• 検索結果がありません。

スライド 1

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "スライド 1"

Copied!
51
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Ⅰ.福島第一原子力発電所事故について

Ⅱ.放射性物質の人体へ及ぼす影響

Ⅲ.食品を介した放射性物質の人体への影響

Ⅳ.食品の暫定規制値・新基準値

放射性物質の健康への

影響

リスクコミュニケーション用科学情報

[その1] 【改訂版】

2014年5月5日改訂 本資料を利用される場合には、内容を改変しないで、使っていただくようお願いします。 ※ 資料は、各頁の上段(または1頁)が図解や表、下段(または次頁)がその説明文です。 リスクコ ミュニケーションのためのグループディスカッションや勉強会に使えるようにつくっています。 「その1」をもとにディスカッションをしたときに、さまざまな疑問点がでてくるものと思います。「そ の2」は、それらの疑問点に応えるものとして用意しました。「その1」「その2」を使って、2回連 続のディスカッションをすることをお勧めします。 説明文は、声を出して読むと約30分で読めます。 まず、参加者には上段の図表を見てもらいな がら、 コミュニケーターが説明文を読みます。その後、参加者同士でディスカッションをして、い ろいろな角度からこの科学情報の内容を吟味し、それぞれの受け止めを進めて下さい。受け止

(2)

■ 事故の概要 2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震の発生とともに、女川原子力発電所 の3機、福島第一原子力発電所の3機、福島第二原子力発電所の4機に制御 棒が挿入され、核分裂反応が停止しました。福島第一の4,5,6号機は定期点 検中で停止していました。 原子炉は自動停止の後、冷却水を循環させて核分裂生成物の崩壊によって発 生する熱をとり、冷温停止にする必要があります。福島第一原発では、地震に よって送電線からの交流電源が遮断されましたが、非常用電源とバッテリーに よって1時間ほどは非常用の冷却水による炉心の冷却が行われました。しかし 約1時間後にタービン建屋内の非常用電源(ディーゼル発電機),配電受電盤 が津波によって水没し、全交流電源が利用できなくなり、冷却機能が失われま した。ここに、今回の事故の原因があるといえます。

Ⅰ. 福島第一原子力発電所

事故について

■ 原子炉の仕組み ウラン235に(運動エネルギーの低い低速の)中性子をあてると、核分裂を起こ して中性子を数個発生し、エネルギーが発生します(図1)。 原子炉では濃縮されたウラン235を燃料として、中性子のバランスをとりながら 持続的に核分裂させ、発生した熱エネルギーを用いて水を高温高圧の蒸気に転 換し、それによりタービンを回転させて発電をしています。 図1 ウラン235の核分裂

(3)

原子炉の構造は、 ・ ジルコニウム合金の被覆管に覆われたウラン燃料、 ・ 中性子を(核分裂を起こしやすくするため)減速する水(軽水)、 ・ 中性子の数を制御するための制御棒、 ・ それらが外部に放出しないよう隔離する鋼鉄製の圧力容器、 ・ その外側を囲む鋼鉄とコンクリートでできた格納容器、 ・ これらを収納する原子炉建屋 からなります(図2)。 図2 原子炉の構造 出所:毎日新聞社(http://mainichi.jp/iPhone/select/news/20110407k0000e040089000c.html) 原子炉建屋 ■ 自動停止後の冷却の必要性

(4)

■ 水素爆発に至る経緯 圧力容器の圧力を下げるときは、通常、水を蓄えた圧力抑制室に蒸気を放出して、蒸気を 冷却し、凝縮して水にします。この水も、海水を循環した熱交換器で冷却される必要がありま す。しかし福島第一原発では、全交流電源が失われ、海水循環ができなくなったため、非常 用復水器を使って凝縮水を循環することもできなくなりました。 そのため、圧力容器内の水位が低下、むき出しになった燃料棒やチャンネルボックス(燃料 を収める金属製の箱)のジルコニウム合金と高温の水蒸気が反応して、大量の水素が発生 しました。また、格納容器の圧力・温度が上昇し、格納容器フリンジ部(管と管のつなぎめ) シールなどが損傷しました。さらに、発生した水素が原子炉建屋上部にたまり、空気中の酸 素と反応して、建屋内で爆発しました(1号機)。 これによって2号機、3号機で準備していた炉心注水が大きく遅れました。2号機、3号機では、 炉心で発生した水蒸気を使って冷却水の注入系を動かしていましたが、1~2日後には注水 ができなくなり、炉心溶融に至りました。 3号機でも水素爆発が発生しました。2号機では、格納容器の圧力抑制プール付近で衝撃 音が発生したといわれています。これが水素爆発なのかどうかはまだ明らかではありません。 4号機では、全ての燃料棒が原子炉建屋内の燃料プールに移されており、圧力容器内には 燃料棒がない状態でした。4号機の建屋上部の水素爆発は、隣の3号機で発生した水素が排 気塔から回り込んだために発生しましたが、燃料プール内の使用済み燃料は比較的健全な ようです。なお、1号機、3号機の水素爆発と格納容器のベント(バルブをあけて格納容器内 の蒸気を原子炉建屋に放出すること)との関係はまだ十分に明らかになっていません. ■ 炉心溶融について 1号機ではベントの後、消火用のラインや消防車、コンクリートポンプなどで海水を注入して 冷却しましたが、ベントを行った12日の10時過ぎにはすでに大部分の炉心が溶融し、圧力容 器の底に落下していた模様です。なお、原子炉には中性子をよく吸収するホウ酸を混ぜた海 水を注入したので、制御棒が燃料とともに溶融していても、核分裂が起こることはほとんどあ りません。2号機、3号機も同様の経過を辿ったようです。炉心溶融(メルトダウン)にまで至っ たのは、圧力容器の減圧と格納容器ベント操作によって早々に消火ラインなどから真水や海 水を注入すべきところ,対応が大幅に遅れたことによるものと考えられます。 ■ 現在の状況 現在では、いずれの原子炉も冷温停止状態にあります。炉心冷却に注入された真水や海 水などの汚染された滞留水は、循環冷却システム(濾過装置や熱交換器からなる)を通じて 冷却水として再利用されるとともに、滞留水の減量をはかっています。 また地下水の汚染および地下水経由の海洋への汚染拡大防止策もとられ、現在では付近 の海水の汚染もほとんどない状態になっています。 新たな放射性物質の放出防止のために、覆いも設置され、ごく最近、4号機の燃料プール から未使用燃料が1体、試験的に取りだされました。

