秋 田大学教育文化学部教育実践研究紀要 第25号 2003年
秋田県南部 に設置予定の中高一貫校 に関する考察 I
佐藤 修司*
秋田大学教育文化学部
新 しい中高一貫校 は,秋田県南部 に,2004年4月,設 置予定 であ る. 横手工業高校 を, 総合選択制の高校 に転換 した上で,県立 の中学校を併設す るものである.今回、近 隣 の中 学校や小学校の教師,最初の入学対象者 となる中学2年生 と小学5年生,その保護者 を対 象 としたア ンケー ト調査を,2002年11月 に行 った. その結果,おおよそ,十分 な入学希望 者がいることがわか った. しか し,関心 は,普通科,特 に国際 コースに集 中 してお り,総 合技術科,特 に環境 コースは希望が少ないようである. また,入学希望者 は,大学 ・短大 進学希望者が最 も多 いが,専門学校進学希望者 もかな り多 い.一貫校 に対 して は,学習意 欲の低下が最 も懸念 されている.入学希望者を増やすためには,きちん と した学習指導 , 進路指導が求 め られる.
キーワー ド:中高一貫,構手工業高等学校,総合選択制,県立中学校
1. は じめに
秋田県では,2004年4月に県南地区,2005年4月 に県北地区 と,一校ずつ,併設型の中高一貫教育校 を設置す る計画である.2000年7月 に公表 された第 5次秋田県高等学校総合整備計画 によれば,県北 で は,大館商業高校を普通科系 と国際情報系の総合制 高等学校 に転換 し,県南では,横手工業高校 を普通 科系 と総合技術系の総合制高等学校 に転換 した上で, それぞれ県立中学校 を併設す るとされて い る(1). 中 央地区の秋田市 には2000年4月より,秋 田市立御所 野学院中学校 。高等学校 が開校 して い ることか ら, 04年 より,県内3学区それぞれに中高一貫校 が整備
されることになる(2).
大館 と横手の場合,①普通科の伝統的進学校 で は な く,いわゆる職業高校 が母体 とな って い る こと,
②職業高校を総合制 に転換す るものであること,③ 市街地 に位置 しているが,校地の狭陰,建物 ・設備
2003年1月22日受理
日ssuesandProblemsoftheUnifiedLowerand UpperSecondarySchoolSystem
‑A CaseoftheSouthernPartofAkita
*ShujiSAでO,FucultyofEducationandHuman Studies,AkitaUniversity,Akita
の老朽 に伴 う移転,改築が行われること,④近 隣 に 進学校等の高校が存在 してお り,少子化や大学進学 志向などか ら,定員割れを きたす傾向にあること(3), などが共通点 となっている.中高一貫校化す ること は,既存高校 にとっての生 き残 り戦術で もあ るわ け だが,同時に,旧来の形態を脱 し,新 しい中等教育 のあ り方を模索す る機会で もあ り,積極的な位 置づ けが必要 なところである.
横手の場合,計画では,現在の全 日制 1学年6学 級 (機械科1学級 ,土木科 1学級 ,電気科2学級 , 建築科 1学級,工業化学科1学級)杏,県立 中学校
1学年2学級,高校1学年普通科2学級 ,総合技術 科3学級 とし,全体で3学年18学級か ら,6学年21 学級 とす る.中学校で入学者を2学級分受 け入れ る
とともに,高校で新 たに3学級分を既存 の他 の中学 か ら受 け入れなければな らない.順調 に生徒集めが 進むのかどうかが問われ るところである.
