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続よくわかる心電図 5章

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続よくわかる心電図 ver.3.2

時政孝行 久留米大学客員教授(生理学) 蓮尾 博 久留米大学非常勤講師(生理学) 鷹野 誠 久留米大学教授(医学部生理学講座) 柳(石原)圭子 久留米大学准教授(医学部生理学講座)

- 5 章 -

イオンチャネルに関する

IUPHAR 情報の読み方

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2

目次

0 章 総合案内

・ 目次 ・ 参考図書・文献 ・ 著者紹介

第 1 部 イオンチャネル入門

1 章 イオンチャネルを学ぶための基礎知識 2 章 オームの法則の使い方 3 章 Shaker チャネルの構造と機能 4 章 Kir チャネルの構造と機能 5 章 イオンチャネルに関する IUPHAR 情報の読み方 6 章 演習:先天性 QT 延長症

5 章

イオンチャネルに関する IUPHAR 情報の読み方

・ 6TM 型イオンチャネル(第 1 群) ・ 6TM 型イオンチャネル(第 2 群) ・ SK チャネル ・ カルモデュリン ・ 6TM 型イオンチャネル(第 3 群) ・ HCN ・ CNG ・ 6TM 型イオンチャネル(第 4 群) ・ 24TM 型イオンチャネル ・ 13TM 型イオンチャネル ・ CFTR ・ 2TM 型イオンチャネル ・ ATP 感受性 K チャネル

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・ 4TM 型イオンチャネル ・ 7TM 型イオンチャネル ・ COLUMN:HUGO 表記 ・ COLUMN:Na チャネル病 ・ COLUMN:嚢胞性線維症(cyctic fibrosis) ・ COLUMN:weaver mutant

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4 はじめに 今から約 12 年前のことですが、心電図の講義・実習を終えた学生からフィードバック される意見や感想を吟味してみると、波形の丸暗記に対する不安、波形のワケをきっ ちり解説していない教科書への不満を感じながら、心電図の基礎、機序と症例を渇望 しているさまが垣間見えました。これらのニーズに応えられるような教科書を企画し ていたちょうどそのとき、久留米大学が e ラーニングの導入を検討中という風の便り を耳にしました。それでは先陣を承りましょう、ということで執筆したのが「続よく わかる心電図 ver.1.0」でした。そして、2003 年春、久留米大学医学部生理学教室の ホームページにリンクさせる形式で一般公開に踏み切ったのです。その後 2011 年 9 月 からバージョン 3.2(当時)の大幅改訂に取りかかり現在に至っています。第 1 章と第 2 章は昨年夏前に改訂作業が完了し、バージョン 4.0 のβ版として一般公開中。 本書の構成を簡単に紹介します。第 1 部「イオンチャネル入門」はイオンチャネル に関する専門書を読み解くための入門書として位置づけられています。内容的にはす でに大学院レベルですが、専門性をさらにアップさせるべく第 3 章から第 6 章までの 改訂を進めています。キーワードは Shaker、Kir、long-QT など。 第 2 部「心筋細胞の興奮」では心電図の発生源である洞結節細胞の歩調取り電位と 固有心筋細胞の活動電位についてチャネル分子、チャネル遺伝子のレベルで解説しま す。キーワードは過分極誘発性陽イオンチャネル(HCNs)、ATP 感受性カリウムチャネ ル(Kir6.x/SURx)など。最適レベルは大学院生や若手研究者です。 公刊論文から引用した図には出典(引用元)を明記しました。それぞれの説明文末 尾をご覧ください。出典が明記されていない図は著者等の未発表データです。参考図 書・文献は巻末にリストアップしました。 平成 25 年 8 月

著者一同

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第 5 章 イオンチャネルに関する IUPHAR 分類の読み方

