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エコスタンダー ドの確立 と環境監査

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(1)

エコスタンダー ドの確立 と環境監査

は じめに

1地球環境 問題 と環境管理の必要性 1‑ 1・環境管理概念の出現 と背景 1‑ 2 エコスタンダー ドの確立

2

環境管理/監査 とは

2‑1

定義

2‑2 環境管理 の様 々な概念 3 新 しい環境管理 ・監査 の展 開

3‑ 1 評価方法

3‑ 2 新 しい環境監査の展 開 3‑ 3 総括

おわ りに

は じめに

環境への関心の高 ま りの背景には,極めて多 くの現象や考えが契機 となって いる

た とえば,地球の大 自然の汚染や消失がメディアを通 じて大 きく報 じられて いる そ して,多 くの貴重な生物が死滅 しつつあることも事実である。

また,地球環境 に極 めて重大な被害をもた らす事件や事故が多発 している。

た とえば,イン ドのポバールで起 きた化学事故や ソビエ トのチェルノブイ リ原 発事故,深刻 な海洋汚染 を発生 させたパルディーズ号の事故などである。

〔303〕

(2)

30 4

商 学 第47 第 2・3

また,科学的知見 の発達 によって,科学的 に地球環境 の破壊原 因が明 らか と なって きてい る。 また,一方では,資源の枯渇問題や,人 口爆発,大規模 な開 発 な ど地球環境への負荷 は一層増大 している。

これ らは,政治的 ・経済的 ・社会的 ・文化的なすべ ての領域で議論 され るべ き問題 として我 々すべてに与 え られた課題である。それゆえ,個別的対応 では 有効 な対策は取れない。そ こで, グローバ ルな対応行動が求 め られ るようにな

その ような環境問題 に対す る国際的な取 り組みの大 きな第一歩 は,国連人間 環境会議

( U‑ n i t e dNa t i o nsCo n f e r e n c eo nt h eHu ma nE‑ n v i r o n me nt )

,別名, ス トックホルム会議である この会議の成果 として 「人間環境宣言」がでた。

先進 国においては,経済成長 よ りは環境保護,発展途上国においては,開発 の 推進 と援助 の増強が請 われ,「われわれ は,歴史 の転換 点 に到達 した」 との認 識 を得 ,世界 的規模 での速やかな環境 に対す る行動 を主張 した。そ して,国連

における新 たな機構 ,

「 UNEP

」 (国連環境計画)が,創設 されたのである

その

1 0

年後 のナイロビ宣言 を経 て

,1 9 9 2

年 に 「環境 と開発 に関す るリオ宣言」

がでる。 これは,ス トックホルム会議の後,各 国の環境への取 り組みに もかか わ らず,一向に環境破壊 とエネルギー問題が解決 を見せ ない ことに対す る国連 の危機意識 を反映 した ものであった。

この会議では,当時の 日本国総理大 臣である宮沢喜一氏が演説 を している

彼 は,「環境 と開発 は両立す るのみ な らず,長期 的 に見 れば,両者 は相互的 に 補強 しあ うもの と確信」す る とい う認識 の下 に,「深刻 な公害 を経験」したが,「国 際的に も最 も厳格 な環境裁判 を実施」 し,「技術革新 の努力」 と相倹 って,「 が国は省 資源,省エネルギーの社会体質‑ と脱皮」 した と, 日本の環境面での 成果 を誇 る。1)

確 か に,公害 は一時か らすれば,かな りの改善がなされた といい得 る。しか し, 一時期 ,省エネが声高 に叫ばれていたが,現在ではあま り聞かれず,かえって,

1

)環境庁地球環境部企画課編 『国連環境開発会議資料集』,平成

5

年,参照

(3)

エコスタンダー ドの確立と環境監査

305

ェネルギー消費量 は増 えているのである。2)

しか も,現在では, 日本が環境対策の面で先進国の中で,す ぐれたほうに位 置 しているとは言い難い。

た とえば,経済規制的手法は, どの先進国に比べても濃やかなものであ り, 廃棄物処理 に関 しては,極めて大 きな問題 をはらんでいる。3)

本論文の中心的課題である環境管理 ・監査 システムに関 してのモデルは,欧 米に範 を取 ったものである

日本が典型的公害を減少 させたことは,誇れることであるが,それは, 日本 の脱工業化 とい う産業構造の転換 とも関連 して くる 経済の中心軸が 目に見 え て分かる煙突型の大規模製造業か らサービス業に変 りつつあるか らである。 し か も, 日本の高賃金や環境的軍制を回避するために,製造拠点 を海外 に移 して いるか らである。

日本は,世界の

GNPの1 5%

を占めてお り,世界のエネルギー と資源 に関 し て大 きな影響力 をもっている。企業 もグローバル化がます ます進む中,単に法 律 に違反 しなければ良い と言 う訳には行かな くなっている

その一つが,本論文のテーマである,環境管理 ・監査である。 このような規 格で大 きな影響力 をもつのは,

I SO

の親格である。 この環境面の規格 である

I SO1 4000

が本年の秋 に正式に発行 した。

そこで, まず環境監査 とはいかなる概念であ り,いかなる内容 を有 し,それ はいかなる限界 をもっているのかを明 らかに してみたい。

1

地球環境問題 と環境管理の必要性 1‑ 1 環境管理概念の出現 とその背景

企業の環境管理 という概念はいかなる理由か ら生 じ,いかなる歴史をもって

2)

平成

6

年度環境自書』によると,昭和5

0

年を

1 0 0

とすると、プラスティックの消費

量は

,2 6 0

に,紙の消費量は

,2 0 0

にそれぞれ増えている。

3)

週刊東洋経済

』 ( 1 9 9 6. 8. 2 4 )は,「

産業廃棄物特集」を組み,その中で,その深刻 かつ多くの問題を取 り上げている。

(4)