本稿が分析の対象 とす るのは,文部科学省 の平成 14年度中高一貫教育実践研究指定を受 け,秋 田県教 育委員会が設置 した実践研究委員会 によるア ンケー ト調査である.筆者 は,ア ンケー ト票の作成 と,結 果の分析 に関わることがで きた.調査票 は,横手市 平鹿郡,湯沢市雄勝郡,大曲市仙北郡 の中か ら,小
表1:入学を勧めたいか
中教員 A地域 B地蟻 C地蟻 小数点 A地域 B地蟻 C地蟻 勧める 31.3 75.6 0.0 0.0 13.1 ll.8 12.5 14.6 勧めたいが ll.1 24.4 4.0 0.0 28.3 29.4 16.7 34.1 勧めない 12.1 0.0 48.0 0.0 7.1 8.8 0.0 98
表2:入学をしたいか ・させたいか (1)
中保護者 A地域 B地蟻 C地蟻 中2年生 A地域 B地蟻 C地蟻 入学桑望 24.9 48.2 0.0 0.0 27.9 54.5 0.0 0.0 断念する■ 32.7 51.8 25.0 0.0 47.9 45.5 100.0 3.6 他の高校 18.4 0.0 75.0 1.9 14.6 0.0 0.0 58.2 重畳 しない 1.8 0.0 0.0 7.5 0.0 0.0 0.0 0.0 わか らない 22.1 0.0 0.0 90.6 9.6 0.0 0.0 38.2
表3:入学をしたいか ・させたいか (2)
小俣産着 A鞄域 B地蟻 C地蟻 小5年生 A地域 B地蟻 C地蟻
入 学 希
望 22.0 33.3 19.6 8.2 31.6 32.9 38.8 24.2断 念
する 21.5 16.7 19.6 29.5 23.3 28.0 10.2 27.4入学 しない 21.5 15.5 15.2 34.4 20.7 15.9 18.4 29.0 わからない 35.1 34.5 45.7 27.9 24.4 23.2 32.7 19.4
学校33校,中学校19校を対象 とし,新設 中高一貫校 の初年度入学対象者 となる予定の小学5年生 とその 保護者200組,中学2年生 とその保護者228組 ,小学 校教員100人,中学校教員100人にアンケー ト票 を配 布 した.結果,小学校5年生195人 (回収率97.5%), その保護者196人 (98.0%),中学2年生219人 (96.1
%),その保護者218人 (95.6%),小学校教員99人
.(99.0%),中学校教員100人 (100%)か ら回答 を得 た.
本アンケー トは,新 しい一貫校への入学希望 の有 無や,期待す ること,懸念することな どを幅広 く尋 ねている.本稿 は,このアンケー ト結果の分析 を通 じて,一貫校が地域か らどう受 けとめ られているの かや,今後の課題について分析す ることとする.
2. 一貫校への入学希望
子 どもについては入学 したいか,保護者には入学 させたいか,教員には入学を勧めるかを尋ねた. こ の質問は,通学可能なところに住んでいるかどうか, 地理的な要因によって回答が大 きく左右されるため, 比較的通学が可能なA地域 (主に横手市内,中学 は 平鹿郡内の一部 も),若干困難 なB地域 (主 に平鹿 郡内の一部),かなり無理 があ るC地域 (主 に平鹿 郡内の一部 と湯沢 ・雄勝,大曲 ・仙北) とに分 けて みると,表1か ら3のような結果になった.
やはり入学希望者 (志望層 :教員の場合は推薦層) が,A地域では高い割合 となってお り,中学教員で は7割を越え,中学保護者,中学2年生 で はおおよ
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そ5割 となっている.小学校では,教員で1割程度 と低いものの,小学校保護者,小学5年生 で3割 を 越えている.おおよそ,ABCの順で,志望層 ・推 薦層 は減少 してい くが,小学校教員 と,小学5年生 では違 う傾向があらわれている.あまり現実味をもっ て受 けとめ られてお らず,通学可能性が勘案 されて いないようである.なお,選択肢 で
,
「入学 したいが,他 に入学す るだろう」 は,一貫校 の理念 などを 認め,入学 したいが,地理的な理由な どで断念す る 場合 (断念層)を想定 し
,
「入学 しない」
「他 の高校 を受験する」 は,一貫校の理念を否定 し,他 の学校 を選択す る場合 (否定層) を想定 している. ただ, 回答分布を見 る限 り,断念層 と否定層 は,作成者側 の意図 とは違 っているようであ り,
「非志望層」 として一括 して見た方がよいようである.
志望層の割合をもとに,全体の入学希望者 を予測
表4:入学希望者予測
全体 A地域 B地蟻 C地蟻 中学2年生 387 387
0
0中学保 護 者 342 342
0 0
小学5年生 545 133 187 225
すれば表4のようになる.
実際の受験者 はもっと少な くなるであろうが,お およそ定員を満たせるレベルにあると言えるだろう.