イオンチャネル遺伝子に関する情報がネット検索で比較的簡単に入手可能になりまし た 。 公 的 情 報 源 と し て は IUPHAR ( 国 際 薬 理 学 会 、 Interrnational Union of Pharmacological Society)と HUGO(ヒトゲノム機構、human genom organization)が 挙げられます。通常の検索方法でホームページにアクセスして下さい。利用者登録は 不要です。表 5-1 は IUPHAR から得られる情報に基づいてイオンチャネルを一覧したも のです。表の上下方向がイオン種による分類、左右方向がチャネルの構造による分類 です。IUPHAR は遺伝子情報だけでなくチャネル電流の基本情報も提供しています。例 えば Na チャネルの選択性に関する IUPHAR 情報を整理すると表 5-2 になります。同じ Na チャネルでも種類により選択性が違うことがわかります。 表 5-1 IUPHAR 分類 2TM 4TM 6TM 7TM 13TM 24TM Na Nav Ca Cav K Kir K2P Kv、KCa KCa Na/K CNG、HCN Ca/Na TRP Cl CLC(注) 注)クロライドチャネル(CLC)は未登録ですが、登録は時間の問題だと思われます。 表 5-2 Na イオン選択性 選択性 Nav1.1 Na>K>Ca Nav1.2 Na>K>Ca Nav1.3 Na>K>Ca Nav1.4 Na>K>Rb>Cs Nav1.5 Na>K>Ca Nav1.6 Na Nav1.7 Na Nav1.8 Na Nav1.9 Na

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COLUMN:HUGO 表記

HUGO 表記方法を簡単に説明します。HUGO 表記では CACNA1C は心筋 L 型 Ca チャネル遺 伝子を意味しますが、いきなり CACNA1C と言われても何のことやらさっぱり判りませ ん。解読方法を説明すると図 5-1 のようになります。最初の 1-2 文字はイオン種です: CA が calcium、S が sodium、K が karium、CL が chloride。次の 2 文字 CN は文字通り channel の略です。次の 1 文字がαサブユニット(アルファベットの A はギリシャ語 のαに相当)を意味します。この約束事が理解できれば HUGO を恐れることはありま せん。しかし、機能が全く反映されていないので、慣れるまでは非常に味気なく感じ ます。 図 5-1 HUGO 表記の読み解き方

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6TM 型イオンチャネル(第 1 群) 第 1 群は電位ゲート型 K チャネル(Kv)として引用されます。表 5-3 のように 12 群に 細分されます。1-4 群は古典的な Shaker 関連に相当します。7 群と 10-12 群は QT 延長 症候群と密接に関連します。5 群、6 群、8 群、9 群は自分自身のポリマーでは機能的 K チャネルを形成しませんが、Kv2 群と集合すると K チャネルとして機能し、さらに Kv2 群チャネルの性質(電位依存性)も修飾する事が判ってきました。KvLQT1 と hERG は膜 1 回貫通型タンパク(KCNE 群)と会合して機能します。 表 5-3 電位ゲート型 K チャネル IUPHAR HUGO エリアス 備考 Kv1.1 KCNA1 RBK1/MBK1 Shaker 関連チャネル(K チャネルの元祖的存在) Kv 1.2 KCNA2 RBK2/NGK1 Kv 1.3 KCNA3 MBK3 Kv 1.4 KCNA4 RHK1 Kv 1.5 KCNA5 HCK1 Kv 1.6 KCNA6 HBK2 Kv 1.7 KCNA7 特にない Kv 1.8 KCNA10 Kcn1 Kv 2.1 KCNB1 DRK1 Shab 関連チャネル Kv 2.2 KCNB2 CDRK Kv 3.1 KCNC1 NGK2 Shaw 関連チャネル Kv 3.2 KCNC2 Raw1 Kv 3.3 KCNC3 hKv3.3 Kv 3.4 KCNC4 Raw3 Kv 4.1 KCND1 mShal Shal 関連チャネル Kv 4.2 KCND2 Shal1/RK5 Kv 4.3 KCND3 特にない Kv 7.1 KCNQ1 KvLQT1 mink/MiRP と集合 Kv 7.2 KCNQ2 特にない M チャネル チャネル電流の実例は第 3 章の図 21 Kv 7.3 KCNQ3 特にない Kv 7.4 KCNQ4 特にない Kv 7.5 KCNQ5 特にない Kv 10.1 KCNH1 ether-a-go-go Kv 10.2 KCNH5 eag2 Kv 11.1 KCNH2 hERG mink/MiRP と集合 Kv 11.2 KCNH6 erg2 Kv 11.3 KCNH7 erg3 Kv 12.1 KCNH8 Elk1 Kv 12.2 KCNH3 Elk2 Kv 12.3 KCNH4 Elk3 注)Kv5 群、6 群、8 群、9 群はポイント参照

