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の 研 究 報 告 と 対 比 し な が ら 本 研 究 の 意 義 お よ ぴ 目 的 に つ い て 述 べ る .

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(1)

     博 士 ( 工 学 ) 高 橋 学 位 論 文 題 名

アルミ合金シリンダーヘッドの材料組織変化を 考慮した耐久性評論に関する研究

学位論文内容の要旨

  デ ィー ゼル エン ジンは ,優 れた 経済 性と エン ジン熱効率,頑強さが市場ニーズに 合致 し, 自動 車を はじめ ,大 型船 舶, 鉄道 車両 などの輸送手段や発電機械の主要機 関と して ,広 く社 会に浸 透し ,今 日の 社会 生活 にとって必要不可欠な存在になって いる .特 に, 国内 総物流 量の90% を占 める 卜ラ ック はい たっ ては ,ほ ぼ100%がデ イーゼルエンジンを搭載している.

  し かし ,現 在, ディー ゼル エン ジン は環 境問 題の顕在化により,大きな転換期を 迎 え て い る, 環 境 問 題 に は , 地 球 温 暖 化 物 質(C02)と 環 境 汚染 物質(NOxとPM)の2 っが あり ,デ ィー ゼルエ ンジ ンで は特 に環 境汚 染物質の排出が問題になる.この問 題を 解決 する ため ,排気 ガス 量そ のも のを 低減 させることならびに排気ガスの一部 を 再 循 環 するEGRを 使 う こ と が 有 効 で ある . 前 者 は 軽 量 化 によ る燃 費の 向上 が,

後 者 はEGRに よ る 出 力 低 下 を 防 止 す る ため の 高 過 給 が 必 要 とな る. エン ジン の軽 量化対策として,シリンダー^ッド(以下,^ッドと略す)のアルミ合金化が挙げら れ, 既に ガソ リン エンジ ンで は一 般的 に用 いら れているが,ディーゼルエンジンは ガソ リン に比 べて 負荷が 大き い上 に, 上述 した 高過給により負荷が更に厳しくなる ため,アルミ合金化は難しい.

  こ のよ うに ^ッ ドのア ルミ 合金 化に とっ て, 軽量化と強度耐久性の確保の両立が 最も 困難 な問 題で あり, アル ミ合 金化 特有 の幾 っかの技術的課題を解決していかな けれ ばな らな い. 開発全 体を 通し ての 代表 的課 題は,@材料設計と寿命評価方法,

◎ 軽 量 化 か つ 高 剛 性 な 構 造 設 計 , ◎ 材 料 適 正 化 を図 る 凝 固 方 向 の 制 御 で あ る .   本 研究 の目 的は ,上の3つ の課 題を 背景 とし て,実 際の 運転 状態 を忠 実に 再現で きる 構造 解析 手法 の開発 と, 運転 中に 起こ る材 料の非線形挙動にも対応できるよう に微 視的 組織 変化 も考慮 した 低サ イク ル疲 労評 価手法を開発することにある,これ らによって,丿丶丶ッド開発の初期検討が充実し,事前に丿丶丶ッドの耐久性をより高精度 に 評 価 す るこ と が 可 能 に な り ,開 発期 間の 短縮 と開発 コス ト肖lJ減 にっ なが る,

本 論文 は,7章に より 構成 され てい る.

1章は ,本 研究 の背 景に ある 社会 環境 の変 化を説 明し ,参 考と すべ きこ れまで

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(2)

の 研 究 報 告 と 対 比 し な が ら 本 研 究 の 意 義 お よ ぴ 目 的 に つ い て 述 べ る .

  

2

章 では ,^ッ ド用 アル ミ合金AC2B‑T6 材を対象に,低サイクル熱疲労試験 を実施し,材料の非弾性変形特性や熱疲労特性に与える条件因子依存性を明らかに する.条件因子に選んだのは,全ひずみ振幅,温度範囲,負荷周期,全ひずみ振幅 中心位置であり,これらの条件は実機^ッドの使用状況を考慮して設定する.更に,

低サイクル疲労寿命を定量的に予測できうる評価指標として塑性ひずみ仕事率密度 に着目し,塑性ひずみ振幅や応力振幅などの従来指標との比較を交え,上述した 様々な試験条件に対する塑性ひずみ仕事率密度の適用性と工学的有用性を明らかに する.また,温度別クリープ試験を実施し,非弾性変形特性に大きな影響を与える クリープ特性を把握する.

