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奥山良俊 (昭和61年10)131日受即)

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(1)

−88−

電解質溶液を含む岩石の電気比抵抗について

電解質溶液を含む岩石の電気比抵抗について

奥山良俊 (昭和61年10)131日受即)

I

MeasurernentofElectricalResistivityofRocks SaturatedwithElectrolyticSolution.

RyoshunOKuYAMA

Thequantitiesofsorneelectrolytes inwater, inwhichpowderedrocksamples

wereirnmersed,weremeasuredtomakeclearofthe ioniceffectofalteredminerals

ontheelectrical resistivityof rockssaturatedwithwater, and it couldbesure

thattherewereconductiveelectrolytesintheporespacesofwateI‑bearingrocksby

reasonofdisolutionofalteredrninerals.

Then, theauthormeasuredtheelectrical resistivitiesofrocksamplessaturated withsolutionofsodiumchlorideasamodel todetect theioniceffectofelectrolytic solutionintheporespaces.

Inthismeasurement theelectrical and ionicpropertiesof rocksampleswere foundinrelationtoresistivity, porosityandsalinityofcontainedsolution.

オンの│司定は秋田県分析化学センターによるもので JISKO 1 0 1及び0 1 02に従っている。

尚,粉末試料による浸出溶液は粉末試料2.0gに 100ccの蒸溜水を加えて1時間強制撹伴したもの

であり, イオンの同定はさらに遠心分離(3000rpm)

15分後浦過(濾紙1"GFP) した溶液についてな されている。またすべての測定において測定試料の 温度は25。Cに保たれている。

1. まえがき

先の報告で著者8}ま変質地域における試錐コアの

粉末状試料による浸出溶液の電気比抵抗と固体試料

の比抵抗及び孔隙率との関係について述べたが,今

回の実験では浸出溶液に含まれているイオンのいく

つかについて分光分析による同定を行ない,また塩 化ナトリウム溶液を含む岩石の比抵抗測定から岩石

の孔隙中に含まれる電解質溶液の,岩石の比抵抗に

及ぼす影響について考察することにした。尚,試錐

コアの岩相,記号はすべて金属鉱業事業団の精密調

1)〜3)

査報告書によっている。

3.測定結果と考察

3. 1 粗粒玄武岩(DoI)及び石英安山岩(Do)

の孔隙率と浸出溶液の比抵抗値並びにイオン

濃度の関係

図1は粗粒玄武岩(Dol)の孔隙率の(volume%) と浸出溶液の比抵抗値β'(Q・cm)及びイオン濃 度(mg/g)の関係を示す。比抵抗値が孔隙率の

増加とともに減少しており,孔隙率が大きい程岩質 が脆く,より多くのイオンの溶出がみられることを 示唆しているが, イオン濃度についてみてみると鉄,

マグネシウムの各イオンは全く類似した傾向を示し 孔隙率の増加とともにイオン濃度の増加することが 顕著に認められナトリウムイオンについてもほぼ同 様の傾向がみられる。またカルシウムイオンに関し てはイオン濃度が大きく塩基性岩の特徴として当然 2.測定試料及び測定方法

測定に用いた試料は秋田県北鹿地域十和田地区の 粗粒玄武岩(HT‑15Dol),石英安山岩(HT‑

25Do)及び北鹿北地域久吉地区の玄武岩(KH‑

3 B1−2), (KH‑6 B1‑2),石英安山 岩(KH‑8 Da2‑3), (KH‑8 Da2‑4), 凝灰岩(KH‑2 To‑a), (KH‑2 To‑b)

であり,固体試料の比抵抗測定には直流四極法を用 い,純水或は塩化ナトリウム溶液による完全湿潤状

態の下での測定である。浸出溶液の比抵抗は電気伝 導度計(東亜電波CM‑50AT)によって測定し, イ

秋田高専研究紀要第22号

』必

(2)

−89−

奥 山良俊

10 20

HT‑15Dol ]O 2

5.0 ︵二口E︶ン吟一の之四oz○一 1

O印

1㎡

0 5 1 0

︵二m戸上︶ニヒの之山口三○一 H醐雫●e レハ︒︒

之○戸コヨ○の﹂○エヒニ声の祠山α

︵戸﹄U1戸と二○︶己〃4 5 01 0 1

K

L必詮 之○匡コヨ○の﹂○ニヒ三﹄虫の山匡

︵︵仁UI︵上二○︶令の〃4 5 00 11

1.0

P'

obb=q,

O.1

1 5 10

F℃ROSITYO(volumeO/b)