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8 6TM 型イオンチャネル(第 2 群) 第 2 群の Ca 依存性 K チャネル(KCa)は表 5-4 にまとめた様に 5 つのサブグループか ら構成されます。KCa4 群と KCa5 群に関してはヒト型遺伝子の機能発現実験がまだ行わ れていないせいか、IUPHAR と HUGO の情報に多少の食い違いが認められますが、構造的 にも機能的にも Kv1 群の亜種であると考えられています。従って、KCa はチャネルの構 造と機能という観点からは 7TM 型で単一チャネルコンダクタンスが大きなチャネル群 (Kv1 群、4 群、5 群)と 6TM 型で単一チャネルコンンダクタンスが小さなチャネル群 (Kv2 群、3 群)の 2 つのサブグループから構成されると言い換えることも可能です。 このセクションでは KCa2 群と KCa3 群について吟味します。これらは通称 SK チャネル (S は small を意味します)と呼ばれています。 表 5-4 Ca 依存性 K チャネル IUPHAR HUGO エリアス 備考

KCa1.1 KCNMA1 slo 7TM 型、単一チャネルコンダクタンスが大 KCa2.1 KCNN1 SK1 6TM 型(C 末端側にカルモデュリン) 単一チャネルコンダクタンスが小 KCa2.2 KCNN2 SK2 KCa2.3 KCNN3 SK3 KCa3.1 KCNN4 SK4、IK(注) KCa4.1 KCNT1 Slack/mSlo2 ヒト型遺伝子の機能発現実験なし 単一チャネルコンダクタンスが大 IUPHAR と HUGO の情報に多少の食い違いあり KCa4.2 KCNT2 特にない KCa5.1 KCNMC3 Slo3 注)SK4 の単一チャネルコンダクタンスは SK1-3 のそれよりも若干大きいので intermediate channel(IK)と呼ばれる事がしばしばです。

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SK チャネル このチャネルの最大の特徴は、Kv 群と異なり、C 末端側の細胞内ループに Ca 結合タン パクであるカルモデュリン(後述)が結合する事です(図 5-2)。S4 にはアルギニン(R) またはリジン(K)の繰り返し構造(RXX モチーフ)が保存されていますが、繰り返し の回数が非常に少ないのが特徴です。P部には GYGD モチーフが保存されています。 図 5-2 SK チャネルの膜内トポロジー カルモジュリン カルモジュリン(Calmodulin、CAM)は真核細胞質にユビキタスに分布する Ca 結合タ ンパクで、平滑筋収縮を含めて多彩な細胞機能を調節します。148 個のアミノ酸残基か らなるポリペプチド鎖で、1 分子内に 4 ヶ所の Ca 結合部位を有します(図 5-3)。4 つ の結合部位が全て Ca により占拠されると、活性化部位を暴露するように形を変えて基 質と結合します。最も代表的な基質は平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼです。 図 5-3 カルモジュリン 右が活性化されたカルモジュリンの模式図。丸印が Ca イオン、多角形が基質です。

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10 6TM 型イオンチャネル(第 3 群) 第 3 群の環状ヌクレオチド調節型チャネルは C 末端側細胞内ループに約 120 アミノ酸 から成る環状ヌクレオチド結合モチーフ(CNBD)を持つチャネル群で表 5-5 にまとめ たように CNG 群と HCN 群に大別されます。HCN 群は脳細胞や洞房結節細胞の自発的興奮 を起こす歩調取り電位(図 5-4)に関与する可能性が非常に高くなってきました。 表 5-5 環状ヌクレオチド調節型チャネル IUPHAR HUGO エリアス 備考 CNGA1 同左 CNG1 CNGA2 同左 CNG2 CNGA3 同左 CNG3 CNGA4 同左 CNG5 A 群に分類されているが実はβサブユニット CNGB1 同左 CNG4 CNGA1 または CNGA2 のβサブユニット CNGB3 同左 CNG6 CNGA3 のβサブユニット HCN1 同左 HAC2 過分極誘発性陽イオンチャネル HCN2 同左 HAC1 HCN3 同左 HAC3 HCN4 同左 HAC4 図 5-4 洞房結節細胞の自発的興奮を起こす歩調取り電位(模式図) 左が洞結節の模式図、右が歩調取り電位(ペースメーカー電位)の模式図。

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HCN(hyperpolarization-activated cation channel)

