとって,
どのような理由によって不利な後手にとどまらなければならないかを説明す るパラメータはモデル内部に存在しない.もちろん,固定費の差が大きいと みることは可能であるし,協力ゲームを考慮の射程にいれた場合にも事情は 異なったものになる.
一方で,費用が無視できない場合の個別企業の均衡生産量をみると,先手 企業の有利性が決定的なまでに失われている.このモデルでは,費用係数が 大であるときのシュタッケルベルグゲームは,事実上クールノー・モデルに なることを暗示している.したがって,経済現象としての具体性を論ずる場 合,先手・後手ゲームについては,費用のもつ効果の解釈がもとめられる.
また,同一費用係数の場合,クールノー均衡生産量の総和が,完全競争に おけるそれよりも大となることについては,これを異常な結果とみることも できるが,両者の費用係数が,実際には相当に異なっていることを示すとも
うけとれる.
52
M
' i n r︐
l n 4
s s c c
P
E'I 00.30) Ec (34. 26)
Es (38.22)
経 営 と 経 済
表2 均衡生産量の対比 (II)
C[= 0
C2= 1
P
30 (15) 30
7.5 25.71
8.57 60 (20)
C[= 1
C2= 2 15 (10) 13.63
7.73 13.04 7.82 20 (12)
I (15.45)
~"Ep(20':40) (C= 1.2)
、~Ec(21. 39)
¥Es (21.3.38.7)
60
C[= 9
c2=19
3 (1. 5) 2.93 1. 43 2.92 1. 42 3.15(1.53)
P
X
(C=O.1)
FP (60.0)
」トー・争X
図6 各均衡点の対比(1I)
X
60 60
3 . 2 限界費用一定型モデル
限界費用逓増のケースについて前節で考察したが,ここでは,限界費用一 定のケースを,線型費用関数;
C=CX ,
について検討する.係数Cは定数である.
なお,クールノー・モデルおよびシュタッケルベルグ・モデルを考察する さいには 2つの企業を考えるが,そのときは, ciCi= 1,2)を定数とし て,
Ci = Ci Xi ci = 1, 2) ,
を,それぞれの企業の費用関数と仮定する.
独占 (II)
独占企業の利潤 (IIM)は, IIM= (60‑x)x‑cx, となるから,利潤極大条件;
aIIM (x) /a (x) = 0 , より,均衡生産量:
x= (60‑c) /2, をえる.
限界費用逓増型の費用関数の場合,費用係数の増大は,逆比例的に均衡生 産量を逓減させる.これにたいして,線型費用関数では,算術的な均衡生産 量減をもたらすにすぎないから,費用係数の大小が均衡生産量にあたえる影 響はすくない.
p
MC
X
MR
図7 独占均衡と余剰
54 経 営 と 経 済
複占 (IIC) ー ク ー ル ノ ー 均 衡 一 第 i複占企業の利潤IIjci = 1, 2)は, II1 (Xl , X2) = (60‑(Xl , X2)Xl一ClXl , II2(Xl, x2)=(60ー(Xl,X2)X2一C2X2 , であるから,利潤極大条件:
aIIdaXl = 0,
aII2/ax2= 0, より,
2Xl十x2=60‑C2, Xl + 2 x2=60‑C2 ,
をえる.したがって,均衡生産量は,
Xl = (60 ‑ 2 Cl + C2) / 3 , X2= (60+Cl‑2 C2) /3 , となる.
限界費用逓増型の費用関数に比して,たとえば,第 l企業の費用係数増大
p 60 60‑χl
内J&nk
¥M
¥ ¥ い で 蜘
︑!
︑
︑︑
︑︑・1
︑ ︑ ︑
︑ ︑ ︑
︑ ︑ MC
D
X
図8 クールノー均衡と余剰
による第l企業の生産量減効果は大であり,第2企業の費用係数増大による 第1企業の生産量増効果も大であることがみてとれる.
複占 (IIS) 一一シュタッケルベルグ均衡‑
第l企業を先手,第2企業を後手とするシュタッケルベルグ・ゲームにお ける第2企業の利潤II2は,
II2(Xl, X2) = (60‑(Xl +X2) )X2一C2X2 , であるから,利潤極大条件;
aII2(Xl>X2)/ax2= 0,
より,先手・第1企業の生産量Xlにたいする最適反応関数;
X2= (60‑Xl一C2)/ 2 , がえられる.