30 6

47 2・3 いるのであろうか。

まずそれは,企業の生産規模 の拡大 によって,環境破壊が顕在化 し始めた こ とに端 を発す ることは間違いない。

そ して,

7 0

年か ら

8 0

年代 にかけて,は じめにで述べた ような国家規模 の環境 に対する重大な破壊事故が発生する。 これによって,企業 に対す る大衆の怒 り が噴出 して くるのである。その ような現象 を契機 とす るが,環境管理 とい う考

え方 は, よ り直接的には以下の流れを汲む。

第一は,企業の社会的責任論か ら生 まれる。た とえば,「企業が財貨 ・サー ビス を供給 し 利益 を追求する とい うことは,体制的に課せ られた企業の特定 機能」であるが,「企業の行動 はその機能のみの側面 に限定 されていない し, また他の側面 にも派生的影響 を及 ぼさざるをえない。他の側面への影響が社会 的な問題 を提起 した ときには, これに対 して応答す るとい うの も,企業の もう ひとつの責任である」 とい う考 え 4)の中か ら,環境管理 も企業 の社会的責任 であるとい う考 えが容認 される 5)

第二は,より具体 的には,社会会計か ら生 まれる 欧米 を中心 として,「もっ と広範囲な社会問題 に対す る企業の対応の在 り方,即 ち企業の社会的責任 を問 う声が高 ま り,社会的責任活動の内容 を年次報告書や特別の報告書 によって開 示す ることが,多 くの企業で試み られ」,「この試みは,社会監査,社会責任会 計あるいは企業社会会計等 といわれる会計分野 を生み出 した」 6) といわれる。

そ して,広範囲の社会的領域 よりも 「対象領域が狭い」環境監査 とい う概念 が起 きて くる。それゆえ,「環境監査 は社会監査 の一部」 とされる7)

第三は,先進的企業群か らこの考 えは生 まれる。

「 8 0

年代 になると,先見性のある企業 は,環境保護のための出費は基本的に は費用ではな く,む しろ将来‑の投資であ り,逆説的に聞 こえるか もしれない 4)土屋守章 「擬制的法人の社会的責任」,日本経営学会編,『企業の社会的責任』,千

倉書房,参照

5)占部都美 「企業の社会的責任に対する経営学的接近」,同上書,参照

6)河野正男 「

環境監査の動向と構図」

, J I CPA

ジャーナル,NO

. 4 4 3

,J

UN. 1 9 2

,参照 7)同上参照

(5)

エ コス タンダー ドの確立 と環境監査 307 が,競争優位性 を生 む もの」 と考 えるようになった。そ こで,今 までは環境 に 対 して対処療法的であった姿勢 を,先取的で,創造的な姿勢へ と変 えていった といわれる。すなわち,「エ コロジー意識 を持 った経営

」( e c o l o gi c a u yc o ns c i o us ma na ge me nt )

を行 お う とす る先進企業群 が環境 管 理 ・監査 を展 開 して いっ

た。8)

1‑2

エコスタンダー ドの確立

われわれは,いまだ環境 問題解決に関 しての抜本的で有効 な方法 を兄いだ し ていない。

その理 由は,以下のような矛盾が複合 的に我 々の社会内部 に存在 しているか らである。

第一 は, この間題が,資本主義の内在 的本質か らくることによる。確かに, 環境倫理や 自制心の ような精神的なカ ニ道徳律 も環境 問題解決 には無意味 とは 言 えない。我 々の経済社会が民主主義で運営 されている以上,最終的には,個々 人の意志決定 に国家のあ らゆる組織や運営 は委ね られているか らである

しか し,資本主義 は本来的に活動 は自由であるので,法律 を遵守 している以 上,それ以上の規制 は自主規制 にす ぎない。そ うであれば,一端,景気が悪 く

なれば,メセナ もフィランソロピー も中止す る企業が後 を絶 たない。 しか も, 企業はあ らゆる側面で,他の企業 と生 き残 りをかけて競争 しているのであ り, それゆえ,ある程度豊かでない と,環境対策に十全の費用 を捻 出で きない。 し か し,十全の費用 を獲得するには,相 当程度の生産量 を必要 とす る。それゆえ, 生産 と環境保全 の両立 を同 じ企業が同時 に追求す ることは極 めて困難 と言わざ るを得 ない。やは り,後で見 るように,企業の 目的 自体や企業の価値観の転換 や システムの在 り方 自体 を変容 させずに, この両立は原理的に困難である と言 わざるを得 ないのではないだろうか。

第二は,先進国 と発展途上国の問題である 先進国は高度 な技術力 を有 して

8)E.

カレンバ ック

・F.

カプラ

・S .

マ‑バーク著,鶴田栄作訳 『ェ コロジカル ・マネ

ジメン ト』,ダイヤモ ン ド社,参照

(6)

30 8

第47 第 2・3

いるが,それは,ある意味では,エネルギーの高消費によって成 り立っている と言 える。なぜ なら,現在の科学技術 は巨大化 してお り,その研究開発 には膨 大な費用が必要であるか らである

一方,発展途上国は,エネルギーの低消費国である それは,ひとえに,多 くのエネルギーを消費するほど所得が高 くないか らである。それゆえ,発展途 上国では,外資の導入等 を積極的に進め,開発 を国の最重要課題 としている

その大規模かつ粗暴 とも言 える開発 によって,地球の国際的財産である豊かな 自然が破壊 されているのである。

第三は,豊か さの追求 と環境の負荷の問題である 豊かさとは,何かは一概 には言えない。極めて相対的かつあいまいな概念である それゆえ,いかほど が豊かで,それ以上は追求 してはいけない ということは甚だ困難である 我 々 の大多数は,いわゆる王侯貴族の生活が維持できるほど豊かではないか ら (し か し,当時の王侯貴族 よ りは多量の資源 とエネルギーは消費 しているが),蕩 尽的消費は困難である しか し,エネルギー及び資源の消費に関する一般大衆 の消費量が圧倒的である。ということは,我 々は,多消費 しているとは思わずに, いわば,生理的 日常的活動 として消費 しているゆえ,その消費パ ター ンを変 え ることは極めて困難である。

