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高知県下の市町村の予算編成過程--1992年の調査---香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

−、よゴー

高知県下の市町村の予算編成過程

−1992年の調査一

西 山 一 郎

Ⅰ.はじめに。ⅠⅠ.平成4年度の当初予算の概要。ⅠⅠⅠ.調査の概要。ⅠⅤ.間1から 間10の分析。Ⅴ.間11から間17の分析。ⅤⅠ.間18から間24の分析。ⅤIl.むすび。 資料1.「高知県下の市町村の予算編成過程についての調査票ム資料2.単純集計 表。資料3.クロス集計表。 Ⅰ

この調査の目的は,高知県下の市町村の予算編成過程の特徴ならびに行政と

議会や住民との関係を解明することである。1)私は,1990年に,香粧県下の市

町の予算編成過程に関する調査2)を行ったが,今回の調査は,それに続くもの

である。尤も,前回の調査の経験や高知県下の事前の予備調査も踏まえて,質

問項目にいくつかの点で改良を加えたところがあるので,全面的な比較は無理

であろうが,香川県下の調査との比較が若干は出来るであろう。

ところで,いま述べたように今回の調査は,第2回目の試みであるが,香川

1)この調査は,後に見るように,きわめて成功掛こ行うことが出来たが,それは,何より も,高知県下の市町村の財政主管課長ならびに関係職員の方々のご協力の賜であり,心か ら感謝したい。また,この調査を行うにあたって特別にお世話になった方々は,高知県企 画部参事・井上光正氏,高知県総務部地方課財政第一朝長・山中哲雄氏,高知市企画部次 長財政課長・川村行宏氏,高知市企画部財政課課長補佐・山下 司氏,伊野町役場総務課 主事・山崎豊久氏,土佐山村役場総務課長・永野文明氏,香川大学経済学部長・坪井昭彦 先生,経済学部教授・大薮和雄先生,経済学部助手・西尾富美子さん,同・横田幹子さん であり,心からお礼を申し上げたい。なお,回答の集計や作図は,今回も,西尾さんが担 当して下さった。 2)この調査については,拙稿「香川県下の市町の予算編成」,香川大学経済学部『研究年報』 30,1991年3月,を見よ。

(2)

−、ブ・トーー 香川大学経済学部 研究年報 32 エ992 県下の市町の調査につづいて,高知県下の市町村を取り上げた理由を少し述べ ておく。その理由の第1は,香川県下には市町しかないため,村がある県を取 り上げる必要があったことである。第2に,調査上の便宜を考えて四国の他の 3県のうちの1つを取り上げたいと思ったが,たまたま別の目的で高知県下を 少しめぐる機会があり,多少とも親近感があったことである。しかし,最近の 高知県がわが国の府県のサンプルかと言えば,必ずしもそうではないであろう と言うことも承知している。たとえば,第1に,高知県の人口は,1992年4月 現在,817,671人であるが,3)1990年には,死亡者数が出生者数を上回る,全国 で唯一・の「人口自然減県」になったことが指摘できる。また,高知県は,1991 年10月現在,県人口総数に占める65歳以上の人口が17.9パーセントで,4)島 根県に次いで全国第2位の高齢化県でもある。5)さらに,高知県の面積は,7,107 平方キロメートルで,香川県6)の3.8倍の広さであるが,そのうち林野面積が 83..5パ・−セントに達し,林野率が全国第1位の県でもある。その結果,耕地面 積は全県のわずか3..9パーセントに過ぎない。そして,県下の町村においては 林業の不振と住民の高齢化により過疎化が進行し,山村振興法に指定されてい る市町村は53市町村中41町村に達し,その割合は77..4パ・−セントとなり,全 国第1位である。7)さらにもう1つ指摘すれば,これは市町村についてではない 3)『高知新聞』1992年5月2日。 4)総務庁統計局『平成3年10月1日現在推計人口』1992年6月,62ページ。また,高知 県の老年人口指数(1985年)も22..2パ・−セントで,島根県に次いで高い(総務庁統計局『日 本の人口(昭和60年国勢調査最終報告)』(資料編),1992年,109ページ)。 5)厚生省人口問題研究所の推計によれば,年齢別純移動率が縮小した場合,2010年の高知 県の人口は,73万8千人となり,県の人口に占める65歳以上の人口の割合は27.7パーセ ントになる(厚生省人口問題研究所『都道府県別将来推計人口ー平成2年∼22年間毎5 年−』1992年,17,27ページ)。 6)香川県の面積は,岡山県との境界が不明な頂島町の面積(1172平方キロメ・−トル)が除 かれるなどした結果,1988年に,1,860平方キロメートルとなり,わが国における最小の 面積の県となった(『四国新聞』1989年11月9日)。なお,建設省国土地理院『全国都道府 県市区町村別面税調(平成元年)』,1990年,10ペ・−ジ,によれば,高知県の面積は,7,104 平方キロメートル(1988年)である。 7)以上については,大野明「山村の高齢化と限界集落一高知山村の実態を中心に−」, 『経済』(新日本出版),第327号,1991年L7月;同「現代山村と地域資源(上)一高知山 村の実態を中心に−」,同上誌,第344号,1992年12月,を見よ。なお,高知県下の町 村は44であるから,町村全体に占める山村振興法指定の町村の割合は,93」2パーセントと なる。

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高知県下の市町村の予算編成過程 −よ了−

が,高知県財政の近年における財政力指数の推移を挙げることが出来る。1970

年代以降の財政力指数を見れば,高知県は,0.300未満のEグループに属し,

1979年度以降島根県,沖縄県と並んで常に最下位のトリオを構成している。8)

したがって,高知県は,このような諸指標を見れば,むしろ限界県の1つと

言えるかもしれない。われわれは,そのような状況を念頭において,高知県下

の市町村に関する調査の分析を試みる必要があろうが,そのような状況下に高

知県が今日あると言っても,われわれの調査自体の意義が減殺されることにな

らないことは害うまでもない。 ⅠⅠ

今回の調査は,主に平成4年度の当初予算の編成を念頭において回答しても

らったので,次に,高知県地方課作成の『平成4年度市町村当初予算(普通会

計)の概要』によって,平成4年度の当初予算の特徴についてごく簡単に見て

おきたい。

平成4年度の県下の市町村の当初予算総額は,3,308億2,400フラ円で,前年度

比1小7パニセントの減となり,対前年度比9..8パーセント増という,過去10年

間で最高の伸び率を示した平成3年度と対照的な変化を示した。9)平成3年度

の当初予算総額は3,365億9,100万円であったが,その膨張の主たる原因は,

地域の活性化に向けた単独事業の拡充や旧「地域改善対策特定事業に係る国の 財政上の特別措置に関する法律(地対財特法)」の期限切れを控え地域改善対策

特定事業の積極的な計上をはかったことである。平成4年度は,前年度に比較

して実額で57億6,700万円の減少であったが,市部と町村を比較すると,町村

は,0‥9パーセントの増でほとんど変化がなかったのに対して,市部は,70億

5,200万円で,3け5パーセントの減であった。そして,市部の減少の主たる原因

は,高知市が65億7,500万円の減額予算を編成したことである。10)他方,町村

8)自治省財政局指導課編『都道府県財政指数泉』(昭和62年1月),34∼37ペ・−ジ。 9)マイナスの伸び率は,1979(昭和54)年度以来はじめてであった。 LO)高知県下の市町村行財政における高知市の重要度は,格別のものがある。たとえば,高 知市の人口は,317,090人(昭和60年周勢調査)であり,高知県人口(825,063人)の38 4パーセントを占めるし,また,高知市の財政規模は,県下の市町村の決算規模のおおむね 30パーセントを占める。

