• 検索結果がありません。

河川環境音 による河川音場空間の表現 岡林 隆敏 *・花 原 正基 **・足 立圭 太郎 *

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "河川環境音 による河川音場空間の表現 岡林 隆敏 *・花 原 正基 **・足 立圭 太郎 *"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

長崎大学工学 部研 究報告 33 60 平成151121

河川環境音 による河川音場空間の表現

岡林 隆敏 *・花 原 正基 **・足 立圭 太郎 *

ComfrtEvaluationofRiverEnvironmentalSoundField

byWaterStream

by

tlkatoshiOKABAYASHI*,MasakiHANAHARA** andKeitarouADACHI*

Inthefieldofcivilenglneenng,manysound‑relatedresearcheshavebeendoneforremovlngOrdecreasingdiscom‑

fortnoisesthataregeneratedbytrafFICOrconstruction.although,therearefewresearchesabout"positivesound",which makesusfeelgood.Inthisstudy,theauthorstrytoevaluatetheenvironmentalsoundfieldcreatedbyriverstream or waveswashedagalnSttheshore.Theauthorsrecordedthesoundattheupper,themiddle,andthelowerreachesofthe stream oftheHonmy0‑gawaRiver,Isahayacity,Nagasaki.Basedontherecordeddata,the1/fnuctuationswassimu‑

latedandthecomfortateachlocationwasevaluated.Furthermore,apsychologicaltestwasconductedtoverifythe comfort.

1.は じめ に

土木工学 の分 野 で は,騒音低減 の技術 の努力 が な さ れて きたが, これ まで,音 の質が問題 になる こ とはあ ま りなか った.環境 の中 にお ける音 の要素 は,快適 な 環境 の要素 と して重要 な要 因であ る.本研 究 は,特 に 音 の質 に関係 す る,河川周辺 の音環境 , 自然海岸周辺 の音環境 を収録 ・分析 し,環境指標 と しての評価 を確 定 しようとす る ものであ る.そ こで, まず本論文 で は, 土木環境 の分野 にお ける環境音 と して,河川環境音 の 快適音 の分析 と評価 を行 った.長崎県 内の中小 河川 の 流域 を対象 に して,上流 か ら下流 にか けての音 を収録 す る.空 間的 な音場 の変化 と,季節 的 な音環境 の変動 ,

さらに,川 のせせ らぎや波 の音 だけで な く,鳥 の声 や 虫 の声 な ども録音 す る.

河川環境音 の音響学 的分析 の方法 と して,集録 した 川 の音 を音響工学 的 に分析 す る.音響 スペ ク トル を求 め,スペ ク トルの形状 と,快 適音 の関係 を明 らか にす る. これ らの結果 に基 づ いて,土木騒音工学 に対応 し

た土木快 適音環境 を明 らか に して,収録 方法 ,心理学 的試験 ,分析 方法 を提 案す る. また, 自然環境 の河川 の音環境 を可視 化 し,音 の質的把握 をす る基礎 を土木 工学分野 に定着 させ る こ とが ,本研 究 の最終 的 な 目的 であ る.

研 究 の 目的 は,音響機器 の操作 と収録技術 の確 立 と, 環境音 の収録 であ る. まず,音響機材 の調整 ,雑 音特 性 、音響機材 の周波数特性 を調べ る.購入 した音響機 DATカセ ッ トデ ッキ一式 ,ス テ レオマ イ クの周 波 数特性 の分析 をお こな う.音響解析 コ ンピュー タ,〟

D変換 ボー ド,音響解析 ソフ トに よる,音響特性 を調 べ る環境 を整 える.次 に,河川環境 の環境音 を収集す る.流域 の空 間的 な変化 と音特性 の変化 ,四季 を通 じ ての季節 の変動 を調べ る.視覚 的環境 と音環境 の関係 をのべ る.購 入 したDATカセ ッ トデ ッキ一 式 ,ス テ レオマ イクを使用 す る.長崎県諌早市 の本 明川 を対象 に して,河川環境音 の収録 を行 う.