(5)

Ⅱ.放射性物質の人体へ及ぼす影響

日常生活のなかの放射線

5頁からは、放射性物質とその人体へ及ぼす影響について みていきます。

(6)

呼吸から(ラドン ガス等吸入) 自然放射線の年間平均は2.4mSv/y (1-10 mSv/y) mSv=ミリシーベルト,1ミリシーベルト=1,000マイクロシーベルト UNSCEAR(放射線の影響に関する国連科学委員会)2000より:世界平均 わたしたちは、宇宙・大地・食べ物・呼吸を通して、放射線を 受けています。一年間に、これら自然界から受ける放射線量は、 世界平均で、2.4mSv(ミリシーベルト)となります。 ※Sv(シーベルト):放射線を浴びたときの人体への影響等を表す単位

(7)

私たちの身体にも放射性物質

このうち、食べ物から受ける放射線は、主にカリウム40に由来 します。放射性物質であるカリウム40は、例えば食パン1kgに 30Bq(ベクレル)、ほうれん草1kgに200Bq含まれます。体重 60kgの日本人の場合、カリウム40が、4,000Bq体内にあります。 ※Bq(ベクレル):放射能の強さを表す単位

(8)

Bq(ベクレル):放射能の強さを表す単位

カリウム40以外にも、炭素14、ルビジウム87、鉛・ポロ二ウム などの放射性物質が体内にあります。炭素14は半減期を利用し て、骨などから考古学の年代測定等に利用されています。

(9)

世界には、自然放射線の高い地域があります。トリウムを含む 砂により、放射線の高い地域が中国やインド、ブラジルにあり、 イランのラムサールでは、温泉の噴出によるラジウムから、一 年間に平均10.2mSvの放射線量を受けています。これらの地域 で特に重篤な健康被害は報告されていません。

(10)

日本国内では、宇宙・大地からの放射線と食物摂取により、 一年間に平均0.99mSvの放射線をうけています。呼吸による 吸入は除いた数値です。中央アルプスの辺りで線量が高い のは、岩盤に含まれている鉱物が要因になっています。

(11)

病気の検査や診断で受ける放射線の量はどれくらいでしょうか。 一回の検査で、バリウムを使った胃のX線撮影では3.3mSvの 放射線量を受けることになります。ただこの場合は、体内異常 の有無や病状の変化などの情報を得られ、利益を受けることが できます。

(12)
(13)

放射線の種類

電離 放射線 電荷を持った 粒子線 電荷を持たない 粒子線 (原子炉、加速器、アイソ トープ等を利用して作られる) X線 (原子核の外で発生) ガンマ線 (原子核から出る) (原子核から飛び出る電子) ベータ線 電磁波 電子線 (加速器で作られる) アルファ線 (電子核から出るヘリウム の原子核) (加速器で作られる) 陽子線 (加速器で作られる) 重粒子線 中性子線 放射線の種類には、電磁波と粒子線とがあり、粒子線には電荷を 持ったものと、持たないものがあります。 このなかで、原子核からでる放射線として、ガンマ線、ベータ線、 アルファ線があります。ガンマ線は電磁波、ベータ線とアルファ線 は粒子線です。

(14)

「自然の放射線」と「人工の放射線」に違いはある?

天然の放射性物質から出る放射線でも、原子力施設などで人工的に 生成される放射性物質から出る放射線でも、同じ放射線の種類、エ ネルギ-、線量であれば性質も影響も同じです 食品中に含まれ、体内にも含まれる天然の放射性カリウムも、人工 的に作られる放射性セシウムも、どちらもベータ線、ガンマ線をだしま す。 ベータ線 セシウム 137 ガンマ線 バリウム 137 中性子82 陽子55 バリウム 137m (94.6%) 天然の放射性物質から出る放射線でも、原子力施設などで人工的に生 成される放射性物質から出る放射線でも、同じ放射線の種類、エネル ギー、線量であれば性質も影響も同じです。食品中に含まれ、体内に も含まれる天然の放射性カリウムも、人工的に生成された放射性セシ ウムも、どちらもベータ線、ガンマ線を放出します。 詳しくみると、上の絵のような崩壊を起こし、放射線を放出します。 放射性カリウムは、全体のおよそ89%が、ベータ崩壊によりベータ線を 出して安定した放射性カルシウムに変化し、およそ11%は、電子を捕獲 し、ガンマ線を出して放射性アルゴンに変化します。 放射性セシウムは、全体のおよそ95%が、ベータ崩壊によりベータ線 を出してバリウム137mになり、さらにガンマ線を出して安定したバリ ウム137に変化します。およそ5%は、ベータ崩壊により安定したバリウ ム137に変化します。 ベータ線 (5.4%) ベータ線 (89.3%) カリウム 40 ガンマ線 (10.7%) カルシウム 40 中性子21 陽子19 軌道電子を捕獲 中性子20 陽子20 アルゴン 40 中性子22 陽子18 中性子81 陽子56

(15)

・プルトニウム(Pu)239、240 ・ストロンチウム(Sr) 89、90 カリウム(K) 40 セシウム(Cs) 134、137 ヨウ素(I)129、131 ・カリウム(K) 40 セシウム(Cs) 134、137 ヨウ素(I)129、131

