要素価格均等化理論 : サミュエルソンから非線型 計画理論へ
その他のタイトル The Theory of International Factor Price Equalization
著者 木村 滋
雑誌名 關西大學商學論集
巻 7
号 4
ページ 313‑349
発行年 1962‑10‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00021661
313
要素価格均等化理論︵木村︶ 自由貿易は輸送費なきものと仮定すれば商品価格を国際的に均等化するが︑それと同時に︑国際間で移動しないと仮定された労働や資本などの生産要素の価格までも国際的に均等化するであろうか︒そしてもし要素価格均等化が可能であるとすればそれはどのような仮定のもとでのことなのであるか︒ヘクシャー
11
オリーン︹1
︺ ︹
2︺以来
この問題ー~要素価格均等化定理ーーをめぐって実に数多くの文献があらわれておりまたあらわれつつある。 き
令 ヽ
ま え カ
あ と
が
き 二︑非線型計画と要素価格均等化 二︑要素価格均等化定理の若干の問題点 一︑要素価格均等化定理の証明 ま
ぇ
が
き
目 次
ーサミュエルソンから非線型計画理論ヘー・
要 素 価 格 均 等 化 理 論
木
村
四七
滋
(4
) ︑両財は生産要素集約性を異にする︒食物は衣服に比べて相対的に土地集約的であり︑衣服は食物に比べて
相対的に労働集約的であるとする︒その意味は︑ある与えられたる賃金・地代比率のもとでの労働・土地の最適投
入比率は食物生産におけるよりも衣服生産においてヨリ大であるということである︒
(5
) ︑生産要素の質は両国で同質であり︑生産函数は同一の財については両国で同じである︒
(6
) ︑生産要素の国際移動ほ全く行われないが︑財の国際移動は完全に自由であり︑関税や輸送費は存在しない︒
完全競争が行われていて二財の市場価格比率は両国で均等化する︒
( 3
) ︑限界生産力逓減法則が作用する︒ ︑二国︵アメリカと.ヨーロッパ︶(1)
(2
︑両財は二生産要素︵労働と土地︶)
( c o n
s t a n
t r
e t
u r
n s
t o
s c a l
e )
である3すなわち生産函数は一次同次である︒ ︹仮定︺
要 素 価 格 均 等 化 定 理 の 証 明
の適用を考察しようと意図している︒ ここでわたくしはまずこの理論への入門的文献としてのサミュニルソン︹3
︺ ︹
4︺に依拠しつつ要素価格均等化
定理の証明を解説し︑その若干の問題点をとりあげ︑
1︑仮定と定理 要素価格均等化理論︵木村︶
のみが存在し︑両国は二財︵食物と衣服︶
のみ を生 産す る︒
のみを用いて生産される︒生産函数は規模にかんして収益不変 ついで非線型計画理論の宇沢︹5︺によるこの均等化問題へ 四八
要素価格均等化理論︵木村︶ >.L 碍I :1 L o l
畔↑一
り
労 債
2︑定理の証明
31
Lf
0I ー
食物 :l:地
第1図
Tl
ア メ リ カ の box‑diagram
四九 されねばならない︒0にたいして凸である曲線の族は食物の等生 食物生産に使用されない両生産要素の量はすべて衣服生産に使用 し︑左方垂直軸は0より測って食物生産に使用された労働の量 ぞれアメリカにおける土地と労働の賦存蓋である︒したがって下
( 7
) ︑両国において両財共が両生産要素を用いて生産されており︑両国はその比較優位をもつ財の生産に特化す
﹁以上の仮定のもとでは生産要素価格比率は両国間で均等化する︒﹂
(1
) ︑ポックス・ダイアグラム
(b
ox
,d
ia
gr
am
)
以下では労働・土地賦存比率はヨーロッパの方がアメリカより
平軸
OT (あ るい は
0︑L
)
と垂直軸OL
(あ るい は
0︑T
)~それ
方水平軸は0より測って食物生産に使用された土地の量
T1
を示
Lf
・を 示し
︑上 方水 乎軸 は
0︑より測って衣服生産に使用された
土地の量
T "
を示 し︑
り 柘
̲ T
右方垂直軸は0︑より測って衣服生産に使
用された労働の量Leを示している︒完全麗用の仮定のもとでは︑ に倣って画かれたアメリカのボックス・ダイアグラムである︒水 も大であるとする︒第1
図は スト ル︒
^ 11
1サミュエルソン ︹定理︺ る傾向をもってはいるが︑
