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職業への「移行」と高等教育の有用性に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)職業への「移行」と高等教育の有用性に関する研究 キーワード:就業体験、教育的効果、職業的レリバンス、初期キャリア形成 発達・社会システム専攻 山田. 裕司. 0. 論文の構成. イト)を分析の指標とし、多様な大学生活(講義への出. 第1章. 課題の設定. 席、課外活動等) 、初期キャリア形成の特質(就業経験や. 第2章. 日欧比較研究の視点. 職務と在学中の専攻分野の連鎖など)により総合的に考. 第3章. 分析の枠組み、視点. 察することで、大学知と職業的レリバンスの直接的な対. 第4章. 日蘭の学卒者に対する社会的評価. 応関係だけでなく、大学知がそうした大学生活や初期キ. 第5章. 日蘭の学卒者の「移行」特性. ャリア形成と連動しながら職業的レリバンスを高めてい. 第6章. 高等教育の就職支援とその利用. く可能性について検証しようとしている点に特色がある。. 第7章. 仕事と高等教育の「対応性」. 1.2 研究の目的. 第8章. 総括. 欧州の高等教育機関では、日本に比べ早期から就業体 験が重視されている。日欧の学卒者は、高等教育で経験. 1. はじめに. した初期キャリア形成の場としての就業体験を職業への. 高等教育は、学術研究の拠点と職業的エリート養成と. 「移行」に活用しているのだろうか。本研究の第一の目. いう二つの社会的役割を担った特権的な存在である。け. 的は、日本の高等教育における就職支援プログラム、カ. れども、高等教育の大衆化・普遍化するにしたがい、社. リキュラムの可能性と、導入にかかる課題、そして就業. 会は高等教育の教育的意義・教育的価値を問題視し、進. 体験の有用性を検証することである。. 学率や就職率という大学や行政が公表した数値を取り上. 大学の就職指導に関する先行研究は、1990 年代初期の. げ、質的な側面である(社会に与える)教育的効果まで. 大卒者に対する大学の就職指導・支援を調査した日本労. 検証してこなかった。. 働研究機構(1992)や、「国立大学における就職指導体. したがって、時代の変化とともに変革を遂げてきた大. 制等の在り方に関する研究会」 (1998)などが挙げられ. 学教育の現状を、学卒者の職業への「移行」という視点. る。どちらも、就職支援サポートは、機能的に構築され. から考察し、社会に対する教育的効果、換言すれば教育. ていないことを指摘するのみである。よって、本研究の. の有用性を明らかにしていく。. 第二の目的は、高等教育の就職支援システムに対する学. 1.1 大学知と職業的レリバンス. 生の評価から、①高等教育が提供しているサービスとは. 日欧の高等教育と労働市場の制度を教育学、社会学、. 何か、②在学中の就業体験が就職活動に影響を与えたの. 経済学分野から比較研究を進めているタイヒラー. か、明らかにすることである。. (2000) 、吉本(2001a、2001b)らは、日本を学歴・学. 1.3 論文の構成. 校歴別労働市場、欧州を専門職業別労働市場というよう. 第 2 章はタイヒラー、吉本らの先行研究をもとに、日. に、別個の特殊モデルとして扱うのではなく、むしろ大. 蘭の高等教育制度、教育プログラムの変革を把握し、分. 学知と職業的レリバンスを日欧共通モデルの枠組みで比. 析課題を明確にしていく。日本とほぼ同時期に職業教育. 較ができることを論じている。日欧の調査データ分析か. プログラムを高等教育に導入しているが、高等教育制度. らは、日本の大卒者が欧州大卒者と比較して、在学時代. や高等教育の教育目的が異なるオランダを、比較研究対. に獲得した専門的な知識、技術、能力などを仕事で有効. 象とすることの位置づけ、意義も明確にする。. に活用していない傾向が明らかになった。本研究は、こ. 第 3 章は、先行研究の方法論を参考に、分析の枠組み. うした共通枠組みを発展させ、職業的・社会的な自立、. や視点を述べた。学卒者の職業への「移行」は、人的資. 初期キャリア形成に向けての契機を探る点に特色がある。. 本理論、スクリーニング理論、葛藤理論などの研究アプ. 本研究では、近年大学教育改革の焦点となっている在. ローチが主であった。本研究ではそれに加えて、経営学. 学中の就業体験プログラム(インターンシップ、アルバ. や心理学分野で研究アプローチとして用いられているコ 1.

