9.酒向健『実践に基づく学校経営論』1998 年。
10.酒向健『照一隅 生涯教師の歩み』2005 年。
11.酒向健・都築亨編著『特別活動を学ぶ』福村出版、1991 年。
12.寺田清一『森信三先生 立腰教育入門』1979 年。
13.日本財団 子どもの貧困対策チーム『徹底調査 子どもの貧困が日本を滅ぼす 社会的損 失 40 兆円の衝撃』文藝春秋、2016 年。
14.武蔵野東教育研究所『北原キヨの混合教育・生活療法への道 ―自閉児と健常児の教育に 捧げた生涯―』学苑社、2000 年。
15.文部科学省『生徒指導提要』2010 年
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1404008.htm(2020 年 1 月 15 日取得)。
⼩学校 特別⽀援学級の現状と課題
The Current State and Problem of the Special Support Class of the Elementary School
猶原 秀明(Hideaki NAOHARA)
1.はじめに
2006 年 12 ⽉、第 61 回国連総会で「障害者の権利に関する条約」が採択され、2008 年 5 ⽉に発効した。
我が国は、2014 年 1 ⽉に批准し、2 ⽉ 19 ⽇に同条約は、我が国において効⼒を発⽣した。
これを受け、教育の分野では、インクルーシブ教育システムの構築を⽬指し、中央教育審議会初等中等教育 分科会から「共⽣社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別⽀援教育の推進」(報告)
が出された。
この報告によると、インクルーシブ教育システムでは、「同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別 の教育的ニーズのある幼児児童⽣徒に対して、⾃⽴と社会参加を⾒据えて、その時点で教育的ニーズに最も的 確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要である。」とされている。(1)
我が国では、障害の実態と個々の児童の教育的ニーズに応じて、通常の学級のほか、特別⽀援学校、特別⽀
援学級、通級による指導、適応指導教室等の学びの場が提供されている。それぞれの場の教育を充実させるこ とが我が国のインクルーシブ教育を実効あるものにし、障害のある⼦どもの成⻑に⼤きく貢献する。
特別⽀援学級に在籍する児童や通級による指導を受ける児童の数は、年々増加している。また、発達障害を はじめ障害のある児童の実態は、多様化している。
共⽣社会の形成とインクルーシブ教育システムの構築に向けて、特別⽀援教育の重要性が増しており、個々 の教育的ニーズに応じた対応と教育の成果が強く求められている。さらに、⼼のバリアフリーを育てるなど、
障害のない児童への指導も重要性を増している。
2007 年、「これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて、特別な⽀援 を必要とする幼児児童⽣徒が在籍するすべての学校において実施されるもの」(2)として特別⽀援教育が始まっ た。その後、特別⽀援教育の体制整備を進めてきた。校内委員会の設置や特別⽀援教育コーディネーターの指 名、在籍する児童⽣徒の実態把握については進んでいるが、校外との連携や教員の専⾨性については、まだま だ不⼗分な状況である。
ここでは、特別⽀援学級に焦点を当てて、現場の状況と課題を探り、改善点について考察する。
研修会や指導、助⾔で訪問する⼩学校で、特別⽀援学級の先⽣⽅から多くの質問や相談を受ける。⽇頃の取 り組みになかなか⾃信が持てずに指導を続けている状況を少しでも改善するには、どのような取り組みをし ていくべきなのかについて考える。
2.⽅法
(1)⽬的
⼩学校の特別⽀援学級の現状を知り、課題を明らかにする。
(2)⽅法
⼩学校の特別⽀援学級担任にアンケート調査を実施する。
また、インタビューにより直接意⾒を聞き取る。
(3)対象
⼩学校の特別⽀援学級担任 65 名(アンケートの回答者数)
(4)質問項⽬
特別な教育的ニーズのある⼦どもへの指導、取り組みで、⽇常的に困っていることは何か。
該当するものにチェックする。(複数回答可)
また、その他、として⾃由記述する。
〈チェック項⽬〉
① 実態把握
