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第 7 回 中 国 大 学 生 走 近 日 企 感 受 日 本 訪 日 団 報 告 書 の 刊 行 にあたって 本 書 は 走 近 日 企 感 受 日 本 事 業 の 第 7 回 訪 日 団 の 報 告 書 です 走 近 日 企 感 受 日 本 事 業 は 中 国 日 本 商 会 が2007 年 か

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中国大学生「走近日企・感受日本」訪日団第7回訪日報告書

目次

報告書の刊行にあたって...1 中国日本商会社会貢献事業「走近日企・感受日本」寄付金申込社(者)一覧...2 中国日本商会役員名簿...3 2010年度社会貢献委員会委員名簿...5 2010年度社会貢献委員会ワーキンググループ委員名簿...6 関立彤団長挨拶...7 主催、共催団体の概要...8 第7回中国大学生「走近日企・感受日本」訪日団団員名簿...9 第7回訪日 ホームステイ受け入れリスト...10 第7回中国大学生「走近日企・感受日本」訪日団視察日程...11 第7回中国大学生「走近日企・感受日本」訪日団視察先出席者リスト...12 <訪日記録> オムロン京都太陽工場(11/24)/担当:北京理工大学...16 トヨタ自動車元町工場&トヨタ会館(11/25)/担当:北京外国語大学...19 静岡県農林技術研究所(11/25)/担当:国際関係学院...21 アサヒビール神奈川工場(11/26)/担当:中国伝媒大学...23 住友商事本社(11/26)/担当:北京大学...25 日立製作所中央研究所(11/29)/担当:北京理工大学...27 一橋大学(11/29)/担当:北京外国語大学...29 三菱東京UFJ銀行(11/30)/担当:国際関係学院...31 日本航空羽田空港(12/1)/担当:中国伝媒大学...33 ホテルニューオータニ(12/2)/担当:北京大学...36 学生たちの感想文から...38 学生たちの撮った写真...63

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第7回中国大学生「走近日企・感受日本」

訪日団報告書の刊行にあたって

 本書は、「走近日企・感受日本」事業の第7回訪日団の報告書です。

 「走近日企・感受日本」事業は、中国日本商会が2007年から始めた中国人大学生を日本視察に招待す る社会貢献事業です。未来の中国を担う若い世代に日本及び日本企業を知ってもらうことを目的に、中 国日本商会の総意で実施が決議され、会員有志企業の寄付金によって費用を賄っています。過去6回の訪 日団で24大学175名の学生を日本に招待してまいりました。  第7回目となる今回は、北京大学、北京外国語大学、北京理工大学、国際関係学院、中国伝媒大学の5 大学から、日本に行ったことのない学生30名を選抜、一行は2010年11月23日から12月2日までの10日 間、日本に滞在しました。  視察先は企業では、オムロン京都太陽工場(京都)、トヨタ(愛知)、農林技術研究所(静岡)、ア サヒビール神奈川工場(神奈川)、住友商事(東京)、日立製作所中央研究所(東京)、三菱東京UFJ銀 行(東京)、日本航空(東京)、ホテルニューオータニ(東京)の9社。その他、中国大使館訪問、日本 の大学生との交流、一泊二日のホームステイ体験など多岐にわたるプログラムが組み込まれています。 ホームステイ受け入れに協力した企業は、16(アサヒビール、アルプス電気、伊藤忠商事、JTB、新日 本製鐵、住友商事、全日空、トヨタ自動車、日中経済協会、日立オートモーティブシステムズ、日立キ ャピタル、丸紅、三井物産、三菱商事、三菱電機、三菱東京UFJ銀行)にのぼっています。  このように「走近日企・感受日本」事業は、中国日本商会の会員企業の協力によって実施されていま す。また、共催団体である中国日本友好協会はじめ中国側にも全面的な協力をいただいておりますし、 訪日団の日本受け入れ、本報告書の編集にあたっては、財団法人日中経済協会にご尽力をいただいてお ります。加えて、寄付金の管理については、中国側では中国友好和平発展基金会に、日本側では財団法 人貿易研修センターにご協力をいただいております。改めて、本事業実施にご協力、ご尽力をいただい た皆様に厚く御礼を申し上げます。  本報告書に寄せられた参加学生のレポートを拝見いたしますと、本事業が学生たちに深い印象を残し ていることが分かります。本報告書をご一読いただき、日系企業の社会貢献活動の一端と中国の若者た ちの生き生きとした姿に触れていただければ幸いです。  日本商会では、引き続き「走近日企・感受日本」事業を実施してまいります。本事業が日中の相互理 解促進の一助となり、将来さらに大きな実を結ぶことになれば、これに優る喜びはありません。 中国日本商会 会長 鹿間千尋 2011年1月

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中国日本商会社会貢献事業「走近日企・感受日本」

寄付金申込社(者)一覧

〔寄付金額〕1,000万円 1 朝日ビール株式会社 2 伊藤忠商事株式会社 3 キヤノン(中国)有限公司 4 新日本製鐵株式会社 5 住友商事株式会社 6 全日本空輸株式会社 7 トヨタ自動車株式会社 8 NEC(中国)有限公司 9 株式会社日本航空インターナショナル 10 株式会社日立製作所 11 丸紅株式会社 12 株式会社みずほコーポレート銀行 13 三井物産株式会社 14 三菱商事株式会社 15 株式会社三菱東京UFJ銀行 〔寄付金額〕500万円~1,000万円未満 16 株式会社イトーヨーカ堂 17 ソニー(中国)有限公司 18 豊田通商株式会社 19 三井住友銀行 〔寄付金額〕100万円~500万円未満 20 旭化成株式会社 21 味の素株式会社 22 アルプス(中国)有限公司 23 岩谷産業株式会社 24 オムロン(中国)有限公司 25 新日本石油株式会社 26 JFE鋼鉄株式会社 27 大和証券SMBC株式会社 28 株式会社電通 29 東芝(中国)有限公司 30 日産(中国)投資有限公司 31 オークマ株式会社 32 株式会社商船三井 33 株式会社JTB 34 日本たばこ産業株式会社 35 日本農林中央金庫有限公司 36 日本郵船株式会社 37 野村ホールディングス株式会社 38 松下電器産業株式会社 39 三菱化学株式会社 40 三菱電機株式会社 41 ワコール(中国)時装有限公司 〔寄付金額〕10万円~100万円未満 42 株式会社IHI 43 あいおい損害保険株式会社 44 アルパイン(中国)有限公司 45 インテック国際科学技術有限公司 46 川崎汽船株式会社 47 キッコーマン株式会社 48 協和発酵工業株式会社 49 株式会社組合貿易 50 KDDI 株式会社 51 五洲大氣社工程有限公司 52 J-POWER電源開発株式会社 53 JVC(中国)投資有限公司 54 住金物産株式会社 55 住友化学株式会社 56 住友電気工業株式会社 57 積水化学工業株式会社(京都研究所) 58 双日株式会社 59 太平洋セメント株式会社 60 宝酒造株式会社 61 株式会社竹中工務店 62 大日本印刷株式会社 63 大福自動輸送機(天津)有限公司 64 長富宮中心有限責任公司 65 帝人株式会社 66 株式会社東京機械製作所 67 東工コーセン株式会社 68 東レ株式会社 69 トヨタモーターファイナンスチャイナ 70 株式会社日新 71 株式会社損害保険ジャパン 72 マルチメディア振興センター 73 日本東京海上日動火災保険株式会社 74 日立高科技貿易(上海)有限公司 75 日立租賃(中国)有限公司 76 阪和興業株式会社 77 ブラザー(中国)商業有限公司 78 北京HYFソフト有限公司 79 北京キューピー食品有限公司 80 北京KDDI 通信技術有限公司 81 北京宏達日新電機有限公司 82 北京新世紀日航飯店 83 北京図新経緯導航系統有限公司 84 北京日立華勝信息系統有限公司 85 北京日立控制系統有限公司 86 北京村田電子有限公司 87 本田技研工業(中国)投資有限公司 88 前田建設工業株式会社 89 三井化学株式会社 90 三井住友海上火災保険株式会社 91 三菱自動車工業株式会社 92 三菱重工業株式会社 93 三菱UFJ証券株式会社 94 三菱UFJ信託銀行 95 明治安田生命保険相互会社 96 明和産業株式会社 97 柳田 洋 98 湯浅 弘 99 理光軟件研究所(北京)有限公司 100 ヤマハ発動機株式会社 〔寄付金額〕10万円未満 101 北京エプソン電子有限公司 102 北京集佳知識産権代理有限公司 103 日本海事協会

