香 川 大 学 経 済 論 叢 第68巻 第 2・3号 1995年11月 211-248
徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像
細 川
進
1. 徳島県アパレル縫製産地の動向1
-1
現況 徳島県のアパレ/レ縫製業は, 1993年(平成 5年)の工業統計によれば,事 業所数370社,従業者数 7,369人,製造品出荷額等(加工賃) 329億円で,徳 島県の重要な地場産業の一つである。 1985年(昭和 60年)秋以降の円高は既 に減少していた輸出をいっそう停滞させ,圏内市場では輸入品が急増し,競合 が激しくなった。さらに, 1994~ 5 年(平成 6~7 年)の新たな円高を契機と して,この傾向は一層進展するものと思われる。また,最近では消費者ニーズ が多様化し,ファッション化志向が強い反面,価格破壊への期待も強い。その ため,受注面では,一方では多品種・小ロット・短サイクル化等の厳しい対応 が求められると共に,他方では低コスト化への努力が求められている。また, 労働力不足,従業員の高齢化も解決できていない。そのため,高感度・高付加 価値商品の開発と低コスト化の両立やメカトロニクス機器の導入による省力化 などが重要となっているO また,生産と流通との有機的な結合による実需対応 型供給体制の構築も新たな課題となっている。*
本稿は平成 5-'-6年度科学研究費補助金および平成 6年度香川大学教育研究特別経費 の助成を受けた地場産業研究の一部である。 香 川 大 学 経 済 論 叢 第68巻 第 2・3号 1995年11月 211-248徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像
細 川
進
1. 徳島県アパレル縫製産地の動向1
-1
現況 徳島県のアパレ/レ縫製業は, 1993年(平成 5年)の工業統計によれば,事 業所数370社,従業者数 7,369人,製造品出荷額等(加工賃) 329億円で,徳 島県の重要な地場産業の一つである。 1985年(昭和 60年)秋以降の円高は既 に減少していた輸出をいっそう停滞させ,圏内市場では輸入品が急増し,競合 が激しくなった。さらに, 1994~ 5 年(平成 6~7 年)の新たな円高を契機と して,この傾向は一層進展するものと思われる。また,最近では消費者ニーズ が多様化し,ファッション化志向が強い反面,価格破壊への期待も強い。その ため,受注面では,一方では多品種・小ロット・短サイクル化等の厳しい対応 が求められると共に,他方では低コスト化への努力が求められている。また, 労働力不足,従業員の高齢化も解決できていない。そのため,高感度・高付加 価値商品の開発と低コスト化の両立やメカトロニクス機器の導入による省力化 などが重要となっているO また,生産と流通との有機的な結合による実需対応 型供給体制の構築も新たな課題となっている。*
本稿は平成 5-'-6匂度科学研究費補助金および平成 6年度香川大学教育研究特別経費 の助成を受けた地場産業研究の一部である。-212 香川大学経済論叢 1 - 2 製造品出荷額等の推移
1
9
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0
年(昭和5
5
年)からの製造品出荷額等の推移を見ると,園内の好況を 反映して増加傾向が続き,1
9
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である。以後,1
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億円に減少し,さら に1
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と大幅に低下している。 業種別では,婦人・子供服が←貫して伸びており,対1
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で, 産地成長の牽引車になってきた。 下着等は1
9
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年比::1.6
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までは大きく成長したが,その後は 低下傾向が続いている。 作業服・スポーツ用衣料も1
9
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年に対1
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年比1.4
1
と急成長して以来, 多少の波はあるものの,同水準をほぽ維持してきたが,1
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年(平成5
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6
とやや低下している。 男子服はほぼ現状維持に近かったが,1
9
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年(昭和6
3
年)以降急速に低下 している。 │徳島県の製造品出荷額等の推移│ 出所ー徳島県の工業 1400000 1200000 ハ υ n U A U A υ ハ U ︽U ハ V ︽ υ ハU ハ u n U ︽ U ︽ υ A υ n υ ハυ A υ ︽ U ︽ U A U ハ υ ︽ 6 p o a 斗 出 荷 金 額 ( 万 円 ) 200000 ※-下 氏 ♂ o 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 一 一一 f一一一一一一一J 1980 1983 1985 1988 1990 1993 年次 │φ 男 子 服 製 造 業 + 婦 人 子 供 船 十 作 業 服 A*O-7十 学 校 服 " 中 衣H 。下着等,,1 (注),下着等」のデータは秘匿項目を含むため,実際より少なくなっている。 咽司園田 408 -212 香川大学経済論叢 4081
-2
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409 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 213ー 180 160 140 120 指100 数 80 60 40 20
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1980 1983 │徳島県の製造品出荷額等の指数推移│ ×戸川 1980=100 出所.徳島県の工業ーへ¥¥
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(注),下着等」のデータは秘匿項目を含むため,実際より少なくなっている。 中衣は低下傾向にあり, 1988年(昭和 63年)には対 1980年比が 0.47と半 減したが,それ以降やや持ち直している。 学生服は一貫して低下しており, 1993年(平成 5年)には対 1980年比が 0.23 となっている。1
-3
事業所数の推移 1980年(昭和田年)からの事業所数の推移を見ると,やや増加していた が, 1993年(平成 5年)には対 1980年比が 0.93となり,減少している。こ うした全体の動向とは別に,婦人服は増加している(対1980年比::1
.
19)。 409 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 213ー 一 移 一 工 程 一 一 数 一 十 指 一 一 の 一 孟 専 一 二 棚 一 一 荷 一 一 出 一 一 ロ 四 一 一 造 一 ↑ 製 一 ↑ の -示 時 一 昨 一 1980=100 出所・徳島県の工業 180 160 140 120 指100 数 80 60 40 20。
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事業所数の推移 1980年(昭和田年)からの事業所数の推移を見ると,やや増加していた が, 1993年(平成 5年)には対 1980年比が 0.93となり,減少している。こ うした全体の動向とは別に,婦人服は増加している(対1980年比::1
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19)。-214-180 160 140 事120 業 所100 数 _ 80 所 v 60 140 120 100 ハ U ハ U 8 6 指 数 香川大学経済論叢 │徳島県の事業所数の推移│ 出 所 徳 島 県 の 工 業
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411 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 -215-1 -4 従業者数の推移
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-216- 香川大学経済論叢 412 一 移 一 一 推 一 一 数 一 一 也 固-j
一
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一
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日 十 学 絞 服H 獄 中 衣H 乙工主主斗 (注)r下着等」のデータは秘匿項目を含むため,実際より少なくなっている。 1 - 5 全国との比較 徳島県の 1事業所当りの従業員数は, 21
.