  

3

章 では ,アル ミ合 金AC2B‑T6 材の巨視的な非弾性変形特性と密接な関係が ある微視的組織特性に着目し,透過電子顕微鏡(TEM) を用いて析出物サイズや析出 物量の微視的組織構造に与える試験条件依存性を明らかにする.更に,析出物が生 成されている結晶面を基準に析出物を2 種類に大別し,微視的組織構造と疲労寿命 の関係について詳しく分析する.また,走査電子顕微鏡(SEM) を用いた破面観察も 行 な い , 試 験 温 度 に よ る 破 面 様 相 の 変 化 に っ い て 検 討 す る ,

  

第4 章では,開発コスト的にも利点のある材料改質工法として,熱処理条件の最 適 化 に関 す る 実 験 的検討 を行 う, 供試 材にAC2B‑T6 材 とAC4C‑T6 材 を選 び,

T6

熱処理後の追加時効時間の異なる熱処理条件を施し,圧縮と引張の機械的特性に対 する雰囲気温度依存性を明らかにすると共に,而材料の特性を比較し,ヘッド材と しての適性を評価する.さらに,上述の追加時効処理した

AC4C‑T6

材を用いて低 サイクル熱疲労試験を行い,時効時間が熱疲労特性に及ぼす影響について検討する.

更に,徴視的組織観察によって,試験前後の組織変化の様子から時効と寿命の関係 について考察する.このような一連の検討結果から,試験中の非弾性変形の変化特 性 を 整 理 し , 耐 久 性 効 果 と 生 産 性 を 満 足 す る 時 効 条 件 を 提 案 す る ,

  

第5 章では,実機エンジンの耐久試験におけるアルミ^ッド触火面の低サイクル 熟き裂現象を再現し,き裂寿命の予測が可能なFEM による高精度な構造解析手法 について述べる.すなわち,エンジンの耐久試験を行うと,繰返し負荷によって試 験中にアルミ合金の非弾性変形特性が変化するので,その現象を忠実に再現するた めに,より精巧な有限要素モデルを構築し,弾塑性構成則とクリープ則を連立させ て解く..この解析結果と第2 章で開発した低サイクル疲労寿命評価法を用いて,ヘ ッ ド の 耐 久 性 評 価 を 行 い , 現 象 再 現 性 と 寿 命 予 測 精 度 を 検 証 す る .

  

第6 章では,鋳造基礎試験によって,凝固冷却速度と樹枝状晶の二次枝間距離

(DAS)

との関係を明らかにする.次に,引張試験ならびに低サイクル疲労試験によ ってDAS と機械的特性ならびに熱疲労特性の関係を把握する.最後に,実機ヘツ ドを対象とした鋳造凝固および組織予測解析を行い,実際の^ッドを組織観察し,

樹枝状晶の2 次枝間距離

(DAS)

とガスによるミクロ的欠陥孔(porosity) に対する組織

予測解析の精度検証を行う.そして,凝固速度に違いによって生じる機械的特性の

領域別バラツキを考慮した構造解析により低サイクル疲労に対する耐久性評価方法

    

一1069 ‑

(3)

を提示する.これは,鋳造方法検討のための組織予測解析と設計検討のための構造 解析手法を同時並行に行うConcurrent englneermg 手法を確立するための第一段階 に位置付けられる.

  

最後の第7 章は,本研究の総括であり,各章で得られた研究成果をまとめて示す.

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学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

石川 野口 但野 佐々木

学 位 論 文 題 名

博 將       茂 克 彦

アルミ合 金シリンダーヘッドの材料組織変化を 考慮し た耐久性 評論に関する研究

  近年、環境問題の顕在化により、ディーゼルエンジンでは特に環境汚染物質の排出が問 題になっている。この問題を解決するため、排気ガス量そのものを低減させることならび に排気ガ スの一 部を再循 環するEGRを使 うことが 有効で ある。前 者は軽 量化による燃費 の向上が 、後者 はEGRに よる出力 低下を 防止する ための 高過給が 必要と なる。エンジン の軽量化対策として、シリンダーヘッドのアルミ合金化が挙げられる。ディーゼルエンジ ンはガソリンエンジンに比べて負荷が大きい上に、上述した高過給により負荷が更に厳し くなるため,アルミ合金化は難しい。