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−36一 香川大学経済学部 研究年報 32 J992 は,総額で前年度とほとんど変化がなかったと言っても,個別にみると,対前 年度比でマイナスになった町村は14団体で,前年度の7団体に比較して倍増し ている。マイナスになった14団体の内訳を見ると,マイナス10パーセント未 満減額した団体は5町2村の7団体,マイナス10パ・−セント以上0パーセント 未満の減額をした団体は3町4村の7団体であった。 次に,歳出・歳入に少し立ち入ってみる。まず,歳出について。平成4年度 予算の目的別歳出の構成比を見ると,民生費が24.8パーセント,土木費が14 8パーセント,公債費が14‖4パーセント,総務費が11い8パーセントであり,こ れら4費目で歳出総額の65..8パーセント,ほぼ3分の2を占める。対前年度比 で減少率の大きいものを見ると,最大の費目は災害復旧費で,29..4パーセント である。これは,平成2年度の台風災害復旧事業が終了したことによる。もっ とも,災害復旧費は歳出予算全体の0.7パーセントを占めるに過ぎないから, 予算規模に与える影響は小さい。労働費も,失業対策事業就業者の減少が原因 で,対前年度比で18..8パーセントも減少したが,歳出に占める割合は,同じく 0.7パーセントに過ぎない。平成4年度の歳出予算の減少に大きく寄与したの は,17.7パーセントの減少率を示した土木費であった。これは,小集落地区改 善事業などの地域改善対策特定事業を中心とする建設補助事業費の減少が原因 であった。なお,土木費の減少額は,105億5,400万円である。 次に,性質別経費でみると,平成4年度予算の投資的経費は,前年度比で17 2パーセントの減少を示したが,その大きい原因は,普通建設補助事業費の減少 であった。それは,実額で218億9,200万円の減額であり,対前年度比で29,.7 パーセントもの減少であった。この減額は,市部,とりわけ高知市の住宅地区 改良事業費の減少などによる。このような投資的経費の減少の結果,歳出予算 に占める投資的経費の割合は,平成3年度が35.4パーセントであったのに対し

て,4年度は,29.8パーセントとなり,5.6ポイントも低下した。そして,そ

れは,過去10年間で最も低い水準であった。また,普通建設事業費における補 助事業と単独事業の割合を見ると,前者が54小8パーセントとなり,これまた過 去10年間で最も低い。

(5)

高知県下の市町村の予算編成過程 ー37− なお,決算統計11)によって高知県の市町村財政を全国と少し比較する。平成 2年度の性質別歳出の決算を見ると,義務的経費では,公債費の割合が,全国 平均より3ポイントないし4ポイント高い。たとえば,平成元年度では,高知 県下の市町村が12..8パ・−セントに対して,全国は9‖2パーセントである。また, 公債費比率も全国平均に比較して3ポイント程度高い水準で推移している。ま た,投資的経費を見ると,高知県は,全国より5ポイントないし7ポイントも 高い。そして,普通建設事業費では,全国と比較し,単独事業費が格段に小さ く,補助事業費が格段に大きいことが注目される。たとえば,平成元年度を見 ると,高知県下の市町村の投資的経費は,歳出決算額の34…6パーセントを占め るのに対して,全国は,29.2パーセントである。また,単独事業費は,全国平 均が18.6パーセントであるのに対して,高知県下の市町村は12..3パーセント である。他方,補助事業費は,全国が臥.8パーセントであるのに対して,高知 県は18‖2パーセントである。したがって,建設補助事業費の動向が高知県下の 市町村の歳出をかなりの程度規定しているということが出来るであろう。 次は,歳入である。平成4年度予算の歳入内訳を見ると,地方交付税交付金 が全体の31‥3パーセントを占め,最大である。ついで大きいのは,地方税であ るが,それは,歳入の21..9パーセントを占める。しかし,平成4年度は,地方 経済の低迷によって法人住民税の法人割りが市部では0,.1パーセントの増とほ とんど変わらなかったのに対して,町村では6“3パーセントの減となった。そ のため,個人住民税や固定資産税が堅調な伸びを示したものの,地方税収入は 対前年度比で3..5パーセントの増にとどまった。その結果,地方交付税は,地 方財政計画の5日4パーセントを大きく上回る8.0パーセントが見込まれ,歳入 に占める比率も平成3年度の28.5パーセントを2.8ポイント上回った。そし て,一・般財源は,56..9パーセントとなり,前年度に比較して4.2ポイント増加 した。 他方,大きく減少したのは,国庫支出金と地方債であった。国庫支出金は, 平成4年度の歳入予算の13.7パーセントを占めるが,それは,平成3年度予算 11)高知県地方課編『市町村行財政の状況(平成2年度)』1992年2月。

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香川大学経済学部 研究年報 32 ーーーJ∫− ヱ992 に比較して,126億2,600万円も減少し,減少率は,21.8パーセントであった。 そのような大幅な国庫支出金の減少は,住宅,道路,生活環境等施設を中心と する地域改善対策特定事業(ハード事業)の期限が前年度で切れ,それに関す

る支出が前年度の395億7,100万円から192億5,100万円へと51..4パーセン

トも減少したことによる。その結果,普通建設補助事業費が,市部で対前年度 比で40‥3パーセント,町村で16小4パーセントも減少し,その減少額は,市町 村合せて218億9,200万円に達した。地方債は,歳入予算の10.1パーセントを 占めるが,これも平成4年度は,国庫支出金と同様に,普通建設事業費などの 大幅な減少により17.6パーセントのマイナスの伸び率になった。その結果,特 定財源は,10..5パーセントのマイナスの伸びとなり,43.1パーセントになった。 そして,これまで積み立てられてきた基金を中心とする繰入金が24.9パーセン トもの伸びを示し,収支の均衡に貢献したのである。 最後に,高知県下の市町村の歳入の特徴を決算額で簡単に見ておく。第1に, 地方税収入の割合が,全国平均と比較してほぼ半分であること。たとえば,平 成元年度では,高知県が20..5パーセントであるのに対して,全国は39い9パー セントである。そのため,逆に,地方交付税の割合が全国のほぼ2倍である。 すなわち,平成元年度では,高知県が32日7パーセントであるのに対して,全国 は15。.9パーセントである。第3は,国庫支出金,県支出金が全国よりかなり高 いことである。すなわち,国庫支出金は,元年度を取ると,高知県が15い9パー セントに対して,全国は,8。.6パーセントであり,県支出金は,高知県が8い0パ ーセントであるのに対して,全国は4..6パーセントである。そして,第4に, 地方債の割合も,全国平均より2ポイントないし4ポイント高い水準で推移し ているのが注目される。 ⅠⅠⅠ いよいよ調査票の回答の分析にはいる。今日,高知県下には,市は高知市ほ か9市,町は東洋町ほか25町,村は北川村ほか19村がある。今回の調査は, それら53市町村の財政主管課長にあて郵送で調査票を送付して,1992年8月

