第171回 NRIメディアフォーラム
「共通番号制度」の課題とその解決策
2012年4月12日 株式会社野村総合研究所 株式会社野村総合研究所 DIソリューション事業部長 八木 晃二 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビル内閣府「社会保障・税の番号制度に関する世論調査」
番号制度
「内容まで知っている」
16 7%
番号制度の認知度「内容まで知っている」
16.7%
制度導入による「不安
85 7%
0% 20% 40% 60% 80% 100% 内容まで知っている 言葉は聞いたことがある 知らない 番号制度に対する懸念制度導入による「不安」 85.7%
「プライバシー侵害のおそれ」40.5% 「個人情報の不正利用による被害の恐れ」32.2% 「国により監視・監督される恐れ」13% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 番号制度に対する懸念 「国により監視・監督される恐れ」13%なのに・・・
個人情報漏洩によるプライバシー侵害 番号や個人情報の不正利用による被害 国により個人情報が監視,監督される 特に無い、その他「必要だと思う」 57.4%
必要だと思う」 57.4%
番号制度の必要度??
0% 20%必要だと思う40%必要だと思わない60% わからない80% 100%??
内閣府「社会保障・税の番号制度に関する世論調査」 (平成23年11月)を元にNRI作成巷にあふれるあいまいな議論
マイナンバーがあれば本人確認が便利になる ICカードがあればプライバシーを守ることができる C ド 枚あ ば 電子申請 身 確認 医療受診 ん き ICカード1枚あれば、電子申請も身元確認も医療受診もなんでもできる 米国の社会保障番号(SSN)はマイナンバーである 米国ではSSNで本人確認がなされている 米国の社会保障番号(SSN)は イナン である マイナンバーがあれば震災時の本人確認もスムーズにできる マイナンバーがあれば消えた年金問題、所在不明高齢者問題も解決するあいまいな議論はやめて、目的、手段、コストを明確化した議論を!
議論を深めるために必要な整理(ポイント)
あいまいな
「本人確認」
という言葉を、
3つに分類
して議論する必要
•「身元確認」、「当人確認」、「真正性の確保・属性情報取得」身元確認」、 当人確認」、 真正性の確保 属性情報取得」
米国の
SSNは、
いわゆる
共通番号ではない
•SSNは、社会保障番号SSNは、社会保障番号 •国民IDは、民間ID+トラストフレームワーク •身元証明書は、運転免許証
パスポートの番号は、個人に付番された番号ではない
•券面に振られた券面管理番号 (証明書を更新するごとに変わる番号)
ID
と
番号
の違い
電子証明書
には
3つの用途
がある
プライバシー保護、個人情報保護、セキュリティ確保
は異なる概念
•電子署名、サーバー証明書、クライアント証明書
世界の
ID連携
の動き
あいまいな「本人確認」の定義
身元確認
自分が「どこの誰で今そこに存在していること」を 確認手段(米国)身元確認
狭義の 確認すること。 例えば対面の場合、ある信頼できる機関が発行 した証明書に記載された形質情報と、目の前の 人を比較することによって行われる 運転免許証当人確認
広義 の 本人確 認 人を比較することによって行われる。 ログイン時のIDとパスワ ドのチェックなどにより当人確認
(認証)
の 本人 確 認 ログイン時のIDとパスワードのチェックなどにより、 その人が登録済みユーザーの誰であるかを確認 すること。 民間事業者のID真正性の確保
確 認 相手が申請してきた社会保障番号や住所などが 社会保障番号 &真正性の確保
属性情報取得
相手が申請してきた社会保障番号や住所などが 正しいかどうかを確認すること。 相手の社会保障番号などから属性情報(例えば 社会保障番号 & SSNVS、 信用情報機関、etc属性情報取得
クレジットヒストリー)などを取得しチェックするこ と。米国の番号に関する制度
米国の番号に関する制度は、実際には以下の3つから構成されている
「身元証明制度」に相当するもの:運転免許証
自分自身について、「どこの誰であり、今 必要なもの: 自分自身について、 どこの誰であり、今 存在している」ことを証明するための制度 必要なもの: 身元証明書「国民ID制度」に相当するもの:トラストフレームワーク
(電子政府が民間IDを受け入れるための仕組み) 電子政府へのアクセス手段・アクセス サイトを提供するための制度 必要なもの: ID・パスワード「社会保障・税番号制度」に相当するもの:SSN(社会保障番号)
社会保障 税行政を効率化し 必要なもの 社会保障・税行政を効率化し、 公平な負担と給付を実現するための制度 必要なもの: 名寄せのための番号本人確認の分類に合わせて「共通番号制度」を3つに分解
本人確認 制度 必要な番号 or ID 身元証明書の券面を管理 ①身元確認 身元証明書制度 身元証明書の券面を管理 する番号 (=身元証明書 の券面番号) ②当人確認 国民ID制度 電子政府にアクセスする ログインID (=民間企業 発行のIDを活用する) 国民ID制度 発行のIDを活用する) 電子政府のバックオフィス の名寄せの元になる番号 ③真正性の確保・ 属性情報の取得 国民ID制度 and 社会保障・税番号制度 の名寄せの元になる番号 (マイナンバー=「税・社会 保障の名寄せのための番 号」) 号」)現在の検討では、このような分解を行わず、
1つの制度・1つの番号としているため、問題が発生している
現在の検討の問題点
① プライバシーの安全性の問題
一つのIDにあらゆる情報を紐付けておいて、
つのIDにあらゆる情報を紐付けておいて、
国がきちんと運営するから大丈夫といえるのか?
