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Keysight Technologies LTE規格に準拠したトランスミッタのACLR測定

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Keysight Technologies

LTE

規格に準拠したトランスミッタの

ACLR

測定

(2)

はじめに

IPサービスをより多くのユーザに提供するために、次世代の携帯電話テクノロジーとしてLTEが開発されました。現在 配備されている3GPPネットワークの充実が図られ、新サービスが登場する機会が増えています。しかし、LTEの複雑 さやアーキテクチャの進化により、ネットワークやユーザ機器のデザイン/テストでは新たな問題が生じています。 LTEの商業的な成功は、すべてのデバイスが仕様通りに動作できるかにもかかってきます。信号伝送中の電力管理が、 エア・インタフェース独自の問題の1つとなっています。 LTEなどのデジタル通信システムでは、伝送信号から隣接するチャネルに漏れる電力により、隣接チャネルの伝送が妨 害され、システムの性能が低下する可能性があります。隣接チャネル漏洩電力(ACLR)テストでは、システムのトラン スミッタが仕様内で正しく動作するかを検証します。この複雑なトランスミッタ・テストは、LTE測定ソフトウェアを 搭載したKeysight Xシリーズ(PXA/MXA/EXA)シグナル・アナライザなどの最新のシグナル・アナライザと、LTE信号 作成ソフトウェアを搭載したKeysight MXG信号発生器を使用すれば、迅速かつ正確に行うことができます。

LTE

トランスミッタのデザインに関する問題

LTE製品の開発が進められていますが、RFエンジニアは、このような複雑なテクノロジーによってもたらされる多くの デザイン/測定上の問題に直面しています。LTEでは、6つのチャネル帯域幅(1.4∼20 MHz)、ダウンリンクとアップ リンクで異なる伝送方式(OFDMAとSC-FDMA)、2種類の伝送モード(FDDとTDD)、マルチ・アンテナ手法(MIMO空 間多重化、ダイバーシティ、ビームステアリング)に対応する必要があります。またLTEでは柔軟な伝送方式が採用さ れているため、現在のCDMAベースのシステムよりもはるかに、物理チャネル構成がRF性能に大きな影響を与えます。 さらにLTEでは性能目標が非常に高く設定されているため、無線トランスミッタ・チェーンのそれぞれの重要部分を網 羅するように、デザインのトレードオフを慎重に検討する必要があります。 トランスミッタ・デザインの1つの目標は、望ましくないエミッションを最小限に抑えることです。LTEはW-CDMAや その他の従来の携帯電話テクノロジーと同じ周波数バンドに配備される予定で、3GPP仕様では、異なる無線システム 間の干渉を最小限に抑え、互換性を確保するために、エミッションについて規定しています。もっとも重要な問題は、 あらゆる周波数で発生する可能性のあるスプリアス・エミッションの制御です。この点では、LTEは他の無線システム と同様です。しかし、伝送信号が厳しい漏洩電力要件に準拠している必要があるバンド端では、新たな問題が生じます。 LTEは最大20 MHzのチャネル帯域幅をサポートしていますが、多くのバンドは少数のチャネルをサポートする幅しか ないので、LTEチャネルのかなりの部分はバンド端に存在することになります。 バンド端でのトランスミッタ性能を制御するには、チャネル性能に影響を与えることなく、フィルタで帯域外エミッショ ンを低減するデザインが必要です。コスト、電力効率、寸法、トランスミッタのブロック図における位置などの要因も 重要です。最終的には、LTEトランスミッタは、ACLRで定義されるように、隣接チャネルへの漏洩電力量の制限など、 望ましくないエミッションに関するすべての仕様に適合していなければなりません。