(2) ンピテンシー概念により、多角的な分析を試みた。. を奨励するプログラムやカリキュラム導入されるのが遅 かった(大学が本格的に実学志向を導入したのは、1997. 第 4 章は、日蘭の学生や学卒者に対する社会的評価、. 年の「21 世紀への緊急経済対策」 (11 月経済対策閣僚会. 卒業後の職業構成などを検証した。 第 5 章は、教育的効果を、現在の仕事と学歴、専攻分. 議決定) で、 インターンシップ・プログラムからである) 。. 野の対応性という指標で測定した。 分析は、 「高等教育の. 先行研究では、これらの教育改革による日本の大学教育. 教育的効果が現在の仕事で有効に機能している」という. の方向性が、 伝統的な大学を維持した形で行われたのか、. 仮説のもと、 (1)卒業後の経過年数や大学ランク、 (2). 既存の形態から実学志向の非大学型高等教育機関へと転. 高等教育の教育環境と教育内容、学生生活、 (3)在学中. 換したのか、考察していない。したがって、本研究はオ. の就業体験のインパクト、の視点から行った。. ランダの高等教育を比較対象にすることで検証した。. 第 6 章は、 「高等教育経験が学生の職業観を育成して いる」という仮説のもと、 (1)学卒者の就職活動行動と. 3.. 本研究で使用したデータ 本研究で使用したデータは、「高等教育と職業に関す. 入職プロセス、 (2)高等教育の就職支援の影響、の視点. る日欧比較調査」研究会(日本側代表:吉本圭一)が日. から分析を行った。 第 7 章は、学卒者の職業への「移行」を円滑する要因. 本と欧州 11 ヶ国の高等教育の第一学位(日本では学士. を考察した。その結果、日蘭の学卒者の職業への「移行」. 相当)修了者を対象として、1998∼1999 年に実施した. は、高等教育の教育環境の整備や方法論、学生の大学生. 調査に基づくものである(3)。. 活の行動に左右されていることが明らかになった。 4. 2.. 日蘭の学卒者に対する社会的評価. 4.1 労働市場の差異性と類似性. 日欧比較研究の視点. オランダは 1990 年以降導入した「ワークシェアリン. 2.1 高等教育システムの世界的動向. グ(仕事の分かち合い) 」という「パートタイム」雇用が、. 高等教育に対する個人的・社会的要求の多様化傾向は、 1960 年代から 70 年代に強まり、欧米諸国がナショナ. 失業率低下と雇用の増加を促進し、経済成長を促した。. ル・プロジェクトとの一環として教育の改革、教育制度. 日本の雇用形態は、対極的な位置にある「フルタイム」. の柔軟化を推進した。世界各国の高等教育の発展過程に. 労働市場が主流であった。さらに、新規学卒者を受け入. 着目したアルトバック(1979)は、共通の改革動向に“カ. れる労働市場は、オランダ社会が専門的職業でリーダー. リキュラムの変革”があると指摘している(1)。彼によれ. 的な存在として活躍する学卒者を需要していた一方で、. ば、 「ほとんどいずれの国でも、 自由学芸的教育理念が問. 日本社会はホワイトカラー系事務職やサービス・販売職. 題とされ、カリキュラムの適正化、実学志向、必要条件. という「 (特定職に限定されない)広範囲な」仕事ができ. の緩和・廃止などが行われてきた」のである。したがっ. る大卒者を需要していた。. て、世界的な高等教育の教育内容・方法論は、学術・研. 資格取得に対し学校スクーリングが条件として組み. 究志向から実学志向へ転換しているのである。. 込まれているため、日蘭とも「専門的な職業」に従事し. 2.2 日蘭の高等教育の比較研究の視点. ている学卒者の割合が高い(日本:約 5 割、オランダ:. 日本とオランダの高等教育システムは、教育目的や機. 8 割以上) 。日蘭の労働市場の差異性がある職種は、 「事. 能、学習期間、教育課程、卒業時に取得する学位など共. 務職、サービス・販売職」である(日本:約4割、オラ. 通した特徴がある。 