放射線の透過性

上の絵は、人の体の組織の放射線透過性をあわらしています。 アルファ線は、人に照射しても体組織の内はマイクロメート ル(1/1000mm)程度しか透過しません。ベータ線は、皮膚 についたときにはやけどの可能性があります。ガンマ線は、 透過性が非常に高く、組織の内部まで透過するため、医療に 適用されています。セシウム・ヨウ素はガンマ線を出します。

(16)

上の図は、原子核から放出される、アルファ線・ベータ線・ガンマ 線が物質を透過する力を示しています。ガンマ線は透過力が非常に 大きく、鉄、鉛、コンクリートも1cm以下では一割未満しか放射線 を防ぐことができず、1cm以上でようやく防ぐことができます。

(17)

Bq(ベクレル): 放射性物質がもつ放射能を表す単位 1秒間に、1つの原子核が崩壊して、放射線を放出することが 期待される能力=1Bq 放射線: 空間を伝わる高速のエネルギーの流れ 放射能: 放射性物質の放射線を出す能力

用語と単位

Sv(シーベルト): 放射線を浴びたときの人体への影響を表す単位  吸収するエネルギーは同じでも、放射線の種類に よって、人体への影響力が異なる ベータ線、ガンマ線は、 1Gy=1Sv (吸収するエネルギーの単位量と影響の単位量が同じ) アルファ線は、1Gy=20Sv 臓器や組織が吸収した線 量に対し、放射線の種類 ごとに影響の大きさを重み付けしたもの → 「等価線量」 等価線量(Sv)=吸収線量(Gy)×放射線荷重係数 (放射線荷重係数は、放射線の種類やエネルギーの大きさによる生物 学的効果の違いを補正するもの)  人体の組織によっても、影響は異なる  個々の臓器への影響の大きさを重み付けし、全身 Gy(グレイ): 放射線を浴びたときに、物体に吸収されるエネルギー を表す単位 (吸収線量) 1Gy=1 J(ジュール)/1kg 放射線 原子核が崩壊して放射線を放出する能力 放射線をあびたときに、物体に吸収されるエネルギー ベータ線、ガンマ線 アルファ線 1Gy=1Sv 1Gy=20Sv 吸収エネルギーは同じでも、放射線の種類によって影響が 異なる ↓ 放射線の種類に関係なく、影響をとらえる:「等価線量」 放射線 放射線を浴びたときの人体への影響をあらわす

(18)

放射線の人体への影響

(19)

被ばくの種類

外部被ばく

汚染

人の体表面や体内には放射 性物質がなく、その人から被 ばくすることはありません 放射性物質が身体に付着するか(体表面汚染)、体内に摂 取(内部被ばく) 人の被ばくは、「外部被ばく」と「汚染」に大別されます。 「外部被ばく」とは、放射線を離れたところから浴びた場合で す。体表面や体内に放射線物質はなく、被ばくした人から被ば くすることはありません。 放射性物質が身体に付着したり、体内に摂取した場合を「汚 染」といいます。体に付着した場合を「体表面汚染」、体内に 摂取した場合を「内部被ばく」といいます。食品を介した放射

(20)

確定的影響

or

確率的影響

放射線の人体への影響

影響の現れ方 影響が誰に現れるか 放射線を受けて影響が現れるまでの期間の長さ

身体的影響

(本人のみ)

or

遺伝的影響

(子孫に現れる)

急性障害

or

晩発性障害

放射線の人体への影響は、影響の現れ方からみて、確定的影響と 確率的影響があり、影響が誰に現れるかからみると、本人のみに 現れる身体的影響と子孫に現れる遺伝的影響があります。また、 放射線を受けて影響が現れるまでの期間の長さは、短時間に高い 線量を受けた場合、数週間以内にあらわれる急性障害と、かなり 長い期間を経て現れる晩発性障害にわけられます。

(21)

上の図は、放射線の人体への影響が、誰にどのように現れるかの 関係を示したものです。本人だけに現れる、急性障害の脱毛など は、確定的影響として現れます。晩発性障害のがんや、子孫に現 れる遺伝病などは、確率的影響として現れるものです。なお、遺 伝病は、長崎・広島の原爆被爆者の二世調査には見受けられず、 人では観察されていません。

(22)

放射線によるDNAの破壊と修復等

DNA損傷 不完全修復 修復完了 確率的影響 →がんの発生につながる可能性が高 まる。可能性は確率的に起こる 確定的影響 DNA障害 細胞死 細胞 2,500~5,000倍 放射線 DNA 遺伝情報をつかさどる細胞 内の物質。この情報をもと に新しい細胞がつくられる DNAが修復されず殆どが 細胞死。 細胞死が非常に多い場合 ここでは、放射線が人体に及ぼす影響について、そのメカニズムを DNAレベルでもう一度、説明します。DNAは遺伝情報をつかさどる 細胞内の物質です。DNAの情報をもとに新しい細胞がつくられます。 大量の放射線を浴びた場合、DNAが損傷し、また細胞機能等が失わ れ、細胞死に至り、症状が身体的に現れます。 他方、DNAは元々、修復機能をもっており、細胞死する以外に、少 量の放射線を浴びた場合等には、DNAの修復機能が働き、損傷部分 を修復し、元に戻ります。ところが、この修復が不完全に行われた 場合、DNA障害を引き起こします。このように不完全修復された DNAが発ガンの要因となります。その影響は確率的に現れます。こ れが確率的影響です。

(23)