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ACLR

テストの要件

ACLRは、LTE RFトランスミッタのコンフォーマンス・テストに盛り込まれて いる重要なトランスミッタ特性です(表1)。これらのテストでは、基地局(eNB) とUEで最小要件が満たされているかが検証されます。帯域外エミッションの LTEコンフォーマンス・テストのほとんどは、W-CDMAのものと範囲および 目的が同じです。ただし、W-CDMAではトランスミッタ測定にルート・ナイ キスト・フィルタ(RRC)を使用することを仕様化していますが、LTEでは同等 のフィルタは定義されていません。このため、LTEトランスミッタのテストに さまざまなフィルタを用いて、チャネル内性能を最適化してエラー・ベクトル 振幅を低減したり、チャネル外性能を最適化して隣接チャネル漏洩電力特性を 向上させることができます。 表1. RFトランスミッタのコンフォーマンス・テスト(3GPP TS 36.141 [1] および36.521-1 [2] から) トランスミッタ性能のテストに非常に多くの複雑なトランスミッタ構成を使用 できますが、LTEでは、E-UTRAテスト・モデル(E-TM)と呼ばれる一連のダウ ンリンク信号構成をeNBのテスト用として仕様化しています。これらのテスト・ モデルは3つのクラス(E-TM1、E-TM2、E-TM3)に分類されます。最初のクラ ス と3番 目 の ク ラ ス は さ ら に 細 か く、E-TM1.1、E-TM1.2、E-TM3.1、 E-TM3.2、E-TM3.3に分類されます(表2)。E-UTRAの“E”は“enhanced” の略語で、LTE UMTS地上無線アクセスを表すのに対して、“E”のないUTRA はW-CDMAを表しています。 基地局のRFトランスミッタの特性テスト 36.141 subclause テスト・ケース 6.2 基地局の出力パワー 6.3.1 リソース・エレメント(ダイナミック・レンジRE)のパワー制御 6.3.2 全パワー・ダイナミック・レンジ 6.4.1 トランスミッタ・オフ・パワー 6.4.2 トランスミッタ遷移時間 6.5.1 周波数誤差 6.5.2 エラー・ベクトル振幅(EVM) 6.5.3 トランスミッタの分岐間の時間調整 6.5.4 ダウンリンク基準信号パワー 6.6.1 占有帯域幅 6.6.2 隣接チャネル漏洩電力(ACLR) 6.6.3 運用バンドの望ましくないエミッション 6.6.4 トランスミッタのスプリアス・エミッション 6.7 トランスミッタの相互変調 UEトランスミッタのテスト・ケース 36.521-1 subclause テスト・ケース 6.2.2 UEの最大出力パワー 6.2.3 最大パワー低減(MPR) 6.2.4 追加最大パワー低減(A-MPR) 6.2.5 構成済みUEの最大出力パワー 6.3.2 最小出力パワー 6.3.3 送信オフ・パワー 6.3.4.1 一般的なオン/オフ時間マスク 6.3.4.2 PRACH/SRS時間マスク 6.3.5.1 パワー制御の絶対パワー許容値 6.3.5.2 パワー制御の相対パワー許容値 6.3.5.3 総パワー制御の許容値 6.5.1 周波数誤差 6.5.2.1 エラー・ベクトル振幅(EVM) 6.5.2.2 IQ成分 6.5.2.3 未割り当てのRBの帯域内エミッション 6.5.2.4 スペクトラム・フラットネス 6.6.1 占有帯域幅 6.6.2.1 スペクトラム・エミッション・マスク 6.6.2.2 追加スペクトラム・エミッション・マスク 6.6.2.3 隣接チャネル漏洩電力(ACLR) 6.6.3.1 トランスミッタ・スプリアス・エミッション 6.6.3.2 スプリアス・エミッション・バンドのUE共存 6.6.3.3 追加スプリアス・エミッション 6.7 トランスミッタの相互変調