(7)

高知県下の市町村の予算編成過程 −39− 末から11月初めにかけて実施された。12)そして,回答は,財政主管課長ならび に関係職員の方々のご好意により53市町村全部から得られ,回収率は,100パ ーセントであった。なお,回答は,先に述べたように,平成4年度の当初予算 の編成を念頭において記入してもらった。 ⅠⅤ 調査票13)は,24の質問から構成されているが,それらは,大きく分けて8つ の部分から構成されている。すなわち,まず最初に,当該団体の予算編成方針 などの作成の仕方について尋ね,以下,予算編成における首長の役割,経費の 査定方法,経常的経費と政策的経費の予算編成の方法,予算編成におけるコン ピューターの利用の仕方,平成3年度における補正予算の編成,予算編成にお ける県の地方課や市町村議会との関係を尋ね,最後に予算編成における住民と の関係について尋ねた。そこで,調査票の質問の順序に従って,回答の分析を 行う。なお,分析は,回答の単純集計と9つの属性14)によるクロス集計の結果 12)詳しく言うと,調査票は1992年9月16日を締め切り日として,同年8月26日に発送さ れた。そして,9月下旬から10月にかけて電話で2回ないし3回督促をし,11月2日まで に全部の回収を終えた。なお,調査票の審査の作業は,大した分量ではなかったが,これ も電話で行った。 13)資料1「高知県下の市町村の予算編成過程についての調査票」,を見よ。 14)9つの属性について説明する。まず第1の属性は,市町村である。第2の属性は人口で, 53市町村を人口(平成2年国勢調査)規模別に,4,000人未満,4,000人以上∼1万人未満, 1万人以上,の3つのグループに区分する。第3の属性は,人口密度で,同じく1平方キ ロメ・−トルにつき20人未満,20人以上∼50人未満,50人以上∼100人未満,100人以上, の4グループに区分する。第4の属性は,実質収支比率で,1パーセント未満,1パーセ ント以上∼2パーセント未満,2パーセント以上∼3パーセント未満,3パーーセント以上, の4グル・−プに区分する。第5の属性は,経常収支比率で,70パーセント未満,70パ、−セ ント以上∼80パ−セント未満,80パーセント以上,の3グループに区分する。第6の属性 は,公債費比率で,10パーセント未満,10パーセント以上∼】7パ・−セント未満,17パー セント以上,の3グループに,第7の属性は,財政力指数で,0“120未満,0..120以上∼0 200未満,0200以上∼0.300未満,0300以上,の4グループに(以上は,高知県地方課 『市町村行財政の状況(平成2年度)』による),それぞれ区分する。第8の属性は,平成4 年度普通会計当初予算規模で,25億円未満,25億円以上∼50億円未満,50億円以上,の 3グループに,第9の属性は,平成4年度当初予算対前年度伸び率で,マイナス10パーセ ント未満,マイナス10パ・−セント以上∼0パーセント未満,0パーセント以上∼10パーセ ント未満,10パ、−セント以上,の4グループに(以上は,高知県地方課『平成4年度市町 村当初予算(普通会計)の概要』による)区分する。

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一イり− 香川大学経済学部 研究年報 32 J9鎚7 について行い,それらのうち若干の興味深い現象を取り出して説明をくわえる ことにする。 最初に,予算編成方針などの作成について尋ねる。 間1 まず,市町村の予算編成の大きな前捏になると思われる基本計画や実 施計画を,高知県下の市町村がどれほど策定しているかについて尋ねた。回答 の単純集計の結果は,第1図のようである。1992年現在,基本計画と実施計画 の双方を策定している団体が最も多く,それらは53市町村の内41団体で,全 体の77..4パーセントである。ノ他方,全く策定していないと言う団体が2団体(3 8パーセント),基本計画のみと言う団体が10団体(18。.9パーセント)であっ た。なお,市町村別に回答を見ると,第2図のようである。すなわち,両計画 を策定している割合は,市と村ではほぼ同じであるが,町では,その割合がや や減少している。また,基本計画だけを策定している団体や全く策定していな い団体もあることが分かった。 間2 では,基本計画や実施計画は予算編成においてどのような役割をはた しているのだろうか。単純集計の結果は,第3図のようである。51団体の内40 団体(78い4パーセント)は,それらは予算編成時におけるガイドラインになる だけであり,計数的なものは毎年度の予算編成時に決定されると言う。なお, 舞‖図 基本計画・実施計例の策定状況 策定なし(38%)

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−−.ノ.J− 高知県下の市町村の予算編成過程 第2図 基本計画・実施計画の策定状況川戸町・村)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

囲市Eヨ町匹彗村 第3図 基本計画・実施計画の機能 ガイドライン(7臥4%) 3団体(5.9パーセント)は,あまり参考にしていないと答えている0そして,

8団体(15.7パーセント)は,両計画にほぼ即して予算の査定が進められてい

(10)

香川大学経済学部 研究年報 32 エ992 −▼・Jご− ると答えている。ユ5) 市町村別に回答を分析すると,第4図に示されるように,それらの計画がガ イドラインになる割合は,市より町,町より村のほうが大きい。他方,市の特 徴としては,第4図にみられるように,9団体中3団体(33日3パーセント)が 両計画にほぼ即して予算の査定が進められると言っていることが挙げられる。 なお,あまり参考にしないと言う団体は,町である。また,経常収支比率でみ ると,第5図のように,経常収支比率が70パーセント未満の団体の93..3パー セントがガイドラインと言う回答を選んでいるが,その割合は,経常収支比率 が上昇するに従って,低下している。 間3 予算編成方針の作成方法についての回答の単純集計は,第6図のよう である。これは,大きく言って2つのやり方がある。第1は,全体の49‖1パー セントの団体が採っている方法で,財政担当課で作成したのち首長の承認をえ ると言うものである。第2は,首長の意向を受けて財政担当課内で作成すると 言うもので,全体の28..3パーセントである。しかし,財政担当課と企画課(室) などとで協議して作成する(ただし,のちに首長の承認をえる)と言う回答は, 高知県下の市町村でも,3団体(5,.7パーセント)に過ぎない。したがって,予 算編成方針の作成に関与する者が首長と財政担当課の課長以下の職員だけとい うのが全体の77‖4パーセントを占る。16) 回答を市町村別に見ると,それは,第7図のようである。すなわち,財政担 当課で作成したのち首長の承認をえるという,言ってみれはボトムアップ型は, 村より町,町より市が多く,市では,88.9パーセントがその回答を選んでいる。 他方,首長の意向を受けて財政担当課内で作成するという,いわばトップダウ ン型は,その逆であり,村で最も多い。これは,行政組織の大小,複雑さを考 えれば,理解できる傾向であろう。また,当初予算規模に関係させて集計すれ ば,それは,第8図のようである。すなわち,予算規模が大きくなるに従って ボトムアップ型が増大し,予算規模が小さくなるに従ってトップダウン型が増 15)このような傾向は,香川県下の市町でも同じであった(拙稿「香川県下の市町の予算編 成」,35ペ・−ジ)。 16)香川県下の市町の場合は,904パ1−セントであった(拙稿,同上,35ページ)。