一貫校への受験者 は,通学の便など,地理的な理 由 か ら,A地域 に限定 されそ うである. 小学5年生 , 小学保護者 は,B地蟻,C地域にも希望者がいるが,
秋 田大学教育文化学部教育実践研究紀要
表5:進路希望 (1)
中保護者 中2年 生
全体 志望層 断念層 拒絶層 断念拒絶 志望層 断念層 拒絶層 断念拒絶 専 門学校 16.6 31.5 15.7 2.6 ll.0 30.3 33.3 36.2 6.3 29.2
わ か らない 8.3 7.4 10.0 7.7 9.2 0.0 0.0 0.0 0.0
その他 6.9 7.4 5.7 5.i 5.5 4.6 8.3 1,0 6.3 2.2
表6:進路希望 (2)
小保護者 小5年 生
全体 志望層 断念層 拒絶層 断念拒絶 全体 志望層 断念層 拒絶層 断念拒絶 大学 .短大 48.5 35.7 46.3 65.9 56.1 20.5 19.7 17.8 22.5 20.0
専 門学校 23.0 31.0 29.3 12.2 20.7 20.0 32.8 20.0 12.5 16.5
就職 5.6 9.5 7.3 2.4 4.9 17.9 21.3 17.8 15.0 16.5
わ か らない 15.3 9.5 12.2 14.6 13.4 40.0 24.6 44.4 45.0 44.7
実際上 は,高校受験者以上 に地理 的 に限定 され る だろ. 中学受験者 は,A地域 の中で もさ らに狭 い範 囲 に限定 され ると思われ る.
中学校の保護者 と2年生,小学校 の保護者 と5年 生 について,志嬰層,断念層,否定層 が どの よ うな 特徴 を持っ集団であるのかを,将来 の進路希望 か ら 特徴づ けると,表5,6のよ うにな った.
小学5年生 は若干特殊 だが ,おお よそ,志嬰層 , 断念層,否定層 の順 に,大学 ・短大進学希望 の割 合 が上昇 し,逆 に専門学校進学希望 の割合が低下 して いる.志望層 と否定層 との間で は,大学 ・短大進学 希望 と専門学校進学希望 の双方 とも,約30ポイ ン ト か ら40ポイ ン トの差がついてお り,大 きな違 いを見 せている.否定層が,普通科 の進学校志 向で あ るの に対 し,志望層 は,現在 の横手工業高校 を志 向す る 者 とかな り重 な っていると思われ る.小学5年生 に ついては,大学 ・短大進学希望者 の割合が各層 で あ ま り変わ らず,2割程度 にな っていること,志嬰層 では専門学校進学希望が3割 を越 え,他 の層 よ りも 相当に高 くな ってい る こと,わ らない とす る率 が , 他 の層 に比べてかな り低 く,相対的 には進路意識 が 高 い こと,などが特徴 として挙 げ られ る.
志望層 は,大学 ・短大進学希望 が一番高 い割 合 を
示 し,4割程度であるものの,3割程度 が専 門学校 進学希望 ,1割か ら2割程度が就職希望 とな って い る.志願層 の7割程度が,一貫校で教育 を終了 して 就職す るよ りは,さ らな る知識や技能 を身 に付 けよ うとしている. それ故,一貫校で は,次 の段 階へ の 進学 を可能 とす ること,そのための基礎 的で ,汎用 性 のある学力 の形成が求 め られ る.
以上 の点 は,予定 されている学科,コー ス ・学類 への選好 にも影響 を与 えていると思 われ る.興味を 持 った コース ・学類 を尋ねた ところ,表7の よ うな 結果 にな った.
全般 に,普通科国際 コースの人気が高 くな って い る.2番 目は,中学校 の保護者で は総合技術科 の シ ステム工学類 ,小学校 の保護者 は情報工学頬であり, 中学2年生で は普通科人文 コースとな っている.逮 に,数理 コースや,総合技術科環境工学類 は選好度 が低 くな っている. 国際 や工学 ,情報 は,就職 や, 専門学校 などに直接結 びつ きやすい名称であ り,就 職 に役立つ一定の技能 を身 に付 ける印象を受 けるの に対 し,人文や数理 のように,一般教 養 的 な大学 ・ 短大 に結 びっ くものや,環境 のよ うに,具体 的 な職 業 ・産業 との関わ りがイメージしに くい ものについ て は,選好度が低 くな っているようである.