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ACLR

テストの要件

(続き) UEテストでは、eNBレシーバのテスト用として指定されている基準測定チャネ ル(RMC)を使用して、トランスミッタがテストされます。UEのACLR要件は eNBの場合ほど厳しくないので、eNBの要件に重点を置いて説明します。 表2. E-UTRAテスト・モード(3GPP TS 36.141 [1] から) 3GPPのLTE仕様では、ACLRを、割り当て済みチャネル周波数を中心とするフィルタ処 理済みの平均パワーと隣接チャネル周波数を中心とするフィルタ処理済みの平均パワー の比と定義しています。次の2つのシナリオに対して、eNBの最小ACLRコンフォーマン ス要件が示されています。同じ帯域幅の隣接するE-UTRA(LTE)チャネル搬送波の場合は、 E-UTRAACLR1、UTRA(W-CDMA)隣接チャネル搬送波および交互チャネル搬送波の場合

は、それぞれUTRAACLR1とUTRAACLR2です。

さまざまなリミットおよび測定フィルタが、E-UTRAおよびUTRA隣接チャネルに対して 仕様化されています。また、ペア・スペクトラム(FDD)処理と非ペア・スペクトラム(TDD) 処理の両方に対して規定されています。E-UTRAチャネルが2乗測定フィルタを使用して 測定されるのに対して、UTRAチャネルは、RRCフィルタを使用して、ロールオフ係数0.22、 チップ・レートと同じ帯域幅(図1のペア・スペクトラム処理の例では3.84 MHz)で測定 されます。 E-TM 注記 テスト・ケース E-TM1.1 最大パワー・テスト 出力パワー、占有帯域幅、ACLR、運用バンドの 望ましくないエミッション、トランスミッタの スプリアス・エミッション、トランスミッタの 相互変調、基準信号の絶対確度 E-TM1.2 パワーのブースト/デブーストを含む ACLR、運用バンドの望ましくないエミッション E-TM2 最小パワー・テスト 全パワーのダイナミック・レンジ(最小パワーに おけるOFDMシンボル・パワーの下限値、シング ル64QAM PRB割り当てのEVM(最小パワー)、周 波数誤差(最小パワー)) E-TM3.1 パワー・テスト 全パワーのダイナミック・レンジ(すべての 64 QAM PRBが割り当てられた状態での最大パ ワーにおけるOFDMシンボル・パワーの上限値)、 周波数誤差、64QAMのEVM(最小パワー)

E-TM3.2 パワーのブースト/デブーストを含む 周波数誤差、16 QAMのEVM

E-TM3.3 パワーのブースト/デブーストを含む 周波数誤差、QPSKのEVM 図1. ACLR測定用の測定フィルタ 隣接E-UTRA搬送波の 規定のACLRリミット 隣接UTRA搬送波の 規定のACLRリミット