平成1410月25日受理

*社会 開発工学科 (DepartmentofCivilEngineering)

**九州芸術工科大学研 究生 (ReserchStudent,KyushuInstituteofDesignUniversity)

(2)

122 岡林 隆敏 ・花 原 正基 ・足 立圭太郎

2.河川環境音 の収録及び編集 ・保存方法 について 収録 はすべ てデ ィジタル録 音 器 (DAT)を使 用 し, これ にマ イク と三脚 を接続 した もの を取 り付 けて行 っ た.マ イクの高 さや向 きに関 しては,様 々な高 さと向 きの組 み合 わせ で収録 実験 を幾 度 も行 った結果 ,地形 が特徴 的であ る場合 を除いて,収録音 に差 が ない こ と が事前 に確 認 で きていたので,上 ・LFJ・下流すべ て, マ イクの高 さは三脚 を一杯 に伸 ば した状態 (地上 よ り 1.0m)で音 源 か らの距 離 は3mとい う同‑・の状 態 で 収録 を行 った.音源 か らの距離 を3mに したの は種 々 の環境音 と河川 の流水 音 が適度 に混在 してい るか らで あ る. さらに,本研 究 で は河川環境音 を虫 の声 や鳥 の 声 も含 めた河川流域 の 自然環境音 と捉 えてい るので, 自動車 の走行音 は含 んでい ない.そ こで,収録 を行 う 時 間 は, 自動車 の交通量が一 日の うちで最 も少 ない と 思 われ る早朝 を選 んだ.以下 の図‑ 1に環境音 の収録 状態 を示す .

‑ 1 環境音 の収録状態

次 に,収録 した河 川環境 音 はすべ て,180秒 ず つ ポ ケ ッ トレコー ダー に よ りWindows標準 の音 声 フ ァ イ ル形 式 で あ るwavフ ァイル形 式 で デ ィジ タル化 保存 した. こ こで は44100kHz, 8bit,モ ノ ラル を選 択 し た. こ こで8bitを選 択 したの は,後 に河 川環 境 音 を 解析 す る上 で8bitの情 報 量 で も十 分 で あ り,反対 に 16bitで は情報量 が多 い ため に音 の フ ァイル容 量 が大

き くなるためであ る.

最 後 に,収 録 した 河 川 環 境 音 はemgJ

C

社 のMicro

編集画面 を示す.まず,MicroLogicを起動 させ,AudlO トラ ックにポ ッケ トレコー ダー に よ り作 成 したwav フ ァ イル を貼 り付 け る.次 に,貼 り付 け たwavフ ァ イル を トラ ンスポー ト ・ウ イン ドウの再生 ボ タンに よ

り再生 す る. さ らに, メニ ュ ー のWindowsを ク リ ッ ク し,open Mixerを選択 , ミキサ ー画面 を表示 させ る.最後 に,音量調節 の スライ ダーで音量 を調節 し, Bounceボ タ ンに よ り保 存 し,完 了 す る.以下 で行 う 印象評価 実験 で は,CDラジカセ に よ り音 を出力 した のだが,収録音 をCD‑Rにその まま焼 い たので は,普 量 が小 さか ったため に,Micro Logicに よ り音量 レベ ル を調節 した.表 ‑1に環境音 の収録 に使用 した機材 の主 な仕様 を示す . さらに,図‑3に河 川環境 音 を収 録 及び編集 ・保存 す るための環境 を示 す.

・▲■轟 図‑ 2 MicroLogicの編集画面

表 ‑1 使用 した機材 の主 な仕様 DATレコー ダー

量子化 ビ ッ ト数 16ビ ッ トリニア サ ンプ リング周波数 48kHz

チ ャンネル数 2チ ャンネル 周波数特性 20‑20000Hz±0.5dB S/N 90dB以上

ダイナ ミックレンジ 90dB以上 マ イ クロフ ォン ステ レオア ングル 110 0

サ ンプ リング周波数 40‑18000Hz

感度 47dB

最大 入力音圧 レベ ル 126dB .SPL

(3)

河川環境音 による河川音場空間の表現 123

二…

‑3 河川環境音 を収録 ・編集 ・保存のための環境

3.河川流域 における収録音点の選定

本研究 において,河川環境音の収録 は長崎県の一級 河川である本明川で行 った.その流域 は,長崎県諌早 市 に属 し,県央部の社会 ・経済 ・文化の基盤 をな して いる. また,市民の貴重 な水辺空間 として広 く親 しま れていることか ら,本明川 は本水系 における治水 ・利 水 ・環境 についての意義は極 めて大 きい. これ より, 本明川は今後の 自然環境音や河川環境音 を検討する際 の参考資料 にな りうると考 えられる.本研究では,本 明川 を対象 に して,河川環境音 を上流 ・中流 ・下流 と い う地形の違い と音源か らの距離 (1m, 5m,15m), の違いに分類 し,収録 を行 った. ここで,図‑4に本 明川の地理的位置及び収録場所 を示す.