表7:興味を持ったコース ・学類
全体 志望 .描 薦
中教員 中保 護者 中2年生 小教 員 小保護者 中教 具 中保 護者 中2年生 小教 員 小保護者
普 通 .国際 44.0 33.2 30.3 41.8 39.8 25.8 31.5 26.2 46.2 33.3
普 通 .人文 13.0 7.8 13.3 8.2 8.4 25.8 9.3 16.4 7.7 9.5
普通.数理 14.0 9.7 17.0 8.2 9.9 19.4 7.4 13.1 0.0 7.1
総 合.工学 1.0 16.6 ll.5 17.3 12.0 3.2 18.5 14.8 15.4 14.3
総合.情報 5.0 12.4 9.6 10.2 14.7 3.2 ll.1 13.1 15,4 26.2
総合 .環境 12.0 7.8 6.4 7.1 4.7、 16.1 ll.1 6.6 7.7 7.1 特にない ll.0 12.4 ll.9 7.1 10.5 6.5 ll.1 9.8 7.7 2.4 7 7
普通科 と総合技術科 の割合 は,小学校保護者 で, 49.9%対47.6%でおおよそ括抗 して いる ものの,中 学校保護者では,48.2%対40.7r%,中学2年生 で は 55.7%対34.5%と,普通科志 向が強 くな って いる.
保護者 に比べて,中学生 の普通科志 向 はよ り強 い.
教員の場合,中学校 で は,71.0対22.5%,小学校 で 53.9%対38.5%とな り,保護者 や中学生以上 に普通 科志向が強い.全体の回答傾向に比べれば,志望 ・ 推薦層 は普通科志向が若干低 くな って いる ものの, やはり,普通科を志向す る割合が,総合技術科 のそ れを上回 っている.
一貫校の高校部分 の学級数 は,普通科2に対 し, 総合技術科3であることか ら,総合技術科 につ いて の魅力の創出や広報が求め られることになろう. ま た,普通科 と総合技術科 との壁,コースや学類 の壁 を低 くし,生徒が幅広 く,柔軟な科 目選択 がで きる 仕組み も必要 になるだろう.
3.一貫校 に対する期待
表8,9か ら,一貫校 に求 め られ る,望 ま しい特 色 としてあげ られているものをみると,全体 と して は,じっくりと学ぶ ことが最 も高 く,6割 か ら7割 の者が選択 している.ついで,国際化や情報化 に対 応す る教育が4割程度,体験 ・ボランティア活動 や 大学 ・専門学校進学が3‑4割 となっている.スポー
表8:望 ま しい特色 (1):3つ選択 中教員 小数 貞
全体 推薦層 全体 推君層 じっ くりと学ぶ 72.0 71.0 74.7 92.3 体敷 .ボランティア活動 36.0 35.5 35.4 53.8 国際化に対応する教育 37.0 48.4 38.4 53.8 情報化に対応する教育 33.0 32.3 42.4 46.2 環境に関する学習 8.0 3.2 6.1 0.0 ものづ くりの重視 22.0 29.0 28.3 23.1 大学 .寺門学 校進 学 38.0 35.5 35.4 7.7 伝統文化等の継承 13.0 16.1 18.2 15.4 スポーツ .文化活動 37.0 29.0 15.2 7.7
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ツ ・文化活動 は,小学校教員で低 いものの,他 で は 3割程度で,特 に中学校教員で高 くなっている. 逆 に,環境 に関す る学習や,ものづ くり,伝統文化等 の継承 は若干低 くなっている.この傾向は,コース ・ 学類の選好度 と,同様の ものとなっている.
志望 ・推薦層を全体 と比較 した場合,若干 で はあ るが,国際化や情報化,体験 ・ボランテ ィア活動 の 割合が高 まっている.小学校数畠の場合は,特にじっ 1くりと学ぶの部分が高 い一方で,大学 ・専門学校進 学やスポーツ ・文化活動がかな り低 くな って いる.
小学校保護者の場合 は,じっくりと学ぶの部分 がか な り低 くな り,情報化や体験 ・ボランティア活動 の 割合を下回 っている.