し き い 値 影 響 の 起 こ る 確 率

放射線の人体への影響

~影響の現れ方~

確定的影響

確率的影響

影 響 の 起 こ る 確 率 線量 リスク管理レベル 規制線量 線量 影響の大きさは、浴びた放射線の量による 他の危害因子と同じように、放射線の人体への影響は、曝された放 射線の量によって決まります。 放射線については、これまでのスライドでみたように、身体への影 響の内容と影響のあらわれる仕組みによって、この放射線の量と影 響のあらわれる確率の高さとの関係には違いがあります。 図に示したように、「確定的影響」とは、人体への影響に対してあ る一定のしきい値があり、それ以下では健康影響が出る可能性がな いことを意味します。 他方、しきい値が存在しない場合を、「確率的影響」とよんでいま

(24)

しきい値(閾値)

出典:独立行政法人放射線医学総合研究所[編著](2007)『虎の巻 低線量放射線と健康影 響』医療科学社、およびICRP Publication 103, 2007

※放射線の確定的影響の場合

→1%の人々に影響を生ずる線量をしきい線量としている

しきい値とは

ある作用因子が生体反応[臨床的に明らかな病的状態]

を引き起こす限界を閾(しきい)と呼び、この限界の値をし

きい値という。

この限界値より低い強度の作用因子では、対象とする生

体反応は発生しない。

ある作用因子が生体反応、すなわち臨床的に明らかな病的状態を引 き起こす限界をしきいと呼び、この限界の値をしきい値といいます。 この限界値よりも低い強度の作用因子では、対象とする生体反応は発 生しません。 放射線の確定的影響では、1%の人に影響が生じる線量をしきい値と しています。

(25)

影響 器官/組織 発症までの 期間 受けた線量 (GY)e (β,γ線:GY=Sv) 罹患率: 1%の人に生じる 一時的な不妊 精巣 3-9週間 ~0.1a,b=100mSv 永久不妊 精巣 3週間 ~6a,b 永久不妊 卵巣 <1週間 ~3a,b 造血能低下 骨髄 3-7日間 ~0.5a,b 皮膚の発赤 皮膚(広範囲) 1-4週間 <3-6b 放射線熱傷 皮膚(広範囲) 2-3週間 5-10b 一時的な脱毛 皮膚 2-3週間 ~4b 白内障(視力障害) 水晶体 数年 ~1.5a,c

放射線の確定的影響のしきい値の推定値

a ICRP(1984) b UNSCEAR(1988)

c Edwards and L loyd(1996) d Scott and Hahn(1989),Scott(1993) e Most values rounded to the nearest Gy; ranges indeicate area dependence for skin and differing medical support for bone marrow

表には放射線の確定的影響のしきい値の推定値をまとめています。 身体への影響の種類毎に、しきい値、つまりどれくらいの線量を 受けるとその影響があらわれるか、が示されています。線量はGy (グレイ)で表されていますが、ベータ線、ガンマ線は、1Gy= 1Svであるので、このデータからは、最も低い線量で0.1Gy(グレ イ)、つまり100mSvであり、それ以下では特に問題となる症状 は発症していないと報告されています。

(26)

100%

放射線による人体への確定的影響

影 響 の 現 れ る 確 率 放射線量 100mSv (しきい線量) 100mSv以下では影響が現れない 0 以上の知見から、造血機能の低下、皮膚の紅斑、脱毛などの急性 障害や白内障には、しきい値が存在すると考えられ、しきい線量 を100mSvに設定しています。これ以下では、急性障害や白内障の ような影響は表れません。

(27)

放射線による確率的影響

影 響 の 現 れ る 確 率 放射線量 100mSv

この部分は線量-効果関係

が実証されていない

少量の放射線を浴びた場合、浴びた線量に応じて影響の現れる 可能性が増加します。浴びた線量が多くなると、影響の現れる 確率も高くなり、線量が少ないと確率は低くなります。しかし、 100mSv以下の線量については、線量と影響の関係が科学的に 実証されていません。現在は、安全をみて、規制線量を低いと ころに設けています。 規制値 規制値は、ICRP2007年勧告により、以下のように示されています。 • 緊急被ばく状況について

1年程度の期間の線量として20-100mSvの範囲 で定める

(28)

放射線によるがんの増加

放射線量

0 2mSv 10mSv 100mSv 200mSv 放射線の影響による 死亡率の増加分 30.1% 死亡率は 30.1+0.5% 我が国の悪性新生物による死亡は、死因の30.1%(平成21年(2009)人口動態統計(確定数)) =死亡者1000人中301人が悪性新生物で死亡 我が国の がんによる死亡率 100mSv以下の低線量では、 がんの発生確率の増加は確 認されていない 死亡率は 30.1+0.01% 30.6% 31.1% 死亡率は 30.1+0.05% 死亡率は 30.1+1% :がんによる死亡者 :死亡者 :放射線の影響による死亡者 明らかな有意差 は見られず 上の図に示すように、わが国では死亡者に占めるがん死亡者は30.1% です。放射線量とがんによる死亡率については、年間で100mSv以上 の放射線を浴びた場合には、がんの死亡率が直線的に増加すること が分かっており、100mSvでは0.5%、200mSvでは1%増加します。 100mSvより低い線量では、がんの発生確率の増加は確認されていま せんが、100mSv以下でも死亡率が直線的に増加すると仮定した場合 には、放射線の影響によるがんの死亡率は、10mSvでは0.05%、 2mSvでは0.01%増加すると推定されます。しかし、それらについて、 統計的に有意な差(調査対象となった集団の間で統計的にみて意味 のある差)は見られません。

(29)

100mSvの被ばくによるがん死亡率の増加

我が国の悪性新生物による死亡は、死因の30.1%

(平成21年(2009)人口動態統計(確定数))

=死亡者1000人中301人が悪性新生物で死亡

100mSvの被ばくで「悪性新生物による死亡率が0.5%増加」

=死亡者1000人につき悪性新生物による死亡が5人増加

死亡者1000人中301+5=306人が悪性新生物で死亡

これは、実人数であらわしてみたものです。がんによる死亡が死因 の30.1%を占めるということは、死亡者1000人中301人ががんで死 亡しているということです。前ページの100mSvの被ばくで「がん による死亡率が0.5%増加」ということは、100mSv被ばくするとが んによる死亡が5人増加し、死亡者1000人中301人に1人加えた306 人ががんで死亡するということです。

