題 名 パ ル ス 励 起 に よ るCPT一 ラ ム ゼ ー 共 鳴 の ラ イ トシ フ トに 関 す る 理 論 解 析
指 導 教 授 五 箇 繁 善 准 教 授
平 成26年2月21日 提 出
首都大学東京大学院
理 工 学 研 究 科 電 気 電 子 工 学 専 攻
学 修 番 号12882318
氏 名 高 武 恭
1.1研 究 背 景 1.1.1
1.1.2
1.2研 究 目 的 1.3
第2章
2.1
2.2CPT共 鳴 現 象
2.2.1
2.2.2
2.2
第3章
3.1パ ル ス 励 起 3.2
第4章
4.1
4.2
4.3
第5章
5.1
5.2研 究 成 果 5.3今 後 の 課 題
原 子発 振器 の発 展 原 子発 振器 の安定度
論文 の構成お よび 内容 連続励起 の ライ トシ フ ト
VCSELレ ー ザ の 変 調
2234478
133CsのD
l線 の 三 準 位 系
三準位 系の定常解
CPT共 鳴 の ラ イ トシ フ ト パ ル ス励 起 の ラム ゼ ー 共 鳴
CPT一 ラ ム ゼ ー 共 鳴
パ ル ス励 起 の ライ トシ フ ト パル ス励起 の離調変化
ライ トシ フ トの解 析 結 果
バ ッフ ァガ ス圧 力 お よび 温 度 の影 饗 結論 と今後 の課題
解析結果 のま とめ
003712356849011111122222233444
付 録Aデ ー タ表
付 録Bア ル カ リ原 子 の ライ トシ フ トにつ い て B.l
B.2
付 録C変 調 パ ラ メー タ の設 定 C.1変 調 パ ラ メー タ の影 響 C.2変 調 パ ラ メー タ の求 め方 付 録D実 験 結 果
参 考 文 献 謝 辞
異 な る ア ル カ リ 原 子 に お け る ラ イ トシ フ トの 比 較 133Cs原 子 のD
l線 とD2線 に お け る ラ イ トシ フ トの 比 較
35567780374444444555
図 目次
図2.lFM変 調 度 に よ る光 強度 比 図2.2RF変 調 に よ る 出 カ ス ペ ク トル
図2.3133CsのDl線 に お け るA型 の3準 位 系
0/9
図2.4サ イ ドバ ン ド光 の 離 調
図2.5CPT共 鳴 現 象 に よ る 吸 収 光 ス ペ ク トル 図2.6レ ー ザ 光 強 度 と △ρ33最 大 値 と の 関 係 図2.7レ ー ザ 光 強 度 に よ るFWHMの 変 化
図2.8レ ー ザ 光 強度 に よ る連 続 励 起 の ライ トシ フ ト 図2.9ラ マ ン離 調 に よ る連 続 励 起 の ライ トシ フ ト 図3.1レ ー ザ 光 の パ ル ス 系 列
図3.2パ ル ス 励 起 に よ るCPT一 ラ ム ゼ ー 共 鳴 図4.1
図4.2
図4.3離 調 変 化 に よ る 共 鳴 中 心 部 分 の 比 較 図4.4
図4.5
図4.6光 強 度 に よ る 飽 和 時 間
パ ル ス励 起 にお け る3準 位 系 の離 調 変 化 離 調 変 化 に よ るCPT一 ラムゼ ー共 鳴 の比 較
レー ザ 光 強度 に よ るパ ル ス励 起 の ライ トシ フ ト 観 測 タイ ミング と光 強 度 に よ る ライ トシ フ ト
図4.7
図4.8バ ッ フ ァ ガ ス 圧 力 に よ る 飽 和 時 間 図4.9
図4.10 図4.ll 図4.12
図4.13セ ル 温 度 に よ る ラ イ ト シ フ ト
観 測 タイ ミング とバ ッフ ァガ ス圧 力 に よ る ライ トシ フ ト
パ ル ス の繰 り返 し周 波 数 に よ る ライ トシ フ ト パ ル ス のデ ュー テ ィ比 に よ る ライ トシ フ ト パ ル ス の 自 由 発 展 時 間 に よ る ライ トシ フ ト バ ッフ ァガ ス圧 力 に よ る ライ トシ フ ト
04667892367890112234671111111222222333333333
ヨ ヨ フ 図図図図図図図図図
異 な るアル カ リ原 子 のDl線 にお け る ライ トシ フ トの比 較 133Cs原 子 のD
l線 とD2線 に お け る ライ トシ フ トの比 較 AM変 調 度 に よ る連 続 励 起 の ライ トシ フ ト
FM変 調 度 に よ る連 続励 起 の ライ トシ フ ト 位 相 差 に よ る連 続 励 起 の ライ トシ フ ト 光 強 度 を変 化 させ た 時 の ライ トシ フ ト(実験)
観 測 タイ ミング を変 化 させ た 時 の ライ トシ フ ト(実験)
パ ル ス の繰 り返 し周 波 数 を変 化 させ た 時 の ライ トシ フ ト(実験) パ ル ス のデ ュー テ ィ比 を変 化 させ た 時 の ライ トシ フ ト(実験)
567780011444445555
表 目次
表2.ll33CsのDl線 に お け る 遷 移 双 極 子 モ ー メ ン ト間 の 比 例 定 数 表4.1バ ッ フ ァ ガ ス に よ る 半 値 全 幅 の 変 化 率
表5.1バ ッ フ ァ ガ ス 圧 力 と 温 度 の 解 析 結 果 の ま と め 表5.2ラ イ トシ フ ト と 各 パ ラ メ ー タ の 関 係 の ま と め 表1基 礎 物 理 定 数
表285RbのDl線 の 光 学 特 性 表387RbのDl線 の 光 学 特 性 表4133CsのDl線 の 光 学 特 性 表5133CsのD2線 の 光 学 特 性
表685RbのDl線 にお け る遷 移 双 極 子 モ ー メ ン ト間 の比 例 定 数 表787RbのDl線 にお け る遷 移 双 極 子 モ ー メ ン ト間 の比 例 定 数 表8133CsのD2線 にお け る遷 移 双 極 子 モ ー メ ン ト問 の 比 例 定数 表9各 アル カ リ原 子 にお け る変 調 パ ラメ ー タ
45003333444451344444444444
第1章 序論
1.1研 究 背 景
1.1.1原 子 発 振 器 の 発 展
現 在,イ ン ター ネ ッ トや 携 帯 電 話 な どを代 表 とす る情 報 通 信 にお い て,高 速 ・ 安 全 ・確 実 なデ ー タ を転 送 す る こ とが 強 く求 め られ て お り,無 線 基 地 局 な どに は よ り精 密 な周 波 数 発 生 デ バ イ ス ・装 置 が 必 要 と され て い る.そ して,通 信 速 度 の 高速 化 は シ ャ ノ ン ・ハ ー トレー に よ り高 消費 電 力 も招 き うる も の で あ る.