(11)

高知県下の市町村の予算編成過程 一イ.?− 第4図 基本計画・実施計画の機能(市・囲ぃ村)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90(%)

匹ヨ市【≡ヨ町田村 第5図 基本計画・実施計画の機能(経常収支比率)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

四70%未満Eヨ70%以上80%未満㌫璽80%以上

(12)

−J、∼− 香川大学経済学部 研究年報 32 ノー992 第6匡l予算編成方針の作成 財政担当課等で協議 財政担当課で作成の のち首長の承認 財政担当課等で協議 ののち首長の承認 首長の意向をうけ 財政担当課で作成 首長の意向をうけ 財政相当課等で協議 その他 0 10 20 30 40 50(%) 第7国 子罪編成方針の作成(苗・田卜村) 財政担当課等で協議 財政担当課で作成の のち首長の承認 財政担当課等で協議 ののち首長の承認 首長の意向をうけ 財政担当課で作成 首長の意向をうけ 財政担当課等で協議

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90(%)

四市臣ヨ町忘召村

(13)

高知県下の市町村の予算編成過程 ・一得− 第8国 子昇編成方針の作成(当初予算規模) 財政適当課等で協議 財政担当課で作成の のち首長の承認 財政担当課等で協議 ののち首長の承認 首長の意向をうけ 財政担当課で作成 首長の意向をうけ 財政担当課等で協議 その他 0 51015 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75(%) 臣詔25億円未満Eヨ25億円以上50億円未満殴50億円以.l 大している。 なお,回答を実質収支比率とクロスさせてみると,第g図のようである。す なわち,実質収支比率が1パーセント以下の団体は,すべてボトムアップ型(回 答の割合が,100小0パーセント)であり,財政担当課が予算編成方針を作成する と言うものである。そして,実質収支比率の上昇に従って,首長の意向が予算 編成方針の作成に反映される割合は上昇する。これは,財政収支の状況がきび しくなるに従って,財政担当課の意向を反映した予算編成方針が作成されざる をえないと言うことであろうか。 つぎに,高知県下の市町村の予算編成過程における首長の役割について尋ね た。周知のように,わが国の地方自治体においては,予算編成権は首長に専属 しており,予算編成における首長の役割は,議会に比較して格段に大きい。17) そこで,以下の7間を作成して,予算編成における首長の行動について尋ねて みた。 17)たとえば,松本英昭『地力公共団体の予算』ぎょうせい,1979年,182∼183ページ,を 見よ。

(14)

J992 香川大学経済学部 研究年報 32 ー一・汀ト一 第9図 予算編成方針の作成(実質収支比率) 財政担当課等で協議 財政担当課で作成の のち首長の承認 財政担当課等で協議 ののち首長の承認 首長の意向をうけ 財政担当課で作成 首長の志向をうけ 財政担当課等で協議

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

匠ヨ1%未満Eヨ1%以上2%未満匹彗2%以上3%未満国3%以_ヒ 問4 まず,経常的経費の予算編成において首長が影響を発揮する段階につ いて尋ねた。その回答の単純集計の結果は,第川図のようである。すなわち, 首長が最も影響を発揮する段階は,予想通り,首長査定の段階で,69。.8パーセ

ントである。もっとも,すべての回答者がこの回答を選んだ訳ではない。すな

第10図 経常的経螢の予算編成において首長が影響を発揮する段階 0 10 20 30 40 50 60 70(%)

(15)

高知県下の市町村の予算編成過程 ー47− わち,この回答を選んだのは53団体中37団体である。次に多かった回答は, 予算編成方針を作成する段階で,34.0パーセント,第3位は,財政担当課の査 定段階で,22‖6パーセントである。 間4を,いくつかの属性でクロスさせてみると次のようなことが分かる。ま ず,当初予算規模別に集計すると,第11図のようである。すなわち,首長が自 ら行う査定ならびに財政担当課の査定において影響を発揮すると言う回答は, いずれも予算規模が大きくなるに従って増大している。経常収支比率で見ると, それは,第12図のようであり,首長査定で影響を発揮する割合は,経常収支比 率が大きくなると減少するのに対して,逆に,財政課の査定や予算編成方針を 立てる際に首長が影響を発揮すると言う回答は,経常収支比率が大きくなるに 従って増大している。これは,経常収支比率が悪化するに従って予算編成の比 較的初期の段階から首長が影響を発揮するということを示しているのだろう。 このことは,予算編成方針の作成段階で首長が影響を発揮すると言う回答が, 経常収支比率が80パーセント以上の場合には,66..7パーセントとかなり高く なっていることから推測出来るように思う。ところで,先に指摘したように, 高知県下の市町村の平成4年度の当初予算は,3年優に比較して大きく減額し た。そこで,当初予算の対前年度増減率でクロスさせてみると,その結果は,

第13図のようである。第13図からは,2つのことが読み取れる。1つは,対

前年度比でマイナス10パーセント未満になった団体では,予算編成方針の策定 と首長査定という,予算編成のいわばスタートとゴールにおいて首長が影響を 発揮しているらしいということである。もう1つは,10パーセント以上の伸び 率を示した団体は,すべて,首長は自らの査定で影響を発揮すると言う回答を 選んでいるということである(100い0パーセントの回答)。 間5 次は,政策的経費の場合について尋ねる。回答の単純計算の結果は, 第14図の通りである。政策的経費の予算編成においても首長が影響を発揮する 段階は,自らの査定においてであることは,経常的経費の場合と変わりなく, それは,73‖6パ・−セントである。しかし,政策的経費の場合は,第2位は,事 業担当部課が要求を提出する段階で,35.8パーセント,第3位は,予算編成方 針を策定する段階で,34.0パーセントであり,第4位は,基本計画や実施計画

(16)

香川大学経済学部 研究年報 32 J9免2 ー一・ノざ,一一 第11国 縫削勺経懲の予算編成において首長が影響を発揮する段階(当初f憫規枚) 両計画の策定 予算編成方針の策定 事業胡当部課の要求提出 財政担当課の査定 首長査定 その他 0 10 20、30 40 50 60 70 80(%) 匹ヨ25億円未満Eヨ25億円以上50億円未満田50億円以▼上 第12図 経常的経費の予算編成において首長が影響を発揮する段階(経常収支比率)

0 10 20 30 40 50 60 70 80(%)

臣ヨ70%未満Eヨ70%以上80%未満四80%以上

(17)

高知県下の市町村の予算編成過程 一49一 第13図 経常的経響の予算編成において首長が影響を発揮する段階(対前年度増減率)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

E辺−10%未満Eヨー10%以上0%未満E遜0%以上10%未満団10%以1 第14寧l政策的経薯の予鼻筋成において首長が影響を発揮する段階 両計画の策定 予算編成方針の策定 事業題当部課の要求提出 財政相当課の査定 首長査定 その他

0 10 20 30 40 50 60 70(%)

(18)