1998 年にウニ精子とマウス脳から単離された遺伝子で陽イオンチャネルをコードしま す。現在までに 4 つのクローンが単離されました。脳、末梢神経、味細胞、網膜、嗅 球、洞結節、味細胞、精巣などに発現しますが、洞結節歩調取り電位を形成するのは HCN2/HCN4 だと考えられています。図 5-5 は神経細胞に発現している HCN チャネル電流 の 1 例です。また、クローンによって活性化の速さが異なり HCN1 が最速、HCN2、HCN3、 HCN4 の順に遅くなります。HCN チャネルは細胞内 cAMP によって直接的に(リン酸化を 介さずに)開孔促進を受けます。 図 5-5 cAMP による HCN チャネルの開孔促進 神経細胞から得られた実験結果です。上段が保持電位-50mV から 3 つの異なる過分極刺激で活性 化した電流トレースです。左がコントロール、右が細胞内 cyclic AMP 濃度上昇時。下段が活性 化曲線で縦軸がコンダクタンス分画(fraction)、横軸が電位。コントロール(○)と細胞内 cyclic AMP 濃度上昇時(●)の実験結果を重ね合わせています。引用元:Tokimasa and Akasu (1990) J Physiol 420, 409-429.

CNG(cyclic nucleotide-gated channel)

網膜視細胞に発現する cyclic GMP ゲート型陽イオンチャネルです。電位センサーS4 の R/Kxx モチーフ、P 部の GFG モチーフなど電位ゲート型チャネルとしての特徴を備え ています。K や Na に比べて Ca を通しやすい点、βサブユニットと集合して機能する点 などが HCN との主な相違点です。αサブユニットの 4 量体にβサブユニットが会合す

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12 6TM 型イオンチャネル(第 4 群) 第 4 群の一過性受容体電位チャネルは 6TM 型、非電位ゲート型 Ca チャネル群で表の様 に 3 つのサブグループに分類されています。何が活性化ゲートを開けるか?と言う観 点からは最も雑多なチャネルの集団で、将来的は再分類される可能性が高いと思われ ます。TRP 群の 1 つ TRPC1 のアミノ酸配列を示しますが、N 末端細胞内ループにアンキ リンリピートを 3 つ(62-93 番、99-129 番、174-203 番)、C 末端細胞内ループにプロ リン(P)の集合箇所を持っているのが、他の 6TM 型チャネルとの相違点です。全体を まとめると表 5-6 のようになります。 表 5-6 一過性受容体電位チャネル IUPHAR HUGO エリアス 備考 TRPC1 同左 TRP1 非選択的陽イオンチャネル TRPC2 同左 mTrp2 マウスのフェロモンチャネル TRPC3 同左 mTrpC3 DAG 活性化チャネル TRPC4 同左 TRP4 TRPC5 同左 TRP5 TRPC6 同左 特にない DAG 活性化チャネル TRPC7 同左 TRP7 同上 TRPV1 同左 VR1 カプサイシン受容体チャネル TRPV2 同左 VRL-1 非侵害刺激受容体 TRPV3 同左 特にない 温熱センサー TRPV4 同左 OTRPC4 浸透圧センサー TRPV5 同左 ECaC1 Ca 選択性 TRP チャネル TRPV6 同左 ECaC2 同上 TRPM1 同左 特にない メラスタチン TRP チャネル TRPM2 同左 LTRPC2 細胞内 ADP-ribose により活性化される TRPM4 同左 LTRPC4 TRPM6 同左 ChaK2 TRPM7 同左 LTRPC7 TRPM8 同左 CMR1 冷覚/メントール受容体 用語解説

TRP:transient receptor potential の略で、ショウジョウバエの trp 遺伝子に由来する。 TRPC:C は形容詞 canonical に由来する。 TRPV:V は vanilloid(バリノイド)の意味。 TRPM:M は melanostatin(メラノスタチン)の意味。 バニロイド:代表的なバニロイドはカプサイシン(トウガラシの辛み成分)。カプサイシンはバ ニロイド受容体(V1)を活性化する。

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24TM 型イオンチャネル 電位ゲート型 Na チャネルと電位ゲート型 Ca チャネルは 24TM 型です。Na チャネルαサ ブユニットの基本構造を図 5-6 に示しますが、Ca チャネルの場合も同様です。表 5-7 と表 5-8 は遺伝子の一覧です。