そ の た め,移 動 体 通 信 シス テ ム に お い て 小 型 化 や 高 安 定 化 か つ省 電 力 を兼 ね備 え た発 振 器 の実 現 が望 まれ て い る.
原 子 発 振 器 は,原 子 の 固有 の スペ ク トル 線 を周 波 数 の 基 準 に利 用 した もの で, き わ め て 高精 度 な周 波 数 源 とな る[1,2].従 来 のRb原 子周 波数 標 準器 はRb原 子 を 閉 じ込 め た ガ スセ ル にRbラ ンプ か らの ポ ン ピ ン グ光 を照射 す る.原 子 は励 起 と 自然 放 出 を繰 り返 す こ とに よ り,最 終 的 に あ る基 底 状 態 に多 く集 ま る.ま た, この状 態 の 原 子 に水 晶 発 振器 か ら合 成 され た マ イ ク ロ波 を照 射 す る.こ の マ イ ク ロ波 周 波 数 が原 子 固 有 の 周 波 数 と一 致 す る 時 に,マ イ ク ロ波 遷 移 が起 こっ て 透 過 光 が 最 小 とな る[3].こ れ に 対 して,超 小 型 原 子 発 振器 は垂 直 面 発 光 レー ザ
(VCSEL:VerticalCavitySurfaceEmittingLaser)[4]とCPT共 鳴(Coherent PopulationTrapping)[5]を 用 い て,ア ル カ リ原 子 に レー ザ 光 の み を照射 す る こ と でマ イ ク ロ波 遷 移 を検 出す る こ とが 可能 で あ る[6,7].
従 来 の原 子 発 振 器 と比 較 す る と,CPT原 子発 振 器 は 主 に 以 下 の 二 つ 特徴 が 挙 げ られ る[8].一 つ 目は,従 来 の原 子 発 振器 は大 半 のエ ネ ル ギ ー がセ ル とRbラ ンプ の加 熱 で 消 費 され るが,CPT原 子 発 振 器 はRbラ ンプ を使 わ な い た め,消 費 電 力 が極 め て低 い.二 つ 目は,従 来 の原 子発 振 器 は原 子 の 励 起 に マ イ ク ロ波 共 振 器 を用 い る た め,小 型 化 に は 限界 が あ る.こ れ に対 して,CPT原 子 発 振器 は,マ イ ク ロ波 共 振器 が必 要 な い た め,サ イ ズ を小 さ くす る こ とが可 能 に な る.そ の た め,次 世代 周 波 数 デ バ イ ス と して超 小型CPT原 子発 振 器 の研 究 が盛 ん に行 わ れ て い る[9‑12].
CPT共 鳴 を 観 測 す る た め に 通 常 二 つ の 方 法 が 採 用 さ れ る.一 つ は 連 続 励 起 と 呼 ば れ,ア ル カ リ 原 子 に 連 続 な レ ー ザ 光 を 照 射 す る こ と で あ る.連 続 励 起 の 場 合 に は,レ ー ザ 光 の 強 度 が 強 い ほ ど 吸 収 ス ペ ク トル 線 幅 は 広 く な る[13,14].こ れ を パ ワ ー 広 が り(PowerBroadening)と 言 う.パ ワ ー 広 が り を 抑 制 す る た め に,ノ ー マ ン ・ラ ム ゼ ー に よ り 発 見 さ れ た ラ ム ゼ ー 共 鳴(RamseyResonance)を 応 用 させ た CPT原 子 発 振 器 が 提 案 さ れ た[15].こ のCPT一 ラ ム ゼ ー 共 鳴 を 実 現 す る の に,パ ル ス 励 起 と 呼 ば れ る 方 法 が 利 用 さ れ る,原 子 に パ ル ス レ ー ザ 光 を 繰 り 返 し て 照 射 す る こ と で,連 続 照 射 に 比 べ て 原 子 と レ ー ザ 光 の 相 互 作 用 時 間 が 短 く な る.そ
の た め,共 鳴 の スペ ク トル 線 幅 は,レ ー ザ 強 度 の増 加 に伴 う飽 和 吸 収 と衝 突 に よ る制 限 を超 え る こ とが 可 能 とな る.そ して,吸 収 ス ペ ク トル 線 幅 の狭 窄 化 に よ り,中 心 周 波 数 を確 定 しや す くな る.
1.1.2原 子 発 振 器 の 安 定 度
超 小 型 原 子 発 振 器 は従 来 の原 子 発 振 器 よ り,低 消 費 電 力 や 小 型 化 が で き るが, 高安 定化 を 図 る余 地 が あ る.超 小 型 原 子 発 振 器 の 高 安 定 化 を 図 るた め に,周 波 数 安 定度 の 改 善 が必 要 で あ る.特 に長 期 に渡 りシ ス テ ム の信 頼 性 が 要 求 され る 用 途 に適 用 す る場 合,長 期 安 定 度 が重 要 な指 標 とな る[16].
一 方 で
,磁 場 に よ る ゼ ー マ ン シ フ ト[17],原 子 問 の 相 互 作 用 に よ る 衝 突 シ フ ト [18],封 入 す る バ ッ フ ァ ガ ス に よ る バ ッ フ ァ ガ ス シ フ ト[1],入 射 光 に よ る ラ イ ト シ フ ト(ACstarkshift)[19,20]1ま 原 子 の 固 有 周 波 数 を 変 化 す る 要 因 と な る.そ の 中 で,バ ッ フ ァ ガ ス シ フ ト と ラ イ トシ フ ト は 長 期 周 波 数 安 定 度 劣 化 の 主 要 な 要 因 で あ る[21].狭 線 幅 の 共 鳴 を 観 測 す る た め,ガ ス セ ル に バ ッ フ ァ ガ ス を 導 入 し, 原 子 問 の 衝 突 と セ ル 壁 で の 衝 突 に よ る 原 子 の 緩 和 過 程 を 抑 え る こ と が で き る.
し か し,ア ル カ リ原 子 が バ ッ フ ァ ガ ス と 衝 突 し た と き に,相 互 作 用 よ りバ ッ フ ァ ガ ス シ フ トが 発 生 す る[22].そ こ で,温 度 に 対 す る 周 波 数 シ フ ト方 向 が 異 な る 二 種 類 の バ ッ フ ァ ガ ス を セ ル に 封 入 し て お り,温 度 依 存 に お け る 周 波 数 シ フ ト を 減 少 す る こ と が で き る[1,23].そ し て,Neバ ッ フ ァ ガ ス の シ フ トに 対 し,ゼ
ロ の 周 波 数 温 度 係 数(TemperatureCoefficientofFrequency)が 発 見 さ れ た.70〜
80℃ の 範 囲 で 温 度 の 変 化 に か か わ ら ず,周 波 数 シ フ トが 一 定 に な る[24].こ の よ う な 温 度 特 性 を 利 用 し,周 波 数 安 定 度 の 改 善 を 望 ま れ て い る.
