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新 居 千 尋

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Academic year: 2021

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パステルを中心材料とした抽象薗の制作

教科 ・領域教育専攻 芸術系僕術)コース

新 居 千 尋

I .パステノレについて

l l .

抽象表現への取り組みと目的

私が抽象表現をおとなう目的は,抽象画 を鑑賞する者の視点を多様にすることがで きるからである。鑑賞する者とは自分自身 も含め,作品を見る全員である。私は, f作 品は人に見せる役割を担っているjと考え る。だから作品には,まず鑑賞する者の関 心をひき,次に心に響く表現が必要である と考える。そのために私は,読み取り方次 第でいかようにも解釈できる抽象表現を選 択した。抽象画から読み取る解釈が多けれ ば多いほど違った見方ができ,何度も鑑賞 する者に新しい印象を与えることができるe

そして与えた多くの印象が次々と想像を膨 らませ,人に訴えかける力になると考える。

指 導 教 官 鈴 木 久 人

もともと作品に対する視点は十人十色で ある。しかし,表現を工夫することで視点 の方向をより多様にすることができると考 える。その工夫として第ーに, f見立て」を しやすい表現を意織した。目玉に見立てら れる丸い形態,動物の足や尾のような形態,

花の模様など具体的な物を画面に取り入れ ている。第二に,形態を具体物に近づける ことで線に動きを持たせた。第三に構成で は,画面の部分ごとに配色と錨商方法を変 えるように工夫した。部分を見たときと全 体を見たときとでは,違った印象を与えら れるような効果をねらった。(参考作品)

fFREAKSJ  2

2  162.1130.3

田 使用材料について 1V.修了制作

「 宙J 2 ∞

3 193.9X 162.1 (2枚組}

‑416‑

(2)

作品解説

1.題材設定の理由

いままでの研究の成果として,パステル の持つ鮮やかな色味と具体物の形態を基盤 にした動きのある線,これらを統合した画 面づくりを行ないたいと考えた。

絵を描き出す前,画面は真っ白な状態で ある。真っ白な画面に線を描きこみ,色を のせると,遠近感や立体感が生まれてくる。

そして線や色が段々と積み重なり,画面の 中に空間を形成してし、くo

タイトル「宙Jは 空中・空間の意であ る。私にとって本作品は,人,動物,虫,

花,山,空などのイメージを一つの画面に 集めたものである。イメージ部分が個々に 有機体であり,それぞれ違うた働きを持っ ている。そして部分が全体と,また部分と 部分の間にも密接な関わりを作り出してい

る。鑑賞する者の捉える状況によって,そ れぞれの関係が変化していくような空間を

目指している。

2.制作過程

エスキースは行なわない。支持体に直接 描きこみ,画面を構成してし、くo 瞬間のひ らめきや印象,描く線の勢いをできるだけ 生かしたし、からである。また,従来は下絵 を描かない状態で直接描き始める。しかし,

本作品では2枚ともに桜の写真を参考に花 や幹の輪郭を描き起こした。植物の形態に 生命感を見出したかったからである。

次に,花の部分に明るい色面を作り,新 しく形態を描き加えたり,自由に線と面を つないだりした。画面のマチエールに変化

をつけるためにアクリル絵具を併用した。

ときにはイメージを発起するため,次々と

別のパステルに持ち替え 思いつくままに 描き進めていった。これらの作業を何度か 繰り返し,全体に色を行きわたらせた。そ して両面全体を見つめ直し,メインの色と 形態を決定するに至った。

本作品のメインは画面を横断している赤 色の部分である。赤色は暖かい調子を持ち ながら,強い生命感を連想させる。そして,

他の色と同一画面にあるとき,一際目立つ。

これらのことから赤色を選択した。また,

赤色系統の中でも明るい色味を出したいと 考え,下地にはチャイニーズレッドの顔料

を塗りこめていった。

形態は生き物をイメージし,動きを出す ように心がけた。短い曲線をつなげ,違う 色と絡ませながら画面全体にわたって関連 づくよう描き進めた。画面左上部の赤色の 部分には主に青色を絡ませ,メインの形態 が前に押し出るように表現した。また,画 面中心の上部に見られるように前後に2色 の形態を絡ませ 画面に空間を創るように も表現した。赤色と青色の部分の下地には アクリル絵具を使用し,パステルの発色を 際立たせる効果を出している。

黄色の部分は形態として表現せず,空間 の塊として配置している。手で顔料を擦り

こみ,ぼかしを多用している。少し厚みの あるマチエールが作られ,彩度が高くなっ ている。細かく点描している部分と対比す るように位置づけている。

画面左下や右上部中央は点描に加えて水 滴をちらしている。擦りこんだ部分に対し,

水をしみこませた部分の彩度は低くなる。

制作中何度も部分と全体の関係を見直し,

バランスをとりながら描き重ね,仕上げた。

i

AUZ 

参照

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