5人で,全国平均 (12.4人)より 規模が大きい。しかし,3
0
人以上規模では全国平均が徳島県をやや上回って いる。また1
事業所当り製造品出荷額等およびI
従業員当り製造品出荷額 等は,全国平均と比べて相当低い。特に 4~9 人規模, 10~19 人規模および3
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人以上規模において格差が大きい。 -216- 香川大学経済論叢 412 一 移 一 一 推 一 一 数 一 一 也 固-j
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人以上規模では全国平均が徳島県をやや上回って いる。また1
事業所当り製造品出荷額等およびI
従業員当り製造品出荷額 等は,全国平均と比べて相当低い。特に 4~9 人規模, 10~19 人規模および3
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人以上規模において格差が大きい。OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
413 70000 60000 50000 出 荷 金40000 額 万30000 円 20000 10000 1000 900 800 出 700 2600 額 500
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徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 -217ー │1事業所当たり製造品出荷額等(1992年)I
出所 r檀島県の工聾」且び「工瞳紐澗表産量掴J匝亙亘週
1-3人 4-9人 10-19人 20内29人 30人以上 従業者規模 (i主)徳島県の"、3人j規織は裕匿項目で公表されていない。 │1従業者当たり製造品出荷額等(199 2年)I
出所 f徳島県の工業J且び「工業組針表 産業編J直亙豆豆
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1-3人 4-9人 10---19人 20-29人 30人以上 従業者規模 (i主)徳島県のr,
..,..3人J揖機は硲匿項目で公表されていない" 413 70000 60000 50000 出 荷 金40000 額 万30000 円 20000 10000 1000 900 800 出 700 2600 額 5001
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徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 -217ー │1事業所当たり製造品出荷額等(1992年)I
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1-3人 4-9人 10-19人 20内29人 30人以上 従業者規模 (i主)徳島県の"、3人j規織は裕匿項目で公表されていない。 │1従業者当たり製造品出荷額等(199 2年)I
出所 f徳島県の工業J且び「工業組針表 産業編J直亙豆豆
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数 -30 人 20 10。
直蚕亙王国
1-3人 香川大学経済論叢 414 ~事業所当たり一館員数I瓦司 出所 「徳島県の工業J且び「工業統計表 産量調J 4へ9人 10へ19人 20-29人 30人 以 上 従業者規模 (注)徳島県のfl、3人」規模{主総置項自で公表されていない。 縫 製 品 の 製 造 品 出 荷 額 等 の 推 移 ( 徳 島 県 、 全 事 業 所 ) 業 種 ¥ 年 次 1980 1983 男 子 服 製 造 業 643551 618177 100 96.1 婦人・子供服/ノ 714387 929492 100 130.1 作用業衣服服-製M。サ 505774 710908 造 業 100 140.6 学 校n
li!11 250767 154135 100 61.5 (下着中衣を除ρく ) 352186 100 X 下着等ノノ 592733 775396 100 130.8 計 3059398 3188108 100 104.2 ,、ふ、 1985 1988 533054 625547 82.8 97.2 1020161 1019551 142.8 142.7 587207 688733 116.1 136.2 113155 50040 45.1 20.0 X 166758 47.3 988487 794975 166.8 134.1 3242064 3345604 106.0 I 109.4 ー 盲 徳 島 県 の 工 業 (万円) 1990 1993 477289 389266 74.2 60.5 1274661 1254855 178.4 175.7 742884 636571 146.9 125.9 52391 58599 20.9 23.4 214923 242437 61.0 68.8 I 679052 716358 I 114.6 120.9 3684927 120.4 107.8 11 8 38 0 19 3 1.8 7 4 21 7 100 0 J受η 、 ( 218 70 60 50 従2
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匝蚕亙至司
1-3人 香川大学経済論叢 414 I~ 事業所当たり従業員数 (19 9 2年)I
出所 「徳島県の工業J且 び 「 工 業 統 計 表 産 量 調J 一 一 一 … 一 4へ9人 10へ19人 20-29人 30人以上 従業者規模 (注)徳島県の川、3人」規模{主総置項自で公表されていない。 縫 製 品 の 製 造 品 出 荷 額 等 の 推 移 ( 徳 島 県 、 全 事 業 所 ) 徳 島 県 の 工 業 (万円) 業 種 ¥ 年 次 1980 1983 1985 1988 1990 1993 男 子 服 製 造 業 643551 618177 533054 625547 477289 38~~6~I
100 96.1 82.8 97.2 74.2 60.5 防 人 ・ 子 供 服ρ 714387 929492 1020161 1019551 1274661 1254855 100 130.1 142.8 142.7 178.4 175.7 作[用業衣服服製1事。サ 505774 710908 587207 688733 742884 636571 造 業 100 140.6 116.1 136.2 146.9 125.9 学 校n