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2010年度 中国日本商会役員一覧

11月度現在 商会役職 氏 名 会社名 役職 会長 鹿間 千尋 丸紅 常務執行役員 中国総代表 副会長 山﨑 史雄 アサヒビール 常務執行役員 中国総代表 副会長 佐々木 淳一 伊藤忠  常務執行役員 中国総代表 副会長 小澤 秀樹 キヤノン 常務取締役 中国総裁 副会長 林 岳志 新日本製鐵 中国総代表 北京事務所長 副会長 梶原 謙治  住友商事 専務執行役員 中国総代表 副会長 稲田 健也 全日本空輸  執行役員 中国統括室長兼 北京・天津支店長 副会長 田中 孝明 東芝(中国)  執行役常務 中国総代表 副会長 加藤 雅大 トヨタ自動車(中国)投資 総経理 副会長 堂ノ上 武夫 日中経済協会 北京事務所長 副会長 酒匂 崇示 日本貿易振興機構 北京代表処 所長 副会長 大野 信行 日立(中国)  執行役常務 中国総代表 副会長 大井 篤 三井物産 常務執行役員 中国総代表 副会長 木島 綱雄 三菱商事  常務執行役員 中国総代表 副会長 末木 孝幸 三菱電機(中国) 中国総代表 副会長 柳岡 広和 三菱東京UFJ銀行 常務執行役員 理事 里井 庚士  岩谷産業 中国総代表 理事 川﨑 一彦 双日(中国) 執行役員 中国総代表 理事 横井 昭正 豊田通商 常務執行役員 中国総代表 理事 長岡 秀典 阪和興業 理事 中国副総代表華北担当兼北京所長兼大連所長 理事 鶴島 敏章 住金物産  北京事務所大連事務所 所長 理事 加悦 文雄  東工物産貿易 北京分公司 副総経理 理事 山田 晶一 NTTファシリティーズ 北京代表処 所長 理事 松元 裕之 クボタ 北京事務所 所長 理事 武川 昌俊 JX日鉱日石エネルギー 執行役員 中国総代表 理事 尾本 榮治 日揮  北京事務所 首席代表 理事 橋本 泰昭 日産(中国)投資有限公司 董事 総経理 理事 洪 嘉偉 前田建設工業  北京駐在員事務所 首席代表所長 理事 湯浅 健二 三菱重工業 中国総代表 理事 白井 省三 アルプス(中国) 総経理 理事 稲葉 雅人 NTT 理事 中国総代表 理事 石本 孝典 NTTコミュニケーションズ 中国総代表 理事 二方 歩  NTTドコモ  北京事務所 所長 理事 久保田 陽 ソニー(中国) 董事長 中国総代表 理事 山田 正晴 京セラ 北京代表処 首席代表 理事 木戸脇 雅生 NEC(中国) 総裁 理事 箕田 好文 富士通(中国) 董事長 理事 城阪 俊郎 パナソニックチャイナ 董事長 理事 森山 博之  旭化成 北京事務所 所長 理事 中村 総明 伊藤喜商貿(上海) 北京分公司 総経理

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商会役職 氏 名 会社名 役職 理事 山岡 保夫 王子製紙 北京事務所 所長代理 代表 理事 石舘 周三  資生堂(中国)研究開発中心 董事 総経理 理事 寺師 啓 東レ 北京事務所 所長 理事 千葉 雅哉 凸版印刷 北京駐在員事務所 首席代表 理事 山口 俊和 北京ヤクルト  副総経理 理事 深谷 弦希 邦博(北京)医薬技術開発 董事長 総経理 理事 池本 一彦  三菱化学 執行役員 中国総代表 理事 篠崎 康雄  損害保険ジャパン 中国総代表処 中国総代表 理事 平山 勝英  日本農林中央金庫 北京代表処 首席代表 理事 劉 敏浩 野村證券 北京駐在員事務所 副首席代表 理事 新川 陸一 日本銀行 北京事務所 首席代表 理事 入沢 稔 みずほコーポレート銀行(中国) 北京支店長 理事 今川 真一郎 三井住友銀行(中国) 北京支店長 理事 仁村 裕   日新 北京事務所 所長 理事 横田 恵三郎 日本航空 中国総代表兼北京支店長 理事 伊藤 隆夫 日本郵船 中国総代表 理事 吉村 久夫 JTB CHINA 執行役員 中国総代表 理事 麦倉 弘 イトーヨーカ堂 常務執行役員 中国総代表 理事 松島 訓弘 電通  執行役員 中国総代表 北京事務所長 理事 三木 日出男 日航国際旅行社  董事長 総経理 理事 鈴木 浩 長富宮中心 総支配人 理事 川畑 保 北京発展大廈  董事 総経理 理事 田淵 真次  日中経済貿易センター  専務理事 北京事務所長 理事 田中 雅教 日本国際貿易促進協会  北京事務所 所長 理事 内藤 規夫 北京ビール朝日 董事 総経理 理事 河内 洋輔  国誉商業(上海) 総経理 理事 越智 博通 北京陸通印刷 董事長 総経理 理事 藤田 千栄子 ジェイエィシーコンサルティング 董事長 総経理 理事 中嶋 清治 宝酒造食品  董事 総経理 理事 片平 猛  電源開発  執行役員 中国総代表 理事 河原 東 オリンパス(中国) 総経理 董事 監事 三浦 智志  監査法人トーマツ パートナー 監事 越智 幹文  国際協力銀行 首席代表

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2010年度社会貢献委員会委員名簿

氏 名  (会社名・役職) 社会貢献委員長 木島 綱雄   (三菱商事 常務執行役員 中国総代表) 委員 鹿間 千尋   (丸紅 常務執行役員 中国総代表) 委員 山﨑 史雄   (アサヒビール 常務執行役員 中国総代表) 委員 佐々木 淳一  (伊藤忠 常務執行役員 中国総代表) 委員 小澤 秀樹   (キヤノン 常務取締役 中国総裁) 委員 林 岳志    (新日本製鐵 中国総代表 北京事務所長) 委員 梶原 謙治   (住友商事 専務執行役員 中国総代表) 委員 稲田 健也   (全日本空輸 執行役員 中国統括室長兼北京・天津支店長) 委員 田中 孝明   (東芝 執行役常務 中国総代表) 委員 加藤 雅大   (トヨタ自動車(中国)投資 総経理) 委員 堂ノ上 武夫  (日中経済協会 北京事務所長) 委員 酒匂 崇示    (日本貿易振興機構 北京代表処 所長) 委員 大野 信行   (日立 執行役常務 中国総代表) 委員 大井 篤    (三井物産 常務執行役員 中国総代表) 委員 末木 孝幸   (三菱電機(中国) 中国総代表)  委員 柳岡 広和   (三菱東京UFJ銀行 常務執行役員) 委員 横田 恵三郎  (日本航空 中国総代表兼北京支店長) 委員 高羽 人志   (JTB 北京事務所 事務所長)

