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2012/1
作成:みんなの党 横浜市会 市会議員 大岩まさかず 写真:豊島区庁舎(新庁舎)豊島区庁舎整備事業に関する調査報告書
調査の概要
○調査概要 項目 内容 調査目的 豊島区庁舎整備事業 豊島区では、新区庁舎の整備にあたり、一般財源の負担がない手法を採用。遊 休地の活用、民間施設の一部誘致、50 年の定期着地権の 25 年分を民間企業よ り一括前取りなどの先進的な事例を調査。 同調査結果を、横浜市のこれからの庁舎整備(区庁舎、市庁舎)に生かしてい く事を目的としています。 調査日時 2012 年 1 月 23 日 調査地 ① 豊島区行政からの説明(施設管理部、都市整備部) ② 新区庁舎工事現場視察 参加議員 <みんなの党 横浜市会議員>6名 望月議員、篠原議員、豊田議員、有村議員、藤崎議員、大岩議員(筆跡) ○調査費用 一人当たり 1,240 円(横浜−池袋間の往復交通費) ※交通手段や調査手法の相違によって、各自の支出が多少異なります。正確な支出の報告 は、平成 23 年度政務調査費の公開の際に、各議員の責任の下行わせて頂きます。 区の職員による説明はじめに
我々が視察をした豊島区の新庁舎整備は、「区の(既存の)資産を活用し、区財政の 負担を抑えて整備する」という考え方のもと進められています。 新庁舎建設の為の建設基金が、財政上の問題で底をついてしまった、という危機的状 況から出発し、「税金(一般財源)の負担のない新庁舎の建設」案が作成されています。 新庁舎の建設に関わる整備事業費は、428 億円になりますが、以下のような工夫により、 一般財源や新たな借金(区債)の負担のない計画がたてられています。 ・区の有休資産を活用(廃校となった旧日出小学校跡地) ・再開発事業との一体計画により、資産評価額が上昇(34.5 億円→85.2 億円) ・公共施設(区庁舎3F〜9F)と民間マンション(11F〜49F)の合築 ・不足する事業費(保留床買取124 億円)を、現庁舎の土地活用により捻出 ・現庁舎の再開発を行う民間事業者から、定期借地権のうち25 年分を一括前取り 現在、横浜市でも、区の総合庁舎、新市庁舎の建替え、耐震補強工事などがすすめら れています。横浜市でも豊島区の事例にならい、市民の皆様の負担(税金の負担)を少 しでも抑える事業手法を、積極的に検討すべきです。 <横浜で検討されている横区庁舎・市庁舎整備> 事業費見込み 資金手当て計画 南区総合庁舎 建替 100 億円 税金(一般財源+市債) 金沢区総合庁舎 建替 100 億円 税金(一般財源+市債) 港南区総合庁舎 建替 100 億円 税金(一般財源+市債) 中区庁舎 耐震補強工事 数十億円 税金(一般財源+市債) 新市庁舎整備 700 億円〜1,000 億円 税金(一般財源+市債)1.豊島区新庁舎建設の経緯
<豊島区の行政改革・財政改革の道のり> 今から14 年前の平成 8 年 4 月、豊島区は、財政危機を理由として、計画してきた新庁舎 の着工延期を決定しました。 土地開発公社の長期債務を含む借入金残高は872 億円にまで膨れ上がり、財政再建団体へ の転落が現実性をもって危惧される状況でした。新庁舎等の建設基金についても、平成5 年 度末には約190 億円あったものが、平成 6 年度以降、財源対策として使い続け、平成 11 年 度にはほぼ底を突いていました。 平成11 年度からの 10 年間は、ありとあらゆる区財政構造改革を断行し続けた期間でした。 公共施設の再構築、施設や業務の委託化・民営化、職員定数の削減、事務事業の見直しな ど、区民のみなさまのご協力により、直面する危機を克服し、財政健全化への道筋をつけ ています。 こうした改革により、平成11 年度に 872 億円あった借入金は、平成 22 年度末には 350 億 円へと、12 年間で当時の 3 分の 1 まで圧縮する見込みです。205 億円もあった土地開発 公社のいわゆる隠れ借金も、今年度末までに全て解消します。 一方、今後の学校改築のための義務教育施設整備基金をはじめ、将来の備えとして積み立 てる区の基金総額については、平成 11 年度のわずか 36 億円から、今年度末には 188 億 円まで増加する見込みです。 職員定数についても、この間、2,899 人から 2,038 人へと約 900 人を削減し、職員人件費 は、282 億円から 218 億円へと大きな抑制を実現しました。 この間にも、庁舎の老朽化は進み、本庁舎は築後49 年、分庁舎は築後 55 年が経過してい ます。庁舎の狭あい化による窓口での混雑、分散(7 か所)、災害時における防災拠点機能 への不安など現在の庁舎の状況を考え、新庁舎計画を実行に移すことが検討されました。 新庁舎の整備を目的とした庁舎等建設基金はゼロという極めて厳しい前提条件のなか、区 有財産を最大限に活用し、市街地再開発事業の手法を採用することで、建設費については 一般財源に依存しない資金計画を立てています。池袋駅から徒歩5分の4階建て現本庁舎
(豊島区役所の窓口は本庁舎他、7ヶ所に分散している)
狭あい化が問題となっている1F 窓口
(撮影時=月曜日の 14 時点では、比較的空いている様子) (通常時は、より多くの人で一杯との事)
2.新庁舎整備計画の概要
10F 建の区庁舎と、49F 建のタワーマンション(民間)の「合築」となっています。11F〜49F 住宅部分(東京建物他が分譲)
10F 中間免震層
3F〜9F 区庁舎部分(29,100 ㎡)
1F〜2F 商業施設
B1〜B3 駐車場、機械室
新庁舎の計画地は、池袋東口の東南 570mの場所に位置し、サンシャインシティや東池袋四 丁目市街地再開発事業地区につながっている好立地にあります。
もともと、廃校となった旧日出小学校の跡地(整備地の約 60%)と、区民所有の土地(地 権者 115 名)を再開発事業によって、新庁舎として整備するものです。
有楽町線「東池袋駅」と隣接し、同駅と新庁舎は地下通路で繋がる計画です。
1F、2F には店舗が入り街の賑わいを創出。
3F〜9F の区庁舎では、1,200〜1,300 名の区の職員が働く予定です。
11F〜49F の民間のタワーマンション部分も、利便性などの理由により、人気の高い物件に なる可能性が高い、との事です。