中学校の保護者 について,進路希望別 に見 た とこ ろでは,専門学校希望層 において,じっ くりと学 ぶ の割合が他 に比べて低いのに対 し,体験 ・ボランティ ア活動や,情報化 に対応す る教育がかな り高 くな っ ている.小学校の保護者の場合 は,大学 ・短大 ,専 門学校,就職希望層の順 に,体験 ・ボ ラ ンテ ィア活 動,情報化 に対応す る教育が高 くなる一方 で,国際 化 に対応す る教育 は低 くなっている.就職希望層で, 伝統文化等の継承がかな り高 くな っているの も特徴 的である.
中学2年生 に別の選択肢で尋ねたところでは,義 10のように,進学のための勉強が最 も高 く,6割程 度で,続 いて,資格取得のための学習が4割程度 と なっている.全体 と志望層 との間にさほど大 きな違 いはなか ったが,進路希望別 に見 ると,専門学校 , 就職希望層で,資格取得のための学習,ふ るさとの 勉強が高 くな っている.大学 ・短大,専門学校希望 層で,進学のための勉強が7‑ 8割 と最 も高い. こ の値 に比べ ると,志望層の値 は20‑30ポイ ン トほど 低 くなっている.
一貫校 に対す る期待を見れば,学習や進学 に関わ 表9:望 ま しい特色 (2):3つ選択
中保護者 小保護者
全体 志望層 大学短大 専門学校 就職 全体 志望層 大学短大 専門学校 就l瀧 じっ くりと学ぶ 64.2 61.1 65.3 45.7 79.2 60.7 47.6 63.2 44.4 63.6 休漁 .ボランテ ィア活動 29..8 31.5 24.2 48.6 29.2 39.8 50.0 35.8 42.2 54.5 国際化に対応する教育 42.2 46.3 46.8 45.7 45.8 39.8 42.9 44.2 37.8 18.2 情報化に対応する教育 45.0 53.7 39.5 57.1 33.3 45.4 57.1 42.1 51.1 63.6 環境に蘭する学習 12.8 14.8 12.1 20.0 20.8 12.2 7.1 7.4 26.7 9.1 ものづ くりの重視 ll.9 9.3 12.1 5.7 12.5 14.8 16.7 13.7 8.9 18.2 大学 .専門学校進学 42.2 37.0 49.2 37.1 33.3 35.7 31.0 44.2 44.4 0.0 伝統文化等の継 承 15.6 14.8 13.7 14.3 16.7 13.3 14.3 13.7 13.3 45.5 スポーツ .文化活動 27.1 27.8 28.2 31.4 20.8 29.1 33.3 26.3 31.1 27.3
秋 田大学教育文化学部教育実践研究紀要
表10:中学2年生 :どんな勉強が したいか:2つ選択
全体 志望層 大字短大 専 門学校 就職
進学のための勉強 61.6 52.5 80.2 72.7 2.8 雅美に就 くための学習 25.6 21.3 25.5 12.1 52.8 資格取得のための学習 42.0 44.3 33.0 53.0 55.6
英語等国隙的教育 16.0 23.0 8.5 12.1 27.8
コ ンピューターを使 う勉強 20.5 16.4 25.5 13.6 19.4
ふ るさとの勉強 28.8 37.7 22.6 33.3 33.3
る部分 が最 も大 き く,つ いで,資格取 得 や 国 際化 ・ 情報化 への対応 な ど,きちん と した専 門的知 識 ・技 能 の獲得 が重視 されて い るよ うで あ る.従来 の職業 科 は,それぞれの学科毎 に資格取得 や,就 職 に直結 して いた. その ことの利点 は維持 され るべ きで あ る が,現在求 め られて い る もの は,よ り上 級 の学 校 へ の進学 につ なが る こと,また,特定 の職 業 ・産 業 に 限定 され る もの よ りは,語学 や情報技術 な ど,汎 用 性 の高 い知識 ・技能 なので あろ う.
4.一貫校へ の懸念
表11,12に見 られ るよ うに,全 体 で ,最 も懸 念 さ れて い る ことは学 習意欲 の低下 で あ り,続 いて小 学 生 によ る進路選択,6年 間同 じメ ンバ ーで あ る こ と で あ り,これ らは小 中学校 の教員 ,保 護 者 の全 て で 4割 を越 えて い る. おお よそ3割程度 の レベルには, 全員 が入学 で きない場合 が あ ることや,卒業 後 の進 学 の こと,一貫校 の中学 か ら既存 の高校 へ進 学 す る 場合 ,が位 置す る.受験競争 の低年齢化 は2割 程 度 で,卒業後 の進路 につ いて は1割 程 度 に と ど ま る.