ライ トシ フ トとは,電 磁 場 中 に あ る原 子 が レー ザ 光 との相 互 作 用 に よ り,原 子 中 に電 気 双 極 子 モ ー メ ン トが誘 起 され,原 子 の エ ネ ル ギー 準 位 が シ フ トす る現 象 で あ る.連 続 励 起 の 場 合 に は,入 射 す る レー ザ の 光 強 度 に対 しライ トシ フ ト 量 は線 形 に増 加 す る.光 強 度 に対 す る周 波 数 感 度 が,バ ッ フ ァガ ス 温 度 変 化 の 周 波 数 感 度 よ り高 い の で,ラ イ トシ フ トは長 期 安 定 度 劣 化 の 主 な 要 因 だ と考 え
られ る[25].
連 続 励 起 の ライ トシ フ トを抑 え るた め に は,励 起用 レー ザ の 変調 指数 を最 適 化 す る方 法[26,27]と,ラ イ トシ フ ト変 化 率 が低 い セル 温 度 を コ ン トロール す る方 法 [28]と が あ る.こ れ らの 方 法 に よ り,長 期 安 定 度 は平 均 化 時 間1000秒 にお い て 10'lo程度 に改 善 で きた が,ま だ ま だ十 分 な値 で は無 く,ラ イ トシ フ トは依 然 と し て大 きな 劣 化 要 因 とな って い る.一 方,パ ル ス励 起 を用 い る こ とに よ り,大 幅 な ライ トシ フ ト低 減 が 可能 で あ る こ とが最 近 報 告 され て い る[29‑31].そ の結 果,
133Csセ ル で 非 常 に 高 い 周 波 数 安 定 度(200秒 に お い て2 〜3×10‑14)が実 現 され た[32] . し か し,パ ル ス 励 起 に お け る レ ー ザ 光 の 各 パ ラ メ ー タ と ラ イ トシ フ ト と の 関 係 は ま だ 不 明 で あ り,超 小 型 原 子 発 振 器 の 長 期 安 定 度 を 更 に 高 め る た め は,こ れ
ら の 関 係 を 解 明 す る 必 要 が あ っ た.
そ こで本 論 文 で は,セ シ ウ ムDl線 の3準 位 系 をモ デ ル と し,パ ル ス 励 起 にお け る ライ トシ フ ト解 析 に つ い て の研 究 を行 った.パ ル ス励 起 で は,レ ー ザ 照 射 時 に は光 と原 子 との相 互 作 用 が生 じ基 底 エ ネ ル ギ ー準 位 が シ フ トす るが,レ ー ザ 遮 断 時 に は 固有 エ ネ ル ギー 準 位 に戻 る.こ の た め,レ ー ザ 光 に依 存 した ライ ト シ フ ト量 を共 鳴周 波 数 か らの離 調 に加 え,時 間発 展 のLiouville方 程 式 で 理 論 計 算 を行 っ た.こ こで本 研 究 の 最 大 ポ イ ン トは,時 間 に よ り離 調 量 を 変 え る こ とで あ る.次 に,励 起 準位 の ポ ピュ レー シ ョン は蛍 光 信 号 に比 例 す るた め,励 起 準 位 の ポ ピ ュ レー シ ョン最 小 値 を探 索 し,対 応 す る離 調 量 を ライ トシ フ トとす る 方 法 を提 案 した.こ れ らの解 析 理 論 に基 づ き,CPT一 ラム ゼ ー 共 鳴 にお け る ライ
トシ フ トとパ ル ス励 起 の 関係 につ い て解 明 した.
1.2研 究 目 的
本 研 究 の 目的 は,パ ル ス励 起 に よ るCPT一 ラム ゼ ー 共 鳴 の ライ トシ フ トを解 析 し,ラ イ トシ フ トの低 減 お よび 周 波 数 安 定度 の 改 善 を検 討 す る こ とで あ る.
1.3論 文 の 構 成 お よび 内容
本 論 文 は全5章 で構 成 され て い る.
第1章 は 序 論 で あ る.原 子 発 振 器 の発 展 お よび 周 波 数 安 定 度 の劣 化 要 因,お よび ライ トシ フ トに 関す る研 究 動 向 につ い て述 べ,研 究 目的 を 明確 に した.
第2章 で は連 続 励 起法 の ライ トシ フ トにつ い て述 べ て い る.ま ず,超 小型 原 子 発 振 器 で は変 調 され た レー ザ光 の1次 サ イ ドバ ン ドを利 用す るた め,出 力 ス ペ ク トラ ム につ い て解 析 した.次 に,CPT共 鳴 現 象 の シ ミュ レー シ ョンを行 っ た.最 後 に,連 続 励 起 法 に よ る ライ トシ フ トの解 析 を行 っ た.
第3章 で は,パ ル ス 励 起 法 の 理 論 解 析 に つ い て 述 べ て い る.時 間 発 展 の Liouville方 程 式 を基 に してCPT一 ラム ゼ ー 共 鳴 スペ ク トル に 関 して数 値 計 算 を行 っ た.計 算 結 果 か ら,共 鳴 の線 幅 と 自由発 展 時 間 の 関係 を確 認 した.
第4章 で は,パ ル ス 励 起 法 の ラ イ トシ フ トに つ い て 述 べ て い る.パ ル ス 励 起 に よ るCPT一 ラム ゼ ー 共 鳴 の ライ トシ フ トに 関 して詳 細 な数 値 計算 を行 い,下 記 の3つ の 結 果 を 明 らか に した.① パ ル ス 励 起 法 の ライ トシ フ トは,連 続 励 起 法 よ り大 幅 に低 減 す る こ とを示 した.連 続 励 起 法 の ライ トシ フ トは光 強 度 に対 し
線 形 的 に増 加 す る が,パ ル ス励 起 法 の ライ トシ フ トは 弱 い 光 強 度 の 範 囲 で非 線 形 に変 化 す る.② 観 測 タイ ミン グ に よ る ライ トシ フ トの 変 化 の解 析 結 果 か ら, 観 測 タイ ミン グ が早 い段 階 で ライ トシ フ トが 小 さい とい うこ とを 明 らか に した.
③ 数 値 計 算 に よ りパ フ ァガ ス(緩 和 率)の 影 響 を検 討 した.
第5章 は結 論 で あ る.研 究 結 果 を ま とめ,パ ル ス励 起 法 の優位 性 と,本 解 析 法 の有 効 性 を示 した.
