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加州報告書第Ⅲ部.PDF

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第Ⅲ部

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第Ⅲ部 我が国は何を学ぶべきか これまで述べてきたように、カリフォルニア州の電力危機については、様々な要因が複 雑に絡み合っている。その要因を冷静・客観的に解明していくことが、今後の各国の政策 展開にとって有益である。 今回の調査では、米国・欧州等の各規制機関、市場・企業関係者、専門家のヒアリング や文献調査を行ったが、カリフォルニア州の電力危機を教訓として今後の自由化を進めて いくという姿勢では共通していた。米国連邦政府は、米国全体の自由化の方針に変更は無 いとしているが、カリフォルニア州の電力危機の教訓を十分汲み取ってから自由化を進め ようとする州(アーカンソー州、ニューメキシコ州、ネバダ州等)も出てきている。英国 や、ノルウェーにおいてもカリフォルニア州の電力危機は関心をもって受け止められてい るが、予備率の状況や電源構成の違い等があり、当面カリフォルニア州の電力危機のよう な問題が起こるとは受け止められていない。 我が国のように、電力の部分自由化を導入し、今後、制度の検証・検討を行う立場から すれば、制度設計の失敗がカリフォルニア州の電力危機のような重大な結果を招きうるこ とを踏まえ、細心の注意を払いつつ、自由化の検討を行う必要がある。 その意味で、今回の調査からは、今後検討を深めるべき以下のような論点が提起された。 それらは、今後検討すべき論点をすべて網羅しているとはいえないかも知れないが、我が 国にとって貴重な他山の石となるものと考えられる。 1. 将来の需要に見合った設備投資が円滑に行われる仕組み 今回のカリフォルニア州の電力危機においては、十分な供給力が確保できなかった理 由として、発電所の建設が進まなかったことが指摘されている。また、ネットワーク全 体では供給力が存在したにもかかわらず、送電線の建設が十分に行われなかったことか ら、送電容量が不足して需要地に電力が送電されなかったとの指摘もある。 (1)発電設備への投資 従来の電力規制の下では、各電力会社ともそれぞれの供給区域内の全需要家への 供給義務を果たすために必要な量の発電所や送電配電施設の建設を行い、それに要 した費用をすべて総括原価に計上し、電気料金として回収することが許されてきた。 電力会社は、すべての投資コストを電気料金を通じて回収することが保証されて おり、通常の企業投資に比べ、リスクは著しく低減されている。さらに、総括原価 規制の下では、コストに対して一定の適正報酬率が保証されていることから、投資

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しかし、自由化された市場で、投下した資本の回収が確実ではなく、供給義務も 課されていない場合には、各事業者は通常の財の市場と同様に、投資から将来期待 される収益とリスクを見込み、自らの判断で投資を行うこととなり、投資をめぐる 意思決定の原則は大きな変更を余儀なくされる。規制されている状態に比べ、自由 化の下では個々の電力会社にとっての投資リスクは上昇するため、それが市場全体 として設備投資不足を招来するのかどうか、検証が必要となる。  一般にリスクが存在するので投資が行われないとは言えない。リスクが存在して も、投資を回収する収益が見込まれれば、企業は投資するというのが一般的な経済 原則である。例えば、将来需要が十分見込まれ、競争力ある発電資産であるという 見込みが成り立つ限り、自由化の下でも投資が起こり、供給力は確保される。市場 が十分な競争状態にあるときには、こうした可能性が存在する限り、企業にとって は「投資しないリスク」(潜在的収益機会の喪失)も存在することになり、その面か らも投資インセンティブが企業に与えられる。電力事業は巨大な装置産業であり、 投資懐妊期間が長いが、同じく巨大な装置産業である重厚長大型製造業や半導体製 造業でもこうした投資競争により市場の需要を満たす供給が確保されている。  他方、以上はあくまで一般論であり、原子力発電等投資懐妊期間の特に長いプロ ジェクトや、競争状態への移行期間については、投資インセンティブの在り方につ いての一層の検討が必要となる。また、企業が投資決定を行うために必要な情報が 市場により供給されるかどうかも、重要な論点となる。  ここでは、発電設備形成が、実際に自由化された市場においてどうなっているか について概観する。 ① カリフォルニア州においては、少なくとも1990年以降1999年まで大規模 な発電設備の建設は行われていない。大規模な発電所の申請については、199 7年から50万kW超の発電設備の申請が提出されているが、運転開始は200 1年以降となっている。これに伴い、カリフォルニア州の設備容量の増設は、1 990年代を通じて低調に推移し、一方で需要が増加したことから予備率は減少 してきた。 新制度を導入した1998年以降、カリフォルニア州エネルギー委員会は、全 体で約630万kWに相当する大規模な電源の建設許可を与えており、約750 万kWに相当する電源計画が審査中である。申請ベースで概観すると、自由化の 制度設計の議論が最も不確定だった1995∼1996年にかけて申請はスト ップし、新制度が開始される直前の1997年から申請が再開している。以上か ら、規制の不確実性が存在する時期には、設備投資意欲は減退するが、制度が確 定した後は、申請ベースでみた場合、十分な投資意欲が存在するといえよう。他 方、1997年以降設備投資計画が顕在化したにもかかわらず、発電容量の拡大

