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大崩海岸崩壊地岩石の岩石試験結果と考察

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Academic year: 2021

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大崩海岸崩壊地岩石の岩石試験結果と考察

著者 木宮 一邦, 岩橋 徹

雑誌名 静岡大学地学研究報告 : 地学しずはた

3

1

ページ 31‑34

発行年 1972‑09‑30

出版者 静岡大学理学部地学教室

URL http://doi.org/10.14945/00005795

(2)

静岡大学地学研究報告 3巻 第1 1972 9

大崩海岸崩壊地岩石の岩石試験結果と考察

木 宮 ー 邦 * ・ 岩 橋 徹 *

. 自

80m‑

EL.  100m

崩壊地を構成する岩石は 1閣に示すように 11 準にわけられるO これらの

は各々その風化状態、

裂状態などが異なってい るため、岩石強度はかなり 異なった値を示すものと思 われるO このように各 により岩石強度が異なるこ

とが崩壊に大きな関係があ

60m‑

ると思われるO また、この 地域の岩石には種々の沸石 脈が合まれており、この沸 石脈が存在する岩石は著し く岩石強度が弱くなってい ると思われるO そこで、こ

れらの岩石の引張強度試験

9  1 9   2 9   3 9   4 9   5 9 m  

を行ない、各岩石の引張強 第 1図 崩 壊 面 地 質 見 取 図

1.  枕状溶岩 2.  塊状溶岩 3. 縮片状溶岩 4.  柱状搭岩

度を測定すると共に、一部 5. 黒色頁岩 6. 塊状諮岩 7.  赤色風化溶岩 8.柱状溶岩 9.  黒色頁岩 10.  灰緑色風化溶岩 11.  溶岩・凝灰岩・黒色頁岩互層

の試料については強制乾燥 12. 崩壊土砂

状態での比重、強制湿潤状態での比重、有効間隙率、吸水率などを測定し、これらを相互に比較する ことにより崩壊との関係を明らかにし、今後の対策の資料にするのが本研究の目的であるO

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2  . 

試験試料および試験方法

試験試料は崩壊面から直接採取できないため、崩壊土砂中から無差別に約 90の 試 料 を 採 取 し たO

このため極端に強度の低い岩石は崩落の過程で破壊されたと考えられるため、その種の試料の採集は 事実上不可能であり、全体として実際の試料よりやや強度が高めに出る可能性があるO

この試料を肉眼鑑定により次の 6つのグループに分類し、引張強度試験を行なったO なお、引張強 度試験は測機舎製非整形引張試験器(第 2図)を用いたO こ の 試 験 器 の 油 圧 計 は 最 小 目 盛 が 200

静詞大学教育学部地学教室

(3)

K~/ctft であるため、強度の低い岩石は測定が不能であった O 今回の試料中で測定不能となったものは 全体の約4割に達したO

①  枕状溶岩:第 l図の 1に相当

②  塊状@細片状溶岩:第 1図の 23, 6 相当

③  見掛上の柱状溶岩:第 1図の 48に相当

④  赤色風化溶岩:第 1図の 7に相当

⑤  灰緑色風化溶岩:第 1図の 10に相当

⑥  黒色頁岩・凝灰岩:第 1図の 59, 11  に相当

また、これとは別に崩壊地点付近の道路面上に おいて静岡県が水抜きのためにおこなったボーリ

ングコアー〈この岩石は第 1図の 11よりさらに

下 位 に 相 当 す る ) 15 f屈を使用して、岩石の強制 2図 非 整 形 引 張 試 験 器

乾燥状態での比重、強制湿潤状態での比重、有効間隙率、吸水率および引張強度を測定したO 引張強 度は上述のものと同じ方法でもとめ、他のものについては次の定義に従って計算したO

岩石の強制乾燥状態 (1050C 24時間)における空中重量をWl、強制湿潤状態、(水中に 72時間 以上浸す〉における空中重量をW2 、水中重量をW3 とすれば、各値は次の式により求められるO

強制乾燥状態での比重(みかけ )口 W 2 W JW 3 g  /cd 

強 制 湿 潤 状 態 で の 比 重 : gr /crft  wW H

W一w

一 一

jBEI 

LHM 

f

吸 水 率 W

3 .  試験結果および考察

崩壊岩石の試験結果は第3図に累積曲線で示したO なお、この図には測定不能のものを便宜的に O

r.2/ctftの範囲に示してあるO ①の枕状溶岩は強度の高いものから低いものまで平均的に存在するO

これは枕の皮の部分は強度が低く、中心の部分は強度が高いためであろう O ②の塊状・細片状溶岩は 43%が測定不能であるが、これを除けばほぼ平均的に強度の高いものから低いものまで存在して いるO ③の柱状溶岩は最も強度の低いものでも 32K9/ ctftの引張強度を有しており、 非常に堅硬な岩 石であるO 花儲岩の風化作用を研究している木宮(1970 )によれば、この値は風化度Iの最も新鮮な 花崩岩の値とほぼ向じであるO ④の赤色風化溶岩は測定不能岩石が50%あり、測定されたものもすべ 64K~/ctft 以下である o 64/ctft以上の岩石が 1つもないということは、全体的にかなり風化作

‑ 32‑

(4)

用が進行していることを示しているO ⑤ の 灰 緑 色 風 化 溶 岩 は 測 定 し た も の す べ て が 測 定 不 能 で あったO ⑥の および凝灰岩は 60%が 測 定 不 能 で あ っ た が 、 非 常 に 高 い 値 を 示 す も の

もあるO

今回崩壊したのは第 1図の 1から 7の 部 分 で あって、 8から 11は 崩 壊 を 起 し て い な いO 両者の境界にあたる 7の赤色風化溶岩と 8の柱 状 溶 岩 は 第 1図の④および③に相当し、前者は 強 度 が か な り 低 い の に 対 し 、 後 者 は 非 常 に 函 い 強度を有しているO 1図の 8の下位には最も 強度の低い灰緑色風化溶岩が存在しているにも かかわらず、今回の崩壊が 1"''  7の間だけで起 ったのは、 8の柱状溶岩が非常に堅便であった ことが一因であろう O

今回の崩壊地より約 50m焼 津 側 に ほ ぼ 同 規 模の崩壊地があるO 現在はコンクリート吹付け

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2 8  16  32  64  128  ?