連 続 励 起 の ラ イ トシ フ ト
第2章
2.lVCSELレ ー ザ の 変 調
超 小 型 原 子 発 振 器 で は,VCSELを レ ー ザ 光 源 と し て,VCSELか ら放 射 さ れ る レ ー ザ 光 が ア ル カ リ原 子 と の 相 互 作 用 に よ り,CPT共 鳴 信 号 が 観 測 さ れ る.
そ こ で,ま ずVCSELレ ー ザ の 出 カ ス ペ ク ト ラ ム に つ い て 考 察 す る.
VCSELの 変 調 方 式 は 単 純 なFM変 調(FrequencyModulation),AM変 調 (AmplitudeModulation)と 異 な り,VCSELの 直 流 電 流 にRF(RadioFrequency) 信 号 を 重 畳 す る こ と で,周 波 数 と 振 幅 を 同 時 に 変 調 す る も の で あ る.こ の 両 者 を 合 わ せ てRF変 調 と 定 義 す る.RF変 調 に よ る レ ー ザ 光 の 電 界 強 度 は 次 の よ う に 書 け る[33,34].
E(り 一E。(1+Msin(t・mt+q))・e)Φ(i(ω 。t+6Sintomt)) (2.1)
こ こで 一E。は電 場 の振 幅,ω 刑は変 調 周 波 数,ω 。は キ ャ リア 周 波数 で あ る.M はAMの 変調 度,β はFMの 変 調 度,ψ はAM変 調 とFM変 調 の位 相 差 を表 し て い る.電 界 強 度 の二 乗 は,そ の 場 にお け る レー ザ 光 の 強 度 と比 例 す る.レ ー ザ 光 の強 度 と電 界 の 関係 は次 の よ うに な る.
1(り 一 ε皇CE(t)・E*(t)
2 (2.2)
一E*(t)は電 界E(t)の 共 役 複 素 数,ε 。は 真 空 中 の 誘 電 率,cは 光 の 速 度 で あ る.
そ し て,式(2.1)に お け る 電 界 か ら レ ー ザ 光 の 強 度 を 導 出 す る と,RF変 調 の ス ペ ク トラ ム は 次 式 で 与 え ら れ る.
ち二鄭1(β)岬)即)+煽(β)}s吻
+誓{」i,(β)鴫(β)}一 誓 孤(β)煽(圃
(2.3)
上 式 の 係 数Jn(β)は 第1種n次 の べ ッ セ ル 関 数 で あ る.入 射 す る レ ー ザ 光 強 度 が ε。cE3/2と 仮 定 す る と,n次 サ イ ドバ ン ドの 光 強 度1nは 式(2.3)に よ っ て 求 め られ る.VCSELに お け るAM変 調 度 は 入 射 光 の 強 度 に よ り変 動 が 小 さ い た め,本 研 究 で は,AMの 変 調 度Mを0.1に 一 定 し て 計 算 を 行 っ た.そ し て,‑1次 の サ イ ドバ ン ドの 光 強 度 は+1次 よ り 大 き い の で,位 相 差qは マ イ ナ ス の 数 値 で あ る[35].
位 相 差qが 変 調 周 波 数 に よ り 変 わ っ て,133Csを 用 い た 超 小 型 原 子 発 振 器 の 変 調 周 波 数 が4.6GHzで あ る た め,ψ を 一〇.3125π に 設 定 し た[36].FM変 調 度 β で は, VCSELへ の 注 入 電 流 強 度 に よ り変 化 す る が,超 小 型 原 子 発 振 器 は ±1次 の サ イ ド バ ン ド光 を 利 用 す る た め,土1次 の サ イ ドバ ン ドの 強 度 比 を 最 大 す る β を 使 っ た.
1
0.8
§ 'so'6
程 。.4
魯0.2
0 0
‑ 1 ‑1st
‑oth‑
一 十1st
̲±1st一
\
\ A
\ 一 一
、
腿r頭一
〆 一
【
2 46
FMmodulationindex
8 10
図2.lFM変 調 度 に よ る光 強 度 比
以 上 の よ うな条 件 の も と,光 強 度 比 とFM変 調 度 変化 との 関係 をプ ロ ッ トし た もの が 図2.1で あ る.FM変 調 度 が1.840の と ころ で,±1次 の サ イ ドバ ン ド の強 度 比 が最 大 に な る(赤 線).従 っ て,FM変 調 度 β を1.840に 設 定 す る.こ の よ うな変 調 パ ラメ ー タ設 定 に基 づ い て,RF変 調 に よ りスペ ク トル 上 で 生 じる
±n次 のサ イ ドバ ン ド成 分 は 図2.2の よ うに な る.キ ャ リア の 両側 に変調 信 号 が 非 対 称 に並 び,左 側 信 号(下 側 波 帯)が 右 側 信 号(上 側 波 帯)よ り高 い.両 側 波 帯 の 非 対 称 性 はRF変 調 の 一 つ の 特 徴 で あ る.そ して,サ イ ドバ ン ドの 次数 が 高 い ほ ど強 度 比 が減 る傾 向 に あ る.特 にlnl>3の バ ン ド信 号 には,強 度 比 が ゼ ロに 近 く
な る.
0.4
・80.3 籍
嘗
§o・2
.日
葛
コ0.1
0
一5‑4‑3‑2‑1012345
Sideband(n)
図2.2RF変 調 に よ る 出 力 ス ペ ク トル
2.2CPT共 隠鳥i現象
2.2.ll33CsのDl線 の 三 準 位 系
ガ ス セ ル に 封 入 さ れ た133Cs原 子 に は2つ の 吸 収 線 が あ り,そ れ ぞ れDl線, D2線 と 呼 ば れ る.Dl線 は 準 位62Sl/2と62Pl/2と の 間 に 遷 移 し,吸 収 波 長 が 894.593nmで あ る.ま た,D2線 は 準 位62Sl/2と62P3/2と の 間 に 遷 移 し,吸 収 波 長 が852.347nmで あ る.Dl線 に お け る 共 鳴 の ラ イ ト シ フ トはD2線 の よ り 小 さ い た め,超 小 型 原 子 発 振 器 に はDl線 が よ く 共 鳴 吸 収 線 と し て 使 わ れ て い る(付 録B).
左 円 偏 光(σ+)を 用 い て,133CsのDl線 に お け る 励 起 ス キ ー ム は 図2.3.(a)の よ う に な る.2つ の 基 底 準 位62Sl/2の 原 子 を 同 時 に 励 起 準 位62Pl/2に 励 起 さ せ る と,CPT 共 鳴 現 象 が 観 測 で き る.図2.3.(b)は,本 研 究 に お け る 三 準 位 系 の 解 析 モ デ ル で あ る.準 位ll>,12>は,そ れ ぞ れ62Sl/2のIF=3,mF=0>とIF=4,mF=0>に 対 応 し て い る.準 位13>は62Pl/2のIF=4,mF=0>と 同 じ で あ る.
