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東アジアの原子力政策と安全規制制度

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Academic year: 2021

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(1)

東アジアの原子力政策

と安全規制制度

総合討論と各報告者へのコメント

周瑋生(立命館大学)

科研シンポジウム

2018年11月17日・名古屋大学

(2)

2 をもとに周研究室作成

東アジア原子力発電所の分布図(2014年1月現在)

緑:運転中 青:建設中 紫:計画中 赤:停止中 出典:中国核工業集団:http://www.cnnc.com.cn/ (2014-1-24) 韓国電力公社:http://cyber.kepco.co.kr/kepco/EN/main.do (2014-1-24) 日本原子力研究開発機構:http://www.jaea.go.jp/index.html (2014-1-24)

●東アジアの現実

●「原発安全」は一国の問題ではない

●日中韓含めた東アジア原発安全保障システムの構築

日本原子力産業協会(JAIF)

韓国 中国

稼働中: 23基 14基

建設中:

3基

27基

計画中:

6基 230基

(中国電力企業連合会)

 原発密度ランキング

1.ベルギー

2.韓国

3.日本

 +地震多発国

(3)

コメント

• 第1部 基調講演

• 原子力安全に関する日本の新規制基準ー伊方原発の事例を取りあげなが

らー張貞旭(松山大学)

• 2013年、策定された新規制基準は、「福島」の反省を踏まえて、従来

の規制が大きく見直され、世界でもっとも厳しい水準だといわれている。

日本の国土状況からは当然のこととも言えよう。

• 一方、「福島第一原発事故」の教訓(原発の安全を確保するために重要

な「止める」「冷やす」「閉じ込める」機能が、津波によって失われた

こと)から、原子力安全はハードウエアだけでは確保できず、ソフトウ

エア(人・組織・運営・情報)も非常に重要である。

 コメント:①新規制基準に人的・組織的要因をどう体系的に考慮されて

いるか?

②日韓中3国の原発情報分野の交流をどう進めていくか

(4)

コメント

第2部

各国の原発政策と規制制度

• 日本の原子力規制は先進的かー朴勝俊(関西学院大学)

新規制基準の核:「安全神話」と決別し、リスクはゼロにならなく、

原発に「絶対安全」はないとして、不確実なリスクにも対応できる

よう。

安全目標:大量の放射性物質放出重大事故の発生確率を「1基あたり

100万年に1回以下」

コメント:①安全の最終目標は国民の生命や健康を守ることから、

「1基あたり100万年に1回以下」目標以外に、原発事故による死

亡や健康被害のリスクを目標とするべきではないか? ②中韓は

じめ、東アジアの原発安全に与える示唆(意味合い)とは?これ

から大量に導入しようとする中国への提言は?

(5)

コメント

第2部

各国の原発政策と規制制度

• 中国の原子力法と原子力安全規制制度ー汪勁(北

京大学)

• 特徴:後発者利益、

INES>3以上の

事象事故0、今

後も大規模導入、しかも海外へ輸出見通し

コメント:①内陸部建設の可能性、②これまで原

発事故0の秘訣(原因)、③中国の原子力法関連

で施行システムに何か特徴があるのか、④新エネ

ルギーコストが急速に低下していることから、中

国の原発開発計画に与える影響?⑤原発安全保障

における日中韓協働連携の可能性

(6)

コメント

第2部

各国の原発政策と規制制度

• 韓国の原子力政策と原子力安全規制制度ー朴槿惠政府と文

在寅政府の比較を中心にー(崔鐘敏(ソウル大学)、尹順

眞(ソウル大学)

コメント: ①朴政権と文政権の原発に対する政策違いが

あった根本的な要因とは?