  このようにシリンダーヘッドのアルミ合金化にとって、軽量化と強度耐久性の確保の両 立が最も困難な問題であり、アルミ合金化特有の幾っかの技術的課題を解決しなければな らない。代表的な課題は、@材料設計と寿命評価方法、◎軽量かつ高剛性な構造設計、◎

鋳造欠陥の抑制と凝固指向性を制御する鋳造方法である。

  本研究の 目的は 、上の3つの課題を背景として、実際の運転状態を忠実に再現できる構 造解析手法の開発と、運転中に起こる材料の非線形挙動にも対応できるように微視的組織 変化も考慮した低サイクル疲労評価手法を開発することにある。

    シリンダ ヘッド 用アルミ 合金AC2B‑T6材の低 サイク ル熱疲労 試験を 実施し、非弾性 変形特性や熱疲労特性に与える条件因子依存性を明らかにした。条件因子に選んだのは、

全ひずみ振幅、温度範囲、負荷周期、全ひずみ振幅中心位置である。更に、低サイクル疲 労寿命を定量的に予測しうる評価指標として、塑性ひずみ仕事率密度が適しており、・工学 的にも有用であることを明らかにした。また、クリープ試験を実施し、非弾性変形特性に 大きな影響を与えるクリープ特性も明らかにした。

  つ い で、 透 過 電子 顕微鏡(TEM)を 用いて、 アルミ 合金AC2B‑T6材の微 視的組織 構造に 与える試験条件依存性を明らかにした。更に、微視的組織構造と疲労寿命の関係について 詳しく分析した。また、走査電子顕微鏡(SErvDを用いた破面観察も行い、試験温度が破面

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様相に及ぼす影響について明らかにした。

  また、材料改質エ法として、熱処理条件の最適化に関する実験的検討を行った。供試材 にAC2B‑T6材とAC4C‑T6材 を 選 び、T6熱 処理 後 、 加熱 温 度 と保 持時間 の異な る追加時 効熱処理条件を施し、圧縮と弓|張の機械的特性に対する雰囲気温度依存性を明らかにする と共に、 シリンダ ーヘッ ド材とし てAC4C‑T6材の方が 適性が 高いことを明らかにした。

上述の追 加時効処 理したAC4C‑T6材 を用いて 低サイク ル熱疲 労試験を行い、微視的組織 観察によって、試験前後の組織変化の様子から時効と寿命の関係について考察し、強度耐 久性効果と生産性を満足する時効条件を提案した。

  実機エンジンの耐久試験におけるシリンダーヘッド触火面の低サイクル熟き裂現象を再 現し、き 裂寿命の 予測が 可能なFEMによ る高精度 な構造 解析を行 った。その際、繰返し 負荷によって、試験中にアルミ合金の非弾性変形特性が変化する現象を忠実に再現するた めに、より精巧な有限要素モデルを構築し、弾塑性構成則とクリープ則を連立させて解く 新たな手法を提案した。この解析結果と塑性ひずみ仕事率密度を用いた低サイクル疲労寿 命評価法により、シリンダーヘッドの強度耐久性評価を行い、現象再現性と寿命予測精度 を検証することができた。

  鋳造基礎 試験によって、凝固冷却速度と樹枝状晶の二次枝間距離(DAS)との関係を明ら かにし、 ついで、 引張試 験ならび に低サ イクル疲 労試験 によってDASと機械的特性なら びに熱疲労特性の関係を明らかにした。最後に,実機シリンダーヘッドを対象とした鋳造 凝固およ び組織予測解析を行い、実際のシリンダーヘッドの組織観察による樹枝状晶の2 次枝間距 離(DAS)とガスによるミクロ的欠陥孔(porosity)の分布に対する解析精度の検証 を行った。これに基づいて凝固の方向性によって生じる機械的特性のパラツキを考慮した 構 造 解 析 に よ り 、 低 サ イ ク ル 疲 労 に 対 す る 耐 久 性 評 価 方 法 を 提 案 し た 。   これを要するに、著者は、ディーゼルエンジンのアルミ合金シリンダーヘッドに対して、

エンジン運転状態を再現できる構造解析手法の開発と、運転中に起こる材料の非線形挙動 にも対応できるように微視的組織変化をも考慮した新たな強度耐久性評価手法を提案して おり、内燃機関学の進歩に貢献するところ大なるものがある。よって著者は、北海道大学 博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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