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2010年度社会貢献委員会ワーキンググループ委員名簿

会社名 氏名 役職 【社会貢献委員長】 木島 綱雄 三菱商事 常務執行役員 中国総代表 【WG座長】 堂ノ上 武夫 日中経済協会 北京事務所長 アサヒビール株式会社 飯塚 喜美子 行政局主任 伊藤忠(中国)集団有限公司 篠原 弘樹 中国人事・総務部長代行 キヤノン(中国)有限公司 二瓶 伸久 企画本部 DIRECTOR 新日本製鐵㈱ 北京事務所 長南 隆 代表 株式会社JTB北京事務所 高羽 人志 事務所長 住友商事(中国)有限公司 能勢 敦司 華北管理部門 総括部 副部長 韓 建平 総括部 総務科長 全日本空輸株式会社 北京弁事処 柏木 寿州 銷售部 経理 東芝(中国)有限公司 馬場先 雄二 総裁室 副室長 トヨタ自動車(中国)投資有限公司 栗田 弘毅 渉外部主査 (財)日中経済協会 葛西 敦 所長代理 日本航空インターナショナル 柴田 晃伸 中国地区旅客営業部副総経理 日本貿易振興機構 北京センター 島田 英樹 進出企業支援センター 副センター長 日立(中国)有限公司 佐々木 良二 副総経理 丸紅㈱ 北京事務所 稲積 和典 総代表助理 三井物産㈱ 北京事務所 李 貝貝 副経理 三菱商事(中国)商業有限公司 李 征 企画発展部 経理 三菱電機(中国)有限公司 原 正英 副総経理 三菱東京UFJ銀行北京支店 渡辺 朋行 企画課 課長  みずほコーポレート銀行 北京支店 武沢 弘貴 総務課 課長 【オブザーバー】 柳澤 好治 日本大使館 広報文化センター 一等書記官 【オブザーバー】 平嶋 隆幸 日本大使館 経済部 三等書記官 【訪日中のアテンド等】 渡辺 光男 日中経済協会(東京) 総務部参与

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第7回「走近日企・感受日本」中国大学生訪日団報告書

団長挨拶

第7回「走近日企・感受日本」中国大学生代表団一行35名は、中国日本商会の招きを受け、2010年11 月23日から12月2日にかけて東京、京都、大阪、名古屋などを訪問しました。日中経済協会および各企 業、大学、一般家庭の行き届いた手配のもと、充実した楽しい10日間を過ごすことができました。ここ に心より感謝申し上げます。  10日の滞在期間中はオムロン京都太陽工場、トヨタ自動車元町工場、静岡県農林技術研究所、アサヒ ビール神奈川工場、住友商事本社、日立製作所中央研究所、三菱東京UFJ銀行、日本航空など多くの大手 企業の見学に加え、一橋大学の教員・学生との交流や一般家庭でのホームステイ、さらには著名な清水 寺や皇居の見学とディズニーランドなど、日本の歴史、社会、文化を全面的かつ多角的に体験すること ができました。また、程永華駐日中国大使にお会いする機会もありました。  帰国前に行われた中国日本商会と日中経済協会主催の歓送会では、各企業、大学、ホストファミリー からの参加者と訪日団団員が一堂に会するなか、学生たちが次々に舞台に上がり、会場に集まった日本 の皆さんに今回の訪日活動で学んだことや感動したことを流暢な日本語と英語で報告させていただきま した。抱き合って別れを惜しむ感動的な光景を目の当りにし、中日両国の世世代代の友好は必ずや実現 できるものと確信いたしました。  今回の代表団は北京大学、北京外国語大学、北京理工大学、国際関係学院、中国伝媒大学の5校から選 抜された優秀な学生によって結成され、学生たちの出身地も中国全土に及んでいます。毎日、団員一人 ひとりが日本で見たことや感じたことをペンやカメラ、心で記録しました。学生たちの日本及び日本人 に対する友好の気持ちをこの報告書から感じていただければ幸いです。  最後になりましたが、今回の訪日に当たり多大なご尽力をいただきました関係者の皆さまに重ねて心 よりお礼申し上げます。学生たちが自分自身で聞き、見、感じた真実の日本の姿を周囲の人たちに伝 え、中日友好事業の後継者にならんことを期待いたします。 第7回中国大学生訪日団 団長 関立彤

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主催、共催団体の概要

中国日本商会  在北京企業の円滑な事業活動を支援するとともに、日中間の経済交流の活発化を通じて、日中友好を 促進することを目的として、1980年10月に設立された北京日本商工クラブを前身とする。中華人民共 和国国務院令第36号「外国商会管理暫行規定」に基づき認可された外国人商工会議所の第1号として、 1991年4月22日に設立された。  会員数は、2010年12月末日現在、市内法人会員652社、市外法人会員55社、個人会員40名、賛助会 員8名の合計755社(名)を擁している。 中国日本友好協会  1963年に中華全国総工会、中国人民外交学会など19の民間団体によって発起設立された、中国におけ る最も代表的な対日民間友好組織である。創立以来、周恩来総理の提唱の下で積極的に対日友好交流活 動を展開し、1972年の中日国交正常化と1978年の中日平和友好条約の締結においては大きな貢献を果 たした。政治、経済、文化、スポーツなどの各分野で対日友好交流事業を強力に展開し、健全で安定的 な両国関係の推進に重要な役割を果たしている。 中国友好和平発展基金会  中国人民対外友好協会の下部組織として、1996年に設立された。各国との友好増進、国際協力の推 進、世界平和、共同発展を主旨とし、世界平和と人類の進歩に貢献するため、中国と海外各国との友好 事業を始め、文化、教育、医療衛生、環境保護、スポーツ、経済、貧困支援などの数多くの分野で社会 的公益活動を行っている。 財団法人貿易研修センター  国際的な経済活動に携わる官民の人材の育成と我が国と外国との経済交流促進を目的に、「貿易研修 センター法」に基づく特別認可法人として1967年に設立された。 財団法人日中経済協会  経済産業省を始めとする日本政府及び日本経済団体連合会他経済界の支援の下に、日本と中国との経 済交流促進のため、1972年に設立された。

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第7回中国大学生「走近日企・感受日本」訪日団団員名簿

姓 名 性別      所  属 1 団 長 関立彤 男 中国日本友好協会 副秘書長 2 団 員 劉冰妍 女 北京理工大学 設計・芸術学院 3 団 員 胡鵬飛 男 北京理工大学 宇宙飛行学院 4 団 員 熊珊珊 女 北京理工大学 機械・車両学院 5 団 員 馮 驥 男 北京理工大学 情報・電子学院 6 団 員 張華巍 男 北京理工大学 化学工業・環境学院 7 団 員 張学枢 男 北京理工大学 光電学院 8 団 員 張天曄 女 北京外国語大学 日本語学部 9 団 員 張萌玥 女 北京外国語大学 日本語学部 10 団 員 張一杪 男 北京外国語大学 日本語学部 11 団 員 郭雲蔚 女 北京外国語大学 日本語学部 12 団 員 鄭 穎 女 北京外国語大学 日本語学部 13 団 員 張瀚之 女 北京外国語大学 日本語学部 14 団 員 劉 暢 男 国際関係学院 国際政治学部 15 団 員 李 巧 男 国際関係学院 日本語フランス語学部 16 団 員 周也青 女 国際関係学院 文化普及学部 17 団 員 黄暁楚 女 国際関係学院 日本語フランス語学部 18 団 員 程雁婷 女 国際関係学院 国際経済学部 19 団 員 郝江浩 男 国際関係学院 英語学部 20 団 員 董超君 女 中国伝媒大学 文学院 21 団 員 傅 瀟 女 中国伝媒大学 テレビ・ニュース学院 22 団 員 潘 月 女 中国伝媒大学 媒体管理学院 23 団 員 呉文超 男 中国伝媒大学 外国語学院 24 団 員 郁瓊源 女 中国伝媒大学 外国語学院 25 団 員 孫亜飛 女 中国伝媒大学 外国語学院 26 団 員 黄智聡 男 北京大学 情報科学・技術学院 27 団 員 易 煦 男 北京大学 物理学院 28 団 員 王 驁 男 北京大学 数学科学学院 29 団 員 閆 晗 女 北京大学 生命科学学院 30 団 員 邱 天 女 北京大学 化学・分子エンジニアリング学院 31 団 員 郝宇清 女 北京大学 工学院 32 事務局 傅 博 男 中国日本友好協会 経済交流・都市交流部 33 団 員(引率教員) 潘勤学 男 北京理工大学 教員 34 団 員(引率教員) 張慧芬 女 北京外国語大学 教員 35 団 員(引率教員) 王 衛 女 北京大学 教務部