i!l11 250767 154135 113155 50040 52391 58599 100 61.5 45.1 20.0 20.9 23.4 {下中着衣を除ρく } 352186 100 X X 166758 47.3 214923 61.0 242437 68.8 1 下着等ノノ 592733 775396 988487 794975 679052 716358 1 100 130.8 166.8 134.1 114.6 120.9 計 3059398 3188108 3242064 3345604 3684927 3298266 1001 104.2 106.0 I 109.4 I 120.4 107.8 1.'.4-、~黄世主宜,-恒耳"四百千百t:I~..,d...,‘ ~ , - " , ,1、.../ .... --...,同首、守 11.8 38 0 193 1.8 7 4 21 7 100 0OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
415 徳 島 県 ア パ レ ル 縫 製 産 地 の 動 向 と 未 来 像 219-縫 製 品 の 事 業 所 数 の 推 移 ( 徳 島 県 、 全 事 業 所 ) 徳 島 県 の 工 業 (所) 980 1983 1985 1988 1990 1993 34 47 36 38 39 32 8 6 100.0 138.2 105.9 111.8 114.7 94.1 134 164 152 169 170 159 43 0 100.0 122.4 113.4 126.1 126.9 118.7 89 102 93 102 88 65 17 6 100.0 114.6 104.5 114.6 98.9 73.0 16 12 12 8 6 6 1 6 100.0 75.0 75.0 50.0 37.5 37.5 41 39 23 23 25 20 5 4 100.0 95.1 56.1 56.1 61.0 48.8 83 99 101 101 90 88 23 8 100.0 119.3 121.7 121.7 108.4 106.0 E干 397 463 417 441 418 370 100 0 100.0 116.6 105.0 111.1 105.3 93.2 縫 製 品 の 従 業 者 数 の 推 移 ( 徳 島 県 、 全 事 業 所 ) 徳 島 県 の 工 業 (人) 1980 1983 1985 1988 1990 1993 1540 1509 1362 1326 1141 824 11 2 100 98.0 88.4 86.1 74.1 53.5 人 子 供 服
"
1
2937 3057 2878 3035 3013 2764 37 5 100 104.1 98.0 103.3 102.6 94.1 1971 2158 1823 2113 1848 1493 20 3 100 109.5 92.5 108.7 93.8 75目7 423 355 311 178 162 163 2 2 100 83.9 73.5 42.1 38.3 38.5 1300 X X 568 662 559 7 6 100 43.7 50.9 43.0 1724 1776 2070 1714 1097 1566 21 3 100 103.0 120.1 99.4 63.6 90.8 iit 側 8855 8444 8964 8488 7369 100 100 89.5 85.3 90.6 85.8 74.5 (注)下着等のデ タ は 秘 匿 項 目 を 含 み 、 実 際 よ り 少 な く な っ て い る 縫 製 業 の 従 業 者 規 模 別 デ タ ( 1992年 ) 徳 島 県 uニ立ム iニ♀ム 国 1-~人合 議
担 ニi旦ム 迎会長,L 徳 島 県 の 工 業 及び 工 業 統 計 表 産 業 編昌 一 一 一 一
317197 715032 941656 2235424 ι盟 組2 19136100 69523700 71200300 70987400 269544500 500392000 415 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 縫 製 品 の 事 業 所 数 の 推 移 ( 徳 島 県 、 全 事 業 所 ) 徳 島 県 の 工 業 (所)高討議
1980 1983 1985 1988 1990 1993 34 47 36 38 39 321 100.0 138.2 105.9 111. 8 114.7 94.1 嘉 ス ・ 子 供sIlI/ 134 164 152 169 170 159 100.0 122.4 113.4 126.1 126.9 118.7存ー-薬$服校・ß~
付。 ヲ 89 102 93 102 88 65 造 業 100.0 114.6 104.5 114.6 98.9 73.0 学 校 グ 16 12 12 8 6 6 100.0 75.0 75.0 50.0 37.5 37.5 何て下笠中着ゑ衣等隆グρ 五) 41 39 23 23 25 20 100.0 95.1 56.1 56.1 61.0 48.8 下着 83 99 101 101 90 88 100.0 119.3 121. 7 121. 7 108.4 106.0 計 397 463 417 441 418 370 100.0 116.6 105.0 111. 1 105.3 93.2 縫 製 品 の 従 業 者 数 の 推 移 ( 徳 島 県 、 全 事 業 所 ) 徳 島 県 の 工 業 (人) ヨE稲 ¥ 年 次 1980 1983 1985 1988 1990 1993 男 子 服 製 造 業 1540 1509 1362 1326 1141 100 98.0 88.4 86.1 74.1 53.5 婦人 子供服グ 2937 3057 2878 3035 3013 100 104.1 98.0 103.3 102.6 94.1 作用業衣服服-製;W造 業ヴ 1910701 109.5 2158 92.5 1823 108.7 2113 93.8 1848 1493 75 I 目7 学校服グ 423 355 311 178 162 163 100 83.9 73.5 42.1 38.3 38.5 (下着中衣を除グ く) 1310000 X X 43.7 568 50.9 662 43.0 下着等グ 1724 1776 2070 1714 1097 1566 