︹6︺ 一財に完全に特化するまでには到らない︒
( p
r o
d u
c t
i o
n c
o n
t r
a c
t
curve)..lJ~t,る。例えぼR点とC
点を 比べ よ︒
一定の食物生産のもとで︵両点は同じ食 産量曲線
( i s o
q u a n
t ) で ︑
0︑にたいして凸である曲線の族は衣服の等生産量曲線である︒これら等生産量曲線がそ
(1 )
れぞれの原点にたいして凸に画かれていることに注意しなければならない︒最適ボジションを表わす諸点の軌跡は︑
両財の等生産量曲線の接点を結ぶことによってうることができる曲線
物等生産量曲線上にある︶衣服生産を最大ならしめるのはR点ではなくてC点である︒この契約曲線上の点では労
働の土地にたいする限界代替率
Rf
すなわち労賃・地代比率が両財生産において一致していることはこの曲線の性
質より明らかなことである︒なおこの生産契約曲線がポックス・ダイアグラムの右下隅の点にたいして凸となって
(2 )
いることにも注意しなければならない︒
(2
)︑生産可能性曲線
( p
r o
d u
c t
i o
n
p o s s
i b i l
i t y
c u
r v
e )
第
2.
1図の曲線
AZ
t ! ア
メリ カの
︑
az
~ヨーロッパの生産可能性曲線もしくは変形曲線(transformation
c u
r v
e )
であ る︒
第2.2図の曲線
アメリカのばあいを例に
とって説明すれば︑労働と土地の賦存量すべてを食物生産にふり向けたならば
0A
量の食物が生産され︑また衣服
生産にふり向けたならばON量の衣服が生産される︒生産可能性曲線上の点は︑例えば一定量の食物生産を前提と
して他方の衣服の最大量の得られる点である︒この曲線とポックス・ダイアグラムとの関係は︑例えば第1図の生
一 ユ 1 1
産契約曲線上のC点は両財の生産量をCを通る等生産量曲線の指数で表わしているが︑その指数に対応して両財の
生産量を示すのが第2.1
図の
C点である︒また生産可能性曲線にはこのほかつぎのような性質をそなえている︒
(i
)︑生産可能性曲線は下に向って凹である︒第2.1図で︑両生産要素を全部用いた食物生産量
0A
から食物生
産量を
MA /O A%
だけ減少させるために両生産要素を共に
MA /O A% づつ食物生産から衣服生産に移したと仮
要素価格均等化理論︵木村︶
OC BO
︑
であ
り︑
これを生産契約曲線 五0
要素価格均等化理論︵木村︶ とは食物の衣服にたいする限界代替率
R2 11
‑│ dF /d CI (た だし
F
は食 物生 産︑ (~11)、アメリカとョーロッパの生産可能性曲線はその形を異にしている︒これは両財の生産函数はそれぞれ両地域で同じであるが、労働•土地賦存量比率が両地域で異なっているためである。衣服は労働集約的であり、食物は
土地集約的であるので︑土地が労働に比べて豊富に存在するアメリカの生産可能性曲線は要素賦存最比率が逆なョ
ーロッパに比べて曲線の全体を通じて勾配はヨリ緩やかである︒ ち相対的限界費用の逓増を意味している︒
アメリカ ヨーロッパ
; ミ \
Bニ
yM A
食物
衣 服
゜
O'第2.1図
I
食 物
第2.2図
五
Cは衣服生産をあらわす︶すなわ わち全生産要素を用いて生産しうる衣服総量の
ON
のM
A/ OA
%
を得ることができるが︑これ以下であることすなわち生産可能性
曲線が下に向って凸であることは規模にかんする収益不変の仮定
に反するからありえないことである︒第2.1
図の
R
は第
1図
の
R
より直線
o c
の勾配へと移す方が衣服をョリ多く生産しうる
t Jと へと
上方 に移 る︒
る︒かくして生産可能性曲線は下に向って凹であり︑ M
C
が明らかであり︑
またこのこ 第2.1
図の
C
は第
1
図の
Cに対応してい したがって第2.1図では衣服生産は
MR
より
い、食物生産に用いる労働•土地比率を第1図の宜線ORの勾配 に対応する︒しかし食物生産をRすなわちOMに固定させたばあ 定すれば︑規模にかんする収益不変の仮定より衣服の
MR
量すな
F11F(Lf•Tf)
物と衣服の生産函数は
C1
1C
(L
c,
T
"
︶ 接線
a a
︑と 芸
P︑
の勾 配は
第
2.