4.河川環境音 に対 するゆ らぎ解析 と物理的評価 (1)ゆらぎについで )

ゆ らぎとは予測で きない時間的 ・空間的な ものの変 化や,その不規則 な変化の仕方の総称 をい う.電気的 導体 に電流 を流す と,その抵抗値が一定ではな く不安 定 にゆ らいでいることが発見 されたことに始 ま り,そ のパ ワースペ ク トル密度が周波数fに反比例す るこ と か ら「1/fゆ らぎ」 と名づ け られ た.そ の発生機構 は未だに分かっていないが,その後 ろうそ くの炎,そ よ風 ,小川のせせ らぎなどの様 々な自然現象の中に,

「1/fゆ ら ぎ」が発 見 され た.次 に,ゆ ら ぎ解析 に おいて よく現れる,ゆ らぎの型 について説明す る.そ れ らは大別 して3つ に分かれ,それぞれスペ ク トル分 布の傾 きが0,ll,‑2の ものである.以下の図‑

5にゆ らぎの型の概形 を示す.

‑4 本明川の地理的位置及び収録場所

パ ワースペ ク トル密度

白色 ゆらぎ(ホワイトノイズ)

′fゆ らぎ

周波数

図‑ 5 ゆ らぎの型の概形

(4)

124 岡林 隆敏 ・花原 正基 ・足立圭 太郎

1は,傾 き 0の 「白色 ゆ ら ぎ (ホ ワイ トノイズ) と呼 ばれ る もの であ る. これ は, どの周 波数 の波 も同 じ程 度 に入 ってお り,結 果 と して変化 が唐 突 で ,意外 性 の 高い波形 で あ る とい える. 白色 ゆ らぎを持 つ波形 をオーデ ィオ機 器 に入力 して再生 す る と

,

「ザ ーザー」

とい う雑音 にな る.

2は 傾 き75L 2 「1/f2ゆ ら ぎ」 と呼 ば れ る も ので あ る. この ゆ ら ぎは,相 関関係 が時 間 とともに指 数 関数 的 に減衰 す る性 質 を示 し,低 周 波 の度合 いが比 較 的 高 く,結 果 と して波 形 の全 体 的 な変 化 の 様 子 が は っ き りと して, これ に よ り変化 が単調 で,予 測性 の 高 い波形 で あ る とい える.

3,「1/fゆ ら ぎ」 また は 「ピ ンクゆ ら ぎ」 と 呼 ばれ る もので ,低 周 波 と高周波が適度 に混在 してい るため,変 化 の様子 が あ る程 度予測 で きる ものの,請 純 な と ころ まで は正 確 に はつ か め ない とい う特 性 を 持 ってい る とい える. 白色 ゆ らぎは,変化 の様子 が 全 く予測 で きない.一 万,1/fゆ ら ぎは変 化 の単 調 さ故 にそ の様 子 が予 測 可 能 で あ る.1/fゆ ら ぎは,近 年 , 人の感覚 ,つ ま り,心 地 よさや快 適 さな どとの 関連性 が注 目され,大脳 生理学 的 ,精神生理学 的見地 か ら, 研 究 が各方面 で進 め られてい るゆ ら ぎの型 で もあ る.

(2) ゆ らぎ解 析 につ い て

本研 究 で は, ゆ ら ぎ解析 をMATLABソ フ トウ ェ ア を使 用 し実 行 す る. まず ,波 形 を高 速 フー リエ 変 換 (FFT)に よ り変換 す る. この変換 の結 果 ,波 形 の 各 周 波 数 あ た りのパ ワー スペ ク トルが得 られ る. このパ ワースペ ク トルの傾 きが ,含 まれ てい る周 波数分 布 の 全般 的 な特徴 を統 合的 に表 してい る.す なわ ち, この 傾 きは含 まれてい る低 周波 と高周 波 のバ ラ ンス を表現 してい るので あ り, この ような低 周波 と高周 波 のバ ラ ンスの こ とを 「ゆ ら ぎ」 とい う.傾 きを求 め る にはス ペ ク トル分布 を最 小2乗法 を用 い て直線 に近似 させ , そ の 直 線 の傾 きを求 め れ ば よい. 図 ‑6にMATLAB で作 成 した プ ロ グラム を示 す .