100 103.0 120.1 99.4 63.6 90.8 計 9895 8855 8444 8964 8488 7369 100 89.5 85.3 90.6 85.8 74.5 ( 注 ) 下 着 等 の デ ー タ は 秘 匿 項 目 を 含 み 、 実 際 ま 万 予7なミ去っている 縫 製 業 の 従 業 者 規 模 別 デ タ ( 1992年 ) 徳 島 県 の 工 業 及び 工 業 統 計 表 産 業 編 219-8 6 43 0 17 6 1 6 5 4 238 100 0 11 2 375 20 3 2 2 7 6 21 3 100 事 業i所所数) 従 業f者人数} 製造品出(荷万額同等) 口l事出荷業所額等当(り万製円造) nll従出荷業額者等当{りJ製円造)1版1事業業員所数(当人り) 徳 島 県 1 -3人 4 -9人 126 835 317197 2511 4 3799 66 10-19 138 1921 115032 5181.4 3722 139 20-29人 19 1884 941656 11919 1 499.8 23 8 30人 且 上 62 4050 2235424 36055 2 5520 653 計 405 8690 4209309 10393.4 484.4i 21.5 全国 1 -3人 18448 40065 19136100 10313 411 6 2.2 4-9人 16115 99312 69523700 4298 2 699.6 61 10-19人 6558 90568 11200300 10851.0 ill:T1 138 20-29人 3414 84683 10981400 204339 838:3l 24.4 30 白上 4119 292433 269544500 644998 9211 10.0 計 48834 607121 500392000 10246.8 824.2 12.4220- 香川大学経済論議 416 2. 徳島県アパレノレ縫製産地の未来像
2
-1
生活文化的商品創りを目指す アパレル縫製品はもはや単なる機能商品ではなく,λ
々の生活文化と結び付 いた文化的商品ごある。わが国の経済が成長し,豊かな社会になるにともなっ て,人々の意識からは,衣料は生活必、需品として量的充足を求める商品、では無 くなっている。高賃金化,余暇の増大,長寿化等は,時間的にも空間的にも, 「ゆとり」を生み出し,人々に生活様式の変化をもたらしている。 人々は r生活者」としての意識に芽生え,生活者としての人生目標を持ち, 生活者としての担会に対する要求を強く持つようになった。新しい価値観を持 ち,自分の人生を生きょうとする。彼らの要求は個性化し,多様化している。 その結果,人々の衣料に対する要求は急速に大きく変化した。多量生産され た普及品ではなく,各自の個性にあった衣料を求めるようになっている。需要 の多様化,高級化,ファッション化,感性化,高感度化などと呼ばれる状況に なっている。しかも,これらの製品の国内市場は非常に大きく,開拓の余地が 十分にある。 このような状況変化に対して,いつまでも旧感覚で量産普及品を生産した り,あるいは,需要動向とは無関係な商品作りを進めていては,生活者として の消費者の要求に応えることはできない。また,状況変化に受動的に時間的に 遅れて対応しでも,需要動向が急速でb激しく変化する場合には,取り残される ことになろう。 アパレル縫製業はこのような状況変化に最も適応可能な業種の一つでトあり, それ故に,積極的に対応しなければならない。すなわち,アパレル縫製ー業は, 消費者需要の変化の激しい時代であるからこそ,その存在を明確に示す時期が きている。すなわち rこうした状況のもとで,時代は,産業側に対し顕在化 した需要の変化に受動的に対応するのみでなく,生活者の潜在的需要に対して 生き生きとした提案を行うことにより,消費者との相互交流を通じて新たな生 活様式,生活文化を生み出す「生活文化提案型産業」へと脱皮することを求め-
P 220- 香川大学経済論議 416 2. 徳島県アパレノレ縫製産地の未来像2
-1
生活文化的商品創りを目指す アパレル縫製品はもはや単なる機能商品ではなく,λ
々の生活文化と結び付 いた文化的商品ごある。わが国の経済が成長し,豊かな社会になるにともなっ て,人々の意識からは,衣料は生活必、需品として量的充足を求める商品、では無 くなっている。高賃金化,余暇の増大,長寿化等は,時間的にも空間的にも, 「ゆとり」を生み出し,人々に生活様式の変化をもたらしている。 人々は r生活者」としての意識に芽生え,生活者としての人生目標を持ち, 生活者としての担会に対する要求を強く持つようになった。新しい価値観を持 ち,自分の人生を生きょうとする。彼らの要求は個性化し,多様化している。 その結果,人々の衣料に対する要求は急速に大きく変化した。多量生産され た普及品ではなく,各自の個性にあった衣料を求めるようになっている。需要 の多様化,高級化,ファッション化,感性化,高感度化などと呼ばれる状況に なっている。しかも,これらの製品の国内市場は非常に大きく,開拓の余地が 十分にある。 このような状況変化に対して,いつまでも旧感覚で量産普及品を生産した り,あるいは,需要動向とは無関係な商品作りを進めていては,生活者として の消費者の要求に応えることはできない。また,状況変化に受動的に時間的に 遅れて対応しでも,需要動向が急速でb激しく変化する場合には,取り残される ことになろう。 アパレル縫製業はこのような状況変化に最も適応可能な業種の一つでトあり, それ故に,積極的に対応しなければならない。すなわち,アパレル縫製ー業は, 消費者需要の変化の激しい時代であるからこそ,その存在を明確に示す時期が きている。すなわち rこうした状況のもとで,時代は,産業側に対し顕在化 した需要の変化に受動的に対応するのみでなく,生活者の潜在的需要に対して 生き生きとした提案を行うことにより,消費者との相互交流を通じて新たな生 活様式,生活文化を生み出す「生活文化提案型産業」へと脱皮することを求めOLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