けれども、 オランダの高等教育には、. ンダ:1 割弱) 。日本の学卒者は、卒業後の年数が経過す. 日本には存在しない非大学型高等教育機関が存在してい. るにしたがい、 「専門的な職業」へ昇進・転職する傾向が. る。非大学型高等教育機関(higher vocational college:. みられた。以上から、日本の学卒者のキャリア形成は、. 1970 年代以降の入学. 卒業後すぐに専攻分野と対応した仕事に就職していない. 者が増加している。反対に、学問研究主体の伝統的な大. が、職業経験などにより専攻分野と対応した仕事へ移行. 学は、1990 年代を境にして入学者が減少している。. していることが明らかになった。. HBO(2))は職業教育主体であり、. オランダの大学、HBO は 1990 年代以降、雇用者から. 日蘭の学卒者に対する社会の経済的な評価(所得)は. の専門的な要求に対応するため、コース数の増大や教授. 両国とも低くない。社会は学歴という教育資格に対して. アプローチの変革という教育革新を奨励してきた。それ. 適切な評価を行っている。. に対して、日本の大学教育は、職業への円滑な「移行」 2.

(3) これ以外の学部、と 3 つに区分することができる。オラ. 4.2 「アルバイト」に対する社会的評価. ンダの大学、HBO は、学部に関係なく就職関連カリキ. アルバイトは、正規雇用者に比べて社会保障が適用さ. ュラムに対する評価が高い。. れない契約のもとで断続的・臨時的に従事する仕事形態 が一般的である。オランダのアルバイトは、社会保険が. カリキュラムによる就職支援は、全学的に高い評価で. 制度化され、社会的に認知された雇用であり、インター. あったオランダの大学、HBO、専攻分野と対応する職業. ンシップ同様、社会的な正当性が付与された雇用形態で. が存在する学部のみで評価が高い日本の大学、という知. ある。したがって、日蘭の在学中の就業体験であるアル. 見が得られた。. バイトは、 社会的な評価や社会的な待遇が異なっている。. 6.2 就職活動と入職プロセス 就職活動の開始時期は、日本では卒業までに 9 割以上. 5.. が行うのに対して、オランダの大学、HBO では 3 割近. 日蘭の学卒者の「移行」特性 日本の学歴、専攻分野と職業的レリバンスは、卒業後. くが卒業後に就職活動を始めている。ゆえに、日蘭の学. の年数の経過により「延期的」に効果を発揮する。オラ. 卒者の入職プロセス過程には差異性がある。また、就職. ンダは、卒業直後「即時的・持続的」に効果を発揮する。. 活動に影響を与えた就職支援は、日本の大卒者が高等教. 5.1 日本の大学ランクによる比較. 育機関(就職部や就職情報室など) 、オランダの大卒者が 公的な機関、HBO 卒者が公的な機関と個人的な活動(理. 学歴、専攻分野から教育的効果を測定した結果、日本 の学卒者の「移行」特性は、学校ランクに左右されてい. 工学系卒)であった。. ることが明らかになった。専攻分野の職業的レリバンス. 6.3 就職活動を規定する要因 就職活動を規定する要因. は、中位ランクから上位・下位ランクになるにしたがい. 日蘭の学生は、①就職関連カリキュラムより、就職活. 高等教育による教育的効果が有効に機能していた。よう. 動の行動スタイルを左右されない、②在学中に仕事(イ. するに、大学中位ランク学卒者は学歴、専攻分野におけ. ンターンシップ、アルバイトを問わない)を経験するこ. る教育的効果が有効に機能していないのである。. とにより、就職活動の行動スタイルが個人的な活動にな. 5.2 カリキュラムの志向性. る、という知見がえられた。. オランダの高等教育の教育内容と教育環境は、大学と. 日蘭とも、 学卒者の就職活動の行動スタイルは、 「就職. HBO それぞれの機関の教育目的が反映していた。日本. 