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FPT コーポレーション (FPT) 決算速報
会社概要:FPT コーポレーションは、システムテクノロジー及びテレコムの複合企業体であり、ブロ ードバンド・インターネット市場においてはベトナム国内第 2 位である。また、国内テクノロジーサー ビスでは第 1 位の座にある。同社の海外戦略に沿って、海外部門の売上高は過去 3 年間で年平均 34% の高成長を達成している。 本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券提携先のベトナム大手証券会社と、キャピタル・パートナーズ証券子会社の キャピタル・パートナーズ・ベトナム・コンサルティングが共同作成・翻訳したものです。 時価 (1 月 25 日終値) VND 45,100 JPY 230 目標株価 VND 64,300 JPY 327 上値余地 42.5% 配当利回り 4.4% 投資収益率 46.9% 為替円換算レート(100VND=0.5089) 1 月 27 日 出所:Bloomberg 業種 テクノロジー 時価総額 USD910 百万 JPY104,623 百万 外国人余地 nil 30 日間平均日次 売買高 USD2.5 百万 JPY287 百万 政府保有率 6.0% 発行済株式数 459.4 百万 完全希薄化後株式数 459.4 百万 為替円換算レート(1USD=114.97) 1 月 27 日 出所:Bloomberg作成日: 2017 年 1 月 25 日
2 2015 年実績 2016 年実績 売上高伸び率 16.2% n.a. EPS 伸び率 2.5% 2.9% 売上総利益率 19.9% n.a. 純利益率 5.1% n.a.
EV/EBITDA n.a. n.a.
株価 CF 倍率 n.a. n.a. PER 10.7x 10.4x FPT 同業他社 VN 指数 PER(直近 12 ヶ月) 10.4x 17.0x 16.8x PBR(実績) n.a. 2.3x 2.1x 純負債/資本比率 n.a. -24.3% n.a. ROE n.a. 19.0% 12.1% ROA n.a. 8.0% 2.1%
テレコム部門及びソフトウェア開発のアウトソーシング部門が2016年第4四半期も引き続き高業
績を達成
FPT は 16 年度の決算速報で、税引き後純利益が VND2.0 trillion (JPY10,117 百万, 前年同期比 3%増)と発 表した。16 年第 4 四半期はテレコム部門及びソフトウェア開発のアウトソーシング部門が目覚ましい成果 をあげている。一方で、マイクロソフトブランドのスマートフォン Lumia の在庫処分は小売り部門の利益 を更に悪化させたが、一過性のものであり、投資格付け「買い」推奨を再度強調する。今後目標株価を変更 しなければならない理由も現状見当たらない。3 図表 1 FPT の 2016 年業績概要 税引き前利益 (10 億 VND) 2015 年度 2016 年度 前年同期比 伸び率 予測比 備考 テレコムサービ ス部門 878 944 7.5% 98.0% ブロードバンド回線の加入者が 21%増加したことが貢献 ソフトウェア開 発部門 927 1,102 18.9% 99.2% - アウトソー シング 634 855 34.9% 104.5% 円高により日本向けサービスの 利益率が改善したこと、稼働率の 向上、新規顧客に高めの料金設定 を適用できたことが貢献 - 国内受託 293 247 -15.7% 84.4% 長期プロジェクトを完了するた めの追加コストが発生 トレーディング 及び小売り 728 543 -25.4% 87.1% 小売部門は引き続き税引き前利 益が前年同期比 44%増と堅調に 伸びたが、トレーディング部門の 同利益が前年同期比 48%落ち込 み足を引っ張る。Lumia 端末の在 庫処分による損失も想定外。 その他 318 424 33.3% 105.7% オンライン部門及び教育部門が 順調に伸びる
総合計
2,851
3,013
5.7%
97.2%