417 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 221 ている。 J (新繊維ビジョン)のである。 アパレノレ縫製品は新しい時代の要請を最も速く強く受ける商品であるから, アパレル縫製企業はこれに応えることが出来なければ,淘汰されるだろう。逆 に,適切に対応できれば,大きく飛躍することが出来る。すなわち,アパレル 縫製品については,消費者は生活者としての要求の充足を強く求めており,よ り高感度,より高品質,より個性的な商品を噌好品として求めている。アパレ lレ縫製企業は,こうした要請に応えること以外に,自己の存立基盤を求めるこ とはできない。アパレノレ縫製産業・アパレノレ縫製企業こそが,他産業に先駆け て r生活文化提案型産業」または「生活文化提案型企業」に脱皮することが 必要で、ある。 徳島県アパレル縫製産地は,従来からアパレノレ縫製品の優れた供給基地とし て存立してきたが,上記のような環境変化に即刻対応し r生活文化提案型産 地」に自己変革を遂げることが必須である。 幸いにも,徳島県アパレノレ縫製産地を巡る環境変化は,非常に有利なもので ある。平成9年に完成する明石海峡大橋は徳島県を近畿圏中枢部と直結させる ことになる。このことは,近畿圏の多量の消費者とのパイプを直結させること になれ需要動向の変化等の把握をより容易にするであろう。また,徳島県は 平成2年度に r3000日の徳島戦略」を策定し,インフラ整備に務めている。 その中でも,リゾート・観光開発の推進や徳島市中心市街地の再開発,徳島駅 ・鳴門駅周辺地域の再開発などは,県内外からの旅行者・消費者の涜入を増大 させ,行動を活発化させる。徳島県もファッション都市の様相を帯びるであろ うO このことは,生活文化提案型をめざすアパレル縫製企業にとってきわめて 有益な多くの情報をもたらしてくれるであろう。徳島県アパレル縫製企業が「生 活文化提案型企業」に変身する条件は既に整っているO
2
-2
生活文化提案型の製品開発体制を確立する アパレル業界では,従来,主として商品の企画・販売を担当する「アパレル メーカー」ともっぱら縫製を受け持つ「アパレノレ縫製・企業」とに二分している。 417 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 221 ている。 J (新繊維ビジョン)のである。 アパレノレ縫製品は新しい時代の要請を最も速く強く受ける商品であるから, アパレル縫製企業はこれに応えることが出来なければ,淘汰されるだろう。逆 に,適切に対応できれば,大きく飛躍することが出来る。すなわち,アパレル 縫製品については,消費者は生活者としての要求の充足を強く求めており,よ り高感度,より高品質,より個性的な商品を噌好品として求めている。アパレ lレ縫製企業は,こうした要請に応えること以外に,自己の存立基盤を求めるこ とはできない。アパレノレ縫製産業・アパレル縫製企業こそが,他産業に先駆け て r生活文化提案型産業」または「生活文化提案型企業」に脱皮することが 必要である。 徳島県アパレル縫製産地は,従来からアパレノレ縫製品の優れた供給基地とし て存立してきたが,上記のような環境変化に即刻対応し r生活文化提案型産 地」に自己変革を遂げることが必須である。 幸いにも,徳島県アパレノレ縫製産地を巡る環境変化は,非常に有利なもので ある。平成9年に完成する明石海峡大橋は徳島県を近畿圏中枢部と直結させる ことになる。このことは,近畿圏の多量の消費者とのパイプを直結させること になれ需要動向の変化等の把握をより容易にするであろう。また,徳島県は 平成2年度に r3000日の徳島戦略」を策定し,インフラ整備に務めている。 その中でも,リゾート・観光開発の推進や徳島市中心市街地の再開発,徳島駅 ・鳴門駅周辺地域の再開発などは,県内外からの旅行者・消費者の涜入を増大 させ,行動を活発化させる。徳島県もファッション都市の様相を帯びるであろ うO このことは,生活文化提案型をめざすアパレル縫製企業にとってきわめて 有益な多くの情報をもたらしてくれるであろう。徳島県アパレル縫製企業が「生 活文化提案型企業」に変身する条件は既に整っているO2
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生活文化提案型の製品開発体制を確立する アパレル業界では,従来,主として商品の企画・販売を担当する「アパレル メーカー」ともっぱら縫製を受け持つ「アパレノレ縫製-企業」とに二分しているO417 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 221 ている。 J (新繊維ビジョン)のである。 アパレノレ縫製品は新しい時代の要請を最も速く強く受ける商品であるから, アパレル縫製企業はこれに応えることが出来なければ,淘汰されるだろう。逆 に,適切に対応できれば,大きく飛躍することが出来る。すなわち,アパレル 縫製品については,消費者は生活者としての要求の充足を強く求めており,よ り高感度,より高品質,より個性的な商品を噌好品として求めている。アパレ lレ縫製企業は,こうした要請に応えること以外に,自己の存立基盤を求めるこ とはできない。アパレノレ縫製産業・アパレル縫製企業こそが,他産業に先駆け て r生活文化提案型産業」または「生活文化提案型企業」に脱皮することが 必要である。 徳島県アパレル縫製産地は,従来からアパレノレ縫製品の優れた供給基地とし て存立してきたが,上記のような環境変化に即刻対応し r生活文化提案型産 地」に自己変革を遂げることが必須である。 幸いにも,徳島県アパレノレ縫製産地を巡る環境変化は,非常に有利なもので ある。平成9年に完成する明石海峡大橋は徳島県を近畿圏中枢部と直結させる ことになる。このことは,近畿圏の多量の消費者とのパイプを直結させること になれ需要動向の変化等の把握をより容易にするであろう。また,徳島県は 平成2年度に r3000日の徳島戦略」を策定し,インフラ整備に務めている。 その中でも,リゾート・観光開発の推進や徳島市中心市街地の再開発,徳島駅 ・鳴門駅周辺地域の再開発などは,県内外からの旅行者・消費者の涜入を増大 させ,行動を活発化させる。徳島県もファッション都市の様相を帯びるであろ うO このことは,生活文化提案型をめざすアパレル縫製企業にとってきわめて 有益な多くの情報をもたらしてくれるであろう。徳島県アパレル縫製企業が「生 活文化提案型企業」に変身する条件は既に整っているO
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生活文化提案型の製品開発体制を確立する アパレル業界では,従来,主として商品の企画・販売を担当する「アパレル メーカー」ともっぱら縫製を受け持つ「アパレノレ縫製-企業」とに二分しているOOLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
419 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 -223-業」が成長発展していくためには,商品企画力を持つ真の「アパレル縫製企業」 に変身する努力が求められる。