図 5-6 Na チャネルαサブユニットの膜内トポロジー 上段がチャネルαサブユニットの側面図、下段が平面図ですが、まさに K チャネルが 4 分子連結 した構造です。これはアミノ酸残基数が K チャネルの場合の約 500 個に対して 4 倍の約 2000 個 である事と符合します。チャネル分子は相同性の高い 4 つのリピート(repeat)から構成されま す。 表 5-7 電位ゲート型 Na チャネルαサブユニット IUPHAR HUGO エリアス 備考 Nav1.1 SCN1A 脳 type 1

Nav1.2 SCN2A 脳 type 2 Nav1.3 SCN3A 脳 type 3 Nav1.4 SCN4A SkM1

Nav1.5 SCN5A 心筋 Na channel 心筋 Na チャネル Nav1.6 SCN8A NaCh6

Nav1.7 SCN9A PN1 peripheral sodium channel-1 Nav1.8 SCN10A PN3 peripheral sodium channel-3 Nav1.9 SCN111A NaN sensory neuron sodium channel-2 表 5-8 電位ゲート型 Ca チャネルαサブユニット

IUPHAR HUGO エリアス 備考 Cav1.1 CACNA1S α1S L-type(骨格筋) Cav 1.2 CACNA1C α1C L-type(心筋・平滑筋) Cav 1.3 CACNA1D α1D L-type(神経内分泌) Cav 1.4 CACNA1F α1F L-type(網膜) Cav 2.1 CACNA1A α1A P/Q-type Cav 2.2 CACNA1B α1B N-type Cav 2.3 CACNA1E α1E R-type Cav 3.1 CACNA1G α1G T-type

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14 COLUMN:Na チャネル病 最近、特発性心室細動症(Brugada 症候群)が注目されています。右心室壁の一部に 異常 Na チャネルが発現するために、その部位の活動電位がプラトー相を形成しない まま終了してしまう病態だと解釈されています。原因遺伝子は SCN5A で、現在までに 3 種類の点突然変異が報告されています。機能異常に関しては 3 型とも loss of function 型で、この点が LQT3 で最も多いΔKPQ(リピートⅢとⅣの連結部の 3 アミノ 酸失欠)の gain of function 型異常との根本的な違いです。

家族性高カリウム血性周期性四肢麻痺(常染色体優性遺伝)も Na チャネルの異常 により発病します。ただし、この場合の遺伝子は骨格筋型の SCN4A で、代表的な変異 はリピートⅡの S5 の Thr から Met への置換とリピートⅣの S6 の Met から Val への置 換ですが、いずれも LQT3 と同様に gain of function 型(Na チャネルの不活性化抑制) です。単一チャネル電流をパッチクランプ法で記録したところ、チャネルの開確率が 不活化過程でも高く、内向きの Na 電流が持続的に流れていることが確かめられてい ます。

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13TM 型チャネル 図 5-7 に現在想定されている Cl チャネルαサブユニットの膜内トポロジーを示します。 13 個のαヘリックス領域を持っていますが、第 9 と第 10 ヘリックス部の構造はまだ不 明です。機能的チャネルはαサブユニットの 2 量体ですが、それぞれのαサブユニッ トが Cl の通過孔を持っていると考えられています。表 5-9 に示すように IUPHAR にで は未登録ですが、登録されるのは時間の問題です。 図 5-7 13TM 型チャネルの構造 左側が膜内トポロジー、右側が 2 量体構造の模式図です。第 9 と第 10 膜貫通領域の正確なトポ ロジーはまだ良く判っていません。 表 5-9 クロライドチャネル IUPHAR HUGO エリアス 備考 CLCN1 CLC1 Thomsen 病遺伝子 CLCN2 CLC2 CLCN3 CLC3 CLCN4 CLC4 CLCN5 CLC5/NPHL2 Dent 病遺伝子 CLCN6 CLC6 CLCN7 CLC7 CLCNKA hCLCKa CLCNKB hCLCKb

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CFTR

CFTR(cyctic fibrosis transmembrane conductance regulator)は嚢胞性肺繊維症(CF、 cyctic fibrosis)の責任遺伝子です。その産物は気道、腸管、腎臓などで上皮細胞の 管腔側膜(apical membrane)に発現し Cl を再吸収します。生理学的意義は良く判っ ていませんが心臓にも発現しています。