第四は,環境 と開発の関係である 環境 と開発 は前述の宮沢氏の言葉にもあ る通 り,両立す ると一般に考 えられている。ただ, ここでいう両立 とは,一体 いかなる内容 を意味 しているのか必ず しも明 らかではない。 もし,両立するの が 自明であるな らば,なぜいままでの開発が,環境破壊や公害 を生 じさせて き たのであろうか。環境 に対す る配慮 を行い さえすれば,いかなる開発 も環境 に 対す る負荷のない ものになるのであろうか。

第五は,個々の ミクロ的対策 とマクロ的効果 との差である た とえば,環境 監査 は一般 にはサイ トごとで認定を受けるのであるが,その企業が生産の増強 のために多 くのサイ トを増設 したとしよう そうすれば,サイ ト個々は環境負 荷の低い ものになろうが, トータルとしては,む しろ環境負荷が高 まっている

ことは十分 に有 り得 る

(7)

エコスタンダー ドの確立と環境監査

30 9

そ こで,革新的な一部の見解 の ように,‑組織体が持つ炭素の量 をきめると い う考 えもある。 しか し,では,別企業 にすればこの間題 はどうなるのであろ うか。 ま・たは,大企業の規模が抑制 されるとして,無数の中小企業が発生すれ ば同 じか,それ以上 に悪い結果 とも成 りかねない。 なぜ な ら,大企業 よ りも・む・

しろ中小企業の方が,ア ンケー ト等で明 らか ように環境対策は遅れていると言 われているか らである。

また,我 々は,一方では,経済の成長や好景気 を望んでいるが, これは,環 境へ の負荷 を高めたことにはな らないのであろうか。 また,規制緩和が叫ばれ ているが,各種 の規制の撤廃 は環境面 に悪影響であるもの もあ り,環境 的影響 評価 を行 ったあ とに緩和すべ きなのに,その ような議論 はあま り起 きていない。

第六 は ,消費者 の混乱 である。我 々は ,商 品や企 業 に関す る情報 を十分 には 持 っていない。それ を十分 に もっ ことは ,当然 に,経済的 ,社会 的 ,組織的 に困難 である。それゆえ,安 さと環境の影響 を同時に勘案す るには,限界がある。それゆ え,環境 に悪い企業及 び商品 を市場 か ら締 め出すことに成功 していない。むしろ,

悪貨が良貨 を駆逐す る」ように,グローバ ル化 は商品の安 さのみ を追求す る商 品 を蔓延 らせ る。なぜ な ら,それがいかなる生産施設で ,いかなるプロセス をへ て入手 されたかは,国内生産以上 に,不分明であるか らである。これは,消費者 の責任 であると同時 に,この ような消費構造 と情報構 造 を与 えて きた行政や企 業の怠慢で もある。このダッチロールか らいかにすれば脱出で きるであろうか。

以上のような環境 を取 り巻 く企業社会の矛盾 を一つ一つ解 きほ ぐし,解決 し てい く前操 を形成す るには,次のエ コス タンダー ドの確立 しかないであろう。

環境保全 に向けた取 り組 みが,あ らゆる国家,組織,機関で試み られている それは, 自己の活動 に対す る当為づけであると同時 に,あ らゆる他者のあ らゆ る活動の環境適合性 を要請す る。

そ こで,いかなるエ コス タンダー ドがあるのかをみてみ よう。9)

9)エコスタンダー ドには,本文に示す以外にも,多 くの検討課題がある。たとえば, 一般的スタンダー ドと個別的スタンダー ドとの整合性と協調の問題や,法的,経済 的,社会的,行政的,文化的スタンダー ドとその関係性についてや,多 くのスタンダー ドをどのような手順で,どのような実効性のある戦略で確立するかなど,である。

(8)

310

商 学 47 2・3

(1) 国際的エ コス タンダー ドとしての条約は,は じめに見 た とお り,国際的 な環境問題 に対する基準の大枠 は確立 されつつある しか し,宣言や決議がい かに出され ようとも,最終的に主権が国家 に帰属す る以上,国家が 自己決定権

としての実効性 のある対応 をしなければ実現 しない。

現在 は, まだ国際的な様 々な機 関を通 じて,個別的に国家が調整 をは じめた 段 階である

しか し,以下 にみる

2

つの法律 はその実効性 を持 ち始めているのでそれを今 後 の足掛か りとしてみてみ よう

その一つが,バーゼル条約である これは,毒性,爆発性 ,感染性 などを有 す るいわゆる 「有害廃棄物」の国家間の移動 を禁止 した ものである。これによっ て,途上国に頼 っていた先進国の有害廃棄物の処理は,先進国 自らが行 わな く てほな らな くなったのである。

今一つが, ロン ドン条約であるo これはすべての廃棄物の海洋投棄 を国際的 に禁止 した ものである。従来は,産業廃棄物業者が廃棄物 を回収 し,銀の回収 や中和処理 を施 して,海洋 に投棄 していたが,

9 6

1

月か らは,全面的に禁止

となったのである

この ように,国家 間の産業 に係わる問題が,国際的に禁止 となったのである 今後 は, さらに個別的な環境対策 に関す る条約が多数出現 してい くことが考 え

られる。

(2) 国内的エ コス タンダー ドとしての環境基本法 とその他 の法律

環境問題の基本法 として,環境基本法があるが, これは,個 々的な問題のた めのルールを導出するための前提 (基礎法)である。10)

そ して,産業界 には,それ を個別的に規制す るための法律がい くつか作 られ ている

10)基本法20条では,環境アセスメントを,22条では,経済的措置について,23条では, 施設の整備等を,25条では,環境学習について規定するが,具体的規定は,他の法律, 規則にまかされっている。そして,これらは,新しい環境関連ビジネスとしての期 待されている。

(9)

エコスタンダー ドの確立と環境監査

311

た とえば,「再生資源の利用の促進 に関す る法律」 によれば,その 日的 ( 一粂)は 「資源の有効 な利用の確保 を図るとともに,廃棄物の発生の抑制及び 環境の保全 に資するため,再生資源の利用の促進に関する所要の措置を講ずる」