(3)河川環境 音 の物理 的評価

日 地形 の違 い によ る河川環 境音 の変化

上流 , 中流 ,下流 の河川環境音 にお い て スペ ク トル 波 形 の形状 に大 きな差 は な く, いず れ も1000Hz付 近 のパ ワーが最 も大 き くな ってい るのが特徴 であ る. ゆ ら ぎの指数 と して,Fのnを用 い る. ゆ ら ぎの値 をみ て も上 流 か ら1.461,1.306,1.445,0.91.5の 間 の比較 的狭 い範 囲 に集 中 した. これ よ り河 川環境 音 は, 特 に特徴 的 な地形 を除 けば,地形 の違 い に よる物 理 的

な変 化 はみ られず , 全 て にお い て心 地 よい音 だ とい う こ とが で きる.以下 の写真‑ 1,写真‑2,写真‑3

図 ‑6 MArLABで作 成 した プ ロ グラム

に上 流 , 中流 ,下流 の水 面状 態 を示 す . さ らに, 図 ‑ 7, 8,9は, この個所 の音 のパ ワースペ ク トル を表 した もので あ る.縦 軸 はdB表 示 したパ ワー スペ ク ト ル密 度 であ り,横 軸 は0‑20kHzまでの周 波 数 で あ る.

2)音 源 か らの距離 の違 い によ る河川環 境音 の変化 河 川環境 音 は音 源 か ら離 れ るにつ れ て, スペ ク トル 1/f2か ら1/fに近 づ き平 坦 な形 状 を示 し, さ らに ホ ワイ トノイズ に近づ くこ とが分 か った. ゆ らぎ指 数 を計 算 す る と,1m,5m,15mに対 応 して,1.875,

1.313,0.849と音 源 か ら離 れ る につ れ て,傾 きが緩 や か になる こ とが分 か った.

河 川 の流水音 が よ く聞 こえる, 1m, 5mの場所 で はゆ らぎ指数 は1.875,1.313とな り,必 ず しも流水昔 が全 て ゆ ら ぎ指 数 が 1に近 い訳 で はない こ とが分 か る.

上流 , 中流,下流 の流速 に関係 して,河川環境音 の ス ペ ク トルは変化 す る. この場所 の デ ー タか らは,流水 昔 が直接 聞 こえる河川 の近 くよ り,少 し離 れ た5m 度が ,快 適 な音 に近づ くようで あ る.

写真‑4に集録状 態 を示 し, 図‑10, 図ll,図 ‑

12に音 源 か らの距離 が1m,5m,15mの ときの スペ ク トル分布 を示 す .

(5)

河川環境音 による河川音場空 間の表現 125

写真‑ 1 上流 の水面状態 写真‑2 中流 の水面状態 写真‑3 下流 の水 面状態

‑7 上流 のスペ ク トル波形 図18 中流 のスペ ク トル波形 ‑9 下流 のスペ ク トル波形

写真‑4 音源か らの距離の違いによる収録状態

‑10音源か ら1m地点の 図‑11音源か ら5m地点の 図‑12音源か ら15m地点の

スペ ク トル波形 スペ ク トル波形 スペ ク トル波形

(6)

126 岡林 隆敏 ・花原 正基 ・足立圭太郎

5.印象評価 実験 と心理 的解析 (1)実験 を行 う環境

1)評定用紙 の作成2)

一般 的 にSD法 (Semanticdifferential) はオズ グ ッ ド (C,E,Osgood)に よ り,各次元 (す なわ ち,美 的,追 刀,金属性 ) について純粋 尺度 を3つずつ選択 す る こ とが勧 め られてい るので,各次元 を代 表す る形容詞対 を全部 で9個準備 した.それ らは さらに,以下 の条件 を留意 して選定 した.評定用紙 は図‑13に示す .

① 河川環境音 を表現す るの に適切 な形容詞 であ る こ と.

② その次元 に対 す る因 子負荷量 が大 き く,他 の次元 に 対 す る負荷量 が少 ない こ と.

③抽象 的 な言葉 は避 け,直感 的,感覚 的 な もの を用 い る こ と.

④ 意味の似 か よった もの は1つ に まとめ るこ と.

⑤専 門的 な用語 は避 ける こ と.

⑥ 受 け取 り方 に個 人差が 出る と思 われ る言葉 は避 ける こ と.

‑13 実験 に使用 した評定用紙

2)被験者 の選定

被験者 として,22‑25歳 までの正常聴力 の学生35 を対 象 と した.