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ACLR

テストの要件

(続き) ペア/非ペア・スペクトラム処理を含むeNBのACLRテスト要件を、表3にまと めて示します。2009年9月の仕様発行時点では、UEのACLRテスト・ケースは 完全なものではありません。UEのテスト手順は基本的に、基地局の場合と同じ です。 表3. ACLR基地局コンフォーマンス・テスト要件(3GPP TS 36.141 6.2 [1] から)仕様では、最小要 件とテスト許容値(TT)が定義されています。 スペクトラム バンド 隣接搬送波 リミット(最小要件+TT* ペア・スペクトラム カテゴリA E-UTRA 44.2 dBまたは−13 dBm/MHz UTRA 44.2 dBまたは−13 dBm/MHz ペア・スペクトラム カテゴリB E-UTRA 44.2 dBまたは−15 dBm/MHz UTRA 44.2 dBまたは−15 dBm/MHz 非ペア・スペクトラム カテゴリA E-UTRA(LTE) 44.2 dBまたは−13 dBm/MHz 1.28 Mcps UTRA 44.2 dBまたは−13 dBm/MHz 3.84 Mcps UTRA 44.2 dBまたは−13 dBm/MHz 7.82 Mcps UTRA 44.2 dBまたは−13 dBm/MHz 非ペア・スペクトラム カテゴリB E-UTRA(LTE) 44.2 dBまたは−15 dBm/MHz 1.28 Mcps UTRA 44.2 dBまたは−15 dBm/MHz 3.84 Mcps UTRA 44.2 dBまたは−15 dBm/MHz 7.82 Mcps UTRA 44.2 dBまたは−15 dBm/MHz * 相対リミットは、44.2 dB=45 dB(最小要件)+0.8 dB TTです。絶対リミットも相対リミットも規定されています。 どちらか緩やかな方をコンフォーマンス要件として使用します。 高度な信号評価ツールを使用して、複雑なLTE測定を迅速かつ正確に行うこと ができます。ACLRなどのパワー測定には通常、スペクトラム・アナライザま たはシグナル・アナライザを使用します。また、必要なテスト信号は、信号発 生器を使って作成します。以下の例では、MXG信号発生器に接続されたキーサ イトのSignal Studioアプリケーションを使用して、トランスミッタのテストに 必要な規格に準拠したE-TM信号を作成します。出力信号は、N9080A LTE測定 アプリケーションが動作しているKeysight Xシリーズ シグナル・アナライザの RF入力に接続されています。この機器のセットアップは、3GPP LTE仕様で規 定されているブロック図に準拠しています(図2)。ここで説明する測定プロセ スはFDD動作用ですが、TDD動作用のプロセスも同様です。 仕様では、搬送波周波数は被試験基地局がサポートしている周波数バンド内に 設定し、チャネル周波数の両側の周波数オフセットでACLRを測定する必要が あります。ペア・スペクトラム処理または非ペア・スペクトラム処理の仕様を 参照してください(表3)。テストはまず、すべてのPDSCHリソース・ブロック のパワーが同じであるE-TM1.1タイプの送信信号を使用します。その後、再度 E-TM1.2を使用して、パワーをブースト/デブーストします。異なるパワー・ レベルで動作している複数のユーザ・デバイスをシミュレートするE-TM1.2構 成が便利です。このシナリオではクレスト・ファクタが高くなるため、不要な スペクトラム成分(すなわち、ACLR)を発生させることなく、信号を増幅する ことは難しくなります。

ACLR

テストのセットアップ

TX

テスト

対象の

BS

測定機器

TX

(6)

ACLR

テストのセットアップ

(続き)

このACLRの測定例では、規格に準拠したE-TM1.2テスト信号を作成するよう にSignal Studioをセットアップしています。周波数は、LTE仕様のダウンリン ク運用バンド内の1つの周波数、2.11 GHzに設定されています。ACLR性能を 決定する際の重要な考慮事項の1つである出力信号の振幅は、−10 dBmに設定 されています。1.4∼20 MHzの範囲の中から、5 MHzのチャネル帯域幅が選 択されています。

図3はeNBの設定を示したもので、Transport Channelが選択されています。テ スト信号のリソース割り当てブロックのグラフが下部に表示されています。 Y軸は周波数/リソース・ブロックを表し、X軸はスロット/時間を表します。 チャネルによって色が異なり、白の領域はチャネル1を、ピンクの領域はチャ ネル2をそれぞれ表します。どちらもダウンリンク共有チャネルで、この測定 の対象です。他の色は同期チャネル、基準信号などを表します。 図3. E-TM1.2テスト信号のリソース割り当てブロック(下部) チャネル1を選択すると、出力パワー・レベルが−4.3 dBであることがわかり ます。このため、チャネル・パワーがデブーストされています。チャネル2の 出力パワーはブーストされ、3 dBに設定されています(図4)。リソース・ブロッ ク割り当てグラフの各種リソース・ブロックに対して、一連の複雑なパワー・ ブースト/デブースト・オプションを設定できます。これにより、コンポジッ ト信号のピーク対アベレージ比は、すべてのブロックが同じパワー・レベルの 単一チャネルより高くなります。前述のように、このようなブーストされた信 号を増幅することは困難です。パワーアンプのバックオフが十分でないと、ク リッピングが発生する場合があります。 図4. チャネル2の出力パワーのブースト