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日次 月日 日程 宿泊地 1 11月23日 (火) 08:25 北京首都国際空港発(JL860便)12:55 成田空港着 16:30 羽田空港発(JL127便) 17:40 伊丹空港着 夕食: 大阪市内 20:30 頃 ホテル着 大 阪 ホテルニューオータニ 2 11月24日 (水) 08:30 ホテル発09:30~12:00 オムロン京都太陽工場視察  昼食:京都市内 14:30~17:00 京都観光:清水寺、京都駅 17:56 京都駅→18:32 名古屋駅 ホテル着 名古屋 名古屋観光ホテル 3 11月25日 (木) 08:00 ホテル発 バスにて豊田市へ09:00~12:00 トヨタ自動車工場&トヨタ会館視察 12:00発磐田市へ(約1時間30分 車中で弁当) 14:00~16:00 静岡県農林技術研究所視察 18:45 箱根温泉着(温泉体験と日本旅館体験) 箱根湯本温泉 ホテルおかだ 4 11月26日 (金) 08:30 ホテル発 アサヒビール神奈川工場へ(約1時間) 09:30~11:30 アサヒビール 神奈川工場 昼食:大雄山近辺 15:15~19:30 住友商事本社視察(夕食含む) 20:30 ホテル着 東京(泊) 東 京 ホテルニューオータニ 5 11月27日 (土) 09:00 徒歩で日中経済協会へ09:30 日中経済協会着 ※ホームステイ家族の中国大学生出迎え 終日 学生はホームステイ 東 京 ホテルニューオータニ (学生はホームステイ) 6 11月28日 (日) 午前~午後 ホームステイ16:00 ホテルニューオータニロビーに集合 全員チェックイン後バスにてお台場へ(夕食自由行動) 20:00頃 ホテル着 東 京 ホテルニューオータニ 7 11月29日 (月) 09:15 ホテル出発10:45~14:30 日立製作所中央研究所(昼食含む) 15:00~19:30 一橋大学にて交流及び懇親会 20:30頃 ホテル着 東 京 ホテルニューオータニ 8 11月30日 (火) 09:15 ホテル発09:45~13:00 三菱東京UFJ銀行視察(昼食含む) 東京観光:皇居 午後:東京ディズニーランド観光(夕食含む)  21:45頃 ホテル着 東 京 ホテルニューオータニ 9 12月1日 (水) 朝 ホテル発09:30~13:00 JAL羽田空港視察(昼食含) 14:30~16:00 中国大使館表敬訪問 東京観光:秋葉原ショッピング等 夕食:品川プリンス 21:00 ホテル着 東 京 ホテルニューオータニ 10 12月2日 (木) 09:30~11:00 ホテルニューオータニ視察12:00~13:30 昼食:送別パーティー ホテルニューオータニ シリウスの間 14:00 成田空港へ出発 18:15 成田国際空港発(JL869便)夕食は機内 21:15 北京首都国際空港着

第7回中国大学生「走近日企・感受日本」訪日団視察日程

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第7回中国大学生「走近日企・感受日本」

訪日団視察先出席者リスト

1.オムロン京都太陽株式会社(11月24日) 梶原 誠一   代表取締役社長 吉岡 隆    社長付CSR推進PJリーダー 用田 竹司   CSR推進PJ 松木 多美子    〃 閔 軍     オムロン㈱ 取締役室 渉外グループ主事 2.トヨタ自動車株式会社(11月25日) 毛利 悟    常務役員 北田 真治   中国部 部長 佐野 太一   中国部 主幹 福田 麗子   中国部 課員 田中 均    社会貢献推進部 部長 三好 勝春   社会貢献推進部 課長 杉浦 俊介   企業PR部 グループ長 三宅 順子   企業PR部 課員 3.静岡県農林技術研究所(11月25日) 土井 誠    企画調整部 主査 4.アサヒビール株式会社 神奈川工場(11月26日) 若山 淳一   神奈川工場 工場長 安倍 雅之   神奈川工場 製造部 エグゼクティブプロデューサー 北川 亮一   国際本部 国際部長 清水 博    国際本部 国際部 副主任 大木 茉莉亜  ㈱アサヒビールコミュニケーションズ 神奈川支店         アサヒビール神奈川工場 見学案内担当 5.住友商事株式会社(11月26日) 加納 岳   代表取締役専務執行役員 コーポレート・コーディネーショングループ長 滝本 忠   ㈱住友商事総合研究所 代表取締役社長 武井 徹   環境・CSR部 部長 畑田 好朗  地域総括部 中国チームリーダー 森川 麟三  地域総括部 参事 川村 哲也  環境・CSR部 海外チームリーダー 宗行 一矢  環境・CSR部

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荒木 彰一郎 広報部 (懇親会出席者) 川村 哲也  環境・CSR部 チームリーダー 岩田 淳     〃    チームリーダー 宗行 一矢    〃 畑田 好朗  地域総括部 チームリーダー 伊崎 正人    〃   部長付 森川 麟三    〃   参事 本村 恵三  人事部 チームリーダー 西川 健    〃 関 恵美    〃 上野 太郎  広報部 荒木 彰一郎  〃 後藤 瑠美   〃 林 麻衣子   〃 林 文華   自動車鋼板事業部 張 泓浩   ケーブルテレビ事業部 彭 代子   ソーラービジネス事業部 瀧本 忠   ㈱住友商事総合研究所 代表取締役社長 朴 龍権       〃 フォ・フィ      〃 舘 美公子      〃 田辺 史子      〃 告 旭平   住商グローバルロジスティクス㈱ リーダー 呉 芳        〃 崔 媛        〃 趙 天賜       〃 馬 殿生   住友情報システム㈱ 司 雯        〃 巌 敏        〃   6.株式会社日立製作所 中央研究所(11月29日) 松島 英夫  国際事業戦略本部 渉外部 部長代理 鮫島 江美      〃     〃 入江 直彦  中央研究所 企画室 室長  秦 利男     〃    〃  室長代行 孫 慶華     〃   知能システム研究部 研究員 河口 孝彦    〃   総務部総務ユニット 主任 下瀧 美奈子   〃   企画室

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7.一橋大学(11月29日) 前原 康宏  役員補佐 志波 幹雄  中国交流センター代表 佐藤 宏   経済学研究科長・経済学部長 島田 達之  学務部 国際課長 中俣 隆    〃  国際課 課長代理 高取 己喜男  〃   〃   〃 外田 恵子   〃   〃  主査 小池 千夏   〃   〃 岩口 敬子   〃   〃 佐藤ゼミ学生   17名 張 華威   法学研究科研究生(通訳) 中国人留学生    9名 8.株式会社三菱東京UFJ銀行(11月30日) 森崎 孝   常務執行役員 アジア本部長 田辺 智彦  アジア本部 中国部 副部長 梅原 直樹    〃    〃  調査役 武 進      〃    〃   〃 山口 恵美    〃    〃 海老沢 美穂   〃    〃 阿部 章   本店 総務部 次長 原田 和博  金融市場部 調査役 孫 麗栄     〃 杭 榮      〃 相宮 真由美 CSR推進部 調査役 木村 真理    〃 9.株式会社日本航空インターナショナル(12月1日) 阿部 泰典  地球環境部 部長 岩本 浩一  中国事業推進部 マネジャー 匡 雯筱      〃 金成 俊亮     〃 丹野 裕   広報部 工場見学総括 堀内 憲一   〃  工場見学案内担当 山本 美紀   〃     〃    種市 知晴  客室品質企画部 客室教育訓練室 山﨑 薫      〃       〃 町田 明子     〃       〃