と述べ る。そ して,業者に再生資源の利用促進 に努めるように当為づける。そ して基準 に照 らして,著 しく不十分 なときには,勧告及び公表することとする

(

1 5

粂)0

また,「廃棄物の処理及び清掃 に関す る法律」 (改正法)では,事業者の責任 として,廃棄物の減量化や再生資源化の推進,適正処理が困難な廃棄物 に関 し ては製造販売事業者等の協力義務, または,特別管理廃棄物 に対する規制の強 化等が掲 げ られている。

そ して,「容器包装 に係わる分別収集及び再商品化の促進に関する法律」では, 消費者に対 しては,分別排出,地方 自治体 には,分別収集 を,事業者 には, リ サイクル義務 を課す。 とくに,事業者は,引 き取 った ものは全量 リサイクル し なければならないこととなった。

これ らの法律の基本的特徴 は,特定の産業界の規制であ りなが ら,消費者及 び地方 自治体の責務 も明 らかにされ,事業者にはかな りの強制力 をもつ ことで ある。

そ して,この ような法律が次第に様 々な廃棄物の処理 についての自己責任性 を明 らかにしてい くだろうと言われている

(3) 行政機関のエ コスタンダー ド

行政のエ コス タンダー ドは,大 きく分けて,

2

つの側面 をもつ 。 一つは,潤 費者 としての問題であ り,今一つが,政策の立案,遂行者 としての問題である。

まず,消費者 としては,行政は大 きな購買者であ り,それがいかなる消費行動, 購買行動 をとるかは重要である

国は,閣議決定で,「国の事業者 ・消費者 としての環境保全 に向けた取組の 率先実行のための行動計画」 を,平成

7

6

月に出す。

このペーパーの中で,大 きくは,

5

つの事柄 を決定 している。

その

1

は,「財やサービスの購入 ・使用 に当たっての環境保全への配慮」で

(10)

31 2

47 2・3

ある。 この中には,さらに

5

つの配慮 をあげる。第一は,生産段階での環境負 荷の少 ない製品,原材料の選択 であ り,第二は,使用段階での環境負荷の少な い製品,原材料の選択であ り,第三が,その他の環境負荷の少ない製品,原材 料等の選択であ り,第四は,環境負荷 の削減のための資源利用の節約であ り, 第五が,環境負荷の少ない形態の販売方法を用いる商品の選択である。

その

2

は,建築物の建築,管理等に当たっての環境保全への配慮である

その3は,その他行政事務 に当たっての環境保全への配慮であ り,た とえば, 庁舎 におけるエネルギー使用量の抑制 を年次 とともにその ときの達成率 を数字 で表 している。

4

は,環境保全 に関す る職貞 に対する研修等の実施である

5

は,計画の推進体制の整備 と実施状況の点検 をあげる。

この ように関係各省庁の環境 に対す る取 り組みは,かな り本格的なものであ るといえよう

これに対 して,関係各省庁は,産業や企業 に対 して とるべ きエ コスタンダー ドを出す。

た とえば,通産省 は,1

9 9 2

1 0

月に,「ボランタリープラン を出 し,各企 業が取 り組むべ き環境対策 を明示する。11)

また,環境庁 は,1

9 9 3

2

月に,「環境 にや さしい企業行動指針」 を出 し, 企業の取 るべ き基準 を提示 したのである12)

この ように,行政 は国家又は地方のエ コス タンダー ドの実践者 として模範 を 自ら示す役割 をもっているのである

(4)消費者のエ コスタンダー ド

環境基本法は,消費者 も環境対策の主体 と位置づけた。た とえば,第

9

条で, 国民は 「環境の保全上の支障を防止す るため,その 日常生活に伴 う環境への負

l l )9 2

年に通産省がだしたもので,環境に関する経営方針や社内体制の整備,事業活動

上の配慮など幅広 く,企業の環境対策を促す内容となっている。

1 2 )9 3

年に企業が環境に配慮した行動をとるためのガイドラインを示したもの

特に,環境管理と環境報告書の重要性を指摘する。

(11)

エコスタンダー ドの確立と環境監査

31 3

荷 の低減に努めなければな らない」 とした。

消費者は,単 に商品 ・サービスの購買者であるだけではな く,当然に利用, 消費,廃棄を行 うものである。その者が他者に迷惑や問題 を起 こせば,まず, それがなん らかのサ ンクシ ョンの対象 となろう。そればか りではな く,家庭で は,子供の教育義務者で もある また,企業や個人で生産に携 わっている生産 者であることも多い。それゆえ,子供や同僚への環境に対する啓発活動は日常 活動の中で随時行われるべ きである

(5) 企業のエ コスタンダー ド

日本の企業のエ コス タンダー ドの中で, もっとも大 きな組織が出 したス タン ダー ドとして,経済団体連合会の 「経団連環境憲章

」( 1 9 91

年)がある。これは, 日本の中心的企業団体13)である経団連が,国際的な環境問題 に対処するため に自らが制定 した環境 に関す る基本的綱領である

これは,産業界が 自主制定 した ものであ り,かつそれゆえ,法的な強制力 を 伴 わない ものであるか ら,意味の無いまたは,む しろ企業に対する法的強制力

を抑制 しようという目的に しか使われない とい う考えもあろう

確かに,運用の仕方次第では,そのようにも機能するか もしれない。

しか し,包装法にみるように,徐 々にではあるが,私的ス タンダー ドにパ ブ リックス タンダー ドが追いかける形で,実施 されつつある。

その意味では,自主制定 とはいえ,それが一つの公共規定の導出的機能 を果 た しているのである。言い換 えれば,法の猶予時間 と基準 をこのような産業界 全体でコンセンサスを図ろうとするもの と言えよう。そ して, コンセ ンサスが 取れた時期 に,まさに法的規律の対象 となるのである。