② 大きすぎるシステムの問題
「番号」があればすべての問題が解決 という
石三鳥の
「番号」があればすべての問題が解決、という一石三鳥の
目論見は、仕組みの肥大化と多大な税金の無駄遣いをまねく
③ 非現実的なアクセス手段の問題(ガラパゴス化問題)
電子政府 の クセスをICカ ドに限定することは
電子政府へのアクセスをICカードに限定することは、
電子政府の普及の足かせになる
①プライバシーの安全性の問題
ID
と
個人情報
をどう紐付けるか…?
• サービスAID1
• サービスA • サービスBID
• サービスA • サービスB • サービスC サ ビスDID2
• サービスC • サービスD • サービスD • サービスE • サービスFID3
• サービスD • サービスEID3
• サ ビスE • サービスF ひとつのIDに全ての 情報を紐付けて 各IDには必要最小限の 情報のみ紐付けて 情報を紐付けて、 国が情報をコントロール 情報のみ紐付けて、 個人が情報をコントロール(参考)プライバシー保護、個人情報保護、セキュリティ確保
•
プライバシー保護、個人情報保護、セキュリティ確保は、実は別の概念
•
プライバシー保護の基本は
プライバシ 保護の基本は、
「自分の情報は自分がコントロールできること」
「自分の情報は自分がコントロ ルできること」
セキュリティ確保 他人から預かった情報を管理するために必要となる 個人情報保護 セキ リティ確保 管理するために必要となる セキュリティ確保 他人から預かった情報を 個人情報保護 ある一定のルールの下に きちんと管理すること プライバシー保護 個人の情報のコントロール 権は個人が持つ プライバシー保護という大枠の中に、 個人情報保護、セキュリティ確保が含まれる②大きすぎるシステムの問題
番号があれば…
消えた年金問題が解決できる!
電子政府が簡単に利用できるようになる!
所在不明高齢者問題が解決できる!
大災害発生時の支援が簡単になる!
実はいずれも「番号」は直接は関係ない
実はいずれも「番号」は直接は関係ない
番号があれば…
公平な負担と給付が実現できる!
行政コストが削減できる!
番号があれば
行政コストが削減できる!
民間企業が行政データを利用できる!
「番号
ふ
け 実現 き わけ
「番号」をふるだけで実現できるわけではない
③非現実的なアクセス手段の問題
国民全員にICカードを配ってそれをログインID
にすれば、
電子政府サービスの利用率は高まる!
=
イコール
電子政府サービスの利用率は高まる!
国民全員の身元確認を実施した上でICカードを配り、国民全員に
カードリーダーを買わせて、パソコンにドライバをインストールさせて、
買
、
さ
、
行政サイトにログインさせる
• ICカードでのログインは難しすぎ、面倒すぎて普及しない →例:e-Tax、昔のインターネットバンキング • 携帯、スマートフォンユーザーはどうする? • 年に数度しか使わない行政サービスために、わざわざ公的な電子証明書を取得する 時間や費用 手間を掛けるのか? 時間や費用、手間を掛けるのか? • 紙の申請では認印でいいのに、なぜ電子申請には公的な電子証明書が必要なのか?(参考)e-Taxの事例
電子化したら国民の 作業負担が逆に アクセス手段を ICカードに限定した 作業負担が逆に 重くなってしまった ICカ ドに限定した がために、普及の足 かせになっている プライバシー保護の システムコストが 膨らんだ① ICカード(住基カード)に公的な電子証明書を入れる
② ICカ ドを読み取るためのカ ドリ ダ を購入 パソコンに
プライ シ 保護の 視点からもよくない② ICカードを読み取るためのカードリーダーを購入、パソコンに
ドライバーをインストール
③ カードリーダーにICカードを差し込んでアクセスする
③ カ ドリ ダ にICカ ドを差し込んでアクセスする
④ インターネット画面で確定申告の入力を行う
(参考)e-Taxの事例
紙での確定申告は認印+郵送 電子での確定申告は公的な電子証明書 ICカード 公的な 電子証明書 電子証明書 ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・認 ・・・・・・・・・印 • 電子証明書は実印相当 • 3年に一度は役所に出向 矛盾 3年に 度は役所に出向 いて更新する必要あり • 簡単な認証手段で良いはずなのに 面倒なICカード+電子証明書を使わなくてはならない • 簡単な認証手段で良いはずなのに、面倒なICカード+電子証明書を使わなくてはならない • 紙での確定申告は役所に出向く必要がないのに、電子での確定申告では3年に1度役所 に出向かなければならない 国民ID制度の観点では各業務に必要なアクセス手段をきちんと考えなければならない「共通番号制度」の問題に対する解決策
①プライバシーの
安全性の問題
安全性の問題
これらの問題を
②大きすぎる
システムの問題
これらの問題を
解決するには?