この遺伝子は 1480 個のアミノ酸から成る一本鎖ポリペプチドをコードします。それ は図 5-8 のように膜貫通部、NBD(nucleotide binding domain)、R-domain(regulatory domain)が連なった特徴的な膜内トポロジーを示します。構造内に ATP 結合カセット (ABC)を有することから ABC トランスポーターとも呼ばれますが、サイクリック AMP が Cl の再吸収を調節する事からサイクリック AMP 依存性 Cl チャネルとも呼ばれます。 リン酸化部位は R-domain です。Cl 選択性フィルターの分子機構についてはまだよくわ かっていません。 図 5-8 CFTR チャネルの膜内トポロジー COLUMN:嚢胞性線維症(cystic fibrosis) コーカサス人種で最もありふれた常染色体劣勢遺伝性疾患で致死的。CF の原因遺伝子 は第 7 染色体長腕(7q31)に存在し上述のように 1480 個のアミノ酸(1989 年に CFTR と命名された)をコードします。CF 患者では NBD1 中の 3 塩基欠損の為、508 番目の フェニルアラニンが欠落し、この欠落がチャネル機能異常の原因であると考えられて います。汗腺に於けるクロライドイオンの再吸収が出来ないため、汗中のクロライド イオン濃度が異常に高くなります。診断基準の 1 つとして利用されます。

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2TM 型チャネル 2TM 型チャネルは 300-500 アミノ酸残基から成るαサブユニットが 4 量体を形成します。 この型のチャネルをまとめると表 5-10 のようになります。 表 5-10 内向き整流性チャネル IUPHAR HUGO エリアス 備考 Kir1.1 KCNJ1 ROMK1 最初に発見されたチャネル Kir 2.1 KCNJ2 IRK1 古典的背景 K 電流(IK1)

心筋では Kir2.1 と Kir2.2 のヘテロポリマー Kir 2.2 KCNJ12 IRK2

Kir 2.3 KCNJ4 IRK3/HIR Kir 2.4 KCNJ14 IRK4

Kir 3.1 KCNJ3 GIRK1 G 蛋白制御内向き整流 K(GIRK) 心筋では 3.1 と 4.1 の 4 量体を形成 weaver mutant では GIRK2 が機能しない Kir 3.2 KCNJ6 GIRK2 Kir 3.3 KCNJ9 GIRK3 Kir 3.4 KCNJ5 GIRK4 Kir 4.1 KCNJ10 BIR10 Kir 4.2 KCNJ15 ROMK3 Kir 5.1 KCNJ16 特にない

Kir 6.1 KCNJ18 uKATP1 スルフォニルウレア受容体と集合して ATP 感受性 K チャネルとして機能する Kir 6.2 KCNJ11 BIR Kir 7.1 KCNJ13 特にない COLUMN:weaver mutant

振戦や痙攣を起こす weaver mutant マウスでは GIRK2 のイオン選択性が低下して、本 来通すはずのない Na を通すようになります。G 蛋白がなくてもチャネルが閉じなくな り、また G 蛋白で刺激されなくなる現象(感受性消失、アンカップリング)が観察さ れます。

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ATP 感受性 K チャネル

細胞が障害されると細胞内 ATP が枯渇します。このような病的状態で活性化されるの が ATP 感受性 K チャネル(KATP)です。このチャネルは Kir6 群 K チャネル(Kir6.1、 Kir6.2)とスルホニルウレア受容体(SUR)の 4 対 4 集合体です(図 5-9)。膵臓β細胞 では Kir6.2 と SUR1、心臓では Kir6.2 と SUR2A、平滑筋では Kir6.1 と SUR2B など臓器 特異的な集合形式が報告されています。イオン通過孔は K チャネル側に在ります。KATP は K チャネルオープナーと呼ばれる薬物群により活性化されますが、薬物に対する感 受性は SUR のサブタイプにより決まります。チャネル阻害薬は経口糖尿病治療薬(グ リベンクラミド、トルブタマイドなど)として使用されます。膵臓β細胞を脱分極さ せインスリンの分泌を促進させます。 オープナーとして知られているダイアゾキサイド(diazoxide)、レマカリウム (lemakalium)、ピナシジール(pinacidil)、ニコランジール(nicorandil)の作用強 度の違いをまとめると表 5-11 のようになります。 最近 KATP が脳虚血に伴うケイレンの出現を抑制する働きがあるのではないかと考え られています。 図 5-9 ATP 感受性 K チャネルの膜内トポロジー 左側が SUR(スルホニルウレア受容体)、右側が Kir チャネルです。 表 5-11 ATP 感受性 K チャネルのオープナー 開孔薬 膵臓 Kir6.2+SUR1 心臓 Kir6.2+SUR2A 平滑筋 Kir6.1+SUR2B diazoxide +++ - + lemakalim ++ + pinacidil ++ + nicorandil +