(30)

喫煙する男性: がん死亡率は30%増加して60% 1000人のうち、600人がんにより死亡 たばこの影響で300人増加

100mSvの被ばくによるがん死亡率の増加

我が国のがんによる 死亡率は30.1% 1000人のうち 301人がんにより死亡 (平成21年人口動態統計(確定数)) (国際放射線防護委員会(ICRP)) (国立がん研究センターがん対策情報センター) 100mSvの放射線を被ばくした人: 死亡率は0.5%増加して30.6% 1000人のうち、306人がんにより死亡 (100mSvの放射線の影響で5人増加) わが国のがんによる死亡率は30.1%です。これは、1000人中、301 人ががんにより死亡することになります。 喫煙する男性では、タバコの影響により、がん死亡率は30%増加し て、60%となり、1000人中600人ががんにより死亡します。 一方で、100mSvの放射線を被ばくした人では、放射線の影響によ り、死亡率は0.5%増加して、30.6%となり、1000人中306人ががん により死亡するという計算になります。

(31)

Ⅲ.食品を介した放射性物質の人体への影響

飲食物中の放射性物質

食品を介した放射性物質の人体への影響と、その規制基準 について説明します。

(32)

体内に取り込まれた放射性物質の半減期

ヨウ素 7.2日 セシウム 69.5日~99.0日 ヨウ素131 8日 セシウム137 30年 ヨウ素131 80日(甲状腺) セシウム137 70-100日 放射性物質(核種)は、崩壊によって、放射線を出す能力(放射 能)が時間とともに減少していきます。この放射能が半分になるま での時間を、物理的半減期といいます。 ヨウ素-131は8日間、セシウム-137は30年ということがわかってい ます。また、体内に入った放射性物質は排泄により減っていきます。 半分の量になる時間を生物学的半減期といいます。 ヨウ素-131は甲状腺で80日間、セシウム-137は70-100日ということ がわかっています。体内に取りこまれた放射性物質の減少時間は、 その両方をあわせた実効半減期となります。

(33)

0 20 40 60 80 100 0 100 200 300 400 0 20 40 60 80 100 0 100 200 300 400

ヨウ素

(半減期約7日)

セシウム

(半減期約70日) (%) (%) (日) (日) 100Bq 50Bq 1週間(7日)後 ≈0Bq 3ヶ月後 100Bq 50Bq 約2ヶ月後 6.25Bq 6ヶ月後

実効半減期による放射性物質の変化

その変化をグラフで表わしたものが、上の二つの図です。 例えば、ヨウ素の場合、100Bq摂取したとしても、1週間後に50Bq になり、3ヶ月後ではほぼ0に近い値になります。セシウムの場合 は、100Bq摂取した約2ヶ月後には50Bqになり、6ヶ月後には 6.25Bqとなります。

(34)

飲食物からの線量評価

摂取した 飲食物の量 kg 飲食物1kgあたりの 放射性物質の量 (放射線を放出する量) Bq/kg × 実効線量係数mSv/Bq (※) 預託実効線量 mSv × 摂取した放 射性物質 から将来に わたって受 ける放射線 の総量 食品中の放射性物質の規制値の算定では… 預託実効線量が規制値に収まるように、どの程度の放射性物質の量におさ えることが必要かを算出 許容値 (暫定24頁) (新27頁) 平均摂取量 (23頁上) 実効線量係数 (23頁下) × ? ←算出して求める × ※意味の説明は12頁 飲食物から受ける放射線量は、摂取した飲食物の量に、飲食物1kgあ たりの放射性物質の量をかけ、さらに「実効線量係数」をかけること によって計算できます。算出された「預託実効線量」は、摂取した放 射性物質から将来にわたって受ける放射線の総量にあたります。 「実効線量係数」は、放射性物質を1Bq摂取した場合に、摂取した 放射性物質の量とそれによってどれだけの被ばく線量になるかの関係 を表す係数です。放射性物質の種類ごと、年齢ごと、摂取経路ごとに この係数は異なります。18頁に説明しています。 食品の放射性物質の規制値は、これとは逆の順序で算出することにな ります。実効線量が許容値に収まるように、日常の飲食物の摂取量を 考慮して、飲食物1kgあたりどの程度の放射性物質の量に抑えること が必要か算出されます。それぞれの数値は、図に示した頁で説明して います。

(35)

内部被ばくの計算(預託実効線量)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 実 際 に 受 け る 線 量 (年) 49 50 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (年) 49 50 x50 Y50 1年目に摂取した放射性物 質による内部被ばく 2年目に摂取した放射性物 質による内部被ばく 摂取した放射性物質によ り、将来にわたって受ける 線量を積算:預託実効線量 (成人は50年分、乳児や幼 児は70歳になるまでの期間 に受ける線量を積算) 内部被ばく線量の計算 (基準値設定など)では… その年に(一回に)摂取し た放射性物質から将来に z50 3年目に摂取した放射性物 質による内部被ばく

実際に受ける線量

内部被ばくの計算

0 1 2 3 4 ・・・ + + + + ・ ・ ・ + x1 x2 x3 x4 x50 体内にたまった放射性物質からうける線量は、どのように計算で きるの? 来年の内部被ばくの線量を計算するときには、たまった放射性物 質と、新たに摂る放射性物質の両方を計算することになるの? x1 x2 x3 x4 Y1 Y2 Y3 Y4 z1 z2 z3 z4 + + + ・ ・ ・ + Y1 Y2 Y3 Y4 Y50 + + + + ・ ・ ・ + z1 z2 z3 z4 z50

(36)