小学校 の教員 だ けは,小学生 が進路選択 をす ること, 6年 間同 じメ ンバ ーであ る ことの下 に,学 習意 欲 の 低下 が位置付 いて い る. なお,小学校 の教員 と保 護 者 にだ け,中学生 と高校生 が一緒 の大 きな集 団 の 中 で生活 す ることにつ いて選択肢 を設 けた ところ,3
割 を越 えて選択 されて いた.
志望 ・推薦層 と,断念 ・否定層 とを比較 した場合, 中学校教員 で は,学習意欲 の低下 が最 も高 い こ とは 共通 す るが,推薦層 で そ の割 合 が低 くな って い る.
また,受験競争 の低年齢化 や,卒業後 の進 路 も低 く な って い る. 断念 ・否定層 は,や は り一貫校 で の学 習指導 ,進路指導 に対 し,推薦層 よ り も強 い懸 念 を 抱 いて い るよ うで あ る.小学校教員 の場合 ,学 習 意 欲 の低下 は,断念 ・否定層 に比 べて推薦層 で か な り 低 くな ってお り,6年 間同 じメ ンバ ーで あ ることや, 小学生 が進路選択をす ることの方で危供が大 きくなっ て い る.
中学保護者 と小学校保護者 の志望層双方 で,全 員 が入学 で きない ことが6割近 くと,最 も高 くな って い る. 断念 ・否定層 が2割程度 で あ る ことに比 べて 表11:懸念されること (1)3つ選択
中保護者 小保護者
全体 志望層 断念否定 大学短大 専門学校 就職 全体 志望層. 断念否定 大学短 大 専門 学 校 就漉 全員入学で きない 33.0 57.4 26.4 24.2 36.1 45.8 27.6 59.5 19.5 14.7 40.0 45.5
受巌競争の低年齢化 31.7 38.9 24.5 24.2 30.6 50.0 12.8 7.1 12.2 12.6 ll.1 36.4
小学生の進路選択 40.8 27.8 46.4 39.5 47.2 41.7 49.5 40.5 43.9 43.2 53.3 45.5
学習意欲の低下 59.2 44.4 68.2 64.5 52.8 58.3 53.1 35.7 59.8 58.9 53.3 18.2
同 じメンバーの人間関係 50.5 40.7 51.8 52.4 52.8 37.5 40.3 45.2 37.8 37.9 37.8 45.5
中高の大 きな集団 38.3 45.2 36,6 35.8 46.7 36.4
既存高校 への進学 26.1 25.9 30.9 28.2 22.2 16.7 31.1 16.7 35.4 34.7 15.6 18.2
卒業後 の就破 14.2 18.5 8.2 8.1 16.7 37.5 ll.2 19.0 ll.0 6.3 22.2 27.3
表12:懸念されること (2)3つ選択
中教員 小教員
全体 志望層 断念否定 全体 志望層 断念否 定 全員入学で きない 35.0 ■38.7 30.4 17.2 23.1 14.3
受験競争の低年齢化 22.0 19.4 34.8 18.2 15.4 22.9
小学生の進路選択 39.0 35.5 39.1 58.6 69.2 54.3
学習意欲の低 下 71.0 67.7 78.3 40.4 15.4 42.9
同 じメ ンバ ーの人間関係 55.0 51.6 56.5 53.5 76.9 45.7
中高の大 きな集団 30.3 15.4 31.4
既存高校 への進学 42.0 38.7 39.1 34.3 46.2 40.0
卒業後 の就職 6.0 9.7 4.3 13.1 7.7 ll.4
表13:中学2年生 :心配なこと
全体 志望層 迫 ‑j‑.i:.大学短大 専門学校 就弛 ない ll.9 9.8 ll.7 13.2 10.6 8.3
合格 レベルの上昇 34.7 55.7 24.1 24.5 39.4 52.8
大学等への進学指導 ー2.3 6.6 13.9 20.8 7.6 0.0
卒業後の就地 先 ll.0 8.2 13.9 7.5 13.6 19.4
部活劫 3.7 6.6 2.2 2.8 4.5 2.8
中高生の共 同生活 18.3 6.6 24.8 23.6 16.7 8.3
学力 .意識の格差 7.3 6.6 8.0 6.6 7.6 5.6
表14:小学5年生 :心配なこと
全体 志望層 断念拒絶 大学短大 寺 門学 校 就漉 ない 13.0 16.4 8.2 17.9 10.5 14.3
勉弓創こついて いけるか 15.0 14.8 12.9 7.7 15.8 8.6
通学 23.8 23.0 27.1 35.9 15.8 28.6
友達 との関係 19.2 21.3 21.2 7.7 34.2 17.1
小学校 の友達 と違 う学校 19.2 16.4 18.8 15.4 13.2 28.6
兄弟 と違う学校 2.1 0.0 2.4 5.1 0.0 0.0
高校生 が上級生 4.7 .3.3 5.9 5.1 5.3 2.9
かな り高い.入学を希望す るが故 に,他の希望者 が 多 くな り,自分の子 どもが入学で きな くなることに 対 して強 い危倶を抱 いていることが見て取れる.逆 に,学習意欲の低下 は志望層で低 くなっている. 断 念 ・否定層 は,学習意欲の低下や,既存 の高校 に進 学す る場合で高 くなってお り,やはり,学習指導 ・ 進路指導への懸念が大 きいようである.