② 必要な教育的ニーズのつかみ⽅(最優先課題の⾒つけ⽅)
③ 何を⽬標にすればいいのか(⽬標設定)
④ ⽬標達成のためにどのようなやり⽅をすればいいのか(指導⽅法)
⑤ ⽬標設定のためにどのような内容で取り組めばいいのか(指導内容)
⑥ 指導態勢(指導者や指導場所など)
⑦ 校内体制(学校の協⼒体制)
⑧ 校内の連携・情報共有
⑨ 家庭との連携
⑩ 校外の期間・専⾨家との連携
⑪ その他
3.結果
1チェックを1点として換算する。
① 実態把握 13 点
② 必要な教育的ニーズのつかみ⽅(最優先課題の⾒つけ⽅) 18 点
③ 何を⽬標にすればいいのか(⽬標設定) 14 点
④ ⽬標達成のためにどのようなやり⽅をすればいいのか(指導⽅法) 34 点
⑤ ⽬標設定のためにどのような内容で取り組めばいいのか(指導内容) 29 点
⑥ 指導態勢(指導者や指導場所など) 21 点
⑦ 校内体制(学校の協⼒体制) 18 点
⑧ 校内の連携・情報共有 15 点
⑨ 家庭との連携 15 点
⑩ 校外の機関・専⾨家との連携 20 点
⑪ その他 3 点
⾃由記述のまとめ
・ 発達障害の児童の進路指導
・ ⽬標設置への不安感
・ 通常学級担任との温度差
・ ⽀援員との連携
・ 指導者の数の少なさ
・ 学級編制の不適切
・ 個別の指導計画の作成の難しさ
・ 孤独感
上記結果をグラフに表す。
① 実態把握
② 必要な教育的ニーズのつかみ⽅(最優先課題の⾒つけ⽅)
③ 何を⽬標にすればいいのか(⽬標設定)
④ ⽬標達成のためにどのようなやり⽅をすればいいのか(指導⽅法)
⑤ ⽬標設定のためにどのような内容で取り組めばいいのか(指導内容)
⑥ 指導態勢(指導者や指導場所など)
⑦ 校内体制(学校の協⼒体制)
⑧ 校内の連携・情報共有
⑨ 家庭との連携
⑩ 校外の機関・専⾨家との連携 20 28
22
52 45
32 28
23 23 31
0 20 40 60 80 100
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩
普段の取り組みで困っていること
%
2.⽅法
(1)⽬的
⼩学校の特別⽀援学級の現状を知り、課題を明らかにする。
(2)⽅法
⼩学校の特別⽀援学級担任にアンケート調査を実施する。
また、インタビューにより直接意⾒を聞き取る。
(3)対象
⼩学校の特別⽀援学級担任 65 名(アンケートの回答者数)
(4)質問項⽬
特別な教育的ニーズのある⼦どもへの指導、取り組みで、⽇常的に困っていることは何か。
該当するものにチェックする。(複数回答可)
また、その他、として⾃由記述する。
〈チェック項⽬〉
① 実態把握
② 必要な教育的ニーズのつかみ⽅(最優先課題の⾒つけ⽅)
③ 何を⽬標にすればいいのか(⽬標設定)
④ ⽬標達成のためにどのようなやり⽅をすればいいのか(指導⽅法)
⑤ ⽬標設定のためにどのような内容で取り組めばいいのか(指導内容)
⑥ 指導態勢(指導者や指導場所など)
⑦ 校内体制(学校の協⼒体制)
⑧ 校内の連携・情報共有
⑨ 家庭との連携
⑩ 校外の期間・専⾨家との連携
⑪ その他
3.結果
1チェックを1点として換算する。
① 実態把握 13 点
② 必要な教育的ニーズのつかみ⽅(最優先課題の⾒つけ⽅) 18 点
③ 何を⽬標にすればいいのか(⽬標設定) 14 点
④ ⽬標達成のためにどのようなやり⽅をすればいいのか(指導⽅法) 34 点
⑤ ⽬標設定のためにどのような内容で取り組めばいいのか(指導内容) 29 点
⑥ 指導態勢(指導者や指導場所など) 21 点
⑦ 校内体制(学校の協⼒体制) 18 点
⑧ 校内の連携・情報共有 15 点
⑨ 家庭との連携 15 点
⑩ 校外の機関・専⾨家との連携 20 点
⑪ その他 3 点
⾃由記述のまとめ
・ 発達障害の児童の進路指導
・ ⽬標設置への不安感
・ 通常学級担任との温度差
・ ⽀援員との連携
・ 指導者の数の少なさ
・ 学級編制の不適切
・ 個別の指導計画の作成の難しさ
・ 孤独感
上記結果をグラフに表す。
① 実態把握
② 必要な教育的ニーズのつかみ⽅(最優先課題の⾒つけ⽅)
③ 何を⽬標にすればいいのか(⽬標設定)
④ ⽬標達成のためにどのようなやり⽅をすればいいのか(指導⽅法)
⑤ ⽬標設定のためにどのような内容で取り組めばいいのか(指導内容)
⑥ 指導態勢(指導者や指導場所など)
⑦ 校内体制(学校の協⼒体制)
⑧ 校内の連携・情報共有
⑨ 家庭との連携