出所:FPT、当社 (参照: 円建て換算表) 図表 1 FPT の 2016 年業績概要 税引き前利益 (10 億円) 2015 年度 2016 年度 前年同期比 伸び率 予測比 備考 テレコムサービ ス部門 4.47 4.80 7.5% 98.0% ブロードバンド回線の加入者が 21%増加したことが貢献 ソフトウェア開 発部門 4.72 5.61 18.9% 99.2% - アウトソー シング 3.23 4.35 34.9% 104.5% 円高により日本向けサービスの 利益率が改善したこと、稼働率の 向上、新規顧客に高めの料金設定 を適用できたことが貢献 - 国内受託 1.49 1.26 -15.7% 84.4% 長期プロジェクトを完了するた めの追加コストが発生 トレーディング 及び小売り 3.70 2.76 -25.4% 87.1% 小売部門は引き続き税引き前利 益が前年同期比 44%増と堅調に 伸びたが、トレーディング部門の 同利益が前年同期比 48%落ち込 み足を引っ張る。Lumia 端末の在 庫処分による損失も想定外。 その他 1.62 2.16 33.3% 105.7% オンライン部門及び教育部門が 順調に伸びる総合計
14.51 15.335.7%
97.2%
出所:FPT、当社 為替円換算レート(100VND=0.5089) 1 月 27 日 出所:Bloomberg4
ソフトウェア・アウトソーシング部門の売上高が前年同期比で26%と堅調に増加すると共に、税
引き前利益は前年比35%と急増
日本市場での売上高が前年同期比52%増と飛躍的に伸び、全体を牽引する一方で、他市場も米国を除き堅調 な業績を達成した。米国は主要顧客の喪失により売上高が前年同期比で11%落ち込んだ。テレコムサービス部門では、加入者の増加が堅調な伸びを示した
ブロードバンド回線の売上高が前年比で17%伸びたこともあり、同部門の売上高は前年比22%増加した。専 用線、音声、データセンター、そしてIPテレビサービス等の他のサービスラインの売上高も前年を上回る31% 増を達成している。特筆すべきは、テレコムサービス部門の税引き前利益は16年第4四半期に前年同期比で 20%増を達成し、16年第3四半期の前年同期比15%増、16年上半期の前年同期比-11%を凌駕したこと。こ の結果は、ホーチミン及びハノイの光回線敷設プロジェクトの最終費用負担が16年の6月末に完結したこと により、この部門の税引き後純利益が17年には急増するという我々の予想を裏付けるものである。小売部門が強い伸びを示す一方で、トレーディング部門は引き続き足枷となる
2015年9月にアップル社製品の卸売販売権を失い、モバイル・ワールド・インベストメント (MWG) 社がア ップル社から直接仕入れに移行したこと及びマイクロソフト社のLumia端末の販売が不振であったことか ら、トレーディング部門は前年同期比で売上高が28%、税引き前利益が48%落ち込んだ。加えて、Lumia端 末の在庫を一掃したため、1,210億ドン(6.2億円 税引き前利益の4%)の追加負担が生じている。16年度のFPT の税引き前利益は前年同期比で6%伸びたが、在庫処分による損失を除けば10%の伸びであった。他方で、 133の新店開店(16年末の店舗数は385店)及び好調なオンライン販売(前年同期比58%増)を背景に、小売り部 門は前年同期比で売上高35%増、税引き前利益44%増と堅調な業績を残し、トレーディング部門の不振を多 少なりともカバーしている。主要なプロジェクトの計上により、国内テクノロジー部門の売上げ急伸に貢献
高速道路の監視カメラ設置、ベトナム預金保険公社の新 IT コミュニケーションシステムの導入、バングラ ディシュの所得税統合システム(BITAX)などの大規模プロジェクトの経理処理が 16 年第 4 四半期になされ た。しかし、システム統合部門では 16 年 12 月に予想外の 940 億 VND(4.8 億円)の損失を計上し、その結果、 当社の 16 年予測との乖離が生じた。この問題に関しては、経営陣からの更なる情報提供を待っている。さ りながら、そもそも国内の IT 部門の利益貢献はテレコム部門やソフトウェア・アウトソーシング部門に比 較して限定的であるため、当社の FPT 業績予想に対して大きな影響はない。5