26P l/2
26S l/2
F」4
mF=1
>31
F」3
F=4
F=3
mF=0
(a)
∠ γプ \
(b)
12>
図2.3133CsのDl線 に お け るA型 の3準 位 系
こ こ で,r31F32は 原 子 のpopulationの 緩 和 率,γfは 準 位 間 のcoherenceの 緩 和 率,γsは 準 位 間 の デ コ ヒ ー レ ン ス 率 で あ る.Ω ρΩ、は そ れ ぞ れll>13>間 に 共 鳴 す る probe光 と12>13>間 に 共 鳴 す るcoupling光 の ラ ビ 周 波 数,δ ρδ、は 離 調 量 を 表 し て い
る.A型 の 三 準 位 系 の 解 析 モ デ ル に お い て,時 間 依 存 のSchr6dinger方 程 式 は
‑1姥(の∂ih 〉ニHlレ(t)〉
∂'
(2.4)
と 書 け る.姥(t)は 時 間 に 依 存 し た 波 動 関 数,Hは ハ ミル トニ ア ン 行 列 で あ る.
そ して密 度 演 算 子 ρ(t)=1り〆(t)〉@ωを 時 間微 分 す れ ば
蕩 ρ(t)一蕩(ly(t)〉〈y(の1)一(蕩1レ(の〉)〈ur(の1+ly(')〉(蕩くy(の1) と な る.Schr6dinger方 程 式(2.4)よ り
儀1翻1二調
こ こ で,H*はHと 共 役 複 素 数 で あ る.こ れ を 式(2.5)に 代 入 し て
∂ ∫ 、 ∫
一 ρω=一(ρ ・H‑H・ ρ)=一[ρ ,H]
∂' 力 力
(2.5)
(2.6)
(2.7)
と 書 き 直 す こ と が で き る.こ の 方 程 式(2.7)はLiouville方 程 式 と 呼 ば れ て い る.
更 に,緩 和 項Rρ を 付 け 加 え たLiouville方 程 式 は 次 の よ う に な る.
∂ ∫
一 ρ(のニー[ρ,H]+Rρ
∂' 海
こ こ で,密 度 行 列 は
ρ 一 〔ρllρ12ρ13ρ21ρ22ρ23 ρ31ρ32ρ33〕
で あ る.三 準 位 系 に お け る緩 和 項 は
ぞ1卿 脇鞍 謝∵翫 〉
で 与 え ら れ る.次 に,ハ ミ ル トニ ア ン 行 列 を 導 出 す る.
3準 位 系 の ハ ミル トニ ア ン は
H=H‑d・Eatom
(2.8)
(2.9)
(2.10)
(2.ll)
で あ る.こ こ で,H。 、。mは非 摂 動 の 原 子 系 の ハ ミ ル トニ ア ン を 表 し,式(2.12)で 与 え ら れ る.㎎ 聡 略 は 各 準 位 の 固 有 エ ネ ル ギ ー で あ る.‑d・‑Eは 電 気 双 極 子 モ ー メ ン ト と 外 部 電 場 と の 相 互 作 用 に よ る も の で あ る.ま た,遷 移 双 極 子 モ ー メ ン
トは 式(2.13)の よ う に 書 け る.
ー
00略0略0
呵00
ー
=刑伽Hー
↓坐らooo↓ら
oo凋
ー
=β
×↓叫イ↓4
(2.12)
(2.13)
前 述 の よ う に,VCSELを 用 い て,RF変 調 に よ る ±1次 サ イ ドバ ン ド光 を 利 用 し て,原 子 に 照 射 す る.ま た,+1次 の サ イ ドバ ン ド周 波 数(ω0十 ω配)は 一1次 の サ イ ドバ ン ド周 波 数(ω 。‑tUm)よ り大 き い の で,+1次 の サ イ ドバ ン ド光 はprobe光
と し て 原 子 をll>・→13>間 に 遷 移 さ せ,‑1次 の サ イ ドバ ン ド光 はcoupling光 と し て 原 子 を12>・→13>間 に 遷 移 さ せ る 光.入 射 す る レ ー ザ 光 の 電 界 は
ム
E(t)=E .ICOS((ω 。 一 ω 配)t)+E.ICOS((ω 。+ω 配)t)
‑E‑1(e・(…‑c・nl)t+e‑i((D・ 一・・m)り+E・1(e・(・D・+・D・)t+e‑i(t…c・nl)り
22
と 書 け る.従 っ て,ラ ビ 周 波 数 は 次 の よ う に 求 め ら れ る.
乃力//
一十EE
33 ユ,α4
=ニ
6ρΩΩー
そ し て,式(2.13)と 式(2.14)の 掛 け 算 を す れ ば 次 式 を 得 る.
力=
ー
↓E↓E亟らo↓Eoo↓ら
↓Eoo↓ら
ー
=
↓E
↓4
0 0
0 0
Ω ρ 一、輪+暢)' Ωc‑i(、 。。‑t。
nl)t
2●e 5.e
(2.14)
(2.15)
Ω ρ
,(ω0十ω〃2)' 2●e
Ω ci(ωo一 ω。,)t
‑・e 2
0
(2.16) こ れ を 式(2.ll)に 代 入 し て,3準 位 系 の ハ ミル トニ ア ン は 次 の よ う に な る.
H= 0
0
%
妬θ
Ω2
力ω十妬訳沼
Ω,2
か
一 乃.Ω ・.θ 幅)' 2
一 力.皇.〜(ω0‑tUnl)'
2
(2.17)
そ し て,式(2.9)(2.10)(2.17)を 式(2.8)に 代 入 し て,更 に 式(2.18)の よ う な 回 転 系 に 乗 る と す る と
ρ13=IN・)13ei(toO+to,ii)t
ρ,,‑P,,e'(̀o・"̀o・)t
ご の ご
ρ12=ρ12em
時 間 発 展 のLiouville方 程 式 は 次 の よ う に 六 つ の 式 で 書 け る:
Ω
ρii=∫2ρ(一 ρ13+ρ31)+F31ρ33+7・(ρ22一 ρll)
Ω 〜 〜
ρ22=号(一 ρ ・・+ρ ・2)+「3・ ρ33‑7s(ρ22一 ρll)
Ω Ω
ρ33=∫2P(ρ13一 ρ31)+号(P・ ・‑P・2)‑F・ ρ33
商、一醗 一6c)一&瓦,+躯 一漁 、 嵐,一 臨 一1%、+∫ 祭 幅1)一 脇 ち 一帆 一∫鄭1+11}(P33‑P22)一 γみ
(2.18)
(2.19)
但 し,δ ρ=(ω 。+cDm)一 ω31と6c=(ω 。‑tom)‑to32は そ れ ぞ れprobe光 とcoupling 光 の 離 調 と 呼 ば れ る 量 で あ る.ω31=(M3一 ㎎)/h,ω32=(聡 一 聡)/hは 基 底 準 位
と 励 起 準 位 の 角 周 波 数 差 で あ る.そ し て,励 起 準 位 か ら の 総 放 出 率(い わ ゆ る 緩 和 率)はF3ニF31+F32で 与 え ら れ,か つ ア ル カ リ 原 子 に 対 し て γブ=r31=r32お よ び γs<<r3を 考 慮 す れ ば 良 い[37,38].(方 程 式 を 簡 単 化 す る た め,今 後iを ρ で 表 す こ と に 注 意)
密 封 の3準 位 系 に 対 し て,各 準 位 のpopulationは 式(2.20)の 条 件 を 満 た す.