2-3
アパレル市場に直結した実需対応型供給体制を構築する アパレ/レ縫製企業の生きる道は,商品開発による高感度・高付加価値商品の 提供である。しかし,これも従来の縫製中心主義の志向では対応は困難であり, 供給体制の整備確立が伴わなければならない。すなわち,需要の変化に,多品 種・少量・短サイクノレ化で果敢に対応する生産供給体制の構築が必須である。 「新しい実需対応型供給体制とは, (a)消費者需要の把握に基づく供給側の提 案とこれに対する需要側の選択によって実需を顕在化させるとともに, (b)リー ドタイムを短縮化するクイック・レスポンス体制を確立することにより,実需 に対応した商品が廉価で、,適時・適量,供給される新たな仕組みであり,具体 的には, (a)川下の販売面で収集しうる情報と結びつき,消費者需要を的確に把 握しつつ, (b)商品企画に携わる者の感牲を十分に活かすことにより,消費者の 潜在的な需要を顕在化させる商品企画を行い, (c)多様な品目について適切な価 格で生産・販売できる能力を持ち,その物流・品質を管理できること等の多様 な機能によって特徴づけられる。 J (新繊維ビジョン) このような実需対応型供給体制を構築しようとすれば,①情報収集機能,② 商品企画開発機能,③情報発信機能,④多品種少量対応機能,⑤クイックレス ポンス機能等の多様な機能を遂行しなければならない。しかし,徳島県アパレ ノレ縫製企業は,残念ながらこれらの機能を持ち合わせていないものが多い。す なわち,徳島県アパレル縫製業界は,現状のままでは,アパレル業界が実需対 応型供給体制に移行した場合,大きく取り残される危険性が強い。したがって, 現有の経営資源のみでは実需対応型供給体制を構築できない企業は,グループ 化して実需対応型補完連携(LPU)を推進し,体質強化を図る必要がある。 2 - 4 都市郊外型(サテライト型)アパレ/レ縫製産地を形成する アパレル縫製産地は,単に安価な労働力を使い,安く作れば良いという段階 419 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 -223-業」が成長発展していくためには,商品企画力を持つ真の「アパレル縫製-企業」 に変身する努力が求められる。2-3
アパレル市場に直結した実需対応型供給体制を構築する アパレ/レ縫製企業の生きる道は,商品開発による高感度・高付加価値商品の 提供である。しかし,これも従来の縫製中心主義の志向では対応は困難であり, 供給体制の整備確立が伴わなければならない。すなわち,需要の変化に,多品 種・少量・短サイクノレ化で果敢に対応する生産供給体制の構築が必須である。 「新しい実需対応型供給体制とは, (a)消費者需要の把握に基づく供給側の提 案とこれに対する需要側の選択によって実需を顕在化させるとともに, (b)リー ドタイムを短縮化するクイック・レスポンス体制を確立することにより,実需 に対応した商品が廉価で、,適時・適量,供給される新たな仕組みであり,具体 的には, (a)川下の販売面で収集しうる情報と結びつき,消費者需要を的確に把 握しつつ, (b)商品企画に携わる者の感性を十分に活かすことにより,消費者の 潜在的な需要を顕在化させる商品企画を行い, (c)多様な品目について適切な価 格で生産・販売できる能力を持ち,その物流・品質を管理できること等の多様 な機能によって特徴づけられる。 J (新繊維ビジョン) このような実需対応型供給体制を構築しようとすれば,①情報収集機能,② 商品企画開発機能,③│育報発信機能,④多品種少量対応機能,⑤クイックレス ポンス機能等の多様な機能を遂行しなければならない。しかし,徳島県アパレ ノレ縫製企業は,残念ながらこれらの機能を持ち合わせていないものが多い。す なわち,徳島県アパレル縫製業界は,現状のままでは,アパレル業界が実需対 応型供給体制に移行した場合,大きく取り残される危険性が強い。したがって, 現有の経営資源のみでは実需対応型供給体制を構築できない企業は,グループ 化して実需対応型補完連携(LPU)を推進し,体質強化を図る必要がある。 2 - 4 都市郊外型(サテライト型)アパレル縫製産地を形成する アパレル縫製産地は,単に安価な労働力を使い,安く作れば良いという段階-224 香川大学経済論議' 420 は既に終わっているO アパレル縫製品は,ファッション製品であり,それを身 につける人々の生活文化を反映するものである。したがって,理想的には使用 される所で作られるべき物である。(日本製品が安価な海外製品に対抗できる 基盤がここにある。)その意味では,大消費地で,消費者の意向を直ちに反映 させて生産することが有利ごある。幸いにも徳島県は近畿圏に近く,そこから 多くの情報を得ていたが,平成9年度には,明石海峡大橋の完成によって近畿 圏と一体化する。徳島県は大消費地である京都市・大阪市・神戸市の郊外に位 置することになる。これはアパレノレ縫製企業にとってはきわめて有利な環境変 化であり,これを先取りする対応が重要で、ある。 メリットの第一点は,情報の受信・発信が容易になることである。消費者の ニーズが多様化し,また,急速に変化する時代には,-作ったものを売る」段 階から「売れるものを作る」段階になっているO この段階では,アパレノレ縫製 企業は消費者がアパレル縫製品に求める文化や感性を製品に反映させ,しか も,人々の個人的な購買行動に柔軟に対応しなければならない。まさに消費者 の欲する製品をジャストインタイムで提供しなければならない。 徳島県アパレノレ縫製企業にとっては,近畿圏に「アンテナ工房」を設立し, 情報の受信・発信を促進することが可能になる。ここでは徳島工場にCAD/ CAMシステムの端末機がおかれ,購買者の意向を反映させた設計を行い,そ の情報に基づいて徳島で生産が行われ,翌日には明石A海峡大橋を渡って配送が 行われることも可能になろう。これらの情報は,今後の商品企画に反映され, 自社ブランド商品として広く消費者にむけて送り出される。あるいは,
OEM