5.0 10 20 304050 POROSITY。(volume。/b) 図1 粗粒玄武岩の孔隙率と浸出溶液の比抵抗値

並びにイオン濃度の関係

図2 石英安山岩の孔隙率と浸出溶液の比抵抗値

並びにイオン濃度の関係

のことと考えられるが,孔隙率との関連はカリウム

イオンと同様に認められない。因みに,塩素イオン,

硫酸イオンについても分析しているが,分析可能な 最小値以下という結果が得られ比較の対象から除い ている。勿論,他に多くの種類のイオンが溶液中に

存在する筈で, また特に水素イオン,水酸イオンが

最も溶液の比抵抗に関与することは溶液中での移動

度の大きさからみて当然のことであり,そのような 事柄を含めて溶液の比抵抗値が意味をもつものと考 えられる。

次に図2は石英安山岩(Do)の孔隙率と浸出溶 液の比抵抗値及びイオン濃度の関係を示すが,比抵 抗値が孔隙率の増加とともに増大し,前述の粗粒玄

武左(Dol)の例とは全く逆の傾向がみられる。こ

の結果から前報8)においては石英安山岩(Do)の

孔隙率がおおよそ10%〜25%と大きいことと,また 中性岩で有色鉱物の含有比が小さいことなどから熱

水による変質作用をすでに受けて溶出すべき岩石成 分が溶脱し安定なシリカ成分が卓越しているものと

推定し,孔隙率の大きい試料からのイオンの溶出は 少ないものと考えた。しかし,図2の結果から鉄及 びマグネシウムの各イオンについては孔隙率の増加

とともにイオン濃度が増大し,ナトリウム及びカリ ウムの各イオンについてもほぼ同様の傾向を示して いることが知られる。一方, カルシウムイオンのみ が孔隙率の増加とともにイオン濃度力§減少している0

溶液の比抵抗値が孔隙率の増加とともに増加すると

いうこの現象は, カルシウムイオンに加えて,分析

していないその他の未知のイオンの影響によるもの

か,或は溶液の比抵抗値とpHの間の良好な相関関

係からみて特に影響の大きい水酸イオンが変質鉱物 としての粘度鉱物によって撹伴の際に吸着された結

果によるものか明確には断定できない。

以上の二つの例から,変質地域における岩石は岩 質が脆く水の存在によってその成分が容易に溶出し 電解質溶液として岩石中の孔隙に含まれ岩石の比抵 抗に関与するものと考えられる。

3. 2塩化ナトリウム溶液を含む岩石の比抵抗値 前述の結果から岩石の孔隙中に含まれる電解質溶

液が岩石の比抵抗値にどのような影響を及ぼすかを

知るための一つのモデルとして,塩化ナトリウム溶

液による完全湿潤状態での岩石の比抵抗値を測定し た。その結果を図3に示す。同様に塩化ナトリウム

溶液の濃度S(mol/2)と比抵抗値ps (Q・cm) の関係も図3に示す。溶液の濃度が増すと溶液の比 抵抗値の減少するのは当然のことであるが,濃度の 増加に伴いイオンの間の力の影響が大きくなり,ま た粘性も増加することからイオンの移動度に限りが

あって終速度に達し飽和する傾向がみられる。この ような溶液を玄武岩(KH‑6 B1‑2),石英

b

I

11111

昭和62年2月

(3)

−90−

電解質溶液を含む岩石の電気比抵抗について

次に,凝灰岩(KH‑2 To‑b)

抵抗値p (Q・cm)と溶液の比抵抗イ

cm)の関係を孔隙率の (volume%)

安山岩(KH‑8Da2‑4)そして凝灰岩(KH‑6

To‑a)に含ませたときの溶液の濃度S(mol/2) と岩石の比抵抗対数値logp (Q・ cm)の関係 を示すのカミ図3の(1), (2)及び(3)である。

各々の試料の孔隙率の (volume%)が関与するの は勿論のことであるが,塩化ナトリウム溶液の漉度 と比抵抗にみられる挙動カヌ,岩石試料の比抵抗に類

似した形で反映していることが知られる。そして狭 い孔隙中に閉じ込められている溶液ではイオンの移 動度はさらに小さいものと考えられ,塩化ナトリウ ム溶液そのものに比べて岩石の比抵抗値はさらに濃

度の小さいところで飽和する傾向がみられる。次に,

同一の試料について塩化ナトリウム溶液の比抵抗値 ps (Q・cm)と試料の比抵抗値p (Q・cm)

の間の関係を図4に示すが良好な直線性が認められ,

それらの関係は次の(1), (2)及び(3)の式で

示される。 rは相関係数である。

(B,‑2) : logP=3.2+0.51 1ogps (1)