中学校の保護者 につ いて,準路希望別 に見 ると, 共通 して学習意欲の低下が最 も高 く,あまり大 きな 格差 は見 られない.全員入学で きないことや,受験 競争の低年齢化,卒業後の就職 などは,大学 ・短大, 専門学校,就職希望層の順で高 くなっている. 既存 高校への進学や卒業後 の進学 は逆のパターンを示す.
小学校の保護者の場合 もおおよそ同 じ傾向を示 して いるが,学習意欲 の低下 については,就職希望層 で かな り低 くなっている.
中学2年生の場合 は,合格 レベルの上昇が最 も高 く,特 に志望層では5割を越えている.断念 ・否定 層では,進学指導,就職先,中高生 の共 同生活 が高 くな っている.断念 ・否定層 は,自分が入学 す る場 合を想定 して,合格 レベルの上昇を懸念 して い ると いうことであ り,志望層 に比べて低 くなることは予 想 に難 くない.志望層 と断念 ・否定層 との間で,就 職先の差 は5ポイ ン ト,進学指導の差 は7ポイ ン ト
はどしかないのに対 し,中高生の共同生活 につ いて は,20ポイ ン ト近 い差がついている.断念 ・否定層 にとって,進学 した高校 (一貫校) に,中学生 が い ること自体,大 きな懸念材料 となっているよ うで あ
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る.高校生だけで構成 されている方が,学校生活全 般がや りやすいと判断 しているわけだが,県南地方 では,中高一貫校が これまで身近 にな く,中学生 と 高校生が同 じ敷地,校舎 にいることをイメー ジ しに
くいことも原因 と考え られる.
進路希望別では,大学 ・短大,専 門学校 ,就職希 望層の順で,合格 レベルの上昇 が高 くな って い る.
率 は低 いが,卒業後の就職先 も同 じ傾向を示 して い る.逆のパ ター ンを示 しているのは,中高生 の共 同 生活,大学等への進学指導である.
小学5年生の場合 は,通学が最 も高 くなっている.
続 いて,友達 との関係や,小学校の友達 と違 う学校 に行 くこと,勉強についていけるかが位置す る. 志 望層 と,断念 ・否定層 に大 きな違 いはないが,心配 事がないとす る割合が,志望層 で高 くな って いる.
他の点では大 きな差 は見 られない.進路希望別では, 通学や,友達 との関係,小学校の友達 と違 う学校 に 行 くことで,率の差が見 られ る.
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全般的に,一貫校が,横手工業高校 を母体 と して いることか ら,近隣の横手高校のような進学校 に変 化す ると考える小中学校教員,保護者,児童 ・生徒 はいないであろうし,また現実的ではない.断念 ・ 否定層の うち,旧来型の進学校希望者を入学希望者
に取 り込む必要 はないと考えるが,そ うでない部分 で,高校入試がないことによる中だるみ,学習意欲 の低下を心配す る声 にはきちん と対応す る必要があ る. そのことは志望層 に対 して も,必要 なことだ ろ
秋 田大学教育文化学部教育実践研究紀要