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が迅速に進まなかったのは、認可手続そのものに問題があったからである。 したがって、①自由化の検討プロセスから生じる将来の見通しの不確実性が投 資意欲を減速させる可能性、②発電所設置審査の手続きが効率的でない場合には 投資が実行されるまでの期間が長くなり供給力確保に支障を来す可能性が存在 することについて、今後とも十分な留意が必要である。 表Ⅲ−1.カリフォルニア州における発電所の新設状況 発電所名 所有者 燃料 出力 申請 認可 建設開始 運転開始 備考 (MW) 年 年月 年月 年月

IID EL CENTRO UNIT #2 天然ガス 80 90 91/5 92/1 93/7 運開済

CROCKETT CROCKETT COGENERATION 天然ガス 240 92 93/4 94/5 96/5  〃 CARSON ICE-GEN CARSON COGENERATION 天然ガス 95 92 93/6 94/5 95/10  〃 REDDING PEAKING CITY OF REDDING 天然ガス 73 92 93/5 93/9 95/11  〃

PROCTER & GAMBLE 1 SMUD 天然ガス 127 93 94/9 95/6 97/3  〃

CAMPBELL SMUD 天然ガス 158 93 94/9 96/6 97/10  〃

EQUILON Shell 天然ガス 99 93 94/3 94/10 95/12  〃

PROCTER & GAMBLE 2 SMUD 天然ガス 44 93 94/11 00/10 01/6 建設中

SAN FRANCISCO ENERGY 天然ガス 240 94 96/3

HIGH DESERT Inland Group & Constellation 天然ガス 720 97 00/5 01/5 03/1 建設中 SUTTER POWER PROJECT Calpine 天然ガス 500 97 99/4 99/7 01/9  〃

LOS MEDANOS ENERGY Calpine 天然ガス 500 98 99/8 99/9 01/7  〃

LA PALOMA PG&E Generating 天然ガス 1,048 98 99/10 00/1 01/11  〃 DELTA ENERGY CENTER Calpine & Bechtel 天然ガス 880 98 00/2 00/4 02/7  〃 SUNRISE COGEN Edison Mission Energy 天然ガス 320 98 00/12 00/12 01/8  〃 ELK HILLS Sempra & Occidental 天然ガス 500 99 00/12 01/3 03/3  〃 MOSS LANDING Duke Energy 天然ガス 1,060 99 00/10 00/10 02/6  〃

PASTORIA Enron 天然ガス 750 99 00/12 01/6 03/6  〃

OTAY MESA PG&E Generating 天然ガス 510 99 01/2Q 01/2Q 03/1Q 審査中 THREE MOUNTAIN Ogden Pacific 天然ガス 500 99 01/1Q 01/1Q 03/1Q  〃 METCALF Calpin &Bechtel 天然ガス 600 99 01/1Q 01/1Q 02/3Q  〃 WESTER MIDWAY SUNSET ARCO Western Energy 天然ガス 500 99 01/1Q 01/1Q 02/3Q  〃 UNITED GOLDEN GATE El Paso Merchant Energy 天然ガス 51 00 01/1Q 01/3Q 01/3Q  〃 BLYTHE ENERGY Summit Energy Group 天然ガス 520 99 01/2Q 01/2Q 03/2Q  〃 CONTRA COSTA REPOWER Southern Energy 天然ガス 530 00 01/2Q 01/3Q 03/3Q  〃 MOUNTAIN VIEW Thermo Ecotek 天然ガス 1,056 00 01/2Q 01/3Q 03/2Q  〃 NUEVA AZALEA Sunlaw Cogen Partners 天然ガス 550 00 01/4Q 02/1Q 04/1Q  〃 POTRERO REPOWER Southern Energy 天然ガス 540 00 01/3Q 01/4Q 03/4Q  〃

MORRO BAY Duke 天然ガス 1,200 99 01/4Q 02/1Q 03/4Q  〃

HUNTINGTON BEACH AES 天然ガス 450 00 01/2Q 01/2Q 01/3Q  〃

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グラフⅢ−1.カリフォルニア州における火力発電所の新設状況(申請・認可・ 運転開始の比較)

(出所)カリフォルニア州エネルギー委員会ホームページ等より作成

グラフⅢ−2.カリフォルニア州とPJMの発電設備容量

(出所)EIA, ”Electric Power Annual Volume Ⅰ” 96 98 100 102 104 106 1988 1993 1995 1996 1997 1998 1999 ペンシルバニア カリフォルニア 1993年=100 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 運開 認可 申請 MW

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表Ⅲ−2.カリフォルニア州の予備率推移

(出所)カリフォルニア州エネルギー委員会, “1988-2000 Historical Coincident Peak Demand and Operating Reserve”

② 代表的な米国東部自由化市場であるPJMでは、自由化後も設備容量は増加基調 にある。予備率についても堅調に推移しており、自由化導入後、今後も含めてむ しろ拡大傾向にある。

グラフⅢ−3.PJM予備率見込み

出所:PJM ISO, “Annual Report on Operations 1999”

Total Reserve on Day of Year With Highest State Peak Demand (%)

Control Area 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 Statewide 12.5 11.9 N/A 11.1 14.2 16.2 12.4 7.9 6.9 8.3 6.7 5.5 4.9 CAISO 11.5 12.1 10.2 10.9 12.9 14.8 11.1 7.8 6.9 7.9 6.5 4.7 3.5

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③英国においても、1990年代初頭の国営企業分割と自由化の導入後活発な発電設 備投資がコンバインド・サイクル・ガス・タービン(CCGT)を中心として行わ れた。