香川大学経済学部 研究年報 32 ,う()− J992 を策定する段階で,28日3パーセントである。従って,政策的経費の予算編成に おいては,首長は,財政担当課の査定以外の段階においてもその編成を見守り, 指示を与えているように見える。 間5の回答を,当初予算規模の対前年度増減率で見ると,第15区lのようであ るが,特に注目されるのは,マイナス10パ・−セント未満の減額を行った団体に おいてはすべての首長が政策的経費の予算編成において影響を発揮しているこ とである(回答が100…0パーセント)。また,市町村別にみると,第16図のよ うである。すなわち,首長査定の段階と基本計画や実施計画を策定する段階で は,村から町,町から市になるに従って首長が影響を発揮すると言う回答が増 大し,他方,事業担当部課が要求を提出する段階と予算編成方針せ策定する段 階では,逆に,市から町,町から村になるに従って,回答が増大している。な お,政策的経費の予算編成と公債費とは何らかの関係があるのではないかと思 って,回答を公債費比率でクロスさせてみると,第17図のように,それが17パ −セント以上の団体においては,すべてが首長査定の段階であるという(100 0パーセントの回答)。したがって,公債費比率の大きい団体では,首長は,自 らの査定においていろいろ注文を出しているということであろう。 間6 首長は,予算編成において大きな権限を持っているが,実際には,予 算編成における首長の自由度は案外小さいと言われる。そこで,私は,率直に, 平成4年度の歳出予算において首長自らの判断で計上することの出来た金額の 割合について尋ねた。回答の単純集計の結果は,第1針図のようである。最も多 い回答は,「よく分からない 」と言うもので,26.4パーセントである。確かに, 複雑な財政制度と予算編成過程の中で,どれだけの経費が首長の判断で計上さ れたのかの判定は困難であろう。私は,それを承知で尋ねたわけだから,4人 に1人が「分からない」と答えても異常ではない。しかし,そのように判断が 難しい設問に対しても,73‖6パーセントの方が回答して下さった。その回答を 見ると,最も多いのは,5パ、−セント未満で,24.5パーセントである。そして,

5パーセント以上∼10パーセント未満と10パーセント以上∼20パーセント未

満の回答が同じ割合で,17..0パーセントである。従って,20パーセント未満の 回答は合計すると58‥5パーセントになり,確かに歳出予算における首長の自由

(19)

ー5ノー 高知県下の市町村の予算編成過程 第15図 政策的経費の予算編成において首長が影響を発揮する段階(対前年度増減率)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

匠ヨー10%末梢 E;ヨー10%以J.0%未満巨詔0%以⊥10%未満巨頭10%以上 第16図 政策的経費の予算編成において首長が影響を発秘する段l唱(満潮・村)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100110(%)

臣ヨ市田町6忽村

(20)

香川大学経済学部 研究年報 32 J992 −52− 度は大きくないように思う。 しかし,注目すべきことは,30パーセント以上と答えた団体が,13‖2パーセ ント,7団体(2市4町1村)あったことである。1$)そこで,30パーセント以 上と答えた団体について人口とクロスさせてみると,第19図のようである。す なわち,そのような回答をした団体は,人口規模が大きくなるに従ってその割 合が増えるが,他方,5パーセント未満と答えた団体は,それとは逆に,人口 が少なくなるに従って,回答の割合が増大している。また,経常収支比率とク ロスさせてみると,第20図のように,30パーセント以上と答えた団体はすべて 80パーセント未満の団体であり,80パーセント以上の団体は皆無である。 問7 つぎに,首長査定はどのように行われているのかについて尋ねた。回 答の単純集計は,第21図のようである。首長査定の形態は,大きく2つに分か れる。第1は,首長が出席した席で,事業担当部課の出席を求めて行うと言う もので,39.6パーセントである。第2は,個別の事業については専業担当部課 の出席の下で行うが,内容については事前にほぼ固められており,あとは首長 の承認を得るだけと言うもので,32.1パーセントである。19)このような回答を 当初予算対前年度増減率とクロスさせてみると,第22図のようである。すなわ ち,マイナス10パ・−セント未満の減額を行った団体は第2の査定を全く採ら ず,66‖7パーセントの団体が第1の査定による。したがって,大幅な減額予算 を編成する際には,査定における首長のリーダーシップが重要であることを示 唆している。なお,市町村別にみると,その回答の分布は,第23図のようであ る。町村では,第1の査定と第2の査定とがほぼ半々であるが,市では,第2 の査定は皆無である。そして,「その他」が第1の査定と同じ4団体,44.4パー セントもある。「その他」とはなにか。それは,4市において区々であるが,一 ニ述べれば,ある市では,とりわけ重要な経費を選び出し,事業担当課の出席 18)これは,香川県下の市町においても同じ傾向で,30パ、−セント以上という団体が190 パー宰ントあった。もっとも,香川県の調査票には,「よく分からない」と言う回答の選択 肢はない(同上,39ページ)。 19)このような傾向は,香川県でも同じであるが,香川県下の市町においては,第1の方法 が500パーセントであり,やや多い(同上,39ページ)。

(21)

高知県下の市町村の予算編成過程 −ゑヲー 第17図 政策的経督の予算編成において首長が影響を発揮する段階(公債費比率)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

四10%未満Eヨ10%以上17%未満囲17%以上 第18図 竃長の判断で討上できた金額 30(%)

(22)

香川大学経済学部 研究年報 32 −こライ J992 第19図 首長の判断で計上できた金額(人口規模) 0 5 10 15 20 25 30 35 匹丑4000人未満臨4000人以上1万人未満匹彗1フラ人以上 40(%) 第20図 首長の判断で計上できた金額(経常収支比率)

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55(%)

四’70%未満Eヨ70%以上80%未満琶効80%以上

(23)

高知県下の市町村の予算編成過程 こ了こトl 第21図 首長査定の方法 第22図 首長査定の方法(対前年度増減率) 首長が出席 首長の承認

0 10 20 30 40 50 60 70(%)

匠ヨー10%未満【≡ト10%以上0%未満田0%以_上10%未満囲10%以⊥

(24)

香川大学経済学部 研究年報 32 エ992 ー56− 第23図 首長査定の方法(市・町・村)

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50(%)

四市臣ヨ即応忽村 第24図 首長査定の日数 3日未満(566%)

(25)

