若木先生に贈る言葉
感謝の意をこめて
伊 藤 礼子
卒業生代表
この度、思師である若木太一先生が定年退職なさるとのことで、私も元若木ゼミ生としてお祝 いとお礼のご挨拶をさせていただきたいと思います。
所属ゼミを決める大学2年次、私の中に迷いはありませんでした。長崎大学環境科学部で何を 学びたいのか、自分が欲している知識は何か、私にとって入学からの2年間はそれを探るための 時間でした。様々な講義を受講し、将来世代のために、そして今生きている地球上のすべての命 のために自分が出来ることは何かということを、自分なりに考え、そして出した結論が、若木ゼ
ミで学ぶことでした。
環境へのアプローチは多々あり、そしてひとりの人聞が出来ることには限りがあります。私が 選んだ道は、 実際に地球上で起こっている環境問題に対して真っ向から挑むものではなく、もっ と根本的な、人聞が地球の一員としてどう生きるかを考える道でした。それにはもちろん経済的、
行政的な知識は必要不可欠ですが、私が最も惹かれたのは環境と人間の文化活動との関わりでし た。人々が歩んできた道、培ってきたもの、具体的な形を留めていなくとも確かに今に繋がって いるもの。歴史と呼ばれるそれらのものたちを、若木先生や他のゼミ生たちと、じっくり時聞を かけて見ていきたいと思ったのです。何故ならそこには、私たち人聞が今日の日まで懸命に生き てきた証があり、それらを学び、慈しむことは、将来世代への橋渡しに繋がり、そしてそれこそ が環境問題を考える上での大前提である、そう思ったのです。
「一期一会」。これは先生がよく仰っていた言葉です。「本との出合いは一期一会。これはと思っ た本は次の出合いを待っていてはいけません。本だけに限ったことではなく、その時その時の自 分の考えを書き留めておくことも大切です。壬れが今後自分の中でどう発展していくか分かりま せんよJ。先生に教わったことはたくさんありますが、これが一番私の心に残っています。そし て人との出会いもまた、 一期一会。自分が目にするもの耳にするもの出会うものすべてに優しく あれ、そうすることで自分を育てていくことができるのだと、そう教わりました。
先生は、あまり否定的な言葉を使いません。だから私たちゼミ生は、のびのびと枝を広げ、色々 な考え方をすることができたのだと思います。天井知らずだから、時々おかしなことも言う。け れど先生は「自信を持って」と言ってくれる。だから私たちは、先生を悲しませることだけは絶 対にしないようにしょうね、といつも話していました。
大学のゼミは、社会に出るまでの僅かな時間、けれどとても大切な時間です。私たちが、自分 の意見に自信を持って地面にしっかり根を張って、背筋を伸ばして、そして多方面に好奇心とい う名の枝を広げ、自分の可能性を次から次へと見付けていけるようになったのは、きっと先生の おかげです。本当にありがとうございました。
最後になりましたが、これまでの様々なご功労に敬意を表し、感謝申し上げると共に、今後の ご活躍とご健勝を心よりお祈りいたします。
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