図1
の
C点と第
2.
図2
の
C点をそれぞれアメリカとョーロッパの貿易開始前の均衡点とする︒換言すれば︑
両国の消費無差別曲線はそれぞれC点とC点でそれぞれの国の生産可能性曲線に接し︑
それぞれの国の食物価格・衣服価格比率を示している︒貿易開始後両財にたいする両国の相互需要が国際価格比率
を決定し︑それを
rr ︑の勾配とすれば︑貿易開始後の両国の両財の最適生産量は両国の生産可能性曲線が
rr ︑
線に
接する点Bとbによって示される座標である︒
(3 ) (8
︑価格比率と要素投入比率の一義的関係)
土地をそれぞれ
L t ,
F1
1F
(L
1,
食物の価格を
Pi
衣服の価格を
P"
食物生産に投入された労働と
Tt
衣服生産に投入された労働と土地をそれぞれ
LS
生産函数の一次同次性より
T1
)1
1T
t!
(索 ︶ ら
1 1 C (
L c ,
Tc
)1
1T
も ︵ 未
︶
食物生産における労働の限界物理的生産力は
0[
Tt
!(索
) ] 0︵ 索 ︶
(1
) 専
I I I t
‑
. ー 図 汀
塁 1 1
︵ 索
︶ 守
I I f
︑ ︵ 索 ︶
0(
Tt
食物生産における土地の限界物理的生産力は 要素価格均等化理論︵木村︶
T"
とす れば
︑
Pi
/P
C c
Lt
!T
t,
L
e/
Tc
との間には一義的な関係がある︒これはつぎのように証明される︒食物生産量をF︑衣服生産量をCとすれば︑食
五
6‑c
(2)晃=f(格)—格f'(怜)=g(号)
3恨竺F=F(L1,Tt)以ヤヽ入△Q製WJ')(<l~~\..IF=L aF.,.. aF.. ̲,,,...,...,./L, ¥.. ---,.D~ aF 冗+T責7A心F=Tガ(号)茫知町=
f'(格)碑や心野如虹ヨ0疇部砂゜蘊綱址槃臼這窪疇麟綱紅
(3) ac, =c Le 叫丘)
悦語姐測且槃念心廿華Q座砥零囲坦姐測R廷(4)託=c(悟)—舟c'(他)=h(舟)
0珈以F=F(L,,T,), C=C(Lc, Tc) ~!:'-8F OF oc 8C dF=
―
dLI+―
dT 1, dC=~dLc+—
dTc OL1 8T1 8Le 8Te胆測報以共全心献蘇Q座砥起詢椅廷抽⇒ニ(撼-区サ〇都心みや~IQ) dLt ‑̲ dLc ‑=一dTt dTc ギ共合Aゞ
dC aF ac aF dF ac aF ac 互.而―冗.叩=面・冗―元・瓦
叩砂—祝=見/昂—牝=記/禿四知砂舵•見=親•記
dC dTC 8C1 8F :.詞=面・エ叩,. dTc ~J ~J t1ー=ー1Al rt俎⇒心心QやdTI (5)巧dCoc18Foc1 8F 古=―面豆=加工=冗丙
献條垣痴罪紬母則縄(共記)ば111
pf予
11Pc¼,
( 1 ) │
( 5 ︑
)片
b
(P
1/
Pc
)f
︑(
Lt
/T
1)
│c
︑(
L e
/ T
c )
1 1
0
(6
1
LP
,/
P,
)[
/(
L,
/T
,l
! 零
f︑ (L
,/
T,
ll
‑[
c(
Lo
/1
予 肴
c︑ (
k/
L)
J1
10
Pt/Pcが国際需要条件によって与えられると︑二つの未知数L1/T1,Le/Tcにたいして二つの方程式が存在する
(4 )
ので解くことができ︑しかも解が一意であることは︑陰函数の定理を適用して旧f‘、—C、
A 1 1 P c 1 1
幸ミ云了言
̲ f . I t
︑
I r
︑
Tc
f
Pc
Tt 収穫 逓減
︵限 界生 産力 逓減
︶法 則よ りf
︑A 0̀ C︑ A0 であ るか らL c! Tc .l .;
=L f T fで ある かぎ りA
北0である︒と
ころで最適ポジションでは常にLc!T
c>
L t IT
fであるからA+0がたしかめられしたがって解は一意的である︒
かく して Pf /P cと Lc /T c ,