グラフⅢ−4.英国における自由化後の発電設備容量

(出所)DTI “Digest of United Kingdom Energy Statistics 2000”

このように、カリフォルニア州では発電設備の形成は進まなかったが、PJM及 び英国(イングランド・ウェールズ)では順調な発電設備形成がなされてきた。 ④今回のカリフォルニア州の例を見るまでもなく、電力については安定供給が確保さ れる制度設計が極めて重要である。カリフォルニア州においては、環境規制等自由 化以外の制度要因も投資阻害要因として存在していた。他方、他の自由化モデルの 多くで新規投資は順調に推移しているようであり、自由化と安定供給のための投資 確保の関係について現時点で結論付けることは難しい。 しかしながら、カリフォルニア州と他の自由化地域の制度を比較すれば、安定供給 を維持するために、以下のような方策が有効であり、今後の検討に価すると考えら れる。 ・長期契約の自由 PJMやノルウェーにおいては、カリフォルニア州の制度とは異なり、プール(ス ポット市場)取引は強制されておらず、長期相対契約を結ぶことが許容されており、 電力の安定的供給に貢献している。長期契約の自由の下、電力先物取引も活発に行 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 1990 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 その他 水力 原子力 CCGT 混焼火力 石油火力 石炭火力 MW

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われ、将来的な供給インセンティブ(=投資に直結)を確保する上でも有益である。

・発電容量確保義務

PJMでは州法等により、最終需要家に電力を供給することを許可された小売を 行う主体を、LSE( Load Serving Entity )と位置付けている。LSEは、予備力 も含めて対象需要家の需要を満たすだけの発電容量を確保しておく義務を課され ている。また、こうした発電容量(キャパシティ)については市場取引によって調 達することも認められており、容量クレジット市場という市場がPJMにより運営 されている。こうした制度により、電力システム全体で予想外の需要増加や供給不 能という事態に対するクッションが常に確保されることになり、また、そのための 投資のインセンティブも生まれることになる。 ・新規参入の促進 PJMでは、自由化導入後の設備投資は新規参入企業も含め活発に行われてい る。カリフォルニア州では、一般に少なくとも競争移行期間中は新規参入の障壁に は十分な配慮がなされなかった模様であり、実際にも新規参入のシェアは低水準に 止まった。 【PJMの発電容量確保義務】  PJMにおいては、LSEは対象需要家の需要を満たす発電容量確保の義務が課されており、各LS Eは、それぞれ割り振られた需要予測に一定の予備率を付加した量の設備容量を確保しておく義務があ る。違反に対しては罰金が科される。この容量は、自社電源の建設や発電事業者との相対契約、PJM 容量クレジット市場での容量クレジット取引という形で調達することが可能である。各発電事業者の側 では、自ら保有している発電設備の容量を、クレジットという形態で各LSEに割り振り、市場価格ベ ースの対価を得ることとなる。これは、あくまでも容量(kW)の確保であり、電力量(kWh)の確保では ない。したがって、発電事業者は容量を他社に販売した後でも、電力量を別の主体に販売することが可 能である。

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表Ⅲ−3.PJM主要3州の電源構成 計 画 容 量 ( M W ) シ ェ ア ( M W ) 火 力 5 1 , 2 9 0 7 2 . 6 % 5 , 2 6 5 + α ( ガ ス ) 9 , 2 0 8 1 3 . 0 % 5 , 2 6 5 揚 水 1 , 6 5 6 2 . 3 % 0 水 力 1 , 2 3 0 1 . 7 % 0 原 子 力 1 5 , 5 3 7 2 2 . 0 % 0 そ の 他 8 9 8 1 . 3 % 不 明 合 計 7 0 , 6 1 1 1 0 0 . 0 % 6 , 9 7 8 + α 電 気 事 業 者 5 2 , 1 3 8 7 3 . 8 % 不 明 非 電 気 事 業 者 1 8 , 4 7 3 2 6 . 2 % 6 , 9 7 8 発 電 設 備 容 量 (出所)EIAホームページ グラフⅢ−5.PJMの発電能力推移 出所:PJM Interconnection より入手  米国全体でみると、既存電力会社以外の非電気事業者(供給区域外で事業を行う電 力会社を含む。)を中心として、米国全体で発電所投資は活発化している。RDI (Resource Data International)のデータによれば、米国の全発電容量が6億77 80万kW(1999年、EIA)であるのに対し、2001年には2000年の 投資額の2倍以上に上る約6,600万kWの発電所が運転を開始する見込みとな っている。ガス・タービン発電機を製造するGeneral Electric 社では、受注に生産

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が追いつかないという設備投資ブームを迎えている。自由化市場においては、新規 参入者の発電設備投資が相当な割合を占めることにかんがみれば、全体としての設 備投資が十分に行われるためには、新規参入者が投資を行いやすい環境を整備する ことが重要である。