関連カリキュラム」より、 「在学中の仕事経験」に左右さ. の大学の教育内容と教育環境は、大学ランクや設置形態. れているのである。. (分類は、国公立と私立)に左右されていることが明ら かになった。大学ランク上位と中位の大学は、伝統的な. 7.. 学問研究を志向している一方で、下位ランクは伝統的な. 7.1 学卒者の職業への「移行」特性と本研究の意義. 総括. 学問研究よりも、職業教育・実学を上位・中位ランク以. 本研究により、高等教育の教育環境・活動が学卒者に. 上に志向したカリキュラム、プログラムを導入、実施し. 及ぼす「移行」特性を明らかにしてきた。オランダの高. ている。設置形態別では、国公立より私立大学のほうが. 等教育システムは、伝統的な学問研究志向の大学と、職. 職業教育・実学を教育環境・内容に導入していた。学問. 業教育や実学志向の HBO と、教育目的や社会的な役割. 研究の志向性には、特異な差異性がみられなかった。. を明確に機能分化している。それに対して、日本の大学. 5.3 在学中の就業体験と職業的レリバンス. 1990 年代以降の 教育は伝統的な学問研究志向に加えて、. 専攻分野と対応した就業体験を経験した学卒者は、日. 多様な学生の要求や社会の需要に対応する形で、従来の. 本が自然科学系、オランダの大学が法務・財務・社会科. 教育に職業教育、実学志向のカリキュラムを組み込んで. 学系、HBO が教育学系と自然科学系で、現在の仕事に. きた。そのため、各大学では、教育目的や社会的役割(人. おいて職業的レリバンスが強まる傾向がみられた。. 材育成という観点)に変化があらわれてきた。 このような現状を踏まえて、本研究は、1990 年代以降. 6.. の教育改革により変革を遂げている日本の大学教育が、. 高等教育の就職支援とその利用. 学卒者に対してどのような教育的効果を付与しているの. 6.1 就職関連カリキュラム 日本の大学教育の就職関連カリキュラム(4)の形態は、. かを検証し、考察してきた。さらに、日本の大学教育が. 教育系・医療系という専攻分野に対応した職業が存在す. 担っている学問研究と職業教育という二つの社会的な役. る学部、 就業体験や企業実習を実施している工学系学部、. 割を、別個の機関で担っているオランダの高等教育を比 3.

(4) 較対象にすることで、日本の大学教育の学卒者に対する. 第一は、オランダの高等教育の長期的な効果を検証す. 教育的効果を明らかにした。. ることができなかった点である。第二は、在学中の就業. 日蘭の高等教育の「移行」に及ぼす教育的効果を検証. 体験の職種、職業教育・実学志向カリキュラムの内容や. するために、現在の仕事と学歴の対応、現在の仕事と専. プログラム、経験した時期、特性について詳細な調査研. 攻分野の対応を指標にして分析した結果の総括は、. 究ができなかった点である。これには、学卒者の「移行」. ①. 日蘭の「移行」に対する高等教育の効果は、オラン. を推進する就業形態や職種の考察も必要であろう。. ダの学卒者が教育機関類型による影響を受けてい. これからの日本の大学は、オランダの大学や HBO の. ない。日本の学卒者は、大学の設置形態、大学ラン. ように教育目的に対するコンセプトを明確にして、実践. クの影響を受けやすい。. していくことが重要であろう。それは “就業体験”とい. ②. 卒業学部が「移行」に及ぼす教育的効果は、教育学. う職業教育を中心とした教育改革を行っていくことが望. 系を基準すると、日本は医療系、オランダは法学系. ましいと本研究より明らかになった。1990 年代以降の日. と医療系でみられた。日蘭共通にみられる学部の影. 本の大学は、まだこの改革の過渡期であり、これから教. 響は、学歴で法学系、経営学・ビジネス学系、専攻. 育の再構築が求められるのではないだろうか。. 分野で法学系であった。 ③. 教育内容・教育環境は、日本の学卒者の「移行」特. 主要文献. 性に影響を与えていた。