L r
/T
fの間には一義的な関係が存在する︒
(4
)︑以上の叙述を整理すればわれわれは要素価格均等化命題の証明を与えることができる︒第1図のボックス
・ダイアグラムはアメリカのばあいを画いているが︑両財についてそれぞれ生産函数は両国同じであるので等生産
量曲線の族は両国同じであり︑異なるのは要素賦存比率のみである︒両国のボックス・ダイアグラムより両国それ
ぞれの生産可能性曲線が画かれ︑国際需要条件より両国共通の価格比率すなわち
rr ︑直線の勾配が与えられると︑そ
れに対応して一義的に要素投入量比率Le/Tc,
(5
︑ )
笑C
8T
c
=P
c
2F
8T
1
P1
要素価格均等化理論︵木村︶
Lt /T 1が 決定 され る
3生産函数が同じであることからこの比率は 五四
要素価格均等化理論︵木村︶
W/R W/R
説明をしている︒
F c
Pf /Pc L
︒
0 M ' MC L/T M"
第 3 図
五五
比率すなわち労働•土地投入比率に依存しており、かつ両財の生産 すなわち労働の土地にたいする限界代替率は使用された生産要素の
両国で共通である︒
つぎに再びボックス・ダイアグラムに戻って︑このようにして決定された
Le /T c, L1 /T 1
よ
り︵例えば貿易開始後第
2.1図B
点に対応する点として第
1図B
点 ︶
B点における労働•土地代替率すなわち賃金
・地代比率が決定される︒等生産量曲線の族が両国同じであることからこの賃金・地代比率は両国で同じである︒
サミュエルソン︹3
︺ ︹ 4
︺はボックス・ダイアグラムを用いずに第
3図を用いて
この図では右図〇より右へ横軸に生産に使用された労働・土地比率
LこT (L
は労働Tは土地を
示す︶が測られ︑左図
0
より左へ横軸に財の価格比率
Pt /P c (P 1
は食物の価格
Pc は衣服の価格を示す︶が測ら を示す︶が測られる︒賃金・地代比率は労働の土地にたいする限界
dT
代替率
RI
11
ー に 等 し く
︑ そ し て こ れ は ま た 註 (1
)で示したよ
dL うに労働の限界物理的生産力と土地の限界物理的生産力の比に等し い︒さてこの図は生産の規模にかんしては無関係にかつ両国にたい して共通に利用できる︒なぜならば前者は生産函数の一次同次性の ためであり後者は各財の生産函数は両国同じであるという仮定のた めである︒食物生産においても衣服生産においても賃金・地代比率
函数が異なることから︑これらの関係は両生産において異なってい れ︑両図いずれも縦軸に賃金・地代比率
w' /R (W
は賃金Rは地代
(5
)︑サミュエルソンの図示
L Tf L f T c L e
ー1
1│
.│ t│
.│
T T
Tf
T
T c
OM
=
が明らかである︒したがって︑ さて両国の―つで労働•土地賦存比率がOMであるとすると、OMよりも大なる労働•土地比率が労働集約的 CC両曲線は右下りとなる︒
L e
CT
C ︑
( T
[ ) │ l r i ) p l 1 1 : ( l r i )
ー 冬 一
T c T c
食物生産における賃金・地代比率は
(5 )
るので異なった形の二つの曲線FF
(食
物生
産︶
c c
(衣 服生 産︶ が画 かれ る︒
れる︒すなわち︑
L
︑ 匝
1 1
じ 月
1 1
平
L )
FT
g ( k )
Tt Tt
衣服生産における賃金・地代比率は
と表わすことができるからである︒また収穫逓減法則を仮定することより両要素の限界代替率は逓減するので
FF
,
な産業である衣服生産に
OM
よりも小なる労働・土地比率が土地集約的な産業である食物生産に用いられること
与えられた賃金・地代比率Qと同じ水乎線上にあるFFとCC曲線上の点およびそれらの点と同じ垂直線上の水 要素価格均等化理論︵木村︶
このことは
(1
)
ー
( 4)