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ACLR

テストのセットアップ

(続き) 今度は、Signal Studioソフトウェアを使用してテスト信号を作成します。 Signal StudioはPCベースなので、PCベースのXシリーズ シグナル・アナライ ザから実行できます。この場合の波形は、シグナル・アナライザで作成され、 LANまたはGPIBで信号発生器にダウンロードされます。信号発生器のRF出力 はシグナル・アナライザのRF入力に接続され、そこで、掃引スペクトラム解析 機能を使用してACLR性能が測定されます。この例では、シグナル・アナライ ザはLTEモードになっています。また、中心周波数は2.11 GHzで、ACP測定が 選択されています。ここで、LTEアプリケーションの使用可能な選択項目のリ ストから適切なパラメータとテスト・リミットをリコールすることにより、 LTE規格に準拠したACLR測定をワンボタンで簡単に実行できます。これらの選 択項目としては、ペア/非ペア・スペクトラム・オプション、カテゴリA/カテ ゴリBリミット・オプション(ITU-R SM.329で定義)、隣接/交互チャネルの搬 送波タイプ・オプション(E-UTR(LTE)、UTRA(W-CDMA)、TD-SCDMA)が あります。 リコールしてFDD動作を実行すれば、LTEでは2種類のACLRの測定手法が定義 されます。図5の上側のグラフは、E-UTRA(LTE)を中心周波数とオフセット周 波数に使用した場合です。下側のグラフは、中心周波数のLTEと、隣接/交互 オフセットのUTRA(W-CDMA)を示しています。 図5. 2種類の仕様化されたACLR測定手法

ACLR

測定

チャネル帯域幅E-UTRA

(eNB、UE)

チャネル帯域幅UTRA

(eNB、UE)

周波数オフセット1 周波数 オフセット1 周波数オフセット2 周波数オフセット2

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図6の測定結果は、E-UTRAの隣接オフセット・チャネルと交互オフセット・チャ ネルを示しています。この測定では、5 MHzの搬送波が選択されていますが、 ダウンリンクは301個の副搬送波で構成されているため、測定雑音帯域幅は 4.515 MHzです。最初のオフセット(A)は5 MHzで、積分帯域幅は4.515 MHz です。2番目のオフセット(B)は10 MHzで、積分帯域幅は同じです。 図6. 最適化前のKeysight Xシリーズアナライザを使用したACLR測定の結果 このワンボタン測定では、LTE規格に準拠した有効なACLR測定を非常にすばや く実行できます。図6の約−62 dBcという結果は良好ですが、アナライザの設 定を最適化して性能を向上させることができます。測定結果をさらに向上させ るには、次の4つの方法があります。(1)ミキサの信号レベルを最適化する、 (2)分解能帯域幅フィルタを変更する、(3)雑音補正をオンにする、(4)フィル タ処理済み積分帯域幅と呼ばれる別の測定手法を用いる。 入力ミキサの信号レベルを最適化するために、クリッピングが最小になるよう にアッテネータを調整します。Xシリーズ シグナル・アナライザは、現在の測 定信号値に基づいて自動的に減衰値を選択します。この自動手法では、最適な 測定範囲に適した開始ポイントが得られます。Xシリーズなどのシグナル・ア ナライザは、電子式アッテネータとメカニカル・アッテネータの両方を備えて いるので、2つを組み合わせて性能を最適化することができます。このような 場合には、メカニカル・アッテネータを少し調整すれば、約1 dBまたは2 dB確 度の高い結果を得ることができます。 次に、帯域幅フィルタ・キーを押すことにより、分解能帯域幅を狭くすること ができます。分解能帯域幅を狭くすれば、掃引時間が長くなるので注意してく ださい。例えば、MXAシグナル・アナライザでは、30 kHzにおける掃引時間は 676.3 msです。より低い10 kHzの分解能帯域幅では、掃引時間は約6 sです。 掃引時間が長くなるほど、測定の変動は小さくなりますが、測定速度が低下し ます。 もう1つの手順は、雑音補正をオフにすることです。アナライザは、掃引を1回 実行して、現在の中心周波数で内部ノイズ・フロアを測定します。その後の掃 引では、その内部ノイズ・フロアが測定結果から除去されます。この手法では、 ACLRがかなり向上し、最大5 dB向上する場合もあります。