②文政権の原発漸減政策につ

いて、日中韓エリアからどう評価するか

米シンクタンク、天然資源保護協会 (NRDC)の試算によれば、「地震や津波 などの自然災害」やテロなど攻撃により事 故が起きた場合、気象次第で放射性物質が 日本の広範囲に飛来し韓国以上の甚大な被 害が出て、日本で最大2830万人が避難を 余儀なくされる恐れを指摘した。 日中韓は互いに影響しあうエリア https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H6M_R20C17 A5CR8000/

(7)
(8)

原発安全保障システムのための

事故分析

過去の原発事故を調査(関連施設は含めない)

 INES>3以上の事象に対して包括的な分析を行う。

8

(9)

INES>3以上事象事故の分析

9

国別

機種別

(10)

1992年~2013年、INES>3以上

国別原子力発電所の原子炉と事象事故発生

国 別

原子炉の

(1)

原 子 力 発 電

依存度 (% )

事 象 と

事故数

事象事故発

生率 (

)

フランス

58 (59)

74.8

21

0.29

ウクライナ

15 (17)

46.2

7

1.32

スウェーデン 10 (12)

38.1

6

2.08

韓国

23 (23)

30.4

3

0.37

日本

0(59)

28.6

(2010年)

5

0.09

アメリカ

100 (106)

19

6

0.03

イギリス

16 (33)

18.1

3

0.17

ロシア

33 (34)

17.8

4

0.18

カナダ

19 (23)

15.3

3

0.31

インド

21 (21)

3.6

5

0.8

中国

14(0)

0

0

10 (1) 括弧の中の数字は1992年以降運転したことがあるが、現在稼働停止している原子炉の数 出典:IAEA・PRISと旧原子力安全基盤機構のデータより周研究室作成(2013年)

「原発事故」はゼロではない

(11)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 27 30 31 32 35 38 40 41 自然災害 操業ミス 機械故障 対稼働年数事故事象率(%) 異なる原因による 事故 事象数 稼働年数(年) 対稼働年数事故事象率( %) 92年以降事故事象の発生原因と対稼働年数事故事象率 出典:IAEA・PRISと旧原子力安全基盤機構のデータより周研究室作成

(12)

44 12 20 9 4 3 0.05 0.06 0.25 0.2 0.94 0.15 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 10 20 30 40 50 加圧水型 沸騰水型 ロシア型 CANDU RBMK AGR 事故事象数 事故事象率 事故事象数 事故 事象 発生率 (‰)

原子炉型式毎の事故事象数と確率

出典:IAEA・PRISと旧原子力安全基盤機構のデータより周研究室作成

(13)

21 4 17 7 3 3 21 5 1 2 1 2 3 2 0 10 20 30 40 50

加圧水型 沸騰水型 VVER CANDU RMBK AGR

事故事象数 自然災害 操業ミス 機械故障

原子炉型式毎の事故事象数とその主たる要因

出典:IAEA・PRISと旧原子力安全基盤機構のデータより周研究室作成

(14)

3 4 8 13 5 3 4 2 2 2 2 2 3 1 4 6 8 2 2 1 3 1 1 1 2 1 2 1 0 5 10 15 20 25 30 1~5 6~10 11~15 16~20 21~25 26~30 31~35 36~ 事故事象数 稼働年数 AGR RMBK CANDU VVER 沸騰水型 加圧水型

事故時稼働年数別の事故事象数

出典:IAEA・PRISと旧原子力安全基盤機構のデータより周研究室作成

(15)

世界における原発保有数と事象率

15

INESが3以上の事例は2以下の事例と比べて少ない。

事故率は共に減少傾向である。

事故率

=

事故

/稼働原発数

事故率

(‰)

出典:IAEA・PRISと旧原子力安全基盤機構のデータより周研究室作成

(16)

機種ごとの事故率

16

最も多いのはロシア型PWRであるが、顕著でない。

全ての炉型で事故は発生している。

(17)

製造年ごとの事故率

17

製造のピークは80年代前半だが、

70年代前半に製造された炉が最も事故を起こしてい

る。

80年代前半

119基中 4例

20年以内の事故が

7例/8例

運転期間が長いから

事例が多いのか?