⑩ 校外の機関・専⾨家との連携 20 28
22
52 45
32 28
23 23 31
0 20 40 60 80 100
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩
普段の取り組みで困っていること
%
④ 指導⽅法 ⑤ 指導内容 について、半数近くが普段の取り組みの中で指導⽅法、指導内容の設定に難し さや適切な設定であるかどうかの不安感を抱いている。また、実態把握からの⽬標設定の難しさや、設定した
⽬標の的確さに不安を抱いている。
⑥ 指導体制 ⑦ 校内体制 について、30%近くが不備を感じて指導している。また、相談できる状況では ないと回答している。
校内の体制が不⼗分である場合、校外の機関や専⾨家に指導、助⾔を得たくても、誰にどのように依頼して 良いのかが分からないとの回答が 30%あった。
聞き取りによる回答では、個別の指導計画を作成するに当たり、⽬標設定から指導⽅法、指導内容を決定す る際にまったく⾃信が持てないという回答が多かった。その点について、相談する相⼿がおらず、校内体制の 不備や教員の不⾜について多く聞かれた。通常学級の担任との連携についても、相談する時間の不⾜や考え⽅
の違いを感じ、孤独感があるとの声も多かった。
4.考察
児童数が減少しているなか、特別⽀援学級に在籍する児童数は、増加している状況である。
⽂部科学省による特別⽀援教育体制整備状況調査によると、平成 19 年度の特別⽀援学級在籍者数は、78,856
⼈であったが、平成 29 年度には、167,269 ⼈へと倍増している(3)。学級数は、平成 19 年度に 26,297 学級で あったのが平成 29 年度には、41,864 学級になっているが、児童数の増加には追いついていないのが実情であ る。すなわち、特別⽀援学級担任が担当する児童数が⼤きく増加していることになる。また、特別⽀援学級に 在籍する児童の多くは発達障害で、その実態は多様化している。
⼀⼈ひとりの教育的ニーズに応じた指導が強く求められているが、こうした状況のなかで、現場においては、
特別⽀援学級の担当者に⼤きな負担がかかっている。特別⽀援学級担任の多くが、⽇々、多忙感と不安感の中 で特別⽀援教育に取り組んでいる状況が調査結果から伺えた。担当者の少なさから、個に応じた指導の必要性 を感じながらもそれに応じきれないでいる。さらに、児童の実態把握から、⽬標の設定、指導⽅法、指導内容 の決定について、⼀⼈で取り組んでおり、なかなか相談できない状況で指導が進んでいる。適切な⽬標設定と その指導になっているのか不安を感じている。個別の指導計画の作成過程では、保護者を始め、より多くの関 係者がかかわることが教育の成果を⾼めることにつながるが、現状では、なかなか難しいようである。
⼩学校での校内委員会の設置率は、全国の幼⼩中⾼の合計ではあるが、平成 29 年度には、約 85%であった が(4)、委員会がどれ程機能しているのかは、学校によって⼤きく差がある。ただ、⽇々の指導に委員会がかか われるわけではなく、さらには、特別⽀援教育の経験や知識が豊富な委員が少ない状況では、特別⽀援学級担 当者の不安解消にはつながらないであろう。教員数の増加が⾒込めない状況では、外部の専⾨家との連携が解 決の⼀助となるであろう。しかし、調査結果からも分かるように、連携を取るのは困難なようである。最も活
⽤が考えられるのは、特別⽀援学校のセンター的機能を利⽤することである。
巡回相談は、平成 29 年度には、約 75%の実施率である(5)。巡回相談では、頻繁に来校し、指導助⾔しても らうことは難しいが、⽬標設定や指導⽅法、指導内容について相談し、⾃信が持てずに指導している状況の解 決につながるはずである。ただ、いつでも相談できる体制として、電話やメールでの相談体制を確⽴すること
で、少しは不安の解消につながると考える。
根本的な解決策としては、教員数の増加であるが、それは難しいであろう。特別⽀援教育⽀援員やボランテ ィアの活⽤があるが、特に、この状況を少しでも緩和する対策として⼤学⽣の活⽤が考えられる。現在、イン ターンシップなどで⼤学⽣が活⽤されているが、まだまだ⼗分な状況ではない。⼩学校が学⽣を活⽤しやすい ように各市で体制を整えていく必要がある。また、各⼤学が単位の認定を⾏うなど、参加しやすい状況を整え る必要がある。これには、教育委員会と⼤学との連携が不可⽋である。学校や教員が、個別で動くには限界が あり、その有効性も限定される。校外との連携が教育成果を⾼めることは明らかであるが、どことどのように 連携を依頼していいのか現場では、困っている状況である。各校に任せるのではなく、全体的な体制として整 えることが望まれる。