3)実験場所 の環境

実験場所 は長崎大学工学部 1号館7番講義室 を使用 した.実験音 はCDラ ジカセ に インテ グ レー トステ レ オア ンプを接続 し, ス ピー カー システム, ア クテ ィブ スーパ ー ウー フ ァー に よ り出力 した. ここで は, ア ク テ ィブス ーパ ー ウー フ ァー を用 い,20Hz近 くか らの 低音域 も出力可能 に した.以下 の図‑14に実験場所 の 環境 を示 す.

‑14 実験場所 の環境 ‑2 印象評価 実験 に使用 した機材 の仕様

(2)因子分析3)

1)因子分析 の概要 とその手順

因子分析 の手順 として, まず最初 に決 め なければな らないのが,共通性 の推定値 であ る.共通性 とい うの は,変数 の分散 の うち因子 に よって説 明 され る部分の 比率 の こ とをい う.

次 に決め なければな らないのが ,抽 出す る因子数 の 決定 であ る.抽 出す る因子 の数が 多ければ多 いほ ど, 変数 間の相 関関係 を適切 に説 明で きるが,あ ま り多 く の因子 を抽 出 したので は情報 を圧縮 した こ とにな らな い.そのため,最 もよい結果 を もた ら した時の因子数 を適 当だ と判 断す る.

抽 出す る因子数 を決定す る と,次 は因子軸 の回転 を 行 う必要 があ る.因子 の意味の解釈 を容易 にす るため の作業が,因子軸 の回転 であ る.最 も一一般 的 な もの は, 基準化バ リマ ックス法 であ る.

最 後 に,因子 の解釈 ・命名 を行 わなければな らない.

ここで は,それぞれの因子 に大 きな因子負荷 を持 つ変

(7)

河川環境音 による河川音場空間の表現

数, また,その因子に所属する変数か ら,因子の意味 を解釈する.

2)因子分析結果

本研究では因子分析 において,共通性の推定値 を 1, 抽出する因子数 を3,回転はバ リマ ックス回転 を選択

した とき,すべての変数の因子所属が明瞭であ り,因 子負荷が全体 として単純構造 になっていたので,これ を結果 とした.

それぞれの因子の寄与率及び累積寄与率 を表‑3に 示 し,因子負荷量の一覧表 を表‑ 4に示す.これ らの 表か ら,まず第 1因子は 「力強い」

,

「迫力のある」の 因子負荷量がそれぞれ‑0.9556,‑0.9237と非常 に高 かったので,力強 く迫力のある環境音 因子』 と命名 した.次 に第2因子は 「美 しい」

,

「快い」

,

「澄んだ」

の因子負荷量がそれぞれ0.8689,0.8569,0.8336と, これ も非常 に高い値 を示 したので 『美 しく澄んだ環境 音因子』 と命名 した.最後 に第3因子は 「金属性の」

の因子負荷量が一つだけ圧倒的に高 く0.9648を示 して いたので,『金属性のある環境音 因子』 と命名 した.

また,これ ら3因子で,変数の分散の うちの91.48%

を説明で きることになる.

‑3 それぞれの因子の寄与率及び累積寄与率 因子No. 寄与率 (%) 累積寄与率 (%)

1 48.33 48.33 2 30.10 78.44 3 13.04 91.48

‑ 4 因子負荷量の一覧表

因子1 国子2 因子3 力強い ‑‥薄穣溶き :三 ‑0.2169 0.0376 迫力のある 霊三機 室醜 鉾 ‑0.2860 0.0623 美 しい 0.1996・:::燕 .庭 番舶9′ 0.2156 快い 0.3785 ・/′J鴻 擁 9..... 0.2118 深みのある 0.0867 0.2454 ∴0⊥9648ll 丸みのある 0.7896 0.3424 0.2607 落ち着いた 0.8738 0.3326 0.2393

3)河川環境音の心理的評価

ここでは,前述の 『力強 く迫力のある環境音 因子

』 ,

『美 しく澄んだ環境音因子,金属性 のある環境音 因 子』の因子得点か ら心理的な解析 を行 う. まず,地形 の違いに関 して言えば,河川環境音は中流が最 も 『美

127

しく澄んだ環境音因子』の得点が高いことが分かる.

しか し,上流 と下流 において も, この因子得点は比較 的高 く,すなわち,河川環境音 は地形の違いに関わ ら ず,心地 よい音だ と判断で きる.