70年代前半

84基中 8例

80年代の炉も十分時間は経過している。

出典:IAEA・PRISと旧原子力安全基盤機構のデータより周研究室作成

(18)

事故原因の分析

18

運転中

竜巻、津波などの災害

タービン火災

それ以外

定期点検中

起動時

廃炉作業中

運転中以外における事故の発生は抑制されてきている。

運転中事故に対する事故の件数は減少していない。

(事故率は減少している。)

 運転中事故の予防が課題。

出典:IAEA・PRISと旧原子力安全基盤機構のデータより周研究室作成

(19)

事故分析からの示唆

• 原発における事故率は低下してきている。

• 機種には依存せず、事故は発生する。

• 1970年代前半に製造された炉に関して事故が顕

著に多い。他の製造年の炉でも事故は発生してい

る。

• 運転中事故の予防が重要になってきている。

19

安全性は大きく向上してきている。

技術だけでは事故ゼロは達成できない。

(20)

1900年以来死亡人数5000人以上

の世界主要自然災害状況

20 自然災害:地震関係と異常気候関係,災害数と関係死亡人数は地震がトップ。 人為災害:原発事故等,複合型大規模災害を引き起こす

地震関係

異常気候関係

(右軸) (左軸) 出典:防災白書(平成27年版)より周研究室作成

(21)

1900年以来

死亡人数5000人以上の自然災害状況

21 自然災害の発生そのものは地域を選別することはできない。但し,脆弱なインフラや防災対 策なら、災害による社会的、経済的、人命的被害規模を拡大させられる可能性が高い。 出典:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4367.html,日本防災白書2012, CRED防災白書(EM-DAT International Disaster Database)

周研究室作成

100

80

60

40

20

0

(22)

22

1900年以来

死者・去向不明者超過5000人以上的自然災害の地域分布

30

60

45

■ ■ ●地震/地滑り/津波 ■火山噴火 ★ハリケーン/台風 ◎洪水 ▲旱魃 ★ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ■ ■ ■ ◎ ◎ ◎ ★ ★ ★ ★★ ★ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ● ● ● ● ● ●

世界文明帯

人類文明与自然灾害

出典:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4367.html 日本防災白書2012 周研究室作成

(23)

23

2000 ①Ur(Iraq)

1500 ②Thebes(Egypt)

1000 ③Sidon(Lebanon) 無?

500 ④Persepolis(Persia)

人類文明盛衰変遷と自然灾害

30

60

45

世界都市

世界都市

出典:立命館大学周研究室作成 紀 元 1 ⑤Rome(Rome) 500 ⑥Changan(China) 1000 ⑦Kaifeng(China) 1500 ⑧Florence(Italy)

2000 ⑨NY, London, Paris, Tokyo 2500 probably none of the above

世界「四大文明」:

メソポタミア文明・エ

ジ プト文明 ・イ ンダ

ス文明・黄河文明

①大河川/古代文明=農耕文明。だから豊富な水が必要 ②大平野/文明が栄えるには人口が多いほうが有利。だから人 口が密集しやすい大きな平野が必要 ③中緯度地域/季節が比較的明瞭=種蒔きの時期が正確に分 からないと生産が上手くいかないエリア。だから暦法が必要

(24)

 基本事実②

 2013年9月から約2年間、日本はすべての原発が停止状態にあり、原発からの電力供給が 一切ない事象、いわゆる真の「原発ゼロ」を経験した(壮大な社会実験)。  原発なしの対策として、①火力発電所の増強や自家発電からの電力購入など(供給)、②効 率の改善と省エネの徹底(需要)。  原発有無の影響に関する事実上の「政策実験」。それを見事に乗り越えられたといえよう。 24 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 1 2 3 4 5 6 7 8 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 燃料費(兆円) 設備利用率(原発) (%)

燃料費(兆円)

原発設備利用率(%)

日本の燃料費と原発設備利用率

出典:電気事業連合会資料 周研究室より作成

「原発ゼロ」は見事に実現できた

(25)