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4TM 型チャネル このチャネルは 2TM 型αサブユニットがタンデムに連結して機能します(図 5-10)。そ こで2ポア K チャネル(K2P)と呼ばれます。この型のチャネルはまずイースト菌で発 見されました。ヒトでは TWIK、TREK、TASK が発現していますが、まとめると表 5-12 の様になります。このチャネル群には特徴が 2 つあり、1 つ目はその構造です。2 つ目 はそれ以外の性質が非常に雑多な事です。例えば電流の流れ方に関しては内向き整流、 外向き整流、オープン整流(open rectification)など様々です。開孔刺激や調節因 子に関しても、細胞内 Ca、サイクリックヌクレオチド、アラキドン酸、ストレッチ、 細胞内 pH、揮発性麻酔薬など雑多です。 図 5-10 4TM 型チャネルの構造 左が膜内トポロジー、右側が 2 量体構造の模式図です。 表 5-12 タンデムポア型チャネル IUPHAR HUGO エリアス 備考 K2P1.1 KCNK1 TWIK-1 TBAK-1 と共に心筋に発現 K2P2.1 KCNK2 TREK-1 K2P3.1 KCNK3 TASK-1/TBAK-1 オープン整流 K2P4.1 KCNK4 TRAAK 同上 K2P5.1 KCNK5 TASK-2 K2P6.1 KCNK6 TWIK-2 K2P7.1 KCNK7 kcnK8 K2P9.1 KCNK9 TASK-3 K2P10.1 KCNK10 TREK-2 K2P12.1 KCNK12 THIK-2 K2P13.1 KCNK13 THIK-1 K2P15.1 KCNK15 TASK-5 K2P16.1 KCNK16 TALK-1 K2P17.1 KCNK17 TASK-4/TALK-2 用語解説

TWIK:tandem pore domain weak inward rectifier K の略 TREK:TWIK-related K の略

TASK:TWIK-related, acid-sensitive K の略

TRAAK:TWIK-related arachidonic acid-sensitive K の略

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7TM 型チャネル

7TM 型チャネルとは KCa1.1 の事です(表 5-13)。ショウジョウバエの slowpoke mutant の解析から見つかったので slowpoke チャネル(略して slo)、あるいは、単一チャネル コンダクタンスが大きいと言う意味で BK チャネル(B は big の頭文字)と呼ばれてい ます。チャネルのαサブユニットは 1209 個のアミノ酸から成り、これらは S0 から S6 までの膜貫通領域(N 末端は細胞外)、および C 末端側細胞内ループの Ca 結合部位を形 成します(図 5-11)。S4 には RXX モチーフが 4 個、P 部には K チャネルのコンセンサス モチーフが認められます。表 5-14 に BK と SK の薬理学的特徴を示します。BK は TEA でブロックされ易く、SK1-3 は筋弛緩薬 d-ツボクラリン(d-tubocurarine)やハチ毒 アパミン(apamin)でブロックされやすいといえます。 表 5-13 KCa 関連チャネル

class HUGO note aa Large channel KCNMA1 KCa1.1 or Slo 1209

KCNMB4 β subunit 210

Small channel

KCNN1 KCa2.1、SK1 561 KCNN2 KCa2.2, SK2 579 KCNN3 KCa2.3, SK3 736 Intermediate channel KCNN4 KCa3.1, IK, SK4 427 右端欄はアミノ酸(aa = amino acid)数

図 5-11 KCa1.1 の膜内トポロジー 表5-14 KCa群の薬理学 clone TEA nM Tubocurarine nM Apamin nM KCa1.1, BK 140 n.i. n.i. KCa2.1, SK1 n.i. 23000 8 KCa2.2, SK2 n.i. 5000 0.06-0.2 KCa2.3, SK3 n.i. n.i. 10 KCa3.1, SK4 24000 n.s. n.s. n.s.: not sensitive

n.i.: no information

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