高知県下の市町村の予算編成過程 一57一 を求め首長が査定を行うとか,また,他の市では,財政担当課が首長に予算の 概要や重要事項を報告した後決定するとかである。 間8 では,首長査定にはどのくらいの日数をかけているのだろうか。回答 の単純集計は,第24図の通りである。すなわち,3日未満と言うのが,56.6パ ーセント,3日・∼5日が35‖8パーセントであり,5日以下の団体が92..3パー セントに達する。20)この回答を市町村別に見ると,第25図のようである。ここ から分かることは,市・町・村の間で回答に特別に大きな差異はないというこ とである。 間9 平成4年度の当初予算の編成における首長査定の段階で,予算の規模 や金額,内容が変化したのかどうかについて尋ねた。この回答は,ほぼ二分さ れた。すなわち,53市町村の内26団体(49…1パーセント)が,ほとんど変わ らなかったと答え,27団体(50小9パーセント)が,金額,内容ともに変わった と答えた。この回答を市町村別に見ると,第26図のようである。すなわち,ほ とんど変化がなかったと言う団体は,市から町,町から村になるに従って増大 し,村は,66.7パーセントが変化しなかったと言う回答を選んでいる。勿論, 変化があったと言う回答の傾向はその逆である。また,当初予算規模とクロス させると,第27図のようであり,特にその規模が50億円以上の団体では,金 額,内容ともに変化があったと言う団体が66い7パーセントに達し,それ以下の 規模の団体と比較してかなり多い。さらに,財政力指数とクロスさせると,第 28図のようである。それを見ると,財政力指数が0..300以上の団体においては, 金額,内容ともに変化があったと言う回答がかなり多いことが分かる。従って, 首長査定において予算の規模や金額,内容が変化することは,財政力指数と何 らかの関係があるようである。 間川 では,金額,内容ともに変化があったと言う27団体に対して,その 変化の原因について尋ねた。回答の単純集計の結果は,第29図の通りである。 変化の原因において格段に大きいのは,首長の意向によると言うものであり, それは,963パ、−セントである。第2の原因は,かなり小さくなるが,住民の 20)香川県下の市町の場合,5日以下という団体の合計は,714パ1−セントであるから(同 上,41ページ),高知県下の市町村の方が,首長査定に要する日数は短い。

(26)

J992 香川大学経済学部 研究年報 32 一、・;バー 第25図 首長査定の日数(市・町・村) 3日−5日 6日−9日 10日以上 0 51015 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70(%) 匹ヨ苗臣ヨ田丁6嘉村 第26図 呂長査定における予算の変更(箱・町・桐) 変化なし 内容が変化 金額と内容が変化 0 10 20 30 40 匹ヨ市田町臣ヨ村 50 60 70(%)

(27)

高知県下の市町村の予算編成過程 −5針− 第27図 首長査定における予算の変更(当初予算規模) 0

10 20 30 40 50 60 70(%)

Eヨ25億円以上臣ヨ25億円以上50億円未満匹ヨ50億円以上 第28図 首長査定における予算の変更(財政力指数)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90(%)

四0120未満Eヨ0.120以上0200未満匿凱.200以上0り300未満圏0り300以【l

(28)

香川大学経済学部 研究年報 32 エ992 ーー(ブ()− 第29図 首長査定における変化の原因 首長の意向 事業担当部課の志向 議会の意向 住民の要望 その他

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

第30図 首長査定における変化の原因(市・町・村) 首長の意向 事業担当部課の意向 議会の意向 住民の要望 その他

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

四市圧ヨ町6窒村

(29)

−6ユー 高知県下の市町村の予算編成過程 第31図 首長査定における変化の原因(対前年度増減率) 首長の意向 事業担当部課の意向 譲合の意向 住民の要望 その他

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

田−10%未満団−10%以上0%未満田0%以上10%未満伝忽10%以上 第32図 物件費等の査定 0 10 20 30 40 50(%)

(30)

香川大学経済学部 研究年報 32 −62− J992 要望によると言うもので,22小2パーセントである。これらの回答のうち後者に

ついてそれを,市関村別にみると第30図のようであり,村より町,町より市の

ほうが大きいことが分かる。また,対前年度増減率でみると,第31図のように, マイナス10パーセント未満の減額を行った団体では,「住民の要望による」と 言う回答はさすがに皆無であるが,マイナス10パ・−セント以上の伸び率を示し た団体では,伸び率が大きくなるに従ってその回答の割合も大きくなっている。 Ⅴ つぎに市町村における経費の査定について尋ねる。 間11 まず,義務的経費以外の経常的経費,すなわち物件費や維持補修費, 補助費などの査定について尋ねた。その回答の単純集計の結果は,第32図のよ うである。そのような経費の査定の方法で最も多い回答は,前年度の実績を踏 まえそれを増減するという形で行うもので,453パーセントである。しかし, 原則として前年度と同額と言う回答がこれと大差がない割合で,415パーセン トである。そして,第3番目の方法が,経費によっては,いったん白紙に戻し 毎年度それぞれの経費の効果を検討して査定するというもので,32.1パーセン トである。これらの回答を市町村別にみると,第33図のようである。すなわち, 前年度に対する増減と言う回答は,市から町,町から村になるに従って増大し, 前年度と同額と言う回答は,とりわけ市に多い。また,いったん白紙に戻して 経費の査定を行うと言う回答は,村から町,町から市になるに従って増大し, 市の回答の44‖4%は,いったん白紙に戻すと言うものである。ところで,当初 予算の前年度比で見ると,第34図のようであり,マイナス10パ、−セント未満 の減額を行った団体は,前年度と同額と言う回答が多く,白紙に戻すと言う回 答は33.3パーセントである。そして,10パーセント以上の増額を示した団体で は,前年度に対する増減と言う回答と前年度と同額と言う回答が同じ53..8パー セントである。さらに,経常収支比率で見ると,第35図のようである。すなわ ち,前年度に対する増減と言う回答と前年度と同額と言う回答は,ともに経常 収支比率が増大するにつれて多くなり,80パーセント以上では,両者とも50 0パーセントである。逆に,いったん白紙に戻し毎年度それぞれの経費の効果を

(31)

高知県下の市町村の予算編成過程 一反ヲー 第33国 物件費等の査定(市・田卜村) 前年度と同額 前年度の増減 いったん白紙に あらかじめ内定 その他 0 10 20 30 40 50 60 70 80(%) 6辺市Eヨ町田村 第34図 物件督等の査定(対前年度増減率) 前年度と同額 前年度の増減 いったん白紙に あらかじめ内定 その他 0 10 ..20 30 40 50・60 70(%) 匹ヨー10%未満【≡卜10%以上0%未満匠彊0%以上10%未満尼国10%以上

(32)

香川大学経済学部 研究年報 32 J992 −64− 第35図 物件習等の査定(経常収支比率) 前年度と同額 前年度の増減 いったん白紙に あらかじめ内定 その他

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55(%)

匹ヨ70%未満団70%以上80%未満囲80%以上 第36国 政策的経費の査定 0 10 20 30 40 50 60(%)

(33)