グラフⅢ−6.米国における設備投資見込み

(出所):RDI Forecast of New Plant Development by NERC Region, 2000-2002 ・投資を誘発する価格メカニズムの維持 価格の凍結やプライスキャップが存在する場合には、供給が不足する際に価格が 上昇して投資が促進されるという市場メカニズムが機能しにくい。何らかの価格規 制を残す場合には、投資に対して与える影響について配慮が必要となる。 (2)送電設備への投資   ①カリフォルニア州では南北間の送電に混雑が発生しており、また、カリフォルニア 州と他州をつなぐ送電線にも混雑が発生していることから、市場全体では供給力が 足りている場合にも地域的な供給不足が発生している。カリフォルニア州では南北 間をつなぐPath15という送電線や州間の連系線が混雑していたことが、電力供 給の妨げになっていた。カリフォルニア州の送電設備増設状況は新制度導入前の1 989年∼1998年のデータではあるが、0.8%と他の地域に比べ低くなって いる。 米国における設備投資見込み 0 20,000 40,000 60,000 80,000 2000 2001 2002

MW

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図Ⅲ−1.カリフォルニア州の送電線状況

(注)網掛け部分が混雑地域 出所:カリフォルニア州エネルギー委員会, “Major Electric Transmission Line

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表Ⅲ−4.架空送電設備年平均増加率(%) 1979∼1988 年 1989∼1998 年 1979∼1998 年 電気事業者合計 1.4 1.4 1.5 私営電気事業者計 0.9 1.7 1.5 PJM 0.8 3.2 2.2 カリフォルニア 1.2 0.8 1.2 ニューヨーク 0.8 0.2 0.5 ニューイングランド 0.6 1.3 1.1 テキサス 2.7 3.7 3.8 中西部(イリノイ他) 0.2 1.2 0.7 (注)各ISOの数値については、主要供給州の合算値を元に算定。 (出 所 ) 「 Statistical Yearbook 1981∼ 1999 」 E E I 、「 海 外 電 気 事 業 統 計 1988,1994,2000 年版」(社)海外電力調査会より(財)日本エネルギー経 済研究所作成。 ②一般に、日本を含め世界各国で進められている電力改革の下では、送電ネットワー クのオープンアクセスと発電部門の競争促進が基本理念である。そのことは、同時に、 送電ネットワークが、少なくとも当面は電力需給の主役となり、公共財としての役割 を果たすことを意味している。一般に、公共財に関する投資メカニズムは市場原理だ けでは最適なものとならないことは、理論的にも明らかである。 ③カリフォルニア州の場合には送電線の系統運用を非営利機関であり、すべての発電 会社、電力会社から独立したISOが行っていることから、送電線建設が十分に進 まなかったとの指摘がある。系統の混雑状況を把握できる系統運用者と、送電線の 所有者であり建設を行う電力会社が、別の主体であったこと、そもそもISOが非 営利機関であること等が、円滑な送電線の建設を阻害したと考えられている。   これまで系統部門を独立して運用する主体=ISO(独立系統運用機関)設立を 推進してきた米国では、送電線建設インセンティブの付与の必要性が指摘されてお り、オーダー2000に基づく、RTO申請をめぐっては、TRANSCO方式、 ISO方式、GRIDCO方式の優劣について議論された。   ISOが給電指令の中立性を維持するのに対して、送電線の増設は、別途ISO の計画に沿って電力会社が行うこととなっている。このため、日々の系統運用で混 雑に直面するISO自身は送電線建設投資を行わない。これに対して、送電線所有 者が系統運用も行うTRANSCOの場合、投資決定者と系統運用者が同一であり、 営利企業でもあることから、送電線建設の十分なインセンティブが与えられる。一 方、TRANSCOを設置する際に、発電会社との資本関係を断ち切れる場合には

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指摘があるが、今後の議論においてはTRANSCO組織の中立性が重要な論点と なると考えられる。 ④一方で、発電会社と送電会社、配電会社が全くの別会社となっている英国やノルウェ ーでは、送電会社は自己利益の観点から公平な系統運用を行うものと一般に認識され ており、送電線の所有と系統運用はすべて送電会社が管理している。したがって、系 統運用を行い混雑状況について十分な情報を持つ主体が、送電線の建設も行うことと なっている。送電線建設に要した費用は、収入キャップ規制の下で適用される託送収 入から回収されることとなる。 ⑤特にノルウェーでは、2地点間に送電混雑が発生して送電できない場合には、送電 会社が需要地点に近接する発電所の電力を購入する形で補償することとなっており、 一方で、送電会社には収入キャップが課せられていることから、送電会社自身は混 雑を発生させないように送電線を建設するインセンティブが付与されている 2. 価格規制の安易性・硬直性  1998年発足したカリフォルニア州の新しい電力システムは、電力会社の系統運 用部門として独立した管理主体(独立系統運用機関=ISO)を設立、電力取引所で あるプール市場を設け、すべての需要家が電力の供給先を選択できるという制度改革 を行ったという点では電力の自由な取引を指向するものであった。しかしながら、そ の導入に当たっては、自由化への移行期間を設け、その間は電力会社の小売料金を凍 結し規制料金を適用するという価格規制をも同時に設定していた。  具体的には、回収不能費用(ストランディッドコスト)の回収を終えるまで、又は 2002年3月までのいずれか早い時期までは、自由化とはいえ電力会社の小売料金 は一定額の水準に抑えられていた。このような措置は、自由化によって回収が不能と なる過去の割高の投資分について電力会社に費用回収させることを目的としている。 電力会社が回収を認められた費用は、3社合計で100億ドル以上といわれている。  今回の電力危機は、まさに小売料金を凍結している移行期間中(ただし、サン・デ ィエゴ地域の SDG&E 社では、2000年6月以降は回収不能費用の回収完了に伴 い、凍結を解除しており、その後の卸電力価格の高騰に伴い小売価格も高騰した結果、 事後的に家庭用、小口需要家について価格を凍結した。)に発生したものであり、自 由化された小売料金の下で発生した事態ではない。価格凍結により、需給逼迫による 価格上昇による需要抑制や設備投資への誘因は全く働かなかった。また何よりも小売 価格凍結は、卸売価格上昇のリスクに電力会社が全面的にさらされる結果となり、財 務状況が極度に悪化する直接の原因となった。