そのような機能を有すると考えれば, これ らのスタンダー ドもそれな りの意 義 を有すると言わざるを得 ないであろう。

13)(社)経済同友会も,環境に関する提言をだす。しかし,こちらは個別的テ・‑マを絞っ て提言している。

9 2

年は,

「 UNCED

後の地球環境問題における日本の役割

94年は,「廃棄物の抑制とリサイクルの推進に向けて」

9 5

年には,「行動変革のための環境教育の勧め」,参照

(12)

31 4

4 7

2・3

それを物語るのが,以下に示す図である。

まず第‑に上げ られているものは,経団連地球環境憲章が どう使われたかを 聞いた ものである

経団連地球環境 憲章の活用状況

‑ 1

企業による環境問題への取 り組み状況に関する アンケー ト調査」

(経団連地球環境 グループ,

1 9 9 6.7. 1 6 )

これをみると,企業全体 としては,第一に,「社 としての憲章作成に活用 した」

とい う企業が

,47

.4%であ り,第二が,「社内体制整備 に活用 した

4 4. 6 %

であ り,第三が,「社 内広報 に活用 した

」( 1 6. 7%)

となっている。これに対 して,

活用 していない」 は

,2 4. 7 %

であ り,少数である 勿論,これは否定的に答 えることに対する後 ろめたさが伴 うゆえ,何 らかに活用 したと答 えざるを得 な かったにして も,それゆえ,活用 した として もその内容や レベルには各社各様 あろうが, どちらにして も,全体的には地球環境憲章のフレームは容認 されて いるものと言えよう

(13)

エコスタンダー ドの確立と環境監査 それをさらに裏付 ける ものが,次に示す図である。

経団連地球環境憲章と同主旨の社内憲章等の制定について

5 9

している 馴定の方向 制定 してい11い その他

E

Z )9 2

年誠査

囚 9

8年誼宜

図‑

2

[

‑ 1

と同 じ資料よ り作成]

31 5

これによる と,経 団連地球環境憲章 と同主 旨の社内憲章 ・指針等の制定 につ いて聞いた ところ,9

2

年の調査 では,「制定 している」が19.

1%

と二割程度 に 止 まっていたが,今 回の調査では

,59. 0%

と六割近 くに上昇 している。 これか

ら言 えば,やは り自らの制定‑の流れがで きたことになる。

「この地球環境憲章 において,循環型社会 を築いてい くために政府や消費者, そ して企業がそれぞれの責任 を果た してい くことを提言」 して きたが,「環境 問題へ の取 り組みの重要性 は近年 ます ます高 まってい る14)ので,「経 団連 環境 アピール

」(

副題 は,

21

世紀の環境保全 に向けた経済界の 自主行動宣言,1996

7

月1

6

日) を出 した とい う

その際のキーワー ドとして3つあげる

1 4)『

週刊東洋経済

( 1 9 9 6. 8. 2 4)の中での,経団連 ・太田元氏の発言

(14)

316

商 学 第47巻 第 2・3号

その一つは,「個人や組織の有 り様 としての 「環境倫理」の再確認,であ り, 二つ 目が,「技術力の向上等,経済性の改善を通 じて環境負荷の低減 を図る 「

コ ・エ フィシェンシ‑ (環境効率性)」の実現であ り,最後が,「「自主的取 り 組みの強化」であるとす る。

そ して,さらに主 として4つの課題 とその具体的対策を述べる。それを少 し 長 くなるが見てみ よう。なぜ なら,今回のアピールは,憲章 を踏 まえて, より 具体的な行動基準 に踏み込んで記述 しているか らである

第一は,「地球温暖化対策」である。その対策 として,7つ上げる。

(丑 エネルギー効率の改善等の具体的な目標 と方策 を盛 り込んだ産業毎の自 主行動計画の作成 と,その進捗状況の定期的 レビュー

② 都市 ・産業廃熱の回収利用, 自然エネルギーの コス トダウン,コジェネ レーション ・複合発電等 による化石燃料の利用効率の改善,原子力の安全 かつ効率的利用の促進

(

LCA

の視点 に立った業際間連携 によるエネルギー効率の改善

輸送効率の改善

省エネ型製品の開発等 を通 じた民生部門における温暖化対策への協力 ( 政府 との緊密 な連携の下,途上因‑の技術移転のための「共同実施活動」

への積極的な参加

企業 自ら,あるいは経団連 自然保護基金等 を通 じた内外 における森林保 護や植林の推進等

第二が,循環型経済社会の構築 を実現す るために,以下の

6

つの具体的な取

り組みを掲げる LJ

(

LCA

の視点 に立った廃棄物の発生低減お よび再利用可能なための製品 開発

廃棄物の適正処理

③ 廃製品の回収 ・処理のシステムの構築

業際問連携 による廃棄物の原料化 G) 包装の簡素化 とリサイクルの推進

(15)

エ コス タンダー ドの確立 と環境監査

317

環境負荷の少ない製品や リサイクル製品の導入

第三が,環境管理システムの構築 と環境監査 についである。これに対 しては, 三つあげている

社 内体制未整備企業 における環境管理 ・監査体制の速やかな導入 (これに 対 しては, さらに重要なもの として,環境問題担当役員任命や,環境担当 部門の設置や内部監査の実施 というふ うな項 目を具体的に例示 している。)

I SO

規格 に沿った環境管理 ・監査の実施, もしくはそれに準 じた取 り組み

I SO

における環境 ラベル,環境パーフォーマ ンス評価,

LCA

の国際規 格作 りへの積 極的参画等

最後が,海外事業展開にあたっての環境の配慮である。

第三に対 しては,経団連が 自ら会員企業 に対 してアンケー トを取 っているの でそれを見 なが ら, 日本の主要な企業がいかなる環境対策を取っているのかを み よう

その第‑が,以下の図で, これは,環境問題担当役月 を任命 しているか どう かを聞いた ものである 環境問題 は,すでに見てきた とお り,あ らたなどジネ

環境 問題担 当役員の任命

留 92年誼査 団 96年誠萱

図‑

3

[

‑ 1

と同 じ資料より作成]

(16)