次 に音源か らの距離の違いに関 して言 えば,河川環 境音は音源か らの距離 に係わ りな く 「力強 く迫力のあ る環境因子」 は,余 り変化 を示 していない.流水音か ら離れると,逆 に僅かに「力強 く迫力のある環境 因子」

が増加 し,矛盾 した結果 を示 している.一方,心地 よ さの観点か ら述べ る と,10mで は比較 的 「快 適 で な い」の評価 となっている.5mか ら3mの地点では安 らぎを感 じる評価が高 くなっている. しか し,15mに なるとまた,安 らぎを感 じる指標が高 くなっている.

15mになると,流水音が聞 こえ難 くな り,その ような 点か ら混乱が発生 していると思われる.図‑15に因子 得点表 を示す.

因子1

2.1.10..0505 0.0

‑0.5

1.0

‑1.5

‑2.0 m 2

一一一一一一一+‑1" 5‑.

5

. i./ 中 流 ◆ ̲̲一一日 ‑

1 + J‑‑ 一一一一一‑◆ 下 流

因 図‑15 因子得点表

6.まとめ

河川環境音 を物理的な側面 と心理的な側面か ら総合 的に評価する, まず,河川環境音 は上流,中流,下流 において,物理的なゆらぎの値 は,0.9‑1.5の間の比 較的狭 い範囲に集中 していた. また,印象評価実験 の 結果 をみて も,それぞれに心地 よい とい う印象 を受け ていた. これ らのことか ら,河川環境音 は特 に特徴的 な地形 を除けば,地形 に関わらず,人間に心地 よい印 象 を与えることが分かる. また,音源か らの距離の違 いに関 して言えば,河岸か ら1m, 5m,15mと変化 させ る と,ゆ らぎ指標 は1.875,1.313,0.849の よう に変化 し,河岸か ら若干離れると流水音の鋭 さが取れ て,ゆらぎ指標が 1に近づ く. また,印象評価実験 の 結果か ら見て も,10m, 5m, 3mに近づ くにつれて,

『美 しく澄んだ環境音 因子』の得点が高 くな り,河川 環境音 は人間に安 らぎを与 えているようである.

本研究の成果 と今後の課題 について述べ る.まず本

(8)

128 岡林 隆敏 ・花原 正基 ・足立圭太郎

研究では,河川景観 をより全環境的に捉 えるために, 河川環境音 を総合的に分析 した.これにより,土木分 野で発生する音の中にも,騒音の ような負のイメージ の音 ばか りでな く,"やす らぎ" を与 える音が存在す ることが分かった.すなわち,土木分野において も聴 覚情報 を考慮 して景観設計 を行 う必要があると考 えら れる. また,本研究では河川の音場空間を視覚的に表 現するために,河川環境音の収録方法,物理的分析方 演,心理的分析方法が有効であることを示 した.これ らの手法が今後の新 しい時代の要求に対応 した景観設 計 を行ってい くための音質的研究の基礎 になると考え ている.今後の課題 としては, 自然海岸の波 ・風の音 など,種 々の環境音の収録 ・分析 を行 うことが挙げら

れる. さらには,土木環境昔 に関わる環境評価指標 を 確立 し,土木音環境学 を構築することが今後の課題で ある.

本研究は,平成13年度 ・平成14年度科学研究費補 助金 【萌芽的研究』 を受けて行 ったものである.

参考文献

1)木下栄蔵 ・亀井栄治 :癒 しの音楽,久美出版社, 2000.12

2)難波精一郎 ・桑野園子 :音の評価のための心理学 的測定法,コロナ社,1996.7

3)古谷野亘 :多変量解析 ガイ ド,川島書店,1988.

8

参照

関連したドキュメント

○水環境課長

№3 の 3 か所において、№3 において現況において環境基準を上回っている場所でございま した。ですので、№3 においては騒音レベルの増加が、昼間で

第1条

23区・島しょ地域の届出 環境局 自然環境部 水環境課 河川規制担当 03-5388-3494..

2 環境保全の見地からより遮音効果のあるアーチ形、もしくは高さのある遮音効果のある

〇及川緑環境課長 基本的にはご意見として承って、事業者に伝えてまいりたいと考えてお ります。. 〇福永会長

大村 その場合に、なぜ成り立たなくなったのか ということ、つまりあの図式でいうと基本的には S1 という 場

基準の電力は,原則として次のいずれかを基準として各時間帯別