式よりすぐにみら 五六
323
要素価格均等化理論︵木村︶
五七
平軸上の点にX
印を 附す る︒
QがZ;まで下落すると食物のみが生産され︑
賦存量比率
OM
に等 しく
︑
上昇するにつれて衣服生産は上昇し食物生産は減少する︒それゆえ第2.1図︵あるいは第
‑2
.2
図 ︶
a )
より
Z
リ垂直な形に近くなる︒
一対 の
XはMとM
︑に 移る
︒
QがZ︑までのぽると衣服のみが生産され︑その使用され
へと 動き
︑
でA
たいするョーロッパのように︶ならばMしたがってM
M ︑ と
︑は 右方 に
N︑ と
Z ︑は下方に動き︑生産可能性曲線はヨ
輸送費が存在せず不完全特化が行われているかぎり共通な国際価格比率は両国における生産可能性曲線の勾配に
翌言喜ー(涛胃塁腐911(済胃塁儡911渫2.l~B誓滞詈音 沖 蔀
〇 茸 苓 ー 沖 翠
8
涸湘併蹄濤
7
︑ ) 辻 汁 蔀
〇 雨 準 舟 蹄 濤
I l l
ー
ll y︑
つぎに︑両産業における要素の限界代替率が等しいかぎり︑生産可能性曲線上の点の接線の勾配は
に等しし
卦 〜 n恰H
が 速 塞
〇 翠 準 併 岡 辻 卦 百 約 キ が 廿 造 8翠準舟碗
n
︑ °
"
"
沖替百約
Hが凜塞a
涸 準 舟 碗 辻 沖 意
〜n苛Hが仕逹a
涸準舟蹄
n
︵証 明は
⑤式 をみ よ︶
もしも価格比率が両国で等しいならば︑これはただ要素価格比率が等しくそしてまたそのゆえに同じ要素比率︒ハ
クーンが現われねばならなかったということからのみ結果しうるのである︒もし両国の要素価格比率が異なってい
るばあい︑例えば第3図で一国はQで他国はQより上方であれば︑両国の使用する要素比率は異なり︑そのため要 8際迭官
1 1
渫2.2図b
盗で
9滞
謡8
0注閉0溶淫奎 等しい︒かくして︑
︵あ るい は z )
PJ
/P
c は低 下す る︒
もし労働•土地賦存比率がョリ大である(アメリカに
︵あ るい は
た労働•土地比率はやはりOMに等しく、
一対 の
XはM
︑と
M
に移 る︒
つまり要素価格比率がZ
︑か ら
Z
へと
その使用された労働・土地比率は要素
ー 素代替率
1 1 労働の限界生産力対土地の限界生産力比率が両国で異なり︑最終的には生産可能性曲線上の異なれる価
格あるいは限界費用接線の勾配が結果しなければならない︒この推論を逆に行えば財の価格比率の均等は要素価格
通常
︑
このことは仮定
(3 ) の限界生産力逓減法則から生産要素間の限界代替率孤減法則を尊出した結果である︒食物生産を例
にとって考えてみよう︒食物の生産量をF土地をT労働をLとすれば︑食物の生産函数は
F1 1F (T
̀L )
限界生産力逓減とはFのTおよびLにかんする第二次侃琳函数が負であるということを意味する︒
FT TA 0,
F
L L A 0 . 労働の土地にたいする限界代替率を
R[
とす れば
︑ F1 1F (T .L )1 1c on st .d F1 1F Td T+ FL dL II O
より
ー ー
4I II
ドF
d L F T
R}
ー
F L d F L d F T
良 d丁|F~目— FL且
FT )1 1 dL
為
I I dL FL(T•L)とFT(T.L)をLで微分すると
岨
1 1
疇
+ 苓 苧
FL L
ー
FLT[
逹
1 1
碍
+ 嗜
翠
II
目F
ー FT
布T
d
面
︶ 年 年
2F TF LF
苔+尋月
F3 dL
FTVo.FL>人)•FTTA0、FLLA0よりFLTNoならば右の式は負となるに充分である。 比率の均等を意味しなければならない︒ 要素価格均等化理論︵木村︶
FLT~と考えて差支 五八