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米山 由起子    〃       〃  10.中国大使館(12月1日) 程 永華   特命全権大使 張 成慶   参事官 張 社平   大使秘書 李 清亮   友好交流部 一等書記官 呂 新鋒     〃   三等書記官 杜 暁曦   友好交流部 三等書記官 11.ホテルニューオータニ(12月2日) 三浦 光昌  社長室 ファシリティマネージメント部 ファシリティマネージメント課係長 長嶋 慶一  宿泊営業部 国際営業課 シニアセールスマネージャー

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企業は社会の公器である

北京理工大学学生代表 見学日時:2010年11月24日(水)9:30~12:30 見学場所:オムロン京都太陽株式会社本社 京都市南区上鳥羽塔ノ森上河原87 見学概要:  ホテルニューオータニ大阪を出発したバスは9:10にオムロン京都太陽株式会社に到着し、従業員の 温かい歓迎ともてなしを受けた。まずは李巧さんからオムロンの概況についての説明があり、おおよそ 9:25から10:30までオムロンの具体的状況について詳細かつ体系的な説明(オムロン本社の概況、グロー バルな技術開発センターの紹介、社名の由来、企業データ、企業理念、中国との関係など)が行われ た。  10:30から11:30まで学生と教員が2組に分かれ、それぞれに案内役と通訳がつき順序を違えて工場を 見学した。工場では障害者の作業風景を見ながら説明を聞いた。工場は3階建てで、電源・ソケット・光電 センサー・血圧計などの製品が生産されていた。  11:30から12:30まで質疑応答。北京大学、国際関係学院、北京理工大学の3名の質問に京都太陽株式 会社の社長が答えてくれた。 オムロン京都太陽株式会社の概況:  京都太陽株式会社は、社員の説明によれば、オムロンの創業者である立石一真氏が外科医・中村医師 の要請を受け、障害者に働く場を提供するために設立した工場だという。1985年3月6日に設立され、 1986年4月1日に操業を開始している。「太陽の家」を含む従業員数は168名、うち障害者は111名。  「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を社憲とし、企業 理念は基本理念と経営理念に分かれる。基本理念は「企業は社会の公器である」、経営理念は「1.チャ レンジ精神の発揮 2.ソーシャルニーズの創造 3.人間性の尊重」である。以下、実際の見学に基づきこ の理念について説明したい。 (1)できる限り障害のある従業員の仕事や生活の便宜を図る  関係者の説明によれば、障害者の仕事や生活をできる限り便利にするため、工場は宿舎と作業棟が近 接して設計されている。また、地図を見ると、作業棟の近くに障害者用の運動場が設けられていること が分かる。工場内のレイアウトや計器操作の設計にも障害者への配慮がうかがえる。太陽工場の社長に よると、一人ひとりの従業員に合わせて左右の位置を変えるなど、障害者のために機械が改造されてい るという。流れ作業では一人ひとり異なる機械を操作し、それぞれ自分の長所が発揮できるようになっ ているほか、機械の多くは半自動化され、作業員にとって使いやすいものになっている。ソケットの生 産ラインでは、障害者が機械を操作しやすいように、全ての椅子に作業員を保護するための固定装置が つけられている。また、重度の身体障害者には1階での仕事が割り振られているほか、車椅子を使ってい る作業員の後ろがよく見えるように全てのエレベーターに鏡が取り付けられている。 (2)社員の創造性を引き出す  社員の多くが障害者であるため、健常者のようにできない作業が多々ある。各社員の特徴に合わせて 就業環境の整備や持ち場の割り振りが行われているが、全ての社員が健常者と同じように作業をするこ とは無理である。したがって、職場の正常な稼働を維持するために設備に工夫をこらす必要がある。説

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明によると、障害者用の設備の多くは、流れ作業のラインに立つ社員自身のインスピレーションによる ものだという。例えば、血圧計の損壊を防ぐために、回転装置を設けて血圧計の箱を開けずにネジが しっかり締まっているかどうかを検査する方法は、まさに同工場の社員によって考案されたものだとい う。こうした仕事をやりながら問題の解決方法を考えるように奨励する制度は、社員の創造性を引き出 し、生産効率を最大限向上させているだけでなく、無味乾燥な日々の仕事を楽しいものにしている。こ れは工場と社員の双方にとって有益なことだ。 (3)企業理念を普及させ、日本全国に障害者の就労を呼びかける  オムロン京都太陽株式会社は、自社をモデルにして、障害者という社会的弱者の生活を保障するべく 障害者に働く場を提供するように社会に呼びかけている。毎年平均2,000人以上が京都太陽工場の見学に 訪れるという。工場の門を入った時に「No one is so disabled as to be unable to work at all.」という言 葉があった。これはおそらく障害者への励ましというだけでなく、日本社会、特に企業に向けた障害者 にも価値があるのだというメッセージなのかもしれない。 質疑応答 (1) オムロン京都太陽の採用募集はどのようにしているか?募集対象をどのように分けているのか?健常 者の不満はないのか?  応募者を3つのグループに分けている。第1グループは定員制の研修生。第2グループと第3グループは 通常の直接募集による人たちで、必要や基準に基づき面接や試験を行っている。  障害者福祉を目的としているオムロン京都太陽の採用募集は、主に障害者を対象に行っている。健常 者の場合は通常1年契約のみだが、障害者には終身雇用制を適用している。 (2)障害者福祉という目的と生産効率の追求という現実との矛盾にどう対応しているのか?  オムロン京都太陽は生産効率向上のために最大限の努力をしている。通常、会社の経営状況は利益が 少々出るか、収支がほぼ均衡といったところである。オムロン本社からの援助や政府のサポートがあ る。障害者福祉は道徳的価値観における会社の一種の無形資産とも言えるので、必ずしも効率の追求と 矛盾するものでなない。 (3)社員の勤務と休憩はどうなっているのか?通常の休暇は保証されているか?  社員の勤務は健常者と同様に8時間労働で、週休2日制を採用している。但し、障害者の場合はシフト の交替に時間がかかるので、交替の周期を長めにとっている。余暇やスポーツを楽しむ時間も充分に確 保されている。余暇に会社を代表してスポーツの試合に出場する社員もいる。 (4)社員の創意工夫に会社はどう対応しているか?具体的な流れは?  会社は社員の創意工夫や提案を奨励している。毎年1月に現場の提案をまとめて上層部に報告し、経営 会議で総合評価が行われ最終決定されるが、その時期は生産状況に応じて調整が行われる場合もある。 感想  オムロン京都太陽から受けた最大の啓発は「企業は社会の公器である」という点だ。日本に学ぶべき ことは、どのようなビジネスモデルや方法で最大の利益をあげるかという点だと思っていたが、最初の 見学先であるオムロン京都太陽が、企業は社会に報いるべき存在だということを教えてくれた。社会か ら利益を得た企業がそれを社会に還元していくというのは一種の好循環とも言えるが、中国の企業はど のように社会全体をこの好ましい軌道に乗せていったらよいかがまだ分かっていない。中国の企業はま だ成熟しきっていないが、企業として成熟することではじめてこうした無形資産の重要性を強く意識で

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きるようになるのかもしれない。  なお、オムロン京都太陽が細かい点に注意を払っている点も印象に残った。例えば、引き出しの中の 物には全て付箋がつけられていた。物を持ち去るときには必ず付箋にメモするようにして、物が勝手に 持っていかれないようにしていた。こうした小さな工夫により、目には見えないが、大幅な効率アップ につながっているという。効率の追求と障害者の利便性の追求が、まさにこうした一つひとつの小さな 工夫に込められていた。オムロン京都太陽では、障害者の生活を便利にするというスローガンを単に叫 ぶだけでなく、さまざまな面で充分な配慮がなされていたが、こうした何事もおろそかにしない精神こ そが、名声や利益ばかりを求める浮ついた風潮の現代中国社会に最も必要なものかもしれない。