(r=0.99)

(Da2‑4) : logp=3.1+0.50 1ogPs (2)

(r=0.99)

(To‑a) : logP=2.3+0.58 1ogPs (3) (r=0.98)

いてみてみると図5が得られるか,前述の玄武岩

(B1‑2),石英安山岩(Da2‑4),及び凝灰

岩(To‑a)に比べて直線の傾きが大きく晒解画

溶液の影轡の受け易い岩質であることと,孔隙率の

増加によって比抵抗値がさらに著しく減少すること がわかる。こ・のことは岩石の変画か著しく ,岩石中 の孔隙が互に繋がり合って屯解画溶液中のイオンを 運ぶ流路を形成し易くしているものと考えられ孔隙

率の増加はさらにその傾向を強めているものと推定 される。尚,図5については試料に用いている晒極

の導晒塗料が塩化ナトリウム溶液の影轡などから一

部脱落し測定が困難となり測定値が不足しているが,

図4から推定して直線で結んだものである。図5で

得られた関係は次の(4), (5),及び(6)式で

示される。

(To‑b) : logP=2.1+1 .l logps

(4)

(d=8.7%, r=0.99)

logP=1 .4+1. l logps

(5)

(d=15.4%, r=1.0)

logp=1 .0+1. l logps (6) (。=23.1%, r=1.0)

l■■且■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■?■■■■■■■■Iい︑Ⅱ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■v

■ 匙

I︑︒■︑I︲︑Qb■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

1

くくく

l23

jjj

KH-6B1-2 (の=4.8。/。) KH‑8DQ2‑4(O=6.6.ノ。)

KH‑2TO‑Q (の=16.8。/b)

i

4.5

以上のことから岩石の孔隙に含まれる電解質溶液

I

︵︵上じI︵上二○︶の︑○三 ︵Eu︲E舌︶超pS

zo戸コヨ○ぬロ之迂山ヨユ重迂の菫○○α﹂○妄トラ戸の祠山匡

4.0 い﹃一 一一

O.1mol/I I

(1) (2)

5050544332

︵︹上︒I︵上二○︶の︒○二

四二Q三くのエUoaLoニトラ戸里の山匡

(1)

(2) ’

3.5

0.bmolノ1 1

1

製篝

州−1−

外造叶

32

(3) I (3)

NQCI

1.5

=4.8./・)

(2)KH‑8Dq2‑4(O=6.6。/b)

(3)KH‑2TO‑Q (O=16.8。/。)

1.0

1.0 1.5 2.0 2.5

Loges(ohm‑cm)

RESISTIVITYOFSAETSOLUTION

0 0.5 1.O 0.5

S(mol/I) SALINITYOFSOLUTION

図4塩化ナトリウム溶液の比抵抗値とそれを含 図3塩化ナトリウム溶液の濃度と比抵抗値並び

む岩石の比抵抗値の関係 にそれを含む岩石の比抵抗値の関係

秋田高専研究紀要第22号

(4)

5.0 5.5

】1

】−r

50504ム33

.'】

︵︵上U1︵仁二○︶しロ○二

四二q互迂のエUoa﹂○ニヒ室岸の扇山区

KH‑3B1−フ 5.0

5044

︵P﹄U1戸と二○︶の︒○三

0.bmc

OmdノI

5033 (1)

二岸三戸の一の山匡

(2) (1)PurewOter

(2)Sqltsolution 2.5

2.0 0

2.5

5 1.0 1.5 2.0 2.5

Loges(ohm-cm)

RESISTIVITYOFSALTSOLUTION

O.5 1.0

POROSITYLogの(volume%)

