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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

‐ 1 ‐

(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

緒方 朋実 印

Tracheostomy improves intellectual development in congenital central

hypoventilation syndrome (先天性中枢性低換気症候群における気管切開管理が知的発達予後を改善する)

(学位論文の要旨)

先天性中枢性低換気症候群(CCHS)は新生児期に発症し,睡眠時の無呼吸・低換気や自律神経障害を特徴とする神 経堤症である。5-20万人出生に1人と稀な疾患であり,PHOX2B遺伝子変異が関与している。過去には一定の割合でC CHS患者に発達遅滞をきたすことが報告されているが,病状や呼吸管理と発達予後との関連について検討した報告 は皆無である。欧米では低酸素・高炭酸ガス血症による中枢神経ダメージを軽減するため気管切開による管理が推 奨されているが,本邦では治療ガイドラインはなく非侵襲的陽圧換気(マスク換気)による管理をされている患者 も多い。今回我々は日本におけるCCHS患者の疫学調査を行い,知的発達予後に関わる因子を検討した。

2013年11月から2014年7月に日本小児科学会研修指定病院519施設の小児科,小児神経科,小児外科,新生児・

小児集中治療科へ診療状況に関するはがきアンケートを行った。さらにCCHS診療経験のある134施設・174名の医 師へ詳細調査を行った。

一次調査は回答率95%で,詳細調査により129名の情報を得た。うち死亡症例5名と詳細不明症例1名を除く123 名を本研究の対象とした。123名のうち92名が気管切開,31名がマスク換気を行っていた。これらの2群において 年齢や性別に有意差はなかった。13名の患者が24時間人工呼吸器管理を行っていた。気管切開管理患者のうち19 名がマスク換気へ移行していた。移行時期の平均年齢は10.4歳であった。31名のマスク換気のプローブの内訳は フルフェイスマスクが6名,鼻口マスクが14名,鼻マスクが11名であった。診断にはPHOX2B遺伝子検査や臨床症 状,睡眠時SpO2,血液ガス分析,CO2換気応答,終末呼気CO2換気量,経皮CO2モニタリングなどが利用されていた。

97%が生後1か月以内に症状出現し,72%が生後3か月以内に診断,合併症としてはヒルシュスプルング病が最も 多く43%に見られた。その他の合併症として自律神経障害やてんかん,自閉症スペクトラム,学習障害,言語発 達遅滞が挙げられた。中顔面の低形成を合併した患者はすべてマスク換気の患者であった。

発達予後の検討は6歳以上の90名の患者のうち脳炎・脳症発症の2名を除く88名で検討した。運動発達において は気管切開管理群とマスク管理群で有意差は見られなかった。知的発達予後は発達遅滞なし(普通学級在籍もし くはIQ≧75)と発達遅滞あり(特別支援学級在籍もしくはIQ<75)の2群とし,生後3か月未満での気管切開管理 群と生後3か月以降の気管切開管理群,マスク管理群の3群で検討したところ,生後3か月未満での気管切開管理 群がもっとも知的発達遅滞のリスクが低いことが判明した(生後3か月未満の気管切開群を基準とし,生後3か月 以降の気管切開群 オッズ比3.80 信頼区間 1.00-14.37,マスク換気群 オッズ比4.65 信頼区間1.11-19.3 7)。

気管切開管理は感冒時でも確実な呼吸管理ができ,昼寝などの突発的な睡眠にもすぐに対応できるなどのメリ ットがある一方,手術が必要であることやカニューレの管理,定期的な痰の吸引などのデメリットもある。一般 的に呼吸器症状が重症である場合は知的発達予後も不良であるが,本研究においては呼吸器症状が重症であった 生後早期の気管切開管理患者の方が知的発達予後良好であり,気管切開による確実な呼吸管理が低換気による中 枢神経ダメージを軽減し,発達予後を良好にしたと考えられた。CCHSの呼吸管理方法として,生後3か月未満か らの気管切開管理を行い,顔面骨が形成される学童期にマスク換気へ移行を検討することが適切である。

参照

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