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 カリフォルニア州と同様全面自由化を導入しているペンシルバニア州(PJM 市場 に参画)においても、既存電力会社の小売料金は標準価格の公表等の形で規制されて いるが、燃料価格変動に対しては調整措置を適用している。また、同州では回収不能 費用については、原価に一定額の競争移行費用を上乗せする手法を採用しており、小 売価格水準自体を固定するカリフォルニア方式に比べ、市況に応じて規制料金を変動 させる柔軟性を有している。 自由化の下、需要家保護等の観点から、競争移行期間に暫定的な料金規制を存続さ せることが求められる局面も発生しうるが、その場合であっても、どのように料金を 設定するかについて慎重な検討が必要となろう。 3. 電力会社のリスクヘッジ手段の制限による安定供給の阻害 (1)カリフォルニア州の電力会社は、短期のスポット市場である電力取引所(PX)に 電力を全量卸し、またそこから調達することを義務づけられていた(強制プール制)。 こうした措置は、電力取引が既存電力会社の内部取引に集中し、市場が機能しないと いう懸念に基づくものだったと考えられる。先物取引は制度的に禁止されていたわけ ではなかったが、先物・長期契約により購入した電力費用の回収について規制当局が 否定的な姿勢を見せており、結局先物取引は発達しなかった(電力会社は既に述べた ように、制度発足当初、卸売価格変動に対するリスクヘッジにあまり関心を払わなか った。)。強制プール制度の結果、電力会社は価格変動のリスクに全面的にさらされ、 逆ざや状態に陥った。 (2)さらに、カリフォルニア州では電力会社の所有する火力発電所(全体の約半分)の 大半を売却するよう、規制当局による勧告が行われた(実際には電力会社は、残り半 分をも自発的に売却した。)。同措置は小売部門を自由化しても、発電設備の大部分を 電力会社が所有しているため、新規参入者の電力調達が困難となり、競争が進展しな いという懸念に基づくものであった。しかし、短期スポット・プール市場での電力取 引を全量義務付ける中での電力会社の発電所売却は、安定的な電力調達や価格面での 重要なリスク・ヘッジ手段を失うことを意味し、リスク管理面での欠陥を一層助長し た。 (3)米国の成功例とされるPJM市場では、PXを介さない相対取引と自己供給の合計 が全体の約8割を占めている。また、欧州の成功事例とされるノードプールにおいて も、短期スポット市場での取引は全体の2割強程度であり、相対取引と自己供給が約 7割である。

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グラフⅢ−7.PJMの取引シェア

出所:PJMインターコネクションより入手

グラフⅢ―8.ノルウェーにおける物理取引種別のシェア

出所:"Market report 1998-1999",NVE, 10.10.2000

(4)電力の短期スポット市場取引では、市場が効率化される一方で、頻繁な価格変動と いうリスクに市場参加者はさらされることになる。この価格変動に対して、既存電力 会社等の電力事業者が適切にリスクを管理する手段が存在することが重要となる。電 力取引所における先物市場、店頭取引をベースとした先渡市場、長期相対契約等の手 法による長期的なリスク回避の手段が、事業者にとって制限されていないことが重要 である。例えば、配電会社に供給義務が課されている場合、同会社が安定的に電力を 供給する上では、このようなスポット市場以外の場において、安定調達・価格変動の リスクをヘッジする手段が存在することが重要である。異なった取引サービス、異な った取引所同士が競合することにより、より魅力的な市場取引を参加者が選択するこ とを通じて市場全体の効率化が図られる。こうした制度間競争という意味においても、 プール取引、OTC(店頭)取引、長期相対取引等が互いに競合する関係が重要であ 相対取引 52% 自己供給 27% スポット市場 18% 輸入 3%

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4. 環境規制の影響

(1) カリフォルニア州には連邦より厳しい水準のNOx、SOx 環境基準、排出基準が存 在し、住民は公聴会に参加することも意見を提出することも認められている。州民の 環境マインドを表す言葉として“NIMBY(Not In My Back Yard)”や“BAN ANA(Build Absolutely Nothing Anywhere Near Anyone)”と表現されているが、 多少の皮肉も込められている。