ρll+ρ22+ρ33=1(2.20)
そ し て,各 準 位 の 原 子 のpopulationを 表 す ρ,.(1.ノ)は実 数 で あ る が,準 位 問 の coherenceを 表 す10i'(i≠ノ)は 複 素 数 で あ る.ま た,ρ ワ(1.ノ)とρノ,(ノ.1)は互 い に 共 役 関 係 に あ る.そ の た め,実 部 と 虚 部 を 分 離 す る こ と に よ り,式(2.19)は 簡 単 に9つ の 式 で 表 す こ と が で き る.
2.2.2三 準 位 系 の 定 常 解
レ ー ザ 光 を ア ル カ リ 原 子 に 照 射 し て 十 分 時 間 が 経 過 す る と,原 子 が 定 常 状 態 (steadystate)に 達 す る.そ れ ゆ え,各 準 位 の 原 子 のpopulationと 準 位 問 のcoherence が 時 間 の 経 過 に か か わ ら ず 一 定 の 値 に 保 た れ る.つ ま り,式(2.19)に お い て 時 間 微 分 を0と お く こ と で 定 常 解 が 求 め れ ば 良 い.
式(2.2)よ り,n次 サ イ ドバ ン ド光 の電 界 の振 幅 は En一 廉(2・21)
とな る.こ れ に対 す る ラ ビ周 波 数 が次 式 で求 め られ る.
〈ilR・E。1ノ〉 Ω ワ@)=
乃(2
.22)
一争 〈ilef1ノ〉一
ε銑 、〈ilef1ノ〉
こ こ で,li>は 基 底 準 位62sl/2,じ 〉 は 励 起 準 位62Pl/2で あ る.‑1次 サ イ ド バ ン ド 光 はcoupling光 と し て(F=4・ →F'=4)の 間 を 結 び つ け て,+1次 サ イ ド バ ン ド 光 は probe光 と し て(F=3・ →F'=4)の 問 を 結 び つ け て い る た め,Liouville方 程 式 の Ω,,
Ωcは そ れ ぞ れ Ω34t(+1),Ω 碑(‑1)と 等 価 で あ る.そ し て,σ+偏 光 を 利 用 す る 場 合 に は,133CsのDl線 の 遷 移 双 極 子 モ ー メ ン ト 〈ileflノ〉が 遷 移 双 極 子 要 素
〈」=1/2♂ ■ ニ1/2>と の 比 例 定 数 は 表2.1の よ う に 与 え ら れ る[39].
表2.ll33CsのDl線 に お け る 遷 移 双 極 子 モ ー メ ン ト間 の 比 例 定 数
F=4,mF=0 F=3,mF=0
F'=4,mF=1
傷 一傷
F'=3,mF=1
涯 一涯
従 っ て,レ ー ザ 光 強 度 の サ イ ドバ ン ド分 布 が わ か れ ば,各 ラ ビ 周 波 数 は 式(2.20) よ り算 出 さ れ る.
δ』 一 一12>
ll》
δ
P‑一 一 一 一 一 一
ωo‑2ω 贋
ω 〇 一 ω 〃1
ω0
ω0十 ω 贋
ωo+2ω 溺
図2.4サ イ ドバ ン ド光 の 離 調
そ し て,変 調 サ イ ドバ ン ド光 の 離 調 は 図(2.4)の よ う に 示 す.ま た,ラ マ ン 離 調 は 次 式 で 与 え ら れ る.
△ 。‑6P‑4
(2.23)
=2ω 襯 一 ω21
図(2.4)よ り,キ ャ リ ア 周 波 数 ω。を 決 め る と,δ.ニ ーδ、と い う 関 係 が あ る.こ の た め,probe光 とcoupling光 の 離 調 は
δ 一 生 P2
(2.24) δc2ニ ー 豊
と 書 け る.式(2.22)と(2.24)を 式(2.19)に 代 入 し て,定 常 解 が 求 め ら れ る.吸 収 の 蛍 光 信 号 は 励 起 準 位 の 原 子populationρ33と 比 例 す る の で[40],ρ33を 解 け れ ば CPT共 鳴 信 号 が 観 測 で き る.
313Kの 温 度 で,Neバ ッ フ ァ ガ ス 圧 力 に よ り,133CsのDl吸 収 線 に お け る 半 値 全 幅 で の 広 が り率 は10.85MHz/torrで あ る.こ れ ま で の 実 験 で は,Neを バ ッ フ
ァ ガ ス と し て セ ル に 封 入 し て,圧 力 が4.OkPa(30.Otorr),セ ル 温 度 が42℃(315.15K) で あ っ た[41].こ の 条 件 に 基 づ い た 半 値 全 幅 の 広 が り が324.388MHzで あ り,こ れ を133CsのDl線 の 自 然 線 幅(4.575MHz)に 加 え る と 半 値 全 幅 は328.963MHzと な る.こ の た め,半 値 半 幅 は164.482MHzと な る.即 ち,励 起 準 位 か ら の 総 放 出 率 はr,/2π=164.482MHzで あ る.
(沼裾﹃£ε
こ
一2
吸収光 の強度
一 〇.5mW/cm〈2
‑1 .OmW/cm〈2
一101
Ramandetuning△o(GHz)
2
(a)
﹁号信度T命︻㎝娚
ー
(のθ帽q5.ρ臼6) a.20
十
6
一 〇5mW/cm〈2
‑1 .OmW/cm〈2
一10010
Ramandetuning△o(kHz)
20
(b)
図2.5CPT共 鳴 現 象 に よ る 吸 収 光 ス ペ ク トル:(a),大 き な 離 調 範 囲 で の 吸 収 光 ス ペ ク トル;(b),共 鳴 中 心 付 近 でCPT信 号一の 吸 収 光 ス ペ ク トル.入 射 光 の 強 度 は そ れ ぞ れ1.OmW/cm2(赤 線),0.5mW/cm2(青 線)で あ る.