また、多様な教育的ニーズに応じた指導ができるよう、個々の教員の専⾨性を⾼められるようなシステムや 研修を早急に構築し、実施していく必要がある。
5.まとめ
⼩学校の特別⽀援学級の担任は、多忙感と不安感の中で⽇々取り組んでいる。
年々増加する特別⽀援学級の児童数と障害の多様性に、学級編制や担任数が追いついていない状況である。
児童の実態から、⽬標を設定し、指導⽅法、指導内容の決定をするが、相談できる相⼿も体制も整っていな いのが現状で、⾃信が持てずに実践している。教員数を増やせない状況では、学⽣の活⽤が解決策のひとつと して考えられる。⼤学と現場や教育委員会との連携を進めていかなければならない。教員の研修会で、より多 くの関係者の参画や校外との連携の必要性について話すが、現実の問題として、それが⼤変困難であることを 分かった上で、多くの担当教員が感じている具体的な指導法と指導内容を伝えていくことも、重要なことであ ることが分かった。具体的に伝えるには、実際に児童の様⼦を⾒て検討する必要がある。実情として、多くの 個別対応は難しい。研修の場で、様々な実態に対応できるような事例を中⼼に伝えていくことが必要と感じた。
引⽤⽂献
(1)初等中等教育分科会 共⽣社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別⽀援教育 の推進(報告) 2012 年
(2)⽂部科学省初等中等教育局⻑通知 「特別⽀援教育の推進について」2007 年
(3)(4)⽂部科学省初等中等教育局特別⽀援教育課 特別⽀援教育資料(平成 29 年度) 2018 年 参考⽂献
・ 特別⽀援教育の在り⽅に関する調査研究協⼒者会議 「今後の特別⽀援教育の在り⽅について(最終報 告)」 2003 年
・ 中央教育審議会初等中等教育分科会 「共⽣社会の形成に向けたインクルーシブ教育シルテム構築のた めの特別⽀援教育の推進 2012 年
・ 独⽴⾏政法⼈ 国⽴特別⽀援教育総合研究所 「すべての教員のためのインクルーシブ教育システム構 築研修ガイド」 2014 年
④ 指導⽅法 ⑤ 指導内容 について、半数近くが普段の取り組みの中で指導⽅法、指導内容の設定に難し さや適切な設定であるかどうかの不安感を抱いている。また、実態把握からの⽬標設定の難しさや、設定した
⽬標の的確さに不安を抱いている。
⑥ 指導体制 ⑦ 校内体制 について、30%近くが不備を感じて指導している。また、相談できる状況では ないと回答している。
校内の体制が不⼗分である場合、校外の機関や専⾨家に指導、助⾔を得たくても、誰にどのように依頼して 良いのかが分からないとの回答が 30%あった。
聞き取りによる回答では、個別の指導計画を作成するに当たり、⽬標設定から指導⽅法、指導内容を決定す る際にまったく⾃信が持てないという回答が多かった。その点について、相談する相⼿がおらず、校内体制の 不備や教員の不⾜について多く聞かれた。通常学級の担任との連携についても、相談する時間の不⾜や考え⽅
の違いを感じ、孤独感があるとの声も多かった。
4.考察
児童数が減少しているなか、特別⽀援学級に在籍する児童数は、増加している状況である。
⽂部科学省による特別⽀援教育体制整備状況調査によると、平成 19 年度の特別⽀援学級在籍者数は、78,856
⼈であったが、平成 29 年度には、167,269 ⼈へと倍増している(3)。学級数は、平成 19 年度に 26,297 学級で あったのが平成 29 年度には、41,864 学級になっているが、児童数の増加には追いついていないのが実情であ る。すなわち、特別⽀援学級担任が担当する児童数が⼤きく増加していることになる。また、特別⽀援学級に 在籍する児童の多くは発達障害で、その実態は多様化している。
⼀⼈ひとりの教育的ニーズに応じた指導が強く求められているが、こうした状況のなかで、現場においては、