商品として大手アパレノレメーカーに売り込まれる。アパレルメーカ一志向型縫 製企業にとっては,大都市の郊外に立地できることのメリットは大きい。 多くのアパレJレ縫製企業にとっても,大きなメリットがある。親企業あるい は取引先企業のクイックレスポンス体制に参加し,より有利な地位を占めるこ とが可能となる。その要件の第一は,工場としての能力であり,自明のことで ある。第二の要件は,情報提供力である。すなわち,親企業の商品企画への参 画である。この力をつけるためには,アパレノレメーカー志向型縫製企業の場合 唖司田 -224 香川大学経済論叢 420 は既に終わっているO アパレル縫製品は,ファッション製品であり,それを身 につける人々の生活文化を反映するものである。したがって,理想的には使用 される所で作られるべき物である。(日本製品が安価な海外製品に対抗できる 基盤がここにある。)その意味では,大消費地で,消費者の意向を直ちに反映 させて生産することが有利である。幸いにも徳島県は近畿圏に近く,そこから 多くの情報を得ていたが,平成9年度には,明石海峡大橋の完成によって近畿 圏と一体化する。徳島県は大消費地である京都市・大阪市・神戸市の郊外に位 置することになる。これはアパレノレ縫製企業にとってはきわめて有利な環境変 化であり,これを先取りする対応が重要で、ある。 メリットの第一点は,情報の受信・発信が容易になることである。消費者の ニーズが多様化し,また,急速に変化する時代には,-作ったものを売る」段 階から「売れるものを作る」段階になっているO この段階では,アパレノレ縫製 企業は消費者がアパレル縫製品に求める文化や感性を製品に反映させ,しか も,人々の個人的な購買行動に柔軟に対応しなければならない。まさに消費者 の欲する製品をジャストインタイムで提供しなければならない。 徳島県アパレノレ縫製企業にとっては,近畿圏に「アンテナ工房」を設立し, 情報の受信・発信を促進することが可能になる。ここでは徳島工場にCAD/ CAMシステムの端末機がおかれ,購買者の意向を反映させた設計を行い,そ の情報に基づいて徳島で生産が行われ,翌日には明石a海峡大橋を渡って配送が 行われることも可能になろう。これらの情報は,今後の商品企画に反映され, 自社ブランド商品として広く消費者にむけて送り出される。あるいは,OEM
商品として大手アパレルメーカーに売り込まれる。アパレルメーカ一志向型縫 製企業にとっては,大都市の郊外に立地できることのメリットは大きい。 多くのアパレJレ縫製企業にとっても,大きなメリットがある。親企業あるい は取引先企業のクイックレスポンス体制に参加し,より有利な地位を占めるこ とが可能となる。その要件の第一は,工場としての能力であり,自明のことで ある。第二の要件は,情報提供力である。すなわち,親企業の商品企画への参 画である。この力をつけるためには,アパレノレメーカー志向型縫製企業の場合OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 225-と同様の努力が必要である。第三の要件は,クイックデリパリーである。郊外 に立地することは,遠隔地に立地することに比べて,きわめて有利である。 徳島県アパレル縫製業界にとって,明石海峡大橋のメリットはきわめて大き い。今この効果を先取りする必要がある。そのためには,-近畿圏の郊外」で あることを自ら意識すると共に,親企業あるいは取引先企業に対して,-都市 郊外型(サテライト型)縫製産地」としての特徴を情報発信する必要がある。 「都市郊外型(サテライト型)アパレノレ縫製産地」として産地アイデンティ ティを確立することが重要である。
2-5
地域社会との再結合をはかる アパレル縫製業は労働集約型産業であり,徳島県においてこの産業が発展し てきたのは,豊富で安価な労働力が存在したからである。すなわち,アパレ/レ 縫製業は,徳島県においては,地域の労働力を吸収して産地を形成し,地域経 済の牽引車として重要な役割を果たしてきた。しかし,高度成長期には,全国 的に労働賃金は上昇し,労働者の大企業や他産業への,特に大都市への流出傾 向が生じたが,アパレノレ縫吟製産地では労働賃金をあげ,あるいは作業条件を改 善することが出来なかったために,これに歯止めをかけることが出来なかっ た。その結果,現在では,深刻な労働者不足が生じている。 これを地域在会の視点からみれば,地域のアパレノレ縫製業への価値観が変化 したことである。就業者の他産業への流出および新卒採用者の減少はその印で あり,いわば,安価な労働に対する地域社会の反撃である。従来は時代的な制 約もあって,人々の意識にのぼらなかったことも,時代の推移と共に,明確な 要求となって現れてくる。アパレル縫製業が今後も地域と結び付いて存続・成 長していくためには,地域の要求に応えて,古い理念を捨て,新しい理念のも とで,産地として再生・発展を図る努力が必要である。 新しい理念は,低賃金・長時間労働の暗いイメージを払拭したものでなけれ ばならない。企業のイメージとしては,高賃金政策,先端機器が活躍する明る い現代的な職場,地域在会への貢献等が重要である。就業者のイメージとして 421 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 225-と同様の努力が必要である。第三の要件は,クイックデリパリーである。郊外 に立地することは,遠隔地に立地することに比べて,きわめて有利である。 徳島県アパレル縫製業界にとって,明石海峡大橋のメリットはきわめて大き い。今この効果を先取りする必要がある。そのためには,-近畿圏の郊外」で あることを自ら意識すると共に,親企業あるいは取引先企業に対して,-都市 郊外型(サテライト型)縫製産地」としての特徴を情報発信する必要がある。 「都市郊外型(サテライト型)アパレノレ縫製産地」として産地アイデンティ ティを確立することが重要である。2-5
地域社会との再結合をはかる アパレル縫製業は労働集約型産業であり,徳島県においてこの産業が発展し てきたのは,豊富で安価な労働力が存在したからである。すなわち,アパレ/レ 縫製業は,徳島県においては,地域の労働力を吸収して産地を形成し,地域経 済の牽引車として重要な役割を果たしてきた。しかし,高度成長期には,全国 的に労働賃金は上昇し,労働者の大企業や他産業への,特に大都市への流出傾 向が生じたが,アパレノレ縫製産地では労働賃金をあげ,あるいは作業条件を改 善することが出来なかったために,これに歯止めをかけることが出来なかっ た。その結果,現在では,深刻な労働者不足が生じている。 これを地域在会の視点からみれば,地域の、アパレノレ縫製業への価値観が変化 したことである。就業者の他産業への流出および新卒採用者の減少はその印で あり,いわば,安価な労働に対する地域社会の反撃である。従来は時代的な制 約もあって,人々の意識にのぽらなか、ったことも,時代の推移と共に,明確な 要求となって現れてくる。アパレル縫製業が今後も地域と結び付いて存続・成 長していくためには,地域の要求に応えて,古い理念を捨て,新しい理念のも とで,産地として再生・発展を図る努力が必要である。 新しい理念は,低賃金・長時間労働の暗いイメージを払拭したものでなけれ ばならない。企業のイメージとしては,高賃金政策,先端機器が活躍する明る い現代的な職場,地域在会への貢献等が重要、である。就業者のイメージとして一一「現時