ACLR

テストのセットアップ

(続き)

アナライザの設定の最適化

(9)

アナライザの設定の最適化

(続き) アナライザを最適化するための第4の方法として測定手法の変更があります。 この場合、デフォルトの測定手法(積分帯域幅、IBW)をフィルタ処理済みIBW 法に変更します。フィルタ処理済みIBWでは、急峻/急勾配のカットオフ・フィ ルタが使用されます。この手法では、パワー測定の結果の絶対確度が低下しま すが、相対パワー確度は低下しません。ACLRは相対パワー測定です。したがっ て、フィルタ処理済みIBWでは、ACLRの測定結果は低下しません。 これらの手法を組み合わせて使用することにより、キーサイトのXシリーズ ア ナライザは、内蔵のLTEアプリケーションにより、ACLR測定の速度と性能を自 動的に最適化することができます。代表的なACLR測定の結果は、最大10 dB以 上向上します。図7からは、内蔵のLTEアプリケーションによる最適化後に、 ACLRが11 dB向上していることがわかります(図6と比較して)。最大性能が必 要な測定シナリオでは、アナライザの設定をさらに調整することができます。 図7. 最適化後のKeysight Xシリーズアナライザを使用したACLR測定の結果 ACLRなどの規格に準拠したスペクトラム測定は、次世代の無線システムを開 発しているRFエンジニアにとっては必須項目です。しかし、LTEでは、隣接チャ ネルの帯域幅の変動、伝送フィルタの選択、帯域幅や干渉に対する感受性の異 なるチャネル間のRF変動の相互作用などの要因により、これらの測定が複雑化 しています。現実的な解決策は、規格に準拠した測定アプリケーションを備え たスペクトラム・アナライザまたはシグナル・アナライザを使用する方法です。 この組み合わせにより、複雑な測定でミスが減るだけでなく、リミット・テー ブルや仕様化されたテスト・セットアップが自動的に設定されるので、測定の 再現性が確保されます。

まとめ

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頭字語

3GPP 3rd Generation Partnership Project

(第3世代移動体通信システム標準化プロジェクト) ACLR Adjacent channel leakage-power ratio

(隣接チャネル漏洩電力)

A-MPR Additional maximum power reduction (追加最大パワー低減)

CDMA Code division multiple access(コード分割多元接続) eNB Evolved node B

E-TM E-UTRA test model(E-UTRAテスト・モデル) E-UTRA Evolved universal terrestrial radio access

(次世代ユニバーサル地上無線アクセス)

EVM Error vector magnitude(エラー・ベクトル振幅) FDD Frequency division duplex(周波数分割デュプレックス) GPIB General purpose interface bus

(汎用インタフェース・バス) IBW Integration bandwidth(積分帯域幅)

LAN Local area network(ローカル・エリア・ネットワーク) LTE Long term evolution

MPR Maximum power reduction(最大パワー低減)

MIMO Multiple input multiple output(マルチ入力マルチ出力) OFDMA Orthogonal frequency division multiple access

(直交周波数分割多元接続) PRACH Physical random access channel

(物理ランダム・アクセス・チャネル)

QAM Quadrature amplitude modulation(直交振幅変調) QPSK Quadrature phase-shift keying

(4相位相シフト・キーイング) RB Resource block(リソース・ブロック) RBW Resolution bandwidth(分解能帯域幅) RE Resource element(リソース・エレメント) RF Radio frequency(無線周波数) RRC Root-raised cosine(ルート・ナイキスト・フィルタ) SC-FDMA Single carrier frequency division multiple access