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クルマを通じて豊かな社会をつくる

     ——トヨタ自動車元町工場・トヨタ会館見学レポート

        北京外国語大学学生代表 見学日時:2010年11月25日(木)9:00~12:00 見学場所:トヨタ自動車元町工場、トヨタ会館 見学概要:  トヨタ自動車という社名はほとんどの中国人が知っている。「車到山前必有路、有路必有豊田車(車 が山のふもとに到れば必ず道がある。道があれば必ずトヨタの車がある」。このキャッチコピーもまた 知らない人はいないと言っても過言ではないだろう。そして、今日私たちを迎えてくれたトヨタ自動車 推進部課長の三好さんこそが、この素晴らしいコピーの原案者だったのである。

 トヨタ自動車( トヨタ自動車株式会社,Toyota Motor Corporation )はトヨタ(TOYOTA)と略称さ れ、その創業者は豊田喜一郎氏である。トヨタは本社を愛知県豊田市と東京都文京区に構える自動車製 造会社であり、三井系の会社である。トヨタは1933年の創業で、世界の十大自動車会社のひとつに数え られる日本最大の自動車会社である。  今回はトヨタ元町工場を見学したが、高度に機械化された生産ラインと人にやさしい管理方式が印象 的だった。工場内には体験エリアが設けられ、見学者は自動車組立てプロセスの一部が体験できるよう になっていた。  続いて訪れたトヨタ会館の見学では、常務役員の毛利悟氏をはじめとする会社のトップがトヨタの沿 革、事業分野、中国との協力体制やCSR等について詳しく説明してくれた。  2008年以降、トヨタ自動車はゼネラルモーターズに代わって世界第一位の自動車メーカーの地位に上 り詰め、その主なブランドにはレクサス等の高級車から一般車までの車種がある。創業者である豊田喜 一郎氏は1895年の生まれで、東京帝国大学工学部機械科を卒業した後、1929年末に自動車工業の視察 のために渡欧し、1933年には「豊田自動織機製作所」内に自動車部を設けている。初期に名声を博した トヨペット、クラウン、コロナ、カローラ以外に、近年はクレシダやレクサス等の高級車も非常に評判 が高い。3つの楕円形で構成されたトヨタエンブレムが1990年代の初期から使われ始めているが、エン ブレムの大きな楕円は地球を表し、中央の2つの楕円が垂直に交わってトヨタの「T」の字を表している。 このエンブレムには常に未来を見据えるトヨタの自信と意気込みが象徴されている。  現在、トヨタは中国の第一汽車集団と広州汽車集団と協力関係を結んでおり、天津・広州・成都・長

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春に共同出資の完成車組立工場6ヶ所と4つのエンジン工場があり、ハイブリッド車のプリウスをはじめ とする13の車種を販売している。また、トヨペットブランドの4車種と3車種のハイブリッド車を含む14 のレクサスブランドの輸入販売も行われている。  トヨタは対中事業を推し進める一方で、各種社会公益活動にも積極的に取り組んでいる。特に環境保 全、交通安全、人材育成の面での貢献は大きい。トヨタは今、中国社会における認知と信頼を獲得し、 優良な企業公民になることを目指して邁進している。 感想  今回の見学では、トヨタの「節約精神」がとても印象に残った。例えば「フレキシブルライン」という のは、機械の台車を固定したレール上で運行させることで大型機械を使わないようにして、経費の節約 と工程の短縮を可能にする生産方式である。また「カンバン」の考案と応用によって発注書を電子ス キャンすることで計画生産が行われ、原材料サプライヤーとの直接連携が可能になった。この方式であ れば、製造後に車両を直接販売ルートに送ることができるので、倉庫スペースの占有という意味でも資 金繰りという意味でも有利である。また、作業ミスの防止対策でも迅速な対応ができるようになってい た。「不合格品は絶対に次の工程に送らない」という生産に対する厳しい姿勢も印象的だった。  トヨタをはじめ、日本の企業は各種活動を重視し、社会公益分野でも一定の取り組みがなされてい る。トヨタが昨年北京で開催した「トヨタ中国安全体験キャンペーン」に同窓の張天曄君が通訳のアル バイトとして参加したが、イベント会場はチャイルドシート体験ゾーン、飲酒運転体験ゾーン、シート ベルト体験ゾーンに分かれ、交通安全についての知識が学べるようになっていた。一方、中国の企業は 社会活動をもっと強化する必要があるように思われる。中国では社会に開かれた企業は稀で、学生の見 学を受け入れてくれる企業も少ない。企業がその社会的影響力の強化を図るという意味で、中国は日本 企業に大いに学ぶところがあるように思う。

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ハイテク環境保全型農業の発展に取組む

国際関係学院学生代表 見学日時:2010年11月25日(木)14:00~16:00 見学場所:静岡県農林技術研究所 見学概要:  11月25日午後、車で日本の中部地域にある静岡県を訪問した。まず研究所のスタッフから静岡県の農 業の現状について説明があった。今、日本が人口減少と高齢化の深刻化という問題に直面しており、生 産力不足を補うために、農業は規模化、商業化、企業化、環境保全型へと向かわざるを得ない状況であ ることを知った。国、大学、地方自治体すべてに農業研究所が設けられ、相互間の協力も緊密に行われ ている。  静岡県の農業生産額は日本の43都道府県中第13 位である。静岡の温暖な気候と職員の創造的精神 によってさまざまな農林水産品が栽培・生産され ている。例を挙げると、静岡は「茶葉王国」であ り、中でも荒茶の生産量は県全体の農産物の40% 以上を占めている。また、静岡県の「コシヒカ リ」米の栽培面積は全国一であるほか、みかんの 生産では光センサーによる選果が行われ、全国に 高品質のみかんを提供している。なお、静岡県は 全国第4位の切花生産地でもあり、人々の生活に彩りを添えている。  次に、研究所のスタッフがメロンを栽培してい るハウスに案内してくれた。食味が良く、果汁に 富んだメロンを育てるために、ハウス天井の南北 両面をそれぞれ異なる傾斜角度になるように設計 して、よく日光が当たるように工夫するなど、農 業技術者たちの苦心が見られた。また、メロンの 糖度を上げるために、メロンにわずかな土壌と適 量の水分しか与えなかったり、市場に連続的に供 給するために、複数のハウスでそれぞれ成長段階 の異なるメロンの苗を植えたりといった工夫がな されていた。成長したメロンの株はそれほど大きくなく、中国のハウス栽培のトマトと同じくらいの大 きさだった。これら高品質のハウスメロンは日本では1個2万円で売られ、「メロンの王様」ともいうべき 存在だ。大事なお客様をもてなすときにだけこのメロンが出されるともいうが、金融危機の中、この種 のメロンの中国市場向けの輸出が増えているという。  静岡県農林技術研究所を見学して最も印象的だったものにイノベーション精神がある。研究所では多 くの花卉や果物の新品種が独自に研究開発されていた。さまざまに変化する市場の消費者ニーズに応え るため、技術者たちは1品種につき10年に一度品種改良をするようにしているとのことだった。切花の