Tensile  Strength  Kg/cm  3 岩種別引張強度累積曲線

① 枕 状 溶 岩 測 定 数 12

② 塊 状 ・ 縮 片 状 溶 岩 測定数23

③ 柱 状 溶 岩 測 定 数 16

④ 赤 色 乳 化 溶 岩 測 定 数8

⑤ 灰 緑 色 風 化 溶 岩 測 定 数9

⑥ 黒o真 岩 ・ 凝 灰 岩 測 定 数20

測 定 不 能 岩 石

が お こ な わ れ 、 地 質 状 態 を 直 接 観 察 で き な い が 、 カ ラ … 立 体 写 真 で 観 察 す る と や は り 赤 色 風 化 溶 岩 よ り上の部分が崩壊しているようであるO こ の こ と か ら 、 今 後 も 大 規 模 な 崩 壊 が 起 る の は 赤 色 風 化 溶 岩 よ り 上 部 で あ れ 灰 緑 色 風 化 溶 岩 、 黒 色 頁 岩 ・ 凝 灰 岩 互 層 部 で 起 る の は 小 規 模 の も の で あ る と 推 定 で きるO

ボーリングコアーを使用した試 験 結 果 は 第 l表に示したO この結 果によると、各岩石でかなりパラ っきのある値がでているO すなわ ち、強制乾燥状態での比重では

2.42から 2.77まで、有効間隙率 は1.3 %から 9.9%まで、吸水率 0.4%から 4.1%までバラつい

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山 一 七

下関地互

サ ン プ ル

重状 強 制 湿 潤

有 効 間 際 率 吸 水 率 引 張 強 震

番 号 状態の比重

K9/crA  2.  53  2.  61  7.2  2.  9  2.  67  2.  71  4.2  1. 不 能 2.  77  2.78  1. 0.4  126  2.73  2.  76  3.0  1. 不 能 2.68  2.  71  3.3  1. 282  2.58  2.  63  4.9  1. 不 能 2.  67  2.  72  5.3  2.0  不 能 2.  58  2.  65  7.  0  2. 7  不 能 2.60  2.66  6.  7  2.6  不 能 10  2.42  2.  52  9.  9  4.1  不 能 11  2.51  2.59  7.5  3.0  不 能

12  不 能 不 能 不 能 不 能 不 能

13  2.53  2.58  5.8  2.3  不 能 14  2.  56  2.  63  7.  7  3.0  不 能 15  2.  67  2. 70  2.8  1. 185  ているO また、引張強度は 4サン

プノレを除いですべて測定不能とな っているO 第 l表 に 掲 げ た 各 値 は 一般に風化の程度に比例してその

値 が 減 少 し た り 増 加 し た り す る が 、 第 l表に掲げたサシブ。ノレにはいくらかの例外が見られるO す な わ

(5)

ち、サンプル 247などは比重、有効間隙率、吸水率などの値からみれば、引張強度は当然測定 されてよいものであるが、実際には測定不能となっているO これは脈状に入っている白色沸石のため 強度が低くなっているためであろうO サンプノレ 10のように沸石類が非常に名い場企にはすべての値

4図 右 が 第l8番のサンフ。ル、左が10番 の サ ン プル。 10番には白色脈状沸石が多数入ってお

り、最も比重が{尽く、 3番は最も高かったO

5 112番のサンプル乾操状態になると自然、

崩壊をおこし、すべての測定が不能であったO

は強度が低下する傾向の値を示すが、沸石類がそれほど多くない場合、特に脈状沸石のみ存在する場 合には比重、有効間際率、吸水率は強度が高い傾向の値を示すが、強度を実測すると弱い値を示すこ

とになるO このことから沸石類の存在が大崩地区の崩壊に大きな役割を演じているということがいえ O

平松良雄他2名 (1965 ) 非 整 形 試 験 片 に よ る 岩 石 の 引 張 り 強 さ の 迅 速 試 験 日本鉱業会誌, 81  ( 932) , 1024'"'' 1030.  岩橋徹・木宮一邦(1972 ) 大 崩 海 岸 道 路 に お け る 最 近 の 大 崩 壊 に つ い て 静大・教育・研報(自然) ,( 22) , 15 '"'' 28 .  岩橋徹・木官一邦(1972 ) 国 道150号大崩海岸における最近の崩災について 中部地区における自然、災害の実態と予測に

関する総合研究 8倍シンポジウム論文集, 67'"'' 74. 

岩 橋 徹 @ 木 宮 一 邦 (1972  ) :静関市石部大崩海岸道路の大崩壊の @要因および防災上の問題 静岡大学地学研究報告,

3(1), 

木 官 一 邦 (1970 ) : We c R s a d G s i n t e M i  Yahagi  River, Central  ]apan. 東 大 ・ 理 ・ 地 質 修 論 , 74. 

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