図2.5よ り,離 調 が ゼ ロ で あ る 時 に,光 と原 子 が 相 互 作 用 し な く な る た め,吸 収 さ れ た 光 が 一 番 少 な い(図(b)).即 ち,透 過 光 強 度 が 最 も 大 き い と 言 え る.こ の 時 の 原 子 集 団 は 暗 状 態(darkstate)と 呼 ば れ て い る[42,43].
1.OmW/cm2と0.5mW/cm2の 吸 収 ス ペ ク トル を 比 較 す る と,入 射 光 強 度 が 強 い ほ ど 吸 収 光 の 強 度(ρ33最 大 値)とCPT信 号 の 強 度(ρ33最 大 値 と 共 鳴 の ρ33値 と の 差) が 高 い.そ し て,CPT共 鳴 のFWHMは 吸 収 線 の も の よ り 小 さ く,両 者 は 入 射 光 強 度 に 依 存 す る こ と が 確 認 さ れ た.
吸 収 光 とCPT共 鳴 の 強 度 は レ ー ザ 光 強 度 に 対 し て 線 形 の 依 存 性 を 図(2.6)に 示 す.
4E‑5
づE3 6E2 づE1ど︿も㊤三儒﹀目≡器=
【
【 一
【
【 【
【 丹 一【L
【
【
【 【
【
【
OE+0 0
【 【
【
【
【
■AbsorPtionspecturm CPTsignal
0.20.40.60.8
Lightintensity(mW/cm2)
1
図2.6レ ー ザ 光 強 度 と △ρ33最 大 値 と の 関 係
そ し て,図2.7の 解 析 結 果 よ り,レ ー ザ 光 強 度 が 強 い 領 域 で は,吸 収 線 のFWHM は レ ー ザ 光 強 度 に 対 し てpowerbroadeningに よ る 線 形 の 依 存 性 を 示 し て い る が,
レ ー ザ 光 が 弱 く な る と,非 線 形 の 依 存 性 と な る(図a).一 方,CPT信 号 のFWHM は レ ー ザ 光 強 度 に 対 し て 線 形 の 依 存 性 を 示 し て い る(図b).
120
90 食
乙
Σ60
塁」 30
0 0
■ ■
■ ■
■ ■
1
■
■ 」■
■■
■
■
■ 量
■
■
■
■
■
0.51
Lightintensity(mW/cm2)
80
60
↑
Σ40
雲」 20
0 0
一
1
0.5
Lightintensity(mW/cm2)
1
(b)(a)
図2.7レ ー ザ 光 強 度 に よ るFWHMの 変 化.(a):吸 収 線 のFWHMが 光 強 度 に 対 す る 依 存 性.(b):CPT信 号一のFWHMが 光 強 度 に 対 す る 依 存 性.
2.2CPT共 鳴 の ラ イ トシ フ ト
基 底 準 位 と 励 起 準 位 の 間 に 生 じ る ラ イ ト シ フ トは 次 式 の よ う に 与 え ら れ る [44].
Ω2△1(2
.25)LS=‑
4△2+r2/4
こ こ で,VCSELに お け るRF変 調 は,±1次 の サ イ ドバ ン ド光 を 発 生 す る と伴 に,高 次 サ イ ドバ ン ド光 も 同 時 に 生 成 さ れ る.こ の た め,高 次 サ イ ドバ ン ド光 が,ラ イ トシ フ トに も 寄 与 す る.そ し て,図2よ り サ イ ドバ ン ドの 次 数1η1>3の 場 合 に,光 強度 比 が き わ め て低 い の で,4次 以 上 の サ イ ドバ ン ド光 か らの シ フ ト 寄 与 を無 視 す れ ば 良 い.ま た,励 起 準位F=3が 基 底 準位 との 作用 に よ る影 響 を 考 慮 す る必 要 が あ る.
刀次 サ イ ドバ ン ド光 の 離 調 量 は
A44r(n)‑6c+誓(n+1)
△431(n)ニ ム 、4f(n)+ω 。(
2.26) ム ワ@)=
A・4f(n)‑6
.+誓(n‑1)
△33,(n)=△34,(n)+ω 。
と 書 け る.こ こ で,ω 、は 二 つ の 基 底 準 位62Sl/2(F=3・ →4)の 角 周 波 数 差,ω.は 励 起 準 位62Pl/2(F'=3・ →4)の 角 周 波 数 差 を 表 し て い る.
式(2.22)(2.26)よ り 基 底 準 位ll>,12>の ラ イ ト シ フ ト は 次 の よ う に 書 け る:
五畠一濤去鴇 筆+一 五畠一浅去鶉 舞 讐+一
1Ω1ぎ(n)・ △33r(n) 4△ ㌔(n)+r,Z/4
1Ω1,.(n)・ △43t(n) 4△ 亀,(n)+r多/4
(2.27)
こ れ よ り,連 続 励 起 に よ るCPT共 鳴 の ラ イ ト シ フ ト は 式(2.28)で 算 出 で き る.
、LS,,ニ 」乙S,̲」 乙S,(2.28)
連 続 励 起 に よ る ライ トシ フ トは光 強度 に対 す る線 形 変 化 して,入 射 の レー ザ 光 は強 い ほ うが,ラ イ トシ フ トは大 き い(図2.8).
180
150 食巴
120 当 傷90
め 5 募60 鑑
30
0 0
■■
LSl LS2 LSI2
■ ■ ■ ■ ■ ■
■
0.20.40.60.8
Lightintensity(mWcm2)
1
図2.8レ ー ザ光 強度 に よ る連 続 励 起 の ライ トシ フ ト
そ して,レ ーザ 光 の強 度 が0.5mW/cm2で あ る時 に,ラ マ ン離 調 に よ る ライ ト シ フ トの変 化 は 図2.9の よ うに示 した.下 の 三 つ の 図 を見 る と,ラ マ ン離 調 が ゼ
ロの付 近 で は ライ トシ フ トは ラマ ン離 調 に対 して線 形 に変 化 して,更 に この変 化 率 が極 め て小 さい こ とが わ か っ た.
食 邑 鵜
詮
当 8 出
Ramandetuning△o(GHz)
一一一一一2{〉.4‑一 一一7T.4‑
一一一一一2{〉.277=.丑 一
一一一2θ一 一一一一一一「7L6:.8‑
‑1000100‑1000100‑1000100
Ramandetuning△o(Hz)Ramandetuning△o(Hz)Ramandetuning△o(Hz)
図2.9ラ マ ン 離 調 に よ る 連 続 励 起 の ラ イ ト シ フ ト.