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寿命を延ばすための研究や、果肉全体が赤くて潤いがあり、甘みと酸味のバランスのとれたケーキに 合ったイチゴの新品種として「紅ほっぺ」が開発されたりしている。また、静岡県が独自に開発した種 豚のフジヨークやフジロックから安全で美味しい「静岡型」銘柄豚の生産が行われているほか、切らず にメロンの糖度を測ることのできる検査測定技術なども開発されている。これからの市場競争は科学技 術の競争であり、イノベーションの競争である。熾烈な市場競争に勝利したいのであれば、さまざまな 消費者ニーズに常に応えていくという姿勢が唯一最良の方法になるのだと思う。  もう一つ印象に残ったことがある。それは静岡県農機技術研究所のスタッフが生態環境を重視してい るという点だ。案内してくれた研究所のスタッフが言った。「今、研究所が目指している目標は、どのよ うに田畑の生物の生存環境を保護するかということと、どのように生態バランスを維持していくかです 」。展示室の見学を通して、研究所の技術者が開発した天敵や微生物を使って害虫を退治する方法や各地 の土壌に対する分析、必要のない農薬散布を減らすことなどについて理解することができた。これらの 対策は農産物の生産量を保証するだけでなく、生態環境の保持という面でも貢献をしている。  高齢化の加速、都市化の進展、農業従事者の減少、楽観を許さない環境問題等々、ある意味、中国と 日本は同じ課題に直面していると言える。今日の見学によって「農業の根本的な活路は科学技術にあ る」ということが分かった。科学技術の進歩を拠り所に、農業技術のブレイクスルー的研究成果と新技 術の効果的な応用と普及があってはじめて中国農業の持続可能な発展が可能となり、農業及び農村の近 代化を早期に実現していくことができるのだと思う。当面、水土流失の激化、ますます深刻化する環境 汚染と生態破壊等、中国の農業と経済の発展を制約する要因は多々あるが、中国農業の発展に関わる基 本的問題をいかに抜本的に解決していくか、また農業の発展と人口、資源、環境、社会、経済とのバラ ンスを図り、持続可能な発展の道を歩むうえでのキーポイントは、技術とイノベーションを拠り所にし た持続可能な農業技術であり、農業の「持続可能的でない」局面から抜け出すにはこの方法しかないよ うに思われる。新しい農業技術の応用によって土地や水などの自然資源の合理的な開発利用や資源の産 出効率のアップが可能となり、資源を増やし、資源の効果的な代替を実現して現有資源による制約を緩 和することができるのだと思う。また、新たな農業技術の応用は、生態破壊や環境汚染を科学的に抑制 し、科学技術による防災対策を行うための基本的手段ともなる。中国も静岡県のこうした農業分野の経 験を参考にし、技術イノベーションによって中国農業の発展の可能性を拡げていくことができるのでは ないだろうか。

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資源のリサイクル率を高める

    中国伝媒大学学生代表 見学日時:2010年11月26日(金)9:30~11:00 見学場所:アサヒビール神奈川工場 神奈川県南足柄市怒田字天井1223 見学の概要:  工場のスタッフの案内でアサヒビールグループの紹介ビデオを見て、企業グループの発展の歴史、経 営理念及びアサヒビールの醸造工程について体系的に理解することができた。アサヒビール株式会社は 1880年に設立された日本で最も有名なビールメーカーの一つであり、この百年余りの間、ビールの醸造 技術と品質向上のために研究開発を続け、今や国際的にも認められている有数の有名ブランドになって いる。アサヒビールは純生で爽やかな口当たりで消費者に支持されている。  アサヒビール株式会社は1994年に本格的な中国市場進出に乗り出した。杭州西湖啤酒朝日(股フェ ン)有限公司、福建泉州清源啤酒朝日有限公司、烟台啤酒朝日有限公司、北京啤酒朝日有限公司に相次 いで出資し、中国人の味覚に合ったビールの生産を目指したアサヒビール株式会社の対中ビジネスがス タートした。 アサヒビールは「ブランドの育成と強化」、「収益構造の改革」、「未来志向の飛躍的成 長」の3つをキーワードに、外部の環境に左右されることなく利益をあげることのできる収益構造を確立 しているという。  次に、工場の現場に行き、分厚いガラスによって隔てられたビールの生産ラインを見学した。大きな 糖化・発酵タンクやろ過タンクがなければ、ここがビール工場であることは分からなかっただろう。パッ ケージング工程で出来上がったビールのびん詰、打栓、ラベル貼り、ケース詰めが行われ、最後にコン テナに積まれる。倉庫も含め、2階から下を見ても、コンピュータによって自動コンベアがビールを搬送 しているのが見えるだけで、現場で働く人の姿がほとんどなかった。神奈川工場では、醸造からびん詰 め・缶詰めまでの全工程がほぼ完全自動化されていることがスタッフの説明で分かった。  次にPPTを使って神奈川工場の環境保全分野におけるさまざまな取り組みに関する紹介があった。全 ての生産工程を通じてほんのわずかな汚染物質の排出があるだけだった。酵母菌はリサイクルされて酵 母錠剤や肥料になり、二酸化炭素は炭酸飲料の生産などに用いられていた。アサヒビールは「世界で最 も美味しいビール、世界最高の生産効率、世界で最もエコな工場」を目標に、周到で入念な仕事によっ て口当たりの良さ以上の感動を顧客に与えているのだ。  今回の見学のもう一つのハイライトは出来たての生ビールの試飲だった。20分間の無料試飲タイムが あり、思う存分ビールを味わった。すべての見学スケジュールが和やかな盛り上がりの中で終了した。

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知っていますか? Q:アサヒビール神奈川工場の従業員はわずか80人だが、樹木は全部で何本あるのか? A:全部で7万本植えられている。工場建設の初期に責任者が環境保全方針を立て、工場用地として購入 した土地に元々あった樹木や土地周辺の原生林をすべて工場内に移植した。なお、建設予定地にあった 樹木は周辺の緑地帯に移植し、残った雑木は粉砕して苗木育成のための養分基材とした。 Q:資源のリサイクル率を高める対策の一つとしてビール瓶もリサイクルされているが、1年間に1本の ビール瓶が工場に戻って来る回数は? A: 1年に3回工場に戻って来る。ビール瓶の使用寿命は8年である。 Q:日本ではゴミが非常に厳密に分別されているというが、アサヒビール神奈川工場はゴミを何種類に 分別しているのか? A:全部で50種類に分別している。工場ではゴミを細かく分別しているほか、廃棄物を宝に変える資 源ゴミのリサイクルを徹底して行っている。工場作業員の制服や作業着もすべて回収処理をしたプラス チック繊維で作られている。 感想  今や経済的利益だけが企業の追い求める唯一の目標という時代ではない。アサヒビールの社会福祉と 企業利益がうまく統合されている点が印象に残った。生態環境の好ましい発展は、人類が持続可能な発 展を実現するための不可欠の条件であり、この意味において、環境保全は社会と福祉にとって重要な分 野だと言える。自然生態系の物質循環とエネルギーの流動法則にのっとり経済システムを再構築してい るアサヒビールの生産方式は、生産システムをバランスよく安定的に自然生態系の物質循環プロセスの 中に組み込み、良好で持続可能な循環型経済モデルの確立を可能にしている。本質的なことを言えば、 循環型経済とは一種の生態経済である。生態は自然システムの主役であり、経済は人々の生活における 重要な活動だと言えるが、そうした意味で、アサヒビールの循環型経済は本来的な人と自然の調和と統 一を実現している。  循環型経済については、持続可能な発展の実現を社会主義建設の目標に掲げている中国も、他者の長 所を取り入れて自身の短所を補うという精神とアウフヘーベンの原則により日本の循環型経済の成功モ デルを参考にすべきだと思う。日本企業と比較すると、中国企業はまだまだ企業の社会的責任を模索し ている段階にあるが、それでも中国企業には、積極的で前向きかつ主体的で効果的な行動によって、日 本企業との差を縮め、顧客サービスに心を配り、社会に貢献していくための自信も能力もあることを信 じている。