日中韓原発安全保障システム

25

日中韓における原発の分布

緑:運転中 青:建設中 紫:計画中 赤:停止中

相互監視体制

安全文化の構築

経験の共有

通常時

協力体制の構築

対応技術の共有

事故時

隣国同士での他国間安全保障を構築することで、

通常時の安全気質、事故時の対応を強化していくことが不可欠。

(26)

 世界の原子力政策

(事例)

• 漸減・廃止: ドイツ 2022年までに、原子力発電所

稼動を完全に停止する計画(福島事故の教訓を真剣

に自国にあてはめ、政策を大幅に転換させた国)

• 継続・拡大: 中国

•日本:?

26 出典:http://politas.jp/features/6/article/389

(27)

日本

0 100 200 300 400 500 600 700 800 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100 年 間 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 お よ び 削 減 量 ( 炭 素 換 算 百 万 ト ン ) 西暦年 削減後排出量 革新的技術 植林 石油増進回収 廃ガス田注入 帯水層注入 海洋貯留 原子力 水力&地熱 風力 太陽光 バイオマス 省エネルギー バイオ マス

日本の選択肢

(シミュレーション事例)

水力&地熱 太陽光 燃料転換 省エネルギー 0 100 200 300 400 500 600 700 800 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100 年間 の二 酸化 炭 素排 出 量お よ び削 減 量 (炭 素換 算百 万 トン ) 西暦年 削減後排出量 革新的技術 植林 石油増進回収 廃ガス田注入 帯水層注入 海洋貯留 原子力 水力&地熱 風力 太陽光 バイオマス 省エネルギー バイオマス 「破局ケース」の CO2正味排出量 「550ppmv+CO2処分無+原子力新規導入無」 におけるCO2正味排出量 DNE21モデルによる計算結果 27

「原発事故=零」場合

「原発漸減・廃止」場合

出典:周 瑋生,柳沢幸雄、山地憲治,藤井 康正,DNE21モデルによる日・中・北米3地 域のCO2排出動向に関するシミュレーショ ン,エネルギー・資源,18-4, P.82-88, エネ ルギー・資源学会,1998.7.

(28)

 日本の選択肢

原子力発電をやめるべきか・続けるべきか

原発反対派の主な持論

① 事故のリスクが大きい

(安全性、

経済性)

② 廃棄物の取り扱い

(環境性、安

全性)

③ 他のクリーンエネルギーへ転換

すべき

(安全性、環境性)

④ 軍事転用の可能性

原発賛成派の主な持論

① 発電コストが安価である

(経済

性)

② 原子力発電所は環境に優しい

(環境性)(事故は想定外)

③ 安定的な供給が得られる

(安全

性)

④ 日本の技術力をアピールし、輸

出を増やせる

28 (PPP換算米ドル) 出典:内閣府『国民生活に関する世論調査』 より周研究室作成

(29)

29

「原発継続」場合

「3・11」東日本大震災とそれに続

く福島第一原子力発電所での事

故によって、日本のエネルギー政

策と地球温暖化対策は大きな転

換を迫られ、単にエネルギー源の

問題に留まらず、エネルギー環境

政策の新たな総合的ベスト・ミック

スの調和点を探るという大きな問

題を抱えることになった。

この総合的ベスト・ミックスは、複

数の変数を有する連立方程式を

解くようなものであり、今後の東ア

ジアのエネルギー環境政策は、一

国に留まらず、空間的(東アジア)、

時間的(長期エネルギー需給と技

術進歩)、対策的(経済性、環境性

など多次元的)視点から構築する

ことが緊急に求められる。

 東アジア原発安全保障システムの構築

(30)

主な参考資料

30

• 原子力安全基盤機構(JNES) データベース

• 原子力百科事典ATOMICA データベース

• 原子力白書

• 原子力安全白書

• Power Reactor Information System (PRIS)

• Nuclear Energy Encyclopedia

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H6M_R20C

参照

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