318

第47巻 第 2・3

スチャンス とも取れるが,一般的には企業の経済活動‑の制約や負担,ない し は リスクと取 られているゆえ,消極的なことが十分 に考 えられる それゆえ, 企業の意志決定に関 して重要な地位 にいるものが担当 していなければならない であろう

前図をみると,92年度の調査 に比較 して,「任命 している」 とい う答 えが, 明 らかに増 えてお り,

7

割 を超 えている。特 に製造業 に至 っては

,87. 3%

と極 めて高率 となっている。 (上図は,製造業 と非製造業 とは区別 していないが, 元の資料では,分けて記載 されている。)

これは,先は どのように経営に関する重要な決定 と当該企業がみているとい うことと,これによって多 くのステイクホルダーが,当該企業の環境 に対す る 姿勢 を判断する時の評価基準 となっていると言えるので,環境担当者 として役 員 を任命 していない企業は速やかに,事実上の業界標準 に追いつ くべ く,任命 すべ きであろう。

次の図は,環境問題 を専門に担当する部署の設置についてである い くら, 環境担当の役員 を任命 したか らと言 って も専属の部署がなければ,継続的かつ

環境問題を専門に担当する部門の設置 69.7

00

0

00A,3

ウL

1

92

i

B萱 厨 98年波査

図‑

4

[図‑ 1と同 じ資料より作成】

(17)

エコスタンダー ドの確立と環境監査

319

実効的な対策の実施は不可能である。なぜ なら環境管理 ・監査 は,一回で終わ

りではな く,企業活動 を営んで行 く問は,永続的に実施 し,成果を積み上げて 行 くべ きものであるか らである しか も,他者か らすれば,専 門の部署 を設け ていない以上,環境 に熱心ではない,ポーズだけの もの とみ られて もしょうが ないのである。

前図か らすると

, 9 2

年度には,6割 しか設置 していなかったものが,今回では, 7割近 くまで増加 している。 しか も, これは先程の担当役員の任命比率 とほぼ 同 じ値 を示す。 これか らすれば,専 門部署 を設け,経営的課題 として認識 して いれば,当然に,役員 レベルの関与があるというべ きであろう

次の図は,環境負荷要因の削減等 に関する目標 ・計画について聞いたもので ある

環境負荷要因の削減に関する目標計画

33.15N6. 15.415.3 44̲825.3 6.7 3.2

田 92年泊蛮 囚 96年;

‑5

[

I

lと同 じ資料より作成】

これか らすると,定めていると答 えた企業が,大幅に増加 したことになる。

い くら,環境の専 門部署 を設置 して も最終的には,環境負荷 をいかむと減 らすか が求め られているのであ り,そのためには,明確 な数値的 目標が必要であろう

ここでの 目標 は数値か どうかは明 らかではないが,増加 した とは言え,半数近

(18)

3 20

第47巻 2・3号

くが未設定であるのは,大 きな問題 と言わざるを得 ない。

次の

2

つの図は,端的に,定期的な監査の実施 について と,

I SO

の環境管 理規格への対応 を聞いた ものである。

自社の規程等の尊守についての定期的監査 49.3

田 92年iFl 田 98年三原萱 図‑ 6 そ の 1

I SD

の環境管理蔑格‑の対応

( 9 6

年調査)

‑6

そ の

2

(19)

エコスタンダー ドの確立と環境監査

3 21

その‑の図によると,今回の調査では,4

9. 3 %の企業がすでに定期的監査 を

実施 していると答えている。 しか し,逆 に言えば,半数以上の企業がいまだ実 施 していないのである この調査 は大手の企業に聞いたものであ り,それで も 環境 に関する調査の不徹底ぶ りが明 らか となったとい うべ きであろう。

その二の図は,

I SO親格 に基づ く認証 を受けか とい う問に答 えた ものであ

るが,その‑ より悪い回答 となっている。 こち らは,

4

割弱程度が受けるとし ているが,はた して現実的に受けるか どうか となるとかな り低い借 となろう。

ただ,環境マネジメ ン トは整備す るが

I SO

の認証 は受 けない とい うものはか な り少 な く,せっか く整備 をす るな ら,

I SO規格 を受 けようとしていること

は評価 に値するように思われる。

ただ, どの調査 にしても,製造業は環境 に対 して積極的対応 をしているが, 非製造業 はかな りス コアが低い。確かに,製造業 ほど環境への負荷や リスクは 大 きくはないが,た とえば,電力消費や紙の消費や運送 に関しては相当程度の 省エネ,省資源が実現で きるのであ り,今後は,非製造業 も積極的に環境貢献

を実施すべ きであろう。

2

環境 監査/管理 とは

2‑ 1

環境管理お よび環境監査 は,企業の環境保全活動の一手法 として様 々な企業 や機 関が長い間の実務的ノウハ ウを積 み重ねて開発 ・構築 して きた ものであ それゆえ,内容や名称 も様々である これをもう少 し詳 しく述べ ると以下 のような理由によろ う

第一は,本来様 々な流れの中か らこの考 え方が生み出されて きたのであるか ら,その定義が異なることはむしろ当然であろう。

第二は,環境管理は,他の様々な手法を含み こむことか ら, どこまでをその 中に入れるかによって意見が分かれるよう

第三は,理念型 と実施に可能な環境監査 ・管理は,その内容及び質が異 なっ ていることは十分に有 り得 る。特 に,環境監査 は,最初か ら十全のシステムを

(20)

322

47 2・3

獲得するとい うよ りは,長い間に, 自主的に管理手法 をマス ター してい くべ き ものであるので,その導入モデル と発展モデルとでは大 きく異 なることは十分 に考 え られる。

第四は,監査 の語 は,会計監査の考 え方 を拡大類推 した もの と考 え られてい るので,その考 え方が多分 に影響 している事が上 げ られる15)勿論,論者の 中には,会計監査人が行 うべ きであ り,当然 に,会計監査 の広義の業務 の一つ と見倣す者 もいるが,観念的思弁的に会計監査の骨格 を援用 し,独 自の考えに 発展 した もの もある。