(単一搬送波周波数分割多元接続)

SRS Sounding reference signal(サウンディング基準信号) TDD Time division duplex(時分割デュプレックス)

TD-SCDMA Time domain synchronous code division multiple access(タイム・ドメイン同期コード分割多元接続) UE User equipment(ユーザ機器)

UMTS Universal mobile telecommunications system (ユニバーサル・モバイル通信システム) UTRA Uuniversal terrestrial radio access

(ユニバーサル地上無線アクセス)

W-CDMA Wideband code division multiple access (広帯域コード分割多元接続)

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参照文献

詳細情報

[1] 3GPP TS 36.141 V8.4.0(2009-09)Base Station(BS)Conformance Testing

[2] 3GPP TS 36.521-1 V8.3.1(2009-09)User Equipment(UE)Conformance Specification; Radio Transmission and Reception Part 1:Conformance Testing 3GPPの詳細については、3GPPのホームページをご覧ください。 http://www.3gpp.org/ 3GPPの仕様に関するホームページ http://www.3gpp.org/specs/specs.htm 3GPPシリーズ36(LTE)の仕様 http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series キーサイトのLTE用のデザイン/テスト製品の詳細については、以下のWebサ イトをご覧ください。 http://www.keysight.co.jp/find/lte

キーサイトのLTEに関するアプリケーション・ノートおよび技術概要:

3GPP Long Term Evolution システムの概要、製品開発、テスト上の問題: 5989-8139JAJP

LTEコンポーネントのスティミュラス−レスポンス・テスト:5990-5149JAJP LTEの動作と測定におけるMIMO:LTEテストの概要:5990-4760JAJP LTEの動作と測定におけるMIMO:LTEテストの概要:5990-4759JAJP N9080A LTE FDD N9082A LTE TDD Xシリーズアドバンスド測定アプリケー ション、Technical Overview:5989-6537JAJP

LTEのスペシャリスト30名によるLTEおよびLTE測定についての解説。

LTE and the Evolution to 4G Wireless Design and Measurement Challenges http://www.keysight.co.jp/find/ltebook

(12)

12 | Keysight | LTE規格に準拠したトランスミッタのACLR測定 - Application Note www.lxistandard.org LXIは、Webへのアクセスを可能にするイーサネット・ベースのテスト・システム用 インタフェースです。Keysightは、LXIコンソーシアムの設立メンバです。 契約販売店 www.keysight.co.jp/find/channelpartners キーサイト契約販売店からもご購入頂けます。 お気軽にお問い合わせください。 www.keysight.co.jp/find/lte © Keysight Technologies, 2009 - 2014 Published in Japan, October 7, 2014 5990-5089JAJP 0000-00DEP www.keysight.co.jp

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図 2.  測定機器のセットアップ( 3GPP TS 36.141 [1] Annex I, Figure I.1-1 )
図 3 は eNB の設定を示したもので、 Transport Channel が選択されています。テ スト信号のリソース割り当てブロックのグラフが下部に表示されています。 Y 軸は周波数/リソース・ブロックを表し、 X 軸はスロット/時間を表します。 チャネルによって色が異なり、白の領域はチャネル 1 を、ピンクの領域はチャ ネル 2 をそれぞれ表します。どちらもダウンリンク共有チャネルで、この測定 の対象です。他の色は同期チャネル、基準信号などを表します。 図 3
図 6 の測定結果は、 E-UTRA の隣接オフセット・チャネルと交互オフセット・チャ ネルを示しています。この測定では、 5  MHz の搬送波が選択されていますが、 ダウンリンクは 301 個の副搬送波で構成されているため、測定雑音帯域幅は 4.515  MHz です。最初のオフセット( A )は 5  MHz で、積分帯域幅は 4.515  MHz です。 2 番目のオフセット( B )は 10 MHz で、積分帯域幅は同じです。 図 6

参照

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