0

図6 蒸溜水及び塩化ナトリウム溶液を含む玄武

岩の孔隙率と比抵抗値の関係

図5 塩化ナトリウム溶液の比抵抗値とそれを含 む凝灰岩の比抵抗値並びに孔隙率の関係

は岩石の比抵抗に密接に関係し,溶液の濃度,粘性,

イオンの移動度, またイオンを運ぶ岩石中の流路の 形成,孔隙の状態など岩質によって比抵抗値の大き

く支配されることが知られた。

3.3電解質イオンの岩石中の流路(current path)と比抵抗値の関係

前述のように,電解質溶液を含む岩石の比抵抗値

には各々のイオンが移動するための流路が関与する 筈でありそのような岩質がどのように関係するかを

玄武岩(KH‑3 B1‑2)及び石英安山岩(K

H‑8 Da2‑3)を例として調べた結果を図6及 び図7に示す。図の中で(1)は蒸溜水を含む試料

の比抵抗値logP (Q・cm)と孔隙率logd

(volume%)の関係を示し, (2)は塩化ナトリ

ウム溶液(濃度0.5mol/2)を含むときの試料の比

抵抗値である。図6の玄武岩(B1‑2)は孔隙率

カヨ10%以下と小さいが,直線の傾きが小さく孔隙率

に対する変化が少なく , また溶液を含む場合の比抵

抗値の減少の程度もそれ程大きくはない。それに比

べて図7の石英安山岩(Da2‑3)では孔隙率が10

%〜20%と大きいことに加えて,直線の傾きが大き

く溶液を含む場合の比抵抗値の減少も顕著である。

このことは前者に比べて後者では岩石試料の孔隙が

互に繋り合って電解質イオンを運ぶ流路を形成しや

すくしていることを示唆している。また変質の程度,

岩質の脆さなどがその傾向をさらに強めているもの

5.0

KH‑8DQ2‑3 5 05 05 443 32

︵EU1E二○︶の○○ヨント夛声の一の山匡

C

(1)

(1)Pure

(2)SQlt solution (2)

2.0

0.5 1.0 1.5

POROSITYLogの(volume%)

図7 蒸溜水及び塩化ナトリウム溶液を含む石英 安山岩の孔隙率と比抵抗値の関係

と推定される。

図6及び図7に示す関係は次の(7)〜(10)の

式で示される。 rは相関係数である。

(B1‑2) : (1)蒸溜水を含むとき

logjo=5.1‑1.21ogd (7)

(r=‑0.91)

昭和62年2月

(5)

−92−

電解質溶液を含む岩石の電気比抵抗について

以上報告するにあたり九州大学工学部乗富一雄教 授の御指導と本校一般化学軽部昭夫教授並びに佐藤 孝行技官の御協力に深甚の謝意を表するものである。

(2)塩化ナトリウム溶液を含むとき

logp=4.7−1.31ogの (8)

(r=‑0.82)

(Da‑3) : (1)蒸溜水を含むとき

logp=6.0‑1.51og. (9)

(r=‑0.92)

(2)塩化ナトリウム溶液を含むとき

logp=5.6−2.0logの 00)

(r=‑0.93)

参考文献

l l

金属鉱業事業団(1974, 1975, 1976) : 精密調査報告醤北鹿地域,北鹿北地域

KELLER,G.V. (1979) :

ElectricalMethodsinGeophysical Prospecting, PERGAMONPRESS, pp・ 16‑27, 1979

奥山良俊・乗富一雄(1983) :

秋田県北鹿地域における試錐岩芯の電気

比抵抗について

秋田大学鉱山学部地下資源研究施設報告

No. 48, 43‑60, 1983

奥山良俊・乗富一雄(1984) :

秋田県北鹿地域における試錐岩芯の屯気 比抵抗について(その2)

秋田大学鉱山学部地下資源研究施設報告 No. 49, 41‑52, 1984

奥山良俊・上杉良市(1985) :

青森県久吉地区における玄武岩の電気比 抵抗測定について

秋田工業高等専門学校研究紀要 No. 20, 83‑89,1985

奥山良俊(1986) :

変質地域における試錐岩芯の粉末状試料

による浸出溶液の電気比抵抗について 秋田工業高等専門学校研究紀要

No. 21, 61‑66, 1986

1 )〜3)

4)

4. まとめ

岩石の粉末状試料による浸出溶液の電気比抵抗測

5)

定並びに溶液に含まれるイオンの同定と,塩化ナト

リウム溶液を含む岩石の比抵抗測定から次の結果が 得られた。

(1)秋田県北鹿地域のように地熱変質地域とされ

ているところでは岩石が熱水などの変質作用を受け 岩質力;脆く,水の存在によって岩石成分が溶出し電 解質溶液となり得る。そして孔隙率の増加とともに その傾向が顕著であり,特に鉄,マグネシウムの各

イオンにおいて明らかである。

(2)岩石の孔隙中に存在する電解質溶液そのもの の電気比抵抗にみられる性質,例えば濃度との関係 にみられる傾向がそれを含む岩石の比抵抗に極めて

類似した形で反映されている。

(3)電解質溶液を含む岩石では電解質イオンが運

ばれるための流路が形成されているかどうか,即ち

孔隙力§互に鑿カヌり合っているか,或は独立に存在す るかで電気比抵抗値が増減し,孔隙率の大小と岩石 の変質の程度がその流路の形成に大きく関与してい

るものと考えられる。

6)

7)

8)

秋田高専研究紀要第22号

、 、、月

参照

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