③非現実的な
解決するには?
③非現実的な
アクセス手段の問題
(ガラパゴス化問題)
共通番号制度を3つに分解
身元証明書やデータベースを使って、 「自分がどこの誰であり、今存在して いる」ことを証明する 身元証明書 身元証明書 身元証明書制度 目的を明確にして、 3つに分解して制度設計 共通番号制度 社会保障 身元証明書 データベース 身元証明書 国民ID制度 社会保障・税 番号制度 3つに分解して制度設計 分野 税 社会保障 分野 国民ID制度 番号制度 簡便な 連携方式 自治体 その他政府 税 自治体 ICカ ド その他政府 機関(日本) 民間企業 (日本) ガラパゴスな 情報連携基盤 ICカードで ログイン その他政府 機関(日本) 民間企業 税・社会保障の名寄せを行い、 公平な負担と給付を実現する ICカード (日本) その他政府 機関(海外) 企業 民間企業 (日本) その他政府 機関(海外) 民間IDで ログイン 電子政府や民間企業のサービスに、普段 民間企業 (海外) 機関(海外) 民間企業 (海外) 電子政府や民間企業のサ ビスに、普段 使っている民間のIDを使ってログインし、 民間の仕組みを使って情報連携する“プライバシーの安全性の問題”の解決策
身元証明書 身元証明書 身元証明書制度 身元証明書 データベース 身元証明書 国民ID制度 社会保障・税 番号制度 社会保障 分野 国民ID制度 番号制度 番号は分野ごとに使い分け ( クト デ ) 情報連 税 自治体 業務要求レベル別に IDを使い分ける (セクトラルモデル)、情報連 携は税・社会保障の名寄せ のための基盤を通じて行う その他政府 機関(日本) 民間企業 ポ タルサイト ポ タルサイト 民間企業 (日本) その他政府 機関(海外) 民間IDで ログイン ポータルサイトの ID ポータルサイトの ID 携帯キャリアの ID 携帯キャリアの ID 機関(海外) 民間企業 (海外) インターネットバ ンキングのID インターネットバ ンキングのID ID ID“大きすぎるシステムの問題”の解決策
身元証明書 身元証明書 身元証明書制度 身元証明書 データベース 身元証明書 国民ID制度 社会保障・税 番号制度 社会保障 分野 国民ID制度 番号制度 民間のオープンな仕組み、 国際標準準拠の仕組みを ここのみを税金で 小さく開発 税 自治体 採用し、コストを削減 小さく開発 その他政府 機関(日本) 民間企業 ポ タルサイト ポ タルサイト 民間企業 (日本) その他政府 機関(海外) 民間IDで ログイン ポータルサイトの ID ポータルサイトの ID 携帯キャリアの ID 携帯キャリアの ID 機関(海外) 民間企業 (海外) インターネットバ ンキングのID インターネットバ ンキングのID ID ID“非現実的なアクセス手段の問題(ガラパゴス化問題)”
の解決策
の解決策
身元証明書 身元証明書 身元証明書制度 身元証明書 データベース 身元証明書 国民ID制度 社会保障・税 番号制度 社会保障 分野 国民ID制度 番号制度 国民が普段利用している 民間企業の発行するIDで 税 自治体 民間企業の発行するIDで アクセス ポ タルサイト ポ タルサイト その他政府 機関(日本) 民間企業 ポータルサイトの ID ポータルサイトの ID 携帯キャリアの ID 携帯キャリアの ID 民間企業 (日本) その他政府 機関(海外) 民間IDで ログイン 国際標準に準拠した トラストフレームワークを インターネットバ ンキングのID インターネットバ ンキングのID ID ID 機関(海外) 民間企業 (海外) トラストフレ ムワ クを 使ってガラパゴス回避(参考)トラストフレームワークとは?
米国では国家戦略に基づき、
トラストフレームワーク(OITF)
という枠組みを
採用し、民間IDを使った電子政府利用を実現しようとしている
ポリシーメーカー
OITF
Open Identity Trust Framework