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変化への健全な対応――住友商事を見学して

北京大学学生代表 見学日時:2010年11月26日(金)15:30~19:30 見学場所:住友商事本社 見学の概要:  住友商事は日本の三大商社の一つであり、その 事業の起源は 1600 年代まで遡ることができる。草 創期は銅精錬業を主業務とし、書籍や薬品の販売 も手掛けていた。1900 年代初めより貿易事業に参 入。1960 ~ 1970 年代、住友商事は総合商社への 転換を実現する。総合商社は日本独自の企業形態 であり、 これまでに多くの国で商社型企業の設立 が試みられたが、いずれも失敗に終わっている。  日本の総合商社は特有の背景のもとに生まれた ものであり、その本質は変化に対応する適応力だ と言える。時代の変化の中で、総合商社は常に事 業基盤を拡大し、さまざまな役割を担ってきた。戦後の復興期には軽工業を中心に業務を展開し、海外 業務を行うことで外貨を獲得しながら輸出代行 ・ 貿易 ・ 物流等の役割を果たした。その後の高度成長期 には、日本経済の海外事業部という位置づけで経済成長のエンジンとなった。その役割は技術企業の開拓・ 紹介や市場開拓へと移り、業務範囲も鉄鋼 ・ 造船 ・ 重機 ・ 電機 ・ 化学等の分野に拡大された。ニクソン ショック後は石油貿易が衰退して資金が日本に還流する中で、資源の安定供給が商社の新たな任務に加 えられ、国民の生活レベルの向上に伴い都市開発や住宅供給業が急速に発展していった。この時期の商 社は資源の買い付けや海外での大型プロジェクトに重点を置くと同時に、都市開発や住宅供給も手がけ るようになった。1985 年のプラザ合意後、円高によって日本の輸出競争力が大幅に低下し、製造業の海 外移転が続く中で商社も企業の海外進出をサポートしていった。また、政府の「輸入促進政策」とも歩 調を合わせ、内需拡大に大きく貢献した。そして 90 年代以降の新たな競争環境の下、今日の商社は、グ ローバル化と情報化への対応や物流効率の向上以外に、環境問題にも力を入れている。総合商社の歴史 を見てみると、長期的発展の成功の鍵は歴史の流れへの適応であることが分かる。それぞれの時代にお ける社会のニーズを敏感に感じとり、それぞれの時代の特徴に合わせて中期目標を立て、事業分野の健 全化を図ってきている。現在の住友商事の事業内容は、金属 ・ 輸送機 ・ 建設機械 ・ インフラ ・ メディア / ライフスタイル ・ 資源・化学品 ・ 生活産業・建設不動産のほか、現在開発が進められている新産業にま で及んでいる。  住友商事のもう一つの特徴はバリューチェーン(Value Chains)の創造である。商社は産業リンケー ジにおける商品の原料調達、原材料加工、商品輸送から販売までの段階一つひとつをしっかりと把握し、 バリューチェーン全体をまとめて掌握することで市場ニーズにより見合った判断を下して商品付加価値 を高めると同時に、より効果的にリスクを回避する仕組みになっている。バリューチェーン全体の掌握 による総合力の強化もまた総合商社独自の強みであり、住友商事の長期発展の主な要因にもなっている。

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知っていますか?  400 年を超える歴史をもつ住友商事の源流は中国とも深く関係して いる。住友がその草創期に採用していた粗銅から銀を抽出する技術は 中国から伝えられたものである。  1949 年、住友商事は「大華貿易」と銘打って中国業務に参入して いる。当時、中国政府の認可を受けた数少ない外国企業の一つであっ た。  中日平和友好条約締結後の1979年、住友商事は天津・上海・大連・広 州に事務所を設立。  1995 年、北京に「住友商事(中国)控股公司」を設立。  2010 年 3 月 31 日現在、住友商事は合弁・独資・日本のメーカー との共同出資を含め、中国に独立法人 9 社、事務所 5 ヶ所を設立して いるほか、57 社に投資している。住友商事の出資額は 9 億米ドルに達する。 感想  住友商事の 400 年に及ぶ歴史は、時代の流れに適応し、チャンスをつかみ、危機に対処してきた能力 に充分表れている。企業が強大化するとき、高い柔軟性を持ち続けることは非常に難しいが、新たな変 化に絶えず適応していくことこそが真の持続可能な発展と言えるのだと思う。資本の原始的蓄積や市場 開拓という段階を経た中国企業の多くは、今こそ住友商事に学ぶべきである。原材料から製品までの縦 のバリューチェーンを構築する一方で、自身の事業領域を広げ、さまざまな経済変動に対処し、国家経 済の安定と成長に貢献することのできる持続可能な企業になっていかなければならない。

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庭園のような日立中央研究所

北京理工大学 胡鵬飛 見学日時:2010年11月29日(月)10:45~14:30 見学場所:日立製作所中央研究所 見学概要:  11月29日午前、第7回中国大学生「走近日企・感受日本」訪問団は日立中央研究所を見学した。研究 所の幹部から今回の訪問に対する歓迎と日立研究所の概況についての説明があった。  中央研究所はさらに7つの分研究所に分かれ、海外にも研究所がある。900社を超えるグループの総資 産は9兆円弱、事業分野は多岐にわたる。なかでも情報・通信システム、コンピュータ記憶装置、社会・ 産業システムの分野では世界最先端のレベルだという。中国に設けた研究所は中国の大学との連携に積 極的で、機械・情報通信・交通分野で多くの研究成果をあげている。同研究所では中国の博士号取得者も 開発チームのメンバーとして募集している。今日の説明の最後に中国人研究者から現在開発中の音声合 成技術についての解説があった。このシステムはほぼ完成し利用可能な状態にあるが、ナンバーワンを 目指して細部の改善が続けられているという。常に上を目指すその姿に訪日団の全員が称賛を惜しまな かった。「特研」(一連の大型研究による開発)や「技術者制度」(技術者に対する研修)は日立独自 の研究手法であり、ほとんどの技術と製品がこの方法で開発されている。  構内の食堂で昼食をすませた後、日立の製品や構内を見学した。指静脈認証システムを見せてもらっ たが、日立は世界で初めて指静脈認証を使ったセキュリティシステムを開発した企業であり、今もその 分野で最先端を走っている。赤外線を使って迅速かつ正確に本人確認を行う同システムの本人拒否率は 0.1%未満、他人受入れ率は0.0001%未満だという。自動ドア、自動車のハンドル、ATMに応用されてい るが、特に日本の80%以上のATMにこのシステムが採用されている。  続いて「μ-Chip(ミューチップ)」についての説明があった。日立は0.4mmから0.15mmに、さらに は0.05mmにサイズを小さくすることに成功し、同一性能のチップとしては世界最小を実現している。同 製品はすでに医薬品情報記憶、図書館、製品検査の分野で応用されている。今年開催された上海万博の チケットにも同種のチップが埋め込まれ、偽造チケットでの入園防止に一役買ったという。  最後に大規模モニタリングシステムを見学した。100を超えるモニターが同時に作動し、動きのある 物体を認めたモニターがあると、その画面を見やすくするため自動的に最上部に拡大表示される。ま た、過去の映像を調べる場合は、ある特定の顔をクリックすると、その人物に関する記録が全て表示さ れるようになっている。  構内の庭園は本当に素晴らしかった。詩や絵を思わせる美しい景色に感激し、記念写真を何枚も撮っ た。日立中央研究所には研究所特有の堅苦しい雰囲気が全くなく、冗談で「日立公園」と呼んだほど だった。この美しい環境の中で働きたいという団員もいた。  今日の見学は昨日までの企業訪問に比べ楽しく、開放感があった。これほどに美しい研究所の景観は 予想外のものだった。ここで働く人たちは、疲れた時は外に出て息抜きができ、仕事と休息のバランス が良いので、精力的な研究ができるだろうと思った。  また、環境保全を重視する日立の姿勢にも触れることができた。『日立在中国(訳注:「中国におけ る日立」の意)』と題した報告書に、日立の「環境ビジョン2025」についての記述があった。2025年度 までに世界全体で1億トンの二酸化炭素排出削減を目指すという。生態環境を保護するためのさまざまな 対策も心に残った。中国ではまだ環境保全に心を砕く企業や個人は日本ほど多くはなく、その重要性が

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軽視されているように思われるが、現代の若者としてはこの責任を担う義務があると思う。見学後、少 し休憩をして訪日団一行は一橋大学に向かった。

日立の概況説明

研究所の食堂

参照

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