36頁において、「預託実効線量」について、さらに詳しく説明 します。 内部被ばく線量を計算するとき、体内にたまった放射性物質か ら受ける線量は、どのように計算されるのでしょうか。来年の 内部被ばく線量の計算では、今年までに蓄積された放射性物質 と、新たに摂る放射性物質の両方を計算することになるので しょうか。 1年目に摂取した放射性物質から向こう50年間受ける放射線量 は、36頁の左上の右下がりの図のように示すことができ、2年 目、3年目の摂取分から受ける線量も、それぞれ2つ目、3つ目 の右下がりの図のように示すことができます。そして1年目、2 年目、3年目に実際に受ける総量は、それらを縦に足し合わせ たものであり、図の点線で縦に囲った部分になります。 しかし、1年間の内部被ばくの線量を計算するときには、摂取 した放射性物質により将来にわたって受ける線量、すなわち成 人は50年分、乳幼児は70歳になるまでの期間に受ける線量を 積算した総量、「預託実効線量」を算出します。 すなわち、内部被ばく線量の計算では、右上の図のように、そ の年に摂取した放射性物質から将来にわたって受ける放射線の 総量を、初めの1年間ですべて受けると仮定して計算している ということになります。

(37)

上のように、飲食物の摂取量は、厚生労働省の国民栄養調査等 を用いて、成人・幼児・乳児それぞれの年齢層一日当たりの量 を計算することができます。

(38)

経口摂取量あたりの実効線量係数

成人 幼児(5歳) 乳児 89Sr (実効線量) 2.6×10-6 8.9×10-6 3.6×10-5 90Sr ( 〃 ) 2.8×10-5 4.7×10-5 2.3×10-4 132Te (甲状腺等価線量) 2.9×10-5 1.6×10-4 6.2×10-4 131I ( 〃 ) 4.3×10-4 2.1×10-3 3.7×10-3 132I ( 〃 ) 3.4×10-6 1.9×10-5 4.0×10-5 133I ( 〃 ) 8.3×10-5 4.6×10-4 9.8×10-6 134I ( 〃 ) 5.5×10-7 3.1×10-6 6.5×10-6 135I ( 〃 ) 1.6×10-5 8.9×10-5 1.9×10-6 134Cs (実効線量) 1.9×10-5 1.3×10-5 2.6×10-5 137Cs ( 〃 ) 1.4×10-5 9.7×10-6 2.1×10-5 238Pu ( 〃 ) 2.3×10-4 3.1×10-4 4.0×10-5 239Pu ( 〃 ) 2.5×10-4 3.3×10-4 4.2×10-3 240Pu ( 〃 ) 2.5×10-4 3.3×10-4 4.2×10-3 241Pu ( 〃 ) 4.8×10-6 5.5×10-6 5.7×10-5 241Am ( 〃 ) 2.1×10-4 2.8×10-4 3.7×10-3 下線 の数値は132Iでの比から近似 10-5 =1/1000,000 1.4×10-5 1.4/1000,000 実効線量係数は、成人、幼児、乳児によって異なっており、表 はその一覧です。数字の読み方を説明しますと、セシウム-137 の実効線量係数は、成人の場合1.4×10-5mSv/Bqとあります。こ の10-5とは、1/100,000のことです。したがって、1.4×10 -5mSv/Bqは、1Bqのセシウム-137を食べると、1.4/100,000 mSvの被ばくをするという意味を表しています。

(39)

暫定規制値

(40)

放射性物質を含む食品の摂取による

人体への影響に関する基準

放射性セシウム⇒ 5mSv/ y(実効線量)

•自然環境下においても 10mSv 程度の暴露が認められている地

域が存在。10~20mSvまでなら特段の健康影響は考えられない

ことから、食品由来の放射線曝露を防ぐ上でかなり安全側に立

ち、年間 5mSv と評価

放射性ヨウ素⇒50mSv/y(甲状腺等価線量)

2mSv/y(実効線量)

•1988年に、WHOは、甲状腺照射後の非致死性がんの発生や、

ヨウ素131が潜在的に甲状腺だけに照射する能力から、甲状腺

等価線量として50mSv という制限値を取ることとしたとの見解

*食品安全委員会「放射性物質に関する緊急とりまとめ」から抜粋 放射性セシウムについては、実効線量を年間5mSvとしています。 これは自然環境下においても、10mSv程度の曝露が認められている 地域が存在し、10~20mSvまでなら特段の健康の影響は考えられ ないことから、食品由来の放射線曝露を防ぐ上でかなり安全側にた ち、年間5mSvと評価しています。 放射線ヨウ素については、甲状腺等価線量を年間50mSv、実効線量 を年間20mSvとしています。これは、1988年にWHOが甲状腺照射 後の非致死性がんの発生や、ヨウ素131が潜在的に甲状腺だけに照 射する能力から、甲状腺等価線量として50mSvという制限値を取る こととしたことを参考に評価しています。

(41)

食品衛生法の暫定規制値

核種 食品衛生法(昭和22年法律第233号)の規定に基づく食品中の 放射性物質に関する暫定規制値(Bq×kg) 放射性ヨウ素 飲料水 300 牛乳・乳製品 注) 野菜類(根菜、芋類を除く) 2,000 魚介類 放射性セシウム 飲料水 200 牛乳・乳製品 野菜類 500 穀類 肉・卵・魚・その他 ウラン 乳幼児用食品 20 飲料水 牛乳・乳製品 野菜類 100 穀類 肉・卵・魚・その他 プルトニウム及び 超ウラン元素のア ルファ核種 乳幼児用食品 1 飲料水 牛乳・乳製品 野菜類 10 穀類 肉・卵・魚・その他 注)100Bq/kgを超えるものは、乳児用調整粉及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導すること。 以上をもとに算定されたのが、上の厚生労働省から出された 暫定規制値です。

(42)

新基準値

(43)