EPSA(Electric Power Supply Association)のレポートでは、カリフォルニア 州エネルギー委員会によりまとめられた審査手順には30強の当局が関与しており、 審査期間の制限も審査の範囲の制限もなかったことから、事業者がタイミングに応じ て投資決定することを妨げていたと指摘されている。 (2) 既に見たように、発電所の建設計画自体は存在するものの、審査に時間を要するこ とから、全体の発電容量は需要の伸びに追いついていない。 (3) 実際の輪番停電といった、供給力不足を受けて、州政府は環境規制による審査手順 の迅速化を内容とする発電所立地促進策を講じている。 5. 需要家の選択肢としての分散型電源 (1) 今回のカリフォルニア州における電力危機の背景には、ITによる需要増のように、 規制下にあったとしても想定することが困難な需要の伸びが存在したといわれてい る。このように、マクロデータとしての予測が困難な電力需要に対応するには、需要 家側にも必要分を調達する選択肢が与えられていることも重要である。また、環境規 制等により、大規模な電源の開発と送電線の建設が困難な場合には、需要地立地型の 小規模電源で需要を補うことが期待される。 (2) 今回の電力危機を背景に、カリフォルニア州の需要家は分散型電源の導入に積極的 になってきている。また、同州の公益事業委員会においても、系統連系基準の策定作 業が進められている。 (3) 英国では、分散型電源が系統の安定上果たす役割について検討が開始されている。 6. 電力系統の安定性を確保する仕組み (1) 電力市場の自由化が進展し、新たな市場参加者による送電ネットワーク利用が拡大 するようになると、系統運用の安定性をいかにして図るかが課題となる。特に、複数 の発電事業者が特定の送電線を同時に使用しようとする場合、混雑状況が生じ、系統 安定のために発電状況をコントロールする必要が生じる。こうした混雑状況を解消す るために、自由化先行する地域では市場参加者間の送電利用の調整に市場メカニズム

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点間の電力市場価格の差分を付加することによって、送電した場合と、需要地点内で 電力を調達した場合が、送電料も含めた場合に同じ価格になるようにする。Zonal の 場合にはこの地点の取り方が広く、Nodal の場合には狭い。一般に Zonal Pricing の 方が制度は簡素であり、地域独占が発生しにくいといわれているが諸説あるところで ある。カリフォルニア州においてはZonal Pricing が採用されていたが、地域独占の 発生を指摘する有識者も存在し、混雑調整という側面からも混雑の回避や卸価格の低 下に効果が見られず電力危機を招いているとの指摘がなされている。 また、このような混雑料金の設定以外に、米国では地点間の料金格差を利用するの ではなく、物理的な送電権を設定し、これを入札にかけるという方法についても一部 検討が進んでいる。 (3) このように、時々刻々と変わる混雑料金とは別に、固定的な送電線使用料に格差を 設けることにより発電所の立地を混雑地域から非混雑地域に振り向けようとする地 点別料金制度も存在する。英国ではこの方式を採用しており、発電所の立地が集中す る北部から南部へ立地地点を誘導しようとしている。ノルウェーにも同様の制度が存 在する。 (4) 電力市場取引等により、事前に需給が合わされて(スケジューリングされて)いて も、実際の需給とのずれ(インバランス)は常に生じうる。そのインバランスを処理 するのが、リアルタイム市場又は調整市場である。 (5)リアルタイム市場に過度に依存するような市場構造になると、フレキシブルな電源 が限定されるような電源構成の場合には、極めて不安定な市場となるおそれがある。 カリフォルニア州はこのような問題に直面したことから、FERCによりリアルタイ ム市場への依存を全体の5%に抑える旨の勧告がなされた。 ノルウェーにおいては、調整市場の利用に対して何らペナルティーは課されないが、 この背景には各市場の電源構成の違いや予備率の水準が影響していると考えられる。 ノルウェーのように、発電量の変更が容易な水力の豊富な市場においては自由度の高 い調整市場が問題なく適用されるが、原子力発電や石炭火力発電中心で発電量の調整 が困難な市場においては、調整市場の利用を不利にしたり、調整部分は市場メカニズ ムに任せないほうがよいとの指摘もある。リアルタイム市場の創設に際しては、それ ぞれの電力市場の電源構成に注目して最適な制度を採用する必要がある。 (6)瞬時瞬時の周波数や電圧の振れを調整するアンシラリー・サービスについては、カ リフォルニア、PJMにおいてはISOが、英国及びノルウエーでは送電会社が責任 を負っている。アンシラリー・サービスに必要となる電源については、市場取引によ り調達するものもあれば、ISOや送電会社が、原則、長期契約で常に確保するもの もあり、それぞれの異なる方式を採用している。必要とされる経費については、広く 市場参加者から託送料という形で徴収されるのが通常である。 (7)このように、電力自由化においては、単に市場を自由化するのではなく、系統安定

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の上で必要となる事項については、新たなルールを検討することが必要となる。 7. 需要を価格に弾力的に反応させる仕組み (1) 既に述べたように、カリフォルニア州では需給逼迫状態が頻発し、卸売価格の高騰 が起こったが、小売価格が凍結されていたため、需要家には価格を通じた情報が伝達 されず、需要は需給状況に反応しなかった。特にピーク需要時に需要の反応がなかっ たことが一層需給逼迫を悪化させた。 (2) これについては、カリフォルニア州では、特にピーク時に需要家が需要を価格に反 応させることができれば、問題は大幅に緩和されるという専門家の指摘もあった。例 えば、時々の電力消費を需要家が測定・管理する仕組み(リアルタイム・メータリン グ等)の試みがアメリカではジョージア州、PJMで行われ、その成果が注目されて いる。 また、英国やノルウェーでは、リアルタイムのメーターが需要家に導入され、その 範囲は拡大している。需要家が固定料金を享受していたり、金融的に価格変動リスク をヘッジしている場合には効果が限定されうるが、需要家がスポット市場に電力を販 売した方が消費するよりも儲かるような料金に達する場合には効果が期待できる。 (3) カリフォルニア州の電力会社の中でもSDG&E社(サンディエゴ地域)は、予定 より早くストランディッドコストの回収が終わり、2000年7月からは小売料金の 凍結を解除された結果、電力需給逼迫時に同社の小売料金は約2倍に上昇した。ある 経済分析によれば、8月末までのこうした価格高騰(小売価格は再度遡及的に7月以 降凍結され、その措置の可能性は同期間中に周知の事実であったため、需要家の価格 上昇に対する実際の期待値は「倍増」よりも相当割り引く必要がある。)は、同地域 での電力消費量全体の1.6%を減少させ、特に午後遅く以降は6%以上の減少に寄 与したと推計している。 同分析では、こうした需要反応が仮にカリフォルニア州全域で起こっていれば、 ピーク時の需給を相当程度緩和したはずだと指摘している。 8. 電力市場における価格操作を監視・防止する仕組み (1) カリフォルニア州の卸売価格の高騰に際しては、需給逼迫を予測した意図的な発電 事業者の売り惜しみ行動が行われた可能性が、規制機関や経済学者から指摘されてき た。他方、発電事業者側からは、意図的な価格のつり上げ行為は無かったとの主張も あり、決着をみていない。発電抑制をめぐっては定期検査等合理的な理由に基づく発 電抑制と、価格操作を目的とする発電抑制の峻別が困難であることも指摘されている。