1500
100
LSl LS2 LSI2
■■■
一一 一50‑
0
■
1
‑0 .5(
一 一 、5‑一
1
,0.5 一
一1000‑一 ■ ■
共 鳴
3.1パ ル ス 励 起
ラムゼ ー 共 鳴 で は安 定 した状 態 の原 子 に2回 に分 けて 電磁 波 を照射 す る こ と で,そ の原 子 が安 定 な 状 態 か ら非 安 定 な 状 態 に遷 移 し,ラ ム ゼ ー 共 鳴 が観 測 さ れ る.そ の 時 の共 鳴信 号 の 半 値 全 幅 は,2回 の電 磁 波 照 射 の 間 隔 に の み 依 存 す る.共 鳴線 幅 の狭 窄 化 や 周 波数 安 定 度 改 善 の方 法 と して,ラ ム ゼ ー 共 鳴 がCPT 原 子 発 振 器 に応 用 され て い る.こ の 場 合 に は,パ ル ス化 した レー ザ 光 を用 い て, 原 子 に 時 間 間 隔 を あ け て繰 り返 し照射 す る.
台あ5岩二晟刺
Time
〜〜
Observationtiming t=0
図3.1レ ー ザ 光 の パ ル ス 系 列
本 研 究 で は,図3.1の よ う な パ ル ス レ ー ザ を 利 用 しCPT一 ラ ム ゼ ー 共 鳴 を 解 析 し た.こ こ で,τ は パ ル ス 継 続 時 間,Tは 自 由 発 展 時 間 で あ る.そ し て,立 ち 上 が り 時 間 τ。を 経 過 す る と,共 鳴 信 号 を 観 測 す る.こ の た め,時 間 τ。が 観 測 タ イ ミ ン グ と 呼 ば れ る.パ ル ス の 振 幅 は 入 射 光 強 度 を 表 す.CPT一 ラ ム ゼ ー 共 鳴 の 半 値 全 幅(FWHM)が ラ ム ゼ ー 共 鳴 の 原 理 に よ り式(3.1)で 与 え ら れ る.こ れ に よ り,
自 由 発 展 時 間 を 長 く す れ ば,半 値 全 幅 を 狭 く す る こ と が 可 能 で あ る.
lFlfHM
=一(3 .1)
2T
継 続 時 間(パ ル スON)に お い て,レ ー ザ 光 を 原 子 に 照 射 す る.ま た,自 由 発 展 時 間(パ ル スOFF)に お い て レ ー ザ 光 を 遮 断 す る.従 っ て,式(2.22)よ りprobe光
とcoupling光 の ラ ビ 周 波 数 に 関 し て 次 の よ う な 関 係 式 が 得 ら れ る.
モΩ ρ,Ω,>0(0<t<τ)
ΩP=Ωc=0(τ<t<τ+T) (3.2)
更 に,連 続 励 起 で はLiouville方 程 式 の 定 常 解 を 求 め る こ と に 対 し て,パ ル ス 励 起 で は 時 間 発 展 のLiouville方 程 式 を 解 く こ と に な る.時 間 発 展 に よ っ て,密 度 行 列 ρ と ラ ビ 周 波 数 が 変 わ る.
時 間 発 展 のLiouville方 程 式 が9つ の 連 立 微 分 方 程 式 に 分 け る こ と が で き る た め,Runge‑Kutta法 を 用 い て 時 間 発 展 のLiouville方 程 式 を 数 値 解 析 す る こ と が で き る.そ の 結 果 と し て,CPT一 ラ ム ゼ ー 共 鳴 が 観 測 す る こ と が 可 能 と な っ た.
3.2CPT・ ラ ム ゼ ー 共 鳴
光 強 度,パ ル ス の 繰 り 返 し 周 波 数 と デ ュ ー テ ィ 比,観 測 タ イ ミ ン グ な ど の 関 数 と し て プ ロ ッ ト し たCPT一 ラ ム ゼ ー 共 鳴 の ス ペ ク トル が 図3.2で あ る.
(沼揖﹃£εど
一10‑50510
Ramandetuning△o(kHz)
(のθ刷︻︻冨.6[旨")ど
3E‑5
、2一 一
E一 一
■
■
lI
ll eEle
一5‑2502 .5
Ramandetuning△o(kHz)
5
一 〇.5mW/cm〈2‑1.OmW/cm〈2 一1000Hz‑2000Hz
(a) (b)
(聲口﹃£εど
一5 一2.5025
Ramandetuning△o(kHz)
一50%‑80%
5
(沼揖﹃£εど
(c)
一10‑505
Ramandetuning△o(kHz) 一10PtS‑50μs
‑100μs‑500ps
10
(d)
図3.2パ ル ス 励 起 に よ るCPT一 ラ ム ゼ ー 共 鳴.(a)異 な る 光 強 度 に お け る 共 鳴 の 比 較:パ ル ス の 繰 り返 し周 波 数1000Hz,デ ュ ー テ ィ 比50%,観 測 タ イ ミ ン グ10pts.
(b)異 な る パ ル ス 繰 り返 し周 波 数 に お け る 共 鳴 の 比 較:光 強 度0.5mw/cm2,デ ュ ー テ ィ 比50%,観 測 タ イ ミ ン グ10PtS.(c)異 な る デ ュ ー テ ィ 比 に お け る 共 鳴 の 比 較:
光 強 度0.5mw/cm2,パ ル ス の 繰 り返 し周 波 数1000Hz,観 測 タ イ ミ ン グ が10pts.
(d)異 な る 観 測 タ イ ミ ン グ に お け る 共 鳴 の 比 較:光 強 度05mw/cm2,パ ル ス の 繰 り 返 し 周 波 数1000Hz,デ ュ ー テ ィ 比50%.
図(a)よ り,連 続 励 起 の 共 鳴 と同 じで パル ス 励 起 に お け る ラ ムゼ ー 共 鳴 の振 幅 は入 射 光 強 度 に依 存 し,光 が強 い ほ ど振 幅 が 高 い.
そ して,パ ル ス の繰 り返 し周 波 数 とデ ュー テ ィ比 の どち らを 変 え る と,パ ル ス の 自由発 展 時 間 に影 響 す るた め,共 鳴 スペ ク トル の 半値 全 幅FWHMが 変化 す る.FWHMが 自 由発 展 時 間 の逆 数 と比 例 す る こ とは数 値 解 析 で確 認 で き,そ の 結 果 が 図(b)(c)で示 され た.
観 測 タイ ミン グ の 関数 と して プ ロ ッ トした ラムゼ ー 共 鳴 が 図(d)で あ る.観 測 時 間 が長 くなれ ば な る ほ ど,ア ル カ リ原 子 が レー ザ 光 との相 互 作 用 をす る こ と で安 定状 態 に な る.こ の た め,観 測 タイ ミン グ を遅 くす る と,同 じ光 強 度 で も ラ ムゼ ー 共 鳴 が弱 くな る.特 に,継 続 時 間(パ ル スON)が 終 わ る直 前 で の ラム ゼ ー 共 鳴 は連 続 励 起 のCPT共 鳴 と同 じで あ る(黒線) .
パ ル ス 励 起 の ラ イ トシ フ
ト
第4章