高知県下の市町村の予算編成過程 −−(iこ亨・一 検討すると言う回答は,傾向としては,経常収支比率が増大するにつれて減少 している。

間12 つぎは,政策的経費の査定である。その回答の単純集計は,第36図

のようである。最も多い回答は,あらかじめ決定された政策課題に適合する事 業を選び出し,政策的に経費全体のバランスや実施のタイミング等を考えて査 定をするというもので,54‖7パーセントである。これは,簡単に言うと政策的 経費のバランスや支出のタイミングを重視するということで,バランス・タイ ミング型とも称すべきもので,伝統的な査定の方法の1つである。21)そして, 第2位は,政策的経費の政治経済的効果や社会的効果を考え,またその実施に ともなう財源負担や職員の有無などを考慮して査定するという,総合判断型と も称すべき方法で,これは,41‖5パーセントである。22)そして,第3位は,政 策的経費についても,いったん白紙に戻し改めて全事業の費用や効果,必要性 について検討するという,ゼロ・ベースの予算編成で,30..2パ・−セントである。 第4位は,前年度の実績を基礎に増減するという方法で,26.4パーセントであ る。そして,以上のような回答を市町村別に見ると,第3丁図のようである。す なわち,バランス・タイミング型の回答と総合判断塾の回答の割合は,ともに 村より町,町より市の方が大きくなっていることである。そして,市において は前者が77…8パーセント,後者が55..6パーセントであり,これら2つが市の 査定の方法の中心であることが分かる。なお,政策的経費をゼロ・ベースによ って予算編成を行う団体は,村において最も多く見られる。 つぎに,市町村の予算編成の方法について尋ねる。 間13 まず,経常的経費の予算編成の基本的特徴について尋ねた。その回答 の単純集計は,第38図のようである。圧倒的に多い回答は,事業担当部課から 予算要求を出させたのち査定と復活を繰り返して上級段階に達し,最後に首長 21)小島昭『現代の公共政策』勤草書房,1990年,212一∼213ペ・−ジ,を見よ。なお,このこ とが指摘されている当該論文の初出は,「第5章 日本の財務行政」,辻 清明編『行政学 講座』第2巻,東京大学出版会,1976年,である。 22)香川県の場合も同じ傾向である。ただし,香川県の市町の場合は,総合判断型が,弧0 パ・−セント,バランス・タイミング型が,31−0パーセントである(同上,37ページ)。

(34)

香川大学経済学部 研究年報 32 エ992 ー66− 第37国 政策的経費の査定(市・町・村)

0 10 20 30 40 50 60 70 80(%)

匠拍=≡旺=遜村 第38図 経常的経習の予算編成の特徴 0 10 20 30 40 50 60(%)

(35)

高知県下の市町村の予算編成過程 ー67− のところで結論を出す,いわゆるボトムアップ方式であり,それは回答全体の 62..3パーセントをしめる。第2位は,予算編成は主として財政担当課で行う, いわゆる集中方式であるが,その割合は15..1パーセントとかなり小さくなる。 そして,第3位は,ボトムアップ方式とトップダウン方式の混合で,13.2パー セントである。23)なお,トップダウン方式とは,首長の段階で予算の基本的な 内容を決め,後の具体的な作業は下部に行わせる方式である。 そこで,ボトムアップ方式の回答に注目して,それを市町村別にみると,第 39図のようである。すなわち,その回答は,村から町,町から市になるに従っ て増大して,市では,77.8パーセントがボトムアップ方式である。ここでは図 示しないが,人口が大きくなるに従ってもこの方式は増大している。また,当 初予算規模でみると,これまた,第4町図のように,それが大きくなるに従って, ボトムアップ方式を採る団体が増えている。更に,当初予算対前年度増減率で みると,第41図のようである。これは,興味深いことに,対前年度比でマイナ ス10パーセント未満の減額を行った団体では,50..0パ・−セントがいわゆるト ップダウン方式によって経常的経費の予算編成が行われ,ボトムアップ方式に よるという回答は33小3パーセントであるのに対して,対前年度比でプラスの増 加を示した団体では,圧倒的にボトムアップ方式が多い。これは,経常的経費 が対前年度比でプラスの伸び率を示す,いわば通常の場合にはボトムアップ方 式によるが,経常的経費を前年度に比較して大幅に削減する場合には,首長が リーダーシップを発揮して行う必要があることを示唆しているように思われ る。 問14 つぎは,政策的経費の予算編成の特徴である。この回答の単純集計の 結果は,第42図の通りである。圧倒的に多いのは,ボトムアップ方式の56..6パ ーセントであり,この点は,経常的経費と同じである。ついで多いのは,34..0 パーセントを占める,ボトムアップ方式とトップダウン方式の混合方式である。 第3位は,トップダウン方式であるが,わずか9.4パーセントである。したが 23)このような傾向は,香川県下の市町でも同じである(同上,43ページ)。

(36)

香川大学経済学部 研究年報 32 J.992 ー6β− 第39図 経削勺経堂の予算編成の特徴(市・町・村)

0 10 20 30 40 50 60 70 80(%)

匹ヨ市Eヨ町既褒村 第40国 縫常的経費の予算編成の特徴((当初予算規模) ボトムアソプ方式 トノブダウン方式 混合方式 枠配分方式 集中方式 その他

0 510152025303540455055606570758085(%)

【召25億円未満団25億円以上50億円未満臨r50億円以上

(37)

一69− 高知県下の市町村の予算編成過程 第41国 縫常的経費の予算編成の特徴(対前年度増減率)

0 10 20 30 40 50 60 70(%)

随一10%未満団−10%以上0%未満萬0%以上10%未満圏10%以上 第42国 政策的経費の予算編成の特徴 ボトムアソプ方式(56..6%)

(38)

香川大学経済学部 研究年報 32 一尺)−l J992 って,政策的経費といえども,事業担当部課からの積み上げが必要なのであ る。24) このような回答を当初予算対前年度増減率でみると,第43図のようである。 ボトムアップ方式の割合は,増減率がプラスでもマイナスでも50パーセントな いし65パーセントの範囲であるが,特徴的なのは,マイナス10パーセント未 満の減額を行った団体では,政策的経費についてもトップダウン方式が33‖3パ ーセントとかなり多いことである。政策的経費の予算編成においても,大幅に 削減する場合にはやはり首長がまず内容に関して基本的な決定を行う必要があ るようである。なお,このような回答を経常収支比率でクロスさせて見ると, 第44図のようである。すなわち,ボトムアップ方式は,経常収支比率が大きく なるに従ってその回答の割合は増大している。他方,ボトムアップ方式とトッ プダウン方式の混合ならびにトップダウン方式は,経常収支比率が小さくなる に従ってその回答の割合は,大きくなっている(但し,トップダウン方式は経 常収支比率が80パーセント以上の場合には,採用している団体が皆無である。) 次は,やや話題を変え,予算編成におけるコンピューターの利用状況につい て尋ねる。 間15 最初に,予算編成においてコンピューターをどの程度利用しているか を尋ねた。その単純集計の結果は,第45図の通りである。すなわち,全く利用 していない団体が・−・番多く,58…5パーセントある。他方,全面的に利用してい る団体が15..1パーセント,部分的に利用している団体が22…6パーセントで, 両者合せて37.7パーセントである。25)このような回答のうち全く利用してい ない団体を,市町村別にみると,第46図のようである。すなわち,利用してい ない団体の割合は,市より町,町より村の方が大きい。そして,ここでは図示 しないが,人口密度が1平方キロメートルにつき20人未満の団体では,9団体 の内8団体が利用していない。また,当初予算規模でみると,第4=図のようで 24)このような傾向も,香川県下の市町と同じである(同上,43∼44ページ)。 25)香川県下の市町では,26.1パーセントであったが(同上,44ページ),香川県下の調査 は,1990年に行われた。

(39)

ー7ユー 高知県下の市町村の予算編成過程 第43国 政策的経費の予算編成の特徴(対前年度増減率) 60 70(%) 0 10 20 30 40 50 辺一10%未満国−10%以上0%未満田0%以上10%未満践ヨ10%以上 第44図 政策的後輩の予算編成の特徴(経常収支比率) 0 51015202530354045505560 6570 75 8085(%) ∈ヨ70%未満田70%以上80%未満田80%以上

(40)