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たおそれも指摘されている。電力という財の特質上、こうした価格操作行為について は、特にそれを監視・防止する仕組みが検討される必要がある。例えば、電圧維持の 発電所を、系統運用者に確保させておく等の方策も考えられる。 すなわち、電力市場においては、市場全体に占める各事業者の発電シェアだけで競 争状態を把握するだけでは不十分であり、地域レベルやピーク対応電源での独占的な 状況にも配慮する必要がある。ただし、市場需給が構造的に逼迫している際にはこう した行為が起きやすいのは事実であり、そうした状態を未然に防止する供給力確保の 仕組みが元来重要である。 (2) 英国では、電力価格の低下傾向や、発電シェアでみた競走が進んでいる等、一定の 成果を収めてきた。一方で、英国の電源を限界費用が低い順に順序付けを行うと、原 子力発電、天然ガス火力発電がベース対応電源となり石炭火力発電がピーク対応電源 となっており、この石炭火力電源が大手2社に占有されている状況にあった。メリッ トオーダー制を採用する英国の旧プール制の下では、石炭火力発電を保有する2社が 協調的に入札することによってプール価格を高値に維持することが可能で、競走が働 かず電力価格が十分には下がっていないと指摘されていた。この問題を解決するべく、 同2社に対する石炭火力電源の売却措置がとられた。この措置による効果か、最近で は、プール市場において価格決定に最も影響力のある企業(決済価格となる落札を行 った企業)が分散されつつある。 表Ⅲ−5.SMP(システム・マージナル・プライス)落札回数割合 単位:% 96 97 98 99 00 Edison 13.2 10.9 9.8 7.5 21.1 AES 0 0.1 0.4 2.6 19.3 Powergen 31.8 30.5 32.2 22.9 16.8 National Power 44.8 34.9 35.4 31 14.6 TXU 7.3 19.9 18.6 24.5 11.8 EdF 0.7 2.4 2.6 10.9 10.7 British Energy 0 0 0 0 4.9 Scotish interconnecteor 1.7 1.1 0.2 0 0.4 Others 0.5 0.3 0.7 0.7 0.4

出所:Competition Commission ”AES and British Energy” 9. 電力供給システムのガバナンス

(1) 電力自由化には標準的な成功モデルはないことから、各国・各州とも不断の制度の チェックが必要となるが、問題が発生した場合でも様々な利害関係者の利害がからむ 場合には、制度の変更が極めて困難になる。

(21)

定できなかったといわれている。PJMの最高意志決定機関である独立委員会は、各 方面の専門家で構成され、委員は会員による投票で選出されるが、その候補者は過去 5年間PJM及び関係団体に所属したことがなく、また、就任後は関係団体といかな る商業的利害関係を持ってはならないといった厳しい資格要件が課されている。 図Ⅲ−2.PJMの組織図

独 立 委 員 会

会 員 委 員 会

最 終 需 要 家 配 電 事 業 者 他 供 給 者 送 電 設 備 保 有 者 発 電 設 備 保 有 者

出所:PJM Interconnection L.L.C.“Introduction and PJM Governance” (3) 英国では、現在のプール制の修正が極めて困難なことから、自由化導入後当初から 様々な問題点が明らかになっていたにもかかわらず制度改正が遅れ、結局、現在の制 度を放棄し、NETAという全く新しい制度に移行する方策を採用したとの指摘があ った。 (4) 電力自由化後も外的環境の変化やシステム運用の展開に伴い、制度の見直しが機動 的に行われるような体制を確保する必要がある。

(22)

結 語

これまでにも見てきたように、自由化の如何にかかわらず、電力システムは様々な 環境変化にさらされている。カリフォルニア州の電力危機にかんがみれば、制度運用 を開始した後でも、変化を不断に注視し機動的に対応することが関係者に求められる といえる。 また、電力改革の失敗は、今般のカリフォルニア州のような重大な危機を招く。今後の 制度検討には、細心の注意を払うべきであることは言を待たない。カリフォルニア州を含 め、諸外国の改革事例について経験を摂取・吸収することは今後とも有益であり続ける。

(23)