一年間にうける放射線量

100mSv/y 機能障害を 示さないとされる値 5.5mSv/y ブラジル(ガラパリ)において 自然から受ける平均放射線量 0.99mSv/y 日本人が自然から受ける平均放射線量 暫定規制値における放射性物 質を含む食品の摂取による人 体への影響に関する基準 (放射性セシウム) 5mSv/y 2mSv/y

欧州の定期航空パイロットが受ける 平均放射線量 (国際放射線防護委員会) 新基準値に放射性物質を含む食 品の摂取による人体への影響に 関する基準(核種全体) 1mSv/y 図には、1年間にうける放射線量を示しています。 わたしたちは、 どの程度の放射線量を受けているのかを考えてみましょう。 まず、日本人は自然から0.99mSvの放射線量をうけています。ブ ラジルのガラパリでは、もっと高い5.5mSv自然放射線量を受けて 生活しています。 欧州の定期航空パイロットの年間放射線量は 2mSvです。 現在、国際放射線防護委員会は、1年間にうける放射線量が 100mSvを超えなければ、医学的に意味のある機能障害を示さない としています。

(44)

新基準値内容

放射線セシウムに関して新基準値を平成24年4月施行。一部品目につい ては経過措置を適用 食品群 規制値 飲料水 200 牛乳・乳製品 200 野菜類 500 穀類 肉・卵・魚・その他 食品群 基準値 飲料水 10 牛乳・乳製品 50 一般食品 100 乳児用食品 50 ○放射性セシウム注1の暫定規制値注2 ○放射性セシウムの新基準値注3 注2 放射性ストロンチウムを含め値を設定 注3 放射性ストロンチウム、プルトニウム等 を含めて基準値を設定 (単位:Bq/kg) 注1 放射性ヨウ素、プルトニウム、ウラン、超 ウランについても暫定規制値を設定 上に示したように、放射性セシウムに関して新基準値が平成24年4月 に施行されました。 暫定規制値では食品群を「飲料水」「牛乳・乳製品」「野菜類」 「穀類」「肉・卵・魚・その他」に分けていたものを、新基準値で は「飲料水」「牛乳・乳製品」「一般食品」「乳児用食品」に分 け、それぞれ27頁上の表のような値の基準にしました。一部品目に ついては、製造、加工などの観点から経過措置を適用しています。 また、暫定規制値の放射性セシウムは放射性ストロンチウムを含め 値を設定していましたが、新基準では、放射性ストロンチウムの他 にプルトニウム等を含めて基準値を設定しています。

(45)

食品の新たな基準値の設定について

■現在の暫定規制値に適合している食品は、健康への影響はな

いと一般的に評価され、安全は確保されているが、事故後の緊

急対応としてでなく、長期的な観点から

現在の暫定規制値で許容している

年間5ミリシーベルト

年間1ミリシーベルト

に基づく基準値に引き下げる

■年間1ミリシーベルトとするのは、

①食品の国際規格を作成しているコーデックス委員会の現在の

指標で、年間1ミリシーベルトを超えないように設定されてい

ること

②モニタリング検査の結果で、多くの食品からの検出濃度は、

時間の経過とともに相当程度低下傾向にあること

暫定規制値に適合している食品は、健康への影響はないと一般的に 評価され、安全は確保されていますが、事故後の緊急対応としてで はなく、長期的な観点から、新たな基準値が設定されました。暫定 規制値で許容している年間5mSvから、新基準値では年間1mSvに基 づく基準値に引き下げています。 年間1mSvとする理由ですが、食品の国際規格を作成しているコー デックス委員会の現在の指標で、年間1mSvを超えないように設定 されていること、モニタリング検査の結果で、多くの食品からの検

(46)

食品の新たな基準値の諸外国との比較

放射性物 質の種類 食品 日本 EU 米国 暫定規制値 新基準値 放射性 ヨウ素 飲料水 300 乳児100 500 乳児150 170 (乳児 も同じ) 牛乳・乳製品 野菜類(根菜・ イモ類を除く) 2,000 2,000 放射性 セシウム 飲料水 200 10 1,000 乳児400 1,200 牛乳 50 乳製品 野菜類 500 100 1,250 穀類 肉、卵、魚、 その他 (単位:Bq/kg) (財)日本原子力文化振興財団:「原子力・エネルギー図面集2012」 表には、食品の新たな基準の諸外国との比較を示しています。 放射性セシウムについて、日本の新基準値とEUおよび米国を比較 したところ、日本の新基準値はEUや米国の基準値の24分の1から 8分の1程度です。暫定規制値と諸外国を比較した場合においても、 5分の1から2分の1程度です。 また、放射性ヨウ素について、米国は非常に低い値を設定してい ますが、EUと暫定規制値を比較した場合、同等かそれよりも厳し い値となっています。

(47)

子どもへの影響に対する配慮について

○放射線への感受性が高い可能性があるとされる子どもへの

配慮の観点から

■日本の原爆被ばく者の追跡調査 ・6歳未満の乳幼児期に被ばくした場合、200mSv未満では小児の固形がん や白血病の発症率の上昇は見られない ・500mSv以上の被ばくで大人と比較して、子どもに明らかな影響(UNSCEAR 1993)※ 【データ】 ■チェルノブイリ原子力発電所事故に関した報告 ・5歳未満であった小児に白血病のリスク増加(Noschenko et al. 2010) ・被ばく時の年齢が低いほど甲状腺がんのリスクが高い(Zablotska et al. 2011)

⇒「

乳幼児食品

」及び「

牛乳

」について、流通する食品のすべ

てが汚染されていたとしても影響のない値(50Bq/kg)を基準

値と設定(参考:一般食品100Bq/kg)

※次頁 新基準においては、放射線への感受性が高い可能性があるとされる 子どもへの配慮の観点から、乳幼児食品および牛乳について、流通 する食品のすべてが汚染されていたとしたとしても、影響のない値 (50Bq/kg)を基準値と設定しています。 この根拠は、チェルノブイリ原子力発電所事故に関した報告による と、5歳未満であった小児に白血病のリスクの増加、被ばく時の年齢 が低いほど甲状腺がんのリスクが高いことです。

(48)

固形がんの相対リスク

(0.005Gy以下の被ばく集団との比較 )

男性 女性

(出典: Preston DL, et al; Solid cancer incidence in atomic bomb survivors, Radiat Res. 2007 Jul;168(1):1-64.)