要素価格均等化定理は既述の諸仮定のもとにおいてその妥当性を主張する形式的理論である︒したがってその定 理の検討はその内在的論理よりもむしろその諸仮定の現実妥当性あるいはその諸仮定の中のどれかを緩和したばあ いにこの定理がどのような運命を辿るかという点に向けられてきた︒そこでわれわれはやはりこの線に沿ってこの
定理の以下の若干の問題点を考察する︒ 5
4 3 2 要素価格均等化理論︵木村︶
要 素 価 格 均 等 化 定 理 の 若 干 の 問 題 点
五九
えないから限界代替率逓減を仮定することができる︒
仮定 (4 ) により食物生産は土地集約的︑衣服生産は労働集約的であるから︑例えば第
1図C
点では労働・土地比率は食 物生産よりも衣服生産においてヨリ大である︒すなわち︑
OT
軸よりみた
o c
直線の勾配の絶対値は
OL
軸を下方にし
てみた0︑C
直線の勾配の絶対値よりも小さい︒このことは生産契約曲線上のいかなる点についても言うことができるの で生産契約曲線はつねに
00︑腹線よりも右方に位置する︒
サ ミ ュ エ ル ソ ソ
︹
2︺
PP
.1
89
,│
19
1
による︒ただし固式の導出はわたくしの見解︒
陰函数の定理﹁
W1
( Y1 ,
Y
2)
,
w2
1 , (Y
Y
2)
が連続でしかも連続な偏導函数を有し︑
者
1 0 W 1
│
│
‑ g ( Y i .
Y2
)1
10
北0
なら ば︑
さ)1
i YY 2
言0苔
g(
Yi
,
Y2
11
0
S)10y]
を満足する唯一組の解
( Y1 °
,
Y2
︒︶ を有 する
︒﹂ ボックス・ダイアグラムから第
3
図を画くには︑生産契約曲線上の点︑例えば
C
点で接する両財の等生産量曲線の接線の 勾配の絶対値を第
3図の
W,
A〜軸の座標にとる︒そして︑
o c
直線の勾配の絶対値を
W/ R 軸の座標とすれば
FF
曲線 が︑ 他方
0︑C
直線の勾配の絶対値を
W/ R 軸の座標とすれば
CC直線が画かれる︒
( 1
) ︑集約性逆転ケース
(2
)︑輸送費や関税の存在
なお生産函数が必ずしも同じであると仮定しないばあいについては次節参照︒
1︑集約性逆転ケース前節の仮定
(4 )
では食物が土地集約的で衣服が労働集約的であると仮定され︑集約性
が逆転しないケースであった︒しかしこの集約性が逆転するばあいどのような結果が生じるかをジョンソン
の図示によって述べてみよう︒前節の土地Lを資本Kにおきかえて︑前節の仮定は
(4 )
をのぞいてすべて妥当す
るものとする︒
集約性が逆転しないケースは前節第3図を書き直して第4図に示される︒いかなる要素相対価格のもとでも食物
はつねに資本集約財で衣服はつねに労働集約財であるからFF曲線はCC曲線より上方にありかつ交わらない︒
集約性が逆転するケースは第5図に示される︒要素相対価格
W/ R (こ こで
Wは賃金Rは資本の価格を示す︶が上
昇す ると
︑
はじめ労働集約財であった衣服が資本集約財に︑はじめ資本集約財であった食物が労働集約財に転化す
るケースで︑これははじめ労働集約財であったものがはじめ資本集約財であったものよりも労働の代りに資本を代
替させることがヨリ容易であるため二財の資本集約性の差がだんだん縮まりついに資本集約性が逆転するためで︑
この逆転は一回とは限らない。したがってはじめ労働集約財であった財の相対価格Pc/Pr~
W ̀ A R
が上昇すると労
働集約財の生産費は資本集約財の生産費よりも上昇するから︑
W/ R
の上昇と共に上昇し︑逆転すると下降に転じ︑
さらに逆転すると上昇に転じる︒かくして一つの商品生産費比率
p"
/P
rに対応して複数の要素価格比率が生じる︒
(3
)︑完全特化 要素価格均等化理論︵木村︶六〇
︹7︺
( i )
要素価格均等化理論︵木村︶ 集約性が逆転しないケース︒両国の要素賦存比率mとミが余り離れていないのでFF曲線とCC曲線が 価格比率を
Se
とする︒さらに不完全特化を仮定する︒ 価格比率をI