226 香川大学経済論叢 422 は,働きがいのある誇りの持てる職場,文化的な職場環境,余暇と生活を重視 する雰囲気等'''C'ある。 こうした新しい理念に基づく新しいアパレル縫製業のもとで、は,産業と地域 社会が,企業と従業員・下請企業・家庭内職者が新しい連帯関係を結び,真の 共同体を形成することが出来るであろう。そして,この新しい連帯から生じる 種々の活動は,逆に新理念の完成や新産地の再形成を促進するという相乗効果 を持つことになる。 そのためには,第ーには,各企業が実需対応型の生産供給体制を確立して付 加価値を高めることが必要である。そうなれば,就業者に短時間労働,高賃金, 高福祉をもたらすことが出来,それによって,就業者は進んで生活を重視し, 余暇を楽しみ,生涯教育に取り組むことが出来る。 第こには,産地の新しい理念やそれに基づく新しい行動を産地の共有財産と し,地域の理解を得ることによって,産地のアイデンティティの確立を図らな ければならない。新しい変容も,それが地域で認知されなければ,意味を持た ないからである。そのためには,地域住民と行動を共にするイベントを行うこ とも一つの方法である。産地アイデンティティの確立に成功すれば,地域から の人材の確保も容易になり,また逆に,地域経済へも貢献できるという相乗効 果が期待できる。地域の中核産業への復権を目指す試みが重要である。3
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徳島県アパレル縫製企業の未来像3
-1
自社の将来像を明確にする 徳島県のアパレル縫製企業が現在おかれている状況は極めて多様である。例 えば,企業規模,製品・市場,開発・製造・販売機能,受注ロット,取引先, 経営資源の蓄積,経営者の意欲等をみても,それぞれ異なっている。したがっ て,個々の企業の未来像を画一的に設定することは出来ない。今後の徳島県ア パレル縫製産地においても,個々の企業は個性的に多様に存在できる。 ここでは,徳島県アパレル縫製企業の近未来像を,①経営活動が自立的か・ 受動的かという次元,および,②開発・製造(縫製) ・販売のいずれの機能を 226← 香川大学経済論叢 422 は,働きがいのある誇りの持てる職場,文化的な職場環境,余暇と生活を重視 する雰囲気等、である。 こうした新しい理念に基づく新しいアパレル縫製業のもとでは,産業と地域 社会が,企業と従業員・下請企業・家庭内職者が新しい連帯関係を結び,真の 共同体を形成することが出来るであろう。そして,この新しい連帯から生じる 種々の活動は,逆に新理念の完成や新産地の再形成を促進するという相乗効果 を持つことになる。 そのためには,第ーには,各企業が実需対応型の生産供給体制を確立して付 加価値を高めることが必要である。そうなれば,就業者に短時間労働,高賃金, 高福租をもたらすことが出来,それによって,就業者は進んで生活を重視し, 余暇を楽しみ,生涯教育に取り組むことが出来る。 第こには,産地の新しい理念やそれに基づく新しい行動を産地の共有財産と し,地域の理解を得ることによって,産地のアイデンティティの確立を図らな ければならない。新しい変容も,それが地域で認知されなければ,意味を持た ないからである。そのためには,地域住民と行動を共にするイベントを行うこ とも一つの方法である。産地アイデンティティの確立に成功すれば,地域から の人材の確保も容易になり,また逆に,地域経済へも貢献できるという相乗効 果が期待できる。地域の中核産業への復権を目指す試みが重要である。 3. 徳島県アパレル縫製企業の未来像3
-1
自社の将来像を明確にする 徳島県のアパレ/レ縫製企業が現在おかれている状況は極めて多様でトある。例 えば,企業規模,製品・市場,開発・製造・販売機能,受注ロット,取引先, 経営資源の蓄積,経営者の意欲等をみても,それぞれ異なっている。したがっ て,個々の企業の未来像を画一的に設定することは出来ない。今後の徳島県ア パレル縫製産地においても,個々の企業は個性的に多様に存在できる。 ここでは,徳島県アパレル縫製企業の近未来像を,①経営活動が自立的か・ 受動的かという次元,および,②開発・製造(縫製) ・販売のいずれの機能をOLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
423 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 -227ー 担当しているかという次元で類型化を試みた。 また,その他にも,③高感度商品・普及品という次元,④多品種少量生産・ 少品種多量生産という次元などが重要であるが,後のいくつかの項で検討して いる。 受 動 的 受動的縫製志向型企業 受動的開発志向型企業 受動的アパレルメーカー 志向型企業 自 立 的 自立的縫製志向型企業 自立的開発志向型企業 自立的アパレルメーカー 志向型企業 第一の次元は,現在の徳島県アパレノレ縫製企業の多くが下請企業である現状 にかんがみ r受動的」か r自立的」かの次元をとり,①現状に満足し,ある いは,やむを得ず下請企業としてアパレノレメーカーあるいは親企業の指示にし たがって受動的に受託生産を行う「受動的」企業と,②下請加工型企業の現状 に満足せず,自社製品の開発や親企業との対等のパートナーになることを目指 す「自立的」企業に類型化した。 第二の次元は,現在の徳島県アパレノレ縫製企業の多くが縫製機能中心の現状 を踏まえ,それに「付加すべき機能」は何かという視点から,次の3つに類型 化した。すなわち, ①縫製に徹して,機械化,合理化を進めて,生き残ろうとする「縫製志向型企業」 ②開発力を強化・拡充し,商品を提案できることを目指す「開発志向型企業」 ③自担ブランド商品を開発い販売ネットワークを開拓して自立化を目指す 「アパレ/レメーカー志向型企業」 である。 徳島県アパレノレ縫製企業は,現在の経営資源、の蓄積度,経営環境の好意度, 革新(成長発展)への意欲度などを勘案して,自社の未来像を確定し,それを 実現するための経営戦略を策定し,実行する努力が必須である。 もしこうした努力を行わなければ,あるいは,努力が実らなければ,近い将 423 徳島県アパレル縫製産地の動向と未来像 -227ー 担当しているかという次元で類型化を試みた。 また,その他にも,③高感度商品・普及品という次元,④多品種少量生産・ 少品種多量生産という次元などが重要であるが,後のいくつかの項で検討して いる。