特別⽀援学級の担当者に⼤きな負担がかかっている。特別⽀援学級担任の多くが、⽇々、多忙感と不安感の中 で特別⽀援教育に取り組んでいる状況が調査結果から伺えた。担当者の少なさから、個に応じた指導の必要性 を感じながらもそれに応じきれないでいる。さらに、児童の実態把握から、⽬標の設定、指導⽅法、指導内容 の決定について、⼀⼈で取り組んでおり、なかなか相談できない状況で指導が進んでいる。適切な⽬標設定と その指導になっているのか不安を感じている。個別の指導計画の作成過程では、保護者を始め、より多くの関 係者がかかわることが教育の成果を⾼めることにつながるが、現状では、なかなか難しいようである。
⼩学校での校内委員会の設置率は、全国の幼⼩中⾼の合計ではあるが、平成 29 年度には、約 85%であった が(4)、委員会がどれ程機能しているのかは、学校によって⼤きく差がある。ただ、⽇々の指導に委員会がかか われるわけではなく、さらには、特別⽀援教育の経験や知識が豊富な委員が少ない状況では、特別⽀援学級担 当者の不安解消にはつながらないであろう。教員数の増加が⾒込めない状況では、外部の専⾨家との連携が解 決の⼀助となるであろう。しかし、調査結果からも分かるように、連携を取るのは困難なようである。最も活
⽤が考えられるのは、特別⽀援学校のセンター的機能を利⽤することである。
巡回相談は、平成 29 年度には、約 75%の実施率である(5)。巡回相談では、頻繁に来校し、指導助⾔しても らうことは難しいが、⽬標設定や指導⽅法、指導内容について相談し、⾃信が持てずに指導している状況の解 決につながるはずである。ただ、いつでも相談できる体制として、電話やメールでの相談体制を確⽴すること
で、少しは不安の解消につながると考える。
根本的な解決策としては、教員数の増加であるが、それは難しいであろう。特別⽀援教育⽀援員やボランテ ィアの活⽤があるが、特に、この状況を少しでも緩和する対策として⼤学⽣の活⽤が考えられる。現在、イン ターンシップなどで⼤学⽣が活⽤されているが、まだまだ⼗分な状況ではない。⼩学校が学⽣を活⽤しやすい ように各市で体制を整えていく必要がある。また、各⼤学が単位の認定を⾏うなど、参加しやすい状況を整え る必要がある。これには、教育委員会と⼤学との連携が不可⽋である。学校や教員が、個別で動くには限界が あり、その有効性も限定される。校外との連携が教育成果を⾼めることは明らかであるが、どことどのように 連携を依頼していいのか現場では、困っている状況である。各校に任せるのではなく、全体的な体制として整 えることが望まれる。
また、多様な教育的ニーズに応じた指導ができるよう、個々の教員の専⾨性を⾼められるようなシステムや 研修を早急に構築し、実施していく必要がある。
5.まとめ
⼩学校の特別⽀援学級の担任は、多忙感と不安感の中で⽇々取り組んでいる。
年々増加する特別⽀援学級の児童数と障害の多様性に、学級編制や担任数が追いついていない状況である。
児童の実態から、⽬標を設定し、指導⽅法、指導内容の決定をするが、相談できる相⼿も体制も整っていな いのが現状で、⾃信が持てずに実践している。教員数を増やせない状況では、学⽣の活⽤が解決策のひとつと して考えられる。⼤学と現場や教育委員会との連携を進めていかなければならない。教員の研修会で、より多 くの関係者の参画や校外との連携の必要性について話すが、現実の問題として、それが⼤変困難であることを 分かった上で、多くの担当教員が感じている具体的な指導法と指導内容を伝えていくことも、重要なことであ ることが分かった。具体的に伝えるには、実際に児童の様⼦を⾒て検討する必要がある。実情として、多くの 個別対応は難しい。研修の場で、様々な実態に対応できるような事例を中⼼に伝えていくことが必要と感じた。
引⽤⽂献
(1)初等中等教育分科会 共⽣社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別⽀援教育 の推進(報告) 2012 年
(2)⽂部科学省初等中等教育局⻑通知 「特別⽀援教育の推進について」2007 年
(3)(4)⽂部科学省初等中等教育局特別⽀援教育課 特別⽀援教育資料(平成 29 年度) 2018 年 参考⽂献
・ 特別⽀援教育の在り⽅に関する調査研究協⼒者会議 「今後の特別⽀援教育の在り⽅について(最終報 告)」 2003 年
・ 中央教育審議会初等中等教育分科会 「共⽣社会の形成に向けたインクルーシブ教育シルテム構築のた めの特別⽀援教育の推進 2012 年
・ 独⽴⾏政法⼈ 国⽴特別⽀援教育総合研究所 「すべての教員のためのインクルーシブ教育システム構 築研修ガイド」 2014 年