国は tI
JI国
は t I ( t
‑ 5 t ‑
︑)
とし
︑
財生産費比率をI
国は
SITI
国は
S﹁
とし
︑
貿易開始後の財の国際
K/L K/ L
r r t
: ; / r w c / R o
S2
― ‑ ¥ / ¥
国際貿易が導入されたばあいどうなるか︒第6図で要素賦存比
率をI
国は rI II 国は r I( r
I ︑
"
r‑︑︶とし︑封鎖経済状態の均衡要素
F /
/ ‑ :
c/
W/R
Pc/ Pf Pc/Pf
\
第 5
図
さて第5図で︑一国の要素賦存量がしたがって要素賦存比率ミ
が与えられると要素価格比率と生産費比率の変動範囲が限定され
生産に投入されると
W/ Rはt2で
Pc
!P
tは
S
と2
なる
︒ WらRがt1
から
t2へ上昇するにつれて食物生産の資本・労働比率
K/
IL1は︑ から r fo
へ︑衣服生産のそれはさ︒から
r I
へと上昇する︒要素価
は閉区間[S1,S2]で`実際にどこで決まるかは需要条件によって
決ま
︒る
かりに均衡財価格比率が
S1
で決まったとすれば︑それに
対応する要素価格比率は竺で︑食物生産の要素投入比率は
r 1
で
衣服生産の要素投入比率は
とr 2 なる
︒
格比率の変動範囲は閉区間[t1,t2]で︑財生産費比率の変動範囲 第 4
図
はt1
で ︑
生産費比率
Pc
!P
tは
S
であり︑すべての資源が衣服1 る︒すべての資源が食物生産に投入されると要素相対価格
W, /R
範囲 は︑
アメリカでは第2.1図でzとAの接線の勾配の絶対値の間にあり︑ヨーロッパでは第2.2
図で
zとa
の接
3︑完全特化
K / L
: :
l
―‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑―, :r,‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑―そプ:
I ' I '
I ' ' '
ァ::I I i:
" ' " ,,' I I • I I
I'' I'
1 , I I I I: I WIR
t,jt~:t, te': It,'.t,•1 :te'
1』' II 、
阻茎~---1~: I
る︒︵口︶偶数回のばあい︒
r l
と
r I ︑このばあいもI
国は
t e
I l
国は
t [ ︑と要素価格比率を異にする︒
2︑輸送費や関税の存在輸送費や関税などの貿易障壁が存在しているばあい商品価格の国際均等化を妨げ︑そ
れだけまた要素価格の均等化を阻害すること論をまたないであろう︒
不完全特化で両国が両財共を生産しているばあい国際価格比率は両国内の国内相対限界費用に等
しい︒すなわち両国の生産可能性曲線に接する共通の接線を見出すことができる︒不完全特化たりうる価格比率の
線の勾配の絶対値の間にある︒両国が同一の要素賦存比率をもつのでないかぎりこれらの範囲は同一のものではな
い︒しかしAの接線の勾配の絶対値がzの接線の勾配の絶対値よりも大きいかぎりこれらの範囲の重複が存在する︒ 本集約財で各国輸出品の輸出国内の要素集約性は同種のものであ
゜
要素価格均等化理論︵木村︶Pc/ Pf
I国は
SI
l国
は
t e ︑という両国相異なれ 第 6 図 服を輸出し国際価格比率
So
に達する︒生産費比率と要素価格比
(1 )
率は一対一に対応しており要素価格比率は両国均等化される︒
離れていてその間に一回もしくはそれ以上の逆転をはさんでいる
ばあいで︑その逆転が︵イ︶奇数回のばあい︒
r I と
r ̲ ︑同じ国際
価格比率Se
に対 して
︑
る要素価格比率をもつ︒このばあい一国の労働集約財は他国の資
︵ 社 ︶
集約性が逆転するケース︒両国の要素賦存比率が著しく 交る点より共に下にあるばあいで︑I国は食物を輸出し
I I 国は衣
J・ー
ノ