相対リスク: 二つの集団の間での疾病発生頻度の比 各被ばく集団の疾病発生頻度/ 0.005Gy以下の被ばく集団の疾病発生頻度 表には、子どもへの影響に対する配慮についての根拠データを示して います。 年齢と被ばく量に応じた固形がんの相対リスクについて示しています。 なお、この値は、0.005Gy以下と比較した値です。 この表の0~9歳の子どもにおいて、男性では、1-4Gy以上で他の年齢 層との差が明らかに観測されていますが、女性では0.5-1Gy以上にお いて、明らかな差が観測されています。

(49)

セシウム 134,137 88% ストロンチウム 90, プルトニウム, ルテニウム106 12%

規制対象とする放射性核種について

○福島原発事故により放出した放射性物質のうち、

半減期1年以上の放射性核種全体

規制対象核種 (物理的) 半減期 セシウム134 2.1年 セシウム137 30年 ストロンチウム90 29年 プルトニウム 14年~ ルテニウム106 374日

○放射線セシウム以外の核種は、測定に時間がかかるため

放射性セシウムの寄与率

を算出

人が受ける総線量の内訳(19歳以上)

○核種全体で1mSvを超えないように

放射性セシウムについて基準値を設定

ヨウ素・ウランについては基準値を設定しない ヨウ素:既に検出が認められない ウラン:原発敷地内においても天然レベルと同様 【データ】 ※次頁 規制対象とする放射性核種について示しています。 福島原発事故により放出した放射性物質のうち、半減期が1年以上の放 射性核種全体を対象としています。具体的には、セシウム、ストロンチ ウム、プルトニウム、ルテニウムです。 これら核種のうち、ストロンチウム、プルトニウム、ルテニウムには、 測定に時間がかかるため、放射性セシウムの寄与率で算出します。

(50)

放射性核種の分析に必要とする時間の比較

容器に均一に詰 める 核種(セシウム、ヨウ素)

1日

測定

1日

終了(数時間) α核種 (プルトニウム) β核種 (ストロンチウム) 核種 (セシウム、ヨウ 素) 透過力 極めて小さい 紙1枚で止められる。 小さい 厚さ数mmのアルミ ニウムやプラスティ ックで止められる 大きい 鉄、鉛など密度の 大きい物質や厚 いコンクリートで 止められる 空気中 数cm 数m 数10m 灰化試料を作成:乾燥→灰化 (β、α核種は試料中の濃度が低く、資料を濃縮 する必要がある) 化学分離と精製: 目的核種の濃縮分離

2~3週間

8週間

1,2週間

α核種(プルトニウム)、β核種(ストロンチウム) (エネルギーが近似) 薄膜状態で αスペクロトメータにより 測定 α核種 終了(約2-3ヵ月) 薄膜状態で βカウンターにより測定 終了(約1ヵ月) (βカウンターエネル ギー分別ができない)

3週間

数日

β核種 化学分離と精製: 目的核種の濃縮分離

(51)

51頁の表と図は、放射線セシウム以外の核種に測定時間がかかること の根拠データです。 アルファ核種(プルトニウム)、ベータ核種(ストロンチウム)の透 過力は小さく、それぞれ紙一枚、厚さ数mmのアルミニウムやプラス ティックで止められ、空気中では、それぞれ数cm、数mしか進みませ ん。一方、ガンマ核種(セシウム・ヨウ素)については、透過力が大 きく、鉄、鉛などの密度の大きい物質や厚いコンクリートで止めら れ、空気中で数10m進みます。 このように、核種によって透過力等が大きく異なります。そのため、 核種によって分析の仕方が異なってきます。 透過力の低いアルファ・ベータ核種については、薄膜状態で測定する 必要があります。そのため、乾燥させて灰化(灰化試料作成)させ、 その後、化学分離と精製作業に移ります。その後、薄膜にして測定す るため、アルファ核種で2~3ヶ月、ベータ核種で1ヶ月程度かかりま す。 一方、ガンマ核種であるセシウム・ヨウ素は容器に試料を詰め、測定 するため、数時間程度で終了します。 このように、核種の透過力により、測定時間が大幅に異なります。

参照

Outline

関連したドキュメント

2号機シールドプラグ下部の原子炉ウェル内の状況、線量等を確認するため、西側の原子炉キャビティ差圧調整ライン ※

1.管理区域内 ※1 外部放射線に係る線量当量率 ※2 毎日1回 外部放射線に係る線量当量率 ※3 1週間に1回 外部放射線に係る線量当量

格納容器内圧力計【SA】 格納容器内雰囲気放射線レベル計【SA】

当該発電用原子炉施設において常時使用さ れる発電機及び非常用電源設備から発電用

原子炉本体 原子炉圧力容器周囲のコンクリート壁, 原子炉格納容器外周の壁 放射線遮蔽機能 放射線障害の防止に影響する有意な損

(ⅰ)コードレス電話機:これは、ダイヤルセレクターを備えた電池式無線

粒子状物質 ダスト放射線モニタ 希ガス ガス放射線モニタ 常時 2号炉原子炉建屋. 排気設備出口 粒子状物質 ダスト放射線モニタ 常時

粒子状物質 ダスト放射線モニタ 希ガス ガス放射線モニタ 常時 2号炉原子炉建屋. 排気設備出口 粒子状物質 ダスト放射線モニタ 常時