第五は,国によって,その国の経済発展状況や,企業活動の責任性やその担 保の仕方が異 なっているので,その影響で具体的内容 は異 なることはある。

しか し,現在の経済社会は,グローバル経済化が進んでいるのであ り,なる べ く一つのス タンダー ドで一元的に評価 されることが望 ましい。それによって こそ,地球環境 とい うまさにグローバ ルな課題が解決で きる基礎 を得 ることに なるのである

そ こで,包括的で普遍的な環境監査 ・管理概念 とそのシステムを人類共通の ス タンダー ドとして,速やかに確立すべ きである。そこで,今 までの環境管理 ・ 監査 の概念や取 り組みをまずみてみ よう

た とえば,環境管理

( Envi r o nme nt a lMa na ge me nt )

や環境 監査

( Envi r o n一 me nt a lAudi t )

や, 環 境 監 理

( Envi r o nme nt a lSur ve i l l a nc e )

や 環 境 審 査

( Envi r o nme nt a lRe vi e w)

ない しは環境評価

( Envi r o nme nt a lAs s e s s me nt )

も広義では属す ると言 えよう。16)

ただこの概念 を実効性 のある体系 にいち早 くまとめ上げた

E

U の

「 EMAS」

や,英国の

「 BS7 7 5 0

」では,環境管理や環境監査 とい う語 を使用す ることか ら, 事実上,これ らが採用 されている

環境管理お よび環境監査 の考 え方の潮流 は,大 きく分けて6つ程度指摘で き 15)倉阪智子 「環境監査とは何か」,JICPAジャーナル,NO.438,JUN,1992,参照,

及び,同書,NO.443,JUN.1992の特集 「環境監査の構図と課題」参照 16)環境監査研究会編 『環境監査入門』,日本経済新聞社,参照

(21)

エコスタンダー ドの確立と環境監査

323

よう。 その

1

つ は,

I CC

の考 えであ り,

2

つ 日が,

E

U の考 え方であ り,

3

つ 日が,英 国の基準 であ り,

4

つ 日が,

I SO

の考 え方 であ り,

5

つ 目が, ア メリカの考 え方であ り,最後が,エルムウッ ド研究所 の考 え方である

そのそれぞれを外観 した後で,それ らの比較 とそれ らを包括す る概念 を考 え て見 よう

2‑ 2

環境管理の様 々な概念

( 1 ) ICC

の考 え方

概要

1 9 91

4

月に,「環境管理 に関す る第二回世界産業会議

」 ( Se c o ndWor l dl n‑

dus t r yConf e r enc eOnEnvi r onme nt a lMa nage me nt : WI CEM)

が オ ラ ンダで 開かれた。 この会議で,「持続的発展のための産業界憲章」が採択 された。

その序文で,「持続可能 な発展 とは,将来の世代 のニーズの充足 を損 なわな いような形で,今 日のニーズを充足することを意味す る」 との基本的認識 を表 明 した後,「本憲章 を制定す る 目的は,で きるだけ幅広 い範 囲の企業が これ ら の原則 に従 って環境対策 を改善 し,かか る改善活動 を事業運営の中に組み込み 改善の進捗度 を測定 し,その進捗度 を適宜,内外 に発表することにコミッ トす る」 ことであるとす る。17)その後 に, この憲章では、環境管理原則 として

1 6

げてお り,ちなみに,第

1 6

に環境監査 とその報告が掲 げ られている。18)

この産業界憲章 は,「先進 国の リーダーが描 く環境戦略の最大公約数的要素 を抽 出 して作 られた もの19)であるか ら,それゆえ,多 くの問題 も抱 えてい るが,それは後程議論す るとして, まず,

I CC

の環境管理 ・監査 の特徴 を見

17)

" WI CEM Se c o ndWo r l dCo n f e r e n c eo nEnvi r o nme nt a lMa na ge me n

t

' ' ,Co n f e r ‑ e nc eRe po r ta ndBa c kgr o undPa r i s , I CCPub l i c a t i o n

1 8 )

1 6

条は,「環境対策面での遂行状況を測定すること,会社の親則,法的規制なら びに本原則の遵守状況につき定期的に環境面の監査の評価を行うこと。取締役会, 株主,従業員,当面ならびに一般の人々に適切な情報を定期的に鹿供すること」で ある。

1 9 )

1 6

の書,参照

(22)

3 24

47 2・3

てみ よう。

(卦 監査の定義

環境監査 とは,「経営 における環境管理の推進や,企業の環境理念への遵守 についての評価 を通 じて,企業の環境 に対する努力 を,組織,経営,施設など の側面か ら定量的に評価するための経営手法であ り,かつ評価方法 は,組織的, 実証的,定期的,客観的なものである」とする。20)

これはまず,企業の環境理念への遵守や管理状況の把握 を経営全体,すなわ ち,経営方針,組織,事業所の施設を対象 として,個別的一時的ではな く組織 的に,あいまいな表現 を使 うのではな く実証的に,一回的や随時ではな く定期 的に,そ してだれが評価 して も明 らかなように客観的手法で もろて明 らかにす ることであるとす る

具体的内容 としては,た とえば,環境政策宣言を明文化す るとか,年次報告会, 株主稔会 ,で環境政策 を表明するとか,賃金体系 に環境活動の有無等の配慮 をす

ることや ,監査 に経営資源 を積極的に配分 ・充填することな どが上げ られよう

(参 監査対象

監査対象 は,抽象的一般的には,経営に関するあ らゆる事柄 に及ぶ と考え ら れるが,実践的要請によって以下のような判断を行 うことになろう

(i)すべてを厳格 に審査 し評価することは,時間的 ・経済約 ・人貞的に も 不可能である。

(ii)それゆえ,何 らかの絞 り込み をしなければならない。

(iii)その時, まず環境の負荷や保全 に関 して優先順位の高い事項及び管理 しやすい対象か ら実施 し,その後,結果を勘案 しなが ら,徐 々にその領 域 を広 げて行 くことになろう。

( i v)