この反応関数をもりこんだ先手・第l企業の利潤関数日lは,
II 1 (Xl> X2) = ((60 +Xl +C2) / 2 ‑Xl)Xl一ClXl'となり,利潤極大条件;
aIIl (Xl) /aXl = 0 , から,均衡生産量;
Xl =30‑Cl +C2/ 2,
をえる.これにたいして,後手・第2企業は,最適反応;
x2=15+cd 2 ‑ 3 C2/ 4, を確定する.
後手第2企業の費用係数C2の増大は,先手第l企業の均衡生産量を増大 させるが,それよりも.自企業の生産量減をもたらす効果のほうが大である.
この効果は,限界費用逓増型の費用関数のケースよりもはるかに大きいこと がわかる(表4参照).均衡生産量がすでに低水準であるときには,係数C2 が除数的に生産量水準を下落させるとしても効果は小さい.しかし,限界費 用一定型のケースでは,表4にみられる程度の生産量の下落が起こる.
56
60
60‑C2 60ーーす一一
p
、、
、、、、島、、司、 、、 、
〆〆
、、、、 、、 、 〆、 、 〆 SMR
〆 ノ
、 、 〆、 〆
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、 、 〆
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ノ ¥ ¥ ¥ 、 、 〆 、 、 、 、
30、、 ¥MR
60‑C21ノ
2 、
、MMR
図9 シュタッケルベルゲ均衡と余剰
完全競争(II)
完全競争企業の場合,利潤Hは, II (x) =px‑cx,
であるから,利潤極大条件;
p
図10完全競争均衡と余剰 MC
D
経 営 と 経 済
X, (矢手)
X
p‑c= 0,
より,市場均衡生産量は,
x=60‑c, となる.
このケースでは,費用係数の影響はきわめて小さい.
均衡生産量と余剰対比
前節でえられた結果との対比をおこなうために,ここでもCj= 1, 2, 90=1,2)としたときの均衡生産量をもとめてみよう.表3にその結 果がまとめられている.
表3
p
C = 0 M 30 C1 20 C2 20
S1 30
S2 15 P 60
(C=O)
EM 00, 30) Ec (40, 20)
Es (45,15) Ep (60, 0)
X
P
均衡生産量の対比
C = 1 29.5 19.7 19.7 29.5 14.75 59
P
(C=1) E~I (29 ,5.31.5)
Ec 09人20.6) s (44 ,3.15.7)
EP(59,1) 60
図11 各均衡点の対比 (ill)
C = 9 25.5 17.7 17.7 25.5 12. 75 51
(C=9) EM (25 ,5.34.5)
Ec 05,.424.6) Es 08.1,21.9)
Ep (51, 9) 60
p
58 経 営 と 経 済
c= 0のときにえられる結果は,費用逓増型費用関数のケースと同一であ るが,念のために結果を再掲した.表lからわかることは, c= 1のケース で,クールノー均衡とシュタッケルベルグ均衡とのあいだに,均衡生産量に おけるかなりな相違がでていることである.線型費用関数の場合,費用逓増 型にくらべて,費用係数の増大が均衡生産量の水準低下に影響しにくいこと は当然であるが,シュタッケルベルグ均衡とクールノー均衡との数量的な諦 離を増大させていることに注意すべきである.
線型費用関数の場合には,先手・後手ゲームは,均衡生産量増大と市場均 衡価格低落をもたらして,消費者余剰を大きくする.線型の場合,費用係数
表4 均衡生産量の対比(lV)
C1= 0 C1 = 1 C1= 9 C2= 1 C2= 2 c2=19 M 30(29.5) 29.5(29) 25.5(20.5) S1 30 30 30.5 S2 14.75 14 5.25 C1 20.3 20 20.3 C2 19.3 19.3 10.3
P 60 (59) 59 (58) 51 (41)
P p
EM (26, 34) EM 00, 30)
Ec (40, 20) Es (44,16)
Ec 00, 30) Es 06,24) 'tM 00, 30)
Ec (40, 20) Es (45,15)
Ep (60, 0)
X
Ep (59,1)
X
Ep (51, 9)
X
図12各均衡点の対比 (N)
増大があっても 2つのクールノー企業の均衡生産量比率は一定 (1 : 2) となるが,逓増型費用関数では,限界費用の増大とともに後手の不利性は極 端に大きくなり,事実上の先手企業独占となっていることが大きい.
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