【海外調査出張者リスト】 金本 良嗣 東京大学日本経済国際研究センター長 大学院経済学研究科・経済学部 教授 南部 鶴彦 学習院大学経済学部 教授 八田 達夫 東京大学空間情報科学研究センター 教授 澤藤 琢也 内閣府国民生活局物価調整課 政策企画専門職 上野 有子 内閣府国民生活局物価調整課 政策企画専門職 小笠原 潤一 (財)日本エネルギー経済研究所第一研究部 電力グループ 研究員 森田 雅紀 (財)日本エネルギー経済研究所第一研究部 電力グループ 研究員 川本 明 経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部 電力市場整備課長     新川 達也 経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課 課長補佐 青木 幹夫 経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課 課長補佐 杉本 俊也 経済産業省経済産業研究所研究部 研究官 (敬称略) (注)それぞれの出張者によって、訪問先は異なっている。

(24)

【海外調査訪問先リスト】

1.2月26日(月)

① California State University, Fullerton

Prof. Robert J. Michael Department of Economics ② Southern California Edison

John L. Jurewitz, Ph.D Manager of Regulatory Policy

Frank Bello Communications Manager, Public Affairs 2.2月27日(火)

① California Public Utilities Commission

David Gamson Senior Advisor on Energy for Commissioner Geoffrey Brown

② California Independent System Operator

Terry M. Winter President and Chief Executive Officer ③ Stanford University

Prof. R. Wilson Prof. R. Noll

④ APX

Edward G. Cazalet Chairman & Founder Frank Lim Director,Marketing Asia J. Ellis Founder,Marketing U. K.

天野太球麿 タンデム事務所(APX 日本事務所)パートナー 3.2月28日(水)

① California ISO

M・Kahn Chairman ② University of California Energy Institute

Prof. Severin Borenstein 4. 3月1日(木)

① Federal Energy Regulatory Commission William L. Massey Commissioner ② Electric Power Supply Association

Tiffany J. Elliott Manager of Policy

(25)

③ Federal Energy Regulatory Commission

Richard P. O’Neill Chief Economist, Director, Office of Economic Policy

5. 3月2日(金) ① PECO

Brian D. Crowe Director, Regulatory & Governmental Affairs ② Pennsylvania Public Utilities Commission

John M. Quain Chairman

Dennis J. Buckley Counsel to the Chairman Andrew S. Tubbs Assistant Counsel Law Bureau John A. Levin Assistant Counsel Law Bureau 他

③ PJM Interconnection

Kenneth W. Laughlin Vice President, Market Services

Andrew L. Ott General Manager, Market Coordination 6. 3月5日(月)

① DTI

Ian Fletcher Head, Energy Utilities Directorate ② DTI

Dr Graham Bryce Deputy Director Energy Utilities ③ OFGEN

Dr Richard Marriott Head of European Policy, Development & Coordination, Europe, Information & Incentives 他 7.3 月 6 日(火)

① DTI

Anna Walker Director General Energy ② Cambridge University

David Newbery Professor, Director, Department of Applied Economics

(26)

9. 3 月 8 日(木) ① Statnett 社

Odd Hakon Holsater President & CEO

Svein Storstein Pedersen Vice President, projects Administration ② Nord Pool Consulting

Jan H. Anderson Sjesfkonsulent Arne Dybdal Senior Consultant ③ Energiepartner AS 社

Magne J. Kalstad Managing Director ④ Norwegian Water Resource and Energy Directorate

Arne Martin Torgersen Sector Manager, Section for Economic Regulation, Energy and Regulation Department

10. 3 月 9 日(金) ① Statkraft 社

Geir Holler Vice President ② Oslo Energie

Atle Sorsdal, Trader ③ Nord Pool Consulting

Kunt Fossdal Managing Consultant Jan H. Anderson Managing Consultant Arne Dybdal Senior Consultant ④ Statnett 社

(27)

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(米国)」∼ペンシルベニア州電力小売市場にみる成功の是非∼ 社団法人 海外電力調査会 井上寛

(30)

○ ホームページ

(米国)

・連邦エネルギー規制委員会(FERC) http://www.ferc.fed.us/ ・カリフォルニア州規制委員会 http://www.cpuc.ca.gov/ ・カリフォルニア州エネルギー委員会 http://www.energy.ca.gov/ ・ Western Systems Coordinating Council(WSCC)

http://www.wscc.com/ ・Readings On the California Energy Crisis by UCEI Researchers

http://www.ucei.berkeley.edu/ucei/Recent_Pre sentations/recent_present.html

・ペンシルバニア州規制委員会 http://www.puc.paonline.com/

・PJM http://www.pjm.com/

・ PECO Energy http://www.peco.com/ ・北米電力信頼度協議会(NERC) http://www.nerc.com/

・エネルギー情報局(EIA) http://www.eia.doe.gov/index.html ・Electric Power Supply Association http://www.epsa.org/

(英国) ・ 産業経済省(DTI) http://www.dti.gov.uk/energy/index.htm ・ ガス電力規制局(OFGEM) http://www.ofgem.gov.uk./homepage.htm ・ ナショナルグリッド社(NGC) http://www.nationalgrid.com/uk/ ・英国電気協会 http://www.electricity.org.uk/ (ノルウェー) ・ノルドプール http://www.nordpool.no/ ・ STATNET 社 http://www.statnett.no/engelsk/index.html ・水資源エネルギー省 http://www.nve.no/

参照

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