しか し,それはその場 しの ぎや体裁 を整 えるための ものであってはな らず,領域拡大に向けて明確 なシナリオが必要であろう

そ して,領域が放 り込めた ら,今度は各組織 レベル毎に実施の計画を立て,

20)同上書,参照

(23)

エ コス タンダー ドの確立 と環境監査

325

実行 に移す ことになる。

そ して,運用上のポイン トとしては,

(i)・まず,経営者層か ら確かな支持 を得 ることである。環境監査 は現場の 者 にとっては不都合 な結果 を生 じやすいので,監査人 との摩擦が生 じや すい。そこで,彼 らと現場 との整合性 をとるために経営者層が積極的に 取 り組むべ くである。

(ii)次が,各 レベルの管理者 に有益 な情報が提供 され,なおかつ共有 され ること。環境管理基準 は,監査するもの とされるものの共通のルールで あるので,それは当然 に対等の情報の対称性 を必要 とするか らである。

(iii)役割分担 と,責任の所在が明確 に規定 されていること 役割 と責任が 明確でなければ,現場 に混乱 と怠慢が蔓延することになるか らである

( i v)

現場 に,明確 な運営 システムとルールがあること

(Ⅴ)

現場での管理方法 と結果についてフィードバックシステムがあること0 そ して,監査 の品質を保持するためには,以下のことが必要である。

(i)監査人 と監査計画は,監査対象 となる組織,部署か ら独立 しているこ

(近)監査報告書の捷出先 も,監査対象 となる組織等か ら独立 していること.

(iii)独立 したコンサルタン トや他の部門のスタッフを活用すること

(2)

E

Uの場合 (

EMAS: Ec

o‑M anagement&AuditScheme)

概要

1 9 9 0

1 2

月に,

EC

は,環境管理 ・監査 システムの第一次草案 を発表 した。

これは,EU加盟国の環境保全 の取 り組みのば らつ きを是正する とともに, 企業の環境マネジメン トの行動に対する社会的関心の高 ま りに応 えることがね

らい」 とされる。21)

そ して,

9 5

5

月に,「環境マネジメ ン ト及び監査要綱 に関する

EC

規則」

を採択 したのである。

2 1 )

監査法人 トーマツ編 『環境管理 ・監査制度のすべて』, 日本経済新聞社, 自参照

(24)

3 26

第47巻 第 2・3号

EMAS

では,「環境業績の継続的改善を目的 として,それを達成す る方法 として

3

つ上げる。

第‑は,事業場 に関 して,環境方針,環境計画,環境管理 システムを確立す ることであ り,第二は,これ らの業績 を体系的にかつ客観的に評価することで あ り,最後が,監査 についての情報 を一般 に公開 し,捷供することである。 と くに,

EMAS

で大 きなポイン トは,環境声明書

( e nvi r o nme nt a ls t a t e me nt )

である これは,先の第三を実現す ることであ り,企業の内部監査 に基づ き, 簡潔かつ明瞭に作成す ることが要請 される。そ して,その内容の客観性 を保証 す るための制度 として,公認環境検証人制度を規定する。22)

そ して,

EMAS

の監査手続の流れを書 くと以下の ような図となる

2 2 ) EMAS

によれば,公認環境検証人は,会社から独立した個人又は組織であると定

(25)

エコスタンダー ドの確立と環境監査

3 27

そ して,それ を簡単 に記述す ると,

①環境保全 システムを確立 し,

②環境監査 を実施 し,

(卦経営陣が監査 の結果 を吟味 して,環境面の業績 を向上 させ るための 目標 を 設定 し,

④環境監査の実施 と同 じ頻度で環境声明書 を作成する

⑤公認環境検証人によって,環境声明書のデー タや情報が信頼 しうるもので あ り,重要 な環境 問題が十分 な網羅性があるか どうかの認定 をうけること になる

また,

EMAS

の環境管理 ・監査の特徴 としては,

(i)会社全体で はな く,事業所 ごとが環境管理の対象 とな り,

(i i)

その事業所 ごとに環境管理 システムを作成 し,環境声明書 も作成 し, (iii)環境監査人は,会社 の内部の者で も外部の者で も良 く,

(iv)環境声 明書 は公開を原則 とし,その内容 は公認環境検証人によって認 証 されることであ り,

(Ⅴ)企業が 自主参加す るこ とに対す るイ ンセ ンティブを高 めるため に,

EMAS

の参加マークを使用 を許す ことになる

(3) 英国の基準

概要

BS7 7 5 0

は,英国規格協会

( BI S: Br i t i s hSt a nda r dI ns t i t ut i o n)

, 1 9 9 2

3

に制定 した環境マネジメン トシステムの規格 である。 これは ,マネジメ ン トシ ステムのモデルであ り,規則ではない。23)

BS7 7 5 0

は、企業が環境マ ネジメ ン トシステムを導入す る ときのモデル となる ものである 基本的には、経営論で用い られている

PDCA

サイクルを環境管理 に応用 した ものである

特徴 としては,

EMAS

と異 な り,外部の第三者 による認証 とい うプロセス 義されている。

23)荒井直樹著 『環境マネージメント・監査入門』,日本規格協会,参照

(26)

3 28

47 2・3

は親み込 まれていない。

企業は,環境マネジメン トシステム導入の意志決定をし,環境 についての実 態調査 (予備調査) をする。その調査後,環境方針 を決定 し,組織 を作 り,人 月配置をし,目標 を設定 し,管理計画やマニュアルを策定 してい く。この流れで, 環境マネジメン トを実施 し,一定期 間を経過後、監査結果 をみて,環境管理 シ ステムを見直すのである

これを,図示すれば以下のようになる。

(4)

I SO

の考え方

概要

I SO ( I nt e r na t i o na lOr ga ni z a t i o nf o rSt a nda r di z a t i o n)

は,「持続可能 な開 発 のための経済人会議」 (

BCSD)

の中で,環境 に関す る国際的規格 を作 るべ きである とい う要請 を受 けて, まず,

1 9 91

年 に

SAGE ( St r a t e gi cAdvi s o r y

参照

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