学卒者の仕事は、大学教育. Teichler, U. (ed.), 2000, Higher Education and Gr-. が学問研究を志向していれば学歴の対応性、職業教. aduate employment in Europe: Final Report of a. 育・実学を志向していれば専攻分野の対応性が高ま. TSER-Project. Kassel. 小杉礼子監修、2002『高等教. っていた。オランダの学卒者の「移行」特性は、大. 育と職業に関する国際比較調査−ヨーロッパ側第1. 学、HBO が職業教育・実学を志向していれば、学. 報告からの抜粋−』資料シリーズ 2001、No.1、日本. 卒者の学歴の対応性が高くなる傾向がみられた。. 労働研究機構。. ④. 学生生活が「移行」に及ぼす効果は、日蘭とも「専. 吉本圭一(主査) 、2001a『欧州の高等教育と職業に関す. 攻分野と関連した就業体験(インターンシップ、ア. る各国レポート―「高等教育と職業に関する国際比較. ルバイトを問わない)を経験すること」である。こ. 研究」のための資料集―』日本労働研究機構。 吉本圭一、2001b「大学教育と職業への移行」 『高等教育. れは、高等教育で修得した専攻分野の知識、技術、. 研究』第 4 集、玉川大学出版部。. 能力が活用できる仕事、高等教育卒業という教育資 格(第一学位)に相応しい仕事への「移行」を促進. (1)日本も欧米諸国から遅れてではあるが、 1970 年代後半 から 90 年代にかけて質的な転換を推進してきた。 (2)HBO の特徴は、明確な職業的志向をもった理論的か つ実践的な訓練が行われ、製造業およびサービス業の 両セクターへ職業に役に立つ知識を伝達・発展させる という社会的役割を担っていることが挙げられる。 3 ( )本研究におけるデータ再分析は、以下の経緯で実施さ れた各研究会からの承諾を得て行うものである。 この研究実施にあたって、日本側では日本労働研究機 構プロジェクト、文部省科学研究費補助金(B)「日欧の 高等教育と労働市場に関する実証研究」 (平成 10−12 年度科学研究費補助金・基盤研究 B(1)研究代表者・ 吉本圭一)、東京楽部文化活動助成金を得て、また欧 州側では欧州委員会「重点的社会学経済学研究」研究 費等を得ている。なお、同研究会のデータ再分析のた めの「大卒者の職業への移行国際比較研究会・日蘭比 較研究作業部会」(日本労働研究機構)において、筆 者は専門研究委員として参加して、調査データの整備 や基礎集計・分析を担当した。 (4)学生が進路選択を主体的な行動により行えるような 就職関連カリキュラムが提供できている状況を、就職 支援体制が「完備」されていると捉える。. している。 以上より、日蘭の学卒者の「移行」特性を左右してい る高等教育の教育的効果を検証することができた。日蘭 とも「在学中の就業体験と専攻分野の関連」が強い影響 力をもっていた。さらに日本の「移行」特性は、名目的 評価(学歴)をされる上位大学ランク・国公立大学の学 卒者と、実質的評価(専攻分野)をされる下位大学ラン ク・私立大学の学卒者ということが明らかになった。日 本の大学は大学ランク・設置形態により、学卒者に与え る教育的効果や社会的役割が機能分化している。このよ うな状況のもと、まだ明確な機能分化ができていない中 位大学ランクがいかなる方向性をもって変革していくの か、今後の課題として浮かび上がってきた。これからの 日本の大学改革を考えるうえで、重要な視点となってく るであろう。 7.2 今後の課題・展望 以上の結果を踏まえて、二点の課題が残った。 4.

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参照

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1970 年代後半から 80 年代にかけて,湾奥部の新浜湖や内湾の小櫃川河口域での調査