エ992 香川大学経済学部 研究年報 32 −・ニブ− 第45国 子算編成におけるコンピュータ・−の利用状況 検討中(3.8%) 利用していない(58。5%) 第46園 子算編成におけるコンビュい・・・・・タ・−の利用状況(市・町・村) 利用していない 部分的に利用 全面的に利用

0 5 1015 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70(%)

匹引市Eヨ町匠i村

(41)

高知県下の市町村の予算編成過程 −7クー あり,予算規模が小さくなるほど利用していないと言う回答の割合が大きくな っている。 間16 では,部分的にせよ全面的にせよ,とにかく予算編成にコンピュータ ーを利用している団体に,そのメリットは何かを尋ねた。その回答の単純集計 は,第48図のようである。すなわち,そのメリットの最大のものは,編成に要 する時間が節約できると言うことであり,この回答の割合は,90.0パーセント である。26)第2位は,予算の効果的な執行と管理が出来ると言うことで,45..0 パーセントである。そして,第3位は,予算編成のための人件費が節約できる と言うことで,35‖0パーセントである。これらの回答を市町村別に見ると,第 49図のようである。すなわち,時間の節約と言う回答は,村より町,町より市 の方が多い。特に,市は,すべてが時間の節約を挙げている(1000パーセント の回答)。また,市の場合は,予算の効果的な執行と管理を挙げる回答は皆無で あった。しかし,これがどういう理由によるのかは,よく分からない。 つぎに,市町村の平成3年度の補正予算の編成について尋ねる。 間17 平成3年度において補正予算の編成が最も多く行われた月は,6月,

9月,12月,3月であった。そして,6月補正の主たる要因は,補助金の確定

ならびにその他の要因(たとえば,人事異動にともなう人件費の組み替え,各 種建設事業費などの追加,県議会議員選挙費用の計上,雲仙普賢岳災害見舞金 の計上等)の2つである。9月補正の主たる要因は,補助金の確定,交付金の 決定ならびにその他(たとえば,小集落地区改良事業費や児童福祉施設整備(単 独事業)費の計上,基金の確定等)の3つである。12月の補正の主たる要因は, 給与改訂,補助金の確定,起債額の確定,交付金の決定,その他(たとえば, 年間予算に対する最終の見直し,繰り上げ償還にともなう公債費の追加等)の 5つであるが,とりわけ各自治体を通じて初めの4つが大きな要因のようであ る。そして,最後の3月補正であるが,その主たる要因は,補助金の確定,起 債額の確定,交付金の決定,税収見込みの変更,そしてその他(たとえば,退 26)このような傾向も香川県下の市町と同じである(同上,44∼46ページ)。

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香川大学経済学部 研究年報 32 エ9玖2 ー一ニトーー 第47国 子算編成におけるコンピュータ・−の利用状況(当初予算規模) 利用していない 部分的に利用 全面的に利用

0 10 20 30 40 50 60 70 80(00)

匹ヨ25億円未満田25億円以上50億円未満匠】50億円以l二 第48図 コンビ,1−タ一による予算編成の利点

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90(%)

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高知県下の市町村の予算編成過程 一75一 東49図 コンビ.ユ.−タ一による予算編成の利点(市・町・村)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

Eヨ市臣ヨ町田村 職手当の追加,基金の確定,単独事業の確定等)の5つである。27) ところで,わが国の自治体における当祈予算は,骨格予算であり,総合性に 欠けると言われる。そこで,香川県下の市町と同じく,高知県下の市町村につ いても平成3年3月に成立した当初予算額と4月以降の補正予算額の合計(減 額補正も差し引かずに加算した)の割合を見る。その結果,10パーセント未満 が1団体(1.9パーセント),10パーセント以上∼20パ・−セント未満が18団体 (34..0パーセント),20パーセント以上∼30パーセント未満が21団体(39..6パ ーセント),30パーセント以上∼40パーセント未満が5団体(9.4パーセント), 40パ、−セント以上∼50パーセント未満が6団体(11.3パーセント),50パーセ ント以上が2団体(3.8パーセント)である。従って,10パーセント以上∼30 パーセント未満が全体の73,.6パ、−セントに達し,3分の2を占める。28) 27)補正予算の編成を必要とするこのような要因は,香川県下の市町でもほぼ同じである(同 上,46ページ)。 28)このような傾向は,香川県下の市町でも見られる(同上,46ペ1−ジ)。

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香川大学経済学部 研究年報 32 −76− ヱ992 ⅤⅠ つぎは,市町村当局が,予算編成において高知県地方課や市町村議会とどの 程度連絡をし,折衝しているかについて尋ねる。 間18 ここでは,高知県の地方課とどの程度連絡をしているかについて尋ね た。その単純集計の結果は,第50図のようである。すなわち,第1位は,必要 があるときに連絡をとると言う回答で,67.9パーセントである。そして,第2 位は,毎年1月下旬に開催される助役・税財政担当課長会議において指導・助 言を受けると言う回答であり,必要があるときに連絡をとると言う回答とほぼ 同じ割合で66..0パーセントである。しかし,地方課の指導や助言を全く受けな いと答えた団体が7団体,13..2パーセントある。もっともこれらの団体も助役・ 税財政担当課長会議には出席するのであろうから,それを踏まえての回答であ ろう。このような回答を楕町村別にみると,第51図のようである。必要がある ときに連絡をとると言う回答は,村から町,町から市になるに従って多くなっ ている。また,地方課の指導や助言を全く受けないと答えた団体は,市町村そ れぞれにあることが分かる。また,常に連絡をとる団体は,村である。つぎに, これらの回答を当初予算規模とクロスさせてみると,第52図のようである。す なわち,必要がある時に連絡をとると言う団体は,当初予算規模が大きくなる に従ってその回答の割合が増えている。また,全く指導や助言を受けないと言 う団体は,回答の割合でみると,特に25億円未満の団体が格段に大きい。 次の4間は,当局と議会との関係について尋ねる質問である。 問19 まず,予算の編成に向けてどのような方法で議会の要望を聞いている のかについて尋ねた。この質問の回答の単純集計は,第53図のようである。− 番多い回答は,議員との普段の接触によって予算にたいする要望を判断すると 言うもので,58.8パーセントである。第2位は,定例会や常任委員会における 議員の発言によって判断すると言う回答で,45..3パーセントである。第3位は, 議会の要望は特に聞かないと言う回答で35..8パーセントである。そして,これ らの3つの回答がほとんどを占め,その他の方法はごくわずかである。そこで, これらの3つの回答を,まず,市町村別にみる。第54図を見ると,特に議会の

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高知県下の市町村の予算編成過程 −77− 第50図 高知県地方課との連絡 0

10 20 30 40 50 60 70(%)

第51図 高知娼地方課との連絡(市・町・村) 全くなし 常に連絡 必要がある時に 税財政担当課長会議 その他

0 10 20 30 40 50 60 70 80(%)

四市田町旺‡村

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J9汲2 香川大学経済学部 研究年報 32 一こヾ−一 第52図 高知県地方課との連絡(当初予算規模) 全くなし 削こ連絡 必要がある時に 税財政担当課良会議 その他 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90(%) 四:25億円未満旺;25佗円以上50億円未満6廻50億円以上 第53図l蒜掛会の要望を怖く方法 丁−「 0 10 20 30 40 50 60(%)

参照

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